JP2016031407A - 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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愛 井戸
鳥山 幸一
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Abstract

【課題】耐光性及び電気特性に優れる積層型電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性基体と、導電性基体上に設けられた電荷発生層と、電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備える積層型電子写真感光体であって、電荷発生層が、電荷発生物質を含み、電荷輸送層が、結着樹脂と、430〜470nmの波長域における吸光度が0.000〜0.001である電荷輸送物質と、下記一般式(A):

で表されるジフェノキノン化合物とを含む積層型電子写真感光体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体及び該電子写真感光体を用いた画像形成装置に関し、特には、耐光性に優れる積層型電子写真感光体に関するものである。
複写機、プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
先ず、電子写真装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器によって所定の電位に一様に帯電させる。次いで、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザー光等の光によって露光し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーを付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から紙等の記録媒体上に転写し、定着手段によって定着させる。
上記電子写真感光体の機能を向上させるため、様々な提案がなされているが、電子写真感光体の解決すべき課題として耐光性の問題が挙げられる。感光体が、外部光に曝されると、大きなダメージを受ける場合があり、画像を形成する上で問題であった。感光体の耐光性の問題を解決するため、例えば、電荷輸送層に紫外線吸収剤を添加する手法(例えば、特開平05−019497号公報:特許文献1)や、耐光性に優れる電荷輸送物質を用いる手法(例えば、特許第3718508号公報:特許文献2)が提案されている。
また、感光体の感光層には有機系材料が使用されるため、感光体周りのクリーナー等の摺刷によって感光体表面が摩耗するといった問題も挙げられる。この摩耗の問題を解決するため、感光体表面の機械的特性を向上させる手法が提案されている。具体的には、感光体の表面層にフッ素粒子やシリカ粒子等のフィラーを加える手法が検討されている(例えば、特許第3416310号公報:特許文献3、特開2008−176056号公報:特許文献4)。特に、フッ素粒子は、潤滑性が高く、感光体の表面に潤滑性も付与できるため、電子写真プロセス中に感光体が接触する部材との間に働く摩擦力を低減させ、耐刷性の向上効果が高い。
特開平05−019497号公報 特許第3718508号公報 特許第3416310号公報 特開2008−176056号公報
ところで、感光体は、太陽光以外にも蛍光灯やLED等の外部光に曝される場合がある。例えば、感光体を交換する場合や紙詰まりが起こり装置から紙を取り出す場合に、感光体は蛍光灯やLEDの発する光に曝されるおそれがある。しかしながら、紫外線吸収剤は、太陽光への効果は高いものの、蛍光灯やLED等の外部光に対しては十分な効果が得られない。
また、感光体の電荷輸送層がフッ素粒子やシリカ粒子等のフィラーを含む場合、フィラーが電荷トラップとして作用するため、紫外線吸収剤を用いると、電気特性の悪化が大きくなり、実用上の問題があった。更に、フッ素粒子やシリカ粒子を用いる場合、高圧ホモジナイザーを用いたり又は高圧の液衝突等を利用したりして、これらフィラーを分散させることになる。この場合、特許文献2に記載される耐光性に優れた電荷輸送物質は、分解又は劣化を起こすため、残留電位の増加等の電気特性の悪化を引き起こす問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、耐光性に優れる積層型電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる積層型電子写真感光体を備える画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、蛍光灯には波長440nm付近(例えば430〜450nm)の電磁波による発光を示す成分が使用され、また、LEDには波長465nm付近(例えば460〜470nm)の電磁波による発光を示す成分が使用されることが多いが、一般に、感光体の電荷輸送層に好適に使用できる電荷輸送物質は、波長440nm付近及び波長465nm付近の光を吸収しないため、蛍光灯やLEDの発する光が感光体の電荷輸送層を透過し電荷発生層に到達することで、電荷発生層中で電荷トラップが発生し、感光体の電気特性を悪化させることが分かった。そして、本発明者は、波長430〜470nmの光を吸収するジフェノキノン化合物を電荷輸送層に用いることで、耐光性に優れ、電気特性の低下を抑えることが可能な積層型電子写真感光体を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の積層型電子写真感光体は、導電性基体と、該導電性基体上に設けられた電荷発生層と、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備える積層型電子写真感光体であって、
前記電荷発生層が、電荷発生物質を含み、
前記電荷輸送層が、結着樹脂と、430〜470nmの波長域における吸光度が0.000〜0.001である電荷輸送物質と、下記一般式(A):

(式(A)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である)で表される化合物とを含むことを特徴とする。
本発明の積層型電子写真感光体の好適例において、前記一般式(A)で表される化合物の含有量は、前記電荷輸送物質100質量部に対して1〜15質量部である。
本発明の積層型電子写真感光体の他の好適例においては、前記電荷輸送物質が、下記一般式(B):

(式(B)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であり、k、l、m及びnは、それぞれ独立して1又は2の整数である)で表される化合物である。
本発明の積層型電子写真感光体の他の好適例においては、前記電荷発生物質が、CuKα線(波長1.541Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示すオキソチタニウムフタロシアニンである。
本発明の積層型電子写真感光体の他の好適例においては、前記電荷輸送層が、更に、フッ素粒子及びシリカ粒子の少なくとも一方を含む。
本発明の積層型電子写真感光体の他の好適例においては、前記フッ素粒子を構成するフッ素樹脂が、4フッ化エチレン樹脂である。
また、本発明の画像形成装置は、上記の積層型電子写真感光体と、前記積層型電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記積層型電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段とを備えることを特徴とする。
本発明の積層型電子写真感光体によれば、上記一般式(A)で表される化合物を用いることで、耐光性に優れる積層型電子写真感光体を提供することができる。
本発明の画像形成装置によれば、上記積層型電子写真感光体を用いることで、耐光性に優れる画像形成装置を提供することができる。
本発明の積層型電子写真感光体の一実施態様の模式断面図である。 本発明の画像形成装置の一実施態様の模式断面図である。 例示化合物A−1の吸収スペクトルを示す図である。 例示化合物B−1の吸収スペクトルを示す図である。
以下に、本発明の積層型電子写真感光体を詳細に説明する。本発明の積層型電子写真感光体は、導電性基体と、該導電性基体上に設けられた電荷発生層と、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備える積層型電子写真感光体であって、前記電荷発生層が、電荷発生物質を含み、前記電荷輸送層が、結着樹脂と、430〜470nmの波長域における吸光度が0.000〜0.001である電荷輸送物質と、下記一般式(A):

(式(A)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である)で表される化合物とを含むことを特徴とする。
上記一般式(A)で表される化合物は、350〜470nmの波長域における光を吸収するため、蛍光灯やLED等の外部光に対して優れた耐光性を発揮することができる。これにより、外部光が電荷発生層に到達することを防ぎ、電荷発生層の電荷発生物質が電荷トラップとして作用することを防止するため、感光体の電気特性の悪化(特に残留電位の増加)を防止することができる。
本発明の積層型電子写真感光体において、上記一般式(A)で表される化合物は、430〜470nmの波長域における吸光度が0.01を超えることが好ましく、0.02以上であることが更に好ましい。特に、上記一般式(A)で表される化合物は、380〜440nmの波長域における光を吸収する性質が強く、かかる波長域における吸光度が、好ましくは0.5以上であるため、蛍光灯に対してより優れた耐光性を発揮することができる。なお、上記一般式(A)で表される化合物において、430〜470nmの波長域における吸光度の上限は、特に限定されるものではないが、例えば3.5である。
なお、本発明において、吸光度の測定方法は次の通りである。まず、一般式(A)で表される化合物をテトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、該化合物の濃度が0.001質量%である溶液を調製する。次いで、分光光度計(日立株式会社製U−2000)を用いて、該溶液の吸光度を測定する。
また、上記電荷輸送層がフッ素粒子やシリカ粒子等のフィラーを含む場合、フィラーが電荷トラップとして作用し、残留電位の増加等の電気特性の悪化に導くおそれもある。しかしながら、上記一般式(A)で表される化合物を併用すると、これらのフィラーに起因する電気特性の悪化も防ぐことができる。これは、フィラーが電荷トラップとして作用し得るが、上記一般式(A)で表されるジフェノキノン化合物を用いる場合、電気特性への弊害が少ないため、電気特性の悪化を防ぐことができると予測される。
上記式(A)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。ここで、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子等が挙げられる。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ジメチルプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、メチルフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
上記一般式(A)で表される化合物の具体例、即ち例示化合物A−1〜例示化合物A−128を表1〜9に示す。
上記例示化合物の中でも、例示化合物A−1及び例示化合物A−4が特に好ましい。図3は、例示化合物A−1の吸収スペクトルを示す図である。図3から、例示化合物A−1が、440nm付近の光を吸収することが分かる。
なお、これら式(A)で表される化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の積層型電子写真感光体において、上記一般式(A)で表される化合物の含有量は、電荷輸送層中の電荷輸送物質100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。該電荷輸送物質100質量部に対する上記式(A)の化合物の含有量が1質量部未満では、耐光性の向上効果が十分に得られず、また、15質量部を超えると、上記式(A)の化合物の含有量が多すぎ、初期電気特性の低下が見られる。
次に、図を参照しながら、本発明の積層型電子写真感光体の一実施態様を第1実施形態として詳細に説明するが、本発明は、第1実施形態によって限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の積層型電子写真感光体の一実施態様(第1実施形態)の模式断面図である。この第1実施形態に係る電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料からなる円筒状の導電性基体11と、導電性基体11上に下引き層15と、下引き層15上に感光層14とを備える。感光層14は、図1に示す通り、積層型であり、下引き層15上に位置する電荷発生物質16を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12上に位置する電荷輸送物質17を含有する電荷輸送層13とからなる。なお、本発明の積層型電子写真感光体は、図1に示すように下引き層15を備えることが好ましいが、下引き層15を有しない場合もある。
(導電性基体)
導電性基体11は、導電性支持体とも称され、感光体1の電極としての役割を果たすと共に、上部に配置される層、即ち下引き層15及び感光層14の支持部材としても機能する。なお、導電性基体11の形状は、この第1実施形態では円筒状であるけれども、これに限定されることはなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金等の導電性金属;アルミニウム合金等の合金;又は酸化錫、酸化インジウム等の金属酸化物を用いることができる。
また、これらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ポリオキシメチレン若しくはポリスチレン等の高分子材料;硬質紙又はガラス等の表面に、上記導電性金属の箔をラミネートしたもの;上記金属材料を蒸着したもの;又は導電性高分子、酸化錫、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着若しくは塗布したもの等を用いることもできる。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品若しくは熱水等による表面処理、着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。
レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
(下引き層)
下引き層15は、中間層とも称される。導電性基体11と感光層14との間に下引き層15がない場合、導電性基体11又は感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽち等の画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥を生じることがある。下引き層15を設けることによって、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。従って、下引き層15を設けることによって、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止することができる。
更に、下引き層15を設けることによって、導電性基体11表面の凸凹を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また、感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
この下引き層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース、ニトロセルロース及びエチルセルロース等も挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。
好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロン及び12−ナイロン等の、いわゆるナイロン、並びにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂等を挙げることができる。
そして、下引き層の電荷調整機能をもたせるために、金属酸化物微粒子であるフィラーが添加される。このようなフィラーとしては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化錫等の粒子を挙げることができる。金属酸化物の粒子径としては、0.01〜0.3μm程度が適当である。好ましくは0.02〜0.1μm程度ある。
なお、下引き層15は、例えば上記の樹脂を適当な溶剤中に溶解又は分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。下引き層15に前述の金属酸化物微粒子等の粒子を含有させる場合には、例えば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、酸化チタン等の金属酸化物微粒子を分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって下引き層15を形成することができる。
下引き層用塗布液の溶剤には、水若しくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が用いられる。例えば、水又はメタノール、エタノール若しくはブタノール等のアルコールの単独溶剤、或いは水とアルコール、2種類以上のアルコール混液、アセトン若しくはジオキソラン等とアルコール、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはトリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤とアルコール等の混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカー等を用いる一般的な方法を使用することができる。また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによって、より安定な分散塗液を製造することが可能となる。
下引き層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これら塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液で満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。
下引き層15の膜厚は、0.01μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.05μm〜10μmである。下引き層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、実質的に下引き層15として機能しなくなり、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じるので好ましくない。また、下引き層15の膜厚を20μmよりも厚いと、浸漬塗布法による下引き層15の形成が困難になると共に、下引き層15上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質16を主成分として含有する。なお、電荷発生層12中における電荷発生物質16の含有量は、例えば40〜80質量%であることが好ましい。
上記電荷発生物質16としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料及びトリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料;インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料;ペリレンイミド及びペリレン酸無水物等のペリレン系顔料;アントラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料;オキソチタニウムフタロシアニン化合物等の金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系化合物;スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料;並びにセレン及び非晶質シリコン等の無機光導電性材料等が挙げられる。これら電荷発生物質は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、フタロシアニン系化合物が好ましく、オキソチタニウムフタロシアニン化合物が特に好ましい。なお、電荷発生物質として一般的に用いられるフタロシアニン系化合物は、蛍光灯やLED等の外部光が電荷発生層まで到達した際に電荷トラップの発生が顕著であるため、上記一般式(A)で表される化合物の使用が特に有効である。
本発明において、オキソチタニウムフタロシアニン化合物とは、オキソチタニウムフタロシアニン及びその誘導体を指す。オキソチタニウムフタロシアニン誘導体としては、例えば、オキソチタニウムフタロシアニンのフタロシアニン基に含まれる芳香環の水素原子が塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基等の置換基で置換されたもの、オキソチタニウムフタロシアニンの中心金属であるチタン原子に塩素原子等の配位子が配位したもの等が挙げられる。
オキソチタニウムフタロシアニン化合物は、特定の結晶構造を有することが好ましい。特に、CuKα線(波長1.541Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角2θ(誤差:±0.2°)27.2°に回折ピークを示すオキソチタニウムフタロシアニンが好ましい。ここで、ブラッグ角2θとは、入射X線と回折X線との成す角度のことであり、いわゆる回折角を表す。
このようなオキソチタニウムフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用いると、感度及び解像度が非常に優れる感光体を実現できるので特に好ましい。上記オキソチタニウムフタロシアニン化合物は、電荷発生能力及び電荷注入能力に優れるので、光を吸収することによって多量の電荷を発生すると共に、発生した電荷をその内部に蓄積することなく、電荷輸送層13に効率よく注入できる。
前述のオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、例えば、Moser及びThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載される方法等の従来公知の製造方法に従って製造できる。例えば、オキソチタニウムフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するか、又はα−クロロナフタレン等の適当な溶媒中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成し、次いで、塩基又は水で加水分解することによって製造できる。また、イソインドリンとテトラブトキシチタン等のチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドン等の適当な溶媒中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造することができる。
電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質16を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、又は前述の電荷発生物質16を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法等が用いられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質16を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリビニルホルマール樹脂等の樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。
共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂等を挙げることができる。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばジクロロメタン若しくはジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル若しくは酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類、1,2−ジメトキシエタン等のエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、又はN,N−ジメチルホルムアミド若しくはN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が用いられる。上記の溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。上記の溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上の混合溶剤として使用してもよい。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の質量M1と結着樹脂の質量M2との比率M1/M2は、100分の10(10/100)〜100分の400(400/100)であることが好ましい。比率M1/M2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下し易い。逆に、比率M1/M2が400/100を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大するので、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。従って、比率M1/M2の好適な範囲は、10/100〜400/100である。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、下引き層用塗布液の塗布方法の説明において記載した理由から、浸漬塗布法が好ましい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1μmである。電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下する。逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。従って、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲は、0.05μm〜5μmである。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質16が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質17と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂18と、上述の一般式(A)で表される化合物19とを含んで構成される。また、本発明の積層型電子写真感光体においては、上記電荷輸送層が、更に、フッ素粒子及びシリカ粒子の少なくとも一方を含むことが好ましく、図示例の電荷輸送層13は、フッ素粒子及びシリカ粒子から選択される粒子20を含む。なお、一般式(A)で表される化合物19については上述したとおりである。
本発明の積層型電子写真感光体においては、上記電荷輸送物質17は、430〜470nmの波長域における吸光度が0.000〜0.001である電荷輸送物質であり、波長440nm付近及び波長465nm付近の光を吸収しないため、上記一般式(A)で表される化合物の使用が特に有効である。なお、電荷輸送層13中における電荷輸送物質17の含有量は、例えば25〜50質量%であることが好ましい。
上記電荷輸送物質としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体及びベンジジン誘導体等を挙げることができる。
上記電荷輸送物質としては、特に、下記一般式(B):

(式(B)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であり、k、l、m及びnは、それぞれ独立して1又は2の整数である)で表される化合物であることが好ましい。電荷輸送層がフッ素粒子やシリカ粒子を含む場合、これらフィラーを電荷輸送層中に分散させることになるが、電荷輸送物質は、分散処理の際に分解又は劣化を起こし易く、電気特性の悪化を引き起こすおそれがある。しかしながら、上記式(B)で表される化合物は、このような電気特性の悪化を大幅に低減できる。
上記式(B)中のR及びRにおいて、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子等が挙げられる。上記式(B)中のR、R、R、R、R及びRにおいて、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルコシキ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(B)で表される化合物の具体例、即ち例示化合物B−1〜例示化合物B−52を表10〜11に示す。
上記例示化合物の中から、例示化合物B−1の吸収スペクトルを図示する。なお、吸光度の測定方法は、上述したように、まず、一般式(B)で表される化合物をテトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、該化合物の濃度が0.001質量%である溶液を調製する。次いで、分光光度計(日立株式会社製U−2000)を用いて、該溶液の吸光度を測定する。図4は、例示化合物B−1の吸収スペクトルを示す図であるが、例示化合物B−1が、440nm付近の光を吸収しないことが分かる。
一般式(B)で表される化合物は、公知であり、特公昭58−32372号公報等に記載されている。
なお、これら電荷輸送物質は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂には、透明性や耐刷性に優れるなどの理由から、当該分野で周知のポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂を主成分とする樹脂が好適に選択される。一般に、電荷輸送層に使用できるポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂は、波長440nm付近及び波長465nm付近の光を吸収しないため、上記一般式(A)で表される化合物の使用が特に有効である。上記結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂の他に、他の樹脂を含んでもよく、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、並びにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物を使用してもよい。
なお、上記の主成分とは、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂の割合が、電荷輸送層を構成する総結着樹脂中で最も高い割合を占めることを意味し、好ましくは50質量%を超え且つ100質量%以下の範囲、より好ましくは50を超え且つ90質量%以下の範囲を占めることを意味する。また、結着樹脂が上記他の樹脂を含む場合は、結着樹脂中での他の樹脂の割合は、10質量%以上で且つ50質量%未満の範囲であることが好ましい。
また、電荷輸送層における電荷輸送物質M3と結着樹脂M4との割合M3/M4は、質量比で10/10〜10/18の範囲が好ましい。
また、電荷輸送層13は、耐摩耗性等を向上させる目的として、フッ素粒子及びシリカ粒子の少なくとも一方を含むことができる。ここで、フッ素粒子及びシリカ粒子から選択されるフィラーの総含有量は、電荷輸送物質100質量部に対して4.5〜17.0質量部であることが好ましい。
フッ素粒子を構成するフッ素樹脂としては、4フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。特に、分散性及び分散安定性の観点から、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)が好ましい。
4フッ化エチレン樹脂からなるフッ素粒子の市販品としては、ダイキン工業株式会社の製品名:ルブロンL-2、L-5、L-5F;株式会社喜多村の製品名:KTL-500F、KTL-1N、KTL-2N;旭硝子株式会社の製品名:FLUON PTFE L173J;テクノケミカル株式会社の製品名:microdispers−200;綜研化学株式会社の製品名:MP−300;三井・デュポンフロロケミカル株式会社の製品名:TLP−10F−1等が挙げられる。
テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなるフッ素粒子の市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル株式会社の製品名:MP−101等が挙げられる。
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなるフッ素粒子の市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル株式会社の製品名:120−JR等が挙げられる。
フッ素粒子は、平均一次粒径が0.02〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがより好ましい。フッ素粒子の平均一次粒径が0.02μm未満では、粒子の凝集が激しく極めて分散がし難く、また分散液の暗転性が低くなることがある。一方、フッ素粒子の平均一次粒径が5μmを超えると、画質欠陥が発生し易くなる。
なお、本発明において、平均一次粒径は、例えば、レーザ回折・散乱式粒度分析計(日機装株式会社製、型式:マイクロトラックMT3000II)を用いて、粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液で測定した値をいう。
また、シリカ粒子は、分散性向上、表面性改質等の理由から無機物、有機物で表面処理されていてもよい。一般に撥水性処理としては、シランカップリング剤での処理、フッ素系シランカップリング剤での処理、高級脂肪酸処理若しくは高分子材料等との共重合処理等が挙げられ、無機物処理としてはアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理等が挙げられる。シリカ粒子の平均一次粒径は、大き過ぎると摩擦係数が上昇し、光の透過率が小さくなることがあり、逆に小さ過ぎると耐摩耗性が悪くなることがあるので、0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、日本アエロジル株式会社の製品名:R972、R974、NY50、RX50;キャボットジャパン株式会社の製品名:TS610、TS612、TS620、TS630;信越化学工業株式会社の製品名:X−24-9163A;株式会社アドマテックスの製品名:SO−E1、SO−E2、SE100−GDT、SE100−SPTが挙げられる。
また、フッ素粒子やシリカ粒子の分散性及び安定性を向上させるため、分散剤を添加してもよい。市販品としては、例えば、サーフロンS−611、サーフロンS−385(AGCセイミケミカル社製)、メガファックEXP,TF−1507、メガファックEXP、TF−1535(大日本インキ社製)、FC−4430、FC−4432(3M社製)、GF400(東亜合成社製)が挙げられる。
また、シリカ粒子やフッ素粒子の分散には、ホモジナイザーや高圧衝突タイプ等の公知の分散機を用いることができる。特に高圧衝突タイプの分散機が粒子へのダメージ低減の観点から好ましい。高圧衝突タイプの分散機としては、高圧噴射式乳化分散機が挙げられる。高圧噴射式乳化分散機とは、高圧プランジャポンプ等で処理液(スラリー、乳化液、分散液等)を微細な流路に圧入し、排出部の特殊バルブの調整で吐出口から高圧で噴射・衝突させることで、粒子にダメージを与えず乳化・分散・表面処理を行う湿式微粒化装置を意味する。上記の高圧噴射式分散機は、吐出口からの噴射時に圧力を調節して高圧噴射液同士の衝突、及び高圧噴射液と装置の壁面との衝突により被分散物を乳化・分散又は粉砕できる。従って、上記の高圧噴射式分散機としては、高圧ポンプとこれに配管により接続された複数の小径のオリフィスを有する治具と、該オリフィスより液が吐出される際に液同士が衝突すべく加工された治具とにより構成される装置を用いることができる。このような装置としては、スギノマシン(株)のスターバースト、吉田機械興業(株)のナノヴェイタ、マイクロフルイディックスのマイクロフルイダイザーが利用できる。衝突パス回数が増えると、液衝突の発熱が蓄積しやすいことから、分散回路に冷却装置をつけるのが望ましい。本発明でいうところの高圧とは、上記高圧ポンプの吐出量、吐出圧とオリフィス径及び長さ、更には溶媒及び被分散物の粘度によりおおむね決定され、10〜300MPaを好適とする。処理の圧力が10MPaより小さくなると、液同士の衝突エネルギーが足りなく、所望する粒径まで分散できない。一方、処理の圧力が300MPaより大きくなると、液同士の衝突エネルギーが高すぎて、分散物の劣化及び分散液の爆発等の恐れがある。より好ましい値は50〜150MPaである。
また、電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を電荷輸送層13に添加してもよい。上記可塑剤としては、例えばフタル酸エステル等の二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。また、上記レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。
電荷輸送層13は、前述の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶媒中に、電荷輸送物質、結着樹脂、式(A)の化合物と、必要に応じて、フッ素粒子やシリカ粒子、更には上記添加剤とを溶解又は分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びモノクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、並びにN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また、上記の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶媒を更に加えて使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、上述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも利用できる。
電荷輸送層13の膜厚は、5μm〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜30μmである。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下する。また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。従って、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲は、5μm〜40μmである。
また感光層14の各層12及び13には、酸化防止剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤等を添加することが好ましく、各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。この酸化防止剤の電荷輸送層への添加により、オゾン、窒素酸化物等の酸化性ガスに対する感光層の劣化を低減することができる。上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体若しくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。
次に、本発明の画像形成装置を詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、上述した本発明の積層型電子写真感光体と、前記積層型電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記積層型電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段とを備えることを特徴とする。
図を参照しながら、本発明の画像形成装置の一実施態様を第2実施形態として詳細に説明するが、本発明は、第2実施形態によって限定されるものではない。
<第2実施形態>
図2は、本発明の画像形成装置の一実施態様(第2実施形態)の模式断面図である。図2に示す画像形成装置は、上述した第1実施形態と同じ構成の感光体1を搭載するレーザプリンタ30である。以下、図2を参照してレーザプリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお、図2に記載のレーザプリンタ30は、この発明の例示であり、以下の記載内容によってこの発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45、クリーニング手段であるクリーナ46、及び除電手段である除電器50を含んで構成される。
なお、上記の半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を上記のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
上記のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42及びクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
また、コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお、分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる除電器50(例えば除電ランプ)によって除電された後、更に回転され、上記の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰り返される。
本発明の画像形成装置は、図2に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、上記感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等であり得る。なお、本発明の画像形成装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であって、その他の形態は本明細書及び図面の記載から容易に理解される。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(下引き層の作製)
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)3質量部及び市販のポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)2質量部をメチルアルコール25質量部に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、下引き層用塗布液3kgを調製した。得られた下引き層用塗布液を塗布槽に満たし、導電性基体として直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後にこれを引き上げ、膜厚1μmの下引き層を導電性基体上に形成した。
(電荷発生層の作製)
次いで、電荷発生物質として、CuKα1.541ÅのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するオキソチタニルフタロシアニン1質量部及び結着樹脂としてブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−2、積水化学工業株式会社製)1質量部をメチルエチルケトン98質量部に混合し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して電荷発生層用塗布液3kgを調製した。得られた電荷発生層用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の方法で先に設けた下引き層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
電荷輸送物質として例示化合物B−1(商品名:D2448、東京化成工業社製)100質量部、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(商品名:TS2050、帝人化成社製)170質量部、PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)27質量部、例示化合物A−1(商品名:D4407、東京化成工業社製)5質量部、及び分散剤(商品名:GF400、東亜合成社製)0.5質量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分21質量%の懸濁液を作製した後、湿式乳化分散装置(NVL-AS160:吉田機械製)を用いて、設定圧力:50MPaの条件で10pass操作実施し、電荷輸送層用塗布液3kgを調製した。この電荷輸送層用塗布液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、130℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す積層型感光体を作製した。
なお、例示化合物B−1は、430〜470nmの波長域における吸光度が0〜0.001の範囲内にあり、例示化合物A−1は、430〜470nmの波長域における吸光度が0.01〜1.5の範囲内にある。
<実施例2>
例示化合物A−1を例示化合物A−4(商品名:T1503、東京化成工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
なお、例示化合物A−4は、430〜470nmの波長域における吸光度が0.01〜1.5の範囲内にある。
<実施例3>
例示化合物A−1の配合量を5質量部から1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例4>
例示化合物A−1の配合量を5質量部から15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例5>
PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)をPTFE粒子(商品名:KTL−1N、株式会社喜多村製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例6>
PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)をPFA粒子(商品名:MP−101、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例7>
PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)をシリカ粒子(商品名:SO−E2、アドマテックス製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例8>
PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)をシリカ粒子(商品名:TS610、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例9>
電荷輸送物質である例示化合物B−1を例示化合物B−2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
なお、例示化合物B−2は、430〜470nmの波長域における吸光度が0〜0.001の範囲内にある。
<実施例10>
電荷輸送物質である例示化合物B−1を例示化合物B−10に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
なお、例示化合物B−10は、430〜470nmの波長域における吸光度が0〜0.001の範囲内にある。
<実施例11>
電荷輸送物質である例示化合物B−1を例示化合物B−51に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
なお、例示化合物B−51は、430〜470nmの波長域における吸光度が0〜0.001の範囲内にある。
<実施例12>
電荷輸送物質である例示化合物B−1を4−(2,2−ジフェニルエチル)−4’,4’’−ジメチル−トリフェニルアミン(高砂香料工業製)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
なお、4−(2,2−ジフェニルエチル)−4’,4’’−ジメチル−トリフェニルアミンは、430〜470nmの波長域における吸光度が0〜0.001の範囲内にある。
<比較例1>
例示化合物A−1を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
<実施例13>
例示化合物A−1の配合量を5質量部から20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<比較例2>
100質量部の例示化合物B−1と5質量部の例示化合物A−1の組み合わせを100質量部の例示化合物A−1に変更した以外は、実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<実施例14>
PTFE粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
[評価]
実施例1〜実施例14、比較例1及び比較例2の感光体を、デジタル複写機(商品名:MX−5141FN、シャープ株式会社製)を改造した試験用複写機に搭載し、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(TREC JAPAN社製、model344)を設けて、各感光体の電気特性評価、膜べり評価及び光曝露評価を実施した。なお、光源として波長780nmのレーザ光を用いた。結果を表12に示す。
1.電気特性評価
上記複写機を用いて、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整した。その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm)を施した場合の感光体の初期表面電位を露光電位VL(V)として測定した。得られた露光電位VLから下記の基準で感度を評価した。この露光電位VLの絶対値が小さい程、初期電気特性が高く、高感度である。
判定基準
G(good:良好): |VL|<125(V)
NB(not bad:悪くはない): 125(V)≦|VL|<150(V)
B(bad:悪い): |VL|≧150(V)
2.膜べり評価
実写評価前と、100k枚実写後での感光体膜厚の変化を、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製)を用いて測定し、複写機上の感光体100k回転あたりの膜べり量(μm)に換算して、下記の基準に従って評価した。膜べり量が小さい程、耐刷性に優れる。
G: 膜べり量<0.65μm/100k回転
NB: 0.65μm/100k回転≦膜べり量<0.13μm/100k回転
B: 膜べり量≧0.13μm/100k回転
3.光曝露評価
感光体表面の一部分以外を黒紙でマスクし、マスクしていない部分に白色蛍光灯(波長:350〜750,ピーク波長:440nm)の光が強度400Luxで照射されるように調整し、5分間照射を行い、その後、5分間放置し、ハーフトーン画像の確認を行った。その画像を以下の評価基準に基づいて評価した。
G:照射部分と非照射部分に差がない。
NB:照射部分と非照射部分に若干の差が見られる(実使用では問題なし)。
B:照射部分と非照射部分に大きな差が見られる(実使用上問題あり)。
4.総合評価
電気特性評価、膜べり評価及び光曝露評価の判定結果に基づき、以下の基準で総合評価を行った。
G: 全ての評価項目がGである:感光体の長寿命化と高画質化の観点から良好な結果である。
NB: 評価項目のうち1つがNBであり、残りはGである:感光体の長寿命化と高画質化の観点から実使用可能なレベルと言える。
B: 評価項目にBが1つ以上ある。
表12の結果から、次のことが分かる。
(1)一般式(A)で表される化合物を用いることで、耐光性を向上できる(実施例1〜実施例14)。また、電荷輸送物質100質量部に対する一般式(A)で表される化合物の配合量が1〜15質量部の範囲内にあれば、電気特性も優れる(実施例1〜実施例12及び実施例14)。更に、耐刷性を向上させるためにフッ素粒子又はシリカ粒子を用いる場合であっても、十分な電気特性及び耐光性が確保できる(実施例1〜実施例12)。なお、実施例13は、電荷輸送物質100質量部に対する一般式(A)で表される化合物の配合量が15質量部を超えており、他の実施例に比べて電気特性が低い。
(2)一般式(A)で表される化合物を使用しないと、耐光性が悪い(比較例1)。
(3)一般式(A)で表される化合物は、電荷輸送物質として機能しない(比較例2)。
1 感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 下引き層
16 電荷発生物質
17 電荷輸送物質
18 結着樹脂
19 式(A)で表される化合物
20 粒子
30 レーザープリンタ
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
33 レーザビーム
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器

Claims (7)

  1. 導電性基体と、該導電性基体上に設けられた電荷発生層と、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備える積層型電子写真感光体であって、
    前記電荷発生層が、電荷発生物質を含み、
    前記電荷輸送層が、結着樹脂と、430〜470nmの波長域における吸光度が0.000〜0.001である電荷輸送物質と、下記一般式(A):

    (式(A)中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である)で表される化合物とを含むことを特徴とする積層型電子写真感光体。
  2. 前記一般式(A)で表される化合物の含有量は、前記電荷輸送物質100質量部に対して1〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送物質が、下記一般式(B):

    (式(B)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であり、k、l、m及びnは、それぞれ独立して1又は2の整数である)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型電子写真感光体。
  4. 前記電荷発生物質が、CuKα線(波長1.541Å)によるX線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に回折ピークを示すオキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層型電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送層が、更に、フッ素粒子及びシリカ粒子の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型電子写真感光体。
  6. 前記フッ素粒子を構成するフッ素樹脂が、4フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の積層型電子写真感光体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層型電子写真感光体と、前記積層型電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記積層型電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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