JP3556435B2 - ガス調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、調理物の温度を所定温度に保つ、保温機能を備えたガス調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば温度制御機能を有するガスコンロにおいて、湯沸かし開始後、湯の沸騰を検知したときに、直ちにガスコンロを消火して加熱を停止せず、ガスコンロの加熱量を減少させた小火の状態で短時間(例えば5分間)加熱を継続することで、湯を沸騰温度に保つようにしたものが知られている。
【0003】
このガスコンロによれば、湯の沸騰をブザー等により使用者に報知した後も、所定の短時間(例えば5分間)、湯が沸騰温度に保たれる。そのため、該報知後、使用者が湯を使用するまでに多少時間が経っても、湯の温度が下がることがなく、使い勝手が良い。
【0004】
このことは、スープや煮物などの調理においても同じであり、加熱調理後、調理物がさめないよう、一定温度での保温が行われている。
【0005】
しかし、近年、使用者の要望は多様化しており、所謂24時間風呂にみられるように、長時間、いつでも使用可能な状態に保っておく、という新たな要望が生じてきている。
【0006】
そのため、ガス調理器においても、湯やスープ等の調理物を所望の温度に長時間保っておくことができれば、使用者はいちいち温め直すことなく、いつでも調理に湯を使ったり、スープを飲むことができるので、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0007】
ところが、従来のガス調理器で、このように調理物を長時間所望の温度に保とうとしたときには、ガス調理器の加熱量を最小にした状態で、調理物の加熱を継続させるしかなかった。しかし、ガス調理器の加熱量の調節量には限界があるので、ある限界量よりもガス調理器の加熱量を小さくすることはできなかった。
【0008】
そのため、調理物の量によっては、実際に調理物を保温するのに必要な加熱量よりも大きな加熱量で調理物を加熱せざるを得ず、この場合には、燃料が無駄に消費されると共に、水分の蒸発による調理物の減少量も大きくなってしまうという不都合があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記不都合を解消し、燃料消費量と調理物の減少量を抑制して、調理物の保温を行うことができるガス調理器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、調理物を加熱するガスバーナと、該ガスバーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、該ガス供給路を開閉する第1開閉手段と、該ガスバーナの点火を行う点火器と、調理物の温度を検出する温度センサと、調理物の加熱開始後、前記温度センサの検出温度が第1所定温度に到達したときに、以後、該温度センサの検出温度が該第1所定温度以上となったときは、前記第1開閉手段により前記ガス供給路を閉じることで、前記ガスバーナを消火して調理物の加熱を中断し、また、前記温度センサの検出温度が前記第1所定温度よりも低い第2所定温度以下となったときには、前記第1開閉手段により前記ガス供給路を開いて前記点火器により前記ガスバーナを点火し、調理物の加熱を再開することを繰り返す保温処理を行う保温制御手段とを備えたガス調理器であって、前記ガスバーナの失火を検知する炎センサと、前記ガス供給路に設けられ、該炎センサの失火検知に連動して閉弁し、使用者の操作により開弁される安全弁と、該安全弁を強制的に開弁保持する安全弁保持手段とを有し、前記保温制御手段は、前記保温処理における加熱中断中は、前記安全弁保持手段により、前記安全弁を開弁保持することを特徴とする。
【0016】
かかる本発明によれば、前記保温制御手段により、前記ガスバーナの点火/消火を行い、調理物を断続的に加熱することで、保温処理中の燃料ガスの消費量を減少させることができ、また、水分の蒸発による調理物の減少量を少なくすることができる。さらに、本発明においては、前記保温処理における加熱中断中、即ち前記ガスバーナが消火状態にあり、前記炎センサにより失火が検知されたときでも、前記安全弁保持手段により前記安全弁が強制的に開弁保持される。そのため、前記加熱中断中に前記安全弁が閉弁し、その後使用者の操作により該安全弁が開弁されるまで、前記ガスバーナが点火不能となることを防止することができる。
【0017】
また、前記ガスバーナの加熱量を調節する加熱量調節手段を有し、前記保温制御手段は、調理物の加熱開始後、前記第1所定温度に到達したときに、以後、該加熱量調節手段により、前記ガスバーナの加熱量を所定値まで減少させた状態で、前記保温処理における調理物の加熱を行うことを特徴とする。
【0018】
かかる本発明によれば、前記ガスバーナの加熱量を減少させた状態で前記保温処理を行うことで、加熱による調理物の温度上昇速度を遅くすることができる。したがって、保温処理中の前記ガスバーナの点火/消火回数を減らすことができ、保温中の調理物の温度変動を小さくすることができる。
【0019】
また、前記加熱量調節手段は、前記ガス供給路に設けられて該ガス供給路を開閉する第2開閉手段と、該第2開閉手段を迂回して設けられ、該ガス供給路よりもガスの供給流量が少ないバイパス路とからなり、該第2開閉手段により前記ガス供給路を閉じることで、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給量を減少させ、該ガスバーナの加熱量を減少させることを特徴とする。
【0020】
かかる本発明によれば、前記第2開閉弁を閉弁すると、ガスバーナへの燃料ガスの供給路が、前記ガス供給路から前記バイパス路に切換わる。そして、前記バイパス路の断面積は、前記ガス供給路よりも小さいため、前記第2開閉弁を閉弁することで、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給量が減少し、前記ガスバーナの加熱量を容易に減少させることができる。
【0023】
また、前記保温処理が実行されていることを使用者に報知する報知手段を設けたことを特徴とする。
【0024】
かかる本発明によれば、前記保温処理が実行されていることを報知することで、使用者に、前記バーナの失火と、前記保温処理による前記バーナの消火とを区別して認識させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を、図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明のガス調理器であるガスコンロの構成図、図2は図1に示したガスコンロによる調理物の保温動作を示したフローチャート、図3は図1に示したガスコンロによる保温動作の説明図である。
【0026】
図1を参照して、本実施の形態のガスコンロは、調理容器Aに入れられた調理物Bを加熱するガスバーナ1と、ガスバーナ1に燃料ガスを供給するガス供給路2に設けられた安全弁3と、本発明の第1開閉手段である第1電磁弁4と、加熱量調節手段5と、安全弁3への通電制御等を行う電子ユニット6と、操作手段7とを備える。
【0027】
安全弁3は、使用者による点火/消火ボタン8の点火操作(押し操作)でバネ9に抗して機械的に開弁されると共に、ソレノイド10への通電により開弁状態が保持され、ソレノイド10への通電の遮断によりバネ9の付勢力で閉弁されるようになっている。第1電磁弁4は、コントローラ6からの通電のオン、オフにより開閉し、ガスバーナ1への燃料ガスの供給、遮断を切換える。
【0028】
加熱量調節手段5は、本発明の第2開閉手段であり、コントローラ6からの通電のオン、オフにより開閉する第2電磁弁11と、第2電磁弁11を迂回し、燃料ガスの供給流量がガス供給路20よりも小さいバイパス路12とからなる。第2電磁弁11を開弁状態から閉弁状態に切換えると、それまで第1電磁弁4の下流で分岐したガス供給路20とバイパス路12の双方を経由して供給されていた燃料ガスが、バイパス路12のみによって行われるようになるので、ガスバーナ1への燃料ガスの供給流量が減少する。そのため、ガスバーナ1の加熱量を減少させることができる。
【0029】
電子ユニット6は、保温制御手段13、失火検知手段14、安全弁保持手段15、及び安全弁駆動回路16を有する。保温制御手段13は、温度センサ17により検出される調理物Bの温度が、操作手段7に備えた保温温度設定手段18により設定された目標保温温度と略一致するように、ガスバーナ1の加熱量を調節する。
【0030】
失火検知手段14は、ガスバーナ1の燃焼状態を検出する炎センサ19により、ガスバーナ1の失火を検出したときに、安全弁駆動回路16を介して安全弁3のコイル10への通電を遮断し、安全弁3を閉弁する。
【0031】
安全弁保持手段15は、失火検知手段14によるガスバーナ1の失火検知の有無に拘らず、安全弁駆動回路16を介して安全弁3のコイル10に通電し、安全弁3を強制的に開弁保持する。
【0032】
操作手段7は、上述した保温温度設定手段18の他に、調理物Bの保温の開始と停止を指示する保温スイッチ21と、使用者に失火の発生等を報知するブザー22と、調理物Bの保温中に点灯する本発明の報知手段であるランプ23とを有する。
【0033】
尚、24はガスバーナ1に点火するための点火電極、25は点火電極24に高電圧を印加するスパーカである。
【0034】
次に、図2のフローチャートを参照して、電子ユニット6に備えた保温制御手段13による調理物Bの保温処理動作について説明する。
【0035】
保温制御手段13は、STEP1で、使用者が保温スイッチ21を操作したことを検知したときに、保温処理動作を開始し、STEP2でガスバーナ1が燃焼中であったときはSTEP5に分岐する。STEP2でガスバーナ1が燃焼中でなかったときには、STEP3で第1電磁弁4を開弁し、STEP4で第2電磁弁11を開弁して、スパーカ25を介して点火電極24に放電させる点火処理を行って、ガスバーナ1を点火する。
【0036】
そして、保温温度設定手段18で設定された目標保温温度を、本発明の第1所定温度とし、STEP5で温度センサ17の検出温度が第1所定温度以上となったときには、STEP6で安全弁保持手段15を作動させてから、STEP7で第1電磁弁4を閉弁してガスバーナ1を消火する。
【0037】
このように、ガスバーナ1を消火する前に安全弁保持手段15を作動させることで、ガスバーナ1の消火により、失火検知手段14が失火を検出しても安全弁駆動回路16から安全弁3のソレノイド10に通電され続けて、安全弁3が閉弁されることはない。
【0038】
これにより、保温処理におけるガスバーナ1の消火で安全弁3が閉弁し、以後、使用者が点火/消火ボタン8を操作するまでガスバーナ1が点火不能となることを防止している。
【0039】
そして、STEP8で、温度センサ17の検出温度が第1所定温度よりも低く設定された第2所定温度以下となるまで、ガスバーナ1は消火状態に保たれる。ガスバーナ1の消火後、調理物Bの温度が低下し、STEP8で、温度センサ17の検出温度が第2所定温度以下となったときには、STEP9に進み、STEP9で第1電磁弁4を開弁し、STEP10で第2電磁弁11を開弁し、スパーカ25を介して点火電極24に放電させる点火処理を行ってガスバーナ1に点火する。
【0040】
ガスバーナ1の点火後、STEP11で安全弁保持手段15の作動を停止して、失火検知手段14による安全弁3の閉弁処理を有効とし、STEP12で加熱量調節手段5の第2電磁弁11を閉弁する。第2電磁弁11を閉弁すると、ガスバーナ1への燃料ガスの供給量が減少するので、ガスバーナ1が小火となってその加熱量が減少する。
【0041】
そして、小火での加熱により調理物Bの温度が上昇し、STEP13で温度センサ17の検出温度が第1所定温度以上となったときには、STEP6に進んでガスバーナ1を消火する。このように、温度センサ17の検出温度が第1所定温度以上となったときにガスバーナ1を消火して調理物Bの加熱を停止し、温度センサ17の検出温度が第2所定温度以下となったときにガスバーナ2を点火して調理物Bの加熱を行うことで、調理物Bを第2所定温度以上、第1所定温度以下の温度範囲で保温することができる。
【0042】
図3は、図2のフローチャートに示した、保温制御手段13による保温処理動作を示したものであり、図中T1 が第1所定温度、T2 が第2所定温度である。また、図中Mは温度センサ17による調理物Bの検出温度の変化グラフ、Nはガスバーナ1の加熱量の変化グラフである。
【0043】
保温制御手段13は、保温処理開始後、温度センサ17の検出温度が第1所定温度T1 まで上がったt1 ,t3 ,t5 でガスバーナ1を消火して調理物Bの加熱を停止し、ガスバーナ1の消火後、温度センサ17の検出温度が第2所定温度T2 まで下がったt2 ,t4 でガスバーナ1を点火して調理物Bの加熱を再開する。
【0044】
これにより、調理物Bの温度を第2所定温度T2 以上、第1所定温度T1 以下の温度範囲で保温することができる。そして、このように、保温制御手段13は、ガスバーナの点火、消火を断続的に行って調理物Bを保温するので、実際に調理物Bを保温するのに必要な加熱量を超える加熱量で調理物Bを加熱することがない。そのため、保温処理中の燃料ガスの消費量を抑制すると共に、水分の蒸発による調理物Bの減少量を少なくすることができる。
【0045】
また、保温処理中のガスバーナ1の加熱量を、最大加熱量である図中H1 からH2 に減少させることで、加熱時の調理物Bの温度上昇勾配を緩やかにし、保温処理中の調理物Bの温度変動を抑えることができる。このように調理物Bの温度変動を抑えることで、ガスバーナ1の点火/消火回数を減少させ、点火音により使用者に不安感を与えることを防止している。
【0046】
尚、ガスバーナ1の点火時(t2 ,t4 )に、ガスバーナ1の燃焼量が瞬間的に最大加熱量H1 となっているのは、点火時に燃料ガスの供給量を増加させて点火し易くしているためである。
【0047】
また、保温制御手段13は、保温処理中は操作手段7に備えたランプ23を点灯させる。これにより、保温処理中のガスバーナ1の消火と、失火によるガスバーナ1の消火とを、使用者に区別して認識させることができる。
【0048】
また、保温処理中のガスバーナ1の消火時はランプ23を点滅させ、ガスバーナ1の失火時にはランプ23を連続点灯させるようにしてもよい。
【0049】
尚、本実施の形態では、保温温度を保温温度設定手段18により設定するようにしたが、調理物Bの加熱開始後、温度センサ17の検出温度の上昇がなくなった時点で調理物Bの沸騰を検知し、該沸騰時点での調理物Bの検出温度の近傍に本発明の第1所定温度を設定し、該第1所定温度よりも低い温度に第2所定温度を設定して、前記保温処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のガス調理器の構成図。
【図2】図1のガス調理器に備えた保温制御手段の動作フローチャート。
【図3】図1のガス調理器に備えた保温制御手段の動作説明図。
【符号の説明】
1…ガスバーナ、2…ガス供給路、3…安全弁、4…第1電磁弁、5…加熱量調節手段、6…電子ユニット、7…操作手段、8…点火/消火スイッチ、9…バネ、10…ソレノイド、11…第2電磁弁、12…バイパス路、13…保温制御手段、14…失火検知手段、15…安全弁保持手段、16…安全弁駆動回路、17…温度センサ、18…保温温度設定手段、19…炎センサ、20…ガス供給路、21…保温スイッチ、22…ブザー、23…ランプ、24…点火電極、25…スパーカ、A…調理容器、B…調理物
Claims (4)
- 調理物を加熱するガスバーナと、該ガスバーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、該ガス供給路を開閉する第1開閉手段と、該ガスバーナの点火を行う点火器と、調理物の温度を検出する温度センサと、
調理物の加熱開始後、前記温度センサの検出温度が第1所定温度に到達したときに、以後、該温度センサの検出温度が該第1所定温度以上となったときは、前記第1開閉手段により前記ガス供給路を閉じることで、前記ガスバーナを消火して調理物の加熱を中断し、また、前記温度センサの検出温度が前記第1所定温度よりも低い第2所定温度以下となったときには、前記第1開閉手段により前記ガス供給路を開いて前記点火器により前記ガスバーナを点火し、調理物の加熱を再開することを繰り返す保温処理を行う保温制御手段とを備えたガス調理器であって、
前記ガスバーナの失火を検知する炎センサと、前記ガス供給路に設けられ、該炎センサの失火検知に連動して閉弁し、使用者の操作により開弁される安全弁と、該安全弁を強制的に開弁保持する安全弁保持手段とを有し、
前記保温制御手段は、前記保温処理における加熱中断中は、前記安全弁保持手段により、前記安全弁を開弁保持することを特徴とするガス調理器。 - 前記ガスバーナの加熱量を調節する加熱量調節手段を有し、前記保温制御手段は、調理物の加熱開始後、前記第1所定温度に到達したときに、以後、該加熱量調節手段により、前記ガスバーナの加熱量を所定値まで減少させた状態で、前記保温処理における調理物の加熱を行うことを特徴とする請求項1記載のガス調理器。
- 前記加熱量調節手段は、前記ガス供給路に設けられて該ガス供給路を開閉する第2開閉手段と、該第2開閉手段を迂回して設けられ、該ガス供給路よりもガスの供給流量が少ないバイパス路とからなり、該第2開閉手段により前記ガス供給路を閉じることで、前記ガスバーナへの燃料ガスの供給量を減少させ、該ガスバーナの加熱量を減少させることを特徴とする請求項2記載のガス調理器。
- 前記保温処理が実行されていることを使用者に報知する報知手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のガス調理器。
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1997
- 1997-07-18 JP JP19343797A patent/JP3556435B2/ja not_active Expired - Fee Related
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