本発明は、電子写真感光体、ならびに、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真感光体の中でも、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、成膜性が良く、塗工によって生産できるため、極めて生産性が高く、安価に提供できるという利点を有している。また、有機電子写真感光体は、使用する光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)の選択により、感度などを自在にコントロールできるなどの利点も有し、これまで幅広い検討がなされてきた。
近年、感光層を電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに機能分離した電子写真感光体の開発により、従来の有機電子写真感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著しい改善がなされてきた。
各種電荷発生物質の中でも、アゾ顔料は、優れた感度を示し、しかも中心骨格とカプラー残基の組み合わせ方で様々な特性を持った化合物が容易に得られることから、これまで数多くの化合物が提案されている(例えば、特開平11−316469号公報(特許文献1)、特開平09−054447号公報(特許文献2)および特開平08−087124号公報(特許文献3)を参照)。
特開平11−316469号公報
特開平09−054447号公報
特開平08−087124号公報
最近の市場では、カラー画像出力の需要が高まり、また、その高画質化が要求されている。
カラー画像を出力する際の電位変動は、出力画像のわずかな色味の変化にも影響を与えるが、アゾ顔料を用いた電子写真感光体は、高感度である一方で、電子写真装置本体側からの電位変動の制御が困難な短期間(1〜999サイクル程度)における電位変動やフォトメモリーが発生しやすい。
ここでいう短期間の電位変動とは、高温高湿環境下における電位低下および常温低湿環境下における電位上昇をいい、フォトメモリーとは、露光光照射部が露光光非照射部より電位が低下する現象をいう。
本発明の目的は、高感度であって、かつ、短期間の電位変動およびフォトメモリーが抑制された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有し、該感光層が電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層した構成である電子写真感光体において、
該電荷発生層が、下記式(A2−2)で示される構造を有するアゾ顔料と、下記式(2)で示される構造を有する化合物および下記式(3)で示される構造を有する化合物の少なくとも一方とを含有し、
該電荷輸送層が、下記式(2)で示される構造を有する化合物を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明によれば、高感度であって、かつ、短期間の電位変動およびフォトメモリーが抑制された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
まず、本発明の電子写真感光体について説明する。
電子写真感光体の層構成としては、例えば、図1に示す構成が挙げられる。図1中、aは支持体、bは感光層、cは電荷発生層、dは電荷輸送層、eは電荷発生物質を示す。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金、白金などの支持体が挙げられる。また、これらの金属(合金)を真空蒸着法によってプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂など)上に被膜形成してなる支持体や、導電性粒子(例えば、カーボンブラック、銀粒子など)を結着樹脂に分散させた層を上記金属、合金またはプラスチック上に形成してなる支持体や、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させてなる支持体などを用いることもできる。
支持体と感光層または後述の中間層との間には、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞防止を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子および金属酸化物などの導電性粉体を、結着樹脂中に分散させることによって形成することができる。導電層の膜厚は、1〜40μmであることが好ましく、特には1〜30μmであることがより好ましい。
また、支持体の表面に、ホーニング加工、センターレス研削、切削などの粗面化処理を施してもよい。粗面化処理を施すことによって支持体の表面を適当な粗さに調整することができ、干渉縞の発生を抑制することができる。支持体の表面の十点平均粗さRzjisは0.05μm以上であることが好ましく、特には0.10μm以上であることがより好ましい。ここでいう十点平均粗さRzjisとは、JISB0601(2001)に基づき、サーフコーダーSE−3500(小坂研究所製)にて測定された値である(カットオフ:0.8mm、測定長さ:8mm)。
支持体または導電層と感光層との間には、バリア機能や接着機能を持つ中間層を設けてもよい。
中間層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、にかわ、ゼラチンなどが挙げられる。中間層は、これら材料を適当な溶剤に溶解させて得られる塗布液を支持体または導電層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。中間層の膜厚は、0.2〜3.0μmであることが好ましい。
支持体、導電層または中間層上には、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層が設けられる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質の少なくとも1種は、下記式(1)で示される構造を有するカプラー残基を有するアゾ顔料の1種である上記式(A2−2)で示される構造を有するアゾ顔料である。
上記式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換の複素環基を示す、あるいは、R11とR12とが直接結合することによってこれらが結合する窒素原子とともに環状アミノ基を形成してもよい。Z11は酸素原子または硫黄原子を示す。nは0または1である。
上記式(1)中のR11およびR12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げられ、複素環基としては、例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基などが挙げられ、環状アミノ基としては、例えば、ピロール基、ピロリン基、ピロリジン基、ピロリドン基、インドール基、インドリン基、カルバゾール基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピラゾリン基、オキサジン基、フェノキサジン基などが挙げられる。
これらの基が有してもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基や、水酸基や、ニトロ基や、シアノ基や、アセチル基や、フェニルカルバモイル基や、ハロメチル基や、ハロメトキシ基などが挙げられる。
以下に、上記式(1)で示される構造を有するカプラー残基の具体例を示す。
本発明においては、上記式(1)で示される構造を有するカプラー残基を有するアゾ顔料およびそれ以外のカプラー残基を併有するアゾ顔料を用いることができる。
以下に、上記式(1)で示される構造を有するカプラー残基以外のカプラー残基の具体例を示す。
アゾ顔料の中心骨格(アゾ顔料からカプラー残基を除いた部分の骨格)としては、例えば、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、置換もしくは無置換の複素環、または、これらが直接もしくは基を介して結合したものとアゾ基(好ましくは2つのアゾ=ビスアゾ)とを有するものなどが挙げられるが、これらの中でも、下記式(4)で示される構造が好ましい。
上記式(4)中、Y41は、
を示す。
以下の表1〜4に、アゾ顔料の具体例を示す。
表1〜4中、(Ar1−1)〜(Ar1−5)、(Ar2−1)〜(Ar2−18)、(Ar3−1)〜(Ar3−3)および(Ar4−1)〜(Ar4−4)は以下に示すとおりである。
本発明において用いられるアゾ顔料は、結晶質であっても非晶質であってもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、アズレニウム染料、チアシアニン染料、キノシアニン染料、スクエアリウム塩染料、上記のアゾ顔料以外のアゾ顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料などの電荷発生物質を感光層に併用してもよい。
電荷発生物質を結着樹脂とともに溶剤中で分散して得られる電荷発生層用塗布液を、支持体、導電層または中間層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。
上記式(2)で示される構造を有する化合物や上記式(3)で示される構造を有する化合物を電荷発生層に含有させる場合、含有のさせ方としては、電荷発生物質とともに溶剤中に添加し、電荷発生物質とともに分散させてもよく、あるいは、電荷発生物質をあらかじめ分散させた液に後から添加してもよい。また、その添加の仕方としては、上記式(2)で示される構造を有する化合物や上記式(3)で示される構造を有する化合物のみを所定量添加してもよく、あるいは、上記式(2)で示される構造を有する化合物や上記式(3)で示される構造を有する化合物を適切な溶剤にあらかじめ溶解または分散させた液を所定量添加してもどちらでもよい。
電荷発生層には、上記式(2)で示される構造を有する化合物および上記式(3)で示される構造を有する化合物の両方を含有させてもよい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルベンザール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂など、また、これら2つ以上の共重合体などが挙げられる。これらの中でも、置換基として、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基を有するものが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
また、電荷発生層中の結着樹脂の量は、電荷発生層全質量に対して80質量%以下であることが好ましく、さらには60質量%以下であることがより好ましい。
電荷発生層中、電荷発生物質および結着樹脂の割合(電荷発生物質:結着樹脂)は、1:0.1〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテルや、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ペンタノンなどのケトンや、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミンや、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステルや、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族や、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコールや、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.05〜2.00μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質は、電子輸送物質であってもよいし、正孔輸送物質であってもよい。
電子輸送物質としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニルおよびテトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性化合物やこれらの電子吸引性化合物を高分子化したものなどが挙げられる。
正孔輸送物質としては、例えば、ピレンおよびアントラセンなどの多環芳香族化合物や、カルバゾール化合物、インドール化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、トリアゾール化合物などの複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、トリアリールメタン化合物、フェニレンジアミン化合物、ビスシクロヘキシルアミン化合物およびトリフェニルアミン化合物が挙げられる。
電荷輸送物質は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層の膜厚は、3〜40μmであることが好ましく、特には4〜30μmであることがより好ましい。
上記式(2)で示される構造を有する化合物を電荷輸送層に含有させる場合、含有のさせ方としては、電荷輸送物質および結着樹脂とともに溶剤中に添加し、これらとともに溶解および/または分散させてもよく、あるいは、電荷輸送物質および結着樹脂をあらかじめ溶解させた液に後から添加してもよい。また、その添加の仕方としては、上記式(2)で示される構造を有する化合物のみを所定量添加してもよく、あるいは、上記式(2)で示される構造を有する化合物を適切な溶剤にあらかじめ溶解または分散させた液を所定量添加してもどちらでもよい。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
また、上記電荷輸送物質から誘導される基を主鎖または側鎖に有する高分子(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンなど)などの電荷輸送物質と結着樹脂の機能を兼ね備えたポリマーを用いてもよい。
使用する露光光(画像露光光)に対して透過性が高い電荷輸送物質や電荷輸送層用結着樹脂を選択する必要がある。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタンなどのエーテル、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが挙げられる。
感光層(電荷発生層、電荷輸送層)には、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを含有させてもよい。
感光層上には、該感光層を機械的外力や化学的外力などから保護することを目的として、また、耐久性、転写性やおよびクリーニング性の向上を目的として、保護層を設けてもよい。
保護層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマーおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
また、保護層に電荷輸送能を併せ持たせるために、電荷輸送能を有するモノマー材料や高分子型の電荷輸送物質を種々の架橋反応を用いて硬化させることによって保護層を形成してもよい。硬化させる反応としては、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法などが挙げられる。
保護層には、導電性粒子や紫外線吸収剤や耐摩耗性改良剤などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が好ましい。耐摩耗性改良剤としては、フッ素原子含有樹脂、アルミナ、シリカなどの粒子が好ましい。
保護層の膜厚は、0.5〜20μmであることが好ましく、特には1〜10μmであることが好ましい。
上記各層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を採用することができる。
図2に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、41は円筒状の電子写真感光体であり、軸42を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体41の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)43により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)44を受ける。こうして電子写真感光体41の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体41の表面に形成された静電潜像は、現像手段45の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体41の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)46からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体41と転写手段46との間(当接部)に電子写真感光体41の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体41の表面から分離されて定着手段48へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体41の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)47によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図2に示すように、帯電手段43が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体41、帯電手段43、現像手段45、転写手段46およびクリーニング手段47などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図2では、電子写真感光体41と、帯電手段43、現像手段45およびクリーニング手段47とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段50を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ49としている。
図3に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の別の例を示す。
図3に示す電子写真装置は、コロナ帯電器を採用した帯電手段43’およびコロナ帯電器を採用した転写手段46’を備えており、それ以外は、図2に示す電子写真装置と同様である。
図4に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の別の例を示す。
図4に示す電子写真装置は、電子写真感光体41、帯電手段43およびクリーニング手段47を有する第1のプロセスカートリッジ49’’と、現像手段45を有する第2のプロセスカートリッジ49’を備えており、それ以外は、図2に示す電子写真装置と同様である。
図5には、フルカラー用複写機の概略断面図の一例を示す。
図5に示すフルカラー用複写機は、上部にデジタルフルカラー画像のリーダー部、下部にデジタルフルカラー画像のプリンター部を有する。
リーダー部において、原稿台ガラス31上に載せられた原稿30に対し、露光ランプ32によって露光走査し、レンズ33によって原稿30からの反射光像をフルカラーセンサー34に集光し、フルカラー色分解画像信号を得る。
フルカラー色分解画像信号は、増幅回路(不図示)を経て、ビデオ処理ユニット(不図示)にて処理を施され、プリンター部に送出される。
プリンター部において、1は円筒状の電子写真感光体であり、矢印方向に回転自在に保持されている。
電子写真感光体1の周りには、前露光ランプ11(前露光手段)、コロナ帯電器2(帯電手段(一次帯電手段)、レーザー露光光学系3(露光手段)、電位センサー12、色の異なる4個の現像器4y、4c、4m、4Bk(現像手段)、電子写真感光体上の光量検知手段13、転写手段5、クリーニング器6(クリーニング手段)が配置されている。
レーザー露光光学系3には、半導体レーザーが搭載されている。発振波長は半導体レーザーの変更により380〜900nmの範囲で変更可能である。レーザー露光出力に関しては、1mW以上が好ましく、3mW以上がより好ましく、5mW以上が特に好ましい。
現像器4y、4c、4m、4Bkは、それぞれ現像ローラーを有している。
レーザー露光光学系3において、リーダー部からの画像信号は、レーザー出力部(不図示)にてイメージスキャン露光の光信号に変換される。
変換されたレーザー光は、ポリゴンミラー3aで反射し、レンズ3bおよびミラー3cを通って、電子写真感光体1の表面に投影される。書き込みピッチは400〜2400dpi程度、ビームスポット径は15〜100μm程度である。
プリンター部における画像形成時は、電子写真感光体1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後の電子写真感光体1の表面をコロナ帯電器2によりマイナスに一様に帯電し、これに各分解色ごとに光像Eを照射することによって、電子写真感光体1の表面に静電潜像を形成する。
次に、所定の現像器を動作させて、電子写真感光体1の表面の静電潜像を現像し、電子写真感光体1の表面にトナーによるトナー像を形成する。現像器は、偏心カム24y、24c、24m、24Bkの動作により、各分解色に応じて択一的に電子写真感光体1に接近するようになっている。
次に、電子写真感光体1の表面のトナー像を、紙などの転写材に転写する。転写材カセット7に収められている転写材は、搬送系および転写手段5を介して電子写真感光体1と対向した位置に供給される。
本例では、転写手段5は、転写ドラム5a、転写帯電器5b、紙(転写材)を静電吸着させるための吸着帯電器5cと対向する吸着ローラー5g、内側帯電器5d、外側帯電器5eとを有している。回転駆動されるように軸支された転写ドラム5aの周面開口域には、誘電体からなる転写材担持シート5fが円筒状に一体的に張設されている。転写材担持シート5fとしては、ポリカーボネートフィルムなどの誘電体シートを使用することができる。
転写ドラム5aの回転にしたがい、電子写真感光体1の表面のトナー像は、転写帯電器5bによって、電子写真感光体1の表面から転写材担持シート5fに担持された転写材上に転写される。
このようにして、転写材担持シート5fに吸着搬送される転写材には、所望数の色画像が転写され、フルカラー画像が形成される。
4色のトナー像の転写を終了すると、分離爪8a、分離押し上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用によって、転写材が転写ドラム5aから分離される。転写ドラム5aから分離された転写材は、熱ローラー定着器9を経由してトレイ10に排出される。
一方、転写後の電子写真感光体1は、クリーニング器6によって、表面の残留トナーがクリーニングされ、再度画像形成工程に供される。
転写材の両面に画像を形成する場合には、転写材が熱ローラー定着器9を通過した後すぐに搬送パス切替ガイド19が駆動し、転写材は搬送縦パス20を経て、反転パス21に一旦導かれた後、反転ローラー21bの逆転によって、送り込まれた際の後端を先頭にして送り込まれた方向と反対向きに退出し、中間トレイ22に収納される。その後、再び上述した画像形成工程によってもう一方の面に画像を形成する。
また、転写材担持シート5f上の粉体の飛散付着、転写材上のオイルの付着などを防止するために、ファーブラシ14と転写材担持シート5fを介してファーブラシ14に対向するバックアップブラシ15との作用、オイル除去ローラー16と転写材担持シート5fを介してオイル除去ローラー16に対向するバックアップブラシ17との作用によって、クリーニングが行われる。このクリーニングは、画像形成前または後に行われ、また、ジャム(紙詰まり)発生時には随時行われる。
また、本例においては、所望のタイミングで偏心カム25を動作させ、転写ドラム5aと一体化しているカムフォロワ5iを作動させることによって、転写材担持シート5fと電子写真感光体1との間のギャップを任意に設定可能な構成としている。例えば、スタンバイ中または電源オフ時には、転写材担持シート5fと電子写真感光体1との間隔を離すことができる。
次に、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像するためのトナーについて説明する。
トナーは、磁性1成分系現像剤あるいは非磁性1成分現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合して2成分現像剤として用いてもよい。
本発明に用いられるトナーは特定な粒度分布をもつことが好ましい。
例えば、粒径が5μm以下のトナー粒子が17個数%未満であると、消費量が増加する傾向にある。
また、体積平均粒径(Dv[μm])が8μm以上、かつ、重量平均粒径(D4[μm])が9μm以上であると、100μm以下のドット解像性が低下する傾向にあり、15〜40μmのドット解像性はさらに顕著に低下する傾向にある。この際、他の現像条件を調整することによって現像しようとしても、ライン太りやトナーの飛び散りを生じやすく、また、トナーの消費量が増大するなど、安定した現像性が得られにくい。
一方、粒径が5μm以下のトナー粒子が90個数%を超えると、現像を安定に行うことが難しくなり、画像濃度が低下するなどの弊害が生じることがある。
解像力を向上させるためには、3.0μm≦Dv≦6.0μm、3.5μm≦D4<6.5μmの微粒径なトナーであることが好ましい。さらには、3.2μm≦Dv≦5.8μm、3.6μm≦D4≦6.3μmであることがより好ましい。
トナー粒子に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系単独重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
定着時の定着部材からの離型性の向上、定着性の向上の観点から、トナー粒子には、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックスおよびその誘導体などのワックスを含有させることも好ましい。ここで、誘導体としては、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合体や、グラフト変性物などが挙げられる。その他、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、酸アミド化合物、エステル化合物、ケトン化合物、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムなども利用できる。
トナー粒子に用いられる着色剤としては、従来知られている無機顔料、有機染料、有機顔料などが使用可能であり、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーなどが挙げられる。これらは通常、結着樹脂に対して0.5〜20質量%使用される。
トナー粒子には、その構成成分として磁性体を用いてもよい。
磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素などの元素を含む磁性金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、四三酸化鉄、γ−酸化鉄のような磁性酸化鉄を主成分とするものが好ましい。
トナー粒子には、荷電制御剤として、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、サリチル酸金属錯体、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属錯体、サリチル酸、アセチルアセトンなどを用いることができる。
トナー粒子の表面には、現像効率、静電潜像の再現性および転写効率を向上させ、カブリを減少させる観点から、無機微粉体を有させることが好ましい。
無機微粉体としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどで形成された微粉体が挙げられる。これらのものを1種または2種以上を混合して使用することができる。それらの中でも、チタニア、アルミナ、シリカのような酸化物あるいは複酸化物の微粉体が好ましい。
また、これらの無機微粉体は疎水化されていることが好ましい。特に、無機微粉体の表面は、シランカップリング剤またはシリコーンオイルで疎水化処理されていることが好ましい。このような疎水化処理方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着するシランカップリング剤、チタンカップリング剤のような有機金属化合物で処理する方法や、シランカップリング剤で処理した後、あるいは、シランカップリング剤で処理すると同時にシリコーンオイルのような有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特には50〜400m2/gの範囲のものが好ましい。疎水化処理された無機微粉体の使用量は、トナー粒子全質量に対して0.01〜8質量%であることが好ましく、さらには0.1〜5質量%であることがより好ましく、特には0.2〜3質量%であることがより一層好ましい。
トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で、さらに他の添加剤を加えてもよい。
他の添加剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末や、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末のような研磨剤や、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末のような流動性付与剤や、ケーキング防止剤や、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末のような導電性付与剤や、トナーとは逆極性の有機微粒子および無機微粒子のような現像性向上剤などが挙げられる。
トナー粒子を製造する際には、公知の方法を用いることができる。例えば、結着樹脂、ワックス、着色剤、磁性体、荷電制御剤、その他の添加剤などの全部または一部をヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合器により十分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、樹脂類を互いに相溶させた中に、着色剤、磁性体などを分散または溶解させ、冷却固化後、粉砕、分級を行ってトナー粒子を得ることができる。分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
また、重合性モノマーおよび着色剤などを水系溶媒中に懸濁させ、重合性モノマーを重合させ、直接トナー粒子を製造する方法や、乳化重合方法などにより得られた重合体微粒子を水系媒体中に分散させ、着色剤とともに会合融着させることによってトナー粒子を製造する方法を採用してもよい。
また、現像方式としては、接触現像方式が好ましく、また、反転現像方式が好ましい。
また、現像方式として、トナーと磁性キャリアとを使用する磁気ブラシ現像方式を採用する場合は、磁性キャリアとして、例えば、磁性フェライト、マグネタイト、鉄粉、あるいは、それらをアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂でコーティングしたものが好適に用いられる。
(合成例)
以下に、本発明に用いられるアゾ顔料の代表的な合成例を説明する。
・アゾ顔料例(A2−2)(上記式(A2−2)で示される構造を有するアゾ顔料)の合成
2リットルビーカーに、水700ml、濃塩酸102.5ml(1.13mol)および4,4’−ジアミノベンゾフェノン30.0g(0.14mol)を入れて0℃まで冷却し、これに、亜硝酸ナトリウム20.48g(0.30mol)をイオン交換水51mlに溶かした液を液温0〜5℃に保ちながら23分間で液中滴下した。
滴下後、60分間撹拌し、次いで活性炭3.2gを加えて5分間攪拌した後、吸引濾過した。
得られた濾液を0〜5℃に保ったまま、これに、撹拌下、ホウフッ化ナトリウム108.6g(0.99mol)をイオン交換水320mlに溶解した液を20分かけて滴下した後、60分間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過した。
次に、濾過物を5%のホウフッ化ナトリウム水溶液1リットルで0〜5℃に保ったまま60分間分散洗浄した後、吸引濾過した。
得られた濾過物をアセトニトリル180mlおよびイソプロピルエーテル480mlの混合液で0〜5℃に保ったまま60分間分散洗浄し、その後、吸引濾過した。
次に、イソプロピルエーテル300mlで2回濾過器洗浄を行った後、室温下、濾過物の減圧乾燥を行うことによって、ホウフッ化塩を得た(収量49.5g、収率85.5%)。
次に、3リットルビーカーにN,N−ジメチルホルムアミド1650mlを入れ、下記式(P1−24)で示される構造を有する化合物57.5g(0.154mol)
を溶解し、液温0℃に冷却した後、これに上記ホウフッ化塩30.0g(0.0732mol)を添加し、次いでN−メチルモルホリン16.9g(0.167mol)を5分間で滴下した。
その後、0〜5℃で2時間撹拌し、さらに室温で3時間攪拌した後、吸引濾過した。
次に、N,N−ジメチルホルムアミド1000mlで濾過器洗浄を2回行った。
取り出した濾過物を、N,N’−ジメチルホルムアミド1500mlで2時間の分散洗浄および濾過を4回繰り返し行い、さらにイオン交換水1500mlで2時間の分散洗浄および濾過を4回繰り返し行った後、凍結乾燥を行うことによって、アゾ顔料例(A2−2)を得た(収量59.5g、収率82.7%)。
他の構造のアゾ顔料も、その構造に対応する原料を用いることによって、上記合成例と同様にして合成することができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(参考例1)
直径30mm、長さ357.5mm、Rzjis=0.8μmのアルミニウム素管(ED管、昭和電工(株)製)を支持体とした。
次に、10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで酸化チタン粒子を被覆してなる導電性酸化チタン粒子50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、数平均分子量3000)0.002部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散処理することによって調製した導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶剤に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.6μmの中間層を設けた。
次に、アゾ顔料例(A2−2)(電荷発生物質)10.0部、上記式(3)で示される構造を有する化合物1.50部およびテトラヒドロフラン200部を、25℃下、直径0.8mmのガラスビーズ470部を用いたサンドミル装置で20時間分散処理することによって得られた液に、ブチラール樹脂(BL−S)2.00部をテトラヒドロフラン18.0部に溶解させることによって得られた液を添加し、これを、25℃下、サンドミル装置で2時間分散処理し、これにテトラヒドロフラン185部およびシクロヘキサノン185部を添加することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間80℃で乾燥させることによって、165mg/m2の電荷発生層を形成した。
次に、下記式(a)で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質)8.50部、
下記式(b)で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質)8.50部、
および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10.00部を、モノクロロベンゼン70.00部に溶解させることによって、第1電荷輸送層用塗布液を調製した。
この第1電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚10μmの第1電荷輸送層を形成した。
次に、下記式で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質)36部、
ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)4部、および、n−プロピルアルコール60部を、超高圧分散機で分散処理することによって、第2電荷輸送層用塗布液を調製した。
この第2電荷輸送層用塗布液を第1電荷輸送層上に塗布し、窒素中において加速電圧150kV、線量1.5Mradの条件で電子線を照射した後、引き続いて被照射体の温度が150℃になる条件で5分間加熱処理を行い(このときの酸素濃度は15ppmであった)、さらに大気中で1時間120℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの第2電荷輸送層を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層を設けてなる電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体の30℃/80%RH環境下(高温高湿環境下)および23℃/5%RH環境下(常温低湿環境下)における上述の短期間の電位変動を次のように測定・評価した。
すなわち、図6で示す構成のジェンテック(株)製ドラム試験機SYNTHIA90に電子写真感光体を装着し、初期の帯電電位(暗部電位)および露光時の電位(明部電位)を測定した後、帯電−露光−(電位測定)−前露光を1000回繰り返し、繰り返し後の暗部電位Vd’と明部電位Vl’を測定した。そして、繰り返し後の暗部電位Vd’と初期の暗部電位Vdとの差を暗部電位変動量△Vd(=|Vd’|−|Vd|)とし、繰り返し後の明部電位Vl’と初期の明部電位Vlとの差を明部電位変動量△Vl(=|Vl’|−|Vl|)とした。なお、ドラム試験機のプロセススピードは94mm/sとした。また、帯電にはスコロトロンを使用し、帯電電位(暗部電位)Vdが−700Vとなるようにスコロトロンのグリッド電圧を調整した。また、露光には水銀灯を使用して波長404.7nmの輝線を用い、電子写真感光体の明部電位Vlが−200Vとなるように露光強度を調整した。また、前露光の光量は像露光量の2倍の光量に設定した。
図6において、801は電子写真感光体であり、803は帯電器(スコロトロン)であり、804は露光器(水銀灯)であり、8051は電位測定用のプローブであり、8052は電位計であり、806は前露光器(LED(波長470nm))である。
測定の結果、30℃/80%RH環境下では△Vd=−8V、△Vl=−8Vであり、23℃/5%RH環境下では△Vd=+2V、△Vl=+6Vであった。
(参考例2)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0.30部に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例3)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0.80部に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例4)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から3.00部に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例5)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から4.00部に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例6)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部をアゾ顔料例(A2−23)10.0部に変更し、上記式(3)で示される構造を有する化合物1.50部を上記式(2)で示される構造を有する化合物0.10部に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例7)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.10部から0.01部に変更した以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例8)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.10部から0.50部に変更した以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例9)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.10部から0.001部に変更した以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例10)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.10部から1.00部に変更した以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例11)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−23)10.0部をアゾ顔料例(A2−33)10.0部に変更し、上記式(2)で示される構造を有する化合物0.10部を下記式(2)’で示される構造を有する化合物0.10部に変更した以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例12)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部をアゾ顔料例(A2−5)10.0部に変更し、上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0部に変更し(すなわち不使用)、かつ、第1電荷輸送層用塗布液の調製に上記材料に加えてさらに上記式(3)で示される構造を有する化合物0.05部を用いた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例13)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を0.05部から0.0001部に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例14)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を0.05部から0.001部に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例15)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を0.05部から0.20部に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例16)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を0.05部から0.50部に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例17)
参考例12において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−5)10.0部をアゾ顔料例(A2−27)10.0部に変更し、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物0.05部を上記式(2)で示される構造を有する化合物0.04部に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例18)
参考例17において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.04部から0.0005部に変更した以外は、参考例17と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例19)
参考例17において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.04部から0.001部に変更した以外は、参考例17と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例20)
参考例17において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.04部から0.10部に変更した以外は、参考例17と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例21)
参考例17において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.04部から0.30部に変更した以外は、参考例17と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例22)
参考例17において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−27)10.0部をアゾ顔料例(A2−37)10.0部に変更し、上記式(2)で示される構造を有する化合物0.04部を上記式(2)’で示される構造を有する化合物0.07部に変更した以外は、参考例17と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(実施例23)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0.50部に変更し、かつ、第1電荷輸送層用塗布液の調製に上記材料に加えてさらに上記式(2)で示される構造を有する化合物0.03部を用いた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(実施例24)
実施例23において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物0.50部を上記式(2)で示される構造を有する化合物0.04部に変更し、かつ、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.03部から0.02部に変更した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例25)
実施例24において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物0.02部を上記式(2)’で示される構造を有する化合物0.04部に変更した以外は、実施例24と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例26)
実施例24において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部をアゾ顔料例(A2−41)10.0部に変更した以外は、実施例24と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(参考例27)
実施例24において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部をアゾ顔料例(A2−49)10.0部に変更した以外は、実施例24と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例1)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0部に変更した(すなわち不使用)以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例2)
参考例6において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(2)で示される構造を有する化合物の使用量を0.10部から0部に変更した(すなわち不使用)以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例3)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物1.50部を下記式(c)で示される構造を有する化合物1.50部
に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例4)
比較例3において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(c)で示される構造を有する化合物の使用量を1.50部から0.10部に変更した以外は、比較例3と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例5)
比較例4において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(c)で示される構造を有する化合物0.10部を下記式(d)で示される構造を有する化合物0.10部
に変更した以外は、比較例4と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例6)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物0.05部を下記式(e)で示される構造を有する化合物(分子量3100〜4000、式(e)のnは繰り返し数)0.05部
に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例7)
参考例12において、第1電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物0.05部を下記式(f)で示される構造を有する化合物0.05部
に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例8)
参考例1において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部を下記式(g)で示される構造を有するアゾ顔料10.0部
に変更した以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例9)
参考例12において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−5)10.0部を下記式(h)で示される構造を有するアゾ顔料10.0部(異性体を含む)
に変更した以外は、参考例12と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
(比較例10)
実施例24において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−2)10.0部を下記式(i)で示される構造を有するアゾ顔料10.0部(異性体を含む)
に変更した以外は、実施例24と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例1と同様にして電子写真感光体の短期間の電位変動を測定・評価した。結果を表5に示す。
以上より、感光層に上記式(1)で示される構造を有するカプラー残基を有するアゾ顔料と、上記式(2)で示される構造を有する化合物および上記式(3)で示される構造を有する化合物の少なくとも一方とを含有させることによって、高温高湿環境下および常温低湿環境下における短期間の電位変動が非常に小さく抑制されることがわかる。
(参考例28)
アルミニウムシートを支持体とした。
次に、メトキシメチル化ナイロン(平均分子量:32000)5部およびアルコール可溶性共重合ナイロン(平均分子量:29000)10部をメタノール95部に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を支持体上にマイヤーバーで塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.8μmの中間層を形成した。
次に、アゾ顔料例(A1−2)(電荷発生物質)10.0部、上記式(3)で示される構造を有する化合物1.00部およびテトラヒドロフラン200部を、15℃下、直径0.8mmのガラスビーズ470部を用いたサンドミル装置で30時間分散処理することによって得られた液に、ブチラール樹脂(BL−S)2.00部をテトラヒドロフラン18.0部に溶解させることによって得られた液を添加し、これを、15℃下、サンドミル装置で4時間分散処理し、これに酢酸ブチル370部を添加することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、150mg/m2の電荷発生層を形成した。
次に、下記式で示される構造を有する化合物10.00部、
および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ200、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10.00部をクロロベンゼン70.00部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上にマイヤーバーで塗布し、これを30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、支持体上に中間層、電荷発生層および電荷輸送層を設けてなる電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体を用い、フォトメモリーを次のように測定・評価した。
すなわち、川口電機(株)製静電複写紙試験装置(EPA−8100)を用い、−5kVのコロナ放電で、電子写真感光体の表面を帯電した後(帯電条件は初期の暗部電位が−700Vになる条件)、ハロゲンランプを用い、409nmフィルターを通して露光光を照射した。露光光の光量は初期の明部電位が−200Vになるように設定した。
次に、電子写真感光体の一部をマスクし、白色蛍光灯を用い、1500lux・sの光強度の光を5分間照射した(以下、マスクされたところを非照射部、マスクされていないところを照射部という。)。
その1分後、上記の帯電条件による帯電および上記光量の露光光による露光によって、電子写真感光体の暗部電位および明部電位を測定した。
非照射部の暗部電位をVd、明部電位をVlとし、照射部の暗部電位をVd’、照射部の明部電位をVl’としたとき、フォトメモリーとして、非照射部と照射部との暗部電位差PM△Vd(=|Vd’|−|Vd|)、ならびに、非照射部と照射部との明部電位差PM△Vl(=|Vl’|−|Vl|)をそれぞれ算出した。結果を表10に示す。
(参考例29〜41、実施例42〜43)
電荷発生層用塗布液の調製に用いた材料の種類およびそれらの量、ならびに、電荷輸送層用塗布液の調製に用いた材料の種類およびそれらの量を、表6に示すとおりにした以外は、参考例28と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
(比較例11)
参考例29において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物の使用量を1.00部から0部に変更した(すなわち不使用)以外は、参考例29と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
(比較例12)
参考例29において、電荷発生層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物1.00部を上記式(c)で示される構造を有する化合物1.00部に変更した以外は、参考例29と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
(比較例13)
参考例36において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−1)10.0部をアゾ顔料例(A2−11)10.0部に変更し、かつ、電荷輸送層用塗布液の調製に用いた上記式(3)で示される構造を有する化合物0.05部を上記式(e)で示される構造を有する化合物0.05部に変更した以外は、参考例36と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
(比較例14)
参考例29において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−11)10.0部を上記式(g)で示される構造を有するアゾ顔料10.0部に変更した以外は、参考例29と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
(比較例15)
参考例39において、電荷発生層用塗布液の調製に用いたアゾ顔料例(A2−1)10.0部を上記式(i)で示される構造を有するアゾ顔料10.0部に変更した以外は、参考例39と同様にして電子写真感光体を作製し、参考例28と同様にして電子写真感光体のフォトメモリーを測定・評価した。結果を表7に示す。
以上より、感光層に上記式(1)で示される構造を有するカプラー残基を有するアゾ顔料と、上記式(2)で示される構造を有する化合物および上記式(3)で示される構造を有する化合物の少なくとも一方とを含有させることによって、フォトメモリーが非常に小さく抑制されることがわかる。
電子写真感光体の層構成の例を示す図である。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の別の例を示す図である。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の別の例を示す図である。
本発明の電子写真感光体を有する複写機の概略構成の一例を示す図である。
実施例で用いたドラム試験機の概略構成を示す図である。
a 支持体
b 感光層
c 電荷発生層
d 電荷輸送層
e 電荷発生物質
41 電子写真感光体
42 軸
43 帯電手段
44 露光光
45 現像手段
46 転写手段
P 転写材
47 クリーニング手段
48 定着手段
49 プロセスカートリッジ
50 案内手段
43’ 帯電手段
46’ 転写手段
49’ プロセスカートリッジ
49’’ プロセスカートリッジ
30 原稿
31 原稿台ガラス
32 露光ランプ
33 レンズ
34 フルカラーセンサー
1 電子写真感光体
2 コロナ帯電器
3 レーザー露光光学系
3a ポリゴンミラー
3b レンズ
3c ミラー
E 光像
4y 現像器
4c 現像器
4m 現像器
4Bk 現像器
5 転写手段
5a 転写ドラム
5b 転写帯電器
5c 吸着帯電器
5d 内側帯電器
5e 外側帯電器
5f 転写材担持シート
5g 吸着ローラー
5h 分離帯電器
5i カムフォロワ
6 クリーニング器
8a 分離爪
8b 分離押し上げコロ
9 熱ローラー定着器
10 トレイ
11 前露光ランプ
12 電位センサー
13 光量検知手段
14 ファーブラシ
15 バックアップブラシ
16 オイル除去ローラー
17 バックアップブラシ
19 搬送パス切替ガイド
20 搬送縦パス
21 反転パス21
21b 反転ローラー
22 中間トレイ
24y 偏心カム
24c 偏心カム
24m 偏心カム
24Bk 偏心カム
25 偏心カム
801 電子写真感光体
803 帯電器
804 露光器
8051 電位測定用のプローブ
8052 電位計
806 前露光器