JP4323629B2 - 電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に関し、詳しくは画像の高解像度化が可能な短波長の半導体レーザーに適した電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、レーザープリンターなどに代表されるレーザーを光源として使用している電子写真装置において使用されているレーザーは、800nm付近あるいは680nm付近に発振波長を有する半導体レーザーが主流である。近年、出力画像の高画質化のニーズが高まりから、高解像度化に向けた様々なアプローチがなされている。レーザーの波長もこの高解像度化に深く関わっており、特開平9−240051号公報にも記載されているように、レーザーの発振波長が短くなるほど、レーザーのスポット径を小さくすることが可能となり、高解像度の潜像形成が可能となる。
【0003】
レーザー発振波長の短波長化には、いくつかの手法が挙げられる。一つは、非線形光学材料を利用し、第2高調波発生(SHG)を用いてレーザー光の波長を2分の1にするものである(特開平9−275242号公報、特開平9−189930号公報、特開平5−313033号公報など)。この系は、一次光源として、既に技術が確立し高出力可能なGaAs系半導体レーザーやYAGレーザーを使用することができるため、長寿命化や大出力化が可能である。
【0004】
もう一つは、ワイドギャップ半導体を用いるもので、SHG利用のデバイスと比べ、装置の小型化が可能である。ZnSe系半導体レーザー(特開平7−321409号公報、特開平6−334272号公報など)や、GaN系半導体レーザー(特開平8−88441号公報、特開平7−335975号公報など)が、その発光効率の高さから、以前から多くの研究の対象となっている。
【0005】
これらの半導体レーザーは素子構造、結晶成長条件及び電極などの最適化が難しく、結晶中の欠陥などにより、実用化に必須である室温での長時間発振が困難であった。
【0006】
しかし、基盤などの技術革新が進み、1997年10月には日亜化学工業から、GaN系半導体レーザーで1150時間連続発振(50℃条件)が報告されるなど、実用化が目前に迫っている状態である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平9−240051号公報には、400〜500nmのレーザーに適した感光体として、α型チタニルフタロシアニンを用いた単層ないしは電荷発生層を最表面層とした積層感光体が開示されているが、本発明者らの検討によれば、この材料を用いた場合、感度が悪い上に、特に400nm付近の光に対するメモリーが非常に大きいため、繰り返し使用した際の感光体の電位変動が大きいという問題があることが分かった。
【0008】
本発明の目的は、380〜500nmの波長域でも高い感度特性を有し、かつ光メモリーが小さく繰り返し使用時の電位変動の小さい電子写真感光体と短波長レーザーを使用することによって、実用的で安定して高画質な出力画像が得られる電子写真装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、支持体及び該支持体上の感光層を有する電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、並びに、転写手段を有する電子写真装置において、
該露光手段が露光光源として380〜500nmの発振波長を有する半導体レーザーを有し、かつ該感光層が下記式(1)、(2−5)または(2−28)で示されるアゾ顔料を含有する(ただし、同時にオキシチタニウムフタロシアニン顔料を含有する場合を除く。)ことを特徴とする電子写真装置が提供される。
【0010】
【化5】
【0011】
(式(1)中、Arは直接あるいは結合基を介して結合していてもよい、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基または複素環基を表し、Cpは下記式(5)で示されるカプラー残基を表し、nは1〜3の整数を表す。ただし、−N=N−Cpが同一ベンゼン環に複数個結合することはない。
【0012】
【化6】
【0013】
(式(5)中、R6及びR7は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R6とR7は式中の窒素原子を介して環状アミノ基を形成してもよい。Z2は酸素原子または硫黄原子を表し、m2は0または1を表す。))
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
式(1)中、Arとしてはベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナンスレン、アントラセン及びピレンなどの芳香族炭化水素環、フラン、チオフェン、ピリジン、インドール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、アクリドン、ジベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール及びチアゾールなどの複素環、更に上記芳香族炭化水素環または複素環を直接あるいは芳香族性基または非芳香族性基で結合したもの、例えば、ビフェニル、ビナフチル、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、N−メチルジフェニルアミン、フルオレノン、フェナンスレンキノン、アントラキノン、ベンズアンスロン、ターフェニル、ジフェニルオキサジアゾール、スチルベン、ジスチリルベンゼン、アゾベンゼン、アゾキシベンゼン、フェニルベンズオキサゾール、ジフェニルメタン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、テトラフェニル−p−フェニレンジアミン、テトラフェニルベンジジン、N−フェニル−2−ピリジルアミン及びN,N−ジフェニル−2−ピリジルアミンなどの基が挙げられる。
【0018】
これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などのハロゲン原子、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのジアルキルアミノ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基及びハロメチル基などが挙げられる。
【0019】
式(5)中のR6及びR7のアルキル基としては、メチル、エチル及びプロピルなどの基、アリール基としてはフェニル、ナフチル及びアンスリルなどの基、複素環基としてはピリジル、チエニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル及びベンゾチアゾリルなどの基、窒素原子を環内に含む環状アミノ基としてはピロール、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、インドール、インドリン、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリゾリン、オキサジン及びフェノキサジンなどが挙げられる。
【0020】
これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などのハロゲン原子、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのジアルキルアミノ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基及びハロメチル基などが挙げられる。
【0021】
中でも、R6及びR7のどちらか一方が水素原子であり、他方が置換基を有してもよいフェニル基の場合が感度上好ましく、更にフェニル基の置換基は、アルキル基、ハロゲン原子及びフェニルカルバモイル基が好ましい。なお、このフェニルカルバモイル基のフェニル基は前述のような置換基を更に有していてもよい。
【0022】
以下に、本発明に用いられるアゾ顔料のうち、式(1)で示されるアゾ顔料の好ましい化合物例を列挙する。構造式は、式(1)のAr、Cpに相当する部分のみを記載した。なお、nが2または3の場合でCpが相異なる場合はCp1、Cp2及びCp3としてその構造を示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
【表8】
【0031】
【表9】
【0032】
次に、本発明にかかる電子写真感光体について詳しく説明する。
【0033】
電子写真感光体の構成は、図1、図2及び図3に示されるような公知のいかなる構成であってもさしつかえないが、図1の構成であることが好ましい。図中、aは支持体、bは感光層、cは電荷発生層、dは電荷輸送層、eは電荷発生材料(式(1)、(2−5)または(2−28)で示されるアゾ顔料)を示す。特開平9−240051号公報には、図1のような支持体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した感光体では、400〜500nmの光は電荷輸送材料に吸収され、電荷発生層まで光が届かないため、原理上感度を示さないとあるが、必ずしもそのようなことはなく、電荷輸送層に使用される電荷輸送材料としてレーザーの発振波長に透過性のある電荷輸送材料を用いれば、上記構成の電子写真感光体でも十分な感度が得られ使用可能である。
【0034】
以下に支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した機能分離型感光体について、その作成方法を述べる。
【0035】
電荷発生層は、電荷発生材料としての式(1)、(2−5)または(2−28)で示されるアゾ顔料(ただし、同時にオキシチタニウムフタロシアニン顔料を含有する場合を除く。)を適当な溶剤中でバインダー樹脂と共に分散した液を支持体上に公知の方法によって塗布し乾燥することによって形成される。その膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜1μmであることが好ましい。
【0036】
用いられるバインダー樹脂としては、広範な絶縁性樹脂あるいは有機光導電性ポリマーから選択されるが、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタンなどが好ましく、これらの樹脂は置換基を有してもよく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及びトリフルオロメチル基などが好ましい。また、バインダー樹脂の使用量は、電荷発生層全重量に対し、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0037】
また、使用する溶剤はバインダー樹脂を溶解し、後述の電荷輸送層や下引き層を溶解しないものから選択することが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサンなどのエーテル類、シクロヘキサノン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミン類、酢酸メチル及び酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレン及びクロロベンゼンなどの芳香族類、メタノール、エタノール及び2−プロパノールなどのアルコール類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエチレン、四塩化炭素及びトリクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
【0038】
電荷輸送層は、電荷発生層の上または下に積層され、電界の存在下にて電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は、電荷輸送材料を必要に応じて適当なバインダー樹脂と共に溶剤中に溶解した塗布液を塗布することによって形成される。その膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には15〜30μmであること好ましい。
【0039】
電荷輸送材料には電子輸送性材料と正孔輸送性材料があり、電子輸送性材料としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性材料やこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどが挙げられる。
【0040】
正孔輸送材料としては、例えば、ピレン及びアントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系及びトリアゾール系化合物などの複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールメタン系化合物及びトリフェニルアミン系化合物、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有するポリマー(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなど)が挙げられる。
【0041】
また、これらの電荷輸送材料は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。電荷輸送材料が成膜性を有していない時には、適当なバインダー樹脂を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素化ゴムなどの絶縁性樹脂あるいはポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなどの有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。
【0042】
ただし、図1の構成の電子写真感光体に使用する場合は、前述の通り使用する半導体レーザーの発振波長に対して透過性のある電荷輸送材料やバインダー樹脂を選択する必要がある。
【0043】
支持体は、導電性を有するものであり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金や白金などが挙げられる。また、これらの金属または合金を真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート及びアクリル樹脂など)や導電性粒子(例えば、カーボンブラック及び銀粒子など)を適当なバインダー樹脂と共に上記のようなプラスチック、金属または合金上に被覆した支持体あるいは導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体などを用いることができる。形状としては、ドラム状、シート状及びベルト状などが挙げられる。
【0044】
本発明においては、支持体と感光層の中間にバリヤー機能と接着機能を有する下引き層を設けることもできる。
【0045】
また、感光層を外部からの機械的及び化学的悪影響から保護することなどを目的として、保護層を設けることもできる。
【0046】
なお、感光層には必要に応じて酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を使用してもさしつかえない。
【0047】
本発明における露光手段は、露光光源として380〜500nmの発振波長を有する半導体レーザーを有していればよく、他の構成は特に制限されるものではない。また、半導体レーザーも発振波長が上記の範囲内であれば、他の構成は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、半導体レーザーの発振波長が400〜450nmであることが、電子写真特性の点で好ましい。
【0048】
また、本発明における帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段も特に限定されるものではない。
【0049】
図4に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0050】
図において、1はドラム状の本発明にかかる電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、380〜500nmに発振波長を有する半導体レーザーを用いた露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0051】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期して取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0052】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0053】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図においては、一次帯電手段3が帯電ローラーを用いた接触帯電手段であるので、前露光は必ずしも必要ではない。
【0054】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在の構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお実施例中の「部」は重量部を示す。
【0056】
(実施例1−1〜1−2及び比較例1−1)
アルミニウム支持体上にメトキシメチル化ナイロン(重量平均分子量32000)5gとアルコール可溶性共重合ナイロン(重量平均分子量29000)10gをメタノール95gに溶解した液をマイヤーバーで塗布し、乾燥することによって、膜厚が1μmの下引き層を形成した。
【0057】
次に、表1−1に記載した電荷発生材料5gをシクロヘキサノン95gにブチラール樹脂(ブチラール化度63モル%、重量平均分子量35000)2gを溶かした溶液に加え、サンドミルを用いて20時間分散した。この分散液を下引き層上にマイヤーバーで塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0058】
次いで、下記構造式で示される電荷輸送材料5g
【0059】
【化9】
【0060】
とポリカーボネートZ樹脂(数平均分子量20000)5gをモノクロロベンゼン40gに溶解した溶液を電荷発生層上にマイヤーバーで塗布し、乾燥することによって、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成した。
【0061】
このようにして作成した電子写真感光体を、静電複写紙試験装置(川口電機製:EPA−8100)を用いて、以下のように評価した。
【0062】
(感度)
電子写真感光体の表面電位を−700Vになるようにコロナ帯電器で帯電し、次いでモノクロメータで分離した400nmの単色光で露光し、表面電位が−350Vまで減衰するのに必要な光量を測定し、感度(E1/2)を求めた。同様にして、450nm、500nmの単色光における感度を測定した。
【0063】
(繰り返し特性)
次に、初期暗部電位(Vd)及び初期明部電位(Vl)をそれぞれ−700V、−200V付近に設定し、400nmの単色光を用いて帯電、露光を3000回繰り返し、Vd、Vlの変動量(ΔVd、ΔVl)を測定した。
【0064】
(フォトメモリー)
電子写真感光体の初期Vd、400nmの単色光での初期Vlをそれぞれ−700V、−200V付近に設定した。次に、電子写真感光体の一部に光強度20μW/cm2の400nmの単色光を15分間照射した後、再度電子写真感光体のVd、Vlを測定し、フォトメモリーとして非照射部と照射部のVdの差(ΔVdPM)及び非照射部と照射部のVlの差(ΔVlPM)を測定した。
【0065】
比較のために、電荷発生材料をα型のチタニルフタロシアニンに代えた以外は、実施例1−1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0066】
以上の結果を表1−1に示す。
【0067】
なお、以下表中の繰り返し特性及びフォトメモリーにおけるマイナス記号は電位の絶対値の低下を表し、プラス記号は電位の絶対値の上昇を表す。
【0068】
【表10】
【0069】
(実施例1−3〜1−4及び比較例1−2)
電荷輸送材料を下記化合物に代えた以外は、実施例1−1〜1−2及び比較例1−1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。これらの結果を表1−2に示す。
【0070】
【化10】
【0071】
【表11】
【0072】
(実施例1−5〜1−6及び比較例1−3)
電荷発生層と電荷輸送層の上下関係を逆にした以外は、実施例1−1〜1−2及び比較例1−1と同様にして電子写真感光体を作成し、実施例1−1と同様にして初期の感度を測定した。ただし電荷輸送材料は下記構造式の化合物に代え、帯電極性はプラスとした。これらの結果を表1−3に示す。
【0073】
【化11】
【0074】
【表12】
【0075】
以上の結果から本発明に用いる電子写真感光体は、比較例の感光体に比べ短波長レーザーの発振波長領域での感度が非常に優れている上、短波長光に対するフォトメモリーが小さく、繰り返し使用時の電位や感度の安定性に優れていることがわかる。
【0076】
(実施例1−7〜1−8)
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。この塗料をアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0077】
6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶媒に溶解した。この溶液を導電層上に浸漬塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.8μmの下引き層を設けた。
【0078】
次に、表1−4の電荷発生材料10部をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)5部をシクロヘキサノン100部に溶解した液に添加し、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で20時間分散し、更に100部のメチルエチルケトンを加えて、希釈した。この液を下引き層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0079】
次に、下記構造式で示される電荷輸送材料9部とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(数平均分子量20000)10部をモノクロルベンゼン60部に溶解した。この溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃の温度で1時間乾燥することによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、実施例1−7〜1−8の電子写真感光体を作成した。
【0080】
【化12】
【0081】
このようにして作成した電子写真感光体を、パルス変調装置を搭載しているキヤノン製プリンターLBP−2000改造機(光源として日立金属株式会社製全固体青色SHGレーザーICD−430/発振波長430nmを搭載。また、反転現像系で600dpi相当の画像入力に対応できる帯電−露光−現像−転写−クリーニングからなるカールソン方式の電子写真システムに改造)に装着した。暗部電位Vd=−650V、明部電位Vl=−200Vに設定し、1ドット1スペースの画像と文字(5ポイント)画像の出力を行い、得られた画像を目視により評価した。結果を表1−4に示す。
【0082】
(比較例1−4)
電荷発生材料としてα型チタニルフタロシアニンを用いた以外は、実施例1−7と同様にして電子写真感光体を作成した。得られた電子写真感光体について、評価機の光源を発振波長780nmのGaAs系半導体レーザーに代えた以外は、実施例1−7と同様にして画像評価を行った。結果を表1−4に示す。
【0083】
【表13】
【0084】
これらの結果から、本発明の電子写真装置は、ドットの再現性や文字の再現性に優れ、高解像度の出力画像が得られることがわかる。
【0085】
(実施例4−1〜4−5及び比較例4−1)
電荷発生材料を表4−1に記載した電荷発生材料に代え、電荷発生層の膜厚を0.25μmにした以外は、実施例1−1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4−1に示す。
【0086】
【表14】
【0087】
(実施例4−6〜4−10及び比較例4−2)
電荷発生層と電荷輸送層の上下関係を逆にした以外は、実施例4−1〜4−5及び比較例4−1と同様にして電子写真感光体を作成し、実施例4−1と同様にして初期の感度を測定した。ただし電荷輸送材料は実施例1−5で用いたものに代え、帯電極性はプラスとした。これらの結果を表4−2に示す。
【0088】
【表15】
【0089】
以上の結果から本発明に用いる電子写真感光体は、比較例の感光体に比べ短波長レーザーの発振波長領域での感度が非常に優れている上、短波長光に対するフォトメモリーが小さく、繰り返し使用時の電位や感度の安定性に優れていることがわかる。
【0090】
(実施例4−11〜4−13)
電荷発生材料を表4−3に記載した電荷発生材料に代えた以外は、実施例1−7と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。その結果を表4−3に示す。
【0091】
【表16】
【0092】
これらの結果から、本発明の電子写真装置は、ドットの再現性や文字の再現性に優れ、高解像度の出力画像が得られることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、特定の構造を有する電荷発生材料を用いることにより、380〜500nm付近の短波長の半導体レーザーの発振波長領域において、優れた感度特性と、フォトメモリーが小さく繰り返し特性の良好な電子写真感光体と上記半導体レーザーの組み合わせることにより、高解像度の画像形成が可能で繰り返し使用にも安定して使用しうる電子写真装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電子写真感光体の層構成(電荷発生層上に電荷輸送層)の例を示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる電子写真感光体の層構成(電荷輸送層上に電荷発生層)の例を示す断面図である。
【図3】 本発明にかかる電子写真感光体の層構成の例を示す断面図である。
【図4】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
a 支持体
b 感光層
c 電荷発生層
d 電荷輸送層
e 電荷発生材料
1 感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
Claims (2)
- 支持体及び該支持体上の感光層を有する電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、並びに、転写手段を有する電子写真装置において、
該露光手段が露光光源として380〜500nmの発振波長を有する半導体レーザーを有し、かつ該感光層が下記式(1)、(2−5)または(2−28)で示されるアゾ顔料を含有する(ただし、同時にオキシチタニウムフタロシアニン顔料を含有する場合を除く。)ことを特徴とする電子写真装置。
- 前記半導体レーザーの発振波長が400〜450nmである請求項1に記載の電子写真装置。
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