JP3991356B2 - 防湿性紙用共重合体ラテックス、防湿性紙用塗被組成物及び防湿性塗被紙 - Google Patents
防湿性紙用共重合体ラテックス、防湿性紙用塗被組成物及び防湿性塗被紙 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿性紙用共重合体ラテックス、防湿性紙用塗被組成物及び防湿性塗被紙に関し、さらに詳しくは、防湿性と易離解性のバランスに優れ、かつ耐ブロッキング性に優れる防湿性塗被紙を与え得る防湿性紙用共重合体ラテックス、それを含む防湿性紙用塗被組成物及び該防湿性紙用塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞原紙やコピー用紙等は、外部の湿気を吸収し易く、これにより製品の品質が低下する。これを防止する為に、包装用紙として防湿性紙が用いられる。
防湿性紙として、原紙にポリエチレンなどの薄い熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしたラミネートタイプの防湿性紙を用いると、防湿性に優れるものの、古紙として回収し、離解して再利用することができず、焼却処理せざるを得ない問題がある。
そこで、古紙として回収し、離解して再利用可能な防湿性紙が求められている。
【0003】
古紙として回収し、離解して再利用可能な防湿性塗被紙を得るために、ガラス転移温度40〜90℃のコア部およびガラス転移温度−40〜+20℃のシェル部からなるコアシェル構造の共重合体ラテックスに水溶性無機塩からなる離解性向上剤および軟化点100℃以下の樹脂からなる防湿性向上剤を配合してなる防湿性紙用塗被組成物が提案されている(特開平11−293590号公報)。このような塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙は、比較的離解しやすく、防湿性は比較的良好であるが、その製造、輸送および保管の諸工程において、比較的高温に曝されると、防湿性塗被紙同士がブロッキングして使用できなくなったり、このような防湿性塗被紙で包装された商品を長期間保管した場合、防湿性塗被紙と商品とがブロッキングし、その商品価値を著しく低下させる問題がある。
【0004】
また、特開2001−64444号公報には、特定組成のガラス転移温度が0℃未満である重合体ラテックスの存在下に、エチレン性不飽和酸単量体5〜35重量%を含む単量体混合物であって、これを重合して得られる重合体のガラス転移温度が10℃以上、50℃未満である単量体混合物を重合して得られる防湿性紙用共重合体ラテックスが開示されている。このような共重合体ラテックスを用いることで、防湿性と易離解性のバランスに優れる防湿性塗被紙が得られるものの、防湿性塗被紙の耐ブロッキング性に劣る場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防湿性と易離解性のバランスに優れ、かつ耐ブロッキング性に優れる防湿性塗被紙を与え得る防湿性紙用共重合体ラテックス、それを含む防湿性紙用塗被組成物及び該防湿性紙用塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行い、特定組成の脂肪族共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和酸単量体及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体よりなる単量体混合物を重合するに際し、比較的多い量のエチレン性不飽和酸単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、比較的少ない量のエチレン性不飽和酸単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスを用いることで、上記目的が達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば、脂肪族共役ジエン単量体25〜70重量%、芳香族ビニル単量体5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体10〜45重量%、及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜30重量%よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスであって、脂肪族共役ジエン単量体(A1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(A2)5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体(A3)10〜50重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(A)30〜90重量部を重合して得られる共重合体ラテックス(a)の存在下に、脂肪族共役ジエン単量体(B1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(B2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(B3)5〜45重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(B)10〜70重量部(但し、(A)と(B)の合計量は100重量部であり、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合は、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多い。)を重合して得られることを特徴とする防湿性紙用共重合体ラテックスが提供される。
【0008】
また、本発明によれば該共重合体ラテックスと顔料および/またはワックスエマルジョンとを含む防湿性紙用塗被組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、該塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン単量体25〜70重量%、芳香族ビニル単量体5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体10〜45重量%、及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜30重量%よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスであって、脂肪族共役ジエン単量体(A1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(A2)5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体(A3)10〜50重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(A)30〜90重量部を重合して得られる共重合体ラテックス(a)の存在下に、脂肪族共役ジエン単量体(B1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(B2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(B3)5〜45重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(B)10〜70重量部(但し、(A)と(B)の合計量は100重量部であり、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合は、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多い。)を重合して得られる。
【0010】
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン単量体25〜70重量%、芳香族ビニル単量体5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体10〜45重量%、及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜30重量%よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスである。
【0011】
脂肪族共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの脂肪族共役ジエン単量体のうち、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0012】
脂肪族共役ジエン単量体の使用量は、全単量体の25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、さらに好ましくは35〜60重量%である。この使用量が少ないと、得られる共重合体ラテックスが成膜しにくくなるため防湿性が低下し、逆に多いと、共重合体の塗膜が柔軟になり、更に接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりする。
【0013】
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの芳香族ビニル単量体のうち、スチレンが好適である。
【0014】
芳香族ビニル単量体の使用量は、全単量体の5〜65重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜55重量%である。この使用量が少ないと、共重合体の塗膜が柔軟になり更に接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりし、逆に多いと、得られる共重合体ラテックスが成膜しにくくなるため防湿性が低下する。
【0015】
エチレン性不飽和酸単量体は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスフィニル基等の酸基を有するエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸単量体及びエチレン性不飽和リン酸単量体等が挙げられる。
【0016】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物などが挙げられる。
【0017】
エチレン性不飽和スルホン酸単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
エチレン性不飽和リン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げられる。
【0018】
これらのエチレン性不飽和酸単量体はアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもできる。これらのエチレン性不飽和酸単量体は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
これらエチレン性不飽和酸単量体の中でも、エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましい。エチレン性不飽和モノカルボン酸の中ではメタクリル酸が特に好ましい。
【0020】
エチレン性不飽和酸単量体の使用量は、全単量体の10〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%である。この使用量が少ないと、共重合体ラテックスのコロイド安定性が低下し、また緻密な塗膜を形成できないため、塗被紙の防湿性が低下し、逆に多いと、共重合体の塗膜が硬化して僅かな力でひび割れを起こしやすくなり、塗被紙の防湿性が低下する。
【0021】
また、本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスの製造には、必要に応じて、上記の単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を用いてもよい。
【0022】
共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド単量体;エチレン性不飽和ニトリル単量体;架橋性単量体;等が挙げられる。
【0023】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0024】
(メタ)アクリルアミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0025】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は二種類以上を併用してもよい。
【0026】
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0027】
共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体混合物の0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。この使用量が多いと、透湿性と離解性とのバランスが悪化する。
【0028】
防湿性紙用共重合体ラテックスを製造する際の単量体混合物は、1,3−ブタジエン、スチレンおよびメタクリル酸からなるものであることが特に好ましく、その組成はそれぞれ、30〜65重量%、10〜60重量%および10〜40重量%の範囲であることが好ましく、35〜60重量%、15〜55重量%および10〜35重量%の範囲であることがより好ましい。
【0029】
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスは、上記の単量体混合物を重合するに際し、脂肪族共役ジエン単量体(A1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(A2)5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体(A3)10〜50重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(A)30〜90重量部を重合して得られる共重合ラテックス(a)の存在下に、脂肪族共役ジエン単量体(B1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(B2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(B3)5〜45重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(B)10〜70重量部(但し、(A)と(B)の合計量は100重量部であり、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合は、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多い。)を重合することが必須の条件である。
【0030】
脂肪族共役ジエン単量体(A1)および(B1)としては、前記の脂肪族共役ジエン単量体として例示したものが使用できる。
芳香族ビニル単量体(A2)および(B2)としては、前記の芳香族ビニル単量体として例示したものが使用できる。
エチレン性不飽和酸単量体(A3)および(B3)としては、前記のエチレン性不飽和酸単量体として例示したものが使用できる。
これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)および(B4)としては、前記のこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体として例示したものが使用できる。
【0031】
共重合体ラテックス(a)は、脂肪族共役ジエン単量体(A1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(A2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(A3)10〜50重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(A)を重合(以下、「第1段階重合」ともいう。)して得られる。
【0032】
脂肪族共役ジエン単量体(A1)の使用量は、単量体混合物(A)全量の25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、さらに好ましくは35〜60重量%である。この使用量が少ないと、得られる共重合体ラテックスが成膜しにくくなるため防湿性が低下し、逆に多いと、共重合体の塗膜が柔軟になり、更に接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下したり、耐ブロッキング性が低下する。
【0033】
芳香族ビニル単量体(A2)の使用量は、単量体混合物(A)全量の5〜65重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜55重量%である。この使用量が少ないと、共重合体の塗膜が柔軟になり更に接着強度が強く成り過ぎて、塗被紙の離解性が低下したり、耐ブロッキング性が低下し、逆に多いと、共重合体の塗膜が硬化して脆くなり、僅かな力でひび割れを起こしやすくなり、塗被紙の防湿性が低下する。
【0034】
エチレン性不飽和酸単量体(A3)の使用量は、単量体混合物(A)全量の10〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。この使用量が少ないと、塗被紙の防湿性が低下したり、耐ブロッキング性が低下し、逆に多いと、共重合体の塗膜が硬化して僅かな力でひび割れを起こしやすくなり、塗被紙の防湿性が低下する。
【0035】
これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)の使用量は、単量体混合物(A)全量の0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。この使用量が多いと、透湿性と離解性とのバランスが悪化する。
【0036】
第一段階重合で使用する単量体混合物(A)は、1,3−ブタジエン、スチレンおよびメタクリル酸からなるものであることが特に好ましく、その組成はそれぞれ、30〜65重量%、10〜60重量%および10〜45重量%の範囲であることが好ましく、35〜60重量%、15〜55重量%および10〜40重量%の範囲であることがより好ましい。
【0037】
第1段階重合を行なって得られる共重合体ラテックス(a)の存在下で、第2段階重合を行うに際して、共重合体ラテックス(a)を製造した後、これを別の反応容器に移して第2段階重合を行ってもよいが、第1段階重合に引き続いて同一の反応容器で第2段階重合を行なってもよい。なかでも、後者の方法が好ましく採用できる。
【0038】
第1段階重合における重合転化率は、単量体混合物(A)の全単量体に対して、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。この重合転化率が低すぎると、重合安定性に問題があるほか、塗被紙の防湿性と離解性のバランスに劣ったり、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
【0039】
さらに、第1段階重合にあたり、シード重合方法を採用すると、共重合体ラテックスの数平均粒子径の制御がしやすく、より安定に重合反応を行なうことができる点で好ましい。シード重合方法を採用する場合、シードラテックスの組成は特に限定されず、共重合体ラテックスの製造に用いる単量体混合物の組成と同じであっても、異なってもよい。シードラテックスの数平均粒子径は、10〜60nm、好ましくは20〜50nm、より好ましくは25〜40nmの範囲にあることが好ましい。シードラテックスの使用量は、目的とする共重合体ラテックスの数平均粒子径が所望の値になるように適宜調整すればよい。
【0040】
本発明の防湿紙用共重合体ラテックスは、上記の単量体混合物(A)30〜90重量部を重合して得られる共重合体ラテックス(a)の存在下に、脂肪族共役ジエン単量体(B1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(B2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(B3)5〜45重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(B)10〜70重量部(但し、(A)と(B)の合計量は100重量部であり、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合は、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多い。)を重合(以下、「第2段階重合」ともいう。)して得られる。
【0041】
脂肪族共役ジエン単量体(B1)の使用量は、単量体混合物(B)全量の25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、より好ましくは35〜60重量%である。この使用量が少ないと、得られる共重合体ラテックスが成膜しにくくなるため、塗被紙の防湿性が低下し、逆に多いと、接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下する。
【0042】
芳香族ビニル単量体(B2)の使用量は、単量体混合物(B)全量の5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは15〜60重量%である。この使用量が少ないと、接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下し、逆に多いと得られる共重合体ラテックスが成膜しにくくなるため、塗被紙の防湿性が低下する。
【0043】
エチレン性不飽和酸単量体(B3)の使用量は、単量体混合物(B)全量の5〜45重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%である。この使用量が少ないと、接着強度が強くなりすぎて、塗被紙の離解性が低下し、逆に多いと、塗被紙の防湿性が低下する。
【0044】
これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)の使用量は、単量体混合物(B)全量の0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%である。この使用量が多いと、塗被紙の防湿性と離解性とのバランスが悪化する。
【0045】
第二段階重合で使用する単量体混合物(B)は、1,3−ブタジエン、スチレンおよびメタクリル酸からなるものであることが特に好ましく、その組成はそれぞれ、30〜65重量%、10〜65重量%および5〜40重量%の範囲であることが好ましく、35〜60重量%、15〜60重量%および5〜35重量%の範囲であることがより好ましい。
【0046】
単量体混合物(A)と単量体混合物(B)の比率は、重量比で、(A)/(B)が30/70〜90/10の範囲であることが必須であり、この比率が、40/60〜80/20の範囲であることが好ましく、50/50〜70/30の範囲であることがより好ましい。
単量体混合物(A)の比率が少ないと、塗被紙の耐ブロッキング性が低下し、逆に多いと、重合反応時に凝集物が多量に発生したり、塗被紙の防湿性が低下する。
【0047】
本発明においては、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合が、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多いことが必須であり、10重量%以上多いことが好ましい。この差が5重量%未満であったり、エチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合が、不飽和酸単量体(B3)の割合より少ないと、塗被紙の耐ブロッキング性が低下する。
【0048】
第2段階重合における重合転化率は、単量体混合物(A)と単量体混合物(B)を合わせた全単量体に対して、90重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがより好ましく、97重量%以上であることが最も好ましい。この重合転化率が低すぎると、未反応単量体を除去するために、共重合体ラテックスの生産性が低下したり、塗被紙の防湿性と離解性のバランスに劣ったり、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
【0049】
本発明の防湿性紙用重合体ラテックスは、単量体混合物(A)を重合して得られる比較的多い量のエチレン性不飽和酸単量体単位を有する共重合体と、単量体混合物(B)を重合して得られる比較的少ない量のエチレン性不飽和酸単量体単位を有する共重合体との複合構造ラテックスであることが好ましく、比較的多い量のエチレン性不飽和酸単量体単位を有する共重合体をコアとし、それよりも少ないエチレン性不飽和酸単量体単位を有する共重合体をシェルとするコアシェル構造ラテックスであることがより好ましい。
前記の複合構造ラテックスを形成させるには、第1段階重合における重合転化率を、単量体混合物(A)の全量に対して、80重量%以上とすることが好ましい。
さらに、前記のコアシェル構造ラテックスを形成させるには、単量体混合物(A)と単量体混合物(B)の比率を、重量比で、(A)/(B)を50/50〜70/30の範囲にすることが好ましい。
【0050】
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスは、これを構成する共重合体のテトラヒドロフラン不溶分(以下、「THF不溶分」という。)が50重量%以上、かつ該共重合体の数平均粒子径が50〜300nmの範囲にあることが好ましい。THF不溶分が低すぎると、塗膜が緻密になるので離解性が低下する傾向にある。THF不溶分の好ましい範囲は、60〜95重量%である。
【0051】
上記共重合体の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により、ラテックス粒子200個の粒径を測定し、それらの単純平均値である。
数平均粒子径が小さすぎると共重合体ラテックスの粘度が高く、取扱いが困難になり、取扱いが可能であっても、塗被用組成物にした場合、配合安定性が低いために、凝集物を発生したり、また、塗被紙を作製する時の乾燥がし難くなる傾向がある。逆に、数平均粒子径が大きすぎると、共重合体ラテックスが充分な防湿性を有した緻密な塗膜を形成できないため、塗被紙の防湿性が低下する傾向がある。
上記共重合体の数平均粒子径は、60〜200nmの範囲にあることがより好ましく、70〜180nmの範囲にあることが特に好ましい。
【0052】
本発明において、単量体混合物を重合する方法としては、乳化重合が好ましく採用できる。
乳化重合としては、前記した単量体混合物(A)と単量体混合物(B)とを2段階で重合する以外は、公知の方法を採用すればよい。
【0053】
単量体の添加方法としては、例えば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。
また、各単量体は、使用する各種単量体を混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
さらに、各単量体は、水および乳化剤と混合して、単量体乳化物の状態で添加してもよい。
【0054】
本発明の防湿性紙用重合体ラテックスの製造に用いる乳化剤は、特に限定されない。その具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩等のアニオン系乳化剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル型、ポリエチレングリコールアルキルエステル型、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル型等のノニオン系乳化剤;アニオン部分として、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸塩又はリン酸エステル塩等を、カチオン部分として、アミン塩又は第4級アンモニウム塩等を持つ両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0055】
乳化剤の使用割合は、重合に使用する単量体全量100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。第1段階重合及び第2段階重合においても、それぞれの単量体混合物100重量部に対して、上記範囲で使用するのが好適である。
【0056】
本発明の防湿性紙用重合体ラテックスの製造に用いる重合開始剤は、特に限定されない。重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。なかでも、無機過酸化物が好ましく使用できる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、過酸化物開始剤は、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。
【0057】
重合開始剤の使用割合は、重合に使用する単量体全量100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部であり、好ましくは0.5〜3重量部である。
使用する重合開始剤の全量を第1段階重合の際に添加しても、一部を第1段階重合の際に使用し、残部を第2段階重合の際に添加してもよい。添加方法としては、第1段階重合および第2段階重合のそれぞれにおいて、一括添加、連続的添加、分割添加のいずれをも採用することができる。
【0058】
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスの製造に際して、ラテックスの製造に通常使用される、分子量調整剤、分散剤、キレート剤等の副資材を、第1段階重合および/または第2段階重合において、適宜使用することができる。これらの種類、使用量とも特に限定されない。
【0059】
分子量調整剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー;t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種類以上組み合わせて併用することもできる。
【0060】
第1段階重合および第2段階重合における重合温度は、特に限定されないが、通常、5〜95℃、好ましくは50〜95℃である。重合温度は、第1段階重合と第2段階重合とで変化させてもよい。また、各段階の重合の最中に、重合温度を変化させてもよい。
【0061】
本発明の防湿性紙用共重合体ラテックスには、通常、ラテックスに添加されるpH調整剤、防臭剤、防腐剤、香料、分散剤等を添加することができる。
【0062】
本発明の防湿性紙用塗被組成物は、前記の防湿性紙用共重合体ラテックスと、顔料及び/又はワックスエマルジョンとを含有して成る。
【0063】
本発明の防湿性紙用塗被組成物に用いる顔料としては、特に限定されないが、例えば、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、シリカ、タルク、雲母、硫酸バリウム等の無機顔料;プラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
顔料の使用量は、防湿性紙用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、通常、10〜500重量部、好ましくは30〜300重量部である。
【0065】
本発明の防湿性紙用塗被組成物に用いるワックスエマルジョンとしては、特に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、セレシンワックス、ペトロラクタム、フィシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、ステアリン酸アミドなどのエマルジョンが挙げられる。これらの中でもパラフィンワックスのエマルジョンが好ましい。これらのワックスは2種類以上を混合して用いることもできる。
【0066】
ワックスエマルジョンの使用量は、通常、防湿性紙用共重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、固形分として50重量部以下、好ましくは20重量部以下である。この使用量が多いと、防湿性塗被紙の離解性が低下する傾向にある。
【0067】
本発明の防湿性紙用塗被組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、通常、30〜70重量%、好ましくは40〜70重量%である。
【0068】
本発明の防湿性塗被紙は、前記の防湿性紙用組成物を原紙上に塗工し、その後、所望ならば、通常、50℃以上で乾燥することによって得る。
【0069】
本発明の防湿性塗被紙に用いる原紙は、特に限定されず、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等のパルプからなる原紙を用いることができる。また、原紙の坪量は特に限定されないが、通常、40〜220g/m2のものが使用される。
【0070】
本発明の防湿性紙用塗被組成物を塗工する方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、ブラシコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、バーコーター、グラビヤコーター、ショートドウェルコーターなどを用いて行う。
【0071】
本発明の防湿性塗被紙の塗工量は、特に限定されないが、通常、乾燥重量で、片面10〜40g/m2、好ましくは15〜35g/m2である。塗工量が少ないと、塗膜が薄くなって水蒸気が通過し易くなり、十分な防湿効果を得ることができない傾向があり、逆に多いと、離解性が低下する傾向がある。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中における部及び%は、特に言及がない限り、重量基準である。
【0073】
[共重合体ラテックスの評価方法]
(共重合体のTHF不溶分)
水平に保たれたガラス板に、乾燥後のフィルムの厚さが約1mmとなるように、pH7の共重合体ラテックスを流延し、温度23℃、相対湿度65%に保たれた恒温恒湿室内で48時間自然乾燥させる。得られたフィルムを約2mm×約2mmの大きさに裁断し、その約0.3gを80メッシュ金網で作製した籠(重量:A)に精秤(重量:B)して入れる。これを200ミリリットルガラスビーカーに入れ、テトラヒドロフラン100ミリリットルを添加して室温で静置する。48時間後、籠を引き上げて、重量既知のアルミ皿(重量:C)に載せて、ドラフトチャンバー内で4時間放置する。この後、アルミ皿ごと105℃の乾燥器内で3時間乾燥させ、アルミ皿ごと乾燥重量(重量:Dg)を測定する。THF不溶分は次式により計算する。
THF不溶分(%)=(D−C−A)×100/B
【0074】
(共重合体ラテックスの数平均粒子径)
得られた共重合体ラテックスを、透過型電子顕微鏡(日立製作所製:H7500)を使用して、ラテックス粒子200個の粒子径を測定し、それらの単純平均値を求めた。
【0075】
[防湿性紙の評価方法]
(防湿性)
透湿度水蒸気透過度試験法(JIS Z 0208:カップ法 B法)に準拠して、防湿性紙の透湿度を測定した。透湿度が低いほど、防湿性に優れる。
【0076】
(離解性)
塗被紙を裁断して、5cm×5cmの大きさの試験片を作製する。この試験片を合計で10gとなる枚数を(ただし、これら塗被紙の合計重量が10gに満たない場合は、更に塗被紙を裁断して小片を1枚追加し、合計重量を10gとする)、20℃の水道水500gに投入する。これを家庭用ミキサーに入れて2分間攪拌後、得られたスラリーを取り出し20cm×25cmの大きさに手抄きして一枚のパルプシートを得る。このシートを120℃の熱風循環式オーブンに20分間入れて乾燥させ、シートを取り出して未離解物(塗膜片、紙片等)を目視で観察して評価する。未離解物の最大が2mm四方未満の場合は○、2〜5mm四方の場合は△、5mm四方を超える場合は×で示し、それぞれ、以下のように判断する。
○:離解性が優れている。
△:離解性がやや劣る。
×:離解性が劣る。
【0077】
(耐ブロッキング性)
塗被紙の塗被面と未塗被紙とを対面させ、それを線圧100Kg/cmの条件で、塗被紙が加熱ロール面に接するように、150℃の加熱ロールと弾性ロールとの間を一度通過させた。処理後の試験片の温度が室温まで戻った後、塗被紙と未塗被紙とを手で剥がし、以下に基準で評価した。ひとつのサンプルについて、10回上記試験を行ない、単純平均した点数で示す。
5点:きれいに剥がれる。
4点:塗被面の10%未満の部分に、未塗被紙が融着している。
3点:塗被面の10〜30%の部分に、未塗被紙が融着している。
2点:塗被面の30%を超え、50%以下の部分に、未塗被紙が融着している。
1点:塗被面の50%を超える部分に、未塗被紙が融着している。
【0078】
(実施例1)
攪拌機付きの耐圧容器に、単量体混合物100部あたり、イオン交換水60部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、表1に示す第1段階の単量体混合物及び分子量調整剤を仕込み、攪拌して、第1段階の単量体混合物の乳化物を得た。
別の攪拌機付きの耐圧容器に、単量体混合物100部あたり、イオン交換水60部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、表1に示す第2段階の単量体混合物及び分子量調整剤を仕込み、攪拌して、第2段階の単量体混合物の乳化物を得た。
【0079】
攪拌機付きの耐圧重合容器に、イオン交換水50部、過硫酸カリウム1部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、数平均粒径が33nmのシードラテックス2.8部(固形分換算)を仕込み、攪拌しながら、80℃に昇温した後、上記第1段階の単量体混合物の乳化物を175分間にわたり連続的に重合容器に添加した。連続添加終了直後における重合転化率は、第1段階の単量体混合物全量に対して85%であった。
次いで、引き続き、上記第2段階の単量体混合物の乳化物を75分間にわたり連続的に重合容器に添加し、添加終了後、85℃に昇温し、さらに4時間反応を継続した後、反応停止剤を添加して重合を終了した。重合停止した際の重合転化率は、重合に使用した全単量体に対して、98%であった。
【0080】
得られた共重合体ラテックスから未反応単量体を除去した後、ラテックスのpH及び固形分濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが7の共重合体ラテックスAを得た。共重合体ラテックスAの特性を表1に示す。
【0081】
次に、ホモミキサーを用いて、共重合体ラテックスA固形分100部、雲母(マイカA21:山口雲母工業所製)100部、分散剤(アロンT−40:東亜合成化学製)1部、アンモニア0.4部および適量の水を混合し、固形分濃度52%の塗被組成物を得た。この塗被組成物を、坪量80g/m2のクラフト紙の片面に、ワイヤーバーを用いて乾燥重量が30g/m2となるように塗工した。塗工後、110℃の熱風式乾燥機内で1分間乾燥し、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内で一夜放置した。この塗被紙の透湿度の評価結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
(実施例2〜4)
第1段階および第2段階の仕込み組成、第1段階と第2段階の単量体混合物の比率、第1段階と第2段階の単量体混合物の連続添加時間を表1に示すように変更し、共重合体ラテックスの数平均粒径が表1に示す数値になるように、シードラテックスの使用量を調整した以外は、実施例1と同様に行ない、共重合体ラックスB〜Dを得た。結果を表1に示す。
共重合体ラテックスAに代えて共重合体ラテックスB〜Dを用い、表1に示す処方で防湿性紙を製造する以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。なお、炭酸カルシウムとしては、白石カルシウム(株)製のホワイトンBを、ワックスエマルジョンとしては、中京油脂製のセロゾールK−420を用いた。
【0084】
(比較例1〜3)
第1段階および第2段階の仕込み組成、第1段階と第2段階の単量体混合物の比率、第1段階と第2段階の単量体混合物の連続添加時間を表1に示すように変更し、共重合体ラテックスの数平均粒径が表1に示す数値になるように、シードラテックスの使用量を調整した以外は、実施例1と同様に行ない、共重合体ラックスE〜Gを得た。結果を表1に示す。
共重合体ラテックスAに代えて共重合体ラテックスE〜Gを用いて、防湿性紙を製造した以外は、実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0085】
表1から次のようなことがわかる。
第1段階の単量体混合物の使用比率が、本発明で規定する範囲より少ない比較例1の共重合体ラテックスEを用いると、得られた防湿性紙は離解しづらく、耐ブロッキング性にも劣る。
第2段階の単量体混合物中のエチレン性不飽和酸単量体の使用割合が、本発明で規定する範囲より少ない比較例2の共重合体ラテックスFを用いると、得られた防湿性紙は防湿性が低下し、離解しづらく、耐ブロッキング性にも劣る。
第1段階の単量体混合物中のエチレン性不飽和酸単量体の割合と第2段階の単量体混合物中のエチレン性不飽和酸単量体の割合との差が、本発明で規定する範囲より少ない比較例3の共重合体ラテックスGを用いると、得られた防湿性紙はやや離解しづらくなり、耐ブロッキング性に劣る。
【0086】
これらの比較例に比べ、本発明の範囲内にある共重合体ラテックスA〜Dを用いて得られた実施例1〜4の防湿性紙は、防湿性と易離解性のバランスに優れ、かつ耐ブロッキング性に優れている。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、防湿性と易離解性のバランスに優れ、かつ耐ブロッキング性に優れる防湿性塗被紙を与え得る防湿性紙用共重合体ラテックス、それを含む防湿性紙用塗被組成物及び該防湿性紙用塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙が提供される。
Claims (4)
- 脂肪族共役ジエン単量体25〜70重量%、芳香族ビニル単量体5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体10〜45重量%、及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜30重量%よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体ラテックスであって、脂肪族共役ジエン単量体(A1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(A2)5〜65重量%、エチレン性不飽和酸単量体(A3)10〜50重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(A4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(A)30〜90重量部を重合して得られる共重合体ラテックス(a)の存在下に、脂肪族共役ジエン単量体(B1)25〜70重量%、芳香族ビニル単量体(B2)5〜70重量%、エチレン性不飽和酸単量体(B3)5〜45重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(B4)0〜30重量%よりなる単量体混合物(B)10〜70重量部(但し、(A)と(B)の合計量は100重量部であり、単量体混合物(A)中のエチレン性不飽和酸単量体(A3)の割合は、単量体混合物(B)中のエチレン性不飽和酸単量体(B3)の割合より、5重量%以上多い。)を重合して得られることを特徴とする防湿性紙用共重合体ラテックス。
- 共重合体のテトラヒドロフラン不溶分が50重量%以上であり、かつ共重合体の数平均粒子径が50〜300nmである請求項1に記載の防湿性紙用共重合体ラテックス。
- 請求項1又は2に記載の防湿性紙用共重合体ラテックスと顔料及び/又はワックスエマルジョンとを含有する防湿性紙用塗被組成物。
- 請求項3に記載の防湿性紙用塗被組成物を塗工してなる防湿性塗被紙。
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