【発明の詳細な説明】
改良された剥離性を有する処理された支持体
本発明は、剥離塗料でコーティングされることにより処理された支持体、例え
ば紙、及びそのようなコーティングされた支持体の製造方法に関する。
シリコーン又はワックスのような剥離剤によりコーティングされた紙は産業上
非常に重要である。このような剥離紙は、コーテッドファブリック産業における
流延又はトランスファー塗布での使用にとって重要である。例えば、Kirk-Othme
r,Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Ed.,Vol.1,pp 1-9を参照さ
れたい。
良好な剥離性を有する紙を製造するのに一般に使用されている方法は、特定の
クロム錯体の使用を通じて行われるものである。例えば、Donatas Satasによる
“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,”2nd Ed.,pp 595-
596,Van Nostrand Reinhold,New Yorkを参照されたい。例えば、米国特許第2,
273,040号(Iler)は、種々の支持体を、疎水性、親油性、及び柔軟性にするの
に有用なQuilon(商標)ウェルナー(Werner)型クロム錯体を開示している。
米国特許第3,484,271号(KalisKi等)は、多官能性アニオン成分が塗布され、
次いで多官能性カチオン成分(Quilon(商標)クロム錯体)で処理される、調理
された食品及びプラスチック素材に対して不粘着性の表面にする2段法が開示さ
れている。
良好な剥離性を有する紙を製造するためにポリマーも使用されてきた。このよ
うなポリマーには、ポリシロキサン、フルオロポリマー、フルオロシリコーン、
及び長鎖アルキルアクリレートポリマー
が含まれる。例えば、“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology
,”2nd Ed.,pp 585-626,Van Nostrand Reinhold,New Yorkを参照されたい。
特開昭63-075199号(Kanzakiペーパー)には、(a)5〜50%の親水性エチレン
性不飽和モノマー、例えば(メト)アクリル酸又はマレイン酸、(b)20〜95%の
炭素原子数4〜10の(メト)アクリレートモノマー、例えばブチル又はヘキシル
アクリレート、及び、(c)0〜40%の他の共重合性モノマー、例えば、ビニル
アセテート、スチレン又はアクリロニトリル、からなる-60〜20℃のTgを有する
紙用の水溶性コポリマー剥離剤が開示されている。この剥離紙は優れたねじ切り
特性(threading property)及び剥離性を有する。
また、紙は、改良された特性を付与するために、往々にしてバインダー又はサ
イズ剤塗料のような他の物質で処理される。
米国特許第3,949,014号(Maki等)は、ポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂
を1次バインダーとして使用するとともに、高分子量両性ポリマー化合物を2次
バインダーとして使用している。剥離性は記述されていない。
米国特許第4,226,749号(Veaute)には、クレー塗料配合物中にカチオン及び
アニオン成分混合物を含むサイジング用組成物が開示されている。
発明の説明
簡単に記述すると、本発明は、A)最初に、水溶性又は水分散性カチオンポリ
マーを含む水性プライマー塗料をセルロース系支持体に塗布すること;次いで、
B)ペンダントカルボキシル又はカルボキシレート官能性部分を含む水溶性又は
水分散性剥離ポリマー(release polymer)を含む水性剥離塗料を塗布すること、
ここで前記剥
離ポリマーは処理された前記支持体の表面に改良された剥離性を付与する;を含
む、処理されたセルロース系支持体、例えば、紙を製造するための方法を提供す
る。前記プライマー塗料及び剥離塗料のいずれか又は両方は、カチオンポリマー
又は剥離ポリマーに加えて水溶性又は水分散性の皮膜形成剤を更に含んでよい。
このような皮膜形成剤は、支持体の多孔度を減少させ、支持体の強度を増加させ
、そして支持体の耐水性を高める。本発明は、処理紙を製造するのに特に有用で
あるが、綿をベースとする布帛及びセルロースアセテートフィルムのような他の
セルロース系支持体にも有用である。
他の態様において、本発明は、本発明の方法により製造される処理された支持
体、例えば、紙を提供する。
特に、本発明は、標準的な「オンライン」抄紙機による処理方法及びコーティ
ング方法を使用し、低塗膜重量で単純な方法で低コストの処理紙を提供すること
ができる。本発明の処理されたシートは、それらの元の紙の外観を保ったまま、
その後の再パルプ工程時の不都合な影響を減少させる比較的低濃度の処理剤を使
用して抄紙機により容易に製造される。
本発明の処理紙シートは、耐久性のあるアクリル系及びラバーレジン系感圧接
着剤Quilon(商標)クロム錯体(イソプロパノール−水中に溶けたクロム−ステ
アレート錯体の溶液、DuPontから入手可能)により処理されたシートに対して剥
がして再配置することができる優れた剥離性を示すことができ、且つ、廃水の汚
染の原因となりうる有害金属であるクロムを含まないために環境上優れている。
本発明のプライマー塗料に有用なカチオンポリマーには、公知のカチオン紙用
添加剤、例えば、カチオン定着助剤(cationic retention aids)、クレープ剤(c
repe agent)、及び湿潤紙力増強用樹脂が含まれる。このようなカチオンポリマ
ーは、ポリアクリルアミ
ド、アミノポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂、高分子アミン−エピクロロヒ
ドリン樹脂、高分子アミンなどが含まれる。例えば、エピクロロヒドリン改質ポ
リアミドアミン、ポリエチレンイミン、エピクロロヒドリン改質ポリエチレンイ
ミン、及びポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)であることができ
る。例えば、“Encyclopedia of Chemical Technology,”Kirk-Othmer,3rd Ed
.,Vol.16,pp 803-818、並びにVol.20,pp 207及びpp 214-216,John Wiley
& Sonsを参照されたい。
本発明の剥離塗料に有用な適切な剥離ポリマーは、ペンダントのカルボキシレ
ート又はカルボン酸基を含む。このカルボキシレート又はカルボン酸基は、カル
ボン酸塩、例えば、カルボン酸ナトリウム塩、又は好ましくはカルボン酸アンモ
ニウム塩、最も好ましくは遊離酸である。このような基は、アクリル酸又はメタ
クリル酸のような酸官能性モノマーを含む混合物を重合させることにより剥離ポ
リマーに含めることができる。
本発明の剥離塗料に有用な適切な剥離ポリマーは、疎水性基、例えば長鎖アル
キル、オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル基、フルオロアルキレン基、
例えば、ポリ(ペルフルオロアルキレンオキシ)、又はフルオロアルキルポリシ
ロキサンのようなこれらの組合せを含む。このような基は、このような基を含む
モノマーを含んでなる混合物を重合させることにより剥離ポリマー中に含めるこ
とができる。このようなポリマー及びモノマーには公知である多くのものが含ま
れる。例えば、米国特許第5,154,962号(Mertens等)及び米国特許第5,032,460
号(Kantner等)のポリシロキサン含有モノマーの記載、米国特許第3,022,988号
(Luedke等)の長鎖アルキル含有モノマーの記載、並びに米国特許第3,318,852
号(Dixon等)、同第4,830,910号(Larson等)、同第4,873,140号(McIn
ty)、同第3,944,527号及び同第3,574,791号のフルオロアルキル含有モノマー
の記載を参照されたい。
剥離ポリマーは、その剥離性に実質的に寄与しないが、皮膜形成性のような他
の特性に寄与する他の共重合性モノマー、例えば、スチレン又はメチルアクリレ
ートを任意に含んでもよい。
適切な剥離ポリマーには、カルボン酸を含有する公知の剥離ポリマーであって
、例えば、米国特許第5,032,460号(Kantner等)、同第5,057,619号(Kumar等)
、同第5,089,336号(Kumar等)、同第5,200,436号(Kumar等)、同第5,202,190
号(Kantner等)、同第5,229,179号(Kumar等)、同第5,232,997号(Itoh等)、
同第4,761,569号(Matsuo等)、同第3,011,988号(Luedke等)、及び同第3,318,
852号(Dixon等)に記載されているように調製できるものである。
水溶性皮膜形成剤は、疎水性に改質されたスターチ、SBRラテックス、ポリ
ビニルアセテートラテックス、ゼラチン、カゼイン、及びポリビニルアルコール
のような水溶性樹脂、並びにカルボキシメチルセルロースのような紙産業界にお
いて一般に使用されているもののいずれであってもよい。例えば、“The Sizing
of Paper,”第67〜73頁、D.R.Dill及びK.A.Pollart,TAPPI Press,Atlanta
(1971)を参照されたい。
本発明の方法は、潜在的に費用を削減し、そして単純さを増加させる。本発明
の処理された紙は、紙製造工程を変えることなく抄紙機により製造することがで
きる。換言すれば、サイズプレス又は塗布機、ドライヤー筒硬化サイクル(drye
r can cure cycles)、及び損紙処理設備のような従来の設備を使用する。本発
明の方法は、安定な浴用溶液(bath solution)を使用する。本発明の処理紙は
、一連のサイズプレス、計量サイズプレスにより、又はサイズプレス
に引き続くコーティングにより、オンマシン調製されるライナーを作製すること
によって製造することができる。ナイフ塗布、ロッド塗布、ロール塗布、エアナ
イフ塗布等のような慣用的な塗布方法を使用してよい。本発明の方法において、
本発明の2種の塗料は、標準的な「オンライン」抄紙機のサイズプレス又はオン
ライン塗布機を使用し、紙を感圧接着剤テープに有用な剥離ライナーに変える。
本発明の処理紙は、例えば、剥離ライナーとして有用である。本発明の処理紙
は、テープ又はラベルのような感圧接着剤含有製品として有用である。本発明の
処理紙は、本発明の塗料が、接着剤により被覆された面と反対側の紙面上存在し
、本発明の塗料が低接着性バックサイズとして機能するライナーなし製品(liner
less article)として有用である。
例
以下の無制限の例は、本発明を更に説明し、且つ、例示する。剥離紙試料の製
造及び評価のための方法を以下に示す。
以下の実施例及び比較例において、種々の剥離ポリマーを調製して剥離性を紙
に付与した。次いで、予めカチオンプライマー塗料を塗布してもしなくてもこれ
らのポリマーを紙に塗布した。カチオン高分子プライマー
以下の市販入手可能なカチオン高分子プライマーを評価した:
Kymene (商標)557LX :エピクロロヒドリンにより改質されたポリアミドアミ
ン(Herculesから入手可能);
Crepeplus (商標)75,97:低エピクロロヒドリン含有率で改質されたポリア
ミドアミン(Betz Paper Chemicals);
Crepetrol (商標)190 :低エピクロロヒドリン含有率で改質されたポリアミ
ドアミン(Herculesから入手可能);
PEI :ポリエチレンイミン、分子量50,000〜60,000、50重量%水
溶液(Aldrich Chemical Co.から入手可能);
PEL-E :エピクロロヒドリンにより改質されたポリエチレンイミン、ベースポ
リマーの分子量20,000、17重量%水溶液(Aldrich Chemical Co.から入手可能)
;
Polymin (商標)PR971L:高充填密度、高分子量ポリエチレンイミン(BASFか
ら入手可能);
Polymin (商標)SNA :改質された高分子量ポリエチレンイミン(BASFから入
手可能);
Agefloc (商標)WT-20VHV:ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド
)(CPS Chemicalから入手可能);剥離ポリマーの合成
以下モノマーを使用して剥離ポリマーを調製した:フルオロアルキルモノマー
MeFOSEA = C8F17SO2N(CH3)CH2CH2OC(O)CH=CH2
(3Mから入手可能)
MeFOSEMA = C8F17SO2N(CH3)CH2CH2OC(O)C(CH3)=CH2
(3Mから入手可能)
BuFOSEA = C8F17SO2N(C4H9)CH2CH2OC(O)CH=CH2
(3Mから入手可能)
Telomer-A = C8F17CH2CH2OC(O)CH=CH2(Zonyl(商標)BA(DuPo
ntから入手可能なフルオロアルキルアルコール)を
アクリロニトリルと反応させることにより調製)オルガノポリシロキサンモノマー
X-22-164B = メタクリル改質シリコーン
(Shin-Etsuから入手可能)
KF-2001 = メルカプト官能性シリコーン
(Shin-Etsuから入手可能)炭化水素モノマー
MA = CH3OC(O)CH=CH2
MMA = CH3OC(O)C(CH3)=CH2
BA = n-C4H9OC(O)CH=CH2
EHA = C4H9CH(C2H5)CH2OC(O)CH=CH2
LA = C12H25OC(O)CH=CH2
LMA = C12H25OC(O)C(CH3)=CH2
ODA = C18H37OC(O)CH=CH2
ODMA = C18H37OC(O)C(CH3)=CH2
N-MAN = HOCH2NHC(O)CH=CH2(48重量%水溶液)
ST = スチレン
GMA = グリシジルメタクリレーアニオンモノマー
AA = CH2=CHCOOH
MAA = CH2=C(CH3)COOH
BCEA = CH2=CHC(O)OCH2CH2COOH
ICA = CH2=C(COOH)2
AMPS = CH2=CHC(O)N(H)C(CH3)2SO3H(Polyscience,Inc.から入
手可能)
SSS = スチレンスルホン酸ナトリウム(DuPontから入手可能)
PHOS = CH2=CHC(O)OCH2CH2OP(O)(OH)2(Nippon Oil & Fatsから
入手可能)ポリマーP1
16オンス(500 ml)細口ガラス瓶に18.2gのMA、45.5gのMMA、9.1gのMAA、27.3
gのKF-2001、0.25gの2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(Vazo(商標)64開始剤
としてDuPontから入手可能)、及び150gのメチルエチルケトン(MEK)を装入した
。得られた透明溶
液を窒素で1リットル/分の流量で2分間パージし、その後、前記瓶をねじ蓋で
密閉し、次いで、55℃に設定されたLaunder-o-meter(商標)実験室用反応器内
で48時間タンブリングした。得られた透明の粘稠なポリマー溶液は固形分約40重
量%であった。
水性ポリマー分散液を得るために、攪拌機及び温度計を備えた1リットル反応
フラスコに、最初に360gの脱イオン水及び2.57gの濃NH4OHを加えた。攪拌しなが
ら、初めのうち乳白色であった分散液が均質になるまで、調製された上記ポリマ
ー溶液100gを徐々に加えた。得られた溶液を1/2時間攪拌し、次いで、Rotovapor
-R(商標)エバポレーター(Buchiから入手可能)を使用してMEKを蒸発させ、固
形分10重量%の水性ポリマー溶液を得た。ポリマーP2
以下の装入物:MA(130g)、MMA(52g)、MAA(13g)、KF-2001(65g)、Vazo
(商標)64開始剤(0.65g)、及びMEK(390g)を使用したことを除き、ポリマー
P1を調製するために使用した方法を繰返した。得られた僅かに黄色の粘稠溶液は
固形分39重量%であった。水性ポリマー分散液を得るために、1リットル反応フ
ラスコ内で528gの脱イオン水と4.64gの濃NH4OHを混合した。攪拌しながら、この
溶液に調製された上記ポリマー溶液340gを加えた。得られた乳白色の溶液を1/2
時間攪拌し、次いでMEKを蒸発させ、固形分22.3重量%のポリマー溶液を得た。ポリマーP3
以下の装入物:MA(61g)、MMA(46g)、KF-2001(18g)、Vazo(商標)64開
始剤(0.315g)、及びMEK(187.5g)を使用したことを除き、ポリマーP1を調製
するために使用した方法を繰返した。得られた乳白色の粘稠溶液に20gのイソプ
ロピルアルコール(IPA)を加え、この溶液の粘性を低下させた。得られたポリ
マー溶液
は、MEK-IPA中に35重量%の固形物が溶けていた。ポリマーP4
1クォート細口ガラス瓶に以下の成分:132.8gのODA(EtOAc中に溶けた固形分
61.6%として)、17.6gのMA、40.0gのMMA、20.8gのAA、0.48gのVazo(商標)64開
始剤、103.2gのエチルアセテート(EtOAc)、150.4gのt−ブチルアルコール、
及び136.8gのトルエンを加えた。この混合物を1リットル/分の流量で窒素で2
分間パージし、その後、前記瓶をねじ蓋で密閉し、次いで、55℃に設定されたLa
under-o-meter(商標)実験室用反応器内で60時間を要してタンブリングした。
得られたポリマー溶液は固形分約27重量%であった。水性分散液を得るために、
攪拌機及び温度計を備えた1リットル反応フラスコに、最初に535gの脱イオン水
及び8.4gの濃NH4OHを加えた。攪拌しながら、初めのうち乳白色であった分散液
が均質になるまで、調製された上記ポリマー溶液220gを徐々に加えた。得られた
溶液を1/2時間攪拌し、次いで、MEKを蒸発させ、固形分9.8重量%のポリマー溶
液を得た。ポリマーP5
以下の装入物:ODA(143.2g、EtOAc中に溶けた固形分61.6%として)、MA(16.
0g)、MMA(36.8g)、AA(19.2g)、Vazo(商標)64開始剤(0.48g)、EtOAc(9
9.2g)、t−ブチルアルコール(150.4g)、及びトルエン(136.8g)を使用した
ことを除き、ポリマーP4を調製するための方法を使用した。得られたポリマー溶
液は、固形分26.8重量%であった。
水性分散液を得るために、攪拌機及び温度計を備えた1リットル反応フラスコ
に、最初に535gの脱イオン水及び8.0gの濃NH4OHを加えた。攪拌しながら、初め
のうち乳白色であった溶液が均質になるまで、調製された上記ポリマー溶液220g
を徐々に加えた。得られた
溶液を1/2時間攪拌し、次いで、MEKを蒸発させ、固形分9.7重量%の剥離ポリマ
ー溶液を得た。ポリマーP6
以下の装入物:ODA(152.8g、EtOAc中に溶けた固形分61.6%として)、MA(14.
4g)、MMA(33.6g)、AA(17.6g)、Vazo(商標)64開始剤(0.48g)、EtOAc(9
6.0g)、t−ブチルアルコール(150.4g)、及びトルエン(136.8g)を使用した
ことを除き、ポリマーP4を調製するための方法を使用した。得られたポリマー溶
液は、固形分26.8重量%であった。
水性分散液を得るために、攪拌機及び温度計を備えた1リットル反応フラスコ
に、最初に535gの脱イオン水及び7.6gの濃NH4OHを加えた。攪拌しながら、初め
のうち乳白色であった溶液が均質になるまで、調製された上記ポリマー溶液220g
を徐々に加えた。得られた溶液を1/2時間攪拌し、次いで、MEKを蒸発させ、固形
分9.7重量%の剥離ポリマー溶液を得た。ポリマーP7
16オンス(500 ml)の細口ガラス瓶に、MeFOSEA(37.3g)、LA(18.7g)、AA
(8.0g)、KF-2001(16.0g)、Siponate(商標)DS-10乳化剤(2.4g、Rhone-Pou
lencから入手可能)、及びZonyl(商標)FSPフルオロ界面活性剤(1.2g、DuPont
から入手可能)を加え、次いで55℃で一緒に溶融させた。55℃に予熱された245g
の脱イオン水及び60gのアセトンを加えた後、超音波ホモジナイザーを使用して
内容物を均質化させ、エマルションとした。次いで、混合しなから過硫酸カリウ
ム(0.24g)を加え、減圧によりエマルションを脱気し、次いで、Launder-O-Met
er(商標)実験室用反応器を使用して、エマルションを窒素雰囲気下で65℃で16
時間加熱した。得られたラテックス固形物を濾過し、固形分27.2重量%の所望の
ポ
リマーの水性分散液を得た。ポリマーP8
16オンス(500 ml)の細口ガラス瓶に、MeFOSEA(40.0g)、LA(20.0g)、AA
(4.0g)、KF-2001(16.0g)、Siponate(商標)DS-10乳化剤(2.4g)、及びZon
yl(商標)FSPフルオロ界面活性剤(1.2g)を加え、次いで85℃で一緒に溶融さ
せた。85℃に予熱された240gの脱イオン水を加えた後、超音波ホモジナイザーを
使用して内容物を均質化させ、エマルションとした。次いで、混合しながら過硫
酸カリウム(0.24g)を加え、減圧によりエマルションを脱気し、次いで、Laund
er-O-Meter(商標)実験室用反応器を使用して、エマルションを窒素雰囲気下で
75℃で16時間加熱した。得られたラテックス固形物を濾過し、固形分24.9重量%
の所望のポリマーの水性分散液を得た。ポリマーP9
以下の装入物:MeFOSEA(34.4g)、LA(17.6g)、AA(12.0g)、及びKF-2001
(16.0g)を使用したことを除き、ポリマーP8を調製するのと同様な方法を使用
した。得られたラテックス固形物を濾過し、固形分23.6重量%の所望のポリマー
の水性分散液を得た。ポリマーP10
以下の装入物:MeFOSEA(32.0g)、LA(14.4g)、AA(17.6g)、及びKF-2001
(16.0g)を使用したことを除き、ポリマーP8を調製するのと同様な方法を使用
した。得られたラテックスを濾過し、固形分24.9重量%の所望のポリマーの水性
分散液を得た。ポリマーP11
40.0gのMeFOSEA、24.0gのLA及び16.0gのKF-2001のモノマー混合物を使用した
ことを除き、ポリマーP8を調製するのと同様な方法を使用してポリマーP11を調
製した。得られたラテックスを濾過
し、固形分23.4重量%の所望のポリマーの水性分散液を得た。ポリマーP12
8オンス(250 ml)の細口ガラス瓶に、MeFOSEA(24g)、LA(12g)、AA(4g
)、Siponate(商標)DS-10乳化剤(1.2g)、及びZonyl(商標)FSPフルオロ界
面活性剤(0.6g)を加え、次いで75℃で一緒に溶融させた。75℃に予熱された12
0gの脱イオン水を加えた後、超音波ホモジナイザーを使用して内容物を均質化さ
せ、エマルションとした。次いで、混合しながら過硫酸カリウム(0.12g)を加
え、減圧によりエマルションを脱気し、次いで、Launder-O-Meter(商標)実験
室用反応器を使用して、エマルションを窒素雰囲気下で75℃で16時間加熱した。
得られたラテックス固形物を濾過し、固形分23.7重量%の所望のポリマーの水性
分散液を得た。ポリマーP13
0.2gのn−ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として加えたことを除き、ポリ
マーP12のようにポリマーP13を調製した。ポリマーP14〜P36
表1に示されるように、使用したモノマー混合物が表1に示される様なもので
あったことを除き、剥離ポリマーP12におけるのと同様な方法を使用して剥離ポ
リマーP14〜P36を調製した。
塗料溶液の調製
個々の例に明記したようにカチオンプライマー溶液又は剥離ポリマー溶液を脱
イオン水と混合することによりプライマー塗料又は剥離塗料を調製した。
任意の皮膜形成剤が含まれる場合には、カチオンプライマー溶液又は剥離ポリ
マー溶液と混合する前に、脱イオン水を1.5リットルのステンレス鋼の蒸気加熱
溶液に装入し、次いでFilm-Kote(商標)54スターチ(National Starch and Che
mical Co.から入手可能な親水性ハイブリッドコーンスターチ)、Penford(商標
)Gum 240スターチ(penford Products Co.から入手可能)、Elvanol(商標)71
−30又はElvanol(商標)HVポリビニルアルコール(双方ともDuPontから入手可
能)のような皮膜形成性サイズ剤を3重量%加えた。皮膜形成剤と水の混合物を
93℃(200°F)で30分間加熱した。処理紙の製造
以下の実施例及び比較例において使用した紙は、プレサイジングされておらず
、且つ、高度に精製された秤量59g/m2(361b/3000ft2)の漂白された基材からな
る原質のシートであった。4.6m/分(15ft/分)で作動する単一のニップパッダ(
nip padder)からなる実験室用サイズプレスを使用し、1030torr(20psi)のニッ
プ圧力を使用して前記シートをカチオンプライマーで処理した。未乾燥のチカオ
ンプライマーで処理された紙をJohnke(商標)Drum Dryerを使用し、77℃(170
°F)に30秒間を要して2回加熱することにより乾燥させた。次いで、剥離ポリ
マー溶液を塗布し、そして、乾燥を77℃(170°F)の代わりに110℃C(230°F)
で行ったことを除き、カチオンプライマー溶液と同様に乾燥させた。% SOF(繊
維に基づく固形分(%))を、典型的には約50%である紙の湿式処理溶液
の含浸量、及び処理溶液又は浴中に含まれるポリマーの重量%に基づき計算した
。処理紙を評価するための試験方法
「剥離力」試験を使用して感圧接着テープに対する剥離性を測定した。この試
験において、幅1.9cm(0.75インチ)×長さ20cm(8インチ)の感圧接着テープ
のストリップを処理紙に手で乾式貼合せし、次いで幅5.1cm(2インチ)及び直
径1.98cm(0.75インチ)の2kgのゴムローラーの2回の通過でしっかり貼合せた
。次いで、IMASS(商標)SP-102B-3M90剥離試験機(Instrumentors Inc.)を使
用して229cm/分(90インチ/分)の剥離速度で紙から180°の角度でテープを剥
がすのに要する剥離力を測定した。剥離力は、1つの試料について、製造から1/
2時間後に測定し(“初期”)、そして、殆どの場合に、もう1つの試料につい
て、強制空気循環炉を使用して65℃(150°F)及び周囲湿度で2日間を要して老
化させ、次いで湿度50%で1/2時間を要して冷却させた後に測定した(“老化後
”)。使用したテープは3M Magic(商標)テープ#810、3M Magic(商標)テープ
#610、及びJohnson & Johnson Zonis(商標)テープである。実施例1〜15及び比較例C1〜C8
実施例1〜15及び比較例C1〜C3において、上記の方法を使用して処理紙を製造
及び試験した。シリコーンベースの剥離ポリマーP1〜P3を剥離塗膜として評価し
た。実施例1〜15は、5種の異なるカチオンプライマー及びシリコーンベースの
剥離ポリマーP1〜P3を使用した。各プライマーをFilm-Kote(商標)水溶液から1
.0% SOFでコーティングし、次いで各剥離ポリマーを脱イオン水から1.0% SOFで
コーティングした。比較例C4〜C8は、1.0% SOFでコーティングされるプライマー
を使用したが、剥離ポリマーを使用しなかった。比較
例C1〜C3は、脱イオン水から1.0% SOFでコーティングされる剥離ポリマーを使用
したが、カチオンプライマーを使用しなかった。全ての剥離力試験に3M Magic(
商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果を表2にまとめた。
シリコーンベースの剥離ポリマーP1〜P3は、カチオンプライマーが最初に塗布
された場合にかなり低い剥離力値を示すコーテッド紙を供したことを表2のデー
タは表している。ポリマーP3よりも高いシリコーン濃度を有するポリマーP1及び
P2は、低い剥離力値を与えた。プライマーが剥離ポリマーと共に使用されなかっ
た場合には、高い剥離力値が得られたか、又は紙支持体が試験時に引き裂けた。実施例16〜24及び比較例C9〜C11
実施例16〜24において、種々の量のKymene(商標)557LXカチオンプライマー
及びシリコーンベースの剥離ポリマーP1を使用して実施例1〜15におけるように
処理紙を製造及び試験した。前記プライマーをFilm-Kote(商標)54スターチ水
溶液から塗布し、そして剥離ポリマーP1を脱イオン水から塗布した。比較例C9〜
C11において、剥離ポリマーP1を脱イオン水から塗布したが、カチオンプライマ
ーは使用しなかった。全ての剥離力の測定に対して3M Magic(商標)テープ#810
を使用した。カチオンプライマーの% SOF、剥離ポリマーの% SOF、及び試験結果
を表3にまとめた。
比較例においてカチオンプライマーを使用しなかった場合に、剥離力の測定時
に引き裂けた紙はオーブン内での老化後のものであったことを表3は示している
。シリコーンベースの剥離ポリマー及びカチオンプライマーの双方を含む本発明
の組成物は、それぞれ下は0.5% SOFに至るまで低い剥離力値を与えた。実施例25〜30
実施例25〜30において、種々の皮膜形成剤を3重量%の濃度でKymene(商標)
557LXカチオンプライマー溶液に使用し、上記のように処理紙を製造及び試験し
た。使用した皮膜形成剤は、Elvanol(
商標)71-30、Penford(商標)Gum 240、及びFilm Kote(商標)54であった。シ
リコーンベースの剥離ポリマーP1及びP2を脱イオン水から塗布した。全ての場合
において、プライマー及び剥離ポリマーを、1% SOFで塗布した。全ての剥離力
測定に対して3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果を表4
にまとめた。
表4に示されるデータは、異なる皮膜形成剤を本発明に使用できることを示し
ている。実施例31〜33及び比較例C12〜C14
実施例31〜33において、それぞれ1.0% SOFで脱イオン水から塗布されるKymene
(商標)557LXカチオンプライマー及び長鎖炭化水素をベースとする剥離ポリマ
ーP4〜P6を使用し、上記のように処理紙を製造及び試験した。使用した紙は、紙
がポリビニルアルコールに
よりプレサイジングされ、そして機械圧延されたことを除き、「剥離紙の製造」
の節で述べたのと同様なものであった。比較例C12〜C14において、プライマーを
使用したことを除き、処理紙を実施例31〜33におけるように製造及び試験した。
組成及び試験結果を表5にまとめた。全ての剥離力測定に対して3M Magic(商標
)テープ#810を使用した。
表5のデータは、カチオンプライマーが長鎖炭化水素ベースの剥離ポリマーの
剥離力値を減少させたことを示しており、これらの値は、オーブン老化後に増加
した。実施例34〜37及び比較例C15〜C18
実施例34〜37において、Kymene(商標)557LXカチオンプライマー及びフルオ
ロケミカル改質シリコーンベースの剥離ポリマーP7を使用して処理紙を製造及び
試験した。プライマーについては1.0% SOFで、及び剥離ポリマーP7については1%
又は2%のいずれかでそれぞれFilm-Kote(商標)54スターチ水溶液から塗布した
。比較例C15
〜C18において、プライマーを使用しなかったことを除き、実施例34〜37におけ
るように処理紙を製造及び試験した。剥離力測定において3M Magic(商標)テー
プ#810及び#610を使用した。組成及び試験結果を表6にまとめた。
表6のデータは、フルオロケミカル改質シリコーンベースの剥離ポリマーP7が
カチオンプライマーと共に使用される場合には、低い剥離力値が各種のテープに
より初期及び老化後で達成されたことを示している。カチオンプライマーを使用
しなかった比較例は低い剥離力値を示したが、実施例のものよりも2〜3倍大き
な値を示した。実施例38〜41及び比較例C19〜C21
実施例38において、Kymene(商標)557LXカチオンプライマー、及び種々の量
の共重合したアクリル酸を含むフルオロケミカル改質シリコーンベースの剥離ポ
リマーP7〜P10を使用して処理紙を製造
及び試験した。プライマー及び剥離ポリマーの双方をFilm-Kote(商標)54スタ
ーチ水溶液から1.0 %SOFで塗布した。比較例C19において、アクリル酸を含まな
い、即ちアニオン部分を有しないフルオロケミカル改質シロキサンポリマーであ
るポリマー11を使用したことを除き、実施例38〜41に記載のように処理紙を製造
及び試験した。比較例C20において、剥離塗料としてQuilon(商標)Cクロム錯体
(DuPontから入手可能)を使用し、Elvanol(商標)71-30ポリビニルアルコール
水溶液から1% SOFで塗布し、プライマーを使用しなかったことを除き、実施例1
に記載のように処理紙を製造及び試験した。
比較例21において、米国特許第3,484,271号に記載のように、アニオン成分で
あるAerosol(商標)22界面活性剤(American Cyanamidから入手可能)をElvano
l(商標)71-30ポリビニルアルコール水溶液からプライマーとして1% SOFで使用
したことを除き、比較例C20に記載のように処理紙を製造及び試験した。全ての
剥離力測定において3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果
を表7にまとめた。
表7のデータは、非常に低い剥離力値を達成するためにはフルオロケミカル改
質シリコーンベースの剥離ポリマー中にカルボン酸部分の存在が必須であること
を示している。比較例C19は、共重合したアクリル酸を含まない剥離ポリマーP11
を使用し、そして本発明の実施例よりも高い剥離力を有する処理紙が製造された
。本発明のフルオロケミカル改質シリコーンベースの剥離ポリマーによって、ス
テアリン酸クロムウェルナー(Werner)錯体をベースとする紙処理剤を単独で又
はアニオンプライマーと共に使用した場合よりも低剥離力を有する処理紙が製造
された。実施例42〜47及び比較例C22
実施例42〜47において、Kymene(商標)557LXカチオンプライマー、及び剥離
ポリマーP12、フルオロアクリレートのターポリマー、長鎖炭化水素アクリレー
ト、及びアクリル酸を使用して実施例1におけるように処理紙を製造及び試験し
た。それぞれは、表示した% SOFでElvanool(商標)HVポリビニルアルコール水
溶液から塗布
した。比較例C22において、カチオンプライマーを含まないポリマーP12を使用し
て実施例42〜47に記載のように処理紙を製造及び試験した。全ての剥離力測定に
おいて3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果を表8にまと
めた。
表8のデータは、フルオロアクリレートターポリマーがカチオンプライマー層
と共に使用された場合に、オーブン老化の前後において低剥離力値が測定された
ことを示している。カチオンプライマーを使用しない場合には、剥離力値は約2
倍大きい値であった。実施例48〜51及び比較例C23
実施例48〜51において、種々のカチオンプライマー及びフルオロアルキル剥離
ポリマーP14を使用し、双方をElvanol(商標)HVポリビニルアルコール水溶液か
ら1.0% SOFで塗布して実施例1に記載のように処理紙を製造及び試験した。比較
例C23において、カチオンプライマーを使用しなかったことを除き、実施例48〜5
1に記載のように処理紙を製造及び試験した。全ての剥離力測定において3M M
agic(商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果を表9にまとめた。
表9のデータは、カチオンプライマーのそれぞれがポリマーP13と共に使用さ
れた場合に、剥離ポリマーがカチオンプライマーと共に使用されなかった場合よ
りも剥離力値を減少させることを示している。実施例52〜68
実施例52〜68において、剥離ポリマーP12及びポリマーP14〜30を使用して実施
例1におけるように処理紙を製造及び試験した。全ての場合において、カチオン
プライマー(Kymene(商標)557LX)及び剥離ポリマーは、それぞれElvanol(商
標)HVポリビニルアルコール水溶液から1.0% SOFで塗布した。全ての剥離力測定
において3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組成及び試験結果を表10にま
とめた。
表10は、多くの種類の疎水性モノマーにより低剥離力値が達成されることを示
している。例外的に、フルオロアルキルと長鎖炭化水素基の組合せがポリマー中
に使用される場合には、低剥離力値が達
成された。フルオロアルキルモノマーを使用せずにシリコーン及び/又は長鎖炭
化水素モノマーを使用して調製されたポリマーP26及びP29は、重合したフルオロ
アクリレートモノマーを含む殆どの剥離ポリマーよりも高い剥離力値を与えた。実施例69〜71及び比較例C24〜C28
実施例69〜71において、それぞれエチレン性不飽和モノカルボン酸官能性モノ
マーから誘導された共重合した単位を含むポリマーP12、P30及びP31を使用して
実施例1におけるように処理紙を製造及び試験した。比較例C24〜C27において、
エチレン性不飽和ジカルボン酸官能性モノマー、スルホン酸官能性モノマー、又
はホスホン酸官能性モノマーから誘導された共重合した単位を含むポリマーP32
〜P35を使用して実施例1におけるように処理紙を製造及び試験した。比較例C28
において、アニオン官能性モノマーから誘導された共重合した単位を含まないポ
リマーP36を使用して実施例1におけるように処理紙を製造及び試験した。全て
の場合において、カチオンプライマー(Kymene(商標)557LX)及び剥離ポリマ
ーをそれぞれElvanol(商標)HVポリビニルアルコール水溶液から1.0% SOFで塗
布した。全ての剥離力測定において3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組
成及び試験結果を表11にまとめた。
表11のデータは、官能性カルボン酸モノマーから誘導された剥離ポリマーは低
い剥離力値を与えることを示している。実施例72〜74及び比較例C29〜C30
実施例72〜74において、Kymene(商標)557LXカチオンプライマー及びフルオ
ロアルキル剥離ポリマーP14を使用し、それぞれElvanol(商標)HVポリビニルア
ルコール水溶液から1.0% SOFで塗布し、次いで77℃(170°F)、93℃(200°F)
、又は110℃(230°F)で硬化させ、実施例1におけるように処理紙を製造及び
試験した。
比較例C29〜C30において、実施例1におけるような本発明の単純な方法を使用
して処理紙を製造するために、慣用的な水性熱硬化性シリコーン剥離塗料を使用
した。これらの比較例において使用した下塗り塗料は、カチオンプライマーを含
まない3% Elvanol(商標)HVポリビニルアルコール水溶液であった。0.5gのPC-9
5(商標)
白金触媒エマルション(Rhone-Poulencから入手可能)を3%のElvanol(商標)HV
ポリビニルアルコール水溶液で50gに稀釈し、次いで5.0gのPC-188(商標)高ビ
ニル含有率シリコーンポリマーエマルション(Rhone-Poulencから入手可能)を
加え、次いで得られた混合物を3% Elvanol(商標)HVポリビニルアルコール水溶
液で稀釈することにより剥離塗料溶液を調製した。得られた混合物を1.0%又は2.
0% SOFで紙の上に塗布し、次いで塗布から20分以内に110℃(230°F)で硬化さ
せた。
全ての剥離力測定において3M Magic(商標)テープ#810を使用した。組成及び
試験結果を表12にまとめた。
表12のデータは、本発明の組成物が、比較的低温で硬化され、また1% SOFで塗
布されても良好に機能することを示している。従来のシリコーンベースの剥離紙
は、本発明の実施例と同様な低い剥離力を有するものとするためには高温での硬
化を必要とした。実施例75
パイロットプラントの規模の抄紙機サイズプレスを使用し、プレサイジングさ
れておらず、且つ、高度に精製された坪量59g/m2(361b/3000ft2)の漂白された
基材からなる原質に剥離塗料を2回塗布した。第1回目の塗布で、Kymene(商標
)557LXカチオンプライマーをPenford(商標)Gum 270スターチの3%水溶液から
塗布した。第2回目の塗布で、シリコーンベースの剥離ポリマーP2を脱イオン水
から塗布した。数百メートルの紙をコーティングし、次いで、各通過ごとに3つ
のドライヤー缶(dryer cans)上で135℃(275°F)で乾燥させた。第1及び第
2回目の通過後の紙の含浸量はそれぞれ30及び23%であった。プライマー及び剥
離ポリマーの実際の塗布量は、それぞれ0.53% SOF及び0.51% SOFであると決定さ
れた。表13は永久及びラバー樹脂系接着剤を使用した場合の剥離力値を示す。
表13のデータは、Kymene(商標)557LXカチオンプライマーとシリコーンベー
スの剥離ポリマーP2の2成分剥離システムが、永久アクリレート又はラバー樹脂
ベースの接着テープを使用して評価した場合に、低い剥離力値を示すことを表し
ている。実施例76〜80
実施例76〜80において、本発明のコーテッド紙と接触した後の接着テープの再
接着力を決定した。最初にKymene(商標)557LXカチオンプライマーを1.0% SOF
で3%Elvanol(商標)HV水溶液から塗
布することにより上記のように処理紙を製造した。次いで、剥離ポリマーP1、P7
、P10、P12又はP14を1.0又は2.0% SOFで3%Elvanol(商標)HV水溶液から塗布
し、本発明の処理紙を製造した。3M Magic(商標)テープ#810を処理紙に乾式貼
合せし、次いで65℃(150 °F)で2日間を要して上記のように老化させた。老
化後の剥離力試験の完了後、本発明の剥離ライナーから剥がされたテープを、2k
gのゴムローラーを1回通過させることにより清浄なガラス板に乾式貼合せた。
老化したテープをガラスから剥がすのに要した剥離力は、上記のIMASS(商標)
剥離試験機を使用して測定した。新しい3M Magic(商標)テープ#810を使用し、
このガラスに対する接着力の試験を繰返した。「再接着力」は、老化したテープ
から得た剥離力を新しいテープから得た剥離力で割った商に100を掛けることに
より計算した。老化後の剥離力試験に使用した剥離ポリマー、剥離ポリマーの%
SOF、及び再接着力を表14にまとめた。
表14のデータは、シリコーン含有剥離ポリマー、フルオロアクリレート又はフ
ルオロケミカル改質シリコーンを含む本発明の処理紙が、接着テープに対する優
れた剥離性を提供し、そして本発明の処理紙と対照的に、老化後においても接着
テープの接着力を著しく低
下させなかったことを示している。
本発明の範囲及び真意から逸脱することなく本発明の種々の改良及び変更が当
業者により明らかになるであろう。
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