JP4313495B2 - 音信号制御式コンロ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部からの音信号、特に音声で加熱器の作動が制御できる音信号制御式コンロに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンロ、特に、ガスコンロでは、調理者の利便性を向上する目的で、コンロ器体に加熱器として3個以上のコンロバーナとグリルバーナを備えたグリルとを設けると共に、例えば、揚げ物温度自動調整のような自動調理機能が組み込まれることが多い。該自動調理機能は、前面パネルに設けた自動調理ボタンを選択すると、被調理物を収容した鍋等の外周面温度を測定する温度センサからの信号でコンロ器体内部の制御ユニットがバーナへの燃料ガス供給量を制御し、コンロバーナの作動を制御するものである。ここで、各バーナの操作部である点火/消火ボタン、火力調節レバー及び自動調理機能選択ボタンはコンロ中央部に収納されたグリルの両端の前面パネルに密集して同種の操作部が横方向に並ぶように配置される。また、コンロバーナやグリルバーナの加熱器の点火、消火並びに火力調整は操作部を手動で操作して行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガスコンロは、調理者の調理作業を考慮して通常床面からバーナの面までの高さが1m位の高さとなるように設置される。そのため、各バーナの操作部が密集して配置されかつ手動で操作部を操作するガスコンロでは、調理時、調理者にとって操作部が見難く、特に、厨房家具に組み込まれたビルトイン式コンロでは、家具の天板により調理者の視野が遮られるので、操作部がさらに見難くなり、調理者が作動を意図したバーナと別のバーナを手動で操作するという操作ミスを誘発する不具合があった。その上、従来のガスコンロでは、加熱器の操作が手動でのみに可能であるため、調理者の両手が塞がっている場合や離れた場所からバーナの消火や火力調整のバーナの作動を制御できなかった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、調理者の両手が塞がっている場合や離れた場所から各バーナの操作部を手動で操作することなく、コンロ器体の加熱器の作動を制御できると共に、調理者の操作ミスを回避できるように構成したコンロを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、加熱器と、該加熱器の作動を外部からの信号を受けて制御する制御ユニットとを備えた音信号制御式コンロであって、前記制御ユニットに音信号制御ユニットが付設され、前記音信号制御ユニットに、加熱器の所定の作動に対応した少なくとも1個の制御用音信号を格納すると共に、音信号入力部と、前記音信号入力部を介して入力された音信号を認識する音信号認識部と、認識した音信号を格納された制御用音信号と照合する音信号照合部とを設け、音信号照合部での照合によって前記音信号認識部が認識した音信号と格納された音信号とが一致した時、その音信号に対応して前記制御ユニットが加熱器の作動を制御するものにおいて、コンロを設置した状態で加熱器の所定の作動に対応する音信号が音信号制御ユニットに格納自在であり、かつ、この音信号は使用者の音声であることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、調理者が加熱器の所定の作動を意図した場合、その作動に対応した音信号を調理者が発すると、制御ユニットに付設した音信号制御ユニットが音を認識し、格納された音信号と照合し、その結果、一致した場合のみ制御部がその音信号に対応した加熱器の作動を制御するので、調理者の両手が塞がっている場合や離れた場所から操作部を手動で操作することなく加熱器の所定の作動を制御でき、また、各加熱器の操作部が見難い場合でも、手動で操作部を操作する必要がないので、調理者の操作ミスが回避され、コンロの利便性がさらに向上する。
【0007】
また、本発明では、前記音信号制御ユニットに、前記制御部が制御する加熱器の作動に対応した報知用音信号を格納すると共に、音信号出力部を設け、前記制御部が制御する加熱器の作動に対応した報知用音信号が格納され、該音信号制御ユニットに入力された音信号で前記制御ユニットが加熱器の作動を制御した後、所定の時間内に、前記音信号制御ユニットが、制御された加熱器の作動を確認すると、その作動に対応した報知用音信号を音信号出力部を介して出力することが好ましい。これにより、調理者が音信号を発して加熱器の所定の作動を制御した場合、加熱器が所定の作動が制御されたことを確認できる。
【0008】
尚、加熱器の所定の作動に対応する音信号は制御ユニットに格納自在であることが好ましい。これにより、特定の調理者の音信号でのみ加熱器を作動させることができ、周囲の音で誤って加熱器が作動することもない。また、本発明では、音信号が音声であることが好ましい。これにより、予め調理者が、加熱器の作動に対応した音信号を記憶等しなくても、調理者が意図する加熱器の作動の制御に対応する「消火」等の音声を発するだけで、加熱器の作動が制御できるため、加熱器の作動の制御が容易になると共に、視覚障害者用の音制御式ガスコンロとして構成するのに適する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一例を、音制御ユニットにより加熱器である1個のコンロバーナの作動を制御できるように構成したものについて説明する。
【0010】
図1を参照して、ガスコンロ1には、コンロ器体10を覆う天板11に設けた開口に臨ませてコンロバーナ2が備えられ、コンロ器体10の中央部には、天井部にシュバンク式バーナを備えたグリル3が設けられている。これらのバーナの点火/消火及び火力調整は、ガスコンロ1の前面であって、グリル3の両側に位置する正面パネル12に設けた点火/消火ボタン4a,5aと、該ボタンの上方に設けた火力調整レバー4b、5bとを介して行われる。グリル3側に位置し、コンロバーナ2の作動を制御する点火/消火ボタン4aと火力調整レバー4bとの間には、ガスバーナ2の作動を制御して揚げ物温度自動調整等の自動調理を実施する幾つかの自動調理ボタン6が並んで設けられている。また、グリル3と反対側の、グリルバーナの作動を制御する点火/消火ボタン5aと火力調整レバー5bとの間には、後述のスピーカー付集音マイク152が配設されている。
【0011】
コンロバーナ2は外周に複数の炎口が列設された外炎式バーナであり、該バーナ2の中央部には、バーナの中央開口に臨ませて温度センサ7が配置されている。該温度センサ7はサーミスタ素子をステンレス等の耐熱性部材で覆ったものであり、バネ(図示せず)によって上方に付勢された状態でコンロ器体10内部に支持されている。そして、コンロの天板11に設置された五徳8に調理物を収容した鍋等が載置された場合、該温度センサ7の頂部が鍋の底面に当接してその外周面温度を測定する。また、バーナ2の炎口の近傍にはバーナの着火状態を確認する熱電対等の火炎検知素子9が配設されている。これらの温度センサ7及び火炎検知素子9からの信号はコンロ器体内部の制御ユニット14(図2参照)に出力される。
【0012】
図2を参照して、バーナ2には、コンロ器体10外部から案内された燃料ガス供給管を分岐した分岐管13の一端が接続されている。該分岐管13の経路の途中には、正面パネル12の点火/消火ボタン4aで操作される電磁安全弁41と、正面パネル12の火力調整レバー4bの操作で燃料ガス供給量を調節する開度調整可能な調節弁42とが設けられている。該電磁安全弁41は、バーナ2の着火時にその炎口近傍の火炎検知素子9からの信号に基づいて制御ユニット14により励磁される電磁石とこれに吸着される吸着片とを備える。そして電磁安全弁41は、点火/消火ボタン4aの操作で吸着片に連結された弁体が弁口を開閉するように構成され、火炎報知素子9がバーナ2の火炎を検出する間、制御ユニット14により開弁状態に保持される。また、調節弁42には、制御ユニット14からの信号で該調節弁の開度を自動調整するステッピングモータ42aが付設され、火力調整レバー4bとは別個に操作できる。ところで、ガスコンロ1には揚げ物温度自動調整等の自動調理機能が組み込まれている。これは、例えば、調理者が前面パネル12の揚げ物調理ボタン6aを選択すると、コンロ器体10に支持された温度センサ7が五徳8上の鍋の外周面温度を測定し、該外周面温度が常時一定となるように制御ユニット14がステッピングモータ42aを制御して調節弁42の開度を調節、即ちバーナ2への燃料ガス供給量を調節し、その調理に適したバーナ2の作動を制御するものである。また、制御ユニット14には音声制御ユニット15が付設され、調理者の音声で、消火や自動調理機能のバーナ2の作動が制御できるように構成されている。音声制御ユニット15は、バーナ2の消火や火力調節の作動に対応する制御用音信号である制御用音声等を予め格納したROM等のメモリ151と、前面パネルに設けた音信号入力部及び音信号出力部であるスピーカ付集音マイク152と、該マイクを介して入力された音声を認識する音声認識部153と、該音声認識部で認識した音声と予め格納された音声とを照合する音声照合部154とから構成される。
【0013】
以下に、図2及び図3を参照して、音声によるバーナ作動の制御の一例を「バーナ消火」について説明する。
【0014】
先ず、メモリ151には、「消火」、「消えろ」、「危ない」等のバーナー消火に対応した幾つかの音声と、バーナ動作異常時の警告用音声と、「消火しました」等のバーナの作動の制御が終了した時の報知用音声とが音声信号として予め格納されている。そして、調理者が、「消火」等のバーナ消火に対応した音声を発すると(S1)、集音マイク152により集音された音声が音声認識部153に入力され、その音声が識別される(S2)。次いで、入力された音声を識別すると、それに対応した音声信号を音声照合部154に出力する。その際、音声照合部154はその音声信号とメモリ151内のいずれかの音声信号と照合し(S3)、それらの音声信号が一致した時、「バーナ消火」に対応する信号を制御ユニット14に出力する。その結果、制御ユニット14は電磁安全弁41の電磁石への電流を遮断することで該電磁安全弁を閉弁する(S4)。次いで、制御ユニット14が電磁石への電流を遮断したことを確認すると、制御終了信号を音声照合部154に出力し、該音声照合部154がメモリ151からバーナー消火に対応する「消火しました」の報知用音声を取出し、スピーカーを通じて出力する(S5)。尚、音声認識部153が入力された「消火」等の音声を認識できない場合や制御ユニット14が所定の時間内に電磁石への電流が遮断されたことを確認しない場合、該制御ユニットが音声照合部154に動作異常警告信号を出力し、スピーカー152を介して警告音声を出力する(S6)。
【0015】
ところで、本実施の形態では、制御用音信号を予めメモリ151に格納していたが、特定の調理者の音声のみでバーナ2の作動が制御できるように録音機能を備えることもできる。この場合、前面パネル12に録音ボタン12aを設けておき、該録音ボタンを押しながら、特定の調理者が集音マイク152に向かって所定の音声を出力すると、メモリ151にその音声が格納される。また、本発明の一例を「バーナー消火」について説明したが、バーナ2の火力調整や自動調理機能の開始等を音声により制御できる。この場合、入力音声で制御ユニットが調節弁42に付設されたステッピングモータ42aを制御することで火力調整等のバーナの作動が制御される。ところで、ガスコンロ1には安全機能が装備され、例えば、煮こぼれ等によりバーナが消火され、バーナ近傍の火炎検知素子9が消火を検出すると、制御ユニットが電磁安全弁41を閉弁するように構成されているが、その際、制御ユニット14からの信号で音声制御ユニット15が、バーナ2が消火させられたことを報知するように構成できる。さらに、本発明の音制御式コンロを視覚障害者用のものと構成する場合には、音信号制御ユニットのメモリには、確認要求用音声と確認応答用音声とを格納し、制御ユニットがバーナーの所定の作動の制御を行う前に、確認要求用音声をスピーカーを通じて出力することで、音声の照合結果が正確か否かを調理者に報告させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスコンロの概略部分斜視図。
【図2】ガスコンロ内部の概線図。
【図3】本発明の音声制御ユニットの制御を示すフロー図。
【符号の説明】
2 加熱器(コンロバーナ)
14 制御ユニット
15 音信号制御ユニット
151 メモリ
152 音声入力部(スピーカ付集音マイク)
153 音声認識部
154 音声照合部

Claims (2)

  1. 加熱器と、該加熱器の作動を外部からの信号を受けて制御する制御ユニットとを備えた音信号制御式コンロであって、前記制御ユニットに音信号制御ユニットが付設され、前記音信号制御ユニットに、加熱器の所定の作動に対応した少なくとも1個の制御用音信号を格納すると共に、音信号入力部と、前記音信号入力部を介して入力された音信号を認識する音信号認識部と、認識した音信号を格納された制御用音信号と照合する音信号照合部とを設け、音信号照合部での照合によって前記音信号認識部が認識した音信号と格納された音信号とが一致した時、その音信号に対応して前記制御ユニットが加熱器の作動を制御するものにおいて、コンロを設置した状態で加熱器の所定の作動に対応する音信号が音信号制御ユニットに格納自在であり、かつ、この音信号は使用者の音声であることを特徴とする音信号制御式コンロ。
  2. 前記音信号制御ユニットに、加熱器の作動に対応した報知用音信号を格納すると共に、音信号出力部を設け、加熱器の作動に対応した報知用音信号が格納され、該音信号制御ユニットに入力された音信号で前記制御ユニットが加熱器の作動を制御した後、所定の時間内に、前記音信号制御ユニットが、制御された加熱器の作動を確認すると、その作動に対応した報知用音信号を音信号出力部を介して出力することを特徴とする請求項1記載の音信号制御式コンロ。
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