JP3999869B2 - 生物学的水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物学的水処理装置に薬剤を添加する薬剤添加装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水中に含まれるりんが湖沼や閉鎖性の強い湾内に流入し続けると、やがて濃度が過剰となり、アオコや赤潮などの有害な植物性プランクトンが発生する。これを富栄養化現象といい、近年、深刻な社会問題となっている。
「水処理工学(井出哲夫編著、技法堂)」にも記載されているように、都市下水、有機性排水を処理する一般的な方法として、活性汚泥法がある。活性汚泥法とは、浄化機能を持つ微生物群(活性汚泥)を生物反応槽にたくわえ、これと下水とを十分混合・接触させつつ曝気することにより、下水中の主たる汚濁成分である有機物を酸化分解する方法である。曝気処理されたあとの混合液は、沈殿池において上澄水と活性汚泥とに分離され、上澄水は系外へ放流、濃縮活性汚泥は再び生物反応槽へ返送される。
【0003】
活性汚泥法は、有機物を生物学的に酸化分解することを主たる目的とした処理法であり、そのままでは、りんを十分に除去することはできない。そこで、「高度処理施設設計マニュアル(案)(社団法人日本下水道協会、平成6年)」に記載されているように、化学反応やある種の微生物の機能を応用した活性汚泥変法が開発されている。
【0004】
例えば、嫌気好気活性汚泥法は、活性汚泥中のりん蓄積菌が、酸素や硝酸性窒素などの酸化性物質のない状態、いわゆる嫌気状態に置かれると、体内から液相中にりん酸性りんを吐出し、逆に酸素のある状態、いわゆる好気状態に置くと、液相中に放出した以上のりん酸性りんを体内に摂取することを利用した生物学的りん除去法である。すなわち、活性汚泥法における生物反応槽を嫌気槽と好気槽の2つで構成し、嫌気槽においてはりん蓄積菌からのりんの吐出を、好気槽においてはりんの過剰摂取を行わせることにより、下水中のりんを低減させるものである。
【0005】
一般的には、嫌気状態でのりん吐出量が多いほど好気状態での摂取量も多くなることが知られている。
嫌気好気活性汚泥法によるりん除去は生物学的現象を利用しているため、外的要因の影響を受けやすい。その代表的なものは降雨である。酸素や硝酸性窒素を含む雨水が流入し、必要な嫌気状態が保てなくなると、りん除去率が低下する。良好な水質を安定して保つためには、生物学的りん除去を補完する何らかの手段が必要である。
【0006】
生物学的りん除去の補完法として最も一般的なのは、凝集剤添加法である。凝集剤添加法は化学反応に基づくりん除去法であり、3価金属イオンが下水中のりん酸イオンと反応すると難水溶性の物質を生成することを利用している。すなわち、中性付近で沈殿生成が可能なアルミニウム塩や鉄(3)塩を凝集剤として生物反応槽に添加し、りんの沈殿物と生物フロックとが渾然一体となったフロックを沈殿池で沈殿分離することにより、下水中のりんを除去するものである。凝集剤添加法は、化学反応に基づいてりんを除去するので、効果が確実に得られるという利点がある。
【0007】
また、嫌気槽に酢酸を添加するという方法もある。これは、嫌気槽でのりん吐出に必要な脂肪酸系の有機物を補給することにより、生物学的りん除去を活性化しようというものである。
かかる生物学的りん除去の補完法においては、りん除去に必要な薬剤量を過不足なく投入する必要がある。従来、このような要求に応えるものとして次のような凝集剤添加装置があった。
図29は、特開昭63−242392号公報に記載された、活性汚泥法による生物水処理装置への凝集剤添加量を調整する装置を示す構成図である。
【0008】
まず、活性汚泥法による生物学的水処理装置の構成ならびに動作について説明する。
図29において、aは下水を流入させるための配管であり、生物反応槽51と接続されている。52は生物反応槽51に空気を供給するための曝気装置、53は微生物を含む混合液を沈殿処理するための沈殿池であり、配管bを介して生物反応槽51と接続されている。cは沈殿処理後の上澄水を放流するための配管であり、沈殿池53に接続されている。
54は余剰の微生物を系外へ排出するためのポンプであり、配管dを介して沈殿池53と接続されている。配管eはポンプ54に接続された配管である。
55は微生物を生物反応槽51に返送するためのポンプであり、配管dを介して沈殿池53と、また配管fを介して生物反応槽51と接続されている。
【0009】
下水は配管aを介して生物反応槽51に導入される。生物反応槽51では、曝気装置52より供給される空気と下水並びに活性汚泥とを混合・攪拌することにより、下水中の汚濁物を生物学的に酸化分解する。下水と活性汚泥との混合液は配管bを介して沈殿池53に送られる。
沈殿池53では、活性汚泥を沈降分離した後、配管cを介して上澄水を放流する。活性汚泥の一部はポンプ54、配管eを介して系外へ引き抜かれ、その他の余剰な汚泥はポンプ55、配管fを介して生物反応槽51へ返送される。
【0010】
次に、凝集剤添加装置の構成ならびに動作について説明する。
図29において、56は凝集剤貯蔵槽、57は注入ポンプであり、配管gを介して貯蔵槽56と接続されている。hは凝集剤を生物反応槽51へ導く配管であり、注入ポンプ57と接続されている。58はりん濃度計、59は凝集剤注入量制御装置であり、信号線58aを介してりん濃度計58と、信号線59aを介して注入ポンプ57と接続されている。
【0011】
ある時刻における沈殿池53内のりん濃度P0ならびに一定時間t1後のりん濃度P1は、それぞれりん濃度計58で計測され、信号線58aを介して凝集剤注入量制御装置59に伝えられる。凝集剤注入量制御装置59では、りん濃度の変化率A=(P1−P0)/t1を用いてさらに一定時間t2後のりん濃度Pcを、例えば、Pc=P1+A×t2と推定する。この算出値Pcと処理りん濃度の目標値Sとの差Pc−Sに適合した凝集剤量を演算する。上記凝集剤量は信号線59aを介して凝集剤注入ポンプ57に伝えられ、ポンプ57は所定量の凝集剤を配管hを介して生物反応槽51に注入する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の凝集剤添加装置は以上のように構成されているので、処理水中のりん濃度をもとに凝集剤添加量を決めていた。しかし、家庭排水を主とする一般下水は、流量が著しく変動する。処理水量を一定とみなして、りん濃度の値だけを用いて凝集剤添加量を決定するのでは、実際の水量が多いときは凝集剤量が不足し、逆に水量が少ないときは凝集剤量が過剰になるという問題点があった。
【0013】
また、従来の凝集剤添加装置においては、処理水中のりん濃度を一定に保つことを目的としていた。しかし、降雨などの影響により流量が著しく増大した場合は、処理水のりん濃度を通常流量時の値に保ったとしても、河川などに流出するりんの絶対量が増大するので、環境へのダメージを防止できないという問題点があった。
【0014】
また、凝集剤添加装置を嫌気好気活性汚泥法などの生物学的りん除去装置に適用する場合、生物学的りん除去の状況をいち早く検知し、それに応じて凝集剤添加量を決定しなければならない。従来の凝集剤添加装置では、処理水のりん濃度をもとに凝集剤添加量を決定するので、対応が遅れるという問題点があった。
さらに、酢酸添加に関しては、未だ実際の下水処理施設に適用された例はほとんどなく、当然ながら添加量の制御などは全く行われていなかった。
【0015】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、生物学的水処理装置への凝集剤添加量もしくは酢酸添加量を適切に制御することにより、下水中のりん成分を常に良好に除去し、良好な水質を確保することのできる、生物学的水処理装置への薬剤添加値を得ることを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る生物学的水処理装置は、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有するものであって、流入下水中のりん濃度及び生物反応槽内のりん濃度に基づいて薬剤添加位置に流入するりんの量を推定する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態を図について説明する。図1はこの発明の前提技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
図1において、aは下水を流入させるための配管であり、生物反応槽1と接続されており、この生物反応槽1は嫌気好気活性汚泥法においては後述する嫌気槽2と好気槽3から構成されているが、本実施形態においては他の生物反応槽においても適用可能である。4は生物反応槽1に空気を供給するための曝気装置、5は微生物を含む混合液を沈殿処理するための沈殿池であり、配管bを介して好気槽3と接続されている。cは沈殿処理後の上澄水を放流するための配管であり、沈殿池5に接続されている。
6は余剰の微生物を系外へ排出するためのポンプであり、配管dを介して沈殿池5と接続されている。配管eはポンプ6に接続された配管である。
7は微生物を生物反応槽1に返送するためのポンプであり、配管dを介して沈殿池5と、また配管fを介して生物反応槽1と接続されている。
【0018】
下水は配管aを介して生物反応槽1に導入される。生物反応槽1では、曝気装置4より供給される空気と下水並びに活性汚泥とを混合・攪拌することにより、下水中の汚濁物を生物学的に酸化分解する。下水と活性汚泥との混合液は配管bを介して沈殿池5に送られる。
沈殿池5では、活性汚泥を沈降分離した後、配管cを介して上澄水を放流する。活性汚泥の一部はポンプ6、配管eを介して系外へ引き抜かれ、その他の余剰な汚泥はポンプ7、配管fを介して嫌気槽2へ返送される。
8は薬剤である凝集剤の貯蔵槽、9は注入ポンプであり、配管gを介して貯蔵槽8と接続されている。hは薬剤である凝集剤を生物反応槽1へ導く配管であり、注入ポンプ9と接続されている。以下、生物反応槽1に注入する薬剤を凝集剤であるとして話を進める。
【0019】
図1においては、更に、凝集剤添加位置に流入するりんの量を、流入下水の流量とりん濃度から求めるように構成したものである。
10は配管aに取り付けられた流量計、11は流入下水中のりん濃度を計測するりん濃度計である。12は流量計10ならびにりん濃度計11の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を演算するための演算器であり、信号線10aを介して流量計10と、また信号線11aを介してりん濃度計11と接続されている。
【0020】
13は生物学的水処理装置から流出するりんの量の目標値として、沈殿池5から配管cを介して単位時間あたりに流出するりんの量の目標値を設定するための設定器である。14は上記流入りん量と流出りん量の目標値との差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線12aを介して演算器12と、信号線13aを介して設定器13とに接続されている。調節器14は信号線14aを介して注入ポンプ9とも接続されている。
【0021】
なお、図1に示した構成においては、流量計10とりん濃度計11との位置関係について何ら限定するものではなく、りん濃度計11が上流側、流量計10が下流側に配置されていても全く問題ない。又、りん濃度計11を別の場所に設置し、配管aから採水するようにしてもよく、更に流量計10を配管cに設置することももちろん可能である。
【0022】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1に流入する下水の量は、流量計10で計測され、計測値は信号線10aを介して演算器12に送られる。下水中のりん濃度は、りん濃度計11で計測され、計測値は信号線11aを介して演算器12に送られる。
演算器12では、流量計10ならびにりん濃度計11の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(1.1)に従って演算する。
【0023】
Pin=Qin×CPin−Pbio (1.1)ここに、
Pin :単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量
Qin :流量計10の計測値
CPin :りん濃度計11の計測値
Pbio :生物学的に除去されるりんの量
演算器12の出力は、信号線12aを介して調節器14に伝えられる。また、設定器13に設定された単位時間あたりの流出りん量の目標値は、信号線13aを介して調節器14に伝えられる。
【0024】
調節器14では、上記流入りん量と流出りん量の目標値との差に応じて、単位時間あたりの凝集剤添加量を例えば式(1.2)に従って出力する。
Qcg=Kcg1(Pin−Pout0) (1.2)ここに、
Qcg :単位時間あたりの凝集剤添加量
Kcg1 :定数
Pout0 :単位時間あたりの流出りん量の目標値
【0025】
調節器14の出力は、信号線14aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、凝集剤添加位置に流入するりんの量が増えたときはそれに応じて凝集剤添加量が増える。逆に、凝集剤添加位置に流入するりんの量が減ったときはそれに応じて凝集剤添加量が減る。すなわち、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤をいちはやく添加することができるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0026】
図2は、別の前提技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。図2においては、凝集剤添加位置に流入するりんの量を、流入下水の流量と反応槽内のりん濃度から求めるように構成したものである。
15は生物反応槽1内のりん濃度を計測するためのりん濃度計、12は流量計10ならびにりん濃度計15の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を演算するための演算器であり、信号線10aを介して流量計10と、また信号線15aを介してりん濃度計15と接続されている。
【0027】
なお、図2はりん濃度計15の位置について何ら限定するものではなく、りん濃度計15を別の場所に設置し、生物反応槽1から採水するようにしてもよい。また、流量計10についても、配管cに設置してもよい。
【0028】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1に流入する下水の量は、流量計10で計測され、計測値は信号線10aを介して演算器12に送られる。生物反応槽1中のりん濃度は、りん濃度計15で計測され、計測値は信号線15aを介して演算器12に送られる。
演算器12では、流量計10ならびにりん濃度計15の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(2.1)に従って演算する。
Pin=Qin×CPtnk (2.1)ここに、
CPtnk :りん濃度計15の計測値
以下、図1に示した構成の場合と同様に動作する。
【0029】
これにより、凝集剤添加位置に流入するりんの量が増えたときはそれに応じて凝集剤添加量が増える。逆に、凝集剤添加位置に流入するりんの量が減ったときはそれに応じて凝集剤添加量が減る。すなわち、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤をいちはやく添加することができるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0030】
図3は、この発明の実施の形態1に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。本実施形態においては、凝集剤添加位置に流入するりんの量を、流入下水の流量、下水中のりん濃度ならびに生物反応槽1内のりん濃度から求めるように構成したものである。
【0031】
11は流入下水中のりん濃度を計測するりん濃度計、15は生物反応槽1内のりん濃度を計測するためのりん濃度計である。12は流量計10ならびにりん濃度計11,15の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を演算するための演算器であり、信号線10aを介して流量計10と、信号線11aを介してりん濃度計11と、信号線15aを介してりん濃度計15と接続されている。その他は図1、2と同様である。
なお、図3においては、りん濃度計11,15、また流量計10の位置について何ら限定するものではないことは、図1、2の場合と同様である。
【0032】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1に流入する下水の量は、流量計10で計測され、計測値は信号線10aを介して演算器12に送られる。下水中のりん濃度はりん濃度計11で、生物反応槽1中のりん濃度はりん濃度計15で計測され、それぞれの計測値は信号線11aならびに信号線15aを介して演算器12に送られる。
演算器12では、流量計10ならびにりん濃度計11,15の計測値から、まず凝集剤添加位置におけるりん濃度を、例えば式(3.1)に従って推定する。
【0033】
CPcg=CPtnk−xb(CPin−CPtnk)/xa (3.1)ここに、
xa:下水の流入位置からりん濃度計15の設置位置までの距離
xb:りん濃度計15の設置位置から凝集剤添加位置までの距離
このCPcgを用いて、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(3.2)に従って演算する。
Pin=Qin×CPcg (3.2) 以下、図1に示した構成の場合と同様に動作する。
【0034】
これにより、図1に示した構成の場合と同様の効果に加え、例えば生物反応槽1内にりん濃度の分布が存在するような場合でも、凝集剤添加位置に流入するりんの量を精度よく推定できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0035】
図3で示した構成では、流入下水中のりん濃度ならびに生物反応槽中のりん濃度から凝集剤添加位置におけるりん濃度を推定するように装置を構成したが、生物反応槽内に複数のりん濃度計を備え、この計測値を用いて凝集剤添加位置におけるりん濃度を推定するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0036】
参考技術
以下参考技術について説明する。図4は参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図3と同一符号は同一または相当部分を示している。図4においては、凝集剤添加位置を生物反応槽1のあとに設けられた混和池に構成したものである。
16は沈殿処理後の上澄水と凝集剤とを混和するための混和池であり、配管cを介して沈殿池5と接続されている。iは凝集剤を混和した混合液を沈殿処理工程へ送るための配管であり、混和池16と接続されている。
【0037】
沈殿池5から排出された上澄水は、配管cを介して混和池16に送られる。混和池16では上澄水と凝集剤とを混合・攪拌する。凝集剤を混和したあとの混合液は配管iを介して、次の沈殿処理工程へ送られる。
17は沈殿処理後の上澄水中のりん濃度を計測するりん濃度計、18は配管cに取り付けられた流量計である。12は流量計18ならびにりん濃度計17の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を演算するための演算器であり、信号線18aを介して流量計18と、また信号線17aを介してりん濃度計17と接続されている。その他は図1と同様である。
なお、図4に示した構成においては、りん濃度計17、流量計18の位置について何ら限定するものではないことは、上記実施形態と同様である。
【0038】
次に、動作について説明する。
混和池16に流入する下水の量は、流量計18で計測され、計測値は信号線18aを介して演算器12に送られる。上澄水中のりん濃度は、りん濃度計17で計測され、計測値は信号線17aを介して演算器12に送られる。
演算器12では、流量計18ならびにりん濃度計17の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(5.1)に従って演算する。
Pin=Qin×CPsd (5.1)
ここに、
CPsd :りん濃度計17の計測値
以下、実施の形態1の場合と同様に動作する。
【0039】
これにより、凝集剤添加位置に流入するりんの量が増えたときはそれに応じて凝集剤添加量が増える。逆に、凝集剤添加位置に流入するりんの量が減ったときはそれに応じて凝集剤添加量が減る。すなわち、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤をいちはやく添加することができるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
以上の説明で明らかなように、生物学的水処理装置に設置する凝集剤添加装置は、生物学的水処理装置の種類や凝集剤添加位置にかかわりなく適用することが可能である。
【0040】
図5は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図4と同一符号は同一または相当部分を示している。図5においては、りん濃度の分析に要する時間を考慮して、凝集剤添加位置に流入するりんの量を推定するように構成したものである。
19は流入下水の流量ならびにりん濃度のデータを蓄積するための記憶回路であり、信号線10aを介して流量計10と、信号線11aを介してりん濃度計11と、信号線19aを介して演算器12と接続されている。
なお、図5に示した構成においては、りん濃度計11、流量計10の位置について何ら限定するものでないことは、上記の場合と同様である。
【0041】
次に、動作について説明する。生物反応槽1に流入する下水の量は、流量計10で計測され、計測値は信号線10aを介して記憶回路19に送られる。下水中のりん濃度は、りん濃度計11で計測され、計測値は信号線11aを介して記憶回路19に送られる。
演算器12では、まず、記憶回路19に記憶されたデータを用いて凝集剤添加時の流入りん量Pinestを推定する。これは、最小二乗法などの統計的解析手法を用いて容易に行うことができる。この推定値Pinestを信号線12aを介して調節器14に伝える。
以下、実施の形態1の場合と同様に動作する。
【0042】
これにより、実施の形態1の場合と同様の効果に加え、りんの分析に時間を要する場合もこの間の変動を考慮して必要な凝集剤量を求めることができ、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0043】
図5に示した構成では、下水の流入流量ならびに下水中のりん濃度を記憶回路に蓄積するように装置を構成したが、段落[0026]〜[0035]で示した装置構成に同様の記憶回路を付加し、図5で示した構成と同様の効果を奏するようにすることもできる。
【0044】
上記においては、生物学的水処理装置から流出するりんの量の目標値を設定するように装置を構成したが、基準となる下水の流量ならびに目標とする処理水りん濃度を設定し、これらから流出りん量の目標値を求めるように装置を構成することも可能である。
【0045】
図6は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図5と同一符号は同一または相当部分を示している。図6においては、生物学的水処理装置から流出するりんの量を、流出水の流量とりん濃度から求めるように構成したものである。
20は配管cに取り付けられた流量計、21は配管cからの流出水中のりん濃度を計測するりん濃度計である。12は流量計20ならびにりん濃度計21の計測値から、単位時間あたりに生物学的水処理装置から流出するりんの量を演算するための演算器であり、信号線20aを介して流量計20と、また信号線21aを介してりん濃度計21と接続されている。
【0046】
13は生物学的水処理装置から流出するりんの量の目標値として、沈殿池5から配管cを介して単位時間あたりに流出するりんの量の目標値を設定するための設定器である。
14は上記流出りん量と流出りん量の目標値との差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線12aを介して演算器12と、信号線13aを介して設定器13と接続されている。調節器14は、信号線14aを介して注入ポンプ9とも接続されている。
【0047】
なお、図6においては、流量計20とりん濃度計21との位置関係について何ら限定するものではなく、りん濃度計21が下流側、流量計20が上流側に配置されても全く問題ない。また、りん濃度計21を別の場所に設置し、配管cから採水するようにしてもよく、更に流量計20を配管aに設置してもよい。
【0048】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1から流出する処理水の量は、流量計20で計測され、計測値は信号線20aを介して演算器12に送られる。処理水中のりん濃度は、りん濃度計21で計測され、計測値は信号線21aを介して演算器12に送られる。
演算器12では、流量計20ならびにりん濃度計21の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(9.1)に従って演算する。
Pout=Qout×CPout (9.1)
ここに、
Pout :単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量
Qout :流量計20の計測値
CPout :りん濃度計21の計測値
【0049】
演算器12の出力は、信号線12aを介して調節器14に伝えられる。また、設定器13に設定された単位時間あたりの流出りん量の目標値は、信号線13aを介して調節器14に伝えられる。
調節器14では、上記流出りん量と流出りん量の目標値との差に応じて、単位時間あたりの凝集剤添加量を例えば式(9.2)に従って出力する。
Qcg=Kcg9(Pout−Pout0) (9.2)
ここに、
Qcg :単位時間あたりの凝集剤添加量
Kcg9 :定数
Pout0 :単位時間あたりの流出りん量の目標値
調節器14の出力は、信号線14aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0050】
これにより、生物学的水処理装置から流出するりんの量が増えたときはそれに応じて凝集剤量が増える。逆に、生物学的水処理装置から流出するりんの量が減ったときはそれに応じて凝集剤添加量が減る。すなわち、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤を過不足無く添加することができるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0051】
図7は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図6と同一符号は同一または相当部分を示している。図7においては、凝集剤添加位置への流入りん量を用いてフィードフォワード項を計算すると共に、生物学的水処理装置からの流出りん量を用いてフィードバック項を計算して、凝集剤添加量を調節するように構成したものである。
20は配管cに取り付けられた流量計、21は配管cからの流出水中のりん濃度を計測するりん濃度計、11は流入下水中のりん濃度を計測するりん濃度計である。
【0052】
12は流量計20、りん濃度計11ならびに21の計測値から単位時間あたりに凝集剤添加位置へ流入するりんの量ならびに生物学的水処理装置から流出するりんの量を演算するための演算器であり、信号線20aを介して流量計20と、信号線11aを介してりん濃度計11と、信号線21aを介してりん濃度計21と接続されている。
【0053】
13は生物学的水処理装置から流出するりんの量の目標値として、沈殿池5から配管cを介して単位時間あたりに流出するりんの量の目標値を設定するための設定器、14は上記流入りん量と流出りん量の目標値との差ならびに上記流出りん量と流出りん量の目標値との差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線12aを介して演算器12と、信号線13aを介して設定器13と接続されている。又、調節器14は、信号線14aを介して注入ポンプ9とも接続されている。
【0054】
なお、図7に示した構成においては、流量計20、りん濃度計11、21の位置関係について何ら限定するものではなく、りん濃度計21が下流側、流量計20が上流側でも全く問題ない。又、りん濃度計11を別の場所に設置し、配管aから採水するようにしてもよく、同様にりん濃度計21を別の場所に設置し、配管cから採水するようにしてもよい。更に、流量計20は配管aに設置してもよい。
【0055】
次に動作について説明する。
生物反応槽1から流出する処理水の量は、流量計20で計測され、計測値は信号線20aを介して演算器12に送られる。流入下水中のりん濃度はりん濃度計11で計測され、計測値は信号線11aを介して演算器12に送られる。また、処理水中のりん濃度はりん濃度計21で計測され、計測値は信号線21aを介して演算器12に送られる。
【0056】
演算器12では、流量計20、りん濃度計11、21の計測値から、単位時間あたりに凝集剤添加位置に流入するりんの量を、例えば式(1.1)に従って、また、単位時間あたりに生物学的水処理装置から流出するりんの量を、例えば式(9.1)に従って演算する。
演算器12の出力は、信号線12aを介して調節器14に伝えられる。また、設定器13に設定された単位時間あたりの流出りん量の目標値は、信号線13aを介して調節器14に伝えられる。
【0057】
調節器14では、上記流入りん量と流出りん量の目標値との差、ならびに上記流出りん量と流出りん量の目標値との差に応じて、単位時間あたりの凝集剤添加量を例えば式(10.1)に従って出力する。
Qcg=Kcg101(Pin−Pout0)+Kcg102(Pout− Pout0) (10.1)
ここに、
Kcg101 :定数
Kcg102 :定数
【0058】
調節器14の出力は、信号線14aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤をいちはやく添加できるだけでなく、処理水のりん濃度に基づいて添加量を過不足無く調節することができるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0059】
図6、図7に示した構成では、凝集剤を生物反応槽1の末端に添加し、沈殿池5において沈殿処理する場合について説明したが、図4の場合と同様に、凝集剤添加位置を生物反応槽1のあとに設けられた混和池16に設けることもできる。この場合、流量計20ならびにりん濃度計21は、混和池16の配管iに取り付けられることになる。
このように、生物学的水処理装置における凝集剤添加装置は、生物学的水処理装置の種類や凝集剤添加位置にかかわりなく、適用することが可能である。
【0060】
また、図6、図7に示した構成においては、段落[0040]〜[0043]の場合と同様に、処理水の流量ならびにりん濃度を蓄積するための記憶回路を備え、これらのデータを用いて生物学的水処理装置から流出するりんの量を推定するように装置を構成することもできる。この場合、りんの分析に時間を要する場合もこの間の変動を考慮して必要な凝集剤量を求めることができるので、図6、図7で示した構成によって得られる効果に加え、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0061】
上記段落[0045]〜[0060]に示した構成では、生物学的水処理装置から流出するりんの量の目標値を設定するように装置を構成したが、基準となる処理水の流量ならびに目標とする処理水りん濃度を設定し、これらから上記流出りん量の目標値を求めるように装置を構成することもできる。
【0062】
図8は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図7と同一符号は同一または相当部分を示している。図8においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、嫌気槽2のりん濃度を計測するりん濃度計を備えたものである。
2は生物反応槽1のうちの嫌気槽、3は好気槽、22は嫌気槽2のりん濃度を計測するりん濃度計である。23は上記りん濃度計22の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線22aを介してりん濃度計22と、信号線23aを介して注入ポンプ9とも接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0063】
なお、図8に示した構成においては、りん濃度計22、流量計10の位置について何ら限定するものではなく、りん濃度計22を別の場所に設置し、嫌気槽2から採水するようにしてもよい。更に流量計10は配管cに取り付けてもよい。
【0064】
次に、動作について説明する。
嫌気槽2中のりん濃度は、りん濃度計22で計測され、計測値は信号線22aを介して調節器23に伝えられる。また生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記りん濃度の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
凝集剤注入率は、例えば式(14.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg14/Pana (14.1)
ここに、
Rcg :凝集剤注入率
Kcg14 :定数
Pana :嫌気槽2中のりん濃度
【0065】
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
Qcg=Rcg×Qin (14.2)
調節器23の出力、すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0066】
これにより、嫌気槽2中のりん濃度が低いとき、活性汚泥中のりん蓄積菌からのりん吐出量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低い、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆にりん濃度が高いとき、活性汚泥中のりん蓄積菌からのりん吐出が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0067】
図9は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図8と同一符号は同一または相当部分を示している。図9においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、嫌気槽2中のりん蓄積菌中のりん含有量を計測する計測器を備えたものである。
【0068】
24は嫌気槽2のりん蓄積菌中のりん含有量を計測する計測器、23は上記りん含有量の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線24aを介してりん含有量計測器24と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0069】
なお、図9に示した構成においては、りん含有量計測器24、流量計10の位置について何ら限定するものではなく、りん含有量計測器24を別の場所に設置し、嫌気槽2から採水するようにしてもよい。又、流量計10は配管cに取り付けてもよい。
【0070】
次に、動作について説明する。
嫌気槽2におけるりん蓄積菌中のりん含有量は、りん含有量計測器24で計測され、計測値は信号線24aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記りん含有量の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
【0071】
凝集剤注入率は、例えば式(15.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg15×Pacm (15.1)ここに、
Kcg15 :定数
Pacm :りん蓄積菌のりん含有量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力、すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0072】
これにより、嫌気槽2におけるりん蓄積菌のりん含有量が多いとき、りん蓄積菌からのりん吐出量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低いとみなして凝集剤添加量を増やす。逆にりん含有量が少ないとき、りん蓄積菌からのりん吐出が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常であるとみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0073】
図10は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図9と同一符号は同一または相当部分を示している。図10においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、嫌気槽2に酸化還元電位計を備えたものである。
【0074】
25は嫌気槽2に取り付けられた酸化還元電位計、23は上記酸化還元電位計25の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線25aを介して酸化還元電位計25と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0075】
なお、図10に示した構成本実施形態においては、酸化還元電位計25、流量計10の位置について何ら限定するものではなく、酸化還元電位計25を別の場所に設置し、嫌気槽2から採水するようにしてもよい。又、流量計10は配管cに取り付けてもよい。
【0076】
次に、動作について説明する。
嫌気槽2の酸化還元電位は、酸化還元電位計25で計測され、計測値は信号線25aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記酸化還元電位の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
【0077】
凝集剤注入率は、例えば式(16.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg16×Vana (16.1)
ここに、
Kcg16 :定数
Vana :酸化還元電位
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0078】
これにより、嫌気槽2における酸化還元電位が高いとき、りん蓄積菌からのりん吐出量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低い、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆に酸化還元電位が低いとき、りん蓄積菌からのりん吐出が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0079】
図11は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図10と同一符号は同一または相当部分を示している。図11においては、生物反応槽1のりん除去活性を、嫌気槽2中のりん濃度から流入下水中のりん濃度を差し引いた値で検知するように装置を構成したものである。
【0080】
11は流入下水中のりん濃度を計測するりん濃度計、22は嫌気槽2のりん濃度を計測するりん濃度計、23は上記りん濃度計11,22の計測値の差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線11aを介してりん濃度計11と、信号線22aを介してりん濃度計22と、信号線23aを介して注入ポンプ9とも接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図11に示した構成においては、りん濃度計11、22、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の実施形態の場合と同様である。
【0081】
次に、動作について説明する。
流入下水中のりん濃度は、りん濃度計11で計測され、計測値は信号線11aを介して調節器23に伝えられる。また、嫌気槽2中のりん濃度は、りん濃度計22で計測され、計測値は信号線22aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記りん濃度の計測値の差に応じて、まず凝集剤注入率を決定する。
【0082】
凝集剤注入率は、例えば式(17.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg17/(Pana−CPin) (17.1)
ここに、
Kcg17 :定数
Pana :嫌気槽2中のりん濃度
CPin :流入下水中のりん濃度
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0083】
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、図8に示した構成で得られる効果と同様の効果に加え、流入下水中のりん濃度が変動したときも実質的なりんの吐出量を正確に検知できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0084】
図12は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図11と同一符号は同一または相当部分を示している。図12においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、好気槽3のりん濃度を計測するりん濃度計を備えたものである。
【0085】
26は好気槽3のりん濃度を計測するりん濃度計、23は上記りん濃度計26の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線26aを介してりん濃度計26と、信号線23aを介して注入ポンプ9とも接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図12で示した構成においては、りん濃度計26、流量計10の位置について何ら限定するものでないことは、その他の構成と同様である。
【0086】
次に、動作について説明する。
好気槽3中のりん濃度は、りん濃度計26で計測され、計測値は信号線26aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1における流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記りん濃度の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
凝集剤注入率は、例えば式(18.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg18×Paer (18.1)
ここに、
Kcg18 :定数
Paer :好気槽3中のりん濃度
【0087】
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、好気槽3中のりん濃度が高いとき、りん蓄積菌へのりん摂取量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低い、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆にりん濃度が低いとき、りん蓄積菌へのりん摂取が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0088】
図13は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図12と同一符号は同一または相当部分を示している。図13においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、好気槽3のりん蓄積菌中のりん含有量を計測する計測器を備えたものである。
【0089】
27は好気槽3に取り付けられたりん蓄積菌中のりん含有量計測器、23は上記りん含有量の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線27aを介してりん含有量計測器27と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aをして調節器23と接続されている。
なお、図13に示した構成においては、りん含有量計測器27、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0090】
次に、動作について説明する。
好気槽3におけるりん蓄積菌中のりん含有量は、りん含有量計測器27で計測され、計測値は信号線27aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
【0091】
調節器23では、上記りん含有量の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
凝集剤注入率は、例えば式(19.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg19/Pacmaer (19.1)
ここに、
Kcg19 :定数
Pacmaer :りん蓄積菌のりん含有量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0092】
これにより、好気槽3におけるりん蓄積菌のりん含有量が少ないとき、りん蓄積菌へのりん摂取量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低い、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆にりん含有量が多いとき、りん蓄積菌へのりん摂取が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0093】
図14は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図13と同一符号は同一または相当部分を示している。図14においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、好気槽3に酸化還元電位計を備えたものである。
【0094】
28は好気槽3に取り付けられた酸化還元電位計であり、23は上記酸化還元電位の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線28aを介して酸化還元電位計28と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図14に示した構成においては、酸化還元電位計28、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の実施形態と同様である。
【0095】
次に、動作について説明する。
好気槽3の酸化還元電位は、酸化還元電位計28で計測され、計測値は信号線28aを介して調節器23に伝えられる。また生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記酸化還元電位の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
【0096】
凝集剤注入率は、例えば式(20.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg20/Vaer (20.1)
ここに、
Kcg20 :定数
Vaer :酸化還元電位
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0097】
これにより、好気槽3の酸化還元電位が低いとき、りん蓄積菌へのりん摂取量が少ない、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低い、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆に酸化還元電位が高いとき、りん蓄積菌へのりん摂取が順調に行われている、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理蔵置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0098】
図15は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図14と同一符号は同一または相当部分を示している。図15においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を、好気槽3中のりん濃度から流入下水中のりん濃度を差し引いた値で検知するように装置を構成したものである。
【0099】
11は流入下水のりん濃度を計測するりん濃度計、26は好気槽3に取り付けられたりん濃度計である。23は上記りん濃度計11,26の計測値の差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線11aを介してりん濃度計11と、信号線26aを介してりん濃度計26と、信号線23aを介して注入ポンプ9とも接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図15で示した構成においては、りん濃度計11、26、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0100】
次に、動作について説明する。
流入下水中のりん濃度は、りん濃度計11で計測され、計測値は信号線11aを介して調節器23に伝えられる。また、好気槽3中のりん濃度は、りん濃度計26で計測され、計測値は信号線26aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
【0101】
調節器23では、上記りん濃度の計測値の差に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(21.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg21/(Pin−Paer) (21.1)
ここに、
Kcg21 :定数
Paer :好気槽3中のりん濃度
Pin :流入下水中のりん濃度
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0102】
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、図12で示した構成により得られる効果と同様の効果に加え、流入下水中のりん濃度が変動したときも実質的なりんの摂取量を正確に検知できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0103】
図16は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図15と同一符号は同一または相当部分を示している。図16においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を、嫌気槽2中のりん濃度から好気槽3中のりん濃度を差し引いた値で検知するように装置を構成したものである。
【0104】
22は嫌気槽2に取り付けられたりん濃度計、26は好気槽3に取り付けられたりん濃度計である。23は上記りん濃度計22,26の計測値の差に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線22aを介してりん濃度計22と、信号線26aを介してりん濃度計26と、信号線23aを介して注入ポンプ9とも接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図16に示した構成においては、りん濃度計22、26、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0105】
次に、動作について説明する。
嫌気槽2中のりん濃度は、りん濃度計22で計測され、計測値は信号線22aを介して調節器23に伝えられる。また、好気槽3中のりん濃度は、りん濃度計26で計測され、計測値は信号線26aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記りん濃度の計測値の差に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(22.1)に従って出力する。
【0106】
Rcg=Kcg22/(Pana−Paer) (22.1)
ここに、
Kcg22:定数
Paer:好気槽3中のりん濃度
Pana:嫌気槽2中のりん濃度
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、図8、図12で示された構成によって得られる効果と同様の効果に加え、流入下水中のりん濃度が変動したときも、実質的なりんの摂取量を正確に検知できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0107】
上記図16で示した構成では、生物学的水処理装置の生物反応槽1におけるりん蓄積菌の活性を、嫌気槽2中のりん濃度から好気槽3中のりん濃度を差し引いた値で検知するように装置を構成したが、図9、図10、図13、図14で示した構成と同様に、りん蓄積菌中のりん含有量、酸化還元電位などの差で検知するように構成しても、同様の効果を奏する。
【0108】
図17は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図16と同一符号は同一または相当部分を示している。図17においては、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を検知する手段として、生物反応槽1に微生物濃度計を備えたものである。
【0109】
29は生物反応槽1に取り付けられた微生物濃度計、23は上記微生物濃度計29の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線29aを介して微生物濃度計29と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図17で示した構成においては、微生物濃度計29、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の実施形態と同様である。
【0110】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1の微生物濃度は、微生物濃度計29で計測され、計測値は信号線29aを介して調節器23に伝えられる。また生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記微生物濃度計29の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(24.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg24/Cbio (24.1)
ここに、
Kcg24 :定数
Cbio :生物反応槽1の微生物濃度
【0111】
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、生物反応槽1の微生物濃度が低いとき、活性汚泥微生物のりん除去活性が低いとみなして凝集剤添加量を増やす。逆に微生物濃度が高いとき、活性汚泥微生物のりん除去活性が正常であるとみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0112】
図17で示した構成では、生物反応槽1における微生物のりん除去活性を生物反応槽1内の微生物濃度により検知するように装置を構成したが、微生物濃度の代わりに、汚泥令、汚泥滞留時間といった指標を用いるように装置を構成しても同様の効果を奏する。
【0113】
汚泥令は次式により求められる。
T1 = V×Cbio/Qin×Cbioin
ここに
T1 :汚泥令
V :生物反応槽1の容積
Qin :生物反応槽1への流入流量
Cbioin:流入下水中の微生物濃度
【0114】
また、汚泥滞留時間は次式により求められる。
T2 = V×Cbio/(Qdrw×Cbiodrw+Qout×Cbioout)
ここに
T2 :汚泥滞留時間
Qdrw :余剰汚泥引き抜き量
Cbiodrw:余剰汚泥濃度
Qout :処理水量
Cbioout:処理水中の微生物濃度
いずれの指標も、値が大きいとき生物反応槽1内に保持される微生物量が多いことを示し、逆に値が小さいとき生物反応槽1内に保持される微生物量が少ないことを示すので、図17において示した構成で用いた微生物濃度と同様に運用することができる。
【0115】
図18は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図17と同一符号は同一または相当部分を示している。図18においては、りん除去活性に影響を与える被処理水の性状を検知する手段として、流入下水量を計測する流量計を備えたものである。
【0116】
10は配管aに取り付けられた流量計、23は上記流量計10の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線10aを介して流量計10と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。
なお、図18で示した構成においては、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0117】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記流量計の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
凝集剤注入率は、例えば式(26.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg26×Qin (26.1)
ここに、
Kcg26 :定数
Qin :流入下水量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0118】
調節器23の出力、すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、生物反応槽1への流入下水量が多いとき、溶存酸素を含んだ雨水が流入している、すなわち活性汚泥微生物のりん除去活性が低下する、とみなして凝集剤添加量を増やす。逆に、生物反応槽1への流入下水量が少ないとき、雨水の流入はなく、活性汚泥微生物のりん除去活性が正常である、とみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0119】
図19は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図18と同一符号は同一または相当部分を示している。図19においては、りん除去活性に影響を与える被処理水の性状を検知する手段として、流入下水中の溶存酸素濃度を計測する溶存酸素濃度計を備えたものである。
30は配管aに取り付けられた溶存酸素濃度計、10は同じく配管aに取り付けられた流量計である。
【0120】
23は上記流量計10の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線30aを介して溶存酸素濃度計30と、信号線10aを介して流量計10と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。
なお、図19で示した構成においては、溶存酸素濃度計30、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0121】
次に、動作について説明する。
流入下水中の溶存酸素濃度は溶存酸素濃度計30で計測され、信号線30aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記溶存酸素濃度計30の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
凝集剤注入率は、例えば式(27.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg27×CDOin (27.1)
ここに、
Kcg27 :定数
CDOin :流入下水中の溶存酸素濃度
【0122】
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、流入下水中の溶存酸素濃度が多いとき、嫌気槽2でのりん吐出が滞ってりん除去活性が低下すると見なし、凝集剤添加量を増やす。逆に、流入下水中の溶存酸素濃度が低いときは、りん除去活性が正常であるとみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0123】
図20は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図19と同一符号は同一または相当部分を示している。図20においては、りん除去活性に影響を与える被処理水の性状を検知する手段として、流入下水の酸化還元電位を計測する酸化還元電位計を備えたものである。
【0124】
31は配管aに取り付けられた酸化還元電位計、10は同じく配管aに取り付けられた流量計である。23は上記酸化還元電位計31ならびに上記流量計10の計測値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線31aを介して酸化還元電位計31と、信号線10aを介して流量計10と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。
なお、図20で示した構成においては、酸化還元電位計31、流量計10の位置について何ら限定するものでないことはその他の構成と同様である。
【0125】
次に、動作について説明する。
流入下水の酸化還元電位は酸化還元電位計31で計測され、信号線31aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記酸化還元電位計31の計測値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(28.1)に従って演算する。
【0126】
Rcg=Kcg28×Vin (28.1)
ここに、
Kcg28 :定数
Vin :流入下水の酸化還元電位
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力すなわち凝集剤添加量は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0127】
これにより、流入下水の酸化還元電位が高いとき、嫌気槽2でのりん吐出が滞ってりん除去活性が低下すると見なし、凝集剤添加量を増やす。逆に、流入下水中の酸化還元電位が低いときは、りん除去活性が正常であるとみなして凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的りん除去の状況に応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0128】
上記段落[0062]〜[0127]で示した構成においては、段落[0040]〜[0043]で示した構成と同様に、計測値を蓄積するための記憶回路を備え、これらのデータを用いてりん蓄積菌の活性を推定するように装置を構成することもできる。この場合、りんの分析などに時間を要する場合もこの間の変動を考慮して必要な凝集剤量を求めることができるので、段落[0062]〜[0127]で示した構成によって得られる効果に加え、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【0129】
図21は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図21において、図1〜図20と同一符号は同一または相当部分を示している。図21においては、生物学的水処理装置の曝気量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したものである。
【0130】
32は曝気装置4の曝気量を設定するための設定器であり、信号線32aを介して曝気装置4と接続されている。23は好気槽3への曝気量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線32bを介して曝気量の設定器32と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図21で示した構成においては、流量計10の位置について何ら限定するものでないことは、その他の構成と同様である。
【0131】
次に、動作について説明する。
曝気装置4の曝気量は設定器32に設定され、設定値は信号線32bを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記曝気量の設定値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。
【0132】
凝集剤注入率は、例えば式(30.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg30/Qair (30.1)
ここに、
Kcg30 :定数
Qair :曝気量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0133】
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、曝気量が少ないとき、生物学的に除去されるりんの量が少ないとみなして凝集剤添加量を増やす。逆に、曝気量が多いときは、生物学的に除去されるりんの量が多いとみなして、凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0134】
図21で示した構成では、生物学的水処理装置の曝気量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、流入下水量に対する曝気量の比率、すなわち送気倍率の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成しても同様の効果を奏する。この場合、送気倍率が大きくなる程、凝集剤添加量が増えることとなる。
【0135】
又図21で示した構成では、生物学的水処理装置の曝気量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、曝気量の実測値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成しても同様の効果を奏する。この場合、曝気装置もしくは曝気装置と散気装置を接続する配管に取り付けられた流量計から信号を取り出し、凝集剤添加量の演算に用いる。
【0136】
図22は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図21と同一符号は同一または相当部分を示している。図22においては、生物学的水処理装置の返送汚泥量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したものである。
【0137】
33は返送汚泥ポンプの流量を設定するための設定器であり、信号線33aを介して返送汚泥ポンプ7と接続されている。23は返送汚泥量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線33bを介して設定器33と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。また、10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
なお、図22で示された構成においては、流量計10の位置について何ら限定するものでないことは、その他の構成と同様である。
【0138】
次に、動作について説明する。
返送汚泥量は設定器33に設定される。設定値は信号線33bを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記返送汚泥量の設定値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(33.1)に従って演算する。
Rcg=Kcg33×Qret (33.1)
ここに、
Kcg33:定数
Qret :返送汚泥量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0139】
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、返送汚泥量が多いとき、好気槽3で生成した酸化性物質の返送により嫌気槽2でのりんの吐出量が少なくなる、すなわち生物学的に除去されるりんの量が少なくなるとみなして凝集剤添加量を増やす。逆に、返送汚泥量が少ないとき、生物学的に除去されるりんの量が多くなるとみなして、凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0140】
図22で示された構成では、生物学的水処理装置の返送汚泥量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、流入下水量に対する返送汚泥量の比率、すなわち返送率の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成しても同様の効果を奏する。
【0141】
又、図22で示した構成では、生物学的水処理装置の返送汚泥量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、返送汚泥量の実測値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成しても同様の効果を奏する。この場合、返送汚泥ポンプ7もしくは配管fに取り付けられた流量計から信号を取り出し、凝集剤添加量の演算に用いる。
【0142】
図23は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図22と同一符号は同一または相当部分を示している。図23においては、生物学的水処理装置の余剰汚泥引き抜き量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したものである。
【0143】
34は余剰汚泥引き抜き量を設定するための設定器であり、信号線34aを介して引き抜きポンプ6と接続されている。23は余剰汚泥引き抜き量に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線34bを介して設定器34と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0144】
次に、動作について説明する。
余剰汚泥引き抜き量は設定器34に設定される。設定値は信号線34bを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記余剰汚泥引き抜き量の設定値に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(36.1)に従って演算する。
【0145】
Rcg=Kcg36×Qdrw (36.1)
ここに、
Kcg36:定数
Qdrw :余剰汚泥引き抜き量
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0146】
これにより、余剰汚泥引き抜き量が多いとき、装置内に保持される生物量が少なく生物学的に除去されるりんの量も少ないとみなして、凝集剤添加量を増やす。逆に、余剰汚泥引き抜き量が少ないとき、装置内に保持される生物量が多く生物学的に除去されるりんの量も多いとみなして、凝集剤添加量を減らす。すなわち、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて凝集剤添加量を適切に調節できるので、流出するりんの量を確実に低減できるという効果を奏する。
【0147】
図23で示した構成では、生物学的水処理装置の余剰汚泥引き抜き量の設定値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、余剰汚泥引き抜き量の実測値に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成しても同様の効果を奏する。この場合、余剰汚泥引き抜きポンプ6もしくは配管eに取り付けられた流量計から信号を取り出し、凝集剤添加量の演算に用いる。
【0148】
図24は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図23と同一符号は同一または相当部分を示している。図24においては、生物学的水処理装置の曝気量、返送汚泥量ならびに余剰汚泥引き抜き量に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したものである。
【0149】
35は上記各設定値を設定するための設定器であり、信号線35aを介して曝気装置4と、信号線35bを介して返送汚泥ポンプ7と、信号線35cを介して引き抜きポンプ6と接続されている。23は上記各設定値に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線35d、35e、35fを介して設定器35と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0150】
次に、動作について説明する。
上記各設定値は設定器35に設定され、信号線35d、35e、35fを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23では、上記曝気量、返送汚泥量ならびに余剰汚泥引き抜き量に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(38.1)に従って出力する。
Rcg=Kcg381/Qair+Kcg382×Qret+Kcg383× Qdrw (38.1)
ここに、
Kcg381:定数
Kcg382:定数
Kcg383:定数
【0151】
次に、上記注入率ならびに上記流入水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、段落[0129]〜[0147]で示した構成によって得られる効果と同様の効果に加え、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて凝集剤添加量をより適切に調節できるという効果を奏する。
尚、上記説明では、曝気量、返送汚泥量及び余剰汚泥引き抜き量の3者に応じて注入率を求めたが、上記3者のうちの2つずつの組合わせに応じて注入率を求めてもよく、更には単独の情報に応じて注入率を求めてもよい。
【0152】
図25は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図24と同一符号は同一または相当部分を示している。図25においては、生物学的水処理装置の曝気量と嫌気槽2の酸化還元電位に応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したものである。
【0153】
23は好気槽3への曝気量と嫌気槽2の酸化還元電位に応じて凝集剤添加量を調節するための調節器であり、信号線32bを介して曝気量の設定器32と、信号線25aを介して酸化還元電位計25と、信号線23aを介して注入ポンプ9と接続されている。10は配管aに取り付けられた流量計であり、信号線10aを介して調節器23と接続されている。
【0154】
次に、動作について説明する。
設定器32に設定された曝気量は信号線32bを介して調節器23に伝えられる。また、嫌気槽2の酸化還元電位は信号線25aを介して調節器23に伝えられる。また、生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、信号線10aを介して調節器23に伝えられる。
調節器23は、上記曝気量ならびに酸化還元電位に応じて、まず、凝集剤注入率を決定する。凝集剤注入率は、例えば式(39.1)ならびに(39.2)に従って出力する。
【0155】
Rcg=Kcg391/Qair (Vana < Vana1) (39.1)
Rcg=Kcg392×Qair (Vana > Vana2) (39.2)
ここに、
Kcg391:定数
Kcg392:定数
Qair :曝気量
Vana :嫌気槽2の酸化還元電位
Vana1 :酸化還元電位の基準値
Vana2 :酸化還元電位の基準値
次に、上記注入率ならびに上記流入下水量より、凝集剤添加量を求める。凝集剤添加量は、例えば式(14.2)に従って出力する。
【0156】
調節器23の出力は、信号線23aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
すなわち、嫌気槽2の酸化還元電位が予め定めた基準値よりも低いときは、好気槽3でのりん摂取が不足しているとみなして、式(39.1)に従って凝集剤添加量を調節する。逆に、嫌気槽2の酸化還元電位が予め定めた基準値よりも高いときは、嫌気槽2でりんの吐出が不足しているとみなして、式(39.2)に従って凝集剤添加量を調節する。よって、実施の形態30と同様の効果に加え、生物学的水処理装置への曝気量に応じて凝集剤添加量をより適切に調節できるという効果を奏する。
【0157】
上記説明においては、嫌気槽2の酸化還元電位によって曝気量に対する凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成したが、返送汚泥量に対する凝集剤添加量の算出式や余剰汚泥引き抜き量に対する凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0158】
又、上記説明においては、嫌気槽2の酸化還元電位によって凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成したが、好気槽3の酸化還元電位によって凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0159】
又、上記説明においては、酸化還元電位によって凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成したが、嫌気槽もしくは好気槽のりん濃度、りん蓄積菌中のりん含有量などによって凝集剤添加量の算出式を変更するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0160】
上記段落[0129]〜[0159]に示された構成においては、嫌気好気活性汚泥法による生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて凝集剤添加量を調節するように装置を構成したが、その他の生物学的水処理装置を対象として同様に凝集剤添加量を調節するように装置を構成することも、もちろん可能である。
【0161】
図26は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図25と同一符号は同一または相当部分を示している。図26においては、活性汚泥微生物のりん除去活性の低下を検知する手段として、嫌気槽2のりん濃度を計測するりん濃度計を備え、この計測値に基づいて凝集剤の添加開始を指令するように装置を構成したものである。
【0162】
36は凝集剤添加開始を指令するコントローラであり、信号線36aを介して凝集剤注入ポンプ9と接続されている。22は嫌気槽2のりん濃度を計測するためのりん濃度計、37は嫌気槽2のりん濃度の下限値を設定するための設定器であり、それぞれ信号線22a、信号線37aを介してコントローラ36と接続されている。
なお、図26で示された構成においては、りん濃度計22の位置について何ら限定するものではなく、りん濃度計22を別の場所に設置し、嫌気槽2から採水するようにしてもよい。
【0163】
次に、動作について説明する。
嫌気槽2中のりん濃度は、りん濃度計22で計測され、計測値は信号線22aを介してコントローラ36に伝えられる。コントローラ36では、上記りん濃度の計測値が設定器37に設定された下限値に達したとき、凝集剤添加開始信号を出力する。設定器37に設定された下限値は信号線37aを介してコントローラ36に伝えられる。また、凝集剤添加開始信号は、信号線36aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
【0164】
これにより、嫌気槽2でのりんの吐出の低減、すなわち生物学的なりん除去活性の低下を自動的に検知して凝集剤の添加を開始するので、効率的に凝集剤を添加できるという効果を奏する。
又、上記説明においては、りん蓄積菌の活性を検知する手段として、嫌気槽2のりん濃度を計測するりん濃度計を備えるように装置を構成したが、段落[0067]〜[0128」]に示したようなその他の検知手段、例えばりん蓄積菌中のりん含有量を計測する計測器、酸化還元電位計、微生物濃度計等を備えるように装置を構成しても同様の効果を奏する。この場合、りん含有量計測器及び酸化還元電位計を使用した場合には、下限値の代わりに上限値を設定することとなる。
【0165】
図27は別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図26と同一符号は同一または相当部分を示している。図27においては、活性汚泥微生物のりん除去活性に影響を与える被処理水の性状の変化を検知する手段として、生物反応槽1への流入下水量を計測する流量計を備え、この計測値に基づいて凝集剤の添加開始を指令するように装置を構成したものである。
【0166】
38は凝集剤添加開始を指令するコントローラであり、信号線38aを介して凝集剤注入ポンプ9と接続されている。10は配管aに取り付けられた流量計、39は流入下水量の上限値を設定するための設定器であり、それぞれ信号線10a、信号線39aを介してコントローラ38と接続されている。
なお、図27で示された構成においては、流量計10の位置について何ら限定するものでないことは、その他の構成と同様である。
【0167】
次に、動作について説明する。
生物反応槽1への流入下水量は流量計10で計測され、計測値は信号線10aを介してコントローラ38に伝えられる。コントローラ38では、上記流入下水量が設定器39に設定された上限値に達したとき、凝集剤添加開始信号を出力する。設定器39に設定された上限値は信号線39aを介してコントローラ38に伝えられる。また、凝集剤添加開始信号は、信号線38aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、雨水の流入による生物学的なりん除去活性の低下を自動的に検知して凝集剤の添加を開始するので、効率的に凝集剤を添加できるという効果を奏する。
【0168】
図26、図27において示された構成では、凝集剤添加開始信号を注入ポンプ9に伝えるように装置を構成したが、段落[0017]〜[0160]に示した各凝集剤添加量の調節器に伝えるように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0169】
また、段落[0128]に示した構成と同様に、計測値を蓄積するための記憶回路を備え、これらのデータを用いてりん蓄積菌の活性を推定するように装置を構成することもできる。この場合、りんの分析などに時間を要する場合もこの間の変動を考慮してりん蓄積菌の活性を推定することができるので、図26、図27において示された構成によって得られる効果に加え、凝集剤の添加をより適切に開始できるという効果を奏する。
【0170】
図28は、別の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。図において、図1〜図27と同一符号は同一または相当部分を示している。図28においては、生物学的水処理装置の曝気量が上限値もしくは下限値に達したときに凝集剤の添加開始を指令するように装置を構成したものである。
【0171】
40は凝集剤添加開始を指令するコントローラであり、信号線40aを介して凝集剤注入ポンプ9と接続されている。32は曝気装置4の曝気量を設定するための設定器であり、信号線32aを介して曝気装置4と、また信号線32bを介してコントローラ40と接続されている。41は曝気量の上限値もしくは下限値を設定するための設定器であり、信号線41aを介してコントローラ40と接続されている。
【0172】
次に、動作について説明する。
設定器32に設定された曝気装置4の曝気量は、信号線32bを介してコントローラ40に伝えられる。コントローラ40では、曝気量が設定器41に設定された上限値もしくは下限値に達したとき、凝集剤添加開始信号を出力する。設定器41に設定された上限値もしくは下限値は信号線41aを介してコントローラ40に伝えられる。また、凝集剤添加開始信号は、信号線40aを介して注入ポンプ9に伝えられる。
これにより、曝気量を調節しても生物学的りん除去効果を改善できなくなったことを自動的に検知して凝集剤の添加を開始できるので、効率的に凝集剤を添加できるという効果を奏する。
【0173】
上記説明では、生物学的水処理装置の運転パラメータとして、曝気量の設定値から凝集剤添加の開始を指令するように装置を構成したが、段落[0134]、[0136]〜[0140]、[0142]〜[0146]及び[0148]〜[0151]に示したように、その他の運転パラメータ、例えば返送汚泥量、余剰汚泥引き抜き量等を検知して凝集剤添加の開始を指令するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。又、生物学的水処理装置として嫌気好気活性汚泥法に限るものでない。
【0174】
また、段落[0135]、[0141]、[0147]に示したように、運転パラメータを計測器を用いて検知するように装置を構成しても、同様の効果を奏する。
【0175】
また、図28で示した構成においては、凝集剤添加開始信号を、注入ポンプ9に伝えるように装置を構成したが、段落[0017]〜[0134]に示した各凝集剤添加量の調節器に伝えるように装置を構成しても同様の効果を奏する。
【0176】
上記に示された構成は、酢酸添加装置にも適用できる。すなわち、薬剤添加位置が嫌気槽となるだけで、あとは全く同様の装置構成、動作ならびに効果を得ることができる。
【0177】
また、上記各構成においては、時間連続のアナログ式で構成した例を示したが、時間不連続のアナログ式(サンプル値式)やデジタル式で構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0178】
また、上記各構成においては、制御回路を構成した場合を示したが、これを計算機内にプログラム化して実装しても、上記各構成と同様の効果を奏する。
【0179】
また、上記各構成においては、制御回路を閉ループで構成した例を示したが、制御目標値をオペレータに示す運転支援システムとして構成することもできる。
【0180】
この出願の請求項以外に係る発明の効果.
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽に流入するりんの量を検知する手段と、生物反応槽から流出するりんの量を検知する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差、並びに流出りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の凝集剤をいちはやく添加できるだけでなく、処理水のりん濃度に基づいて添加量を過不足なく調節することができる。
【0181】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽におけるりん濃度を計測する手段と、りん濃度から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0182】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽におけるりん蓄積菌中のりん含有量を計測する手段と、りん含有量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0183】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽における微生物濃度を計測する手段と、微生物濃度から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節することができる。
【0184】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、流入下水量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節することができる。
【0185】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、流入下水中の溶存酸素濃度を計測する手段と、溶存酸素濃度から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節することができる。
【0186】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、流入下水中の酸化還元電位を計測する手段と、酸化還元電位から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節することができる。
【0187】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入すると共に曝気装置が取付けられた生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、曝気装置による曝気量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0188】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した汚泥を生物反応槽に返送する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、汚泥返送手段による返送汚泥量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0189】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した余剰汚泥を引き抜くための手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、余剰汚泥引き抜き手段により引き抜かれた余剰汚泥引き抜き量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0190】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入すると共に曝気装置が取付けられた生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽における酸化還元電位、りん濃度、りん蓄積菌中のりん含有量のうちのいずれか1つを計測する手段と、酸化還元電位、りん濃度、りん含有量のうちのいずれか1つと曝気装置による曝気量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置への曝気量に応じて薬剤添加量をより適切に調節できる。
【0191】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した汚泥を生物反応槽に返送する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽における酸化還元電位、りん濃度、りん蓄積菌中のりん含有量のうちのいずれか1つを計測する手段と、酸化還元電位、りん濃度、りん含有量のうちのいずれか1つと汚泥返送手段による返送汚泥量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置への返送汚泥量に応じて薬剤添加量をより適切に調節できる。
【0192】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した余剰汚泥を引き抜くための手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽における酸化還元電位、りん濃度、りん蓄積菌中のりん含有量のうちのいずれか1つを計測する手段と、酸化還元電位、りん濃度、りん含有量のうちのいずれか1つと余剰汚泥引き抜き手段により引き抜かれた余剰汚泥引き抜き量から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置からの余剰汚泥引き抜き量に応じて薬剤添加量をより適切に調節できる。
【0193】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、流入下水量の上限値を設定する手段と、流入下水量が上限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、雨水の流入による生物学的なりん除去活性の低下を自動的に検知して薬剤の添加を開始するので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0194】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、生物反応槽又は混和池に流入するそれぞれの計測値に基づいて薬剤添加時の計測値を推定する手段を設けたので、りん等の分析に時間を要する場合もこの間の変動を考慮して必要な薬剤量を求めることができる。
【0195】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽の嫌気槽における微生物濃度を計測する手段と、微生物濃度の下限値を設定する手段と、微生物濃度が下限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0196】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽の嫌気槽におけるりん蓄積菌中のりん含有量を計測する手段と、りん含有量の上限値を設定する手段と、りん含有量が上限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0197】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入すると共に曝気装置が取付けられた生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、上記曝気装置による曝気量の上限値もしくは下限値を設定する手段と、曝気量が上限値もしくは下限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0198】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した汚泥を生物反応槽に返送する手段とを有する生物学的水処理装置であって、汚泥返送手段による返送汚泥量の上限値もしくは下限値を設定する手段と、返送汚泥量が上限値もしくは下限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0199】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した余剰汚泥を引き抜くための手段とを有する生物学的水処理装置であって、余剰汚泥引き抜き手段により引き抜かれた余剰汚泥引き抜き量の上限値もしくは下限値を設定する手段と、余剰汚泥引き抜き量が上限値もしくは下限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0200】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽に流入するりんの量を検知する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、被処理水の量やりん濃度が変動した場合も、必要量の薬剤をいちはやく添加することができ、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減することができる。
【0201】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、薬剤添加位置に流入するりんの量を推定する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とにより構成したので、生物反応槽内にりん濃度の分布が存在するような場合でも、薬剤添加位置に流入するりんの量を精度よく推定することができる。
【0202】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽の後工程に混和池を設けると共に、薬剤を添加する手段を設けた生物学的水処理装置であって、混和池に流入するりんの量を検知する手段と、混和池から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減することができる。
【0203】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽から流出するりんの量を検知する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流出りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置から流出するりんの量を確実に低減することができる。
【0204】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽における酸化還元電位を計測する手段と、酸化還元電位から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的りん除去の状況に応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0205】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、流入下水中のりん濃度を検出する手段と、生物反応槽におけるりん濃度を計測する手段と、流入下水中のりん濃度と生物反応槽におけるりん濃度との差から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、流入下水中のりん濃度が変動したときも、実質的なりんの吐出量を正確に検知できる。
【0206】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、生物反応槽のうちの嫌気槽におけるりん濃度を計測する手段と、好気槽におけるりん濃度を計測する手段と、嫌気槽におけるりん濃度と好気槽におけるりん濃度との差から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、流入下水中のりん濃度が変動したときも、実質的なりんの摂取量を正確に検知することができる。
【0207】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段と、生物反応槽に取付けられた曝気装置と、生物反応槽から流出する混合液を沈殿処理するための沈殿池と、沈殿した汚泥を生物反応槽に返送する手段と、沈殿した余剰汚泥を引き抜くための手段とを有する生物学的水処理装置であって、流入下水量を計測する手段と、曝気装置による曝気量、汚泥返送手段による返送汚泥量ならびに余剰汚泥引き抜き手段により引き抜かれた余剰汚泥引き抜き量のうちの少なくとも1つの情報から注入率を求め、この注入率と流入下水量によって薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物学的水処理装置の運転パラメータに応じて薬剤添加量を適切に調節できる。
【0208】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽の嫌気槽におけるりん濃度を計測する手段と、りん濃度の下限値を設定する手段と、りん濃度が下限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、生物反応槽でのりんの吐出の低減、すなわち生物学的なりん除去活性の低下を自動的に検知して薬剤の添加を開始することにより、効率的に薬剤を添加できる。
【0209】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置であって、生物反応槽の嫌気槽における酸化還元電位を計測する手段と、酸化還元電位の上限値を設定する手段と、酸化還元電位が上限値に達したとき薬剤添加開始信号を出力する手段とを設けたので、効率的に薬剤を添加することができる。
【0210】
【発明の効果】
この発明に係る生物学的水処理装置によれば、下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有するものであって、流入下水中のりん濃度及び生物反応槽内のりん濃度に基づいて薬剤添加位置に流入するりんの量を推定する手段と、生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたので、生物反応槽内にりん濃度の分布が存在するような場合でも、凝集剤添加位置に流入するりんの量を精度よく推定でき、生物学的水処理装置から流出するりんの量をより確実に低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の前提技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の前提技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図4】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図5】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図6】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図7】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図8】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図9】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図10】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図11】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図12】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図13】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図14】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図15】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図16】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図17】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図18】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図19】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図20】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図21】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図22】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図23】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図24】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図25】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図26】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図27】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図28】 この発明の参考技術に係る生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【図29】 従来の生物学的水処理装置における凝集剤添加装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 生物反応槽、10 流量計、11,15 りん濃度計、14 調節器。
Claims (2)
- 下水が流入する生物反応槽と、薬剤を添加する手段とを有する生物学的水処理装置において、流入下水中のりん濃度及び上記生物反応槽内のりん濃度に基づいて薬剤添加位置に流入するりんの量を推定する手段と、上記生物反応槽から流出するりんの量の目標値を設定する手段と、上記流入りん量と目標値との差に応じて薬剤添加量を調節する手段とを設けたことを特徴とする生物学的水処理装置。
- 上記流入りん量の推定値を、以下の数式によって得られる上記薬剤添加位置に流入するりんの濃度CPcgから求めることを特徴とする請求項1記載の生物学的水処理装置。
CPcg=CPtnk−xb(CPin−CPtnk)/xa
CPcg:薬剤添加位置に流入するりんの濃度
CPtnk:生物反応槽内のりん濃度
CPin:下水中のりん濃度
xa:下水の流入位置から生物反応槽内に設置されたりん濃度計の設置位置までの距離
xb:生物反応槽内に設置されたりん濃度計の設置位置から薬剤添加位置までの距離
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