JP2015018035A - 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光層塗液の粒子分散性および分散安定性に優れ、かつ長期にわたって安定した高品位な画質を形成できる電子写真感光体の提供を課題とする。
【解決手段】導電性基体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、その表面層が、酸素含有フッ素系微粒子を含有し、かつ、該微粒子中の酸素含有組成比が、蛍光X線による組成分析において、微粒子全体の0.9〜3.0原子%であることを特徴とする電子写真感光体により、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関する。より具体的には、本発明は、感光体表面層が酸素含有フッ素系微粒子を含有する電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタまたはファクシミリ装置などとして用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
先ず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器によって所定の電位に一様に帯電させる。
次いで、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光などの光によって露光し、静電潜像を形成する。
形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。
形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。
しかしながら、転写手段による転写動作の際に感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナーおよび付着紙粉などの異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。
また近年ではクリーナーレス化技術が進み、独立したクリーニング手段を有することなく現像手段に付加されるクリーニング機能によって残留トナーを回収する、いわゆる現像兼クリーニングシステムで上記異物を除去する方法もある。
この方法では、感光体表面をクリーニングした後、除電器などによって感光層表面を除電し、静電潜像を消失させる。
このような電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体は、導電性材料から成る導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成される。
電子写真感光体としては、無機系の光導電性材料や有機系の光導電性材料(以下、有機光導電体という。Organic Photoconductor;略称:OPC)を用いた感光体が挙げられるが、近年の研究開発により、有機系感光体の感度および耐久性が向上したため、現在では有機系感光体がよく用いられている。
この電子写真感光体の構成は、近年になって、感光層が電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とに機能分離した積層型感光体が主流となってきている。また、その多くは、電荷発生材料を蒸着あるいはバインダー樹脂中に分散した電荷発生層の上に、電荷輸送能を有する電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分子状に分散させた電荷輸送層を積層した負帯電型の感光体である。その他に電荷発生材料と電荷輸送材料を同一バインダー樹脂中に均一分散・溶解させた単層型感光体も提案されている。
更に印画画像品質の向上のために、導電性基体と感光層の間に下引き層を設けることも行われている。
有機系感光体の欠点として、有機系材料の性質上、感光体周りのクリーナー等の摺刷にともなう表面の摩耗が挙げられる。この欠点を克服する手段として、感光体表面の材料の機械的特性を向上させることが、現在までなされている。
取り組みとして、感光体の最表面層に保護層を設け、潤滑性を付与する(例えば、特開平1−23259号公報:特許文献1)、保護層にフィラー粒子を含有させる(例えば、特開平1−172970号公報:特許文献2)などの方法が知られている。その中で、フィラーとして表面にフッ素系粒子を加える検討もなされてきている(例えば、特許3416310公報:特許文献3)。フッ素系粒子の特徴として、材料由来の高い潤滑機能から、フィラーとして、感光体の機械的特性を向上させるだけでなく、潤滑性を付与することによって、感光体プロセス中に接触する部材との摩擦力を低減させることも、感光体表面の耐刷性向上に寄与している。
フッ素系微粒子、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子は、材料として優れた潤滑機能を有する一方で、微粒子を形成するPTFE分子が極性を有さないため該微粒子の凝集力が非常に大きくなり、該粒子の分散液を作製する際に分散性が極端に悪いという欠点がある。それ故、感光体用としてPTFE微粒子を分散させる場合、分散剤を使用する必要が生じ(例えば、特許3186010公報:特許文献4)、結果として、感光体電気特性を悪化させることになる。
特開平1−23259号公報 特開平1−172970号公報 特許3416310号公報 特許3186010公報
上記のように、フッ素系微粒子を感光体表面層に添加する際には、分散剤の使用が不可避であり、この分散剤の添加にともなう感光体の電気特性の悪化が生じる。また、分散剤の添加でも、十分な分散安定性を、現状確保できていない。
そこで本発明では、酸素含有フッ素系微粒子を、感光体表面に添加することにより、優れた耐摩耗性と感光体特性を安定的に確保するだけでなく、感光体塗液としての分散安定性を向上させることにより、感光体表面層における酸素含有フッ素系微粒子が均一に分散した電子写真感光体の生産安定性を確保することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、導電性基体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、その感光体の最表面層に特定の手法により得られた酸素含有フッ素系微粒子を一定の割合で含有させることにより、感光体塗液としての分散安定性に優れるとともに、耐摩耗性にすぐれ、かつ電気的にも安定した感光体を提供できることを見出し本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、導電性基体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、その表面層が、酸素含有フッ素系微粒子を含有し、かつ、該微粒子中の酸素含有組成比が、蛍光X線による組成分析において、微粒子全体の0.9〜3.0原子%であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記酸素含有フッ素系微粒子が、
ポリテトラフルオロエチレン微粒子を大気中コバルト60によるγ線を照射したものであるか、あるいは、
テトラフルオロエチレンモノマーを原料とし、次の工程:
(a) テトラフルオロエチレンモノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって前記テトラフルオロエチレンモノマーを重合させて、前記混合溶液をゲル状態のポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体とする工程;
(b) 前記ポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって前記ポリテトラフルオロエチレンを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程;および任意の
(c)前記微粒子懸濁液から分離・乾燥により酸素含有フッ素系微粒子を単離する工程;
により得られたものである請求項1に記載の電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記酸素含有フッ素系微粒子が、組成比1.0〜3.0原子%の酸素を含有し、前記酸素含有フッ素系微粒子が、0.1〜2μmの1次粒子のメジアン径(D50)を有する前記電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、前記感光体表面層が、酸素含有フッ素系微粒子1.0〜40wt%を含有する前記電子写真感光体が提供される。
さらに、前記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段を備える画像形成装置が提供される。
本発明によれば、電子写真感光体の最上層に特定の作成方法により重合されたフッ素系微粒子を含有させることにより、感光体塗液としての分散安定性が高く、かつ耐磨耗性が高く長期にわたって電気的に安定な電子写真感光体および該感光体を備える画像形成装置を提供することが可能となった。
本発明の実施の形態1に係る電子写真感光体の構成を示す模式図(断面図)である。 本発明の実施の形態2に係る電子写真感光体の構成を示す模式図(断面図)である。 本発明の実施の形態3に係る電子写真感光体の構成を示す模式図(断面図)である。 本発明の実施の形態4に係る画像形成装置の構成を示す模式図(側面図)である。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に設けた感光層の最上層が特定量の酸素含有フッ素系微粒子を含有することを特徴とする。
本発明による感光体は、単層型、積層型いずれのタイプを適用することも可能である。また最表面層として電荷輸送層を有してもよいし、別途最表層として保護層を設けてもよい。また、下引き層を用いることにより、更に電気的に安定化することが可能である。
また、本発明の実施形態において、使用されるフッ素系微粒子は、特定の酸素組成比を有する。即ち、その微粒子中の含有酸素組成比が、蛍光X線による組成分析において、微粒子全体の0.9〜3.0原子%(以下、単に%でも表す)であり、より好ましくは1.0〜3.0原子%である。
係る含有酸素組成比を所望の範囲に納めるためには、放射線によるフッ素系微粒子の構造変体が必須である。すなわち放射線としてはγ線の照射が好ましく、フッ素系微粒子にγ線の線量を変えて照射することにより、所望の酸素組成比が得られる。
詳細は明らかではないが、以下の実施例に記載のように、γ線照射されたPTFE微粒子近傍に存在する、空気中の酸素、二酸化炭素または使用する溶媒に由来する酸素を取り込むことによって酸素含有フッ素系微粒子(酸素含有架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ともいう)が形成されるものと考えられる。
また、電子線の照射によっても同様な酸素導入は可能である。
さらに、より好ましくは本発明における酸素含有フッ素系微粒子は、前記酸素含有フッ素系微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を大気中コバルト60によるγ線を照射したものであるか、あるいは、テトラフルオロエチレンモノマーを原料とし、次の工程:
(a) テトラフルオロエチレンモノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって前記テトラフルオロエチレンモノマーを重合させて、前記混合溶液をゲル状態のポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体とする工程;
(b) 前記ポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって前記ポリテトラフルオロエチレンを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程;および任意の
(c)前記微粒子懸濁液から分離・乾燥により酸素含有フッ素系微粒子を単離する工程;
により得られる上記の微粒子懸濁液由来であるか、または上記の分離された酸素含有フッ素系微粒子であってもよい。
本発明の画像形成装置は、前記電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段を備えることを特徴とするが、さらに、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段とを備えてもよい。また、本発明の画像形成装置は、前記電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段とを備える構成であってもよい。
以下、本発明の実施形態および実施例について、図1〜4を参照しながら具体的に説明する。なお、以下に記述する実施形態および実施例は本発明の具体的な一例に過ぎず、本発明はこれらよって限定されるものではない。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子写真感光体の構成を示す模式図(断面図)である。
この実施の形態1に係る電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11上に、下引き層15、ならびに電荷発生物質を含有する電荷発生層12および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13がこの順で積層された感光層14から構成された積層型感光体である。
導電性基体(以下、導電性支持体とも称する)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、その上に配置される層、すなわち下引き層15および感光層14の支持部材としても機能する。
なお導電性基体11の形状は、この実施形態1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金等の導電性金属;またはアルミニウム合金などの合金;酸化錫および酸化インジウム等の金属酸化物を用いることができる。
またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ポリオキシメチレンもしくはポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどの表面に上記金属箔をラミネートしたもの;上記金属材料を蒸着したもの;または導電性高分子、酸化錫、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどを用いることもできる。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。
レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。
しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することもできる。
下引き層(以下、中間層とも称する)
導電性基体11と感光層14との間に下引き層15がない場合、導電性基体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽちなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥を生じることがある。下引き層を設けることによって、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。
したがって、下引き層15を設けることにより、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止できる。
さらに下引き層15を設けることによって、導電性基体11表面の凸凹を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高め、かつ感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
この下引き層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
下引き層15としての樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース、ニトロセルロースおよびエチルセルロースなども挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。
好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどの、いわゆるナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
そして下引き層に電荷調整機能をもたせるためには、金属酸化物微粒子であるフィラーが添加される。このようなフィラーとしては例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化錫などの粒子を挙げることができる。金属酸化物の粒子径としては、0.01〜0.3μm程度が適当であり、好ましくは0.02〜0.1μm程度ある。
なお、下引き層15は、例えば上記の樹脂を適当な溶剤中に溶解または分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。
下引き層15に前記の金属酸化物微粒子などの粒子を含有させる場合には、例えば前記の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、酸化チタン等の金属酸化物微粒子を分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって下引き層15を形成することができる。
下引き層用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、またはこれらの混合溶剤が用いられる。たとえば、水またはメタノール、エタノールもしくはブタノールなどのアルコールを単独で、または水とアルコール、2種類以上のアルコール混液、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどのハロゲン系有機溶剤とアルコールなどの混合溶剤が用いられる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前記の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカーなどを用いる一般的な分散方法を使用することができる。
また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することが可能となる。
下引き層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。
これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
下引き層15の膜厚は、0.01μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.05μm〜10μmである。
下引き層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、実質的に下引き層15として機能せず、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止できずに、感光層14の帯電性の低下が生じるので好ましくない。
また、下引き層15の膜厚を20μmよりも厚いと、浸漬塗布法による下引き層15の形成が困難になるとともに、下引き層15上に感光層14を均一に形成できず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
したがって、下引き層15の膜厚の好適な範囲は、0.01〜20μmである。
電荷発生層
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。
上記の電荷発生物質としては、有機系顔料を含む有機系光導電性材料および無機顔料を含む無機系光導電性材料が挙げられる。
上記有機系光導電性材料としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料が挙げられる。
また、上記無機系光導電性材料としては、セレンおよびその合金、ヒ素-セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。
電荷発生物質は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用してもよい。
電荷発生層12の形成方法としては、前記の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、または前記の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法などが用いられる。
これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。
共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばジクロロメタンもしくはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンもしくはシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランもしくはジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素類、またはN,N−ジメチルホルムアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。
上記の溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。上記の溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上の混合溶剤として使用してもよい。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)〜100分の400(400/100)であることが好ましい。
前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下し易い。
逆に、前記比率W1/W2が400/100を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大するので、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。
したがって、前記比率W1/W2の好適な範囲は、10/100〜400/100である。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。
粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
また、電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。
これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。
これらの塗布方法の中でも、特に前記の下引き層の塗布方法で述べた浸漬塗布法が好ましい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1μmである。
電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収による電荷発生効率が低下し、感光体1の感度が低下する。
逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、光の吸収効率が低下する上に、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。
したがって、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲は、0.05μm〜5μmである。
電荷輸送層
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂とを含んで構成される。
上記の電荷輸送物質としては、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体などを挙げることができる。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂には、透明性や耐刷性に優れるなどの理由から、当該分野で周知のポリカーボネートを主成分とする樹脂が好適に選択される。
その他に、第2成分として、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物を使用してもよい。
なお、上記の主成分とは、ポリカーボネート樹脂の重量%が、電荷輸送層を構成する総結着樹脂中で最も高い割合を占めることを意味し、より好ましくは50〜90重量%の範囲であることを意味する。
また、上記の第2成分としての樹脂は、上記総結着樹脂中10〜50重量%の範囲で用いられ得る。
また、電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、重量比で10/10〜10/18の範囲が好ましい。
電荷輸送層13が、感光体の最外層である場合には、当該輸送層の耐摩耗性等を向上させる目的で、フィラー粒子を添加できる。
フィラー粒子には、大別して、有機系フィラー粒子と金属酸化物を中心とする無機系フィラー粒子がある。
電荷輸送層13の耐摩耗性を向上させるための機械的特性の観点からは、フィラー粒子として硬度が比較的高い金属酸化物を用いるほうが有利である場合が多い。
しかしながら、フィラー粒子が、電荷輸送層13に添加される場合には、電荷輸送層13の電気特性などを損なわないことなどの以下の要件がフィラー粒子に求められる。
すなわち、電荷輸送層13内での比誘電率が、有機感光体の平均的な比誘電率(εr)≒3より著しく大きい(例えば、εr>10)フィラー粒子を用いると、電荷輸送層13における誘電率が不均一となって電気特性に弊害が生じると考えられる。
したがって、比較的比誘電率の小さいフィラー粒子の方が、電荷輸送層の電気特性に大きな弊害を生じずに電荷輸送層に好適に使用できると考えられる。
よって、電荷輸送層13に添加するフィラー粒子としては、有機系フィラー粒子の方が、一般に比誘電率が高い金属酸化物より有利である。
また、感光体の最外層に潤滑性を付与することを目的とする場合には、フッ素微粒子のような材料の選択が有利となる。
また、光散乱および電荷輸送層13内での電気的キャリアーへの弊害をできるだけ少なくするため、フィラー粒子径が小さいものを使用することが好ましい。具体的には、0.1〜2μmの1次粒子のメジアン径(D50)を有するフィラー粒子が、該フィラー粒子を含む塗布液の分散安定性の観点から好ましい。
フィラー粒子の添加量は、電荷輸送物質と結着樹脂との合計重量(電荷輸送層の固形分)に対して、1〜40wt%であり、好ましくは1.5〜35wt%である。
フィラー粒子の添加量が1wt%未満の場合は、フィラーとしての機能を果たさず耐刷性の向上がみられない。
また40wt%を超える場合は、絶縁性のフィラー微粒子の添加による弊害として、感光体としての電気特性が悪化し、十分な画像濃度を得られず、また、画質欠陥が発生し、実使用上問題となる。
フィラー粒子の分散方法としては、下引き層に添加する酸化物微粒子と同様に、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカーなどを用いる一般的な方法を使用することができる。
また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することもできる。
また、電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。すなわち、成膜性、可撓性または表面平滑性を向上させるために、可塑剤またはレベリング剤などを電荷輸送層13に添加してもよい。
上記可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。
また、上記レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
電荷輸送層13は、前記の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶媒中に、電荷輸送物質、結着樹脂、前記フィラー粒子及び必要な場合には前記添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また上記の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶媒をさらに加えて使用することもできる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前記のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも利用できる。
電荷輸送層13の膜厚はそれぞれ、5μm〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜30μmである。
電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下し、鮮明な画像が得られ難くなるので好ましくない。
また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。
したがって、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲は、5μm〜40μmである。
感光層14の各層には、感度の向上を図り、さらに繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、電子受容物質および色素などの増感剤を1種または2種以上添加してもよい。
上記電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、またはジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料などを用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることもできる。
上記色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また感光層14の各層12および13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加することが好ましく、各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。さらに、電荷輸送層13には、酸化防止剤を添加するのが特に好ましい。この酸化防止剤の電荷輸送層への添加により、オゾン、窒素酸化物などの酸化性ガスに対する感光層の劣化を低減することができる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物またはアミン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、またはこれらの混合物が好適に用いられる。
また、必要に応じて、表面保護層を設ける場合もある。
実施の形態2
上記の実施の形態1では、感光層14が電荷発生層12と電荷輸送層13とで構成される積層型感光層の形態を説明したが、図2に示すように、感光層14が単一の層、すなわち単層型感光層の形態であってもよい。
すなわち、感光体1が、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層14で形成されてもよい。
実施の形態3
また、図3に示すように、電荷輸送層13が複数の層で形成されてもよい。
すなわち、電荷輸送層が、2つの異なる電荷輸送層13Aおよび13Bとが積層されて形成され、酸素含有フッ素系微粒子が最表面の電荷輸送層13Bに添加された形態を示している。つまり、図3は、電荷輸送層13は、第1電荷輸送層13Aと第2電荷輸送層13Bとで構成され、第1電荷輸送層13Aの電荷輸送物質の含有量と第2電荷輸送層13Bの含有量とが異なるように形成され、第2電荷輸送層13Bがフィラー粒子を含有する形態を示している。
このように、複数の層が積層されて電荷輸送層13が構成される場合、電荷輸送層13の表面側の層にフィラー粒子が含有されるとよい。
実施の形態4
図4は、本発明による画像形成装置の構成を示す模式図(断面図)である。
図4に示す画像形成装置30は、本発明の実施の形態1の感光体1を搭載するレーザプリンタである。
以下図4を参照してレーザプリンタ30の構成および画像形成動作について説明する。
なお図4に記載のレーザプリンタ30は、本発明の例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45およびクリーニング手段であるクリーナ46から構成される。
なお、上記の半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34およびミラー35は、露光手段49を構成する。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前記のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
前記のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42よびクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
また、コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。したがって、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、さらに回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナーおよび紙粉などの異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる除電器(除電ランプ)50によって除電された後、さらに回転され、前記の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰り返される。
したがって、本発明によれば、本発明による電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の画像形成装置は、図4に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、上記感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などであり得る。
なお、本発明の画像形成装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であって、その他の形態は本明細書および図面の記載から容易に理解される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
実施例1
中間層の作製
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)3重量部および市販のポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)2重量部を、メチルアルコール25重量部に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、中間層形成用塗工液3kgを調製した。得られた中間層用塗布液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後引き上げ、膜厚1μmの中間層を形成した。
電荷発生層の作製
次いで、電荷発生物質としてCuKα1.541ÅのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン1重量部およびバインダ樹脂としてブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−2、積水化学工業株式会社製)1重量部をメチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液3リットルを調製した。
得られた電荷発生層形成用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の方法で先に設けた下引き層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送層の作製
市販のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子であるルブロンL−2(ダイキン工業社製、1次粒径200〜300nm)200gを1Lのポリプロピレン容器に封入し、常温・常湿(25℃/50%)下で、コバルト60によるγ線を大気中で150kGy照射した。γ線照射後の架橋PTFE微粒子中の酸素組成分比を蛍光X線装置(理学電気社製、ZSX−primAsII)を用いて30kV―100mAの条件にて評価したところ、酸素原子組成比が1.05%である酸素含有架橋PTFE微粒子(酸素含有フッ素系微粒子ともいう)が得られたことが判った。
次いで、電荷輸送物質として以下の式で表される:
化合物(1)(T2269:東京化成工業社製)100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記γ線照射後の架橋PTFE微粒子30重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液を作成後、湿式乳化分散装置マイクロフルイダイザー 社製M−110P装置を用いて、設定圧力:100MPaの条件で5pass操作実施し、電荷輸送層形成用塗工液3kgを調製した。この電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、120℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す積層型感光体を作製した。
実施例2
実施例1と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
その後、電荷輸送層形成用塗工液作成時に、PTFE微粒子として実施例1と同一照射方法により400kGyを照射した酸素含有フッ素系微粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層感光体を作製した。
尚γ線照射後の架橋PTFE微粒子における酸素原子組成比を実施例1と同様に評価した結果、酸素原子組成比が1.55%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
実施例3
実施例1と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
その後、電荷輸送層形成用塗工液作成時に、実施例1と同様のγ線照射方法により700kGyを照射した架橋PTFE微粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の積層感光体を作製した。
尚γ線照射後の架橋PTFE微粒子における酸素原子組成比を実施例1と同様に評価した結果、酸素原子組成比が2.28%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
実施例4
実施例1と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
電荷輸送層の作製
30mlのガラスアンプルにアセトン5mlとテトラフルオロエチレンモノマー(TFE)0.2ml(液体窒素によってガラスアンプル内で一度固化させ、溶解したときの液体の体積で計量)を充填して、TFEが4vol%の混合溶液を調製した。ドライアイス−メタノールの混合物に浸漬して該溶液を−78℃に冷却し、この溶液にコバルト60からのγ線を真空中で60kGy照射した後、室温に戻しポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子の分散液を得た。この分散液を再度−78℃に冷却して同様にγ線を再度照射し、アセトンを濃縮することによる架橋PTFE微粒子分散液の製造を繰り返すことにより、20wt%の架橋PTFE微粒子分散液(0.5kg)を得た。
得られた粒子径は、0.3μmであった。尚、得られた架橋PTFE微粒子液を乾固させ、実施例1〜3と同様に酸素原子組成比を評価したところ酸素原子組成比が1.73%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
次いで実施例1で用いた電荷輸送物質(上記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製))100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記の方法で得られた架橋PTFE微粒子分散液156重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液(1.5kg)を作成後は、実施例1と同様にして積層型感光体を得た。
実施例5
実施例1と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
電荷輸送層の作製
架橋PTFE分散液作製時に、アセトン10mlとTFE0.1mlを添加した以外は、実施例4と同様にして感光体を得た。得られた架橋PTFE微粒子の粒子径は、0.15μmであった。また、実施例4と同様にして該粒子における酸素原子組成比を評価したところ酸素原子組成比が1.7%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
実施例6
電荷輸送層中に含有させるPTFE微粒子をKTL−1N(株式会社喜多村製、1次粒子径2μm)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして積層型感光体を得た。
その際に使用したγ線照射後の架橋PTFE微粒子の酸素原子組成比を実施例4と同様に評価したところ、酸素原子組成比が1.1%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
実施例7
実施例で用いたPTFE微粒子を予め高速乾式粉砕機:ナノジェットマイザー、株式会社アイシンナノテクノロジーズ)を用いて予め粉砕(1次粒子径:0.8μm)にしておいた以外は、実施例6と同様にして感光体を得た。
その際に使用したγ線照射後の架橋PTFE微粒子の酸素原子組成比を実施例4と同様に評価したところ、酸素原子組成比が1.4%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
実施例8
実施例4と同様に、中間層および電荷発生層を作成した後、架橋PTFE微粒子懸濁液を得た。
次いで実施例4で用いた電荷輸送物質(上記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製))100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記の方法で得られた架橋PTFE微粒子分散液21.5重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液(1.5kg)を作成後は、実施例4と同様にして積層型感光体を得た。
実施例9
実施例4と同様に、中間層および電荷発生層を作成した後、架橋PTFE微粒子懸濁液を得た。
次いで実施例4で用いた電荷輸送物質(上記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製))100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記の方法で得られた架橋PTFE微粒子分散液106重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液(1.5kg)を作成後は、実施例4と同様にして積層型感光体を得た。
実施例10
実施例4と同様に、中間層および電荷発生層を作成した後、架橋PTFE微粒子懸濁液を得た。
次いで実施例4で用いた電荷輸送物質(上記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製))100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記の方法で得られた架橋PTFE微粒子分散液230重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液(1.5kg)を作成後は、実施例4と同様にして積層型感光体を得た。
実施例11
実施例2と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
その後、電荷輸送層形成用塗工液作成時に、PTFE微粒子として実施例2と同一照射方法により400kGyを照射した酸素含有フッ素系微粒子を用いて、次いで、電荷輸送物質として前記化合物(1)100重量部(T2269:東京化成工業社製)、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記γ線照射済PTFE微粒子61.5重量部を混合し、実施例2と同様にして積層型感光体を得た。
実施例12
実施例2と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
その後、電荷輸送層形成用塗工液作成時に、PTFE微粒子として実施例2と同一照射方法により400kGyを照射した酸素含有フッ素系微粒子を用いて、次いで、電荷輸送物質として前記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製)100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記γ線照射済PTFE微粒子104重量部を混合し、実施例2と同様にして積層型感光体を得た。
実施例13
電荷輸送層中にPTFE微粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして15μmの第1の電荷輸送層を作成した。その後第2の電荷輸送層として、比較例7と同様な成分比で10μmの第2の電荷輸送層を塗工後、120℃で乾燥し、感光体を形成した。
比較例1
電荷輸送層中にPTFE微粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして感光体を作成した。
比較例2
実施例1と同様のPTFE微粒子を用い、γ線照射を実施しなかった以外は、実施例1と同様に感光体を作成した。
その際に使用した粒子中の酸素原子組成比の評価結果は、0.55%であったが、ここで得られた0.55%という値は、蛍光X線による測定時の白色X線のバックグラウンドレベルであり、実際は、酸素の含有はないと判断した。
比較例3
実施例1と同様のPTFE微粒子を用い(γ線照射はなし)、微粒子の分散剤としてGF−400(東亞合成株式会社製)1重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして感光体を作成した。
比較例4
実施例1と同じPTFE微粒子に1000kGyのγ線を照射した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作成した。
その際に使用したγ線照射後の架橋PTFE微粒子の酸素原子組成比を実施例4と同様に評価したところ、酸素原子組成比が、3.31%である酸素含有架橋PTFE微粒子が得られたことが判った。
比較例5
フッ素系微粒子として、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキル(PFA)MP101(三井デュポンフルオロケミカル株式会社製)を用いた以外は、比較例3と同様にして、感光体を作成した。
その際に使用したPFA粒子中の酸素原子組成比の評価結果は、0.70%であったが、ここで得られた0.70%という値は、蛍光X線による測定時の白色X線のバックグラウンドレベルであり、実際は、酸素の含有はないと判断した。
比較例6
実施例4と同様に、中間層および電荷発生層を作成した後、架橋PTFE微粒子懸濁液を得た。
次いで実施例4で用いた電荷輸送物質(上記化合物(1)(T2269:東京化成工業社製))100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記の方法で得られた架橋PTFE微粒子分散液8重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21重量%の懸濁液を作成後は、実施例4と同様にして積層型感光体を得た。
比較例7
実施例2と同様に、中間層および電荷発生層を作成した。
その後、電荷輸送層形成用塗工液作成時に、PTFE微粒子として実施例2と同一照射方法により400kGyを照射した酸素含有フッ素系微粒子を用いて、次いで、電荷輸送物質として前記化合物(1)100重量部(T2269:東京化成工業社製)、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180重量部、上記γ線照射済PTFE微粒子151重量部を混合し、実施例2と同様にして積層型感光体を得た。
[評価]
1.フィラー粒子の1次粒子径評価
フィラーの1次粒子径は、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S4800)を用いて測定した。
2.電荷輸送層用塗液粒度評価
実施例1〜13および比較例2〜7において、用いた電荷輸送層用塗液中のフィラー分散状態の安定性を、レーザ回折式粒度分布測定装置(マイクロトラクMT−3000II、日機装社製)を用いて評価した。
各塗液は分散終了後直ちに、サンプル管(50cc)中に40cc移し取り、スターラー攪拌(100rpm、15h)実施後の粒度分布(D50)を測定、比較した。
VG(very good):非常に良好(D50<1.0μm)
G(good):良好(1.0≦D50<3.0μm)
NB(not bad):実使用可能なレベル(3.0≦D50<6.0μm)
B(bad):実使用不可(6.0μm<D50)
得られた感光体に対して、デジタル複写機(商品名:MX−2600、シャープ株式会社製)を改造した試験用複写機に実施例/比較例で作成した感光体を搭載し、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(TREC JAPAN社製、model344)を設けて、各感光体の電気特性および画質を評価した。尚、光源は、波長:780nmのレーザ光を使用した。
3.電気評価
まず、上記複写機を用い、現像部での感光体の表面電位、具体的には感光体の感度をみるために露光時における黒地部分の感光体の表面電位VLを測定した。これらの表面電位VLを、25℃/50%RH(相対湿度)の常温/常湿(「N/N」と略す)環境下で、初期および100k枚続繰り返しコピー直後について測定した。
4.画像評価
感光体を複写機搭載後、無地画像を10枚プリントし、そのハードコピー(A3版)1枚当たりの、黒ポチ発生の周期性が感光体の周期と一致し、かつ
目視可能な黒ポチ(直径0.4mm以上)の個数を計測し、その結果を次の基準で判定した。
VG:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が3個/枚以下で良好
G:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が4〜7個/枚であるが実用上問題なし
NB:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が8〜10個/枚であるが実用可能なレベル

B:画像欠陥の発生頻度が11個/枚以上のハードコピーが1枚以上あり、実用上問題あり
5.膜べり評価
実写評価前および、100k枚実写後の感光体膜厚の変化を、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製)を用いて測定し、複写機上の感光体100k回転あたりの膜べり量(Δ)に換算して、フィラーのない感光体と比較した相対レベルで評価した。
VG:改良レベル非常に良好(Δ<0.5μm/100k回転)
G:改良レベル良好(0.5≦Δ<1.0μm/100k回転未満)
NB:改良が見られる(1.0≦Δ<2.0μm/100k回未満)
B:改良が見られない(2.0μm≦Δ)
尚、比較例2の感光体については、膜中のフッ素微粒子の凝集に伴う画質劣化が初期より著しく、100k枚実写後に膜べり量(Δ)の判定ができなかった。
上記の評価によって得られた結果を、フィラー粒子の1次粒子径(μm)、フィラー粒子における酸素組成比、フィラー添加量などと共に表1に示す。
総合評価
上記の評価項目1〜5における評価を以下の判断基準に基づいて総合的に評価した。
VG:各項目とも良好であり、実使用上全く問題なく非常に良好なレベル。
G:1−2項目の悪化がみられるが、実使用上問題なく良好なレベル。
NB:3項目以上の悪化あるが、顕著な悪化はなく、実使用可能なレベル。
B:複数の顕著な悪化項目があり、実使用が困難なレベル。
上記の表から、電子写真感光体の表面層が、酸素含有フッ素系微粒子を含有し、かつ、該微粒子中の酸素含有組成比が、蛍光X線による組成分析において、微粒子全体の0.9〜3.0原子%であり、前記酸素含有フッ素系微粒子が、0.1〜2μmの1次粒子のメジアン径(D50)を有し、前記酸素含有フッ素系微粒子の含有量が1.0〜40%である実施例1〜13による感光体はいずれも、比較例1〜7による感光体より全ての評価項目において優れていることが判った。
本発明によれば、電子写真感光体の最上層に特定の作成方法により重合されたフッ素系微粒子を含有させることにより、感光体塗液としての分散安定性が高く、かつ耐磨耗性が高く長期にわたって電気的に安定な電子写真感光体および該感光体を備える画像形成装置提供が提供される。
1,2 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13,13A,13B 電荷輸送層
14 感光層
15 下引き層(中間層)
30 レーザプリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
33 レーザビーム
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器

Claims (5)

  1. 導電性基体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、その表面層が、酸素含有フッ素系微粒子を含有し、かつ、該微粒子中の酸素含有組成比が、蛍光X線による組成分析において、微粒子全体の0.9〜3.0原子%であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記酸素含有フッ素系微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を大気中コバルト60によるγ線を照射したものであるか、あるいは、テトラフルオロエチレンモノマーを原料とし、次の工程:
    (a) テトラフルオロエチレンモノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって前記テトラフルオロエチレンモノマーを重合させて、前記混合溶液をゲル状態のポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体とする工程;
    (b) 前記ポリテトラフルオロエチレンのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって前記ポリテトラフルオロエチレンを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程;および任意の
    (c)前記微粒子懸濁液から分離・乾燥により酸素含有フッ素系微粒子を単離する工程;
    により得られたものである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記酸素含有フッ素系微粒子が、組成比1.0〜3.0原子%の酸素を含有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記酸素含有フッ素系微粒子が、0.1〜2μmの1次粒子のメジアン径(D50)を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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