JP4411258B2 - 電子写真感光体、電子写真装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置およびプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式を採用した、複写機、プリンター、ファクシミリ、製版システムなどの画像形成装置(電子写真装置)に関する。
近年、画像形成装置からの出力画像に関する超高画質化のニーズの高まりから、様々なアプローチがなされている。その中でも電子写真プロセスの中で上流側に位置し、電子写真感光体表面に静電潜像を形成する露光プロセスは、画像形成の根幹となるため特に重要であると考えられている。露光プロセスにおいてビームスポット径を小径化することは、超高解像度化が図られ超高画質化には非常に有効な手段である。
従来から用いられてきた近赤外域半導体レーザーの発振波長は650〜780nm付近にあり、そのスポット径は100μm程度である。ビームスポット径を小さくするため、種々の光学部材の改良を行っても50〜80μm程度が限界であった。また、このような光学系の改良でビームスポット径を小さくしてもスポットの輪郭の鮮明さが得られにくいことが、下記関係式(14)に示すレーザー光の回折限界からわかっている。下記関係式(14)は、ビームスポット径(D)の下限がレーザー光の波長(λ)に比例していることを示している(Nはレンズの開口数)。
D=1.22λ/N・・・(14)
そこで、近年DVDなどに実用化されつつある短波長の青色(紫色)半導体レーザーを、電子写真装置の露光光源(書き込み光源)として用いることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。従来の近赤外域半導体レーザーに比べ、発振波長(380〜500nm)が半分になる青色(紫色)半導体レーザーを露光光源として用いた場合、上記式(14)に示すように、輪郭の鮮明さを維持した状態で、ビームスポット径を非常に小さくすることが可能になり、超高解像度化が図られ超高画質化に有効な手段となる。
このように、青色(紫色)半導体レーザーを露光光源として用いることにより、輪郭の鮮明さを維持した状態で、40μm程度以下のビームスポット径を電子写真感光体上に照射することが可能になる。
そこで、青色(紫色)半導体レーザーを光源とし、ビームスポット径を小径化した電子写真装置において、イメージ露光装置の光照射に対してある一定以上の感度を有する電子写真感光体が当然必要となる。さらに電子写真感光体が照射された光を有効に利用するためには、前記光源の波長域に高い分光感度を有することが要求される。
しかしながら、前記光源の波長域に高い分光感度を有する電子写真感光体は非常に数少ない。例えば、特許文献2には460nm付近に最大分光感度を有する無機感光体であるセレン(Se−Te)に関する記述が記載されている。その一方で、セレンを用いた感光体と比較して環境負荷がより小さくまた製造、取り扱いが容易で、低コストなどの様々な利点を有する有機感光体に注目した種々の研究が昨今行われている。
例えば、特許文献3には本発明と類似構造のカプラーを用いたアゾ顔料の実施形態例があり、また特許文献4、5、6には本発明と類似構造の中心骨格を用いたアゾ顔料の実施形態例がある。しかしこれらの場合、露光手段としてハロゲンランプなどの白色光を対象としたものであり、青色(紫色)半導体レーザーを対象とした用途に適用するといった記載が全くない。
また、青色(紫色)半導体レーザーを対象としているアゾ顔料に関して、特許文献7にはアントラキノン系アゾ顔料を用いた実施形態例があり、特許文献8や特許文献9には種々の中心骨格をもつアゾ顔料を用いた実施形態例があり、また特許文献10には種々のカプラーをもつアゾ顔料を用いた実施形態例がある。しかしこれらの場合、開示されている組み合わせのアゾ顔料では青色(紫色)半導体レーザーに対し十分な感度を有するものは見られなかった。
特開平9−240051号公報(第2頁、請求項1参照) 特開平10−239956号公報(第5頁) 特開平8−87124号公報(第2頁、請求項1参照) 特開平4−147265号公報(第8頁) 特開平2−118581号公報(第14頁) 特開平4−81858号公報(第13頁) 特開平10−239956号公報(第3頁、第6頁の図4) 特開2002−14482号公報(第2頁、請求項1〜4) 特開2002−131951号公報(第2〜3頁、請求項1) 特開2000−105478号公報(第2頁、請求項1)
本発明の目的は、青色(紫色)半導体レーザー光源に対し高い分光感度を有し、使用される環境が変化しても電位変動が小さく、安定した高解像度な画像を得ることができる電子写真感光体を提供することである。また本発明の目的は前記電子写真感光体を装着した電子写真装置またはプロセスカートリッジを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、様々な構成の感光体を多数作成し評価を通じて鋭意検討した結果、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有し、該感光層が電荷発生層および正孔輸送層の少なくとも層からなる電子写真感光体において、該電荷発生層が、電荷発生物質として下記一般式(1)で示される化合物を含有し、該正孔輸送層が、正孔輸送物質として下記一般式(4)または(5)で示される化合物を含有することにより、長期的な感光体の耐久安定性が向上できることを見出した。
Figure 0004411258

(一般式(1)中、Ar およびAr は置換基を有してもよいアリール基を示し、Yは
Figure 0004411258

を示す。)
Figure 0004411258

(一般式(4)中、R 40 はアルキル基を示す。)
Figure 0004411258

(一般式(5)中、R 50 はビフェニリル基を示す。)。
さらに、本発明者らは、一般式(1)で示される化合物を電荷発生物質として用いる場合、公知の電荷発生物質と比較して、該正孔輸送層に含有される正孔輸送物質と結着樹脂の比率(D/B比)の感度に対する寄与が格段に大きいことを見出した。
特に、上記構成において、該正孔輸送層に含有される正孔輸送物質と結着樹脂の比率を11/10〜20/10とすることにより、感光体の連続使用時における電位安定性も改善できることを見出した。
すなわち本発明にしたがって、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有し、該感光層が電荷発生層および正孔輸送層の少なくとも層からなる電子写真感光体において、該電荷発生層が、電荷発生物質として記一般式(1)で示される化合物を含有し、該正孔輸送層が、正孔輸送物質として上記一般式(4)または(5)で示される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明にしたがって、上記電子写真感光体と、帯電手段発振波長が380〜500nmである半導体レーザーを用いたイメージ露光手段、現像手段と、転写手段と、を装着した電子写真装置が提供される。
また、本発明にしたがって、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジが提供される。
本発明によれば、特定構造のビスアゾ顔料と、特定の正孔輸送物質を感光層に用いることにより、青色(紫色)半導体レーザー光源に対し高い分光感度を有しつつ、感度の温度依存性の小さい電子写真感光体を提供することができた。また、耐久を通じて電位変動が小さく、安定した高解像度な画像を得ることができた。
以下に、本発明をより詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有し、該感光層が電荷発生層および正孔輸送層の少なくとも2からなり該電荷発生層が、電荷発生物質として上記一般式(1)で示される化合物を含有し、該正孔輸送層が、正孔輸送物質として上記一般式(4)または(5)で示される化合物を含有している
上記一般式(1)で示される化合物の例を下記に示すが、本発明においては、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0004411258
Figure 0004411258
上記一般式(1)で示される化合物は、従来技術に記載の特許文献3に記載されているように、一般的なアゾ顔料の製法に沿って合成できる。
上記一般式(4)または(5)で示される化合物のより詳細な具体例を下記に示すが、本発明において使用可能である化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0004411258
本発明の電子写真感光体は、機能分離型の有機感光体であり、図1または図2で示すような層構成をとる。この中では、図1で示す層構成であることが好ましい。図1および図2中、aは支持体、bは感光層、cは電荷発生層、dは電荷輸送層、eは電荷発生物質を示す。
以下に、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型有機感光体について、その作製方法を述べる。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金や白金などが挙げられる。また、これらの金属または合金を真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートおよびアクリル樹脂など)や導電性粒子(例えば、カーボンブラックおよび銀粒子など)を適当な結着樹脂と共に上記プラスチック、金属または合金上に被覆した支持体、あるいは、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体などを用いることもできる。
支持体上には、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞防止を目的とした導電層を設けてもよい。
これは、カーボンブラック、金属粒子および金属酸化物などの導電性粉体を、結着樹脂中に分散して形成することができる。導電層の膜厚は、1〜40μmであることが好ましく、特には1〜30μmであることがより好ましい。
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの支持体表面を、ホーニング加工、センターレス研削もしくは切削などの粗面化処理を行って用いてもよい。さらにこれら粗面化処理により支持体表面を適当な粗さに設計することができ干渉縞対策を実施できる。支持体の十点平均粗さRzjisは、0.05μm以上が好ましく、特に0.1μm以上が特に好ましい。十点平均粗さRzjisの測定は、JIS B0601(2001)に基づき、サーフコーダーSE−3500(小坂研究所製)にて、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmとして行った。
支持体または導電層上には、バリア機能と接着機能を持つ中間層を設けてもよい。
中間層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、にかわおよびゼラチンなどが用いられる。これらは、適当な溶剤に溶解して支持体上に塗布される。中間層の膜厚は、0.2〜3.0μmであることが好ましい。
支持体、導電層または中間層上には、電荷発生層が設けられる。
電荷発生層は、電荷発生物質を適当な溶剤中で結着樹脂と共に分散した液を、支持体、導電層または中間層上に公知の方法によって塗布し、乾燥することによって形成される。電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
電荷発生層の上には正孔輸送層が設けられる。
正孔輸送層は、正孔輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる正孔輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
正孔輸送物質と結着樹脂との割合は、11/10〜20/10(質量比)の範囲が感光体の連続使用時における電位安定性の改善を図る上で好ましい。また、クラックを防ぐ観点から、乾燥温度は60〜150℃が好ましく、特には60℃〜130℃がより好ましい。
正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、プロパノール、ブタノールなどのアルコール(特に炭素原子数3以上のアルコール)、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
正孔輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には8〜30μmであることがより好ましい。
また正孔輸送層の正孔移動度として、電界強度25V/μm、温度23℃の環境下にて、1E−5(cm/V・sec)以上となる構成を採った場合、感度・耐久安定性・環境安定性が改善できる。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
さらに、正孔輸送層上には、該正孔輸送層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、結着樹脂のモノマー・オリゴマーを溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを硬化および/または乾燥させることによって保護層を形成してもよい。硬化には、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
保護層の結着樹脂としては、上記の各種樹脂を用いることができるが、本発明において保護層は、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質を重合および/または架橋させることによって硬化させてなる層とすることが好ましい。連鎖重合性官能基としては、例えば、アクリル基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質を重合および/または架橋させるためには、熱、光、電子線などを用いることができる。
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましい。
また、保護層には、導電性粒子などを必要に応じて添加することもできる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
また、電子写真感光体の最表面の層(表面層)には、シリコンオイル、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子などの潤滑剤を含有させてもよい。
次に本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略断面図の一例を図3に示す。図3に示すフルカラー用電子写真装置は、上部にデジタルフルカラー画像リーダー部、下部にデジタルフルカラー画像プリンター部を有する。
リーダー部において、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像を、レンズ33によりフルカラーセンサー34に集光し、フルカラー色分解画像信号を得る。フルカラー色分解画像信号は、増幅回路(不図示)を経て、ビデオ処理ユニット(不図示)にて処理を施され、プリンター部に送出される。
プリンター部において、1は電子写真感光体であり、矢印方向に回転自在に担持され、電子写真感光体1の周りに前露光ランプ11(除電手段)、コロナ帯電器2(帯電手段)、レーザー露光光学系3(露光手段)、電位センサー12、色の異なる4個の現像器4y、4c、4m、4Bk(現像手段)、電子写真感光体上のトナー量検知手段13、転写手段5、クリーニング器6(クリーニング手段)を配置する。
レーザー露光光学系3には青色(紫色)の半導体レーザーが好適に利用できる。発振波長としては380〜500nmが好ましく、より好ましくは380〜450nmである。レーザーの種類としては、ZnSe系半導体レーザー、GaN系半導体レーザーが好ましく、特にGaN系半導体レーザーが好ましい。レーザー露光出力に関しては、1mW以上が好ましく、3mW以上がより好ましく、5mW以上が特に好ましい。
レーザー露光光学系3において、リーダー部からの画像信号は、レーザー出力部(不図示)にてイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザー光がポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3bおよびミラー3cを通って、電子写真感光体1の面に投影される。書き込みピッチは400〜2400dpi程度、ビームスポット径は15〜40μm程度である。
プリンター部画像形成時には、電子写真感光体1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後の電子写真感光体1を帯電器2によりマイナスに一様に帯電させて、各分解色ごとに光像Eを照射し、静電潜像を形成する。
次に、所定の現像器を動作させて、電子写真感光体1上の静電潜像を現像し、電子写真感光体1上に樹脂を基体とした一成分トナーまたは二成分現像剤(何れもネガトナー)による現像像を形成する。現像器は、偏心カム24y、24c、24m、24Bkの動作により、各分解色に応じて択一的に電子写真感光体1に接近するようにしている。
さらに、電子写真感光体1上の現像像を、転写材である紙が収められた転写材カセット7より搬送系および転写手段5を介して電子写真感光体1と対向した位置に供給された紙(転写材)に転写する。転写手段5は、本例では、転写ドラム5a、転写帯電器5b、紙(転写材)を静電吸着させるための吸着帯電器5cと対向する吸着ローラー5g、内側帯電器5d、外側帯電器5eとを有し、回転駆動されるように軸支された転写ドラム5aの周面開口域には誘電体からなる転写材担持シート5fを円筒状に一体的に張設している。転写材担持シート5fはポリカーボネートフィルムなどの誘電体シートを使用している。
転写ドラム5aを回転させるにしたがって、電子写真感光体上の現像像は転写帯電器5bにより転写材担持シート5fに担持された紙(転写材)上に転写する。
このように転写材担持シート5fに吸着搬送される紙(転写材)には所望数の色画像が転写され、フルカラー画像を形成する。
フルカラー画像を形成する場合、このようにして4色の現像像の転写を終了すると、紙(転写材)を転写ドラム5aから分離爪8a、分離押し上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用によって分離し、熱ローラー定着器9を介してトレイ10に排紙する。
一方、転写後の電子写真感光体1は、表面の残留トナーをクリーニング器6で清掃した後、再度画像形成工程に供される。
紙(転写材)の両面に画像を形成する場合には、定着器9を排出後、すぐに搬送パス切替ガイド19を駆動し、搬送縦パス20を経て、反転パス21に一旦導いた後、反転ローラー21bの逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして送り込まれた方向と反対向きに退出させ、中間トレイ22に収納する。その後、再び上述した画像形成工程によってもう一方の面に画像を形成する。
また、転写ドラム5aの転写材担持シート5f上の粉体の飛散付着、紙(転写材)上のオイルの付着などを防止するために、ファーブラシ14と転写材担持シート5fを介して該ブラシ14に対向するバックアップブラシ15や、オイル除去ローラー16と転写材担持シート5fを介して、該オイル除去ローラー16に対向するバックアップブラシ17の作用により清掃を行う。このような清掃は画像形成前もしくは後に行い、また、ジャム(紙詰まり)発生時には随時行う。
また、本例においては、所望のタイミングで偏心カム25を動作させ、転写ドラム5aと一体化しているカムフォロワ5iを作動させることにより、転写材担持シート5fと電子写真感光体1とのギャップを任意に設定可能な構成としている。例えば、スタンバイ中または電源オフ時には、転写ドラムと電子写真感光体の間隔を離す。
次に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジの概略断面図の一例を図4に示す。
図4において、41は円筒状の電子写真感光体であり、軸42を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体41の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)43により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)44を受ける。こうして電子写真感光体41の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体41の表面に形成された静電潜像は、現像手段45の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体41の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)46からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体41と転写手段46との間(当接部)に電子写真感光体41の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体41の表面から分離されて定着手段48へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体41の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)47によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図4に示すように、帯電手段43が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体41、帯電手段43、現像手段45、転写手段46およびクリーニング手段47などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図4では、電子写真感光体41と、帯電手段43、現像手段45およびクリーニング手段47とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段50を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ49としている。
次に、本発明の電子写真感光体に用いられる現像剤(トナー)について説明する。
本発明に用いられるトナーは特定な粒度分布をもつことが好ましい。粒径が5μm以下のトナー粒子が17個数%未満であると、トナー消費量が増加する傾向にある。さらに、体積平均粒径(Dv[μm])が8μm以上であり、重量平均粒径(D4[μm])が9μm以上であると、100μm以下のドット解像性において低下傾向にあり、本発明において達成可能である15〜40μmのドット解像性においてはさらに顕著に低下する。この際、他の現像条件の無理な設計によって現像しようとしても、ライン太りやトナーの飛び散りを生じやすく、また、トナー消費量が増大するなど安定した現像性を得ることが難しい。
一方、粒径が5μm以下のトナー粒子が90個数%を超えると、現像を安定にすることが難しく、画像濃度が低下するなどの弊害を生じることがある。さらに解像力を向上させるためには、3.0μm≦Dv≦6.0μm、3.5μm≦D4<6.5μmの微粒径トナーであることが好ましい。さらには、3.2μm≦Dv≦5.8μm、3.6μm≦D4≦6.3μmであることがより好ましい。
トナーに使用される結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系単または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
定着時の定着部材からの離型性の向上、定着性の向上の点から、次のようなワックス類をトナー中に含有させることも好ましい。パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックスおよびその誘導体などである。誘導体としては、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体、グラフト変性物などが挙げられる。その他、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、酸アミド化合物、エステル化合物、ケトン化合物、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物性ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムなども利用できる。
トナーに用いられる着色剤としては、従来知られている無機顔料、有機染料、有機顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーなどが挙げられる。これらは通常、結着樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部使用される。
トナーの構成成分として磁性体を用いていてもよい。磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含む磁性金属酸化物が挙げられる。それら中でも、四三酸化鉄、γ−酸化鉄のような磁性酸化鉄を主成分とするものが好ましい。
トナーの帯電制御の目的で、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、サリチル酸金属錯体、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属錯体、サリチル酸、アセチルアセトンなどを用いることができる。
本発明の電子写真感光体に用いられるトナーは、トナー粒子表面上に無機微粉体を有していることが好ましく、現像効率、静電潜像の再現性および転写効率を向上させ、カブリを減少させる効果がある。
無機微粉体としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどで形成された微粉体が挙げられる。これらのものを1種類あるいは2種類以上を混合して使用することができる。それらの中でも、チタニア、アルミナ、シリカのような酸化物あるいは複酸化物の微粉体が好ましい。
また、これらの無機微粉体は疎水化されていることが好ましい。特に、無機微粉体はシランカップリング剤またはシリコーンオイルで表面処理されていることが好ましい。このような疎水化処理方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着するシランカップリング剤、チタンカップリング剤のような有機金属化合物で処理する方法、もしくは、シランカップリング剤で処理した後、あるいは、シランカップリング剤で処理すると同時にシリコーンオイルのような有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、特には50〜400m/gの範囲のものが好ましい。疎水化処理された無機微粉体の使用量は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜8質量部であることが好ましく、さらには0.1〜5質量部であることがより好ましく、特には0.2〜3質量部であることがより一層好ましい。
トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で、さらに他の添加剤を加えてもよい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末や、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末のような研磨剤や、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末のような流動性付与剤や、ケーキング防止剤や、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末のような導電性付与剤や、トナーとは逆極性の有機微粒子および無機微粒子のような現像性向上剤などが挙げられる。
トナーを作製するには、公知の方法が用いられる。例えば、結着樹脂、ワックス、金属塩または金属錯体、着色剤としての顔料、染料、または、磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合器により十分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶させた中に、金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解させ、冷却固化後、粉砕、分級を厳密に行ってトナーを得ることができる。分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
重合性モノマーと着色剤などを水系溶媒中に懸濁し、重合を行い、直接トナー粒子を製造する方法、乳化重合方法などにより得られた重合体微粒子を水系媒体中に分散し、着色剤と共に会合融着する方法で製造することもできる。
さらに、トナーは、磁性一成分系現像剤あるいは非磁性一成分現像剤として用いてもよいし、キャリア粒子と混合して二成分現像剤として用いてもよい。
本発明の電子写真感光体の現像方式としては、トナーを含む現像剤と電子写真感光体表面とが接触し、反転現像方式が好ましい。トナーと磁性キャリアとを使用する磁気ブラシ現像方法を用いる場合は、磁性キャリアとして、例えば、磁性フェライト、マグネタイト、鉄粉、あるいは、それらをアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂のような樹脂でコーティングしたものが用いられる。
以下に、本願発明を実施例に基づきより具体的に説明するが、本願発明を限定するものではない。
合成例1(例示化合物1−14の合成)
3Lビにイオン交換水(電導度1×10−4S/m以下、以下同様)1500ml、濃塩酸45.6ml(0.50モル)と4,4’−ジアミノベンゾイルビフェニル18g(0.062モル)を入れて0℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウム9.045g(0.13モル)をイオン交換水22.5mlに溶かした液を液温−1〜3℃に保ちながら26分かけて液中滴下した。その後、液温0〜5℃で60分間撹拌した後、活性炭1.5gを加えて5分間攪拌した後、吸引濾過した。この濾液を液温0〜5℃に保ったままホウフッ化ナトリウム23.993g(0.22モル)をイオン交換水80mlに溶解した液を17分かけて撹拌下に滴下した後、40分間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過した。次に濾過物を5%のホウフッ化ナトリウム水溶液600mlで液温0〜5℃に保ったまま40分間分散洗浄した後、吸引濾過した。さらに濾過物をアセトニトリル450mlとイソプロピルエーテル1000mlの混合液で液温0〜5℃に保ったまま40分間分散洗浄し吸引濾過した。アセトニトリル200mlとイソプロピルエーテル500mlの混合液で2回濾過器洗浄した後、濾過物を室温で減圧乾燥してホウフッ化塩を得た(収量22.63g、収率74.6%、分解点125.5℃)。
次に300mlビにN,N−ジメチルホルムアミド100mlを入れ、下記構造式(7)の化合物2.43g(0.0065モル)を溶解し液温0℃に冷却した後、上記で得たホウフッ化塩1.5g(0.0031モル)を添加後、1分間攪拌した後に、N−メチルモルホリン0.72g(0.0071モル)を3分間かけて滴下した。その後、液温0〜5℃で2時間撹拌、さらに室温で1時間攪拌した後、吸引濾過した。N,N−ジメチルホルムアミド200mlで濾過器洗浄を2回行った。取り出した濾過物を、N,N−ジメチルホルムアミド150mlで2時間の分散洗浄を4回、さらにイオン交換水200mlで2時間の分散洗浄を4回行った後、凍結乾燥して例示化合物1−14を得た。(収量2.32g、収率70.9%)。なお、以上の製造工程は全て黄色光下で実施した。
Figure 0004411258
(合成例2)
例示化合物(4−3)で示される構造を有するアミン化合物を以下のとおりにして合成した。
・工程1
1,1−ビス(4−(4−アミノフェニル))シクロヘキサン125g(470mmol)、4−メチルブロモベンゼン500g(3.4mol)、酢酸パラジウム5.3g(23.5mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド500g(5.2mol)を混合し、o−キシレン700ml中で攪拌しながら113℃まで昇温させ、反応終了後に濾過し、活性白土処理を行って残留物を得た。
この残留物をシリカゲルカラムクロマトにてトルエン/n−へキサン=1/2で展開させて精製を行い、粗中間体を得た。さらに、アセトン/n−へキサン=1/10の比率の溶剤330mlを用いて再結晶化を行い、中間体である1,1−ビス(4−(4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサンを得た。収量120g、収率57%であった。
・工程2
次に、1,1−ビス(4−(4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン57g(127.6mmol)、9,9−ジメチル−2−ヨードフルオレン102g(318mmol)、炭酸カリウム44g(318.8mmol)および銅触媒25g(393.7mmol)を混合し、o−ジクロロベンゼン300ml中で攪拌しながら195℃まで昇温させて還流した。8時間反応させた後、銅触媒を15g追加し、さらに16時間反応させた。
反応終了後、トルエン400mlを加えて熱時濾過し、洗浄した後、溶剤を減圧留去した。
得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトにてトルエン/n−へキサン=1/2で展開させて精製を行い、粗生成物を得た。さらに、ジメチルホルムアミド/アセトン/メタノール=120g/120g/40gの混合溶剤を用いて加熱溶解後、冷却し、再結晶化させた。この再結晶化を2回繰り返し、生成物である例示化合物(4−3)で示される構造を有するアミン化合物を得た。収量80g、収率75.4%、HPLC純度99.6%であった。
得られた例示化合物(4−3)で示される構造を有するアミン化合物のIRスペクトルを図5に、H−NMRスペクトルを図6に示す。
測定装置および条件は以下のとおりである。
・NMR
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子(株)製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μS
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数:100回
測定温度:25℃
測定用サンプル:測定試料50mgを直径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl3(TMS0.05%)を添加することによって調製した。
・IR
測定装置:FT−IR420(日本分光(株)製)
分解能:4cm−1
積算回数:16回
測定用サンプル:測定試料5mgをKBrに混合することによって調製した。
H−NMRスペクトルより得られたCDCl3中TMS基準の化学シフト(ppm)を以下に示す。
7.60(d):2.0H,
7.53(d):2.0H,
7.36(d):2.0H,
7.29(td):1.7H,
7.21〜7.25(m):3.0H,
7.12〜7.15(m):5.7H,
6.98〜7.06(m):14.0H,
2.32(s):5.5H,
2.23(s):3.4H,
1.54〜1.58(m):10.7H,
1.39(s):12.6H.
(実施例2−10
正孔輸送物質としての例示化合物(5−2)85部およびポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学(株)製)100部を、クロロベンゼン925部に溶解して塗布液10とした。
この塗布液10を用いて、例示化合物(5−2)の溶解性および耐析出性について評価した。
まず、塗布液を調製後、室温にて8時間攪拌後、例示化合物(5−2)の溶解性を目視にて評価した。
また、目視にて塗布液が均一に溶解していることを確認した後、室温に放置し、1日後、3日後、2ヶ月後の塗布液を目視し、塗布液10中での例示化合物(5−2)の析出の有無を評価した(耐析出性の評価)。評価結果は、目視にて均一な液であればAとし、一部析出が発生している場合はBとし、析出が発生して完全に不均一な溶液となっている場合はCとした。
評価結果に示す。
(実施例2−11
実施例2−10において、例示化合物5−2)の使用量を85部から100部に増やした以外は、実施例2−10と同様にして塗布液を調製し、溶解性および耐析出性について実施例2−10と同様にして評価した。評価結果を表に示す。
(実施例2−12
実施例2−10において、上記式(5−2)で示される構造を有するアミン化合物の使用量を85部から170部に増やした以外は、実施例2−10と同様にして塗布液を調製し、溶解性および耐析出性について実施例2−10と同様にして評価した。評価結果を表に示す。
(実施例2−13〜2−15)
実施例2−10〜2−12において、例示化合物(5−2)を例示化合物(4−3)に変更した以外は同様にサンプルを作成し、評価を行った。評価結果に示す。
(実施例2−16〜2−20)
実施例2−12において、例示化合物(5−2)に替えて、表に示すとおりの混合剤に変更した以外は同様にサンプルを作成し、評価を行った。評価結果を表に示す。例示化合物(6−2)および(6−3)は以下のとおり。
Figure 0004411258
(比較例2−1)
実施例2−10において、例示化合物(5−2を正孔輸送物質としての例示化合物(C−3)に変更した以外は、実施例2−10と同様にして塗布液を調製し(塗布液21とする)、評価した。評価結果を表に示す。なお、この塗布液21には、一部溶解しなかった例示化合物(C−3)が存在した。
Figure 0004411258
(比較例2−2)
実施例2−10において、例示化合物(5−2を正孔輸送物質としての例示化合物(C−4)に変更した以外は、実施例2−10と同様にして塗布液を調製し(塗布液22とする)、評価した。評価結果を表2に示す。なお、この塗布液22には、一部溶解しなかった例示化合物(C−4)が存在した。
Figure 0004411258
Figure 0004411258
(実施例3−
アルミニウム素管(ED)(昭和電工(株)製、直径30mm×長さ370mm、Rzjis=0.8μm)を液体ホーニング処理したシリンダー(Rzjis=1.8μm)上に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部とブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液をディッピング塗工し、100℃で10分間乾燥して0.5μmの中間層を設けた。
次に、ビスアゾ顔料(例示化合物1−1)15部をテトラヒドロフラン215部に添加し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で25℃、40時間前分散した。さらに、ポリ(ビニル・アセテート−コ−ビニル・アルコール−コ−ビニル(p−フルオロ)ベンザール)、(ベンザール化度85mol%、重量平均分子量160000)5部をテトラヒドロフラン45部に溶解した溶液を添加し、サンドミル装置で30℃、5時間分散した後、これにテトラヒドロフラン150部とシクロヘキサノン175部を添加、希釈して電荷発生層用溶液を作製し、この塗料を中間層上にディッピング塗工し、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
次に、液が均一になってから1日放置した後の上記実施例2−10で調製した塗布液10を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを100℃にて30分間乾燥させることによって、膜厚が10μmの正孔輸送層を形成した。
次に、下記式(8)で示される構造を有する電荷輸送物質36部、
Figure 0004411258
およびポリテトラフルオロエチレン樹脂微粉末(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)4部をn−プロピルアルコール60部に混合した後に超高圧分散機にて分散混合し、表面保護層用塗料を調整した。この塗料を用いて、前記正孔輸送層上に保護層を塗布したのち、窒素中において加速電圧150V、線量1.5Mradの条件で電子線を照射した後、引き続いて感光体の温度が120℃になる条件で3分間加熱処理を行った。このときの酸素濃度は20ppmであった。さらに、感光体を大気中で110℃、1時間後処理を行って、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
この電子写真感光体にキヤノン(株)製複写機GP215用のギアおよびフランジを取り付け、それぞれ同複写機用のプロセスカートリッジに装着した。
これらプロセスカートリッジをそれぞれキヤノン(株)複写機GP215に装着して画像を出力し、初期および10000枚出力後の電子写真感光体の表面のトナー像を評価した。具体的には、帯電設定として感光体上の初期帯電電位を−700Vとなるように設定し、光量設定としてベタ黒出力時における感光体上の電位が−200Vとなるように設定を行った上で、初期および10000枚出力後に、トナーを平均粒径5μmの磁性トナーにして孤立ドットおよび線画像を電子写真感光体の表面に形成させ、これらを光学顕微鏡で観察しドット再現性と線画像再現性を評価した。
なお、画像出力時の環境は23℃/5%RHであり、また、画像出力に用いたキヤノン(株)複写機GP215は、露光手段を発振波長407nmの半導体レーザー(露出力5mWのGaN系チップ、ビームスポット径30μm、日亜化学工業(株)製)に変更した改造機である。また、画像出力のモードは、プリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。
評価結果は、以下のとおりである。
ドット再現性
A:飛び散りが非常に少なく、ドットが鮮明
B:やや飛び散りが見られるが、ドットはほぼ鮮明
C:飛び散りによりドットがやや不鮮明
D:飛び散りが多く、ドットが不鮮明
線画質
A:線がシャープ
B:一部境界領域がはっきりしない部分があるが、線はほぼ鮮明
C:線がやや不鮮明
D:線が不鮮明
また環境安定性評価については実施例1と同様に行った。
評価結果を表に示す。
(実施例3−6〜3−15および比較例3−1〜3−2)
実施例3−において正孔輸送層の塗布液10に替えて、表に示すとおりの塗布液に変更した以外は同様にサンプルを作成し、評価を行った。評価結果を表に示す。
Figure 0004411258
本発明の、青色(紫色)半導体レーザー光源に対し高い分光感度を有し、耐久を通じて電位変動が小さく、安定した高解像度な画像を得ることができる電子写真感光体は、電子写真方式を採用する、複写機、プリンター、ファクシミリ、製版システムなどの画像形成装置に好適に利用することができる。
有機感光体の層構成の例を示す断面図である。 有機感光体の層構成の例を示す断面図である。 電子写真装置の概略断面図の1例である。 プロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略断面図の1例である。 例示化合物(4−3)で示される構造を有するアミン化合物のIRスペクトルである。 例示化合物(4−3)で示される構造を有するアミン化合物のH−NMRスペクトルである。
a 支持体
b 感光層
c 電荷発生層
d 正孔輸送層
e 電荷発生物質
1 電子写真感光体
1a 軸
2 コロナ帯電器
2a 接触帯電手段
3 レーザー露光光学系
3a ポリゴンミラー
3b レンズ
3c ミラー
4 現像手段
4y 現像器
4c 現像器
4m 現像器
4Bk 現像器
5 転写手段
5a 転写ドラム
5b 転写帯電器
5c 吸着帯電器
5d 内側帯電器
5e 外側帯電器
5f 転写材担持シート
5g 吸着ローラー
5h 分離帯電器
5i 接触転写手段
6 クリーニング器
7 転写材カセット
7a 転写材
8a 分離爪
8b 分離押し上げコロ
9 熱ローラー定着器
10 トレイ
11 前露光ランプ
12 電位センサー
13 トナー量検知手段
14 ファーブラシ
15 バックアップブラシ
16 オイル除去ローラー
17 バックアップブラシ
19 搬送パス切替ガイド
20 搬送縦パス
21 反転パス
21b 反転ローラー
22 中間トレイ
24y 偏心カム
24c 偏心カム
24m 偏心カム
24Bk 偏心カム
25 偏心カム
5i カムフォロワ
30 原稿
31 原稿台ガラス
32 露光ランプ
33 レンズ
34 フルカラーセンサ
35,36,37 容器
E 光像
L 露光光
41 電子写真感光体
42 軸
43 帯電手段
44 露光光
45 現像手段
46 転写手段
47 クリーニング手段
48 定着手段
49 プロセスカートリッジ
50 案内手段
P 転写材

Claims (5)

  1. 支持体および該支持体上に設けられた感光層を有し、該感光層が電荷発生層および正孔輸送層の少なくとも層からなる電子写真感光体において、
    電荷発生層が、電荷発生物質として記一般式(1)で示される化合物を含有し、
    正孔輸送層が、正孔輸送物質として下記一般式(4)または(5)で示される化合物を含有する
    ことを特徴とする電子写真感光体:
    Figure 0004411258

    (一般式(1)中、Ar およびAr は置換基を有してもよいアリール基を示し、Yは
    Figure 0004411258

    を示す。)
    Figure 0004411258

    (一般式(4)中、R 40 はアルキル基を示す。)
    Figure 0004411258

    (一般式(5)中、R 50 はビフェニリル基を示す。)
  2. 前記一般式(4)中の40がメタ位もしくはパラ位に付加したメチル基である請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 前記正孔輸送層に含有される正孔輸送物質と結着樹脂の比率が11/10〜20/10である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段と、発振波長が380〜500nmである半導体レーザーを用いたイメージ露光手段と、現像手段と、転写手段と、を備えていることを特徴とする電子写真装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリニング手段からなる群より選ばれる少なくともつの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカトリッジ。
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