JP4306165B2 - 自動車用テールゲート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アウターパネルが、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイからなり、インナーパネルが、長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイからなる樹脂製の自動車用テールゲートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のテールゲートは、アウターパネルの部分は鋼板で、インアーパネルは樹脂で作られてきた。最近、アウターパネル、インナーパネルとも樹脂よるテールゲートが、軽量化やモジュール化によるコストダウンの観点から提案されている。アウターパネルは、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイや、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートアロイなどが提案されているがポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイは耐熱性が高いため、インライン塗装が可能、また衝撃強度も高いというメリットがある。インナーパネルについて支持体として強度が要求されることから、ガラス繊維マット強化樹脂(GMT)による成形品が提案されている。GMTは強度面等では有利であるが、通常はスタンピング成形のため、形状の制約を受ける。リブ構造等を設けて、構造体として高強度な部品を提供するには不利である。また、これまで、提案されたベース樹脂は、ポリプロピレやポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートアロイであるため、耐熱性があまり高くないので、たとえば、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイでつくられた、アウターパネルと組み付けた後、インライン塗装を行うことは出来なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、自動車の軽量化やモジュール化に適し、構造体として十分な強度を有し、かつ、製造工程でも、一体部品のインライン塗装が可能な自動車用テールゲートを提供する点に存する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アウターパネルが、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイからなり、インナーパネルが、長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイからなる自動車用テールゲートは上記課題を解決することと考え、本発明を考案するに至った。
すなわち、本発明は、アウターパネルが、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイからなり、インナーパネルが、長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイからなること特徴とする自動車用テールゲートに係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のアウターパネル用ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイを構成する成分(a)は、ポリフェニレンエーテルである。ポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合せしめて得られる重合体である。
Figure 0004306165
(式中、R1,R2,R3,R4及びR5は水素、ハロゲン原子、炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち、必ず1個は水素原子である。)
【0006】
上記一般式に於けるR1,R2,R3,R4及びR5の具体例としては、水素、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、クロロエチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、クロロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどがあげられる。
【0007】
上記一般式の具体例としては、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールなどがあげられる。
【0008】
上記一般式のフェノール化合物は、上記一般式以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と共重合することもできる。
【0009】
ポリフェニレンエーテルとして好ましいものとしては、2,6−ジメチルフェノール又は2,6−ジフェニルフェノールの単独重合体、及び大量部の2,6−ジメチルフェノールと少量部の3−メチル−6−t−ブチルフェノール又は2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体があげられる。
【0010】
フェノール化合物を酸化重合せしめる際に用いられる酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用しえる。
【0011】
本発明のアウターパネル用ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイを構成する成分(b)は、ポリアミドである。本発明に用いられるポリアミドとは、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合及び等モル量の炭素原子4〜12個を含む飽和脂肪族ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含む脂肪族ジアミンとの結合により製造することができるホモポリアミド及びコポリアミド等から選ばれた1種又は2種以上のポリアミド樹脂である。重合の際に所望に応じてジアミンを過剰に用いてポリアミド中のカルボキシル末端基よりアミン末端基を過剰に与えることができる。逆に、過剰の二塩基性酸を用いてポリアミドのカルボキシル基末端基がアミン末端基より過剰になるよう調整することもできる。同様に、これらのポリアミドを該酸及びアミンの酸生成及びアミン生成誘導体、たとえばエステル、酸塩化物、アミン塩などからも良好に製造することができる。このポリアミドを製造するために用いる代表的な脂肪族ジカルボン酸にはアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸が含まれ、一方代表的な脂肪族ジアミンにはヘキサメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが含まれる。加えて、これらのポリアミドはラクタムの自己縮合により製造することができる。
【0012】
脂肪族ポリアミドの例には、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバサミド(ナイロン610)、及びポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66共重合体等が、またこれらのナイロンを2種以上任意の割合で使用してもよい。
【0013】
これらのポリアミドにあって好ましくはナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが用いられる。より好ましくは、ナイロン6、ナイロン66あるいはナイロン6とナイロン66との任意の比率の混合物が用いられる。またこれらポリアミドの末端官能基はアミン末端の多いもの、カルボキシ末端の多いもの、両者がバランスしたもの、あるいはこれらの任意の比率の混合物が好適に用いられる。
【0014】
更に芳香族ポリアミドも含む。たとえばポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)の如き芳香族成分を含有するコポリアミドである。かかる芳香族成分を含有する熱可塑性コポリアミドは芳香族アミノ酸及び/又は芳香族ジカルボン酸たとえば、パラアミノメチル安息香酸、パラアミノエチル安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを主要構成成分とする溶融重合が可能なポリアミドを意味する。
【0015】
ポリアミドの他の構成成分となるジアミンはヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル、4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを使用することができる。またジアミンの代わりにイソシアネート類を用いる事が出来る。たとえば4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどである。
【0016】
必要に応じて用いられる共重合成分は特に限定なく、ラクタムもしくは炭素原子4〜12個のω−アミノ酸の単位、又は炭素原子4〜12個の脂肪族ジカルボン酸、及び炭素原子2〜12個の脂肪族ジアミンから誘導される化合物、たとえば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのラクタム、又はアミノ酸、前記した各種ジアミンとアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などとのモル塩などが利用できる。
【0017】
またこれらのポリアミドは結晶性であっても非晶性であっても良い。更にこれらのポリアミドを任意の割合で混合してもよい。
【0018】
本発明のアウターパネルに用いられるポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイの成分(c)は、相容化剤である。相容化剤の好ましい具体例としては、下記の(C1)〜(C3)をあげることができる。これこれらは、その一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(C1):エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽和結合のいずれも持たないエポキシ化合物
(C2):同一分子内に、▲1▼少なくとも一種の不飽和基、すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と▲2▼少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物
(C3):同一分子内に▲5▼(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)及び▲6▼カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なくとも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物
【0019】
本発明に用いられる(C1)グループの相容化剤はポリヒドリックフェノール(たとえばビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシンなど)とエピクロルヒドリンの縮合体、及びコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)とエピクドルヒドリンの縮合体があげられる。
【0020】
本発明に用いられる(C2)グループの相容化剤は、▲1▼不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と、▲2▼極性基すなはちポリアミド樹脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボキシル基、アミノ基と親和性や、化学反応性を示す官能基を同一分子内に併せ持つ化合物である。かかる官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸より誘導される基すなわちカルボキシル基の水素原子あるいは水酸基が置換した各種の塩やエステル、酸アミド、酸無水物、イミド、酸アジド、酸ハロゲン化物、あるいはオキサゾリン、ニトリルなどの官能基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、又は、イソシアン酸エステル基などがあげられ、不飽和基と極性基を併せ持つ化合物すなわち、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシアン酸エステルが用いられる。
【0021】
具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水マレイン酸とジアミンの反応物たとえば、下記化学式(2)、(3)で表される。
Figure 0004306165
(ただしRは脂肪族、芳香族基を示す。)などで示される構造を有するもの、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油 、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油などの天然油脂類、エポキシ化天然油脂類、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2・4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸などの不飽和カルボン酸、あるいはこれらの不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物、あるいはアリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、一般式Cn2n-5OH、Cn2n-7OH、Cn2n-9OH(ただし、nは正の整数)で示されるアルコール、3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和アルコール、あるいはこのような不飽和アルコールのOH基が、−NH2基に置き換わった不飽和アミン、あるいはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0022】
また、ブタジエン、イソプレンなどの低重合(たとえば平均分子量が500から10000ぐらいのもの)あるいは高分子量体(たとえば平均分子量が10000以上のもの)に無水マレイン酸、フェノール類を付加したもの、あるいはアミノ基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基などを導入したもの、イソシアン酸アリルなどがあげられる。
【0023】
本発明における同一分子内に不飽和基と極性基を併せ持つ化合物の定義には、不飽和基を2個以上、極性基を2個以上(同種又は異種)含んだ化合物も含まれる個とは、いうまでもなく、また、2種以上の特定化合物を使うことも可能である。
【0024】
これらの内で、好ましくは無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、グリシジル(メタ)アクリレートが、より好ましくは無水マレイン酸、フマル酸が用いられる。
【0025】
本発明に用いられる(C3)グループの相容化剤はアリファティックポリカルボン酸、酸エステル又は酸アミドであり、一般式(R7O)mR6(COOR8)n (CONR910l(ここで、R6は線状又は分岐状飽和アリファティック炭化水素であって2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有するものであり、R7 は水素、アルキル基、アリール基、アシル基、又はカルボニルジオキシ基で特に好ましくは水素であり、R8 は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜20、好ましくは1〜10であり、R9及びR10は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜10、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4であり、m=1であり、n+lは2以上の整数、好ましくは2又は3であり、nは0以上の整数であり、lは0以上の整数であり、(R7O)はカルボニル基のα位又はβ位に位置し、少なくとも2つのカルボニル基の間には、2〜6個の炭素が存在するものである。)によってあらわされる飽和脂肪族ポリカルボン酸及びその誘導体化合物。(具体的には、飽和脂肪族ポリカルボン酸のエステル化合物、アミド化合物、無水物、水加物及び塩などを示す。飽和脂肪族ポリカルボン酸として、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸などである。これらの化合物の詳細は、公表特許公報昭和61年第502195号公報に開示されている。)
【0026】
しかし、本発明における相容性改良剤は、ここに例示した化合物に限定されず、PPEとポリアミドの相容性を改良する目的で使用される化合物であればどれでもよく、単独又は複数の相容化剤を同時に使用してもよい。また、この相容性改良剤を配合するとき、ラジカル開始剤を併用してもよい。
【0027】
(c)としては、ポリフェニレンエーテルおよびポリアミドとの反応効率や経済的観点から、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0028】
本発明のアウターパネルに用いられるポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイには、導電性を有するフィラーを加えることができる。適当量を加えて、導電性を発現すれば、インライン塗装を導電性プライマーレスで静電塗装を行うことが可能となり、経済的に非常に有利である。導電性フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンアノチューブ、メタルフレーク、メタルファイバー、メタルコート無機フィラー(タルク、カウリン、クレー、マイカ、ワラストナイト、ウイスカー、カラスフレーク、ガラス繊維等)が上げられるが、特に限定されない。この中で好ましいのは、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーである。
【0029】
導電性カーボンブラックとしてはアセチレンブラックやファーネストブラックなどが挙げられる。このカーボンブラックは、少量の添加量で組成物に必要な導電性を付与できるものが望ましいことから、アセチレンブラック及びオイルファーネスブラック、特に不純物が少なく、また導電性が優れているオイルファーネスブラックが好ましいが、その中で、特に XCF(Extra Conductive Black)、 SCF(Super Conductive Furnace Black)、CF(Conductive Furnace Black)及び SAF(Super Abrasion Furnace Black)が好適に使用できる。中でもN2吸着による BET式比表面積が750m2/g以上、特に1000m2/g 以上のものが好ましい。XCF としてはケッチェンブラックインターナショナル社の「ケッチェンブラックEC」(商標名)、キャボット社の「バルカン XC-72」(商標名)等があり、SCF としてはキャボット社の「バルカンSC」(商標名)、「バルカン P」(商標名)やデグッサ社「コーラックス L」(商標名)等があり、CFとしてはキャボット社の「バルカン C」(商標名)、コロンビア社の「コンダクテックスSC」(商標名)等があり、また、SAF としては旭カーボン社の「旭#9」(商標名)、三菱化成社の「ダイヤブラック A」(商標名)、キャボット社の「バルカン 9」(商標名)等がある。これらは併用してもよい。
本発明に用いるカーボンブラックは、DBP吸油量が70〜600ml/100gであり、好ましくは300〜550ml/100gである。
カーボンブラックの添加量は添加するカーボンブラックの種類により異なるが、0.8〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、さらに好ましくは、1.5〜3重量%である。0.8重量%未満では導電性付与が不充分であり又10重量%を越えると流動性及び耐衝撃強度の著しい低下を招く。これらのカーボンブラックは、1種類又は2種類以上混合して用いてもよい。
微細な繊維状カーボンたとえばグラファイトフィブリルは、“Plastics world”(1993年11月)10頁以降に記載されている。これは結晶黒鉛からなる極めて小さい繊維である。現在市販で入手できる材料では、その平均直径はほぼ0.01μm及びL/D比は約500:1〜1000:1である。またグラファイトフィブリルも本発明の目的に原理的に適する。これらは例えばそれは国際特許出願明細書第86/03455号、第87/07559号、第89/07163号、第90/07023号および第90/14221号ならびに特開平3−287821号公報に記載されている。
【0030】
本発明のアウターパネルに用いられるポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイには、さらに耐衝撃改良材を加えても良い。耐衝撃改良材は、室温で弾性体である天然及び合成の重合体などのゴム様物質である。特に好ましいゴムとしては、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブテン−1ゴム、エチレン−ブテン−1−非共役ジエンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、スチレン−グラフト−エチレン−プロピレンゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレンゴム等、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、他の酸もしくはエポキシなどをふくむ官能性単量体により変性した変性ゴムを用いてもよい。該ゴム様物質の配合量は、成分(A)、(B)の合計100重量部に対し、1から50重量部が好ましい。該ゴム様物質の配合量が50重量部を越えると、該樹脂組成物の剛性の低下が著しく好ましくない。特に好ましい耐衝撃改良材は、飽和ゴム系のエラストマーもしくは非共役ジエンを用いて得られた一部不飽和ゴム系のエラストマーが用いられる。ここで、これらのエラストマーは、スチレンもしくはスチレンと他の共重合成分からなる分子量5000以上のセグメントを持っているのが好ましい。具体的にはポリスチレン及びポリブタジエンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、ポリスチレン及びイソプレン−ブタジエンの共重合体をそれぞれ1つずつ以上有するブロック共重合体のイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分を選択的に水素添加したブロック共重合体や、エチレン、プロピレン、ブテン、非共役ジエン成分を共重合したポリオレフィンエラストマーにスチレンもしくはスチレンと他の共重合成分をグラフト重合したものである。
【0031】
これらエラストマー中のポリスチレンセグメントもしくはスチレンと他の共重合成分からなるセグメントの分子鎖の長さは重量平均分子量で5000以上が好ましい。ポリスチレンセグメントもしくはスチレンと他の共重合成分からなるセグメントが短過ぎると、エラストマーがPPE中に留まりにくくなり、外観不良等を生じる場合があり好ましくない。このなかで好ましい耐衝撃改良材はイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択的に水素添加されたスチレン系のブロック共重合体である。
【0032】
ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイには、流動性の改良や剛性の改良等の目的でアルケニル芳香族樹脂を配合することができる。アルケニル芳香族樹脂としてはスチレンもしくはその誘導体たとえばp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体及び共重合体があげられる。また、上記した芳香族ビニル系化合物を70〜99重量%とジエンゴム1〜30重量%とからなるゴム変性された高衝撃性ポリスチレン(HIPS)を使用することができる。
【0033】
ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイには、その他の成分として、必要に応じて適当な充填剤、安定剤を用いることができる、充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、マイカ、マグネシウムオキシサルフェート、ガラスバルン、ガラス繊維、ガラスビーズ、ステンレス繊維、アラミド繊維等があるが、これらの充填剤を一種以上配合することが可能である。また、配合する充填剤は、これらに限定されない。安定剤として通常、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、耐衝撃改良材に用いられる酸化防止剤(リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、銅系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤(光安定剤)、UV吸収材等を用いることができる。
【0034】
本発明のアウターパネルに用いられるポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイは、(a)ポリフェニレンエーテル 15〜60重量%、(b)ポリアミド85〜40重量%が好ましい。ポリフェニレンエーテルの量が15重量%以下では、耐熱性が不足し、ポリアミド量が40重量%以下では流動性が不足する場合がある。ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイに用いる相容化剤(c)は、相容化に十分な量であり、好ましくは(a)と(b)の合計量 100重量部に対し、0.01〜2重量部である。また、(a)と(b)の合計量 100重量部に対し、5〜40重量部の耐衝撃改良材を含むものが良好な衝撃強度を示し好ましい。
【0035】
本発明のインナーパネルに用いられる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイは、(d)ポリアミド 80〜50重量%と(e)ポリオレフィン 20〜50重量%を溶融ブレンドしてなるポリアミド/ポリオレフィンアロイに、少なくとも重量平均で1mm以上の長さのガラス繊維含むものである。
【0036】
本発明のインナーパネルに用いられる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイを形成するポリアミド(d)は、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合及び等モル量の炭素原子4〜12個を含む飽和脂肪族ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含む脂肪族ジアミンとの結合により製造することができるホモポリアミド及びコポリアミド等から選ばれた1種又は2種以上のポリアミド樹脂である。重合の際に所望に応じてジアミンを過剰に用いてポリアミド中のカルボキシル末端基よりアミン末端基を過剰に与えることができる。逆に、過剰の二塩基性酸を用いてポリアミドのカルボキシル基末端基がアミン末端基より過剰になるよう調整することもできる。同様に、これらのポリアミドを該酸及びアミンの酸生成及びアミン生成誘導体、たとえばエステル、酸塩化物、アミン塩などからも良好に製造することができる。このポリアミドを製造するために用いる代表的な脂肪族ジカルボン酸にはアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸が含まれ、一方代表的な脂肪族ジアミンにはヘキサメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが含まれる。加えて、これらのポリアミドはラクタムの自己縮合により製造することができる。
【0037】
脂肪族ポリアミドの例には、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバサミド(ナイロン610)、及びポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66共重合体等が、またこれらのナイロンを2種以上任意の割合で使用してもよい。
【0038】
これらのポリアミドにあって好ましくはナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが用いられる。より好ましくは、ナイロン6、ナイロン66あるいはナイロン6とナイロン66との任意の比率の混合物が用いられる。またこれらポリアミドの末端官能基はアミン末端の多いもの、カルボキシ末端の多いもの、両者がバランスしたもの、あるいはこれらの任意の比率の混合物が好適に用いられる。
【0039】
更に芳香族ポリアミドも含む。たとえばポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)の如き芳香族成分を含有するコポリアミドである。かかる芳香族成分を含有する熱可塑性コポリアミドは芳香族アミノ酸及び/又は芳香族ジカルボン酸たとえば、パラアミノメチル安息香酸、パラアミノエチル安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを主要構成成分とする溶融重合が可能なポリアミドを意味する。
【0040】
ポリアミドの他の構成成分となるジアミンはヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル、4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを使用することができる。またジアミンの代わりにイソシアネート類を用いる事が出来る。たとえば4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどである。
【0041】
必要に応じて用いられる共重合成分は特に限定なく、ラクタムもしくは炭素原子4〜12個のω−アミノ酸の単位、又は炭素原子4〜12個の脂肪族ジカルボン酸、及び炭素原子2〜12個の脂肪族ジアミンから誘導される化合物、たとえば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのラクタム、又はアミノ酸、前記した各種ジアミンとアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などとのモル塩などが利用できる。
【0042】
またこれらのポリアミドは結晶性であっても非晶性であっても良い。更にこれらのポリアミドを任意の割合で混合してもよい。ポリアミド(d)として好ましいのは、ナイロン6、ナイロン66である。
【0043】
本発明のインナーパネルに用いられる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイを形成するポリオレフィン(e)としては、ポリプロピレン(g)、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィンランダム共重合体等のポリエチレン樹脂さらには変性ポリオレフィン(f)から選ばれる少なくとも1種類の樹脂である。また、ゴム等が配合されたものであってもよい。
【0044】
本発明における変性ポリオレフィン樹脂(f)とは、オレフィンの単独重合体又は二種以上のオレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンから選ばれた1種又は2以上と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を共重合したものである。
【0045】
ここで変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等があげることができる。また、クエン酸、リンゴ酸のようにポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸及びその誘導体のうち、好ましいのはアクリル酸及びメタクリル酸のグリシジルエステル及び無水マレイン酸であり、これにより変性された好ましい変性ポリオレフィン樹脂(E)としては、エチレン及び/又はプロピレンを主たるポリマー構成単位とするポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレン及び/又はプロピレンを主体とするオレフィンとメタクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することにより変性したものがあげられる。また、本発明において用いられる変性ポリオレフィン(f)は、ポリマー構成単位の0.1〜10重量%が上記のごとき不飽和カルボン酸又はその誘導体からなるものが好ましく、特にこれらの成分がランダム共重合あるいはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入される場合には1〜10重量%、グラフト重合による場合には0.1〜10重量%が好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体の含量が少なすぎると、衝撃強度、疲労特性等の機械的強度が低下し、多すぎると剛性等の機械的強度が低下する場合がある。
【0046】
本発明におけるポリプロピレン (g)とは、プロピレン単独重合体又はエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体があげられる。また、これらの重合体をブレンドしてもかまわない。ポリプロピレン(g)として好ましいのは、プロピレンブロック共重合体である。というのも、衝撃強度が向上するからである。前述のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等をあげることができる。この中でも1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテンのα−オレフィンを好ましく用いることができる。
【0047】
ポリオレフィン(e)として好ましいのは、少なくとも1種類の変性ポリオレフィン(f)を含むものであり、さらに好ましいのは変性ポリプロピレンを含むものである。
【0048】
本発明のインナーパネルに用いられる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイに含まれるガラス繊維は、インナーパネルを成形した段階で少なくとも、ガラス繊維の重量平均繊維長は1mm以上であり、好ましくは2mm以上である。繊維長が短すぎると、本発明のインナーパネルの機械的強度が不足して好ましくない。
【0049】
本発明のインナーパネルに用いられる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイは、インナーパネルを成形した段階で少なくとも、ガラス繊維の重量平均繊維長は1mm以上を有するために、前述のポリアミド/ポリオレフィンアロイを用いて、たとえば特開平5−9380号公報に示される、プルトルージョン成形法によって得られる。インナーパネルに供される長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイは、ガラス繊維が実質的に2mm以上の長さを有しかつ互いにほぼ平行な状態で配列しているものが好ましい。長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイを製造する好ましい方法は、プルトルージョン成形法である。プルトルージョン成形法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸するものであり、樹脂のエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸液の中を繊維束を通し含浸する方法、樹脂の粉末を繊維束に吹き付けるか粉末を入れた槽の中を繊維束を通し繊維に樹脂を付着させたのち樹脂を溶融して含浸する方法、クロスヘッドの中を繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法等が知られているが、本発明においてはかかる公知の方法がいずれも利用できる。特に好ましいのはクロスヘッドを用いる方法である。また、これらのプルトルージョン成形法における樹脂の含浸操作は1段で行うのが一般的であるが、これを2段以上に分けて行ってもかまわない。
【0050】
かかるごとくして得られる長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイの形状に制約はなく、ストランド状、シート状、平板状あるいはストランドを適当な長さに裁断したペレット状等任意の形状が可能である。特に成形加工の容易な射出成形への適用のため、長さ2〜50mmのペレット状組成物にするのが好ましい。特に成形加工操作が容易な射出成形に供し、射出成形性を損なうことなく優れた強度を保持した成形品を得るためには、長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイは長さ2〜50mmのペレット状で、繊維がペレットと実質上同一の長さで配列した組成物とするのが好ましい。
【0051】
本発明における樹脂組成物には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂の一種又は二種以上を併用することや造核剤や結晶化促進剤を配合することが可能である。また、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収等の安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤等をさらに配合することも可能である。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォルスナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を適当量併用してもよい。
【0052】
本発明のインナーパネルは、前述の長繊維強化ポリアミド/ポリプロピレンアロイを用いて、射出成形、射出圧縮成形もしくは射出プレス成形で成形される。このため、GMTのスタンピング成形に比べて、リブ構造を容易にとることができる。これにより、樹脂製テールゲートの弱点であった強度面の改良が可能となる。また、長繊維強化ポリアミド/ポリプロピレンアロイは、強度面で、長繊維強化ポリプロピレンを大きく上回り、吸湿寸法変化においては、長繊維強化ポリアミドから、顕著に改善され、強度面でも実使用時に近い吸湿条件では、長繊維強化ポリアミドと同等である。アウターパネルについても、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイを用いて、射出成形、射出圧縮成形もしくは射出プレス成形で成形される。インナーパネルとアウターパネルの接着については、通常の接着剤による接着以外に、ともにポリアミドを含むアロイであることから、振動融着や射出成形時のインサート成形や二色成形によって接着が可能であり、テールゲートをモジュール化する際に非常に有利である。
【0053】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明を逸脱しない限りこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例における評価用サンプルの製造方法について以下に示す。
インナーパネル用長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイ
ポリアミド/ポリオレフィンアロイの製造方法
予め十分に予備混合したポリプロピレン樹脂(PP−1:MI 0.6、EP量 16%、PP−2:MI 1.6、EP量 22%、PP−1 15重量部、PP−2 15重量部)、無水マレイン酸 0.2重量部、パーオキサイド化合物(1,3ビス (t−ブチル パーオキシジイソプロピル)ベンゼン)0.024重量部を二軸押出機の第1供給口より供給し、第2供給口よりポリアミド樹脂(数平均分子量 17000) 70重量部と酸化防止剤(GSY−P101(吉富ファインケミカル社製))0.05重量部を供給し、溶融混練を行った。用いた二軸押出機は、シリンダ−径=65mm、 L/D=37であった。シリンダー温度は240℃に設定し、スクリュー回転数は300rpmであった。
【0055】
長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイの製造方法
上記の方法で得られたマトリックス樹脂を用い、特開平3−121146号公報に記載されている方法により製造した。なお、含浸温度は340℃、引取速度は6mで行い、用いたガラス繊維の繊維径は16μであった。ガラス繊維含有量40重量%、ペレット長9mmのペレットを作成した。
【0056】
アウターパネル用ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイ
バレルからなるシリンダーにおいて、当該バレルに第一のフィード口から、ポリフェニレンエーテル(2,6−ジメチルフェノールを単独重合することによって得られたクロロホルム溶液(濃度:0.50g/dl),30度摂氏での対数粘度が0.40)22重量部、無水マレイン酸0.23重量部、耐衝撃材(クレイトンG1650(クレイトンポリマー製))16重量部、パーオキサイド(パーカドックス14/40C(化薬アクゾ製))0.001重量部を投入し、第二のフィード口からポリアミド(A1030BRL(ユニチカ製))30重量部を投入し、第三のフィード口からポリアミド(T−840(東洋紡製))22重量部、タルク(平均粒子径2.64μm)10重量部、熱安定剤(アデカスタブPEP−36(旭電化(株)製))0.15重量部、ジンクステアリレート0.5重量部を投入して、二軸混練機(東芝機械製 TEM−50A)にて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練して得た。上記、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイを用いて、アウターパネルを射出成形により成形し、上記長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイをもちいて、リブ構造を持つインアーパネルを射出成形によって成形することで構造体として強度が優れ、製造面でも経済的である樹脂製テールゲートを得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、構造体として強度が優れ、製造面でも経済的である樹脂製テールゲートを提供できる。

Claims (3)

  1. アウターパネルとインナーパネルとからなる自動車用テールゲートであって、
    前記アウターパネルが、(a)ポリフェニレンエーテル15〜60重量%、(b)ポリアミド85〜40重量%、(c)相容化剤0.01〜2重量部(但し、(a)と(b)の合計量を100重量部とする)、及び、耐衝撃改良材5〜40重量部を含有するポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイからなり、
    前記インナーパネルが、(d)ポリアミド80〜50重量%、(e)ポリプロピレン20〜50重量%であり、(d)ポリアミドと(e)ポリプロピレンの合計量100重量部に対して少なくとも重量平均で1mm以上の長さのガラス繊維を少なくとも30重量%以上含む長繊維強化ポリアミド/ポリプロピレンアロイからなり、
    前記アウターパネルと前記インナーパネルが、振動融着又は、射出成形時のインサート成形若しくは二色成形によって接着されているものであることを特徴とする自動車用テールゲート。
  2. ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイが、(a)と(b)の合計量100重量部に対し、0.5〜15重量部の導電性フィラーを含むことを特徴とする請求項記載の自動車用テールゲート。
  3. (c)相容化剤が、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2記載の自動車用テールゲート。
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