JP4610174B2 - 自動車用パネル構造体 - Google Patents

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本発明は、アウターパネル材料がポリカーボネート/ポリエステルアロイからなり、インナーパネル材料が長繊維強化ポリカーボネート及び/又は長繊維強化ポリエステルからなることを特徴とする自動車用パネル構造体に関するものである。
従来、自動車用パネル構造体は、アウターパネル、インナーパネルとも鋼板で作られてきた。最近、自動車用パネル構造体をさらに軽量化する目的で、連続繊維からなる織物基材を補強繊維とするFRPからなる自動車用パネル構造体が開示されている(特許文献1)が、設計の自由度や生産効率の点で満足できるものではなかった。また、アウターパネル、インナーパネルとも樹脂よりなるバックドアが、軽量化やモジュール化によるコストダウンの観点から提案されている。例えば、アウターパネルがポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイからなり、インナーパネルが長繊維強化ポリアミド/ポリオレフィンアロイからなるテールゲート(特許文献2)が提案されているが、ポリアミドの吸水寸法変化のため、建て付け不具合や波打ち外観不良が問題になっている。吸水寸法変化の問題を解決する目的でポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートアロイ等も提案されているが、インナーパネルが長繊維強化ポリプロピレンのため、アウターパネルとインナーパネルの接着に接着剤が必要であり、接着剤によるアウターパネルの劣化、多工程によるコストUPから好ましくない。
特開2002−127944号公報 特開2003―118379号公報
本発明が解決しようとする課題は、自動車の軽量化やモジュール化に適し、接着剤の悪影響等がなく、生産性の高い自動車用パネル構造体を提供することにある。
上記課題を解決するには、吸水寸法変化が小さく、かつ、アウターパネルとインナーパネルに同種の材料を使用すれば、一体成形又は溶着により、アウターパネルとインナーパネルとの張り合わせが可能で、接着剤の悪影響等が無く、生産性の高い自動車用パネル構造体が提供できると考えた。このような考えをもとに種々実験を重ねた結果、アウターパネルがポリカーボネート/ポリエステルアロイからなり、インナーパネルが長繊維強化ポリカーボネート及び/又は長繊維強化ポリエステルからなる自動車用パネル構造体を提供することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨はアウターパネル及びインナーパネルを一体化した自動車用パネル構造体であって、該アウターパネル材料がポリカーボネート/ポリエステルアロイからなり、且つ繊維状無機フィラー及び耐衝撃改良材を含み、該インナーパネル材料が長繊維強化ポリエステル(以下、「長繊維強化樹脂」と称する。)からなり、しかも、該インナーパネルの段階で、重量平均繊維長1mm以上、2.4mm以下の繊維を含むことを特徴とする自動車用パネル構造体に存する。
本発明の自動車用パネル構造体を構成するアウターパネルとインナーパネルは、樹脂成分が同種類のものを用いているので、2色成形又は溶着によりアウターパネルとインナーパネルとの密着性良好な一体化が可能で、生産効率も高く、接着剤による環境汚染の問題も解消でき、建て付け不具合や波打ちによる外観不良の問題も発生しない。
また、リサイクルする際にも、一体構造の状態で処理が可能であるためリサイクル性にも優れたパネル構造体である。
このような長所を兼ね備えた、アウターパネルとインナーパネルからなる自動車用パネル構造体は、自動車の軽量化やモジュール化に大きく寄与できる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明で言う自動車用パネル構造体とは、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ及びそれらの類似構造体を総称したものである。
本発明の自動車用パネル構造体において、アウターパネル材料のポリカーボネート/ポリエステルアロイに使用するポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。中でも、芳香族ポリカーボネートが好ましい。具体的には、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性ポリカーボネート重合体又は共重合体である。ポリカーボネートの製造法は特に限定されるものではなく、従来から知られているホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等によって製造することができる。溶融法で製造されたポリカーボネートは、末端基のOH基量を調整したものであってもよい。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノ一ル、4,4−ジヒドロキシジフェニル等か挙げられる。中でも好ましいのは、ビスフェノ一ルAである。この樹脂の難燃性を一層高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムを1個以上結合させた化合物、及び/又は、シロキサン構造を有する両未端フェノール性OH基を含有したポリマー又はオリゴマーを、少量共存させることができる。
分岐したポリカーボネートを得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類、又は、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等で前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用すればよく、その使用量は0.01〜10モル%の範囲が好ましく、特に好ましいのは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネートとしては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。さらに、この樹脂の難燃性を一層高める目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることができる。ポリカーボネートは、2種以上の組成の異なる樹脂の混合物であってもよい。
ポリカーボネートの分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、温度25℃で測定された溶液粘度から換算した粘度平均分子量で、13,000〜30,000の範囲のものが好ましい。粘度平均分子量が13,000未満であると、樹脂組成物から得られる成形品の機械的強度が不足し、30,000を超えると樹脂組成物の成形性が悪く、いずれも好ましくない。粘度平均分子量のより好ましい範囲は15,000〜27,000であり、中でも好ましいのは17,000〜24,000である。
ポリカーボネートの分子量を調節するには、原料として一価の芳香族ヒドロキシ化合物を使用すればよい。一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明の自動車用パネル構造体において、アウターパネル材料のポリカーボネート/ポリエステルアロイに使用するポリエステルとしては、例えば、通常の方法に従って、ジカルボン酸類、その低級アルキルエステル類、酸ハライド類、酸無水物類等の誘導体類と、グリコール類又は二価フェノール類とを縮合させた熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げられる。ジカルボン酸類は、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸のいずれでもよい。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p,p´−ジカルボキシジフェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノキシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸若しくは2,7−ナフタリンジカルボン酸、又はこれらカルボン酸の混合物が挙げられる。
グリコール類は、脂肪族グリコール類又は芳香族グリコール類のいずれでもよい。脂肪族グリコール類としては、炭素数が2〜12個の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,12−ドデカメチレングリコール等が挙げられる。また、芳香族グリコール類としては、p−キシリレングリコールが挙げられ、二価フェノール類としては、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン又はこれら化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。他の適当なグルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
他の好ましいポリエステルとしては、ラクトンの開環重合によるポリエステルも挙げられる。例えば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等である。さらに他の好ましいポリエステルとしては、溶融状態で液晶を形成するポリマー(Thermotropic Liquid Crystal Polymer,TLCP)としてのポリエステル樹脂が挙げられる。これら範疇に入り現在市販されている液晶ポリエステル樹脂としては、イーストマンコタック社のX7G、ダートコ社のXyday(ザイダー)、住友化学社のエコノール、セラニーズ社のベクトラ等が挙げられる。
上に挙げた種々のポリエステルの中でも本発明で好ましく使用されるのは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)であり、その中でも特に好ましく使用されるのはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
本発明のアウターパネル材料には、剛性、寸法安定性、耐熱性を向上させる目的で無機フィラーを配合することが好ましく、そのような無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維、けい砂、けい石、石英粉、しらす、けいそう土、ホワイトカーボン、鉄粉、アルミニウム粉等が挙げられるが、本発明で特に好ましく使用される無機フィラーは、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)である。これら無機フィラーは1種でも、2種類以上を併用することもできる。
アウターパネル材料に使用する無機フィラーの形状は、球状、立方形状、粒状、針状、板状、繊維状等いずれの形状であってもよいが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の寸法安定性を向上させ、剛性を高く、外観を良好にすると言う観点から、板状及び針状のものが特に好ましく、レーザー回折粒度(D50)が10μm以下のものが好ましい。
上記の無機フィラーは、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性又は界面結合力を高める目的で、無機表面処理剤、高級脂肪酸又はそのエステル、塩等の誘導体、カップリング剤等で処理するのが好ましい。表面処理する際には、非イオン・陽イオン・陰イオン型等の各種の界面活性剤や、各種の樹脂等の分散剤による処理を併せて行うと、機械的強度及び混練性の向上の観点から好ましい。
本発明のアウターパネル材料には、帯電防止性や静電塗装が可能な導電性を付与する目的で導電性カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維を配合することができる。導電性カーボンブラックは、ペイント等を着色する目的で加える顔料用カーボンブラックとは違って、微細な粒子が連なった形態をしているものである。好ましい導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等が挙げられる。
中空ナノカーボン繊維は、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層から成る外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nmの範囲が好ましい。この様な中空ナノカーボン繊維は、特表昭62−500943号公報や、米国特許第4,663,230号明細書等に詳細に記載されている。その製法は、後者の米国特許明細書に詳細に記載されている様に、例えば、アルミナを支持体とする鉄、コバルト、ニッケル含有粒子等の遷移金属含有粒子を、一酸化炭素、炭化水素等の炭素含有ガスと、850〜1200℃の高温で接触させ、熱分解によって生じた炭素を、遷移金属を起点として、繊維状に成長させる方法が挙げられる。中空ナノカーボン繊維は、ハイペリオン・カタルシス社が、グラファイト・フィブリルと言う商品名で販売しており、容易に入手できる。
本発明のアウターパネル材料として使用されるポリカーボネート/ポリエステルアロイの配合割合は、(a)ポリカーボネート10〜90重量%と(b)ポリエステル90〜10重量%からなり、好ましくは(a)20〜80重量%と(b)80〜20重量%からなり、さらに好ましくは(a)30〜70重量%と(b)70〜30重量%からなる。(a)ポリカーボネートが10重量%未満では耐衝撃性や寸法安定性が劣り、90重量%を超えると耐薬品性が劣る。
アウターパネル材料に使用するポリカーボネート/ポリエステルアロイに剛性、寸法安定性、耐熱性を向上させる目的で配合される無機フィラーは、ポリカーボネート/ポリエステルアロイ100重量部に対し、2〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部である。無機フィラーの配合量が2重量部未満では、剛性、寸法安定性、耐熱性の改良効果が小さく、50重量部を超えると耐衝撃性が低下する。
また、上記アロイに帯電防止性や静電塗装が可能な導電性を賦与する目的で配合される導電性カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維は、ポリカーボネート/ポリエステルアロイ100重量部に対し、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部配合できる。導電性カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維の配合量が0.1重量部未満では帯電防止性や導電性の改善効果が小さく、20重量部を超えると耐衝撃性や流動性が低下する。
アウターパネル材料に使用するポリカーボネート/ポリエステルアロイには、その他の付加的成分として耐衝撃改良材や公知の助剤を配合できる。耐衝撃改良材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、α−オレフィン系ラバー、スチレン系ラバー、アクリル系ラバー、シリコン系ラバー、MBSやコアーシェルポリマー等が挙げられる。耐衝撃改良材の割合は、ポリカーボネート/ポリエステルアロイ100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。
公知の助剤としての離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、アルカリ石鹸、金属石鹸、ハイドロタルサイトは0.01〜5重量部程度、可塑剤、流動性改良剤は5〜30重量部程度、造核剤は0.5〜2重量部程度、難燃剤は5〜50重量部程度、ドリッピング防止剤は0.1〜10重量部程度、着色剤及びその分散剤等は0.5〜5重量部程度配合できる。
本発明に使用されるポリカーボネート/ポリエステルアロイの製造方法は、特定の方法に限定されないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般的に用いられている混練方法が適用できる。製造方法の例としては、ポリカーボネートとポリエステル、必要に応じて無機フィラー、カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維、その他の付加的成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。付加的成分を含め各成分は混練機に一括でフィードしても、順次フィードしてもよく、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。
混練温度と混練時間は望まれる樹脂組成物や混練機の種類等の条件により任意に選ぶことができるが、混練温度は200〜350℃程度、混練時間は20分程度以下が好ましい。350℃又は20分を超えると芳香族ポリカーボネートやポリエステルの熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観の悪化が生じることがある。
上記の方法で製造されたポリカーボネート/ポリエステルアロイからアウターパネルを成形加工する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般的に用いられている成形法、すなわち射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形等の成形法を適用できる。
本発明のインナーパネル材料に使用する長繊維強化ポリエステル(「長繊維強化樹脂」と称する)の樹脂成分は、前記アウターパネル材料に使用されるポリカーボネート/ポリエステルアロイを構成するポリエステルと同種のものを用いることができるので、インナーパネルとアウターパネルの一体成形又は溶着が容易になり、軽量化やモジュール化によりコストダウンされた自動車用パネル構造体が製造できる。
本発明の長繊維強化樹脂に使用する強化用繊維の種類の制約は特になく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等の高融点(高軟化点)繊維等がいずれも使用できるが、価格の点からガラス繊維が好ましい。
強化用繊維は、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性又は界面結合力を高める目的で、アウターパネル材に使用される無機フィラーと同様、公知の無機表面処理剤、高級脂肪酸又はそのエステル、塩等の誘導体、カップリング剤等で処理するのが好ましい。表面処理する際には、非イオン・陽イオン・陰イオン型等の各種の界面活性剤や、各種の樹脂等の分散剤による処理を併せて行うのが、機械的強度及び混練性の向上の観点から好ましい。
強化用繊維の形態は、ロービング、ヤーン、フィラメント等の連続した繊維であればいずれも使用できる。特に、取り扱いが容易な点でロービング状のものが好ましい。また、目的によっては、ロービングクロス等の如き織物状のものも使用できる。本発明において上記の如き繊維は、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。かかる強化用繊維束は、次の含浸工程までの間に、テンションロール等により開繊しておくのが好ましい。
本発明のインナーパネル材料に使用する長繊維強化樹脂の製法は、例えば特許第2983569号公報に記載されている引き抜き成形法が用いられる。引き抜き成形は、基本的には連続した強化用繊維束を引きながら樹脂を含浸するものであり、樹脂のエマルジョン、サスペンジョン又は溶液を入れた含浸浴の中を繊維を通し含浸する方法、樹脂の粉末を繊維に吹きつけるか粉末を入れた槽の中を繊維を通し繊維に樹脂粉末を付着させたのち樹脂を溶融し含浸する方法、クロスヘッドの中を繊維を通しながら押出機等からクロスヘッドに溶融樹脂を供給し含浸する方法等が知られているが、本発明においてはかかる公知の方法がいずれも利用できる。特に好ましいのはクロスヘッドを用いる方法である。クロスヘッドを用いる方法では樹脂による含浸に先立ち、強化用繊維を予め高温に加熱し、高い温度を維持した強化用繊維を樹脂と接触させるのが好ましい。クロスヘッドを用いる方法によりポリカーボネート及び/又はポリエステルの含浸された強化用繊維は、次に、賦形ダイ等を通すことにより所望の形状、例えばストランド状、テープ状、シート状又は特殊形状等に成形され、強化用繊維はこれらの成形品の長手方向全長にわたって実質的に連続しており、且つ互いにほぼ平行に配列した長繊維強化樹脂が得られる。得られた長繊維強化樹脂は、引き取りロール等を用いて引き取る。引き取った長繊維強化樹脂は、そのまま成形工程等に移送することもできるが、一般的には、成形加工の容易な射出成形に供するため、2〜50mmの長さに切断したペレット状とするのが好ましい。
本発明の長繊維強化樹脂には、付加的成分として耐衝撃改良材や公知の助剤を配合できる。耐衝撃改良材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、α−オレフィン系ラバー、スチレン系ラバー、アクリル系ラバー、シリコン系ラバー、MBSやコアーシェルポリマー等が挙げられる。耐衝撃改良材の割合割合は、ポリカーボネート及び/又はポリエステルの合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。
さらに公知の助剤として、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、アルカリ石鹸、金属石鹸、ハイドロタルサイト、可塑剤、流動性改良剤、造核剤、難燃剤、ドリッピング防止剤、着色剤及びその分散剤等を配合できる。
このような長繊維強化樹脂には、射出成形や射出圧縮成形等のような成形法が適用できるので、設計の自由度が高く、ボスやリブ構造等を設けて高強度なインナーパネルを得ることができる。
さらに、リブやボスに加圧ガスを注入することもできる。また、剛性強度をさらに向上させるため金型内に可動部分を設け、可動部の移動による容量拡大部分に加圧ガスを注入することで中空とし、断面剛性の高い断面形状とすることも可能であるし、形成された中空部に発泡体や低融点金属等を充填、補強し、さらに剛性強度を向上させることも可能である。
材料側からインナーパネルを高強度にするためには、インナーパネルの段階で、長繊維強化樹脂100重量部に対し重量平均繊維長1mm以上の繊維を30重量部以上含むことが好ましい。重量平均繊維長1mm以上の繊維が30重量部未満では、インナーパネルとして必要な強度を満たさないことがある。
本発明の自動車用パネル構造体を構成するアウターパネルとインナーパネルの樹脂成分は、同種類のものを用いているので一体成形又は溶着によりアウターパネルとインナーパネルとの張り合わせが可能で、生産効率が高く、接着剤による環境汚染の問題も解消できる。
インナーパネルとアウターパネルの一体化に用いられる製法は、2色成形や振動溶着、レーザー溶着、熱板溶着、射出溶着等挙げられるが、特に限定されるものではない。また、アウターパネルをフィルムやシートで製造しておき、インナーパネルを成形する際に金型内へ装着し、インナーパネルの成形と同時に積層一体化することにより最終パネル構造体を得ることも可能である。
また、インナーパネルの材質としてスタンパブルシートを用い、それを加熱プレスまたは真空吸引することにより所望の形状に賦形し、その後インナーパネル上に溶融状態のアウターパネル材料を流し込みプレスにより溶着したり、2色成形状態に射出成形したり、シート状に成形したアウターパネル材をインナーパネル材の賦形と同時に、または、賦形した後に積層したりすることによりパネル構造体を得ることも可能である。
アウターパネルとインナーパネルの樹脂成分には、吸湿寸法変化を起こしやすいポリアミドが含まれていないので、建て付け不具合や波打ちによる外観不良の問題も発生しない。
また、本発明の自動車用パネル構造体を構成するアウターパネルとインナーパネルの樹脂成分は、同種類のものを用いているのでリサイクルする際にも、一体構造の状態で処理が可能である。このためリサイクル性にも優れたパネル構造体である。
このような長所を兼ね備えたアウターパネルとインナーパネルからなる自動車用パネル構造体は、自動車の軽量化やモジュール化に大きく寄与できる。
以下、図面を参照し好ましい実施例によって、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。図1は本発明に係る、インナーパネル10及びアウターパネル11を一体化した、自動車用パネル構造体(模擬形状)の底面図である。図1の線A−Aに沿った横断面図を図1(a)に、線B−Bに沿った横断面図を図1(b)に、線C−Cに沿った横断面図を図1(c)に示す。
インナーパネル10は箱形の形状であり、大型開口部12と小型開口部13を有し、さらに、形状剛性を向上させるためのリブ14、14が、該箱の内部に箱枠と直交して設置されている。
なお、以下の実施例、比較例において、使用した各成分の物性等の詳細は次のとおりである。また、各成分の配合組成は重量基準で示し、得られた自動車用パネル構造体についての評価試験は、後記の方法に従った。
(A)ポリカーボネート: 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンS−2000。粘度平均分子量23,000(以下、PCと略記する)。
(B)ポリエステル:
(B−1)ポリブチレンテレフタレート: 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバデュラン5008。温度30℃フェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液中で測定した極限粘度0.85dl/g(以下、PBTと略記する)。
(B−2)ポリエチレンテレフタレート: 三菱化学(株)製、商品名ノバペックスGS385。温度30℃フェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液中で測定した極限粘度0.65dl/g(以下、PETと略記する)。
(B−3)リサイクルPET: よのペットボトルリサイクル社製、商品名クリアフレーク。
(C)ポリフェニレンエーテル: 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名YPX100L。30℃クロロホルム中で測定した固有粘度0.40dl/g(以下、PPEと略記する)。
(D)ポリアミド: 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバミッド1010J。23℃98%硫酸中で測定した相対粘度2.5、末端カルボン酸/末端アミン比2.6のポリアミド6(以下、PAと略記する)。
(E)ポリプロピレン:日本ポリケム(株)製、商品名BC06C。重量平均分子量200,000、MFR60(以下、PPと略記する)。
(F)導電性カーボンブラック: ライオン社製、商品名導電性カーボンブラック600JD。比表面積1270m/g、DBP吸油量495ml/100g。
(G)無機フィラー:
(G−1)タルク: 富士タルク社製、商品名KT300。レザー法による平均粒子径1.5μm。
(G−2)ウォラストナイト: 川鉄鉱業社製、商品名PH330。平均繊維径(D)2.2μm、平均繊維長(L)20.9μm、L/D9.5。
(H)ガラス繊維: 日本電気ガラス社製、商品名ECS25T488N。長さ25mm、直径17μm。
(I)その他:
コア−シェルゴム: アクリル(コア)/ブタジエン(シェル)からなるコアシェルタイプのエラストマー、クレハ社製、商品名パラロイドEXL2603。
スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS): クレイトンポリマー社製、製品名クレイトンG1652。スチレン含量29重量%、分子量49,000。
PEP36: ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、旭電化(株)製、商品名PEP36。
AX71: モノ−及びジ−ステアリルアシッドホスフェート、旭電化(株)製、商品名AX71。
〔インナーパネル材料の製造〕
1.インナーパネル材料(イ)
連続したガラス繊維束(ロービング)を開繊して引き取りながら含浸ダイの中を通し、含浸ダイに供給される溶融樹脂を含浸させた後、賦形、冷却、切断する引き抜き成形法に従い、ガラス含量50重量%、長さ9mmのガラス長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを製造した。溶融樹脂には、成分(B―3)のリサイクルPETを溶融して使用した。得られたペレット中のガラス繊維は、ペレットと同一長さを有し、ペレットの長さ方向に実質的に平行配列していた。
2.インナーパネル材料(ロ)
インナーパネル材料(イ)と同様にペレットを製造した。溶融樹脂には、成分(A)のPCを溶融して使用した。
3.インナーパネル材料(ハ)
インナーパネル材料(イ)と同様にペレットを製造した。溶融樹脂には、成分(A)のPC30重量%、成分(B−2)のPET70重量%を混合した後、溶融して使用した。
4.インナーパネル材料(ニ)
インナーパネル材料(イ)と同様にペレットを製造した。溶融樹脂には、成分(E)のPPを溶融して使用した。
5.インナーパネル材料(ホ)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバペット6010G45。温度30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液中で測定した極限粘度0.65dl/gのPET55重量%と、ガラス繊維45重量を押出機にて混練、ペレット化したGF強化PET材料。
〔アウターパネル材料の製造〕
アウターパネル材料(a)〜(d),(x)〜(z)は、表−1に示す各成分を、同表に示す割合で秤量し、タンブラーミキサーで均一に混合し、得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT)根本の第1ホッパーにフィードし、シリンダー温度230℃、スクリー回転数400rpmの条件下で十分溶融・混練して、ペレット化したものである。
ただし、表中でフィード法が「途中」とされている成分のみは、所定量を秤量後、同押出機の途中に設けた中間ホッパーより、フィードし、上記ペレット化を行った。
Figure 0004610174
評価試験
1.評価1(耐湿性試験)
実施例又は比較例で得られたパネル構造体を、90℃、95%Rhの雰囲気下で500時間吸水処理した後、図1に示すインナーパネル10の大型開口部12における、アウターパネル11のふくれや波打ち等の形状変化を観察し、次の基準で評価した。
○:変化無し。×:ふくれ、波うち等により像のゆがみ有り。
2.評価2(落球衝撃試験)
実施例又は比較例で得られたパネル構造体の、図1に示すインナーパネルの大型開口部12及び小型開口部13を用い落球衝撃試験を行い、アウターパネル11の破壊形態を観察し、次の基準で評価した。
○:破断無し。△:破断有るが破片飛散無し。×:アウターパネル破断有りで破片飛散有り。××:アウターパネル、インナーパネル共に破断有りで破片飛散有り。
なお、落球衝撃試験の試験方法はJIS K7211に準拠し、重錘は呼び球2形(直径63mm、重さ1kg)を使用、高さ50cmからアウターパネル面に落とす条件にて実施した。
射出成形用金型及び射出成形機
図2−1及び図2−2は、本発明に係る自動車用パネル構造体(バックドア模擬形状)の成形に使用する、射出成形用金型の概念的縦断面図である。図2−1に示されるように、金型の一方(通常、固定金型側)にインナーパネル形状のキャビティ21を設け、さらに、図2−2に示されるように、スペーサー24,24の設置によりアウターパネル形状のキャビティ22が形成される。このキャビティ22を利用すれば、インナーパネルとアウターパネルの一体成形が可能となる。インナーパネル及びアウターパネルの射出成形には、日精樹脂工業(株)製、AZ7000射出成形機を用いた。
[実施例1]
図2−1において、射出成形機の加熱シリンダー30を270℃に加熱し、ここに前記のインナーパネル材料(イ)を供給し、可塑化、溶融、計量した後、樹脂導入部23を介し、射出成形用金型20に設けたインナーパネル形状のキャビティ21に射出充填した。射出時間を7秒とし、射出成形機のゲージ圧力で100MPaの保圧力を20秒かけ、冷却時間25秒経過後、金型温度80℃で金型を開き、成形されたインナーパネルを取り出した。このインナーパネルは、長繊維強化樹脂の合計100重量部に対して、重量平均繊維長2.4mmのガラス繊維を約50重量部含んでいた。
次に、図2−2において、金型20の固定側にスペーサー24、24を設置した後、不要な樹脂射出部23の成形部分を除去したインナーパネル10を、再度金型20のキャビティ21内に装着し、金型を閉じる。この際、射出成形用金型20は、スペーサーで調整した分だけ固定側と可動側が隔離され、アウターパネル形状のキャビティ22が形成される。
同図において、アウターパネルの射出一体化に際しては、射出成形機の加熱シリンダー30は280℃に加熱し、ここに前記のアウターパネル材料()を供給し、可塑化、溶融、計量した後、樹脂射出部23を介し、キャビティ22に射出充填した。射出時間を3秒とし、射出成形機のゲージ圧力で100MPaの保圧力を20秒かけ、冷却時間25秒経過後、金型温度80℃で金型を開き、2色成形によりインナーパネルとアウターパネルの一体化された、自動車用パネル構造体(バックドア模擬形状)を取り出し、成形を終了した。
このようにして得られた構造体は、インナーパネルとアウターパネルの密着性が良好で、表面外観の非常に優れた、剛性感の高いパネル構造体であった。また、耐湿性試験及び落球衝撃試験による評価結果は表2に示した。耐湿性評価では、吸水処理後のアウターパネルに変化は認められなかった。また、落球衝撃評価では、アウターパネル面に打痕は残るものの、破断及び破片の飛散には至らなかった。
[比較例1]
実施例のインナーパネル材料(イ)に代えてインナーパネル材料(ニ)を使用し、射出成形機の加熱シリンダーの温度を220℃とした以外は、実施例と同様に2色成形を行い、インナーパネルとアウターパネルの一体化されたパネル構造体を得た。
このようにして得られたパネル構造体のインナーパネルとアウターパネルは密着しておらず、パネル構造体として成立しない物であった。
[比較例2]
実施例において、射出成形機の加熱シリンダー温度270℃に代えて220℃とし、インナーパネル材料(イ)に代えて前記のインナーパネル材料(ニ)を使用した以外は、実施例と同様にしてインナーパネルを成形した。
一方、アウターパネルは、インナーパネルと同じ投影面積を持つ平板形状の射出成形用金型を用い、射出成形にて2.5mm厚みの所定平板形状に成形した。材料はアウターパネル材料(b)を使用した。すなわち、射出成形機の加熱シリンダーを280℃に加熱し、ここに前記のアウターパネル材料(b)を供給し、可塑化、溶融、計量した後、上記平板形状金型に射出充填した。射出時間を3秒とし、射出成形機のゲージ圧力で100MPaの保圧力を20秒かけ、冷却時間25秒経過後、金型温度80℃で金型を開き、2.5mm厚み、所定平板形状のアウターパネルを取り出した。
このように別個の射出成形品であるインナーパネルとアウターパネルは、次に、自動車用構造接着剤ペンギンセメント334C(サンスター技研(株)製)を用いて接着し、インナーパネルとアウターパネルの一体化された自動車用パネル構造体を得た。
このようにして得られた構造体は、インナーパネルとアウターパネルの密着性は良好で、表面外観の非常に優れた、剛性感の高いパネル構造体であった。耐湿性試験及び落球衝撃試験による評価結果を表2に示す。耐湿性評価では、吸水処理後のアウターパネルに変化は認められなかった。しかし、落球衝撃評価では、アウターパネルに、破片の飛散には至らないものの、接着部近傍から破断が生じた。
[比較例3]
比較例2のアウターパネル材料(b)に代えてアウターパネル材料(x)を使用した以外は、比較例2と同様にインナーパネルとアウターパネルが接着により一体化されたパネル構造体を得た。
このようにして得られた構造体は、インナーパネルとアウターパネルの密着性は良好で、表面外観の非常に優れた、剛性感の高いパネル構造体であった。耐湿性試験及び落球衝撃試験による評価結果を表2に示す。耐湿性評価では、吸水処理後のアウターパネルは湾曲し、写像がゆがんでしまう現象が見られた。しかし、落球衝撃評価では、アウターパネル面に打痕は残るものの、破断及び破片の飛散には至らなかった。
[比較例4]
比較例2の加熱シリンダー温度220℃に代えて280℃とし、インナーパネル材料(ニ)に代えて前記のインナーパネル材料(イ)を使用した以外は、比較例1と同様にしてインナーパネルを成形した。一方、比較例2のアウターパネル材料(b)に代えて前記のアウターパネル材料(y)を使用した以外は、比較例2と同様にアウターパネルを成形した。得られたインナーパネルとアウターパネルを比較例2と同様に接着し、一体化されたパネル構造体を得た。
このようにして得られた構造体は、インナーパネルとアウターパネルの密着性は良好で、表面外観の非常に優れた、剛性感の高いパネル構造体であった。耐湿性試験及び落球衝撃試験による評価結果を表2に示す。耐湿性評価では、吸水処理後のアウターパネルに変化は認められなかった。しかし、落球衝撃評価では、アウターパネルに接着部近傍からの破断及び破片の飛散が生じた。
[比較例5]
実施例のインナーパネル材料(イ)に代えてインナーパネル材料(ホ)を使用した以外は、実施例と同様に2色成形を行い、インナーパネルとアウターパネルの一体化されたパネル構造体を得た。
このようにして得られた構造体は、インナーパネルとアウターパネルの密着性が良好で、表面外観の非常に優れた、剛性感の高いパネル構造体であった。また、耐湿性試験及び落球衝撃試験による評価結果は表2に示した。耐湿性評価では、吸水処理後のアウターパネルに変化は認められなかった。しかし、落球衝撃評価では、アウターパネル、インナーパネル両者破断に至った。
Figure 0004610174
自動車用パネル構造体(模擬形状)の底面図 図1の線A−Aに沿った横断面図 図1の線B−Bに沿った横断面図 図1の線C−Cに沿った横断面図 射出成形用金型の概念的縦断面図 射出成形用金型(2色成形時)の概念的縦断面図
符号の説明
10 インナーパネル
11 アウターパネル
12 大型開口部
13 小型開口部
14 リブ
20 射出成形用金型
21 インナーパネル形状のキャビティ
22 アウターパネル形状のキャビティ
23 樹脂射出部
24 スペーサー
30 射出成形機の加熱シリンダー

Claims (7)

  1. アウターパネル及びインナーパネルを一体化した自動車用パネル構造体であって、該アウターパネル材料がポリカーボネート/ポリエステルアロイからなり、且つ繊維状無機フィラー及び耐衝撃改良材を含み、該インナーパネル材料が長繊維強化ポリエステル(以下、「長繊維強化樹脂」と称する。)からなり、しかも、該インナーパネルの段階で、重量平均繊維長1mm以上、2.4mm以下の繊維を含むことを特徴とする自動車用パネル構造体。
  2. アウターパネル材料が、(a)ポリカーボネート10〜90重量%及び(b)ポリエステル90〜10重量%からなるポリカーボネート/ポリエステルアロイ100重量部に対して、2〜50重量部の繊維状無機フィラー及び0.1〜20重量部の耐衝撃改良材を含むことを特徴とする請求項1記載の自動車用パネル構造体。
  3. アウターパネル材料に使用する繊維状無機フィラーがウォラストナイトであることを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用パネル構造体。
  4. アウターパネル材料に使用するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用パネル構造体。
  5. アウターパネル材料に使用するポリエステルが、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用パネル構造体。
  6. インナーパネルが、長繊維強化樹脂の合計100重量部に対して、重量平均繊維長1mm以上2.4mm以下のガラス繊維を30重量部以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車用パネル構造体。
  7. 自動車用パネル構造体が、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ及びそれらの類似構造体の一であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の自動車用パネル構造体。
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