以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造、フローチャートなどは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1の上面には、天板3が設置される。天板3において、右手前には右コンロバーナ4、左手前には左コンロバーナ6、中央奥側には奥コンロバーナ5が設けられる。各コンロバーナ4~6の中央には、鍋底に当接して調理鍋の温度を検出するセンサ組立20が設けられる。センサ組立20は、上下方向に出退可能に設けられ、サーミスタ40(図3参照)を格納する。コンロバーナ4~6の近傍には、失火を検出する為の熱電対50(図3参照)、点火する為のイグナイタ60(図3参照)が設けられる。天板3の後方部には、コンロ1内に設置されたグリル庫(図示略)の排気口7が設けられる。天板3の上面手前側の略中央部には、矩形状の表示部22が設けられる。表示部22は例えば液晶である。表示部22には、コンロ1の操作画面(図示略)等の各種画面が表示される。
コンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は手前側に移動可能に支持され、コンロ1内部に設けられるグリル庫(図示略)の前側の開口部を開閉する。グリル庫内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。グリルバーナの近傍にも、熱電対50とイグナイタ60が設けられる。グリルバーナは、例えば上火バーナと下火バーナを備えるとよい。グリル扉8の右側の領域には、右側から左側に向かって順に、正面視円形状の操作ボタン11~13が横一列に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域にも、操作ボタン11~13と同一高さ位置に、同一円形状の操作ボタン14が設けられる。
操作ボタン11は右コンロバーナ4、操作ボタン12は奥コンロバーナ5、操作ボタン13は左コンロバーナ6、操作ボタン14はグリルバーナを、点火及び消火する為に押下される。操作ボタン11~14は、対応するバーナの消火時、コンロ1の前面とほぼ面一の状態である(図1参照)。点火の為に押下されると、後述する制御回路70(図3参照)によって、対応するバーナへの点火処理が実行され、公知のプッシュ・プッシュ機構(図示略)によって、操作ボタン11~14は、コンロ1前面から前方に向けて略円柱状に突出し(図16参照)、該突出した状態で回動操作が可能となる。操作ボタン11~14を回動操作すると、制御回路70によって、回動操作量に応じたガス量になるように、対応するバーナへのガス供給量が調整される。
コンロ1の内部には、4つのガス量調節機構30(図3参照)が設けられる。ガス量調節機構30は、対応するコンロバーナ4~6、及びグリルバーナへのガス供給量を調整する。ガス量調節機構30は、弁機構部31とモータ32を備える。弁機構部31は、例えばガス流路を流れるガス量を調整するニードル弁や電磁弁等の各種弁を備える。モータ32は、弁機構部31の弁を駆動し、ガス流路を流れるガス流量が調整される。モータ32の駆動は、制御回路70によって制御される。
操作ボタン11~14を押し込んで手前に突出させると、制御回路70は、ガス量調節機構30のモータ32に通電する。これにより、弁機構部31が駆動され、ガス流路が開放されることで、対応するバーナにガスが供給される。これと同時に、制御回路70は、対応するイグナイタ60を作動させることにより、対応するバーナが点火される。そして、操作ボタン11~14の回転方向と回転角度に応じて、制御回路70は、モータ32を正逆方向に回転し、弁機構部31における弁の開度を調節する。これにより、ガス流路を流れるガス量が調節されることで、対応するバーナの火力が調節される。また、操作ボタン11~14をコンロ1内部に押し込んで収容させると、制御回路70は、モータ32を逆回転させる。これにより、弁機構部31の弁は逆向きに駆動され、ガス流路が閉じられることで、対応するバーナへのガスの供給が遮断される。
操作ボタン11の直上には、電源ボタン25が設けられる。操作ボタン14の左斜め上方には、コンロ1前面のパネルを貫通する穴17が設けられ、その穴17に対して、マイク76がコンロ1内部から臨むようにして設けられる。本実施形態のコンロ1は、音声認識機能を有する。コンロ1は、使用者からの音声コマンドを受け付け、受け付けた音声コマンドの音声認識を行うことによって、音声コマンドに対応する動作を実行可能である。音声コマンドとは、コンロ1に対して音声で行う指示である。なお、本実施形態は、説明の便宜上、右コンロバーナ4、左コンロバーナ6、奥コンロバーナ5、グリルバーナを夫々、右コンロ4、左コンロ6、奥コンロ5、グリルと呼ぶことがある。
操作ボタン11~13の下方には、前面パネル21が設けられる。前面パネル21を後方に押し込むと、周知のプッシュ・プッシュ機構により、前面パネル21が前方に引き出され、図2に示す操作パネル24が露出される。再度後方に押し込むと、操作パネル24は筐体2内に格納され、前面パネル21は筐体2の前面に面一となる。操作パネル24は、ユーザがコンロ1について種々の入力を行う為の入力機器である。図2に示すように、操作パネル24は、表示部241、メニューキー242、確定キー243、タイマーキー244、上下キー245、テンキー246等を備える。表示部241は、正面視矩形状に形成され、操作パネル24の左側に寄せて設けられている。表示部241は後述する各種画面を表示可能である。表示部241はタッチパネル式のディスプレイである。メニューキー242は、後述するメニュー画面(図9参照)を表示する。確定キー243は、入力を確定させる。タイマーキー244は、タイマー機能をオンさせる。上下キー245は、上方向又は下方向を指示する。テンキー246は、0~9までの数字を入力する。以下、これら各種キーを総称するときは、キー242~246と呼ぶ。
図3を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ74等を備える。CPU71は、コンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、例えば、音声操作設定プログラム、音声操作制御プログラム、手動操作検出プログラム等を記憶する。音声操作設定プログラムは、後述する音声操作設定処理(図5参照)を実行する為のものである。音声操作制御プログラムは、後述する音声操作制御プログラム(図6,図7参照)を実行する為のものである。手動操作検出プログラムは、後述する手動操作検出処理(図8参照)を実行する為のものである。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ74は、バーナ火力情報、音響モデルデータ、無効フラグ情報741(図4参照)等の各種データを記憶する。バーナ火力情報とは、モータ32の出力軸の回転角度とバーナ火力とを対応づけた情報である。本実施形態では、例えば火力小から大までを1~10の10段階に分け、夫々の段階に対してモータ32の回転角度を割り当てている。これにより、CPU71は、モータ32の出力軸の回転角度に基づき、対応するバーナ火力を特定できる。なお、無効フラグ情報741については後述する。
制御回路70には、電源回路81、サーミスタ入力回路82、熱電対入力回路83、イグナイタ回路84、操作パネル24、モータ制御回路85、音声入力回路86、音声出力回路87、ブザー回路88、表示制御回路89、センサ19等が電気的に各々接続されている。使用者によって電源ボタン25が押下されると、電源回路81は、電源23から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。故にコンロ1の電源はオンする。使用者によって電源ボタン25が再押下されると、電源回路81は、各種回路への電力供給を遮断する。故にコンロ1の電源はオフする。
サーミスタ入力回路82は、各バーナに設けられたセンサ組立20に格納するサーミスタ40からの検出信号を、制御回路70に入力する。熱電対入力回路83は、熱電対50からの検出値(熱起電力に対応する信号)を、制御回路70に入力する。イグナイタ回路84は、CPU71からの制御信号に基づき、対応するバーナのイグナイタ60を駆動する。操作パネル24は、例えば、使用者によるタイマ設定、調理メニューに応じた火力制御の選択、音声操作の有効/無効の設定等の入力を受け付け、該入力信号を制御回路70に入力する。モータ制御回路85は、CPU71からの制御信号に基づき、4つのガス量調節機構30のモータ32の駆動を制御する。
音声入力回路86は、マイク76で集音された音声のアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御回路70に入力する。音声出力回路87は、CPU71からの制御信号に基づき、音声のデジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカ77に出力する。ブザー回路88は、CPU71の制御信号に基づき、圧電ブザー78を駆動する。表示制御回路89は、CPU71からの制御信号に基づき、表示部22、及び操作パネル24の表示部241に各種画面、メッセージ等を表示する。センサ19は、操作ボタン11~14の夫々に設けられ、操作ボタン11~14の回転方向と回転角度を検出し、該検出信号を制御回路70に入力する。CPU71は、センサ19からの検出信号に基づき、操作ボタン11~14の回転方向と回転角度に対応するように、モータ32の出力軸を回転させ、弁機構部31を駆動させる。これにより、ガス流路を流れるガス量が調節され、対応するバーナの火力が調節される。
ガス量調節機構30には、ポジションメータ35が設けられる。ポジションメータ35は、モータ32の出力軸の回転角度を検出し、該検出信号を制御回路70に入力する。CPU71は、ポジションメータ35からの検出信号に基づき、モータ32の出力軸の回転角度を認識できるので、不揮発性メモリ74に記憶するバーナ火力情報を参照することで、対応するバーナ火力を特定できる。なお、コンロ1は、外部装置と無線又は有線で通信可能な通信部を備えてもよい。その場合、コンロ1は通信部を介して、外部装置から種々のプログラムやデータを受け取ることができ、例えば、制御内容を更新できる。
コンロ1の音声認識機能の原理を簡単に説明する。音声認識は、周知の音声認識技術を用いることができ、例えば不揮発性メモリ74に記憶する「音響モデルデータ」と、入力された音声指示の音声情報(例えば、波形データ)とのマッチング(照合)で行うとよい。本実施形態では、CPU71が、音声入力回路86から入力されるデジタルデータを波形データに変換し、音響モデルデータとのマッチングを行う。「音響モデルデータ」とは、平均的な発音データを基に作られた音の波形に対し、音素と呼ばれる要素への切り分けを行った上で、夫々が「あ」「い」「う」等の母音や、「k」「s」「t」などの子音のうち、どの特徴量を持つかを識別する為のモデルデータである。不揮発性メモリ74には、コンロ1を操作する為に使用者が選択可能な操作指示を、それぞれ音声波形で示した複数の音響モデルデータが記憶されている。なお、マッチングには、例えば「HMM(Hidden Markov Model)」と呼ばれる理論を用いるとよい。マッチングは通常10~20ミリ秒の単位で、単語の先頭から順次行うのがよい。
図4を参照し、無効フラグ情報741を説明する。無効フラグ情報741は、不揮発性メモリ74に記憶するとよい。無効フラグ情報741は、右コンロ4、奥コンロ5、左コンロ6、グリルの夫々の場所毎に、無効フラグを設定する。無効フラグは、音声操作を無効にする為のフラグであり、有効であれば0、無効であれば1を設定する。例えば、図4(A)に示す無効フラグ情報741は、何れのバーナにおいても無効フラグは0であり、デフォルトの状態である。この場合、音声操作は全て有効である。図4(B)に示す無効フラグ情報741は、グリルの無効フラグのみが1であり、それ以外は全て0である。この場合、グリルの音声操作のみが無効であり、それ以外の場所は全て有効である。図4(C)に示す無効フラグ情報741は、左コンロ6の無効フラグのみが0であり、それ以外は全て1である。この場合、左コンロ6の音声操作のみが有効であり、それ以外の音声操作は全て無効である。上記の通り、無効フラグ情報741は不揮発性メモリ74に記憶するので、コンロ1の電源がオフになってもその内容は保持される。よって、例えば、左コンロ6の音声操作を無効にすると、電源をオフして次にオンしたときも、左コンロ6の音声操作は無効である。
図5、図9~図12を参照し、音声操作設定処理を説明する。各バーナにおける音声操作の有効、無効の設定は、操作パネル24で設定できる。例えば、操作パネル24のメニューキー242を押下すると、表示部241に、図9に示すモード選択画面が表示される。モード選択画面には、「手動操作モード」と「音声操作モード」の2つのモードが上下方向に並び、且つ選択可能に表示される。手動操作モードとは、手動でバーナ火力の調節、消火等の各種操作を行うモードである。音声操作モードとは、音声指示の入力で、バーナ火力の調節、消火等の各種操作を行うモードである。モード選択は、上下キー245でカーソルを移動させるか、画面をタップして移動させ、確定キー243を押下することで確定する。
音声操作モードが選択されると、表示部241には、図10に示す項目選択画面が表示される。項目選択画面には、「実行」と「音声操作設定」の2つの項目が上下方向に並び、且つ選択可能に表示される。音声操作を実行する場合、使用者は「実行」を選択すればよい。音声操作の有効、無効をバーナの場所毎に設定する場合、使用者は「音声操作設定」を選択すればよい。「音声操作設定」が選択された場合、CPU71はROM72から音声操作設定プログラムを読出し、本処理を実行する。
図5に示すように、CPU71は、不揮発性メモリ74から無効フラグ情報741を読込む(S1)。CPU71は、読込んだ無効フラグ情報741に対応する音声操作設定画面(図11参照)を表示する(S2)。図11に示す音声操作設定画面は、図4(A)に示す無効フラグ情報741に基づき作成されたものである。画面中央には、バーナ毎に、音声操作が有効か無効を示す表が表示され、全てのバーナの音声操作が有効と表示されている。一方、図12に示す音声操作設定画面の表では、グリルの音声操作のみが無効で、それ以外のバーナの音声操作は有効と表示されている。現在選択中の音声操作の選択欄は、黒白反転表示され、上下キー245で移動、又は画面をタップして移動できる。選択欄においては、設定変更が可能である。
音声操作設定画面の右側に表示された変更ボタンをタップすると、選択欄において有効と無効の表示が交互に切り替わり、その都度、設定が変更される。これにより、使用者は、例えば、デフォルトで音声操作が有効とされているバーナにおいて、音声操作を無効にしたい特定のバーナを自由に指定できる。例えば、調理する料理によっては、火力を微調整したい場合がある。そのような場合、特定のバーナの音声操作を無効に設定し、手動で火力を微調整することで、音声操作に比べて、火力を慎重に且つ自由に微調整できる。使用者は、音声操作設定画面の右下に表示された終了ボタンをタップすることで、音声操作機能の有効、無効の設定を完了させることができる。
CPU71は、音声操作設定画面において、変更ボタンがタップされ、音声操作の有効、無効が変更されたか否か判断する(S3)。設定が変更された場合(S3:YES)、対応する場所の無効フラグを0から1、又は1から0に設定変更する(S4)。CPU71は、終了ボタンかタップされ、設定変更が終了したか否か判断する(S5)。設定変更が終了しない場合(S5:NO)、CPU71はS3に戻って処理を繰り返す。設定変更が終了した場合(S5:YES)、CPU71は本処理を終了する。
図6,図7、図13~図18を参照し、音声操作制御処理を説明する。使用者がコンロ1の電源ボタン25を押下し、電源回路81から制御回路70に電力が供給されると、CPU71はROM72から音声操作制御プログラムを読込み、本処理を実行する。
CPU71は初期設定を行う(S11)。初期設定では、CPU71は、各種処理に必要な設定値の初期化を行う。次いで、CPU71は、右コンロ4、左コンロ6、奥コンロ5、グリルのうち、何れかのバーナが点火されたか否か判断する(S12)。何れかのバーナが点火されるまで(S12:NO)、CPU71はS12に戻って待機する。何れかのバーナが点火された場合(S12:YES)、CPU71は熱電対50からの検出信号に基づき、点火されたバーナを特定し(S13)、点火中のバーナの情報を、点火バーナ情報としてRAM73に記憶する。
次いで、CPU71は点火案内の音声を出力する(S14)。例えば、右コンロ4が点火された場合、「右コンロが点火されました。」という音声を、スピーカ77から出力する。これにより、使用者は、右コンロ4が点火されたことを認識できる。これ以後、別のバーナが点火されて、複数のバーナが点火状態となる場合も、CPU71は、熱電対50からの検出信号に基づき、点火されたバーナを特定し、点火バーナ情報としてRAM73に記憶する。
次いで、CPU71は、不揮発性メモリ74から無効フラグ情報741を読込む(S15)。CPU71はRAM73に記憶する点火バーナ情報と、読込んだ無効フラグ情報に基づき、燃焼中のバーナの中に、音声操作有効のバーナが有るか否か判断する(S16)。例えば、燃焼中のバーナの中に音声操作有効のバーナが無い、つまり燃焼中のバーナの音声操作が全て無効である場合(S16:NO)、使用者は燃焼中のバーナを手動で操作するので、CPU71はS12に戻り、音声操作を行うことなく、他のバーナが点火されたか引き続き監視する。
一方、音声操作有効のバーナがある場合(S16:YES)、CPU71は、使用者に音声操作の開始方法を知らせる為、音声操作開始の説明の音声を、スピーカ77から出力する(S17)。CPU71は、例えば「音声操作を開始するには、"音声操作開始"と話しかけて下さい。」という音声を、スピーカ77から出力する。CPU71は、音声操作の開始を受け付ける(S18)。使用者は、点火したバーナについて、音声指示で火力操作等を行う場合、コンロ1に向かって「音声操作開始」と話しかける。使用者の音声はマイク76で集音され、音声入力回路86によって音声のアナログ信号からデジタル信号に変換され、制御回路70に入力される。CPU71は、変換された音声のデジタル信号を波形データに変換し、「音声操作開始」の音響データとのマッチングを行うことで、音声認識処理を行う。
CPU71は、音声認識処理の結果、使用者の音声指示を、「音声操作開始」と認識したか否か判断する(S19)。「音声操作開始」と認識しなかった、又は認識を失敗した場合(S19:NO)、CPU71はS18に戻り、使用者からの音声指示を再度受け付け、音声認識処理を行う。なお、音声操作を行わない場合、使用者は「音声操作開始」と発話しないので、マイク76から別の音声が集音されても、CPU71は「音声操作開始」とは認識しない(S19:NO)。それ故、音声操作は開始されない。
音声認識処理の結果、マイク76で集音した使用者の音声を「音声操作開始」と認識した場合(S19:YES)、CPU71は音声操作を開始すると共に(S20)、音声操作が有効であるバーナについて、音声操作開始案内の音声を出力する(S21)。例えば、右コンロ4と左コンロ6の2つの音声操作が有効で、その他の音声操作が無効であった場合、CPU71は、「右コンロと左コンロについて音声操作を開始します。」という音声を、スピーカ77から出力する。これにより、使用者は、燃焼中のバーナが複数であっても、その中の右コンロ4と左コンロ6において音声操作が開始されたことを認識できる。
次いで、使用者に対し、コンロ1で現在行うことができる火力操作を知らせる為、CPU71は、第一アナウンス音声を、スピーカ77から出力する(S22)。第一アナウンス音声は、火力操作の説明の音声である。CPU71は、例えば、「火力大、火力中、火力小、消火、音声操作終了の中から一つを選び、音声指示をして下さい。」という第一アナウンス音声を出力する。なお、現在行うことができる火力操作の中に、「音声操作終了」が含まれるので、途中で音声操作から手動操作に切替えたい場合等に有効である。これと同時に、CPU71は、表示部22に説明画面101(図13参照)を表示する(S22)。説明画面101には、出力した第一アナウンス音声と同じ内容で、現在行うことができる火力操作の項目がリスト表示される。これにより、使用者は、現在行うことができる火力操作を、音声と表示の両方で認識できるので、音声指示の単語を明確に認識できる。よって、コンロ1は、使用者が間違った単語で音声指示を出してしまうのを防止できる。
なお、本実施形態では、右コンロ4、奥コンロ5、左コンロ6、グリルの何れにおいても、選択可能な火力操作は、火力大、火力中、火力小の3つであるが、例えば、バーナの種類毎に選択可能な火力操作が違っていてもよい。例えば、グリルで選択可能な火力操作だけ、火力大と火力小の2つにしてもよい。ここで、例えば、右コンロ4、左コンロ6、グリルの3つのバーナが燃焼状態で、グリルの音声操作のみが有効であった場合、グリルで選択可能な火力操作は、火力大と火力小の2つであるので、CPU71は、「火力大、火力小、消火、音声操作終了の中から一つを選び、音声指示をして下さい。」という第一アナウンス音声を出力するとよい。そして、表示部22に表示する説明画面においても同様に表示するとよい。これにより、音声操作が無効に設定されたバーナの種類に応じて、使用者が入力できる音声指示の種類が減少されるので、コンロ1は、使用者の音声指示による入力ミスを軽減できると共に、迅速な音声指示の入力が可能となる。
次いで、CPU71は、火力操作を音声指示で受け付ける(S23)。使用者は、音声と表示で知らされた火力操作の中から、点火中のバーナに対して行う一つの火力操作を選び、コンロ1に対して話しかける。CPU71は、使用者の火力操作の音声指示について、音声認識処理を行う。以下、3つのケースについて説明する。
-ケース1-
ケース1は、最初に、図16に示す状態Aを想定する。状態Aは、右コンロ4、左コンロ6、及びグリルが点火し、奥コンロ5が消火した状態である。全てのバーナにおいて音声操作は有効であるので、無効フラグ情報741は、図4(A)に示すものとなる。このような状態Aで、点火中の左コンロ6のみを消火したい場合、「消火」は現在行うことができる火力操作(図13参照)であるので、使用者はコンロ1に向かって「消火」と話しかける。
CPU71は、使用者からの火力操作の音声指示の認識を完了したか否か判断する(S24)。例えば、火力操作の音声指示を認識しなかった、又は認識を失敗した場合(S24:NO)、CPU71はS23に戻り、使用者からの音声指示を再度受け付け、音声認識処理を行う。火力操作の音声指示の認識を完了した場合(S24:YES)、CPU71は、認識した音声指示は「音声操作終了」であるか否か判断する(S25)。音声指示が「音声操作終了」であった場合(S25:YES)、CPU71は音声操作を終了する共に、「音声操作を終了しました。」という音声をスピーカ77から出力し(S27)、S17の処理に戻る。これにより、使用者は、音声操作が終了したことを認識できる。CPU71は、声操作開始の説明の音声を出力し(S17)、上記処理を繰り返す。
一方、音声指示が「消火」であった場合(S25:NO)、CPU71は、認識した火力操作である「消火」を、火力操作情報としてRAM73に一旦記憶する(S26)。次いで、図7に示すように、CPU71は、燃焼中のバーナの中で、音声操作有効のバーナは一つか否か判断する(S31)。状態Aでは、燃焼中の3つのバーナ(右コンロ4、左コンロ6、グリル)が何れも音声操作有効であるので(S31:NO)、先に受け付けた火力操作(本実施例では「消火」)が、これら3つの燃焼中のバーナのうち、どの場所のバーナを対象としているのか不明である。それ故、CPU71は火力操作に続き、火力操作の対象バーナの場所を音声指示で特定する必要がある。特に「消火」のような早急に行う必要がある火力操作に対応する為、CPU71は、以下の制御を実行する。
先ず、CPU71は、3つの燃焼中のバーナに対応する3つのガス量調節機構30のモータ32の回転角度を夫々求め、不揮発性メモリ74に記憶するバーナ火力情報を参照し、現在の夫々のバーナ火力を認識する(S32)。CPU71は、認識した夫々のバーナ火力の情報を、元火力情報としてRAM73に一旦記憶する(S33)。状態Aでは、右コンロ4の火力は3、左コンロ6の火力は5、グリルの火力は8である。次いで、CPU71は、これら燃焼中のバーナの夫々のガス量調節機構30のモータ32を駆動し、弁機構部31を駆動することで、3つの燃焼中のバーナ火力を一旦全て弱火力に変更する(S34)。これにより、状態Bのように、右コンロ4、左コンロ6、グリルの夫々の火力は一旦全て1となる。これにより、火力操作の対象バーナの場所が特定されるまでは、ひとまず火力が弱められるので、火力を弱める等の早急に行う必要がある場合等に十分対応できる。
続いて、使用者に火力操作の場所を音声指示で特定させる為、CPU71は、第二アナウンス音声を、スピーカ77から出力する(S35)。第二アナウンス音声は、火力操作の場所を説明するときの説明の音声である。状態Bでは、右コンロ4、左コンロ6、グリルの3つのバーナが燃焼中であり、何れも音声操作が有効であるので、現在選択可能な場所はこれら3つである。それ故、CPU71は、現在燃焼中のこれら3つの場所の中から一つを指定する為の説明の音声である第二アナウンス音声データを作成する。CPU71は、例えば、「右コンロ、左コンロ、グリル、消火、音声操作終了の中から一つを選び、音声指示をして下さい。」という第二アナウンス音声を作成し、スピーカ77から出力する。なお、第二アナウンス音声で説明する選択項目の中には、現在選択できる場所に加え、「消火」と「音声操作終了」を含むので、料理途中で点火中のバーナを消火したい場合や、音声操作から手動操作に切替えたい場合等に特に有効である。
これと同時に、CPU71は、表示部22に説明画面102(図14参照)を表示する(S35)。説明画面102には、出力した第二アナウンス音声と同じ内容で、現在選択できる3つの場所と、「消火」と「音声操作終了」の単語がリスト表示される。これにより、使用者は、現在選択できる項目を、音声と表示の両方で認識できるので、音声指示の単語を明確に認識できる。よって、使用者が間違った単語で音声指示を出してしまうのを防止できる。
CPU71は、場所指定を音声指示で受け付ける(S36)。使用者は、音声と表示で知らされた場所の中から、音声指示で指定した火力操作を行うバーナを選び、コンロ1に対して話しかける。CPU71は、使用者からの音声指示の認識を完了したか否か判断する(S37)。CPU71は、受け付けた音声指示を波形データに変換し、現在受け付け可能な項目である「右コンロ」、「左コンロ」、「グリル」、「消火」、「音声操作終了」の夫々の音響モデルデータとのマッチングを行うことで、音声認識を行う。現在受け付け可能な項目とのマッチングしか行わないので、音声認識を失敗する可能性を低減できる。
仮に、現在受け付け可能な項目の音声指示を認識しなかった、又は認識を失敗した場合(S37:NO)、CPU71はS36に戻り、使用者からの音声指示を再度受け付け、音声認識処理を行う。音声指示の認識を完了した場合(S37:YES)、CPU71は、認識した音声指示は「音声操作終了」であるか否か判断する(S38)。音声指示が「音声操作終了」であった場合(S38:YES)、CPU71は、図6のS27に進み、音声操作を終了する共に、「音声操作を終了しました。」という音声を、スピーカ77から出力する。これにより、使用者は、音声操作が終了したことを認識できる。CPU71はS17に戻り上記処理を繰り返す。
状態Bにおいて、使用者は左コンロ6のみを消火したいので、場所指定の音声指示は「左コンロ」である。CPU71が使用者からの音声指示を「左コンロ」と認識した場合(S38:NO)、左コンロ6を対象バーナに決定する(S39)。CPU71は、左コンロ6を消火する内容の実行操作音声の音声データを作成し、スピーカ77から出力する(S40)。CPU71は、例えば「左コンロを消火します。」という実行操作音声を出力する。これにより、使用者は、これから左コンロ6が消火されることを認識できる。実行操作音声を出力した後、CPU71は対象バーナである「左コンロ」に対し、RAM73に記憶された火力操作情報に基づき、先に受け付けた「消火」を実行する(S41)。
さらに、これと同時に、又はこれに少し遅れて、CPU71は、対象バーナ以外のバーナ火力を、RAM73に記憶する元火力情報を参照し、元火力に復帰させる(S42)。対象バーナ以外のバーナは、右コンロ4とグリルである。CPU71は、RAM73に記憶する元火力情報に基づき、右コンロ4とグリルの夫々の火力を、弱火力に切替える前の元火力に復帰させる。これにより、状態Cのように、左コンロ6は消火され、右コンロ4は火力1から元火力3へ、グリルは火力1から元火力8へ復帰させることができる。これにより、複数のバーナが点火状態であっても、使用者の音声指示で、グリルのみを正しく安全に消火できる。本実施形態では、火力操作が実行される前に、実行操作音声が出力されるので、使用者はこれから火力が切り替わるのを事前に認識できるので、火力が不意に切り替わるのを防止できる。
-ケース2-
ケース2は、最初に、図17に示す状態Dを想定する。状態Dは、上記の状態Aと同様に、右コンロ4、左コンロ6、及びグリルが点火し、奥コンロ5が消火した状態であるが、グリルの音声操作のみを無効とするので、無効フラグ情報741は、図4(B)に示すものとなる。このような状態Dで、点火中の左コンロ6のみを消火したい場合、使用者はコンロ1に向かって「消火」と話しかける。
CPU71は、使用者からの「消火」の音声指示を認識した場合(S25:NO)、CPU71は、認識した火力操作である「消火」を、火力操作情報としてRAM73に一旦記憶する(S26)。そして、燃焼中のバーナの中で、音声操作有効のバーナは、右コンロ4と左コンロ6の2つであるので(S31:NO)、先に受け付けた火力操作が、これら2つのバーナのうち、どの場所のバーナを対象としているのか不明である。それ故、CPU71はケース1と同様に、火力操作に続き、火力操作の対象バーナの場所を音声指示で特定する必要がある。
CPU71は、点火中である右コンロ4と左コンロ6の夫々に対応するガス量調節機構30のモータ32の回転角度を求め、不揮発性メモリ74に記憶するバーナ火力情報を参照し、現在の夫々のバーナ火力を認識する(S32)。CPU71は、認識した右コンロ4と左コンロ6の夫々のバーナ火力の情報を、元火力情報としてRAM73に一旦記憶する(S33)。状態Dでは、状態Aと同様に、右コンロ4の火力は3、左コンロ6の火力は5、グリルの火力は8である。次いで、CPU71は、右コンロ4と左コンロ6の夫々のガス量調節機構30のモータ32を駆動し、弁機構部31を駆動することで、右コンロ4と左コンロ6のバーナ火力を一旦弱火力に変更する(S34)。このとき、グリルは音声操作が無効であることから、グリルの火力は8のままである。よって、図17に示す状態Eのように、右コンロ4の左コンロ6の夫々の火力が一旦1となる。
次いで、使用者に火力操作の場所を音声指示で特定させる為、CPU71は、第二アナウンス音声を、スピーカ77から出力する(S35)。状態Eでは、右コンロ4、左コンロ6、グリルの3つのバーナが燃焼中であるが、音声操作が有効であるのは右コンロ4と左コンロ6の2つであるので、現在受付可能な場所はこれら2つである。それ故、CPU71は、現在燃焼中の2つの場所の中から一つを指定する為の説明の音声である第二アナウンス音声データを作成する。CPU71は、例えば、「右コンロ、左コンロ、消火、音声操作終了の中から一つを選び、音声指示をして下さい。」という第二アナウンス音声を作成し、スピーカ77から出力する。第二アナウンス音声データの中には、音声操作が無効である「グリル」は含まれない。
これと同時に、CPU71は、表示部22に説明画面103(図15参照)を表示する(S35)。説明画面103には、出力した第二アナウンス音声と同じ内容で、現在選択できる場所と、「消火」と「音声操作終了」の単語がリスト表示される。ここで、説明画面103には、現在選択できる場所として「右コンロ」と「左コンロ」の2つの場所が表示され、「グリル」は表示されない。つまり、使用者が音声操作を無効に設定したグリルについて、使用者が入力できる場所の音声指示の候補から省略することで、使用者が入力できる音声指示の種類が減少する。これにより、使用者は、グリルを省略した2つの場所の候補の中から選択し、音声指示で入力すればよいので、使用者の音声指示による入力ミスを軽減できると共に、迅速な音声指示での入力が可能となる。
CPU71は、場所を音声指示で受け付ける(S36)。使用者は、音声と表示で知らされた場所の中から、音声指示で指定した火力操作を行うバーナの場所を選び、コンロ1に対して話しかける。ここで、CPU71は、受け付けた音声指示を波形データに変換し、現在受け付け可能な項目である「右コンロ」、「左コンロ」、「消火」、「音声操作終了」の夫々の音響モデルデータとのマッチングを行うことで、音声認識を行う。CPU71は、「グリル」を除く現在受け付け可能な項目とのマッチングしか行わないので、音声認識を失敗する可能性を低減できる。CPU71は、「左コンロ」の音声指示の認識を完了した場合(S37:YES、S38:NO)、対象バーナを左コンロ6に決定する(S39)。CPU71は、左コンロ6を消火する内容の実行操作音声の音声データを作成し、スピーカ77から出力する(S40)。CPU71は、例えば「左コンロを消火します。」という実行操作音声を出力する。これにより、使用者は、これから左コンロ6が消火されることを認識できる。
実行操作音声を出力した後、CPU71は対象バーナである「左コンロ」に対し、RAM73に記憶された火力操作情報に基づき、先に受け付けた「消火」を実行する(S41)。さらに、これと同時に、又はこれに少し遅れて、CPU71は、対象バーナ以外のバーナ火力を、RAM73に記憶する元火力情報を参照し、元火力に復帰させる(S42)。対象バーナ以外のバーナは、右コンロ4のみである。CPU71は、RAM73に記憶する元火力情報に基づき、右コンロ4の火力を、弱火力に切替える前の元火力に復帰させる。これにより、図17に示す状態Fのように、左コンロ6は消火され、右コンロ4は火力1から元火力3へ復帰させることができる。なお、グリルは火力8のままである。グリルは使用者によって手動で操作されるので、火力を敢えて弱火力に切替える必要が無い。
-ケース3-
ケース3は、最初に、図18に示す状態Gを想定する。状態Gは、上記の状態A、Dと同様に、右コンロ4、左コンロ6、及びグリルが点火し、奥コンロ5が消火した状態であるが、左コンロ6のみが音声操作有効で、それ以外のバーナの音声操作は全て無効である。よって、無効フラグ情報741は、図4(C)に示すものとなる。このような状態Gで、点火中の左コンロ6のみを消火したい場合、「消火」は現在行うことができる火力操作であるので、使用者はコンロ1に向かって「消火」と話しかける。
CPU71は、使用者からの「消火」の音声指示を認識した場合(S25:NO)、CPU71は、認識した火力操作である「消火」を、火力操作情報としてRAM73に一旦記憶する(S26)。そして、燃焼中のバーナの中で、音声操作有効のバーナは、左コンロ6の1つであるので(図7のS31:YES)、先に受け付けた火力操作は、左コンロ6を対象とする。この場合、ケース1,2とは異なり、場所を特定する必要が無い。そこで、CPU71は、左コンロ6を消火する内容の実行操作音声データを作成し、作成したデータを元に実行操作音声をスピーカ77から出力する(S47)。CPU71は、例えば「左コンロを消火します。」という実行操作音声を出力する。実行操作音声を出力した後、CPU71は、点火中である左コンロ6に対し、火力操作である消火を実行する(S48)。このように、先に受け付けた火力操作の対象である場所が自動的に特定されるような場合、CPU71は、場所の音声指示を受け付けることなく、特定される場所に対して火力操作を実行できる。つまり、CPU71は、不要な音声指示の入力の受け付けを省略することで、使用者の音声指示による入力ミスを軽減できると共に、迅速な音声指示での入力が可能となる。
CPU71は、燃焼中のバーナの中に、音声操作有効のバーナが有るか否か判断する(S43)。燃焼中のバーナの中に、音声操作有効のバーナが有る場合(S43:YES)、CPU71は図6のS22に戻り、使用者に対し、コンロ1で現在行うことができる火力操作を知らせる為、第一アナウンス音声を、スピーカ77から再度出力し、処理を繰り返す。一方、燃焼中のバーナの中に、音声操作有効のバーナが無い場合(S43:NO)、CPU71は図6のS12に戻り、バーナの点火を監視して処理を繰り返す。
図8を参照し、手動操作検出処理を説明する。CPU71は所定周期毎に、ROM72から手動操作検出プログラムを読込み、本処理を実行する。CPU71は、熱電対50からの検出値に基づき、燃焼中のバーナが有るか否か判断する(S50)。燃焼中のバーナが無い場合(S50:NO)、CPU71は本処理を終了する。燃焼中のバーナが有る場合(S50:YES)、CPU71は、燃焼中のバーナについて手動操作が有ったか否か判断する(S51)。なお、手動操作とは、燃焼中のバーナに対して手動で行う操作であって、例えば、操作ボタン11~14の回動操作による火力調整等である。手動操作は、例えば、ポジションメータ35によって、操作ボタン11~14の回転角度を検出することによって検出できる。CPU71は、燃焼中のバーナにおいて手動操作を検出しない場合(S51:NO)、CPU71本処理を終了する。
燃焼中のバーナにおいて手動操作を検出した場合(S51:YES)、CPU71は、手動操作の有ったバーナの場所をポジションメータ35で特定し(S52)、その場所の情報をRAM73に記憶する。CPU71は、不揮発性メモリ74から無効フラグ情報741を読込み(S53)、手動操作の有った場所のバーナの音声操作が有効か否か判断する(S54)。
例えば、音声操作が有効に設定された左コンロ6が燃焼中の状態で、使用者が火力を調整する為に、音声指示ではなく、操作ボタン13を手動で回転させた場合、使用者はその後も手動で左コンロ6を操作する可能性が高く、手動操作に切替える意思表示とみなすことができる。そこで、手動操作の有ったバーナについて音声操作が有効、即ち無効フラグが0の場合(S54:YES)、CPU71は、無効フラグ情報741の対応するバーナの場所の無効フラグを1に設定する(S55)。これにより、燃焼中に手動で操作されたバーナについて、これまで有効であった音声操作が自動的に無効になる。上記の通り、CPU71は、図7に示す音声操作制御処理のS35において、音声操作が無効になった場所の案内を省略し、S36において、音声操作が無効になった場所の音声認識は行わない。よって、音声操作中に手動で操作されたことで、音声指示による入力の可能性が低いバーナの案内、及び音声認識を自動的に省略できるので、音声認識が失敗する可能性を低減できる。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、複数のバーナ(右コンロ4、奥コンロ5、左コンロ6、グリル)と、使用者から音声指示を入力するマイク76とを備える。CPU71は、マイク76で入力された使用者からの音声指示を認識し、認識した音声指示に基づき、複数のバーナの動作を制御可能である。CPU71は、使用者に対し、音声操作が有効とされたバーナの場所と、そのバーナについて受付可能な制御の種類(火力操作等)について、スピーカ77から出力する音声と表示部22における表示で案内する。使用者は、スピーカ77から出力する音声と表示部22における表示による案内に従って音声指示を入力できるので、入力ミスを低減できる。さらに、CPU71は、操作パネル24において、複数のバーナ毎に、音声操作の有効、無効を設定できる。CPU71は、スピーカ77と表示部22の音声と表示による案内から、音声操作が無効とされたバーナと、その特定バーナにおいて受付可能な制御の種類の案内を省略する。これにより、使用者が入力できる音声指示の種類が減少されるので、コンロ1は、使用者の音声指示による入力ミスを軽減できると共に、迅速な音声指示の入力が可能となる。
以上説明において、コンロ1は、本発明の「ガス調理器」の一例である。マイク76は、本発明の「音声入力手段」の一例である。図6、図7において、S23とS36の処理を実行するCPU71は、本発明の「音声認識手段」の一例である。S41、S48の処理を実行するCPU71は、本発明の「制御手段」の一例である。S22とS35の処理を実行するCPU71は、本発明の「案内手段」と「省略手段」の一例である。図5のS3、S4の処理を実行するCPU71は、本発明の「指定手段」の一例である。図8のS51の処理を実行するCPU71は、本発明の「検出手段」の一例である。S55の処理を実行するCPU71は、本発明の「設定手段」の一例である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態では、ビルトインタイプのコンロ1を例示したが、テーブルコンロであってもよい。コンロバーナの数は一つでも複数でもよく、グリルは省略してもよい。また、コンロ以外のガス機器であってもよく、例えば、グリルのみを備えるガス機器であってもよい。
上記実施形態では、図4に示す無効フラグ情報741は、不揮発性メモリ74に記憶し、電源がオフされてもその内容は保持され、次の電源オン時では、前回の電源オフ時の内容で制御されるが、例えば、電源オン時にデフォルトの状態(全てのバーナの音声操作が有効)に初期化してしてもよい。また、無効フラグ情報741のデフォルトの状態は、全てのバーナの音声操作が有効の状態であるが、例えば、全てのバーナの音声操作が無効の状態をデフォルトにしてもよい。
上記実施形態では、右コンロ4、奥コンロ5、左コンロ6、グリルは、外部から入力した音声指示を認識することで制御可能な制御バーナであるが、例えば、これら複数のバーナのうち何れかを制御対象から外し、音声操作ができないバーナを予め設定してもよい。
上記実施形態では、バーナに対応するガス量調節機構30のモータ32を駆動することで、弁機構部31の弁の開度を調節し、バーナの火力を調節しているが、ガス量調節機構の構造は、これ以外の構造でもよく、例えば、ガス供給管に複数のバイパス路と電磁弁を設け、電磁弁を開閉することで、バーナに流れるガス量を調節してもよい。
上記実施形態では、コンロ1に設けられたマイク76で集音した音声コマンドをCPU71が波形データに変換し、その波形データと、不揮発性メモリ74に記憶された音響モデルデータとのマッチングを行うことで、音声認識を行っているが、例えば、外部装置で音声コマンドを受け付け、その音声コマンドを波形データに変換し、デジタル化した状態で、無線又は有線でコンロに入力するようにしてもよい。
例えば、コンロをLAN又はインターネット等に接続し、外部装置で受け付けられ、波形データに変換された音声コマンドのデータをデジタル化した状態で、LAN経由又はインターネット経由等でコンロに入力するようにしてもよい。好ましくは、コンロと外部の入力装置を1対1で通信可能な状態にするのがよい。例えば、コンロと外部装置を、例えばBluetooth(登録商標)等の無線で通信可能とし、外部装置で受け付けられ、波形データに変換された音声指示のデータをデジタル化した状態で、無線でコンロに入力するのがよい。なお、外部装置としては、例えば、携帯端末、スマートフォン、マイクを備えたヘッドフォン等の入力装置等が挙げられる。なお、声紋分析についても同様に、外部装置で行い、分析によって得られた声紋データを、無線又は有線でコンロに入力するようにしてもよい。また、外部装置で音声コマンドを受け付け、そのアナログ信号をコンロに入力するようにしてもよい。