JP4365512B2 - 下水処理システムおよび計測システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理システムおよびこの下水処理システムに用いられる計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の下水処理システムについて図9を用いて説明する。下水処理システム10は、最初沈殿池11と、生物反応槽12と、最終沈殿池13とを備え、最初沈殿池11内に流入する下水は、微細な浮遊物が沈殿除去される。生物反応槽12内では、下水が活性汚泥と混合して曝気装置15から散気装置16を介して送られる空気によって曝気され、活性汚泥にふくまれる微生物の代謝作用を利用して有機物を除去する。活性汚泥混合液は最終沈殿池13にて、活性汚泥を沈降分離することにより浄化される。
【0003】
下水の窒素除去のため、生物反応槽12は曝気を行う部分12aと行わない部分12bとに分けられ、曝気する部分12aでは下水中のアンモニア等の窒素化合物が酸化し硝酸となる。曝気を行う部分12aから行わない部分12bへと混合液を循環させるため循環ポンプ21が設けられ、曝気を行わない部分12bでは硝酸が窒素ガスへと還元される。
【0004】
下水のリン除去のため、生物反応槽12に凝集剤を凝集剤注入機22により注入し、生物反応槽12内のリン酸と凝集剤を化学反応させ凝集沈殿させる。凝集沈殿したリン化合物は最終沈殿池13から余剰汚泥ポンプ19により余剰汚泥の一部として水処理系外方へと排出され、処理水のリンが除去される。
【0005】
図9に示すように、下水処理場システム10は制御装置30を有している。下水の有機物、窒素、リンなどを除去するため、窒素酸化物を窒素ガスへ還元するように制御装置30は生物反応槽12の曝気を行っている部分12aと行っていない部分12bとの混合液を循環させる循環ポンプ21の循環ポンプ流量を求める。また制御装置30は生物反応槽12のリン酸と反応して凝集沈殿させる凝集剤の注入量と、有機物・窒素化合物を酸化させるための曝気風量とを各々求めるる。このため制御装置30は循環ポンプ流量演算部31と、凝集剤注入量演算部32と、曝気風量演算部33とを有している。これら循環ポンプ流量演算部31、凝集剤注入量演算部32および曝気風量演算部33は、流入負荷である下水の有機物量、窒素量、リン量が流入下水量と比例すると仮定し、オペレータが設定した比率・倍率に基づいて流量計35からの流入量に比例して循環ポンプ流量、凝集剤注入量、曝気風量を各々演算し、制御装置30はこの演算値に基づいて循環ポンプ21、凝集剤注入機22および曝気装置15を各々制御している。
【0006】
図9において、最終沈殿池13と生物反応槽12との間に、直送ポンプ18を有する直送ライン17が設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記下水処理システムにおいては、負荷変動を流入水量のみと仮定しており、水質変動に基づく負荷変動に対して適切に対応できず、窒素およびリンを効果的に除去することができない。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、下水処理システムにおける、処理水の窒素、リンをより効率的に除去することができる下水処理システムおよびこの下水処理システムに用いる計測システムを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、生物反応槽と、生物反応槽の後段に設けられた最終沈殿池と、生物反応槽内にリン酸と反応する凝集剤を注入する凝集剤注入機とを備え、生物反応槽の入口に流量計を設けるとともに、最終沈殿池にリン酸計を設け、流量計からの信号と設定された注入率とに基づいて凝集剤の注入量を求めるとともに、この注入量を、リン酸計の計測値と設定されたリン酸量の目標値との差により求められた補正係数を用いて補正し、補正された凝集剤注入量を求めて凝集剤注入機を制御する制御装置を設けたことを特徴とする下水処理システムである。
【0017】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0018】
図1に示すように、下水処理システム10は下水が流入する最初沈殿池11と、生物反応槽12と、最終沈殿池13とを備え、生物反応槽12内には散気装置16が設置されるとともに、散気装置16には曝気装置15が接続されている。
【0019】
生物反応槽12内にはアンモニア計45が設置され、また生物反応槽12の入口には流量計35が設けられている。
【0020】
また曝気装置15には、流量計35からの信号に基づいて曝気風量を求める曝気風量演算部41が接続され、曝気風量演算部41の曝気風量はアンモニア計45の計測値により補正係数を求める補正係数演算部42により補正される。
【0021】
図1において、曝気風量演算部41と補正係数演算部42とにより制御装置40が構成され、制御装置40で求められ補正された曝気風量に基づいて曝気装置15が制御される。
【0022】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0023】
最初沈殿池11内に流入する下水は、微細な浮遊物が沈殿除去される。生物反応槽12内では下水が活性汚泥と混合して、曝気装置15から散気装置16を介して取出される空気により曝気される。この間生物反応槽12内では活性汚泥に含まれる微生物の代謝作用により有機物が除去される。活性汚泥混合液は、最終沈殿池にて活性汚泥が沈降分離されて浄化される。
【0024】
この間、曝気装置15が制御装置40により制御される。すなわち制御装置40の曝気風量演算部41において、流量計35からの下水の流入量信号と、予め設定された風量倍率設定値とに基づいて曝気風量が求められ、この曝気風量は補正係数演算部42で求めた補正係数により補正される。
【0025】
制御装置40の作用について更に述べる。
【0026】
補正係数演算部42ではこのアンモニア計45の計数値SNH4と設定されたアンモニア量目標値SVNH4とをもとに曝気風量の補正係数mblowを算出し、この補正係数mblow を用いて流入量Qと設定された風量倍率Rblowとをもとに曝気風量演算部41で計算された曝気風量を補正する。
【0027】
具体的には、曝気風量演算部41において、ステップnにおける曝気風量の指示値
【数1】
として与える。
【0028】
ここで、tは時間、a,Kp,Ki、Kdは定数。添え字のn、n−a、n−1はステップ数を示し、自由に設定可能とする。
【0029】
図1において、下水処理システムに対する外乱要素のうち、下水の流入量の変動に対しては、設定された風量倍率によって曝気風量を増減することによってその負荷変動に対応する。下水の流入水質の変動に対しては、設定されたアンモニア量目標値をもとに補正係数を増減し、この補正係数を曝気風量に乗ずることによってその負荷変動に対応する。
【0030】
このように本実施の形態によれば、下水処理システムに対する主要な外乱要素である下水の流入量の変動に起因する負荷変動と、下水の流入水質の変動に起因する負荷変動とに同時に対応することができ、処理水の窒素をより効率的に除去できる。
【0031】
なお、補正係数mblowは上記の値に限ることなく、例えば補正係数mblowとして、
【数2】
または、
【数3】
を用いてもよい。
【0032】
第2の実施の形態
次に図2により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0033】
図2に示す第2の実施の形態は、アンモニア計45の代わりに硝酸計46を設置したものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0034】
図2において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
図2において、生物反応槽12に硝酸計46が設置され、この硝酸計46の計測値SNO3と設定された硝酸量目標値SVNO3とをもとに補正係数演算部42において曝気風量の補正係数mbiowが算出される。この補正係数mbiowを用いて曝気風量演算部41で流入量Qと、設定された風量倍率Rblowとをもとに計算された曝気風量を補正する。
【0036】
具体的には、曝気風量演算部41において、ステップnにおける曝気風量の指示値
【数4】
として与える。
【0037】
ここでtは時間、a,Kp,Ki、Kdは定数。添え字のn、n−a、n−1はステップ数を示し、自由に設定可能とする。
【0038】
図2において、下水処理システムに対する外乱要素のうち、下水の流入量の変動に対しては、設定された風量倍率によって曝気風量を増減することによってその負荷変動に対応する。下水の流入水質の変動に対しては、設定された硝酸量目標値をもとに補正係数を増減し、この補正係数を曝気風量に乗ずることによってその負荷変動に対応する。
【0039】
このように本実施の形態によれば、下水処理システムに対する主要な外乱要素である下水の流入量の変動に起因する負荷変動と、下水の流入水質の変動に起因する負荷変動とに同時に対応することができ、処理水の窒素をより効率的に除去できる。
【0040】
なお、補正係数mblowは上記の値に限ることなく、例えば補正係数mblowとして、
【数5】
または、
【数6】
を用いてもよい。
【0041】
第3の実施の形態
次に図3により本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0042】
図3に示す第3の実施の形態は、散気装置16および曝気装置15を設ける代わりに、生物反応槽12に凝集剤注入機22を接続し、生物反応槽12と最終沈殿池13にリン酸計47を設置したものである。
【0043】
凝集剤注入機22には、制御装置50が接続され、この制御装置50は流量計35からの信号に基づいて凝集剤注入量を求める凝集剤注入量演算部51と、リン酸計47の計測値に基づいて凝集剤注入量の補正を行うために補正係数を求める補正係数演算部52とを有している。
【0044】
図3において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図3において、下水のリン除去のため、生物反応槽12に凝集剤が凝集剤注入機22により注入され、生物反応槽12内のリン酸と凝集剤が化学反応をおこして凝集沈殿する。凝集沈殿したリン化合物は、最終沈殿池13から水処理系外方へと放出される。
【0046】
上述のように、生物反応槽12および最終沈殿池13にリン酸計47が設置され、このリン酸計の計測値SPO4と設定されたリン酸量目標値SVPO4とをもとに、制御装置50の補正係数演算部52において凝集剤注入量の補正係数mPACが算出される。この補正係数mPACを用いて流入量Qと設定された注入率RPACとをもとに凝集剤注入量演算部51で計算された凝集剤注入量が補正される。
【0047】
具体的には、凝集剤注入量演算部51において、ステップnにおける凝集剤注入量の指示値
【数7】
として与える。
【0048】
ここでtは時間、a,Kp,Ki、Kdは定数。添え字のn、n−a、n−1はステップ数を示し、自由に設定可能とする。
【0049】
図3において、下水処理システムに対する外乱要素のうち、下水の流入量の変動に対しては、設定された注入率によって凝集剤注入量を増減することによってその負荷変動に対応する。下水の流入水質の変動に対しては、設定されたリン酸量目標値をもとに補正係数を増減し、この補正係数を凝集剤注入量に乗ずることによってその負荷変動に対応する。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、下水処理システムに対する主要な外乱要素である下水の流入量の変動に起因する負荷変動と、下水の流入水質の変動に起因する負荷変動とに同時に対応することができ、処理水のリンをより効率的に除去できる。
【0051】
なお、補正係数mPACは上記の値に限ることなく、例えば補正係数mPACとして、
【数8】
または、
【数9】
を用いてもよい。
【0052】
第4の実施の形態
次に図4により本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0053】
図4に示す第4の実施の形態は、生物反応槽12を散気装置16が配置された一側(曝気を行う部分)12aと、散気装置16が配置されない他側(曝気を行わない部分)12bとに区画し、一側12aと他側12bとの間を循環ポンプ21で連結したものである。また生物反応槽12の一側12a内にアンモニア計45と硝酸計46が設置されている。
【0054】
循環ポンプ21には制御装置60が接続されている。この制御装置60は流量計35からの信号に基づいて循環ポンプ流量を求める循環ポンプ流量演算部61と、アンモニア計45および硝酸計46の計測値により生物反応槽12内の状態を判定する状態判定部63と、状態判定部63の判定結果に基づいて循環ポンプ流量演算部61の循環ポンプ流量を補正する補正係数を求めて補正係数演算部62とを有している。
【0055】
図4において、生物反応槽12の曝気を行う一側12aでは下水中のアンモニア等の窒化化合物が酸化して硝酸となり、曝気を行う一側12aから曝気を行わない他側12bへと循環ポンプ21により混合液が循環する。生物反応槽12の他側12bでは、硝酸が窒素ガスへと還元される。
【0056】
上述のように、生物反応槽12の一側12a内に、アンモニア計45および硝酸計46が設置され、このアンモニア計45と硝酸計46の計測値SNH4,SNO3と設定されたアンモニア量および硝酸量目標値SVNH4,SVNO3とをもとに状態判定部63において生物反応槽12内の状態が判定される。次に補正係数演算部62で生物反応槽12の曝気を行っている一側12aと、曝気を行っていない他側12bとの間で混合液を循環させる循環ポンプ21の流量の補正係数mRECを算出する。循環ポンプ流量演算部61では、流入量Qと設定された比率RRECとをもとに循環ポンプ流量を求めるとともに、この循環ポンプ流量を補正係数mRECにより補正する。
【0057】
具体的には、循環ポンプ流量演算部61において、ステップnにおける循環ポンプ流量の指示値
【数10】
として与える。
【0058】
ここでtは時間、
【数11】
は定数。添え字のn、n−a、n−1はステップ数を示し、自由に設定可能とする。
【0059】
図4において、下水処理システムに対する外乱要素のうち、下水の流入量の変動に対しては、設定された比率によって循環ポンプ流量を増減することによってその負荷変動に対応する。下水の流入水質の変動に対しては、設定されたアンモニア量および硝酸量目標値をもとに補正係数を増減し、この補正係数を循環ポンプ流量に乗ずることによってその負荷変動に対応する。
【0060】
このように本実施の形態によれば、下水処理システムに対する主要な外乱要素である下水の流入量の変動に起因する負荷変動と、下水の流入水質の変動に起因する負荷変動とに同時に対応することができ、処理水の窒素をより効率的に除去できる。
【0061】
なお、補正係数mRECは上記の値に限ることなく、例えば補正係数mRECとして、
【数12】
または、
【数13】
を用いてもよい。
【0062】
第5の実施の形態
次に図5および図6により本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0063】
図5および図6に示す第5の実施の形態は、生物反応槽12にアンモニア計45を設置するとともに、アンモニア計45を設置した生物反応槽12において、アンモニア量の手分析を行い、アンモニア手分析計測手段45aによりアンモニア量手分析値を求めるものである。次にアンモニア計測補正部45bにおいて、過去3ヶ月分のアンモニア計計測値SNH4とアンモニア量手分析値ANH4とから、相関式ANH4=a*SNH4+b(a,bは定数)を作成し、この相関式を用いてアンモニア計計測値SNH4を補正する。このアンモニア計計測補正値と設定されたアンモニア量目標値とをもとに補正係数演算部42において曝気風量の補正係数を算出し、この補正係数を用いて曝気風量演算部41において、流入量と設定された風量倍率とをもとに計算された曝気風量を補正する。
【0064】
図5および図6において、アンモニア計45は第1計測手段となり、アンモニア手分析計測手段45aはアンモニア計45より信頼性が高くかつ計測点数が少ない第2計測手段となる。またアンモニア計45と、アンモニア手分析計測手段45aと、アンモニア計測補正部45bとにより計測システムが構成される。
【0065】
図5および図6において他の構成は、図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0066】
本実施の形態によれば、アンモニア量の計測において、簡便で計測点数の多いアンモニア計45による計測値を、計測結果の信頼性が高く計測点数が少ないアンモニア量手分析値との相関性を利用して補正することで、計測点数が多いアンモニア計計測値の絶対値の信頼性が向上する。
【0067】
またこの補正されたアンモニア計計測値をもって曝気風量の補正係数を算出することで、より精度の高い効率的な曝気風量の補正を行うことができる。
【0068】
第6の実施の形態
次に図7により本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0069】
図7に示す第6の実施の形態は、生物反応槽12に硝酸計46を設置するとともに、硝酸計46を設置した生物反応槽12において、硝酸量の手分析を行い、硝酸手分析計測手段46aにより硝酸量手分析値を求める。次に硝酸計測補正部46bにおいて、過去3ヶ月分の硝酸計計測値SNO3と硝酸量手分析値ANO3とから相関式ANO3=a*SNO3+b(a,bは定数)を作成し、この相関式を用いて硝酸計計測値SNO3を補正する。この硝酸計計測値と設定された硝酸量目標値とをもとに補正係数演算部42において、曝気風量の補正係数を算出し、この補正係数を用いて曝気風量演算部41において、流入量と設定された風量倍率とをもとに計算された曝気風量を補正する。
【0070】
図7において、硝酸計46は第1計測手段となり、硝酸手分析計測手段46aは硝酸計46より信頼性が高くかつ計測点数が少ない第2計測手段となる。また硝酸計46と、硝酸手分析計測手段46aと、硝酸補正部46bとにより計測システムが構成される。
【0071】
図7において、他の構成は図5および図6に示す実施の形態と略同一である。
【0072】
本実施の形態によれば、硝酸量の計測において、簡便で計測点数の多い硝酸計46による計測値を、計測結果の信頼性が高く計測点数が少ない硝酸量手分析値との相関性を利用して補正することで、計測点数が多い硝酸計計測値の絶対値の信頼性が向上する。
【0073】
またこの補正された硝酸計計測値をもって曝気風量の補正係数を算出することで、より精度の高い効率的な曝気風量の補正を行うことができる。
【0074】
第7の実施の形態
次に図8により本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0075】
図8に示す第7の実施の形態は、生物反応槽12および最終沈殿池13にリン酸計47を設置すると共に、リン酸計47を設置した生物反応槽12および最終沈殿池13において、リン酸量の手分析を行い、リン酸手分析計測手段47aによりリン酸量手分析値を求める。次にリン酸計測補正部47bにおいて、過去3ヶ月分のリン酸計計測値SPO4とリン酸量手分析値APO4とから相関式APO4=a*SPO4+b(a,bは定数)を作成し、この相関式を用いてリン酸計計測値SPO4を補正する。このリン酸計計測補正値と設定されたリン酸量目標値をもとに補正係数演算部52において凝集剤注入量の補正係数を算出し、この補正係数を用いて凝集剤注入演算部51において流入量と設定された注入率とをもとに計算された凝集剤注入量を補正する。
【0076】
図8において、リン酸計47は第1計測手段となり、リン酸手分析計測手段47aはリン酸計47より信頼性が高くかつ計測点数が少ない第2計測手段となる。またリン酸計47とリン酸手分析計測手段47aと、リン酸計測補正部47bとにより計測システムが構成される。
【0077】
図8において、他の構成は図3に示す実施の形態と略同一である。
【0078】
本実施の形態によれば、リン酸量の計測において、簡便で計測点数の多いリン酸計47による計測値を、計測結果の信頼性が高く計測点数が少ないリン酸量手分析値との相関性を利用して補正することで、計測点数が多いリン酸計計測値の絶対値の信頼性が向上する。
【0079】
また、この補正されたリン酸計計測値をもって凝集剤注入量の補正係数を算出することで、より精度の高い効率的な凝集剤注入量の補正を行うことができる。
【0080】
なお、図5および図6と、図7と、図8とに各々示すアンモニア計45、硝酸計46、リン酸計47の代わりに、それぞれの計測地点における水質シミュレータを用いてアンモニア量、硝酸量、リン酸量の計測予測値を求める計測予測手段を用いてもよい。
【0081】
この場合はアンモニア量、硝酸量、リン酸量の計測において、センサの設置が不要となり、シミュレータを用いてアンモニア量、硝酸量およびリン酸量の計測予測値を計測予測手段により求め、これらの計測予測値を計測結果の信頼性が高く計測点数が少ないアンモニア量手分析値、硝酸量手分析値およびリン酸量手分析値により補正する。このことにより計測点数が多いシミュレータを用いた計測予測値の絶対値の信頼性が向上する。
【0082】
また計測点数が多いシミュレータを用いた計測予測値の信頼性が向上するため、より精度の高い効率的な制御を行うことが可能となる。
【0083】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、下水の負荷変動要素として、流入量とアンモニア、硝酸およびリン酸等の水質を考慮した下水処理制御を行うことができ、下水の窒素、リンをより効率的に除去することが可能となる。また計測システムを簡便で計測点数の多い第1計測手段と、信頼性が高く計測点数が少ない第2計測手段と、計測補正部とから構成したので、簡便でかつ高精度に水質の計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における下水処理システムを示す概略図。
【図2】本発明の第2の実施の形態における下水処理システムを示す概略図。
【図3】本発明の第3の実施の形態における下水処理システムを示す概略図。
【図4】本発明の第4の実施の形態における下水処理システムを示す概略図。
【図5】本発明の第5の実施の形態における下水処理システムを示す概略図。
【図6】アンモニア計計測値の補正方法を示す図。
【図7】本発明の第6の実施の形態における下水処理システムの概略図。
【図8】本発明の第7の実施の形態における下水処理システムの概略図。
【図9】従来の下水処理システムを示す図。
【符号の説明】
10 下水処理システム
11 最初沈殿池
12 生物反応槽
13 最終沈殿池
15 曝気装置
16 散気装置
21 循環ポンプ
22 凝集剤注入機
40,50,60 制御装置
45 アンモニア計
46 硝酸計
47 リン酸計
Claims (1)
- 生物反応槽と、
生物反応槽の後段に設けられた最終沈殿池と、
生物反応槽内にリン酸と反応する凝集剤を注入する凝集剤注入機とを備え、
生物反応槽の入口に流量計を設けるとともに、最終沈殿池にリン酸計を設け、
流量計からの信号と設定された注入率とに基づいて凝集剤の注入量を求めるとともに、この注入量を、リン酸計の計測値と設定されたリン酸量の目標値との差により求められた補正係数を用いて補正し、補正された凝集剤の注入量を求めて凝集剤注入機を制御する制御装置を設けたことを特徴とする下水処理システム。
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