JP4343548B2 - ドアロック装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、車体、扉のうちの一方に設けられたストライカと、車体、扉のうちの他方に設けられ、前記ストライカが進入可能な係合が形成され、該係合溝に前記ストライカが進入可能なアンロック位置と、前記係合溝に進入した前記ストライカが離脱不可能なロック位置との間を回転可能なフックと、車体、扉のうちの他方に回転可能に設けられ、前記ロック位置にあるフックに係合することにより前記フックのアンロック位置方向への回転を禁止するラチェットと、前記フックをアンロック位置方向へ付勢する第1付勢手段と、前記ロック位置にある前記フックに係合している前記ラチェットを前記フックから離反する方向に移動させ、ロック解除を行なうカムと、前記ラチェットを前記フック及び前記カムに係合する方向へ付勢する第2付勢手段と、前記カムを駆動する駆動手段とを有するドアロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最初に、図10を用いてドアロック装置の基本的な構成を説明する。図10(a)はアンロック状態、図10(b)はハーフロック状態、図10(c)はフルロック状態を示している。図において、車体とドアのうちの一方に設けられたボデー1には、車体とドアのうちの他方に設けられたストライカ2が進入可能なストライカ挿入溝3が形成されている。ストライカ挿入溝3の一方の側のボデー1には、ピン5を用いてフック7が回転可能に設けられている。ストライカ挿入溝3の他方の側のボデー1には、ピン9を用いてラチェット11が回転可能に設けられている。
【0003】
フック7には、ストライカ2が進入可能な係合溝13が形成されている。フック7には、フック7がアンロック位置とフルロック位置との中間位置であるハーフロック位置にある時(図10(b)参照)に、ラチェット11の係止部15が係合するハーフロック係止部17と、フルロック位置にある時(図10(c)参照)に、ラチェット11の係止部15が係合するフルロック係止部19とが形成されている。そして、フック7は図示しない第1付勢手段により矢印I方向(アンロック位置方向)へ、又、ラチェット11は図示しない第2付勢手段により矢印II方向(フック7に係合する方向)へそれぞれ付勢されている。
【0004】
次に、上記構成の作動を説明する。図10(a)に示すアンロック状態で、ストライカ2とボデー1とを相対的に近づけていくと、フック7の係合溝13にストライカ2が進入し、ストライカ2が係合溝13の壁面を押すことにより、フック7は第1付勢手段の付勢力に抗してロック方向(矢印I方向と反対方向)へ回転する。フック7が回転すると、ラチェット11の係止部15はフック7のハーフロック係止部17に係合し、図10(b)に示すハーフロック状態となる。更に、ストライカ2とボデー1とを相対的に近づけていくと、フック7は更に回転し、ラチェット11の係止部15はフック7のフルロック係止部19に係合し、図10(b)に示すフルロック状態となる。
【0005】
このロック状態を解除するには、図10(c)において、ラチェット11を矢印II方向と逆方向に回転させ、ラチェット11の係止部15と、フック7のフルロック係止部19との係合を解除する。フック7は、図示しない第1付勢手段の付勢力により、アンロック位置方向に回転し、図10(a)のアンロック状態に復帰する。
【0006】
このような構成のドアロック装置において、ロック解除を行う際に、モータを用いてラチェット11を駆動させるドアロック装置がある(例えば、特許文献1参照)。図11、図12を用いて説明する。図11はロック状態を示す図、図12はアンロック状態を示す図である。
【0007】
これらの図において、ストライカ31(図11参照)が挿入可能なストライカ挿入溝33が形成されたベース35には、図10の構成と同じ機能を果たすフック37とラチェット39とが回転可能に設けられている。これらフック37とラチェット39は、両者に係止され、第1付勢手段、第2付勢手段として機能するスプリング41により、フック37はアンロック方向に、ラチェット39はフック37に係合する方向に付勢されている。ベース35にモータ47によって回転駆動されるカム一体ウォームホイール49が設けられている。このカム一体ウォームホイール49は、トーションばね51により、常時図12に示す初期位置に復帰するように回動付勢されている。またラチェット39の先端には、ローラ53が設けられている。カム一体ウォームホイール49は、このローラ53と係合するカム49aを有している。このカム49aは、回動軸からの距離を徐々に大きくする形状のカムである。カム一体ウォームホイール49が図12に示す初期位置から同図反時計方向に回動すると、カム49aがローラ53を押して、ロック位置にあるフック37に係合しているラチェット39をフック37から離反する方向に移動させる。
【0008】
次に、ロック解除の作動を説明する。
図11に示すロック状態で、モータ47を駆動してカム一体ウォームホイール49を反時計方向に回転させると、カム49aがラチェット39のローラ53を押し、ラチェット39とフック37との係合が解除される。すると、フック37はスプリング41の付勢力により、アンロック方向に回転し、ロック解除がなされる。モータ47の回転を停止すると、トーションばね51の付勢力により。カム一体ウォームホイール49は初期位置に復帰する。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−13880号公報(第2頁、第3頁、図1、図2)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図11、図12に示す構成のドアロック装置においては、ロック解除後、カム一体ウォームホイール49を初期位置に戻すためにトーションばね51を設けているが、このトーションばね51はモータ47の空転トルクに勝る必要があるので、強い付勢力が必要である。一方、ロック解除時には、トーションばね51の付勢力に抗して、カム一体ウォームホイール49を回転させなければならないので、
(1)カム一体ウォームホイール49を大形化して、減速比を大きくする。
(2)ラチェット39の回転中心からラチェット39のローラ53接触部までの距離を長くする。
等の方法をとっている。このため、以下のような問題点がある。
(1)カム一体化ギア53が大形化するので、ドアロック装置が大形化する。
(2)ラチェット39が長くなるので、ドアロック装置が大型化する。
【0011】
又、モータ47の駆動中にモータ47への通電が切れ、モータ47の駆動が停止すると、トーションばね51の付勢力により、カム一体ウォームホイール(カム)49(49a)が初期位置へ戻り、ラチェット39もスプリング41の付勢力によりフック37に係合するので、ロック解除が行われずドアが開かない場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、小型で、確実にロック解除が行えるドアロック装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、車体、扉のうちの一方に設けられたストライカと、車体、扉のうちの他方に設けられ、前記ストライカが進入可能な係合溝が形成され、該係合溝に前記ストライカが進入可能なアンロック位置と、前記係合溝に進入した前記ストライカが離脱不可能なロック位置との間を回転可能なフックと、車体、扉のうちの他方に回転可能に設けられ、前記ロック位置にあるフックに係合することにより前記フックのアンロック位置方向への回転を禁止するラチェットと、前記フックをアンロック位置方向へ付勢する第1付勢手段と、前記ラチェットに係合し、回転することにより前記ロック位置にある前記フックに係合している前記ラチェットを前記フックから離反する方向に移動させ、ロック解除を行なうカムと、前記ラチェットを前記フック及び前記カムに係合する方向へ付勢する第2付勢手段と、前記カムを回転駆動する駆動手段とを有するドアロック装置において、前記ロック解除を始める駆動手段の回転方向の位置を初期位置とし、前記駆動手段と前記カムとは前記駆動手段の回転の正逆方向に遊びがあるようにした係合とし、前記カムを前記駆動手段の回転方向に付勢する第3付勢手段と、前記ラチェットに形成されたカムストッパ部、前記カムに形成されたストッパ部とでなり、前記ラチェットを前記フックから離反する方向に移動させた後に、前記ラチェットのカムストッパ部が前記カムのストッパ部に当接し、前記カムの回転を禁止し、前記ラチェットをフックから離反した状態で保持する第1ストッパ手段と、前記フックの突起と前記ラチェットの係止部とでなり、前記ラチェットがフックから離反し、第1付勢手段の付勢力により前記フックがロック位置からアンロック位置に移動する際に、前記フックの突起が前記ラチェットの係止部を押して前記ラチェットを回転させることにより、前記第1ストッパ手段によって禁止されたカムの回転を解除する第1ストッパ解除手段と、前記駆動手段に設けられたストッパ部、前記ラチェットに設けられたストッパ当接部とでなり、前記ラチェットがフックから離反したときに、前記駆動手段のストッパ部が前記ラチェットのストッパ当接部に当接し、前記駆動手段の初期位置からの回転を禁止する第2ストッパ手段とを設け、前記初期位置では、前記第3付勢手段により、前記カムは、前記駆動手段に対して駆動方向の遊びがない係合にあり、前記駆動手段と前記カムとの係合、前記第1ストッパ手段、前記第1ストッパ解除手段、前記第2ストッパ手段は、前記初期位置から前記駆動手段を駆動して、前記カムを回転させ、前記カムを前記ラチェットに係合させると、前記カムは、前記ラチェットとの摩擦力により停止し、前記駆動手段に対して駆動方向と反対方向に遊びがない係合となり、更に、前記駆動手段を回転させると、前記駆動手段により押されて前記カムが回転し、前記ラチェットが前記フックから離反する方向に移動し、前記第1ストッパ手段により、前記カムの回転が禁止され、前記ラチェットはフックから離反した状態で保持され、第2ストッパ手段により、前記駆動手段の初期位置からの回転を禁止され、前記フックは前記第1付勢手段により、アンロック位置方向に回転し、その際、前記第1ストッパ解除手段により、前記第1ストッパ手段によって禁止された前記カムの回転が解除され、前記カムは前記第3付勢手段により、前記駆動手段に対して駆動方向の遊びがない係合に復帰するようにしたことを特徴とするドアロック装置である。
【0013】
前記駆動手段と前記カムとは前記駆動手段の回転方向に遊びがあるようにした係合手段と、前記カムを前記駆動手段の回転方向に付勢する第3付勢手段とを設けたことにより、駆動手段の初期位置では、カムと駆動手段とは、駆動手段の回転方向に遊びがない係合となっている。ロック解除する場合、駆動手段を回転駆動すると、第3付勢手段によりカムも駆動手段と共に回転する。カムがラチェットに当接すると、その摩擦力によりカムの移動は停止する。更に駆動手段が駆動されると、カムと駆動手段とは、駆動手段の回転方向と反対方向に遊びがない係合となり、再びカムは回転する。そして、第2付勢手段の付勢力に抗してカムがラチェットをフックから離反する方向に移動させ、ロック解除が始まる。さらに駆動手段を駆動すると、カムも回転し、第1ストッパ手段により、カムの回転が禁止され、ラチェットはフックから離反した状態で保持される。
【0014】
ラチェットがフックより離反することにより、第1付勢手段によりフックがロック位置からアンロック位置に移動する。この際に、第1ストッパ解除手段が第1ストッパ手段を解除し、カムは第3付勢手段により駆動手段方向に移動する。カムが第1ストッパ手段でその移動が禁止されると、ラチェットはフックから離反した状態で保持されることにより、確実にロック解除が行える。カム、駆動手段を初期位置へ戻す付勢手段が不要となるので、駆動手段、カム、ラチェットの小型化がはかれ、ロック装置が小型化できる。
【0016】
前記フックがアンロック状態のときには、前記駆動手段の初期位置からの移動を禁止する第2ストッパ手段を設けたことにより、電気的な制御を行わずに駆動手段を初期位置へ戻すことができ、コストダウンを図れる。又、ロック解除時に、第1ストッパ手段でカムの回転が禁止された時に、第2ストッパ手段が駆動手段の移動を禁止することが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
最初に、本実施の形態例のドアロック装置の分解斜視図である図1を用いて全体構成を説明する。本実施の形態例のドアロック装置は、自動車のバックドア用ドアロック装置であり、ボデー側に取り付けられるものである。尚、図1は見やすいように天地を逆にしている。又、本実施の形態例のフック、ラチェット等のドアロック装置の基本部分は、従来例と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0018】
図において、プレート101、ロアボデー103、アッパボデー105とが積層されている。プレート101とロアボデー103との間には、モータ107が設けられる。このモータ107の出力軸にはウォーム109が取り付けられている。シャフト111は、ロアボデー103の穴113を挿通し、プレート101、アッパボデー105に支持される。このシャフト111には、プレート101とロアボデー103との間に配設され、ウォーム109に螺合するヘリカルギア115と、カム201と、カム201を付勢する第3付勢手段としてのスプリング203とが回転可能に取り付けられている。尚、モータ107と、ウォーム109と、ヘリカルギア115とで駆動手段が形成されている。
【0019】
ロアボデー103の上面側には、図示しないストライカが挿通するストライカ係合溝119が形成されている。アッパボデー105にも、ロアボデー103のストライカ係合溝119と対向する部分に、ストライカ係合溝121が設けられている。シャフト123は、ロアボデー103のストライカ係合溝119の一方の側の穴125を挿通し、プレート101、アッパボデー105に回転可能に支持される。又、シャフト127は、ロアボデー103のストライカ係合溝119の他方の側の穴129を挿通し、プレート101、アッパボデー105に回転可能に支持される。シャフト123には、ロアボデー103とアッパボデー105との間に配設されるラチェット131が取り付けられている。シャフト127には、ロアボデー103とアッパボデー105との間に配設されたフック133が取り付けられている。
【0020】
又、中間部がシャフト123に巻回され、一方の端部側がロアボデー103に係止され、他方の端部側がラチェット131に係止される第2付勢手段であるスプリング135により、ラチェット131はフック133、カム201に係合する方向に付勢されている。同様に、中間部がシャフト127に巻回され、一方の端部側がロアボデー103に係止され、他方の端部側がフック133に係止される第1付勢手段であるスプリング137により、フック133はアンロック方向に付勢されている。
【0021】
次に、図1のドアロック装置を組付け、アッパボデーを一部破断した状態で、矢印B方向から見た図である図2を用いて説明する。一般のドアロック装置のラチェットとフックと同様に、ラチェット131には係止部141が、フック133には、ラチェット131の係止部141が係合するハーフロック係止部143、フルロック係止部145が形成され、さらに、ストライカ147が進入可能な係合溝149が形成されている。
【0022】
次に、図3を用いてラチェット131の説明を行う。図3(a)は上面図、図3(b)は図3(a)の右側面図、(c)図は下面図である。ラチェット131は芯金151と樹脂とからなり、射出成形法等により製造されるものである。ラチェット131に下面には、後述するヘリカルギア115のストッパ部163が当接するストッパ当接部153が形成されている(図3(c)参照)。又、ラチェット131のカム201が当接するカム当接部154には、後述するカム201のストッパ部207が当接するカムストッパ部155が形成されている。
【0023】
次に、図4、図5を用いてヘリカルギア115の説明を行う。図4はヘリカルギアの斜視図、図5(a)はヘリカルギアの上面図、図5(b)は図5(a)の切断線A−Aでの断面図、図5(c)は図5(a)の下面図、図5(d)は図5(c)の右側面図である。ヘリカルギア115の上面には、ラチェット131のストッパ当接部153に当接可能なストッパ部163と、側面の一部を切り欠いた切欠165aを有する円柱状のコア165とが一体的に形成されている。ヘリカルギア115のストッパ部163、コア165と、前述したカム201とはロアボデー103の穴113を介して、ロアボデー103とアッパボデー105との間の空間に突出している。そして、ヘリカルギア115のストッパ部163と、ラチェット131のストッパ当接部153とで、フック133がアンロック状態のときに、駆動手段であるヘリカルギア115の初期位置からの移動を禁止する第2ストッパ手段を構成している。
【0024】
次に、図6を用いてカム201の説明を行う。図6(a)はカムの上面図、図6(b)は図6(a)の右側面図、図6(c)は図6(a)の下面図である。カム201の下面には、舌部201aが形成されている。このカム201の舌部201aは、コア165の切欠165a内に挿入される。ここで、コア165の切欠165aと、カム201の舌部201aとで、駆動手段であるヘリカルギア115とカム201とがヘリカルギア115の回転の正逆方向に遊びがあるようにした係合手段が構成されている。
【0025】
図6(a)で、範囲Bで示す範囲が、ラチェット131のカム当接部154に当接するカム201のカム面205である。このカム面205は、ヘリカルギア115の回転軸からカム面205までの距離が徐々に長くなる形状となっている。又、カム面205には、ラチェット131のカムストッパ部155に当接可能なストッパ部207が形成されている。カム201のストッパ部207と、ラチェット131のカムストッパ部155とで、ラチェット131をフック133から離反する方向に移動させた後に、カム201の移動を禁止する第1ストッパ手段が構成されている。そして、第3付勢手段であるスプリング023の一方の端部はヘリカルギア115の下面に形成されたスプリング係止部115b(図5(c)、(d)参照)に係止され、他方の端部は、ヘリカルギア115の下面から上面にかけて形成された貫通長穴115cを挿通し、カム201の貫通穴201b(図6(a)、(c)参照)に係止され、カム201をヘリカルギア115の回転方向に付勢している。
【0026】
次に、上記構成のドアロック装置をロック状態→アンロック状態にするロック解除時の作動を説明する。図7〜図9はロック解除時の作動を説明する図である。フック133の係合溝149にストライカ147が進入し、フック133のフルロック係止部145にラチェット131の係止部141が係止したロック状態を示す図7(a)において、ヘリカルギア115は初期位置にあり、カム201はスプリング203の付勢力により、ヘリカルギア115の回転方向(本実施の形態例では図において反時計方向)に付勢されているので、カム201の舌部201aはヘリカルギア115のコア165の切欠165aの一方の壁面165bに当接している。即ち、カム201の舌部201aとヘリカルギア115のコア165の切欠165aとは、ヘリカルギア115の回転方向に遊びがない係合となっている。
【0027】
ここで、モータ107を駆動してヘリカルギア115を図において反時計方向に回転させると、ヘリカルギア115とカム201とは共に回転する。カム201の回転により、カム201のカム面205がラチェット131のカム当接部154に当接する(図7(b)参照)。その摩擦力によりカム201の回転は停止する。ヘリカルギア115のみが回転すると、コア165の切欠165aの他方の壁面165cがカム201の舌部201aを押す、即ち、カム201の舌部201aとヘリカルギア115のコア165の切欠165aとは、ヘリカルギア115の回転方向と反対方向に遊びがない係合となり、再びカム201は回転する(図7(c)参照)。このカム201の回転により、カム201のカム面205がラチェット131のカム当接部154を押し、ラチェット131の係止部141がフック133のフルロック係止部145より離脱を始める(図8(a)参照)。
【0028】
ラチェット131の係止部141がフック133のフルロック係止部145より完全に離脱した後、ヘリカルギア115は初期位置にあり、ヘリカルギア115ののストッパ部163がラチェット131のストッパ当接部153に当接して、それ以上の回転が禁止され、モータ107の駆動が停止する。更に、カム201のストッパ部207がラチェット131のカムストッパ部155に当接し、カム201の移動が禁止される(図8(b)参照)。
【0029】
ラチェット131の係止部141がフック133のフルロック係止部145より完全に離脱することにより、フック133はスプリング137(第1付勢手段)の付勢力により、アンロック状態に復帰する。この時、フック133に形成された第1ストッパ解除手段として機能する突起133aがラチェット131の係止部141を押し、カム201のストッパ部207と、ラチェット131のカムストッパ部155との当接を解除する(図8(c)参照)。この解除により、カム201はスプリング203の付勢力により回転し、カム201の舌部201aがヘリカルギア115のコア165の切欠165aの一方の壁面165bに当接する。フック133はアンロック位置まで回転し(図9参照)、ロック解除を終了する。
【0030】
尚、アンロック状態→ロック状態への作動は、モータ107は駆動されず、ヘリカルギアのコア165,ストッパ部163及びカム201は図9の位置を保持した状態で、ストライカ147とロアボデー103とを相対的に近づけていく。すると、従来例と同様に、フック133の係合溝149にストライカ147が進入し、ストライカ147が係合溝149の壁面を押すことにより、フック133はスプリング137(第1付勢手段)の付勢力に抗してロック方向へ回転する。フック133が回転すると、ラチェット131の係止部141はフック133のハーフロック係止部143に係合する、ハーフロック状態となる。更に、ストライカ147とロアボデー103とを相対的に近づけていくと、フック133は更に回転し、ラチェット131の係止部141はフック133のフルロック係止部145に係合し、図7(a)に示すフルロック状態となる。
【0031】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)図8(b)に示すように、カム201のストッパ部207がラチェット131のカムストッパ部155に当接し、カム201の移動が禁止されると、ラチェット131はフック133から離反した状態で保持されることにより、確実にロック解除が行える。
(2)カム201、駆動手段を初期位置へ戻す付勢手段が不要となるので、駆動手段、カム201、ラチェット131の小型化がはかれ、ロック装置が小型化できる。
(3)ヘリカルギア115のストッパ部163と、ラチェット131のストッパ当接部153とで、フック133がアンロック状態のときに、駆動手段であるヘリカルギア115の初期位置からの移動を禁止する第2ストッパ手段を設けたことにより、電気的な制御を行わずにヘリカルギア115を初期位置へ戻すことができ、コストダウンを図れる。
【0032】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、フック133をアンロック位置方向に付勢する第1付勢手段としてスプリング137を用い、ラチェット131をフック133及びカム201方向へ付勢する第2付勢手段としてスプリング135を用いたが、従来例の図11、図12で示すように、フックとラチェット両者に係止され、第1付勢手段、第2付勢手段として機能するスプリングを用いてもよい。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ラチェットがフックより離反することにより、第1付勢手段によりフックがロック位置からアンロック位置に移動する。この際に、第1ストッパ解除手段が第1ストッパ手段を解除し、カムは第3付勢手段により駆動手段方向に移動する。カムが第1ストッパ手段でその移動が禁止されると、ラチェットはフックから離反した状態で保持されることにより、確実にロック解除が行える。カム、駆動手段を初期位置へ戻す付勢手段が不要となるので、駆動手段、カム、ラチェットの小型化がはかれ、ロック装置が小型化できる。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、前記フックがアンロック状態のときには、前記駆動手段の初期位置からの移動を禁止する第2ストッパ手段を設けたことにより、電気的な制御を行わずに駆動手段を初期位置へ戻すことができ、コストダウンを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例のドアロック装置の分解斜視図である。
【図2】図1のドアロック装置を組付け、アッパボデーを一部破断した状態で、矢印B方向から見た図である図である。
【図3】図1のラチェットを説明する図であり、(a)図は正面図、(b)図は(a)図の右側面図、(c)図は背面図である。
【図4】ヘリカルギアの斜視図である。
【図5】(a)図はヘリカルギアの上面図、(b)図は(a)図の切断線A−Aでの断面図、(c)図は(a)図の下面図、(d)図は(c)図の右側面図である。
【図6】(a)図はカムの上面図、(b)図は(a)図の右側面図、(c)図は(a)図の下面図である。
【図7】ロック解除時の作動を説明する図である。
【図8】ロック解除時の作動を説明する図である。
【図9】ロック解除時の作動を説明する図である。
【図10】ドアロック装置の基本的な構成を説明する図で、(a)図はアンロック状態、(b)図はハーフロック状態、(c)図はフルロック状態を示す図である。
【図11】モータでロック解除される従来のドアロック装置のロック状態を示す図である。
【図12】図11のアンロック状態を示す図である。
【符号の説明】
115 ヘリカルギア(駆動手段)
131 ラチェット
133 フック
135 スプリング(第2付勢手段)
137 スプリング(第1付勢手段)
147 ストライカ
149 係合溝
161 カム部
163 ストッパ部
201 カム
203 スプリング(第3付勢手段)
Claims (1)
- 車体、扉のうちの一方に設けられたストライカと、
車体、扉のうちの他方に設けられ、前記ストライカが進入可能な係合溝が形成され、該係合溝に前記ストライカが進入可能なアンロック位置と、前記係合溝に進入した前記ストライカが離脱不可能なロック位置との間を回転可能なフックと、
車体、扉のうちの他方に回転可能に設けられ、前記ロック位置にあるフックに係合することにより前記フックのアンロック位置方向への回転を禁止するラチェットと、
前記フックをアンロック位置方向へ付勢する第1付勢手段と、
前記ラチェットに係合し、回転することにより前記ロック位置にある前記フックに係合している前記ラチェットを前記フックから離反する方向に移動させ、ロック解除を行なうカムと、
前記ラチェットを前記フック及び前記カムに係合する方向へ付勢する第2付勢手段と、
前記カムを回転駆動する駆動手段とを有するドアロック装置において、
前記ロック解除を始める駆動手段の回転方向の位置を初期位置とし、
前記駆動手段と前記カムとは前記駆動手段の回転の正逆方向に遊びがあるようにした係合とし、
前記カムを前記駆動手段の回転方向に付勢する第3付勢手段と、
前記ラチェットに形成されたカムストッパ部、前記カムに形成されたストッパ部とでなり、前記ラチェットを前記フックから離反する方向に移動させた後に、前記ラチェットのカムストッパ部が前記カムのストッパ部に当接し、前記カムの回転を禁止し、前記ラチェットをフックから離反した状態で保持する第1ストッパ手段と、
前記フックの突起と前記ラチェットの係止部とでなり、前記ラチェットがフックから離反し、第1付勢手段の付勢力により前記フックがロック位置からアンロック位置に移動する際に、前記フックの突起が前記ラチェットの係止部を押して前記ラチェットを回転させることにより、前記第1ストッパ手段によって禁止されたカムの回転を解除する第1ストッパ解除手段と、
前記駆動手段に設けられたストッパ部、前記ラチェットに設けられたストッパ当接部とでなり、前記ラチェットがフックから離反したときに、前記駆動手段のストッパ部が前記ラチェットのストッパ当接部に当接し、前記駆動手段の初期位置からの回転を禁止する第2ストッパ手段とを設け、
前記初期位置では、前記第3付勢手段により、前記カムは、前記駆動手段に対して駆動方向の遊びがない係合にあり、
前記駆動手段と前記カムとの係合、前記第1ストッパ手段、前記第1ストッパ解除手段、前記第2ストッパ手段は、
前記初期位置から前記駆動手段を駆動して、前記カムを回転させ、前記カムを前記ラチェットに係合させると、前記カムは、前記ラチェットとの摩擦力により停止し、前記駆動手段に対して駆動方向と反対方向に遊びがない係合となり、
更に、前記駆動手段を回転させると、前記駆動手段により押されて前記カムが回転し、前記ラチェットが前記フックから離反する方向に移動し、前記第1ストッパ手段により、前記カムの回転が禁止され、前記ラチェットはフックから離反した状態で保持され、第2ストッパ手段により、前記駆動手段の初期位置からの回転を禁止され、前記フックは前記第1付勢手段により、アンロック位置方向に回転し、その際、前記第1ストッパ解除手段により、前記第1ストッパ手段によって禁止された前記カムの回転が解除され、前記カムは前記第3付勢手段により、前記駆動手段に対して駆動方向の遊びがない係合に復帰するようにしたことを特徴とするドアロック装置。
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JP2003045433A JP4343548B2 (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | ドアロック装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021239180A1 (de) * | 2020-05-29 | 2021-12-02 | Kiekert Ag | Antriebseinheit für kraftfahrzeug-technische anwendungen |
-
2003
- 2003-02-24 JP JP2003045433A patent/JP4343548B2/ja not_active Expired - Fee Related
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