JP4391114B2 - 酵素の大量生産法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素の大量生産法に係り、更に詳細には、フルクトース単位を転移触媒してオリゴ糖を合成する酵素(フラクトシルトランスフェラーゼ)を効率的に大量生産する方法、つまり、高活性に生産する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イヌリン、つまりフルクトースがβ−2,1結合を有し連結した多糖を、微生物酵素反応法により迅速かつ特異的に分解し、新たな化合物、特に生理機能の高い有用オリゴ糖を合成することは、とても重要な技術である。
【0003】
イヌリンから特徴のあるオリゴ糖をつくり出す微生物としては、アースロバクター属、クルイベロマイセス属、ストレプトマイセス属、エンテロバクター属、バチルス属、ミクロバクテリウム属などに属する微生物が例示される。
【0004】
合成されるオリゴ糖として、イヌロオリゴ糖やフルクトオリゴ糖(環状構造を有するものも含む)、ジフルクトースアンヒドライド(DFA)など、ユニークな物質が数多く見いだされており、食品および医薬品など、様々な産業分野で、今後、広く利用されることが予測され、今後の動向に注目すべきであろう。
【0005】
イヌリン由来のオリゴ糖としては、上記のようにDFAが例示されるが、その内、ジフルクトース・ジアンヒドリドIII(difructose dianhydride III:DFA III)は、フラクトース2分子が1,2’;2,3’で結合している難消化性二糖類であって(di−D−fructofuranose−1,2’;2,3’dianhydride)、水への溶解性が高く、蔗糖の90〜95%程度を示すが、その甘味度は蔗糖の52%程度である。
【0006】
DFA IIIは、最近の本発明者らの研究により、Ca等ミネラルの吸収促進作用を有することが明らかにされ(例えば、特許文献1参照)、今後、特に高齢者や乳幼児等にとって、医薬上、健康食品、特定保健用食品、その他飲食品上、有益な物質として期待されている。したがって、高純度のDFA III、特に取扱いのうえからもまた加工のし易さからも、結晶化したDFA IIIの製造、しかも研究試薬用のように小規模高コスト生産ではなく、大規模低コスト生産法の開発が待望されている。
【0007】
DFA IIIは、従来、イヌリン又はイヌリン含有物(例えば、キクイモ、ゴボウ、チコリ等の抽出液)にアースロバクター属等の細菌又はそれが生産する酵素フラクトシルトランスフェラーゼであるイヌリンフラクトトランスフェラーゼを作用させてDFA III含有液を製造した後、これを更に処理して高濃度DFA III液を得ている(例えば、特許文献2、3、4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−43438号公報
【0009】
【特許文献2】
特公昭56−26400号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平3−259090号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平1−285195号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、近年、DFA IIIその他イヌリン由来の各種オリゴ糖について有用な用途が開発されるに伴い、DFA III等オリゴ糖の需要が高まってきている。そして医薬用途に使用する場合はもちろんのこと飲食品用途に使用する場合においても、DFA III等オリゴ糖の大量生産が強く要望されるようになってきた。
【0013】
しかしながら、これまでの研究・技術では、先の様な有望な可能性を秘めるオリゴ糖が見い出せても、工業的に生産することは困難である。その原因は、オリゴ糖の生産を触媒する酵素が十分量確保できないことによる。つまり、大量に酵素を生産できないことに起因する。微生物を大量にかつ簡便に培養し、効率的にフラクトシルトランスフェラーゼを調製する手法がこれまでには確立されていなかったからである。
【0014】
このような技術の現状に鑑み、本発明は、これらのオリゴ糖の合成に関与する酵素を効率的に大量生産する方法を開発する目的でなされたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、フルクトース単位を転移触媒して、DFA IIIの様なオリゴ糖を合成する酵素を大量生産する方法を開発するためになされたものであり、このように本発明に係る酵素は、広義で「フラクトシルトランスフェラーゼ」である。フラクトシルトランスフェラーゼは、大きく2種類に大別される。(1)フルクトース単位(スクロースなどの2糖類を含む)を基質とし、これを加水・転移して、オリゴ糖を合成する酵素(場合として、多糖も合成する)。(2)イヌリンやレバンなどのフラクタンを基質とし、これを加水・転移して、オリゴ糖を合成する酵素である。例えば、イヌリンからのDFA III製造に使用したのは、フラクトシルトランスフェラーゼの中でも、学名がイヌリンフルクトトランスフェラーゼであり、(2)の種類に属する。本発明は、イヌリンフルクトトランスフェラーゼ(以後、単にIFTとする)をはじめとするフラクトシルトランスフェラーゼの効率的大量生産方法の新規提供を目的としてなされたものである。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明者らは、広範な検討の結果、オリゴ糖を合成する酵素(フラクトシルトランスフェラーゼ)が微生物を培養することによって生産されている点に鑑み、その培養条件に着目した。そして、培養条件について各方面から鋭意研究した結果、該酵素生産菌の培養時に酵素誘導物質を添加するという新規着想を得た。
【0017】
そして、この新規着想に基づき、誘導物質について広範にスクリーニングを行った結果、イヌリンの添加によって活性を低下させることなく、本酵素の生産量が飛躍的に増大することをはじめて見出しただけでなく、200リットル以上もの大容量タンクにおける大量培養でもこの点を確認した。本発明は、これらの有用な新知見に基づき更に研究を重ね、遂に完成に至ったものである。
以下、本発明について詳述する。
【0018】
本発明を実施するには、本酵素を生成する微生物(菌体外に本酵素を分泌するもの、及び/又は、菌体内に本酵素を蓄積するものを問わない)を培養して、培養物から本酵素を取得するに際して、イヌリンを添加した培地を用いて培養を行う必要がある。イヌリンの添加量は、0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%であって、例えば、イヌリンを約1%添加した培地を使用することができる。
【0019】
また、更に、培地には酵母エキスを微量栄養源として添加すると好適である。その際、酵母エキスを0.02〜2.0%、好ましくは0.1〜1.5%添加すればよく、例えば、酵母エキスを約0.5%添加した培地を使用することができる。
【0020】
本発明を実施するには、上記のようにイヌリンを添加した培地(好適には、更に酵母エキスを添加した培地)で本酵素生産菌を培養すればよい。その際、その他の培地組成及び培養条件等に格別の限定はなく、使用菌に応じて適宜行えばよいが、培養時の通気量については、0.5vvm以上、好ましくは1〜2vvmとするのがよい。
【0021】
上記した本発明に係る培養方法によれば、本酵素を大量に生産することができ、従来法では、酵素調製量が1〜多くても数十ユニット(酵素単位)/ml(培養液)であったのが、本法では、高活性(数百ユニット(酵素単位)/ml(培養液)以上)とすることがはじめて可能になったという著効が奏される。
【0022】
しかも、上記著効は、実験室や小規模生産レベルで奏されることはもちろんのこと、容量が50リットル以上、例えば100リットル以上の大型発酵タンクを用いる大型微生物培養装置を使用した場合にも奏されるという特徴を有し、200リットル容のジャーファーメンターの使用も確認されており、それ以上の大容量発酵タンク、例えば300〜500リットル容の発酵タンクの使用も可能である。
【0023】
このように本発明は、酵素の大量生産をはじめて可能にしたものであり、しかも酵素活性をいささかも低下させることがないものであって、そのポイントを例示すれば次のとおりである。
【0024】
(培養装置に関して)
(1)大型微生物培養装置を導入したこと。
フルクトシルトランスフェラーゼの調製は、実験室レベルでは成功されているので、容易に考えられる発展項目でもあるが、これらの誘導酵素は、培養装置を大型にすることで、活性値が実験室レベルより顕著に低下することが多くある。200リットル容以上タンクの導入で、事実活性値が上昇したことは、新たな重大発見である。
【0025】
(培養方法に関して)
(2)酵素の誘導物質であるイヌリンの最適添加量を、大型微生物培養装置に合わせ、決定したこと。
(3)酵素の生産量増加、および安定性上昇の要素として、酵母エキスを見出し、その最適添加量を大型微生物培養装置に合わせ、決定したこと。
(4)酵素の生産量増加の要素として、培養中の空気の通気量を見出し、その最適量を大型微生物培養装置に合わせ、決定したこと。
【0026】
上記したように、本発明では、フルクトシルトランスフェラーゼを高活性(数百ユニット(酵素単位)/ミリリットル(培養液)以上)に、つまり大量に生産することを目的に、新たな酵素生産技術を見い出したものである。この技術は、イヌリンから特徴のあるオリゴ糖をつくり出す微生物すべてに応用できる技術であって、この点も本発明の特徴のひとつである。
【0027】
これらの微生物としては、アースロバクター属、クルイベロマイセス属、ストレプトマイセス属、エンテロバクター属、バチルス属、ミクロバクテリウム属に属する微生物のほか、各種細菌、酵母、糸状菌、放線菌等が適宜使用可能である。
【0028】
本発明において使用できる微生物の非限定例を以下に示す:Arthrobacter ureafaciens、同(IFO 12140)、同(ATCC21124)、A.pascens(IFO 12139)、同T13−2、A.globiformis(IFO 12137)、同C11−1、A.nictinovorans GS−9、A.ilicis OKU 17B、Arthrobacter sp.、同H65−7、同AHU 1753(FERM BP−8296)、同MCI−2493;Kluyveromyces marxianus(ATCC 12424)、同CBS 6556、K.marxianus var. marxianus、同(IFO 1735);Streptomyces fumigatus、S.rochei、同E87、Streptomyces sp.、同MCI−2524;Pseudomonas fluorescens、同No.949;Bacillus circulans、同OKUMZ.31B、同MCI−2554、Bacillus sp.、同Snu−7;Aureobacterium sp.、同MCI−2494;Microbacterium sp.、同AL−210;Enterobacter sp.、同S45; Aspergillus fumigatus;Penicillium purpurogenum。
【0029】
本酵素を生産するに当っては、例えば上記したような本酵素生産菌を用い、既述した特定の培養条件のほかは常法にしたがって培養を行い、培養物中から酵素製造の常法にしたがって本酵素を抽出精製すればよい。例えば、得られた培養物を遠心分離して除菌し、得られた濾液に硫安(65%飽和)を加えて、塩析し、析出した沈殿物を遠心分離により取得し、少量の水に懸濁させた後、透析して粗酵素液を得ることができる。そして所望するのであれば、常法にしたがい、例えば粗製酵素をクロマトグラフィー処理等既知の精製方法を1種又は2種以上組み合わせて、精製酵素とすることができる。
【0030】
なお、本酵素生産菌が上記のように本酵素を菌体外へ分泌するタイプではなく、菌体内に蓄積するタイプの場合には、培養物から菌体を分離し、得られた菌体を超音波処理等常用される菌体破壊処理に対して菌体を破壊し、しかる後に上記したようにして酵素を分離、精製すればよい。
【0031】
しかも、本発明では、小規模に本酵素を生産できることはもちろんのこと、特に上記した培養条件によれば、200リットル以上、更には500リットル以上もの大容量発酵タンクを用いても、何らの弊害も生じることなく、酵素力価を低下させることなく、高活性の酵素を大量に生産できるという工業上特にすぐれた効果が奏される。
【0032】
本発明においては、酵素としては、分離精製した酵素のほか、粗精製酵素、微生物培養物、同処理物(培養上清、分離菌体、菌体破砕物等)も使用可能である。なお、DFA III結晶を食品用途に使用する場合には、酵素としてフラクトシルトランスフェラーゼ、特にIFTを使用するのが好適であって、上記微生物由来の酵素のほか、今回、特許生物寄託センターにFERM BP−8296として寄託されたArthrobacter sp.AHU 1753株は、IFT生産能にすぐれているので、本酵素生産菌として好適に使用可能である。
【0033】
このようにして大量生産した酵素は、酵素自体として試薬や研究用に利用されるほか、多数の応用が可能であって、そのひとつとして、本酵素をイヌリンに作用させることにより、各種のオリゴ糖を合成することができる。例えばフラクトースの重合度が10以上、好ましくは10〜60のイヌリンにフラクトシルトランスフェラーゼを作用させることによってDFA III含有液を製造することができるが、その際、イヌリンフラクトトランスフェラーゼ(デポリメライジング)(inulin fructotransferase(depolymerizing))として、アースロバクター・エスピー(Arthrobactersp・)AHU 1753株(FERM BP−8296)由来の精製酵素、粗製酵素、酵素含有物、菌体、菌培養物、同処理物の少くともひとつを使用することができる。
【0034】
このようにして、効率的に且つ低コストでDFA III含有液を製造することが可能となったので、例えばこれに粉末活性炭を例えば固形分に対し5%以下添加して清浄化した後、固液分離し、分離した液状部を濃縮した後、直ちに結晶化し、必要あれば、これらの操作をくり返したり、クロマトグラフィー処理を組み合わせたりして、更に精製して、臭いも除去されてきわめて高純度の結晶DFA IIIを得ることができる。
【0035】
以下、本発明の実施例及び応用例について述べる。
【0036】
【実施例1】
フラクトシルトランスフェラーゼの製造
(1) アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)AHU 1753株(FERM BP−8296)を下記の培養条件で培養し、酵素液を作成した。
【0037】
(2)培地1:1%グルコース、1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、pH7.0。500ml容の振とう坂口フラスコに、100mlを調製し、高圧蒸気殺歯をした。
培地2:1%イヌリン、0.2%硝酸ナトリウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.05%リン酸二水素カリウム、0.01g/L硫酸第二鉄、0.5%酵母エキス、pH7.0。200L容のジャーファーメンター(日立製作所製、モデルFF−02)に、100Lを調製し、高圧蒸気殺菌をした。
【0038】
(3)培養(酵素生産)
前培養:保存スラント培地より、Arthrobacter sp. AHU1753株の一白金耳量菌体を、無菌的に(培地1)に接種した。そして、27℃、24時間、振とう培養をした。振とう条件は、15センチ幅、120rpm。
本培養: 前培養で調製した培養液(フラスコ10本分、1L分)を、無菌的に(培地2)に接種した。そして、ジャーファーメンターを27℃で、17時間、運転した。通気量は、1vvm(150L/分)、攪拌数は、300rpm。
【0039】
(4)菌体回収、およびその他(3)で調製した培養液を、遠心分離器で菌体と上清とに分離し、上清をDFA III酵素液とした。酵素液をリン酸にて、pH5.5に調整後、マイナス20℃で保存した。
(結果)
この操作により、IFTを、
濃度: 300ユニット/ミリリットル(培養液)、(実験室レベルの3倍)
全量: 4.5×10の7乗、ユニット量、(工業生産に対応できる十分量)
時間: 17時間、(実験室レベルより短時間)
に製造できた。
【0040】
(培養条件)
・前培養:27℃、24時間、振とう培養
・本培養:前培養液を本培養液に接種(本培養液量に対して1%の前培養液量)し、27℃、24時間振とう培養する。
【0041】
(酵素液の調整)
本培養液を遠心分離(2000G、4℃、20分)し、上澄みを酵素液として使用する。
【0042】
【応用例1】
IFTによるDFA IIIの製造
上記によって製造したIFTを用い、イヌリンを原料として、製造フロー(図1)にしたがい、DFA IIIを結晶化した。
【0043】
(1)市販イヌリン製品(D社品:化学構造GFn、フラクトース重合範囲10〜60、平均重合度20〜25、ポリサッカライド含量100%、液体クロマトグラム 図3)を200kg使用し、これを80℃のお湯1000kgで溶解し、60℃まで冷却する。その溶液に上記酵素生産で得られたIFT 5000units/kgイヌリンを添加し、60℃で24時間攪拌しDFA IIIの含有液を生成させる。この反応完了液を80℃に上げ酵素を失活させる。この失活液に固形分当たり1%の割合で太閤活性炭S(二村化学工業製:平均粒径約35ミクロン、147ミクロン以下)を添加し60℃、10分間攪拌する。この完了液を珪藻土(昭和化学工業製ラジオライト700)濾過を行った。すなわちセラミック製の筒(日本ポール(株)製PR−12型セラミックチューブ)の内面に上記珪藻土をプレコートしておき、筒内に活性炭含有反応液を加圧通過させて、加圧濾過し、筒外から濾液を回収した。
【0044】
(2) この濾液を濃縮缶で濃縮(60〜70℃ 120mmHg以下)する。最終濃度R−Bx77まで濃縮した後、その母液を結晶化工程に移した。結晶は冷却結晶化法を行った。60℃の濃縮液を冷却缶外部に冷却外套及び攪拌機が設けられた缶で、23時間かけて15〜20℃に冷却する。結晶の析出した母液を分離機(3000rpm、1200G)で粗結晶とシラップに分離する。その粗結晶(DFA III純度97%)を再溶解し、得られた再溶解液(DFA III精製液)を、上記条件と同様に活性炭処理、珪藻土濾過を行い濃縮、結晶化・分離し、製品結晶(DFA III純度99%)を得る。得られた結晶を50℃で通風乾燥し、DFA III7.2kg(水分0.1%)が得られた。この結晶は、着色もなく臭いも認められなかった。
【0045】
(3) 上記(1)において、珪藻土濾過にかえてメンブランフィルター(MF)濾過を行った。
すなわち、酵素反応完了液(約R−Bx20)を失活させて、それに太閤活性炭Sを固形分当たり1%添加し、60℃、10分間攪拌する。それを、0.14μmのメンブランフィルター(月島機械株式会社製:セラミック膜 TSK−TAMIダリア)を使用し、濾過を行った。濃縮率は10倍とした。結果を図4に示す。その結果から明らかなように、透過液量の低下もみられず順調に濾過できることを確認した。透過液は透明であった。
【0046】
(4) 上記(1)、(2)において、DFA III含有液(酵素反応完了液:濃度R−Bx60、DFA III純度78.6%、その他24.1%(主に4糖類および5糖類))について、以下によってクロマト処理を行い、下記する画分を得た(表1)。このようにして、通液量0.600〜0.700L/L−R画分を回収して、DFA III画分(純度97.3%)を得た。このようにしてクロマト分画して得たDFA III画分は、DFA IIIリッチ画分として、清浄濾過した後に濃縮して製品結晶母液として使用できるほか、粗結晶再溶解液(DFA III精製液)としてあるいはそれに添加して使用できることも確認された。また、DFA III純度76.8%画分は、例えばDFA III非リッチ画分としてルートCに利用できることも確認された(図2)。
【0047】
(表1)
Figure 0004391114
【0048】
(クロマト処理条件)
クロマト用樹脂: Na型強酸性樹脂(オルガノ製CR−1310型)
カラム: 22×525mm、200ml
クロマト処理原液:DFA III酵素反応液を失活した後粉末活性炭で清浄濾過した液。
R−Bx 60、DFA III純度 78.6%、
供給量 2.5% L/L−R
通液条件:70℃、SV=0.6(2.0ml/min)
溶離液: 水
回収フラクション: 5ml/フラクション
【0049】
【発明の効果】
微生物を用いる酵素の生産において、そのスケールアップは簡単ではなく、単にスケールアップしても活性値が大幅に低下することもしばしばである。誘導酵素の場合も同様であって、培養装置を大型化すると、活性値が実験室レベルよりも顕著に低下することがある。
【0050】
本発明は、この点を解決して大型化に成功したものである。つまり、200リットル容以上の大型タンクの導入にもかかわらず、事実活性値が実験室レベルと同等ではなく、それよりも大幅に上昇したことは、きわめて重大にして有用な新知見である。しかも、そのために導入した培養条件は、イヌリンの添加、酵母エキスの添加、通気量の特定というシンプルなものである点も、本発明の顕著な効果である。
【0051】
このように本発明は、シンプルな操作で高活性酵素の大量生産にはじめて成功したものである。したがって本発明の効果は、特に工業的な面から顕著である。このようにして本発明によりフラクトシルトランスフェラーゼを低コストで大量生産することがはじめて可能となったということは単なる酵素の大量生産にとどまらず、各種のイヌリン由来の高価なオリゴ糖(例えばDFA III)について、大量生産及び低コスト化を可能とするものである。
【0052】
このように、本発明に係る酵素を用いて製造したDFA III結晶は、単に純度が高いだけでなく、臭いがないというきわめて顕著な効果が奏されるので、医薬用途や飲食品用途に使用するのに特に適しており、例えばカルシウム吸収剤として自由に使用できる特徴も奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】DFA III結晶の製造フローの一例を示す。
【図2】クロマト処理による精製フローの例を示す。
【図3】各種イヌリン商品の液体クロマトグラムである。
【図4】MF(メンブランフィルター)濾過試験の結果を示す。

Claims (1)

  1. アースロバクター エスピー(Arthrobacter sp.)AHU 1753株(FERM BP−8296)を、容量が200リットル以上の大型発酵タンクを用いる大型微生物培養装置を使用して、イヌリン0.1〜10%及び酵母エキス0.02〜2.0%含有培地で、培養時の通気量を0.5vvm以上で培養すること、を特徴とするイヌリンフラクトトランスフェラーゼ(デポリメライジング)(inulin fructotransferase(depolymerizing))の活性を低下させることなく大量生産する方法。
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