JP4684380B2 - 紙基体の改質方法 - Google Patents
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Description
本発明は紙用途におけるバリアコーティングとしてのポリマーの使用に関する。バリアコーティングの用語は、油、水または質分子量が紙製品を通して浸透することを防止する層またはコーティングを意味する。バリアコーティングは典型的には厚紙(cardboard)、板紙(paperboard)、波形板紙(currugated paperboard)、クラフト紙、およびリームラップ(ream wrap)に施用される。
【0002】
紙製品から作られる容器は、果物、肉、野菜、飴などを輸送するために使用されることができる。これらの容器を使用するに際していくつかの課題がある。1つは容器に入れて運ばれる物質が湿っていたり、容器が雨や湿った環境にさらされたときに、容器が湿ることである。水に暴露された結果として、紙容器は一般に弱くなり変形する。これは容器に穴があき、容器の内容物をこぼすことになる。このような問題を避けるため、容器は一般にワックスのような、紙が水と接触することを防止する物質で被覆される。ワックスで被覆された容器における問題の1つは、ワックスは紙が水および油と接触することを防止するために効果があるが、ワックスは一般に厚い被覆として施用されなければならないことである。厚い被覆とは、55から125ミクロンの乾燥被膜を言う。この厚い被覆は容器を有意に重くする。実際、ワックスは被覆された容器の20から40重量%を占める。したがって、ワックスよりも効果的で、バリアコーティング特性を損なうことなくより薄いコーティングを施用する事ができるバリアコーティングが望まれている。
【0003】
経済的な理由および天然材料の保存のため、果物、肉、野菜、飴などを輸送するために使用された容器をリサイクルすることが望ましい。しかし、ワックスで被覆された容器の2つ目の問題は、ワックスコーティングが容器のリサイクルを困難にすることである。ワックスは紙の繊維に接着し、繊維を再度パルプにすることを困難にしている。ワックスよりも効果的で、ワックスよりも紙繊維から除去することが容易なバリアコーティングに対する必要性が引き続き存在している。
われわれは、バリアコーティングとしてのポリマーを使用すると、バリアコーティング特性を損なうことなく使用量を低減することができ、さらに被覆された紙のリサイクル能力を改良することを見いだした。
【0004】
米国特許第5,521,266号は、疎水性モノマーからのポリマーの製造方法を開示する。開示された方法は高分子有機化合物であって、低い水溶性を有するモノマーと複合体を形成する疎水性のキャビティーを有する化合物を使用する。この方法はエマルション重合により低い水溶性のモノマーからポリマーを形成することを可能にする。このポリマー形成方法において好適に使用されるモノマーとしては、ラウリルメタアクリレートおよびステアリルメタアクリレートがあげられる。この特許はバリアコーティングとしてのポリマーの使用を開示していない。
WO94/26513号は、アクリル−スチレンコポリマーとワックスを含むエマルションで被覆されたリサイクル可能な紙原料(paper stock)を開示する。試験されたコポリマーは低級アルキルアクリル−スチレンコポリマーに限られている。
このような開示にも拘わらず、ワックスよりも効果的で、ワックスよりも紙繊維から除去することが容易なバリアコーティングに対する必要性が引き続き存在している。
【0005】
本明細書においては、(メタ)アクリルの用語はアクリルまたはメタアクリルを意味し、(メタ)アクリレートの用語はアクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
【0006】
本発明は、
a)1から100重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC 18 アルキルエステル、b)0から99重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、c)0から15重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和酸含有モノマーまたはそれらの塩、並びにd)0.1から10重量部の架橋性モノマーを重合単位として有するポリマーを、紙基体に施用する事を含む、紙基体の改質方法に関する。ポリマーは紙基体を改質するためにそのままで紙基体に施用する事ができる。紙基体の改質は良好なバリアコーティングおよびリサイクル特性を付与する。別法として、ポリマーは添加剤として使用され、たとえばブチルアクリレート/メチルメタアクリレート、ブチルアクリレート/スチレン、スチレン/ブタジエン、および酢酸ビニルラテックスのようなラテックスのバリアコーティングとリサイクル特性を改良することができる。
【0007】
本発明はさらに、上記のポリマーで被覆された紙基体を含む物品も提供する。上記の混合物で被覆された紙基体を含む物品も本発明の範囲に包含される。
本発明において使用されるポリマーはシングルステージまたはマルチステージ法によって製造されることができる。プロセスはエマルション重合であることができる。エマルション重合法の詳細な記載については米国特許第5521266号を参照。プロセスは溶液重合に続く乳化であることもできる。溶液重合に続くミニエマルジョン重合またはマイクロエマルジョン重合の詳細な記載については米国特許5539021号を参照。米国特許第5521266号に記載のエマルション重合法が好ましい。
【0008】
本発明において使用されるポリマーのモルホロジーは、ポリマーの特定の特性を最適化するようにデザインすることができる。例えば、ポリマーはコア−シェルモルホロジーであってコアポリマーがシェルを形成するポリマーよりも低いガラス転移温度を有するようにデザインすることができる。このタイプのモルホロジーはバリア特性とともにブロッキング特性も改良することができる。また、コアポリマーがシェルを形成するポリマーよりも高いガラス転移温度を有するようにデザインすることができる。この場合にはコアはフィラーとして作用することができ、シェルはより堅いコアを互いに結合してフィルム形成を助けることができる。コア−シェルポリマーは公知の方法により調製する事ができる。
【0009】
本願におけるサンプルを製造するために利用される方法においては、第1ステージはモノマーエマルジョンと過硫酸ナトリウムをメチル−β−シクロデキストリン(CD)、脱イオン水および界面活性剤を含む溶液に添加することにより製造された。第1ステージは85℃で反応された。第2ステージは第2モノマーエマルジョンを製造し、第2モノマーエマルジョンと過硫酸ナトリウム溶液を、反応がなされた第1ステージに供給して製造された。第2ステージは85℃で反応された。
【0010】
本発明で使用されるポリマーは重合単位として、1から100重量部、好ましくは5から95重量部、より好ましくは10から90重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC40アルキルエステルを含む。
さらに好ましくは、本発明で使用されるポリマーは重合単位として、20から80重量部、好ましくは30から70重量部、より好ましくは40から60重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC40アルキルエステルを含む。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸のC12からC30アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが、(メタ)アクリル酸のC12からC18アルキルエステルであることがさらに好ましい。好適な(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートおよびエイコシル(メタ)アクリレートがあげられるがこれらに限定されるものではない。有利な特性は(メタ)アクリル酸のC12〜C40アルキルエステルの1以上を利用することによって得られることができる。
【0011】
本発明において使用されるポリマーは重合単位として0〜99重量部、好ましくは4〜94重量部、より好ましくは9〜89重量部の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。本発明において使用されるポリマーが重合単位として18〜80重量部、好ましくは28〜70重量部、より好ましくは38〜60重量部の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含むことがさらに好ましい。本発明のポリマー組成物の製造における使用のための好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタアクリレート、およびブチルメタアクリレートを含む(メタ)アクリルエステルモノマー;アクリルアミドまたは置換アクリルアミド;スチレンまたは置換スチレン;ビニルアセテートまたは他のビニルエステル;ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、N−ビニルピロリドンのようなビニルモノマー;およびアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルが含まれるがこれらに限定されない。ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、およびスチレンが好ましい。
【0012】
本発明において使用されるポリマーは重合単位として、0〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部のエチレン性不飽和酸含有モノマーまたはこれらの塩を含むこともできる。好適なエチレン性不飽和酸含有モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ホスホエチルメタアクリレート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ナトリウムビニルスルホネート、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレートおよび無水マレイン酸が含まれるがこれらに限定されない。アクリル酸およびメタアクリル酸が好ましい。メタアクリル酸がより好ましい。
【0013】
本発明において使用されるポリマーは重合単位として、Zonyl(DuPont Chemical Companyの商標)製品のようなフッ化(メタ)アクリレートエチレン性不飽和モノマーを0〜25重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部含むこともできる。
本発明において使用されるポリマーは重合単位として、ビニルトリメトキシシランおよびメタアクリルオキシプロピルトリメトキシシランのようなエチレン性不飽和モノマー含有シリコーンを0〜25重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部含むこともできる。
【0014】
本発明において使用されるポリマーは重合単位として、C6−C20アルキルスチレンおよびアルキル−アルファ−メチルスチレン、C6−C20アルキルジアルキルイタコネート、カルボン酸のC10−C20ビニルエステル、C8−C20N−アルキルアクリルアミドおよびメタアクリルアミド、C10−C20アルキル−アルファ−ヒドロキシメチルアクリレート、C8−C20ジアルキル2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート、C8−C20ジアルキル2,2’−(アルキルイミノジメチレン)ジアクリレート、C8−C20N−アルキルアクリルイミド、およびC10−C20アルキルビニルエーテルから選択されるモノマーを0〜80重量部、好ましくは0〜50重量部、より好ましくは1〜15重量部含むこともできる。
【0015】
本発明の組成物は、また、重合単位として、ポリマーの重量を基準として、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部の、架橋剤(cross−linking agent)及び架橋性モノマー(cross−linking monomer)から選択されるクロスリンカー(cross−linker)を含み得る(ただし、本発明の組成物は、重合単位として、ポリマーの重量を基準として、0.1〜10重量部の前記架橋性モノマーを含む)。「架橋剤」とは、本発明の組成物のモノマー上に見られる酸基と反応する少なくとも二つの反応性基を有する化合物を意味する。本発明において有用な架橋剤としては、ポリアジリジン、ポリイソシアネート、ポリカルボジイミド、ポリアミン及び多価金属が挙げられる。架橋剤は、任意成分であり、重合が完了した後に加えることができる。
【0016】
架橋性モノマーは、重合中に本発明の組成物のモノマーに含まれるクロスリンカーである。本発明において有用な架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ポリヒドロキシル化化合物の(メタ)アクリロイルポリエステル、ポリカルボン酸のジビニルエステル、ポリカルボン酸のジアリルエステル、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、トリアリルテレフタレート、メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ヘキサメチレンビスマレアミド、トリアリルホスフェート、トリビニルトリメリテート、ジビニルアジペート、グリセリルトリメタクリレート、ジアリルスクシネート、ジビニルエーテル、エチレングリコールのジビニルエーテル又はジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、シクロペンタジエンジアクリレート、ブチレンングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、トリメチロールプロパンジ又はトリアクリレート、(メタ)アクリルアミド、n−メチロール(メタ)アクリルアミド、これらの混合物、などが挙げられる。(メタ)アクリルアミド、n−メチロール(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が好ましい。用いるクロスリンカーの量は、クロスリンカーがフィルム形成を妨げないように選択される。
【0017】
連鎖移動剤を用いて、ポリマー組成物の分子量を制御することができる。好適な連鎖移動剤としては、例えばドデシルメルカプタンのようなメルカプタンが挙げられる。連鎖移動剤は、ポリマー組成物の全重量を基準として0.1%〜10%で用いることができる。
本発明で使用されるポリマーにフィラーを加えることができる。フィラーはポリマーの耐水性、耐油性、および耐ブロッキング性のようなバリアコーティング特性を改良する。ブロッキングの用語は被覆された表面の粘着性を言う。被覆された紙はしばしば巻かれるが、ブロッキングは巻かれた被覆された紙を解くことを困難にするので望ましくない。好適なフィラーとしては、タルク(珪酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレイ(珪酸アルミニウム)、およびポリスチレンのようなプラスチック顔料があげられる。フィラーは本発明で使用されるポリマーと、ポリマーの乾燥重量に基づいて10から150重量%の量で混合することができる。
【0018】
本発明で使用されるポリマーは、典型的には紙基体にポリマーを施用する事により紙基体を改質するために使用される。紙基体は厚紙、板紙、波形板紙、クラフト紙、およびリームラップなどから選択されることができる。ポリマーは紙基体にブレードコート、ナイフコート、ロッドコート、ロールコート、スプレー塗布、ディッピング、グラビア印刷、フレキソ印刷、またはキスコーティングにより施用する事ができる。他の公知のコーティング方法も使用することができる。ポリマーは1g/m2〜50g/m2、好ましくは5g/m2〜20g/m2で適用され、1ミクロン〜50ミクロン、好ましくは5ミクロン〜25ミクロンの乾燥膜厚を得ることができる。次いで、ポリマーは乾燥される。ポリマーは雰囲気条件下で乾燥されることができる。ポリマーの乾燥を助けるために強制空気が使用されることができる。ポリマーの乾燥においては熱も利用されることができる。強制空気が加熱されるか、またはポリマー被覆された基材が加熱されたオーブン中に置かれることができる。熱の温度は35℃〜200℃の範囲であることができる。赤外線乾燥、紫外線乾燥、蒸気加熱シリンダー、または電気加熱されたバーのような公知の他の方法も使用できる。
【0019】
バリアコーティング用途においてはポリマーは撥水性およびリサイクル性を改良するためにラテックスとも混合することができる。好適なラテックスとしては、ブチルアクリレート/メチルメタアクリレート、ブチルアクリレート/スチレン、スチレン/ブタジエン、および酢酸ビニルラテックスがあげられるがこれらに限定されるものではない。ラテックスと混合されるポリマーの量は、典型的には1から50重量部、好ましくは5から45重量部、より好ましくは10から40重量部である。
次の略語が本明細書の実施例において使用される。
LMA=ラウリルメタアクリレート
SMA=ステアリルメタアクリレート
St=スチレン
MMA=メチルメタアクリレート
BA=ブチルアクリレート
MAA=メタアクリル酸
CD=メチル−β−シクロデキストリン
以下の実施例は、本発明で使用されるポリマーを例示し、このポリマーがバリアコーティング用途に使用されるときの利点を例示する。以下の実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0020】
実施例1
ステージ1のために、400gの脱イオン水、トライトン(Union Carbide Chemical Companyの登録商標)XN−45S 陰イオン性界面活性剤、および28.6gのCDが、メカニカルスターラ、温度制御装置、凝縮器、モノマーおよび開始剤供給ラインおよび窒素インレットを備えた4リットルの四つ首丸底フラスコに、室温で導入された。窒素パージ下で撹拌されつつ、内容物は85℃に加熱された。モノマーエマルジョンは別々に製造された。25gの脱イオン水中の0.35重量%の炭酸ナトリウム溶液(ステージ1およびステージ2における全モノマー重量に基づいて)および30gの脱イオン水中の0.35重量%の過硫酸ナトリウム溶液(ステージ1およびステージ2における全モノマー重量に基づいて)が反応釜に導入された。モノマーエマルジョンは、210gの脱イオン水中の0.05重量%過硫酸ナトリウム(ステージ1およびステージ2における全モノマー重量に基づいて)の開始剤溶液と共に20分にわたり供給された。
ステージ2のために、625gの脱イオン水、7.8gのトライトンXN−45S 陰イオン性界面活性剤、およびモノマーを用いて、第2のモノマーエマルジョンが製造された。ステージ1のモノマーエマルジョン供給の終了後すぐに、ステージ2のモノマーエマルジョンが過硫酸ナトリウムの開始剤溶液と共に3時間にわたり供給された。第1および第2のモノマーエマルジョンのモノマーが選択され、表1のポリマー(モノマー重量%に基づく)が得られた。
【0021】
【表1】
【0022】
*:バリアコーティングとして典型的に使用されることのできるポリマー
1:2%MOA(50%アクリルアミド/50%n−メチロールアクリルアミド)含有
2:2%MAM(90%メタアクリルアミド/10%アクリルアミド)含有
3:1%MOA(50%アクリルアミド/50%n−メチロールアクリルアミド)含有
4:1%MAM(90%メタアクリルアミド/10%アクリルアミド)含有
5:0.2%n−ドデシルメルカプタン含有
【0023】
ポリマー組成物のバリアコーティング用途における有用性を評価する標準的な試験としては以下のものがあげられる。
a)所定時間におけるポリマーフィルムの水吸収を評価するCobb試験
b)所定時間におけるポリマーフィルムを透過する水蒸気の量を評価する水蒸気透過速度(Water Vapor Transmission Rate:WVTR)試験、および
c)ポリマーフィルムが紙基体から容易に除去でき、紙をリサイクルできるようにするか否かを示す、リパルプ性試験。
表1のポリマーはこれらの試験のいくつかについて試験され、それらのバリアコーティング用途における有用性が示された。
【0024】
Cobb試験
試験されるサンプルのほとんどについて、224g/m2の基体重量の漂白された板紙のシートの被覆されていない面(裏面)に、ワイヤーを巻いたロッドを使用して、表2に示した温度で20秒間乾燥したときに10−15g/m2の乾燥被膜を与えるように、1層の湿潤被覆が施された。サンプル22から30では、ピンホールの可能性を減少させるため、15−19g/m2の乾燥被膜を施し、150℃で1分間乾燥した。試料は25℃、相対湿度50%でコンディショニングした後に試験された。被覆されたサンプルは、サイズされた(非吸水性)紙と板紙の水吸収性試験のSCAN P12:64(Cobb試験)にしたがって試験された。試験は板紙の被覆された面のみについて行い、暴露時間を120秒ではなく30分とした。サンプル1から21については、コーティング組成物あたり4個の試料を試験した。サンプル22から30については、コーティング組成物あたり2個の試料を試験した。サンプル1から22については、非架橋性ポリマーは60℃、90℃、120℃、および150℃で乾燥したフィルムについて試験し、架橋性のポリマーについては90℃、120℃、150℃、および180℃で乾燥したフィルムについて試験した。試験結果は表2に示す。この試験では、数字の小さい方が良好な特性を有することを示す。
【0025】
【表2】
【0026】
上記の結果は非架橋性ポリマーが試験されたすべての乾燥温度において、非常に小さな水吸収性を有することを示している。架橋性ポリマーでは、乾燥温度が上昇するにつれて水吸収が小さくなる。時々被膜はピンホールと呼ばれる欠陥を有する。ピンホールの存在は水が被膜を通ることを許容し、そのため水吸収とWVTRの両方を上昇させる。本発明者はポリマー16および17から形成された被膜を、過剰の染料と被覆された試料とを5分間接触させた後、ピンホールを数えるという染色法を用いて検査した。多数のピンホールが観察された。
【0027】
WVTR試験
WVTR試験は、改良されたSCAN P22:68に従って行われた。試験条件は25℃、相対湿度75%であった。非架橋性ポリマーは60℃、90℃、120℃、および150℃で乾燥したフィルムについて試験し、架橋性のポリマーについては90℃、120℃、150℃、および180℃で乾燥したフィルムについて試験した。サンプル22から30については、ピンホールの可能性を減少させるため、15−19g/m2の乾燥被膜を施した。サンプル1から21については、コーティング組成物あたり6個の試料を試験した。サンプル22から30については、コーティング組成物あたり2個の試料を試験した。試験結果は表3に示す。この試験では、数字の小さい方が良好な特性を有することを示す。
【0028】
【表3】
【0029】
上記の結果は、サンプル7および8に比較して非架橋性のポリマーは試験されたすべての乾燥温度において非常に低いWVTRを有することを示している。架橋性ポリマーでは、乾燥温度が上昇するにつれてWVTRが小さくなる。Cobb試験の項で述べたように、ピンホールの存在は水が被膜を通ることを許容し、そのため水吸収とWVTRの両方を上昇させる。本発明者はポリマー16および17から形成された被膜を、過剰の染料と被覆された試料とを5分間接触させた後、ピンホールを数えるという染色法を用いて検査した。多数のピンホールが観察された。
【0030】
水吸収とWVTRに対する被膜重量の影響
サンプル5を用い異なる被膜重量で板紙を被覆し、水吸収とWVTRに対する被膜重量の影響を調べた。サンプル5のアリコートを板紙に塗布し、被膜重量8g/m2、10g/m2、および15g/m2を得た。被覆されたそれぞれのサンプルは、90℃、120℃、150℃、および180℃で乾燥された。それぞれのサンプルは上述のようにして30分のCobb試験とWVTRについて試験された。結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
上記の結果は、被膜重量が10g/m2またはそれ以上で塗布された時に、WVTRが劇的に改良されることを示している。また、被膜重量が10g/m2またはそれ以上で塗布された時に、水吸収も劇的に改良される。
【0033】
水吸収とWVTRに対するフィラーの影響
本発明で使用されるポリマーとタルクとの混合物で板紙を被覆し、水吸収とWVTRに対するフィラーの影響を試験した。タルクはポリマーの乾燥重量に基づいて重量基準で加えた。サンプルは板紙に塗布され、150℃で20秒間乾燥された。それぞれのサンプルは上述のようにして30分のCobb試験とWVTRについて試験された。結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
上記の結果は、本発明で使用されるポリマーへのフィラーの添加は、バリアコーティングの耐水性と水浸透性の両方を改良することを示している。加えられるフィラーの量が増大すると、バリアコーティングの耐水性と水浸透性が改良される。
【0036】
リパルプ性
リパルプ性試験が、被覆されていないクラフト紙とサンプル9で被覆されたクラフト紙について行われた。平均被膜重量は10g/m2であり、被覆は紙のなめらかな面に行われた。被覆された紙は150℃で20秒間乾燥された。それぞれの紙のほぼ30gが1.5×1.5cmの片に切断された。それぞれの試験片に2リットルの水を加え、15g/lのコンシステンシーとした。塩酸および水酸化ナトリウムを使用してpHを中性に調節した。British Wet Disintegration装置を用いて紙をリパルプした。回転数は30,000であった。パルプは水で3g/lのコンシステンシーに希釈された。希釈したパルプの水きり性(drainability)をCanadian Freeness法で測定した。2つの実験を平行して行い、結果はミリリットルで示した。
実体顕微鏡観察ではパルプ中に被膜の小さな片が観察された。被膜片のサイズと被膜片にパルプ繊維が付着しているか否かが観察された。パルプは再度1.63g/lのコンシステンシーに希釈され、ほぼ60g/m2の実験室シートを形成した。しーとは特別なシート型で作られ、収縮しない方法で2時間オーブン中で乾燥された。シートの引っ張り強度と伸びを10個の平行して作成されたサンプルについて測定した。上記の試験の結果は表6に示す。
【0037】
【表6】
【0038】
上記のデータはリパルプ性を示すための試験において、ポリマーで被覆された紙が被覆されていない紙と同様の挙動を示すことを示している。実体顕微鏡で観察された小さな被膜片には繊維の後がみられたが、繊維は被膜に付着していなかった。これらの結果はポリマーで被覆された紙がリパルプ可能であることを示している。
Claims (13)
- a)5から95重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC18アルキルエステル、b)4から94重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、c)1から10重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和酸含有モノマーまたはそれらの塩、並びにd)0.1から10重量部の架橋性モノマーを重合単位として有するポリマーを、紙基体の少なくとも1つの表面に施用する事を含む、紙基体の改質方法。
- ポリマーが、重合単位として、
a)10から90重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC18アルキルエステル、b)9から89重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、c)1から5重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和酸含有モノマーまたはそれらの塩、並びにd)0.1から5重量部の架橋性モノマーを含む、請求項1記載の方法。 - ポリマーがさらに架橋剤を含む、請求項1記載の方法。
- ポリマーがさらにフィラーを含む、請求項1記載の方法。
- 紙基体が厚紙、板紙、波形板紙、クラフト紙、およびリームラップから選択される、請求項1記載の方法。
- 1から50重量部のポリマーが50から99重量部のラテックスと混合され、この混合物が紙基体の少なくとも1つの表面に施用される、請求項1記載の方法。
- ポリマーが、重合単位として、
a)10から90重量部の、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸のC12からC18アルキルエステル、b)9から89重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー、c)1から5重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和酸含有モノマーまたはそれらの塩、並びにd)0.1から5重量部の架橋性モノマーを含む、請求項6記載の方法。 - ポリマーがさらに架橋剤を含む、請求項6記載の方法。
- ポリマーがさらにフィラーを含む、請求項6記載の方法。
- ラテックスが、ブチルアクリレート/メチルメタアクリレート、ブチルアクリレート/スチレン、スチレン/ブタジエン、および酢酸ビニルラテックスからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
- 紙基体が厚紙、板紙、波形板紙、クラフト紙、およびリームラップから選択される、請求項6記載の方法。
- 請求項1記載のポリマーで被覆された紙基体。
- 請求項6記載の混合物で被覆された紙基体。
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