以下に、本発明に係る加熱調理システム、加熱調理方法、及び、アプリケーションプログラムの一態様を、図面に基づいて説明する。
(加熱調理システムの概略構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱調理システムの概念図である。加熱調理システム6は、ガスコンロ10と、スマートフォン120(以下「SP120」ともいう)とが、無線通信可能に接続されている。SP120は、携帯情報端末の一例である。SP120は、無線通信機能を有する携帯情報端末であれば良く、タブレットや、ガスコンロを遠隔操作するリモコンなどであっても良い。
SP120とガスコンロ10は、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの第1通信方式、又は、Wi-Fi(登録商標)などの第1通信方式より通信距離が長い第2通信方式を用いて、無線通信を行う。例えば、SP120がガスコンロ10の第1通信方式の圏内にある場合には、SP120とガスコンロ10は、第1通信方式を用いて無線通信を直接行い、通信コストを抑制する。一方、例えば、SP120がガスコンロ10の第1通信方式の圏外にある場合には、SP120とガスコンロ10は、アクセスポイント4と通信網5を介して接続し、第2通信方式を用いて無線通信を行い、確実な情報伝達を行う。尚、SP120とガスコンロ10との通信方式は、第2通信方式だけでも良い。
加熱調理システム6は、SP120からガスコンロ10に低温調理に関する設定情報を送信し、その設定情報に基づいてガスコンロ10に点火動作と消火動作を行わせて、低温調理を実行する。加熱調理システム6は、低温調理を行う場合に専用に用いる専用鍋1Aを備える。専用鍋1Aを用いることで、低温調理時に使用する鍋1の鍋径や材質を特定することができ、低温調理時の火力や調理時間をレシピに応じて自動的に設定することが可能になるからである。
しかし、ガスコンロ10に使用される鍋1には、鍋径や材質などが異なる様々な種類の鍋があり、ユーザが低温調理時に専用鍋1Aをガスコンロ10に設置するとは限らない。例えば、ガスコンロ10に設置された鍋1(以下「設置鍋1」ともいう)が専用鍋1Aより鍋径が小さい場合、専用鍋1Aに応じた火力で低温調理を行うと、炎が設置鍋1の外に漏れる恐れがある。
そこで、加熱調理システム6は、設置鍋1の認証を行う。すなわち、加熱調理システム6は、設置鍋1が専用鍋1Aであるか否かを判断し、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断し、認証に成功した場合には、SP120からガスコンロ10に設定情報を送信して、ガスコンロ10に低温調理を実行させる一方、設置鍋1が専用鍋1Aでないと判断し、認証に失敗した場合には、SP120からガスコンロ10に設定情報を送信せず、ガスコンロ10に低温調理を実行させないように、構成されている。
(ガスコンロの構成)
図2は、ガスコンロ10の平面図である。図3は、ガスコンロ10の正面図である。ガスコンロ10は、システムキッチン3に組み込まれるビルトインタイプのものであり、壁2から所定量離れた位置に設置されている。システムキッチン3は、ガスコンロ10のトッププレート11が水平に配置されている。
図2に示すように、トッププレート11には、左開口部11aが図中左側に開口し、右開口部11bが図中右側に開口し、中央開口部11cが左開口部11aと右開口部11bとの間の図中上側(トッププレート11の排気口29側)に開口している。左開口部11aと右開口部11bと中央開口部11cの内側には、それぞれ、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16が設けられている。強火バーナ15の最大火力は、標準バーナ14の最大火力より大きく、中央バーナ16の最大火力は、標準バーナ14の最大火力より小さい。尚、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16は、それぞれ、加熱部の一例である。
五徳17,18,19は、それぞれ、左開口部11aと右開口部11bと中央開口部11cの上側に配置され、鍋1が設置される。鍋1は、一般的な調理鍋である場合もあるし、専用鍋1Aである場合もある。専用鍋1Aの鍋底は、五徳17,18,19の何れに設定されても、バーナ14,15,16の炎を外に漏らさない鍋径にされている。
標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16の中央部には、それぞれ、第1センサ部21と、第2センサ部22と、第3センサ部23が設けられている。トッププレート11は、正面側(図中下側)の中央付近に表示部24が設けられている。トッププレート11は、背面側(図中上側)に排気口29が設けられている。
図3に示すように、第1〜第3センサ部21,22,23は、図中上下方向に進退可能に設けられている。第1〜第3センサ部21,22,23は、それぞれ、図示しない付勢部材により図中上向きに付勢され、先端部が五徳17,18,19より上方に突出している。第1〜第3センサ部21,22,23は、鍋1が五徳17,18,19に載置されると、図示しない付勢部材に抗して図中下向きに押し下げられる。第1〜第3センサ部21,22,23は、それぞれ、第1温度センサ105と第2温度センサ106と第3温度センサ107(図5参照)を備える。また、第1〜第3センサ部21,22,23は、第1鍋検出センサ108と第2鍋検出センサ109と第3鍋検出センサ110(図5参照)を備える。
第1温度センサ105(図5参照)は、鍋1の鍋底に接触して、鍋1の温度を検出する。調理中、鍋1と鍋1の内容物は、同程度の温度になる。よって、第1温度センサ105は、鍋1の温度を検出することにより、鍋1の内容物の温度を検出できる。
一方、第1鍋検出センサ108(図5参照)は、第1センサ部21の上下動によりオンオフされるマイクロスイッチ(図示せず)を備える。第1鍋検出センサ108は、第1センサ部21が図中上方に突出している場合にはオフ信号を出力し、第1センサ部21が図中下方に押し下げられる場合にはオン信号を出力する。よって、第1鍋検出センサ108の検出信号により、五徳17に鍋1が設置されているか否か(標準バーナ14に鍋1が設置されているか否か)を判断することができる。
尚、第2温度センサ106と第3温度センサ107は、第1温度センサ105と同様に構成され、第2鍋検出センサ109と第3鍋検出センサ110は、第1鍋検出センサ108と同様に構成されているので、これらの説明は割愛する。
ガスコンロ10の前面25には、グリル扉27と操作部30が設けられている。操作部30は、ガスコンロ10の各種設定や操作などを行うものである。操作部30は、グリル扉27の右側に、第1火力操作ダイヤル31と第2火力操作ダイヤル32と第3火力操作ダイヤル33が設けられている。第1火力操作ダイヤル31は、前面25に進退可能に設けられ、ワンタッチで標準バーナ14の点火操作と消火操作を行えるようになっている。すなわち、標準バーナ14の点火操作は、第1火力操作ダイヤル31をプッシュしてガスコンロ10から飛び出させることにより行う。標準バーナ14の消火操作は、第1火力操作ダイヤル31をプッシュしてガスコンロ10内に後退させることにより行う。更に、第1火力操作ダイヤル31は、図中左右方向に回転可能に設けられ、回転量に応じて標準バーナ14の火力を調整できるようになっている。尚、本形態では、各バーナ14,15,16の点火・消火操作と火力調整操作をダイヤルにより行うようにしたが、操作方法はこれに限定されないことはいうまでもない。例えば、操作部30は、各バーナ14,15,16毎に、プッシュ操作により点火と消火を行うボタンと、火力を調整するレバーとを、備えていても良い。
操作部30は、第3火力操作ダイヤル33の上側に電源ボタン35が設けられ、下側に開閉扉26が開閉可能に設けられている。開閉扉26には、調理時間や調理モードなどを設定するためのボタン群が設けられている。また、操作部30は、グリル扉27の図中左側に、グリルの点火、消火、火力調節を行うためのグリル火力操作ダイヤル34や、グリル用のボタン群(図示せず)を備える開閉扉28が設けられている。
操作部30の操作内容は、図2に示す表示部24に表示されたり、スピーカ114(図5参照)から音声出力されたりする。そのため、ユーザは、操作内容を見たり聞いたりして確認しながら、火力調整や各種設定などを行うことができる。
(ガス供給配管の概略構成)
次に、図4を参照しながら、ガスコンロ10に設けられたガス供給配管50の概略構成を説明する。ガス供給配管50は、ガス供給源51から入力したガスを、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16に分配するように、ガスコンロ10に設けられている。ガス供給配管50は、ガス供給源51に接続する入力管52と、入力管52から分岐した第1分岐管53と、第2分岐管54と、第3分岐管55を備える。
第1分岐管53は、上流側(入力管52側)から順に、第1電磁弁62と第1流量センサ65と標準バーナ14が配設されている。第2分岐管54は、上流側(入力管52側)から順に、第2電磁弁63と第2流量センサ66と強火バーナ15が配設されている。第3分岐管55は、上流側(入力管52側)から順に、第3電磁弁64と第3流量センサ67と中央バーナ16が配設されている。第1〜第3電磁弁62,63,64は、コイルに非通電のときには弁閉し、コイルに通電されているときには、コイルに供給される電流に比例して弁開度を変化させる比例弁である。第1〜第3電磁弁62,63,64の弁開度が、第1〜第3流量センサ65,66,67が検出する流量検出値に基づいてフィードバック制御されることにより、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16の火力がそれぞれ調整される。
入力管52には、安全弁61が配設されている。安全弁61は、ノーマルオープンタイプの電磁弁である。安全弁61がコイルに通電されて弁閉すると、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16へのガス供給が停止される。
(ガスコンロの電気的構成)
次に、図5を参照して、ガスコンロ10の電気的構成を説明する。ガスコンロ10は、コントローラ70を内蔵している。コントローラ70は、制御回路71に、電力回路76と、着火回路77と、温度検出回路78と、操作回路79と、音声出力回路80と、表示回路81と、鍋有無検出回路82と、流量検出回路83と、ガス漏れ検出回路84と、電磁弁駆動回路85と、安全弁駆動回路86と、タイマ87と、第2通信部88が接続されている。
制御回路71は、周知のマイクロコンピュータであって、CPU72と、ROM73と、RAM74と、フラッシュメモリ75を備える。ROM73は、プログラムやデータを記憶する。RAM74は、データを一時的に記憶する。
フラッシュメモリ75は、プログラムやデータを記憶する。フラッシュメモリ75は、例えば、SP120から受信した設定情報に基づいて、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16の何れかに点火動作と消火動作を行わせて低温調理を行う低温調理アプリケーションプログラム751(以下「低温調理アプリ751」ともいう)を記憶している。また、フラッシュメモリ75は、低温調理を行う場合のガスの設定流量を記憶する設定流量記憶部752を備える。
CPU72は、ROM73又はフラッシュメモリ75に記憶されたプログラムに従って、その処理結果をRAM74またはフラッシュメモリ75に記憶させながら、ガスコンロ10の各構成要素を制御する。CPU72は、第2制御部の一例である。尚、コントローラ70が第2制御部の一例であっても良い。
電力回路76は、電源ボタン35がオン状態である場合に、電源101から制御回路71に入力する電力を制御する。電源101は、商用電源でも、乾電池でも良い。
着火回路77は、CPU72の指令に従って、電源101から制御回路71に供給された電力を、標準バーナ14に着火する第1スパークプラグ102と、強火バーナ15に着火する第2スパークプラグ103と、中央バーナ16に着火する第3スパークプラグ104に供給する。
温度検出回路78は、第1温度センサ105と第2温度センサ106と第3温度センサ107が検出した流量検出値を入力してノイズを除去し、制御回路71に出力する。
操作回路79は、操作部30の操作内容を入力し、制御回路71に出力する。音声出力回路80は、制御回路71から音声制御信号を入力して、スピーカ114に出力する。表示回路81は、制御回路71から表示制御信号を入力して、表示部24に出力する。
鍋有無検出回路82は、第1鍋検出センサ108と第2鍋検出センサ109と第3鍋検出センサ110からオン信号又はオフ信号を入力して、制御回路71に出力する。流量検出回路83は、第1流量センサ65と第2流量センサ66と第3流量センサ67が検出した流量検出値からノイズを除去し、制御回路71に出力する。更に、ガス漏れ検出回路84は、ガス漏れを検出するガス漏れ検出センサ115からガス漏れ検出信号を入力し、制御回路71に出力する。
電磁弁駆動回路85は、CPU72の指令に従って、電源101から制御回路71に供給された電力を、第1電磁弁62と第2電磁弁63と第3電磁弁64に供給する。安全弁駆動回路86は、電源101から制御回路71に供給された電力を、安全弁61に供給するのを制御する。タイマ87は、CPU72の指令に従って、時間の計測を行う。第2通信部88は、SP120などの外部装置との通信を制御するハードウェアを含む。
(スマートフォンの電気的構成)
SP120は、コントローラ121に、第1通信部122と、タッチパネル123と、スピーカ124と、マイク125と、カメラ126が接続されている。
第1通信部122は、ガスコンロ10などの外部機器との通信を制御するハードウェアを含む。タッチパネル123は、情報を表示する表示部123aと、入力操作を行う入力部123bとして機能する。スピーカ124は、音声を出力するものである。マイク125は、音声入力を受信するものである。カメラ126は、対象物を撮影するものである。尚、本形態では、タッチパネル123が表示部123aと入力部123bを含むが、表示部123aと入力部123bとを別個に設けても良い。
コントローラ121は、CPU131と、ROM132と、RAM133と、不揮発性メモリ134とを備える。ROM132は、スマートフォンの動作を制御するプログラムなどを記憶する。RAM133は、データやプログラムを一時的に記憶するものである。不揮発性メモリ134は、データやプログラムを記憶している。不揮発性メモリ134には、遠隔アプリケーションプログラム141(以下「遠隔アプリ141」ともいう)と、専用鍋情報記憶部142と、レシピ記憶部143と、設定情報記憶部144とを有する。尚、CPU131は、第1制御部の一例である。尚、コントローラ121を第1制御部の一例にしても良い。また、専用鍋情報記憶部142は、第1記憶部の一例である。設定情報記憶部144は、第2記憶部の一例である。遠隔アプリ141は、アプリケーションプログラムの一例である。
遠隔アプリ141は、低温調理時にガスコンロ10を遠隔操作するためのプログラムである。専用鍋情報記憶部142は、ガスコンロ10が低温調理を行う場合に専用に用いられる専用鍋1Aに関する専用鍋情報を記憶している。専用鍋情報には、例えば、専用鍋1Aの画像や鍋底の鍋径など、専用鍋の特徴を示す特徴情報や、識別情報など、専用鍋1Aを特定するための特定情報などが含まれる。
レシピ記憶部143は、低温調理に関するレシピを記憶している。設定情報記憶部144は、低温調理のレシピ毎に、専用鍋を使用して低温調理を行う場合の設定情報を記憶している。設定情報には、例えば、低温調理時の設定温度、調理時間が含まれている。専用鍋1Aは、鍋径や材質などが決まっている。そのため、レシピに応じて設定温度と調理時間などの設定情報を予め設定し、設定情報記憶部144に記憶させることができる。
(低温調理動作の概要)
上記加熱調理システム6の低温調理動作の概要を説明する。図7〜図17は、表示部への表示形態の一例を示す図である。ここでは、標準バーナ14を用いて「ローストビーフ」を低温調理する場合を例に挙げて説明する。
図7に示すように、例えば、タッチパネル123に表示されるメニュー画面210のアイコン211がタップされると、SP120は、遠隔アプリ141を起動する。そして、SP120は、図8に示す加熱部選択画面212を表示する。
図8に示す加熱部選択画面212において、ユーザが低温調理を行う調理場所として標準バーナ14を選択すると、SP120は、図9に示すように、撮影画面220を表示する。ユーザがカメラ126を用いて、標準バーナ14(五徳17)に設置された設置鍋1を撮影すると、SP120は、図10に示すように、撮影した設置鍋1の画像231を画像確認画面230に表示させる。ユーザが画像231を確認してOKボタン232をタップすると、SP120は、設置鍋1が専用鍋1Aであるか否かを判断する。
SP120は、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断し、認証に成功した場合、図11に示すレシピ選択画面240を表示する。ユーザがレシピ選択画面240に表示される複数のレシピ241の中から、「ローストビーフ」のレシピ241Aをタップすると、SP120は、図12に示すように、送信内容確認画面250を表示する。ユーザが、「ローストビーフ」に関する設定情報の内容251を確認し、OKボタン252をタップすると、SP120は、ユーザによって確認された設定情報をガスコンロ10に送信する。設定情報には、例えば、調理場所と調理時間と設定温度が含まれる。SP120は、設定情報の送信に成功すると、図13に示す送信完了画面260を表示し、ガスコンロ10の点火をユーザに促す。
ユーザが第1火力操作ダイヤル31をプッシュして標準バーナ14を点火させると、ガスコンロ10は、SP120から受信した設定情報に含まれる設定温度(例えば60℃)に、設置鍋1の温度(以下「鍋温度」ともいう)を一致させるように、標準バーナ14に点火動作と消火動作を行わせる。ガスコンロ10は、設定情報に含まれる調理時間(例えば5時間)が経過するまで、標準バーナ14に点火動作と消火動作を繰り返させることにより、設定温度(設定温度に対する許容温度(例えば設定温度±5℃)を含む)に鍋温度を維持する。
このように、加熱調理システム6は、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断した場合に、選択されたレシピ241Aに応じた設定情報(設定時間、調理時間など)をSP120からガスコンロ10に送信し、ガスコンロ10に低温調理を行わせるので、ユーザがガスコンロ10の操作部30を操作して設定情報を入力する必要がない。よって、加熱調理システム6は、簡単な操作で低温調理をガスコンロ10に行わせることができる。
上記に対し、SP120は、設置鍋1が専用鍋1Aでないと判断し、認証に失敗した場合には、例えば、図17に示すように、第2エラー通知画面300を表示する。これにより、ユーザは、設置鍋1が低温調理用の専用鍋1Aでないことに気付いて、設置鍋1を専用鍋1Aに交換するようになる。よって、加熱調理システム6は、例えば、低温調理中に炎が設置鍋1の外に漏れることを防止し、保安対策を講じることができる。
(低温調理動作の制御)
続いて、上記低温調理動作の制御について、SP120側の動作とガスコンロ10側の動作に分けて具体的に説明する。ここでは、標準バーナ14を用いて「ローストビーフ」を低温調理する場合を例に挙げて説明する。
<遠隔操作処理>
先ず、SP120側で行われる遠隔操作処理について説明する。図18は、遠隔操作処理の手順を示すフローチャートである。
SP120は、例えば、図7のメニュー画面210に表示するアイコン211がタップされたことを契機に、CPU131が遠隔アプリ141を起動し、図18に示す遠隔操作処理を実行する。
CPU131は、先ず、低温調理を行うバーナを選択する(S100)。ガスコンロ10は、複数のバーナ14,15,16を有するためである。本形態では、例えば、CPU131は、図8に示す加熱部選択画面212をタッチパネル123に表示させる。加熱部選択画面212には、ガスコンロ10の画像213と、選択枠214と、選択ボックス215と、決定ボタン216が表示されている。画像213は、標準バーナ14を示すバーナ画像213aと、強火バーナ15を示すバーナ画像213bと、中央バーナ16を示すバーナ画像213cを含む。例えば、ユーザが、選択ボックス215から標準バーナ14を選択すると、CPU131は、バーナ画像213aを囲むように選択枠214を画像213に合成し、タッチパネル123に表示させる。ユーザが決定ボタン216をタップすると、CPU131は、バーナの選択を受け付ける。
それから、CPU131は、設置鍋情報を取得する(S101)。例えば、CPU131は、図9に示す撮影画面220をタッチパネル123に表示させる。撮影画面220には、枠221と、アドバイスメッセージ222と、シャッターボタン223が表示されている。
枠221は、設置鍋1を撮影する際の基準になるものである。枠221は、五徳の大きさを基準に設けられている。五徳のサイズや形状はある程度決まっており、五徳の大きさを基準にすれば、撮影距離をほぼ一定にできるからである。アドバイスメッセージ222は、設置鍋1を撮影する際の注意事項を通知する。例えば、撮影画面220には、「鍋を載せた五徳を枠に入れた状態で鍋を撮影して下さい。」とのアドバイスメッセージ222が表示される。ユーザが、シャッターボタン223をタップすると、CPU131は、カメラ126に撮影を行わせ、カメラ126が撮った画像をRAM133に記憶させる。
この後、図18に示すように、CPU131は、設置鍋1を認識できるか否かを判断する(S102)。CPU131は、例えば、五徳が枠221内に正常に写っている場合には、設置鍋1を認識できると判断し(S102:YES)、画像確認画面230をタッチパネル123に表示させる(S103)。その後、CPU131は、撮影した画像が承認されたか否かを判断する(S104)。
例えば、図10に示すように、画像確認画面230には、S101にてカメラ126を用いて撮影された設置鍋1の画像231と、OKボタン232と、キャンセルボタン234が表示されている。ユーザがキャンセルボタン234をタップすると、図18に示すように、CPU131は、設置鍋1の画像231が承認されないと判断して(S104:NO)、S101に戻り、図9に示す撮影画面220をタッチパネル123に再表示させる。
これに対して、ユーザが、図10に示す画像確認画面230のOKボタン232をタップすると、図18に示すように、CPU131は、設置鍋1の画像231が承認されたと判断する(S104:YES)。ここで、S101〜S104の処理は、設置鍋情報取得処理の一例であり、カメラ126が撮影した設置鍋1の画像231が、設置鍋情報の一例である。
CPU131は、画像231が承認されると(S104:YES)、専用鍋情報を取得する(S105)。例えば、CPU131は、専用鍋情報記憶部142から専用鍋情報を読み出してRAM133に記憶させる。
それから、CPU131は、設置鍋1の認証を行う(S106)。すなわち、CPU131は、設置鍋1が専用鍋1Aであるか否かを判断する。認証は、例えば、S101にて撮影した設置鍋1の画像231と、S105にて取得した専用鍋情報に含まれる画像とが、一致するか否かを確認して、行われる。尚、認証は、設置鍋1の画像231から鍋径を算出し、算出した鍋径が専用鍋情報に含まれる鍋径と一致するか否かを確認することにより、行っても良い。このように、CPU131は、ユーザに設置鍋1を撮影させるだけで認証を行うことができるので、設置鍋1の認証操作にかかるユーザの手間を軽減できる。
その後、CPU131は、認証に成功したか否かを判断する(S107)。S105, S106,S107の処理は、認証処理の一例である。
例えば、CPU131は、設置鍋1が専用鍋1Aでないと判断し、認証に成功しなかった場合(S107:NO)、第2エラー通知処理を行う(S122)。S122の処理は、送信制限処理の一例である。CPU131は、例えば、図17に示す第2エラー通知画面300をタッチパネル123に表示させることにより、第2エラー通知処理を行う。
第2エラー通知画面300には、例えば、「鍋が不適切です。五徳上の鍋を専用鍋に交換して下さい。」とのエラーメッセージ303と、交換ボタン301と、終了ボタン302が表示される。CPU131は、エラーメッセージ303を表示することにより、標準バーナ14(五徳17)に設置された設置鍋1を専用鍋1Aに交換することをユーザに促す。
ユーザが終了ボタン302をタップした場合には、図18に示すように、CPU131は、設置鍋1が交換されないと判断し(S123:NO)、処理を終了する。一方、ユーザが交換ボタン301をタップした場合には、CPU131は、設置鍋1が交換されたと判断して(S123:YES)、S101に戻り、図9に示す撮影画面220を再表示する。
よって、例えば、標準バーナ14に設置された設置鍋1の鍋径が専用鍋1Aの鍋径より小さく、設置鍋1が専用鍋1Aでないと判断した場合には、CPU131は、低温調理に関する設定情報をガスコンロ10に送信せずに、第2エラー通知処理を行う。ガスコンロ10は、設定情報を受信しないため、標準バーナ14を用いて低温調理を行わない。従って、加熱調理システム6は、例えば、専用鍋1Aより鍋径の小さい設置鍋1を標準バーナ14に設置して低温調理を行ったために、標準バーナ14の炎が設置鍋1の外に漏れることを防ぐことができ、保安対策を講じることができる。
上記に対し、CPU131は、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断し、認証に成功した場合には(S107:YES)、レシピ選択画面240をタッチパネル123に表示させる(S108)。
例えば、図11に示すように、レシピ選択画面240には、「ローストビーフ」、「鶏肉のコンフィ」、「煮穴子」、「煮蛸」などの低温調理のレシピ241が一覧表示される。レシピ選択画面240は、スワイプやスクロールボタン242の操作により、表示するレシピ241が切り替えられる。レシピ241には、例えば、料理の画像241aと、料理名241bと、調理時間241cと、設定温度241dが表示されている。図18に示すように、CPU131は、特定のレシピ241がタップされるまでは、レシピ241の選択を受け付けず(S109:NO)、レシピ選択画面240を表示する(S108)。
一方、ユーザが特定のレシピ241をタップすると、CPU131は、レシピの選択を受け付け(S109:YES)、設定情報を取得する(S110)。すなわち、CPU131は、S109にて選択を受け付けたレシピ241に対応する設定情報を、設定情報記憶部144から読み出し、RAM133に記憶する。そして、CPU131は、送信内容確認画面250を表示し(S111)、送信指示を受け付けたか否かを判断する(S112)。尚、S108、S109の処理は、レシピ受付処理の一例である。S110の処理は、抽出処理の一例である。
例えば、ユーザが、図11に示すレシピ選択画面240上で「ローストビーフ」のレシピ241Aをタップした場合、CPU131は、図12に示す送信内容確認画面250をタッチパネル123に表示させる。送信内容確認画面250には、「ローストビーフの低温調理を下記の設定で開始しても良いですか」とのメッセージが表示される。また、送信内容確認画面250には、選択されたレシピ「ローストビーフ」に対応する設定情報の内容251が表示されている。設定情報の内容251には、S100にて選択されたバーナ(標準バーナ)を示すバーナ特定情報251aと、S109にて選択を受け付けた「ローストビーフ」のレシピ241Aの調理時間251bと、S109にて選択を受け付けた「ローストビーフ」のレシピ241Aの設定温度251cが表示されている。
図12に示すキャンセルボタン254がタップされた場合、図18に示すように、CPU131は、送信指示を受け付けないと判断し(S112:NO)、処理を終了する。
一方、例えば、ユーザが図12に示すOKボタン252をタップした場合には、図18に示すように、CPU131は、送信指示を受け付けたと判断する(S112:YES)。また例えば、牛肉の分量が「ローストビーフ」のレシピ241より多い場合、ユーザは、図12に示す設定変更ボタン253をタップし、調理時間を長くする。設定情報の変更が確定されると、CPU131は、送信指示を受け付けたと判断する(S112:YES)。
送信指示を受け付けたCPU131は、第1通信部122を用いて、設定情報をガスコンロ10に送信した後(S113)、ガスコンロ10からのレスポンスに基づいて送信に成功したか否かを判断する(S114)。S113の処理は、送信処理の一例である。CPU131は、例えば、ガスコンロ10との通信を確立させることができず、ガスコンロ10からレスポンスを受信しない場合には、送信に失敗したと判断する(S114:NO)。この場合、CPU131は、送信に失敗した旨をタッチパネル123に表示するなどして通知し(S124)、処理を終了する。
一方、CPU131は、ガスコンロ10からレスポンスを受信した場合には、送信に成功したと判断する(S114:YES)。この場合、CPU131は、送信完了画面260をタッチパネル123に表示させる。図13に示すように、送信完了画面260には、例えば「ガスコンロに、下記の設定を送信しました。調理場所:標準バーナ、調理時間:5時間、設定温度:60℃」との送信内容を示すメッセージ261が表示される。また、送信完了画面260には、例えば「点火操作して下さい。」との点火指示262が表示される。よって、ユーザは、設定情報を送信してガスコンロ10に低温調理を開始する準備をさせた後、ガスコンロ10に点火して低温調理を開始させることができる。
それから、CPU131は、低温調理の進捗状況を示す進捗情報をガスコンロ10から受信したか否かを判断する(S116)。例えば、CPU131は、進捗情報を受信するまで待機する(S116:NO)。
一方、CPU131は、ガスコンロ10から進捗情報を受信すると(S116:YES)、低温調理の経過を通知する(S117)。CPU131は、第1通信部122を用いてガスコンロ10から進捗情報を順次受信している。CPU131は、受信した進捗情報に基づいて経過通知画面270を作成し、タッチパネル123に表示させる。
例えば図14に示すように、経過通知画面270には、「ローストビーフの低温調理を実行中です。」のように、低温調理中であることを通知するメッセージ271が表示される。また、経過通知画面270には、例えば、低温調理が終了するまでの残り時間272が表示される。これにより、ユーザは、低温調理を実行するガスコンロ10から離れた場所で、低温調理が終了する時間までの見通しをつけて他の作業を行うことができる。尚、経過の通知は、低温調理が終了するまでの間、スピーカ124から音楽などを音声出力することにより行っても良い。このように、加熱調理システム6は、例えば4時間〜5時間もの長い間、低温調理を行うときに、ユーザがガスコンロ10から離れても、SP120を用いて低温調理中であることをユーザに知らせることができるので、低温調理中、ガスコンロ10への注意をユーザに喚起し続けることができる。
図18に示すように、CPU131は、第1通信部122を用いて、ガスコンロ10から低温調理終了信号を受信したか否かを判断する。低温調理終了信号を受信するまで、CPU131は、低温調理の経過を通知する(S118:NO)。尚、S116〜S118の処理は、第1通知処理の一例である。
これに対して、CPU131は、第1通信部122を用いてガスコンロ10から低温調理終了信号を受信した場合には(S118:YES)、低温調理が終了したことを報知し(S119)、処理を終了する。S119の処理は、第2通知処理の一例である。
低温調理終了の報知は、タッチパネル123とスピーカ124の何れか一方で報知しても良いし、両方を用いて報知しても良い。例えば、CPU131は、図15に示すような完了通知画面280をタッチパネル123に表示させる。完了通知画面280には、例えば、「低温調理が完了しました。食材の腐敗を防止するために、食材を鍋から取り出して下さい。」などのようなメッセージが表示される。メッセージは、スピーカ124から音声により出力しても良い。また、低温調理中に音楽を流す場合、音楽を停止させることで、低温調理が完了したことを報知しても良い。これにより、ユーザが低温調理終了時にガスコンロ10から離れた場所にいても、低温調理が完了したことに気付き、食材を設置鍋1から早く取り出すことができる。そのため、低温調理後の食材が設置鍋1内に長時間放置されて腐ることを防止できる。
ところで、カメラ126を用いて設置鍋1を撮影したが、例えば、五徳が枠221に写っていない場合には、CPU131が設置鍋1を認識できず、設置鍋1が専用鍋1Aであるか否かを適切に判断できない恐れがある。また例えば、五徳が枠221に収まっていない場合には、設置鍋1が大きく写りすぎて、設置鍋1が専用鍋1Aであるか否かを適切に判断できない恐れがある。
そこで、このような場合には、CPU131は、設置鍋1を認識できないと判断し(S102:NO)、第1エラー通知画面290をタッチパネル123の表示部123aに表示させた後(S120)、撮り直しをするか否かを判断する(S121)。
例えば、図16の第1エラー通知画面290には、「鍋の画像を認識できません。鍋を撮り直して下さい。」とのメッセージが表示され、設置鍋1の撮り直しが促される。ユーザが第1エラー通知画面290に表示される終了ボタン292をタップした場合、図18に示すように、CPU131は、撮り直しをしないと判断し(S121:NO)、処理を終了する。一方、ユーザが撮り直しボタン291をタップした場合、CPU131は、撮り直しすると判断し(S121:YES)、S101に戻り、図9に示す撮影画面220をタッチパネル123に再表示させる。
よって、SP120は、専用鍋1Aと適切に比較できるように設置鍋1の画像231を取得することができ、設置鍋1の認証の精度を高めることができる。
<低温調理処理>
続いて、ガスコンロ10側で行われる低温調理処理の制御手順を説明する。図19は、低温調理処理の手順を示すフローチャートである。ガスコンロ10は、第2通信部88を用いてSP120から設定情報を受信したことを契機に、CPU72が低温調理アプリ751を起動し、図19に示す低温調理処理を実行する。
CPU72は、先ず、SP120から受信した設定情報をフラッシュメモリ75に記憶する(S1)。よって、CPU72は、ユーザが操作部30を介して調理時間や設定温度などの設定情報を手動入力しなくても、設定情報を設定できる。
それから、CPU72は、点火操作を受け付けたか否かを判断する(S2)。CPU72は、第1〜第3火力操作ダイヤル31〜33の点火操作の入力を、操作回路79を介して受け付けるまで待機する(S2:NO)。一方、CPU72は、点火操作の入力を受け付けると(S2:YES)、点火操作の入力を受け付けたバーナが、設定情報に含まれる調理場所と一致するか否かを判断する(S3)。すなわち、CPU72は、点火操作の入力を受け付けたバーナが、設定情報に含まれる調理場所と一致しないと判断した場合には(S3:NO)、点火エラーを通知し(S22)、処理を終了する。点火エラーの通知は、ガスコンロ10から行っても良いし、SP120を介して行っても良い。
一方、CPU72は、点火操作の入力を受け付けたバーナが、設定情報に含まれる調理場所と一致すると判断した場合には(S3:YES)、設定流量記憶部752からガスの設定流量を読み出し、RAM74に記憶する(S4)。ガスの設定流量は、炎が専用鍋1Aの外に漏れないように設定されている。よって、CPU72は、ユーザが設置鍋1の鍋径や火力を設定しなくても、低温調理時に炎が設置鍋1の外に漏れることを防ぎ、保安対策を講じることができる。
それから、CPU72は、例えば、スピーカ114から音声を流すなどして、低温調理中であることを報知し始める(S5)。これにより、ガスコンロ10が低温調理中であることを、第三者に認識させることができる。そして、CPU72は、タイマ87を起動して、時間の計測を開始する(S6)。
その後、CPU72は、点火処理を行う(S7)。具体的に例えば、CPU72は、電源101から供給される電力を、電磁弁駆動回路85を介して第1電磁弁62に供給する。第1電磁弁62は、弁閉状態から弁開状態に変化し、ガスを標準バーナ14に供給し始める。その後、CPU72は、電源101から供給される電力を、着火回路77を介して第1スパークプラグ102に供給する。第1スパークプラグ102が放電して火花を発生させると、その火が標準バーナ14に供給されるガスに引火し、標準バーナ14がガスを燃焼させて設置鍋1を加熱し始める。
その後、CPU72は、第2通信部88を用いて、低温調理の進捗状況を示す進捗情報をSP120に送信する(S8)。尚、S4〜S8の処理の順序は、これに限らず、入れ替えても良い。例えば、S8の処理をS5の処理とS6の処理との間で行うことで、点火処理に関係なく進捗情報をSP120に常時送信することができる。
それから、CPU72は、ガス供給量が設定流量であるか否かを判断する(S9)。具体的に、CPU72は、S2にて点火操作を受け付けた場所(標準バーナ14)に対応する流量センサ(第1流量センサ65)から流量検出値を入力し、S4にて設定流量記憶部752から読み出した設定流量と比較する。
CPU72は、第1流量センサ65の流量検出値が設定流量でない場合には(S9:NO)、弁開度を調整する(S16)。すなわち、CPU72は、流量検出値と設定流量の差分に応じて第1電磁弁62に供給する電流値を補正し、電磁弁駆動回路85を介して第1電磁弁62に電力を供給する。これにより、第1電磁弁62は、ガスを設定流量に制御するように弁開度が変更され、標準バーナ14が一定の火力で設置鍋1を加熱できるようになる。その後、S9に戻る。
一方、CPU72は、第1流量センサ65の流量検出値が設定流量である場合には(S9:YES)、調理時間が経過したか否かを判断する(S10)。つまり、CPU72は、タイマ87が計測した計測時間と、設定情報に含まれる調理時間とを比較する。
CPU72は、計測時間が調理時間より短い場合には、調理時間が経過していないと判断する(S10:NO)。この場合、CPU72は、鍋温度が設定温度より5℃高いか否かを判断する(S11)。具体的に、CPU72は、S2にて点火操作を受け付けたバーナ(例えば標準バーナ14)に対応する温度センサ(第1温度センサ105)から、温度検出回路78を介して、温度検出値を入力する。そして、CPU72は、入力した温度検出値を、設定情報に含まれる設定温度に5℃加算した値と、比較する。
CPU72は、第1温度センサ105の温度検出値が設定温度+5℃以下である場合には、鍋温度が設定温度+5℃以下であると判断する(S11:NO)。この場合、CPU72は、S9に戻り、標準バーナ14にガスを燃焼させて設置鍋1を加熱させる。よって、ガスコンロ10は、低温調理中、鍋温度が設定温度より5℃高くなるまで、標準バーナ14で設置鍋1を加熱する。
これに対して、CPU72は、温度検出値が設定温度+5℃より高い場合には、鍋温度が設定温度+5℃より高くなったと判断する(S11:YES)。この場合、CPU72は、消火予報を行う(S12)。具体的に、CPU72は、表示回路81を制御して、例えば、「設定温度になったので、火が消えます。」など、火が消えることを事前に通知するメッセージを表示部24に表示させる。尚、消火予報は、音声出力回路80を介してスピーカ114からブザー音や音声などを発生させることで行っても良い。これにより、使用者などのガスコンロ10の周りにいる人は、故障でなく消火されたことを認識できる。
その後、CPU72は、消火処理を行う(S13)。具体的に、CPU72は、電磁弁駆動回路85を介して、第1電磁弁62への電力供給を停止する。これにより、標準バーナ14は、ガスを燃焼させることができなくなって消火し、設置鍋1を全く加熱しなくなる。
その後、CPU72は、調理時間が経過したか否かを判断する(S14)。S14の処理は、S10と同様なので、説明を割愛する。CPU72は、調理時間が経過していない場合には(S14:NO)、鍋温度が設定温度−5℃であるか否かを判断する(S15)。つまり、CPU72は、第1流量センサ65の流量検出値が、フラッシュメモリ75に記憶されている設定温度−5℃より低いか否かを判断する。
CPU72は、調理時間が経過しておらず、且つ、流量検出値(鍋温度)が設定温度−5℃以上である場合には(S14:NO、S15:NO)、S14に戻り、標準バーナ14の消火状態を維持する。よって、ガスコンロ10は、低温調理中、鍋温度が設定温度−5℃まで低下する間、標準バーナ14を消火させ続ける。この間、設置鍋1は、全く加熱されない。
CPU72は、調理時間が経過しておらず、且つ、鍋温度が設定温度−5℃まで低下した場合には(S14:NO、S15:YES)、S7に戻って、点火処理を行う。つまり、ガスコンロ10は、鍋温度が設定温度−5℃まで低下したことを確認してから、消火状態の標準バーナ14を点火状態にして、設置鍋1の加熱を再開する。
上記のように、CPU72は、調理時間が経過するまで、標準バーナ14に点火処理と消火処理を繰り返し行わせ、設置鍋1の温度を設定温度±5℃の範囲で維持する。尚、S7〜S15の処理は、低温調理処理の一例である。
CPU72は、標準バーナ14を点火させている間に、調理時間が経過した場合には(S10:YES)、消火処理(S17)を行った後、S18に進む。S17の処理は、S13と同様なので、説明を省略する。一方、CPU72は、標準バーナ14を消火させている間に、調理時間が経過した場合には(S14:YES)、そのままS18に進む。
調理時間が経過すると、CPU72は、低温調理中の報知を停止する(S18)。それから、CPU72は、タイマ87を停止させ、時間計測を終了する(S19)。そして、CPU72は、第2通信部88を用いて、低温調理が完了したこと示す低温調理終了信号をSP120に送信する(S20)。低温調理終了信号は終了情報の一例であり、S20の処理は、終了情報送信処理の一例である。
そして、CPU72は、低温調理を終了させる終了操作を受け付けたか否かを判断する(S21)。CPU72は、終了操作を受け付けるまで待機する(S21:NO)。一方、CPU72は、例えば、ユーザが、前面25から飛び出した第1火力操作ダイヤル31をプッシュして後退させることにより、終了操作を受け付けると(S21:YES)、処理を終了する。
以上説明したように、本形態の加熱調理システム6は、例えば、標準バーナ14に鍋1を設置して低温調理を行う場合に、その設置された鍋1(設置鍋1)が専用鍋1Aであるか否かを判断し、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断する場合には、低温調理のレシピ241(例えば「ローストビーフ」のレシピ241A)に適した設定情報をSP120からガスコンロ10に送信し、ガスコンロ10に点火動作と消火動作を行わせて低温調理を行わせる。このとき、SP120が、選択されたレシピ241(241A)に対応する設定情報を自動的に設定情報記憶部144から抽出してガスコンロ10に送信するので、ユーザが、調理時間や設定温度などの設定情報を入力する手間がかからない。また、ガスコンロ10が点火動作と消火動作を繰り返して低温調理を行うため、鍋温度を100℃以下、さらには、40℃以上90℃以下の低温に維持できる。一方、加熱調理システム6は、設置鍋1が専用鍋1Aでないと判断する場合には、SP120が設定情報をガスコンロ10に送信せず、ガスコンロ10に低温調理を行わせない。そのため、例えば、専用鍋1Aより小さい鍋1を標準バーナ14に設置して低温調理を行うことを回避し、炎が設置鍋1の外に漏れることを防止できる。よって、上記加熱調理システム6によれば、保全対策を講じつつ、簡単な操作で低温調理を行うことができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、設置鍋1の認証は、設置鍋1に添付された画像(バーコードやQRコード(登録商標)などの二次元コード)をカメラ126で撮影し、撮影した画像から設置鍋1の識別情報を取得して、取得した識別情報が専用鍋1Aのものか否かを判断することにより行っても良い。
(2)例えば、上記実施形態では、専用鍋1Aが1種類であることを前提としたが、専用鍋を複数種類とし、複数の専用鍋情報を専用鍋情報記憶部142に記憶していても良い。この場合、カメラ126が撮影した画像から鍋径や識別情報などを取得し、取得した情報が専用鍋情報記憶部142に記憶される専用鍋情報と一致するか否かにより、図18のS106に示す認証を行うようにしても良い。
(3)例えば、専用鍋情報記憶部142とレシピ記憶部143と設定情報記憶部144をクラウドサーバやガスコンロのメモリなどに設け、SP120が、無線通信を用いて、専用鍋情報やレシピ241や設定情報をそれらから取得し、内部記憶装置(RAMなどの揮発性メモリ)に一時的に記憶するようにしても良い。これによれば、SP120にかかる容量負荷を軽減できる。
(4)例えば、設置鍋情報取得処理と、認証処理と、レシピ受付処理と、抽出処理の順番は、これに限らない。例えば、レシピ受付処理の後、抽出処理を行い、その後、設置鍋情報取得処理、認証処理を順番に行っても良い。また例えば、設置鍋情報取得処理、レシピ受付処理、認証処理、抽出処理の順にしても良い。
(5)上記形態では、SP120のタッチパネル123を介して入力操作を行ったが、マイク125を用いて入力操作を行っても良い。つまり、マイク125を入力部の一例にしても良い。
(6)調理場所の選択(加熱部の選択)を自動的に行うようにしても良い。例えば、五徳17,18,19の形状にそれぞれ特徴を持たせ、設置鍋1の撮影時に写り込んだ五徳の画像から特徴を抜き出して五徳を特定し、特定された五徳に対応するバーナを調理場所として自動的に選択するようにしても良い。また例えば、ガスコンロ10は、第1〜第3鍋検出センサ108〜110により設置鍋1が設置された場所を検知できるので、SP120は、カメラ126を用いて設置鍋1を撮影した場合に、設置鍋1を設置されたバーナをガスコンロ10に問い合わせ、調理場所を自動的に選択するようにしても良い。
(7)上記形態では、第1電磁弁62に供給するガスの供給量を設定流量に制御した。これに対して、低温調理時の点火動作時にバーナの火力を最大にしても良い。これによれば、設定流量記憶部752やバーナの火力を調整する処理(図9のS4、S9、S16の処理)が不要になる。この場合、専用鍋1Aの鍋底の鍋径を、最大火力が最も大きい強火バーナ15を使用しても炎が漏れない大きさにすると良い。これによれば、設置鍋1が専用鍋1Aであると判断した場合に、標準バーナ14と強火バーナ15と中央バーナ16のうちの何れで低温調理を行っても、炎が設置鍋1の外に漏れることを防止できる。
(8)例えば、ユーザに設置鍋1の鍋径をSP120に入力させることにより、設置鍋情報を取得するようにしても良い。
(9)例えば、図18のS116〜S118に示す第1通知処理を省略しても良い。また例えば、図18のS119に示す第2通知処理を省略しても良い。これらの場合、SP120は、設置鍋1の認証のみを行えば良いので、SP120とガスコンロ10の通信方式は、近距離で無線通信を行う第1通信方式のみに対応するようにしても良い。