JP3406483B2 - ガスアシスト射出成形用樹脂組成物および成形方法 - Google Patents

ガスアシスト射出成形用樹脂組成物および成形方法

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JP3406483B2
JP3406483B2 JP20500797A JP20500797A JP3406483B2 JP 3406483 B2 JP3406483 B2 JP 3406483B2 JP 20500797 A JP20500797 A JP 20500797A JP 20500797 A JP20500797 A JP 20500797A JP 3406483 B2 JP3406483 B2 JP 3406483B2
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gas
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injection molding
filler
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克利 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定した成形性、
優れた外観および均一な肉厚の中空成形品を与えるガス
アシスト射出成形(以下、単にGAI成形と称する)用
樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いるガスアシスト
射出成形方法ならびに成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】GAI成形は、金型キャビテイ内に溶融
樹脂を射出充填するとともに、その射出途中または射出
充填完了後に、射出機の先端に設けられたノズルや金型
の一部に配置されたニードルにより、窒素などの加圧ガ
スを金型キャビテイ内の溶融樹脂中に注入し、成形品に
中空部を形成する成形方法である。このGAI成形法
は、ひけ(シンクマーク)やそりが発生せず、軽量でし
かも安価に成形品を製造できるなどの特徴から、最近特
に注目されている成形技術である。
【0003】また、近年、機械的強度、耐熱性、耐薬品
性などの特性を有するGAI成形品の要求が高まってお
り、結晶性熱可塑性樹脂(エンジニアリングプラスチッ
ク)のGAI成形化が要求されるケースが生じている。
特に、高い機械的強度および耐熱性を有するため、無機
充填剤で強化されたポリブチレンテレフタレート樹脂の
GAI成形が期待されている。
【0004】しかし、無機充填剤で強化されたポリブチ
レンテレフタレート樹脂をGAI成形すると、高結晶性
であるために、ガス圧入前の溶融樹脂の流動変形に伴
い、成形品に多重しわ状のヘジテーションマーク・油じ
わなどの表面外観不良や偏肉などが生じ易いだけでな
く、無機充填剤が中空成形品の表面に浮き出て、外観特
性を低下させる。さらには薄肉部からガス漏れが生じ、
均一性の高い中空成形品が得られない場合もある。
【0005】なお、特開昭58−91761号公報に
は、ビス(アルキルフェニル)ペンタエリスリトールジ
フォスファイトの添加により、ポリアルキレンテレフタ
レート樹脂に熱安定性を付与することが開示されてい
る。特開昭56−152863号公報には、合成樹脂に
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェニ
ル)ペンタエリストリールジフォスファイトを添加した
樹脂組成物が開示されている。さらに、特開昭63−2
65949号公報には、ポリエステル樹脂(ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂など)およびポリカーボネート樹
脂で構成されたポリマーブレンドに対して、ビス(2,
6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェニル)ペンタエ
リストリールジフォスファイトを添加した樹脂組成物が
開示されている。しかし、これらの文献には、GAI成
形について、何ら言及されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、充填剤の浮き出しがなく、良好な表面外観を有する
とともに偏肉の少ない均一な中空成形体をGAI成形法
により得るのに有用な樹脂組成物および成形方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、GAI成形法の
利点を最大限に活用しつつ、均一性、機械的強度および
耐熱性の高い中空成形体を効率よく製造するのに有用な
樹脂組成物および成形方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的は、表面外観特性(表面均一性)に
優れ、均一な中空成形品を提供することにある。
【0007】本発明者らは、前記目的を達成するため鋭
意検討した結果、充填剤を含む特定のポリブチレンテレ
フタレート樹脂組成物材料を用いると、良好な表面外観
および均一な肉厚のGAI成形品を得るのに極めて好適
であることを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明のガスアシスト射出成形用樹脂組成物
は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポ
リカーボネート樹脂(B-1)および/またはポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(B-2)と、(C)充填剤と
(D)リン系化合物とで構成されている。(A)成分と
(B)成分との割合は、(B)/(A)=5/100〜1
00/100(重量部)程度である。(A)ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹
脂(B-2)はコモノマーユニットを有する共重合樹脂で
あってもよい。(A)成分と(C)成分との割合は、
(C)/(A)=5/100〜80/100(重量部)程
度である。成形安定性を高めるため、樹脂組成物は
(D)リン系化合物を含有してい。本発明には、前記
樹脂組成物を用いてガスアシスト射出成形し、中空部を
有する成形品を成形する方法、前記樹脂組成物で構成さ
れ、かつガスアシスト成形法により成形された中空成形
品も含まれる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の樹脂組成物の構
成成分について詳しく説明する。 [(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂]本発明の樹
脂組成物の基礎樹脂である(A)ポリブチレンテレフタ
レート樹脂(PBT樹脂)とは、少なくともテレフタル
酸又はそのエステル形成誘導体(低級アルコールエステ
ルなど)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素数
4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)
又はそのエステル形成誘導体を含むグリコール成分とを
重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂
である。PBT樹脂は、ホモPBT樹脂に限らず、ブチ
レンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75〜
95モル%程度)含有する共重合体(共重合PBT樹
脂)であってもよい。
【0009】共重合PBT樹脂において、テレフタル酸
およびそのエステル形成誘導体以外のジカルボン酸成分
(コモノマー成分)としては、例えば、芳香族ジカルボ
ン酸成分(イソフタル酸、フタル酸,ナフタレンジカル
ボン,ジフェニルエーテルジカルボン酸などのC6-12
リールジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸成分
(コハク酸,アジピン酸,アゼライン酸、セバシン酸な
どのC4-16アルキルジカルボン酸,シクロヘキサンジカ
ルボン酸などのC5-10シクロアルキルジカルボン酸な
ど)、又はそれらのエステル形成性誘導体などが例示で
きる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。好ましいジカルボン酸成分
(コモノマー成分)には、芳香族ジカルボン酸成分(特
にイソフタル酸などのC6-10アリールジカルボン酸)、
脂肪族ジカルボン酸成分(特にアジピン酸,アゼライン
酸、セバシン酸などのC6-12アルキルジカルボン酸)が
含まれる。
【0010】1,4−ブタンジオール以外のグリコール
成分(コモノマー成分)としては、例えば、脂肪族ジオ
ール成分[例えば、アルキレングリコール(エチレング
リコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタン
ジオールなどのC2-10アルキレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール,ジプロピレン
グリコールなどのポリオキシC2-4 アルキレングリコー
ルなど)、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフ
ェノールAなどの脂環式ジオールなど]、芳香族ジオー
ル成分[ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシビ
フェニルなどの芳香族アルコール、ビスフェノールAの
2-4 アルキレンオキサイド付加体(例えば、ビスフェ
ノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェ
ノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体など)な
ど]、又はそれらのエステル形成性誘導体などが挙げら
れる。これらのグリコール成分も単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。好ましいグリコール成分(コモ
ノマー成分)には、脂肪族ジオール成分(特に、C2-6
アルキレングリコール、ジエチレングリコールなどのポ
リオキシC2-3アルキレングリコール、シクロヘキサン
ジメタノールなどの脂環式ジオール)が含まれる。
【0011】前記化合物をモノマー成分とする重縮合に
より生成するホモPBT樹脂又は共重合PBT樹脂は、
いずれも本発明の(A)成分として使用できる。ホモP
BT樹脂および共重合PBT樹脂は、それぞれ単独で又
は2種類以上混合して使用できる。また、末変性PBT
樹脂(ホモPBT樹脂)と共重合PBT樹脂との併用も
有用である。
【0012】好ましいPBT樹脂は、コモノマーユニッ
トを含有する共重合PBT樹脂(変性PBT樹脂)であ
る。共重合PBT樹脂においてコモノマーユニットの含
有量は、5〜40モル%、好ましくは10〜30モル%
程度の範囲から選択でき、通常、5〜25モル%程度で
ある。このような共重合PBT樹脂を用いると、GAI
成形を用いて樹脂を射出したとき、ガス圧入前の流動変
形が少なく、良好な外観が形成され、かつ中空成形体の
偏肉も少ない。さらに、共重合PBT樹脂のコモノマー
ユニットは、芳香族ジカルボン酸残基(特に少なくとも
イソフタル酸残基)および脂肪族ジオール成分の残基
(特に少なくともC2-10アルキレングリコール残基,ポ
リオキシC2-3 アルキレングリコール残基)から選択さ
れた少なくとも一種である。PBT樹脂としては、共重
合PBT樹脂の範疇に属する熱可塑性分岐PBT樹脂も
使用できる。分岐PBT樹脂とは、いわゆるポリブチレ
ンテレフタレート又はブチレンテレフタレート単量体を
主体とし、多官能性化合物との反応により分岐構造を有
するポリエステル樹脂である。多官能性化合物として
は、芳香族多価カルボン酸成分(トリメシン酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸およびこれらのアルコールエ
ステルなど)、ポリオール成分(グリセリン、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトールなど)が例示できる。
【0013】PBT樹脂の固有粘度は、o−クロルフェ
ノールを溶媒とし、濃度0.5重量%、25℃におい
て、例えば、0.6〜2dl/g、好ましくは0.7〜
1.5dl/g、特に0.7〜1.0dl/g程度であ
る。
【0014】本発明の第1の特色は、前記PBT樹脂
(A)と、ポリカーボネート樹脂(B-1)およびポリエチ
レンテレフタレート樹脂(B-2)から選択された少なく
とも一種の樹脂(B)とを組合わせる点にある。この特
定の樹脂(B)を単独で又は組合わせて、(A)PBT樹
脂に添加配合することにより、GAI成形品の多重しわ
状のヘジテーションマークが少なく、充填剤(C)と併
用しても成形体の外観を向上させることが可能である。
特にポリカーボネート樹脂は非晶性であるため、PBT
樹脂に添加配合することにより、結晶化速度を下げ、ガ
ス圧入前の樹脂の流動変形を大幅に抑制し、優れた表面
外観の成形体が得られやすく、かつ金型転写性も向上さ
せることができる。また、ポリカーボネート樹脂自身の
収縮率が小さいことから、成形品のひけ現象を抑制する
こともできる。
【0015】[ポリカーボネート樹脂(B-1)]ポリカ
ーボネート樹脂(B-1)は、溶剤法(すなわち、塩化メ
チレンなどの溶剤中で公知の酸受容体、分子量調整剤の
存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネー
ト前駆体との反応)、エステル交換反応(二価フェノー
ルとジフェニルカートネートのようなカーボネート前駆
体との反応)により製造できる。
【0016】二価フェノールとしては、例えば、ハイド
ロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)C1-10アルカン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)C3-10シクロアルカン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテルなどのビスフェノール類、又はそれらの置
換体[例えば、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパンなどのハロゲン化ビスフ
ェノール類、これらのハロゲン置換体に対応する低級ア
ルキル置換体など]などが例示できる。これらの二価フ
ェノールは単独で又は二種以上組合わせて使用でき、ポ
リカーボネート樹脂は、単一の二価フェノールを用いた
ホモポリマー、または2種以上の二価フェノールを用い
たコポリマーであってもよい。
【0017】好適な二価フェノールは、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)C1-8 アルカンなどのビスフェノール
類(特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、すなわちビスフェノールA)である。なお、ポリ
カーボネート樹脂(B-1)は、ビスフェノールAの一部
又は全部を他の二価フェノールで置換して得られるホモ
ポリカーボネート樹脂や共重合ポリカーボネート樹脂で
あってもよい。
【0018】さらに本発明で用いるポリカーボネート樹
脂は、多官能性芳香族フェノール類を二価フェノールと
ともに用いてカーボネート前駆体と反応させた熱可塑性
ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0019】ここで使用されるポリカーボネート樹脂の
粘度は、特に限定されるものではなく、いずれを使用し
てもよいが、高流動性のポリカーボネート樹脂が外観に
対して良好である。
【0020】[ポリエチレンテレフタレート樹脂(B-
2)]ポリカーボネート樹脂(B-1)と同様に、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂(PET樹脂)(B-2)も好適
に使用される。PET樹脂とは、少なくともテレフタル
酸またはそのエステル形成誘導体を含むジカルボン酸成
分と、少なくとも炭素数2のアルキレングリコール(エ
チレングリコール)またはそのエステル形成誘導体を含
むグリコール成分とを重縮合反応して得られるポリエチ
レンテレフタレート系樹脂であり、ホモPET樹脂に限
らず、エチレンテレフタレート単位を60モル%以上
(特に75〜95モル%程度)含有する共重合体(共重
合PET樹脂)であってよい。
【0021】共重合PET樹脂において、テレフタル酸
およびそのエステル形成誘導体以外のジカルボン酸成分
(コモノマー成分)としては、例えば、芳香族ジカルボ
ン酸成分(イソフタル酸、フタル酸,ナフタレンジカル
ボン,ジフェニルエーテルジカルボン酸などのC6-12
リールジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸成分
(コハク酸,アジピン酸,アゼライン酸、セバシン酸な
どのC4-16アルキルジカルボン酸,シクロヘキサンジカ
ルボン酸などのC5-10シクロアルキルジカルボン酸な
ど)、芳香族ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ安息香
酸、ヒドロキシナフトエ酸など)、又はそれらのエステ
ル形成性誘導体などが例示できる。これらのジカルボン
酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。好ましいジカルボン酸成分(コモノマー成分)に
は、芳香族ジカルボン酸成分(特にイソフタル酸などの
6-10アリールジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸成
分(特にアジピン酸,アゼライン酸、セバシン酸などの
6-12アルキルジカルボン酸)が含まれる。
【0022】エチレングリコール以外のグリコール成分
(コモノマー成分)としては、脂肪族ジオール成分[例
えば、アルキレングリコール(プロピレングリコール、
トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,3−オクタンジオールなどのC3-10アルキレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール,ジプロピレングリコールなどのポリオキシC
2-4 アルキレングリコールなど)、シクロヘキサンジメ
タノール、水素化ビスフェノールAなどの脂環式ジオー
ルなど]、芳香族ジオール成分[ビスフェノールA、
4,4′−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族アルコ
ール、ビスフェノールAのC2-4 アルキレンオキサイド
付加体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサ
イド3モル付加体など)など]、又はそれらのエステル
形成性誘導体などが挙げられる。これらのグリコール成
分も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ま
しいグリコール成分(コモノマー成分)には、脂肪族ジ
オール成分(特に、C3-6 アルキレングリコール、ジエ
チレングリコールなどのポリオキシC2-3アルキレング
リコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジ
オール)が含まれる。ホモPET樹脂および共重合PE
T樹脂は、それぞれ単独で又は2種類以上混合して使用
できる。
【0023】好ましいPET樹脂は、未変性ホモPET
樹脂およびコモノマーユニットを含有する共重合PET
樹脂(変性PET樹脂)である。共重合PBT樹脂にお
いてコモノマーユニットの含有量は、5〜40モル%、
好ましくは10〜30モル%程度の範囲から選択でき、
通常、5〜25モル%程度である。さらに、共重合PE
T樹脂のコモノマーユニットは、芳香族ジカルボン酸残
基(特に少なくともイソフタル酸残基)および脂肪族ジ
オール成分の残基(特に少なくともC3-10アルキレング
リコール残基,ポリオキシC2-3 アルキレングリコール
残基)から選択された少なくとも一種である。共重合P
ET樹脂には、イソフタル酸共重合PET樹脂(イソフ
タル酸変性PET樹脂)などが含まれる。なお、PET
樹脂としては、分岐PBT樹脂と同様に、芳香族多価カ
ルボン酸成分及び/又はポリオール成分を用いて得られ
る分岐構造の熱可塑性PET樹脂も使用可能である。
【0024】PET樹脂の固有粘度は、オルトクロロフ
ェノールを溶媒とし、濃度0.5重量%、25℃におい
て、例えば、0.5〜2l/g、好ましくは0.65〜
1.3dl/g、特に0.7〜1.1dl/g程度であ
る。
【0025】本発明においては、(B)成分として、ポ
リカーボネート樹脂(B-1)およびポリエチレンテレフ
タレート樹脂(B-2)のいずれを使用してもよく、両者
を併用してもよい。ポリカーボネート樹脂(B-1)およ
びポリエチレンテレフタレート樹脂(B-2)の双方の樹
脂は、充填剤(C)と組み合わせても、ともにGAI成
形性、成形品の外観特性や均一性などに優れているの
で、(B)成分の種類は、所望する特性などに応じて、
使い分けることができる。例えば、GAI成形によって
も成形体のひけおよびそりが目立つ場合には、ポリカー
ボネート樹脂が好ましく、耐加水分解性、耐候性が必要
な場合は、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好まし
い。
【0026】(B)成分の使用量は、GAI成形性など
を損なわない範囲で選択でき、例えば、(A)成分10
0重量部に対して5〜100重量部(例えば、10〜1
00重量部)、好ましくは10〜75重量部(例えば、
15〜50重量部)、特に10〜50重量部程度であ
る。(B)成分の使用量が少ないと、GAI成形時のガ
ス圧入前の溶融樹脂の流動変形などに伴って、ヘジテー
ションマーク・油じわなどの表面外観不良を抑制するこ
とが困難であり、多すぎると、成形サイクルの増加、離
型性の低下などが生じ、GAI成形上の問題が生じ易く
なる。
【0027】[(C)充填剤](C)成分としての充填剤
は補強剤や強化剤として機能し、高い機械強度・衝撃強
度および耐熱性を有するGAI中空成形体を得るために
有効である。前記(C)充填剤としては、繊維状充填剤
(C-1)及び非繊維状充填剤(C-2)から選択された少な
くとも一種の充填剤が使用でき、両者の混合物を使用し
てもよい。また、充填剤(C)としては有機充填剤も使
用できるが、通常、無機充填剤が使用される。
【0028】充填剤(C)のうち繊維状充填剤(C-1)と
しては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボ
ン繊維、セラミックス繊維(シリカ・アルミナ繊維、ジ
ルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊
維、チタン酸カリウム繊維など)、ウィスカ類、金属繊
維(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮な
ど)などの無機質繊維状物質が挙げられる。代表的な繊
維状充填剤は、ガラス繊維またはカーボン繊維である。
なお、高融点有機質繊維状物質(芳香族ポリアミドなど
のポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂など)も無機
繊維状充填剤と同様に使用することができる。
【0029】非繊維状充填物(C-2)としては、例え
ば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビー
ズ、ガラス粉、珪酸塩(珪酸カルシウム、カオリン、タ
ルク、クレー、珪藻土、ウオラストナイトなど)、金属
酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナな
ど)、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
など)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムな
ど)、セラミックス(多炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素
など)、各種金属粉末が挙げられる。また、高融点樹脂
や架橋樹脂の粉粒体(例えば、ポリアミド,フッ素樹
脂,架橋アクリル樹脂,架橋アミノ樹脂など)も使用で
きる。また、非繊維状充填物(C-2)のうち板状充填剤
としては、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔など
が挙げられる。
【0030】これらの充填剤のうち、繊維状充填剤(C-
1)としては、ガラス繊維、カーボン繊維が好ましい。非
繊維状充填剤(C-2)としては、平均一次粒子径20μm
以下(例えば、0.5〜15μm、好ましくは1.0〜
10μm程度)の粉粒状または板状充填剤(例えば、ガ
ラスビーズ、ミルドファイバー、タルク、マイカおよび
カオリン)が好ましい。
【0031】これらの充填剤は単独又は二種以上組合わ
せて使用でき、前記繊維状充填剤(C-1)と非繊維状充
填剤(C-2)とを組合わせて使用してもよい。繊維状充
填剤(特にガラス繊維またはカーボン繊維)と非繊維状
充填剤(特に平均一次粒子径20μm以下の粉粒状又は
板状充填剤)との組合わせは、特に高い機械的強度と寸
法精度を有し、かつ良好な外観特性を有する中空成形品
を得る上で好ましい。
【0032】これらの充填剤の使用に際して、必要なら
ば収束剤または表面処理剤を使用してもよい。収束剤ま
たは表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、
イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート
系化合物などの官能性化合物が含まれる。前記充填剤は
予め表面処理または収束処理を施されていてもよく、材
料調製の際に収束剤または表面処理剤を充填剤とともに
添加してもよい。
【0033】充填剤(C)の使用量は、中空成形品の機
械的強度、耐熱性などを損なわない範囲で選択でき、
(A)成分100重量部に対して、5〜80重量部、好
ましくは10〜50重量部、特に10〜40重量部程度
である。充填剤の使用量が多すぎると成形品の表面特性
を低下させ、少なすぎると機械的強度や耐熱性などを十
分に向上できなくなる。なお、前記収束剤や表面処理剤
の使用量は、充填剤に対して10重量%以下(例えば、
0.01〜10重量%)、好ましくは0.05〜5重量
%程度である。
【0034】前記(A)成分および(B)成分で構成され
た樹脂組成物と(C)充填剤とを組合わせると、高いG
AI成形性が得られるだけでなく、(C)充填剤の浮き
出しのない良好な外観特性(表面均一性)を有するとと
もに、高い機械的強度・衝撃強度を有する中空成形体が
得られる。また、ヘジテーションマーク・油じわなどに
よる表面外観特性の低下がなく、偏肉の少ない均一な肉
厚の中空部品を得ることが可能である。
【0035】[その他の添加剤]本発明の組成物には、
熱可塑性樹脂などに添加される一般的な添加剤を添加し
てもよい。添加剤としては、例えば、安定剤(酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤など)、帯電防
止剤、難燃剤、滑剤、離型剤、染料や顔料などの着色
剤、可塑剤などが例示できる。特に耐熱性や熱的安定性
を向上させるための酸化防止剤、および離型剤の添加は
効果的である。
【0036】なかでも、特に(D)リン系化合物の添加
は、(A)PBT樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂との
エステル交換反応を抑制する効果が高く、高い熱安定性
を保ち、かつガス圧入前の溶融樹脂の分解を抑制するの
で有効である。そのため、前記(D)リン系化合物を含
む樹脂組成物を用いると、長期間に亘り安定したGAI
成形が可能となる。(D)リン系化合物としては、主に
有機ホスファイトおよびリン酸金属塩が好適である。有
機ホスファイトのうちスピロ環などを有する化合物とし
ては、例えば、次のような化合物が例示できる。ジアル
キルペンタエリストリールジフォスファイト[例えば、
ジステアリルペンタエリストリールジフォスファイトな
どのジC2-18アルキルペンタエリストリールジフォスフ
ァイトなど]、ジフェニルペンタエリストリールジフォ
スファイト、ビス(アルキル置換フェニル)ペンタエリ
ストリールジフォスファイト[例えば、ビス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストリールジフォ
スファイト,ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)
ペンタエリストリールジフォスファイトなどのビス(ジ
1-6 アルキルフェニル)ペンタエリストリールジフォ
スファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ペンタエリストリールジフォスファイト、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)
ペンタエリストリールジフォスファイトなどのビス
(2,6−ジC1-6アルキル−4−C1-4 アルキルフェ
ニル)ペンタエリストリールジフォスファイトなど]、
テトラキス(フェニル)−4,4′−ビフェニレンホス
ファイト、テトラキス(アルキル置換フェニル)−4,
4′−ビフェニレンホスファイト[例えば、テトラキス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフ
ェニレンホスファイト、テトラキス(2,6−ジ−t−
ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンホスファイ
トなどのテトラキス(ジC1-6 アルキルフェニル)−
4,4′−ビフェニレンホスファイト;テトラキス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−
4,4′−ビフェニレンホスファイトなどのテトラキス
(2,6−ジC1-6 アルキル−4−C1-4 アルキルフェ
ニル)−4,4′−ビフェニレンホスファイト]などが
例示できる。
【0037】リン酸金属塩としては、例えば、第一りん
酸カルシウム、第一りん酸マグネシウムなどのリン酸ア
ルカリ土類金属塩、第一リン酸ナトリウム、第一リン酸
カリウムなどのリン酸アルカリ金属塩、又はそれらの水
和物(1水和物など)などが挙げられる。これらのリン
系化合物は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0038】リン系化合物(D)の添加量は、例えば、
PBT樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜5
重量部、好ましくは0.01〜2.0重量部、より好ま
しくは0.05〜0.8重量部程度である。リン系化合
物を添加しなかったり添加量が少ない場合には、上記の
通りエステル交換反応により熱安定性が低下し、添加量
が5重量部を越えると着色および添加剤由来のガスの影
響が大きくなり、成形体の表面外観の品位が低下しやす
い。
【0039】前記リン系化合物(D)は、より熱安定性
を高めるため、ヒンダードフェノール類に代表される酸
化防止剤と併用するのが効果的である。酸化防止剤は、
ヒンダードフェノール類に限らず、リン系、アミン系、
イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤であ
ってもよい。酸化防止剤としては、通常、ヒンダードフ
ェノール類およびリン系酸化防止剤が使用される。
【0040】ヒンダードフェノール類には、例えば、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール;1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;2,2′
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチル
フェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)などのアルキレンビス
(t−ブチルフェノール)類;1,6−ヘキサンジオー
ル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]などのC2-10アルキレ
ンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、グリセリン
トリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]などのC3-8 アルキレン
トリオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];ペンタエリ
スリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC
4-8 アルキレンテトラオール−ビス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト];トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]などのジ又はトリオキシC2-4 アルキレンジ
オール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート];n−オクタデシ
ル−3−(4′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プ
ロピオネート、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロ
キシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピ
オネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネートなどの長
鎖アルキル基を有する(t−ブチルフェノール)プロピ
オネート類;ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジルホスホネートなどのリン酸エス
テル類が含まれる。
【0041】リン系酸化防止剤には、例えば、トリフェ
ニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイ
ト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデン
ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデ
シルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ホスファイトなどが含まれる。これら
の酸化防止剤は一種又は二種以上併用することができ
る。
【0042】前記酸化防止剤の含有量は、例えば、PB
T樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部、好
ましくは0.05〜0.7重量部(特に0.05〜0.
5重量部程度)の範囲から選択できる。
【0043】本発明のGAI用樹脂組成物は、従来の樹
脂組成物の調製法として一般に用いられる設備と方法、
すなわち、本発明の樹脂組成物の構成成分を乾式又は湿
式混合(特に溶融混練)することにより容易に調製でき
る。例えば、(1)本発明の組成物の構成成分を所定量
一括混合して、一軸または二軸の押出し機で溶解混練
し、目的組成のペレットを得る方法、(2)原材料投入
口を2個以上有する一軸または二軸の押出し機で、第一
番目の投入口から樹脂、安定剤、顔料成分などを投入し
溶融混練した後、第二番目の原材料投入口から充填剤な
どを投入し、溶融混練して目的組成のペレットを得る方
法などにより本発明の樹脂組成物を調製できる。
【0044】本発明の方法では、前記樹脂組成物を溶融
して、金型キャビテイ内に溶融樹脂を射出充填する工程
と、溶融樹脂の射出過程または射出充填後に、ノズルや
ニードルにより窒素などの加圧ガスを溶融樹脂中に注入
する工程とで構成されたガスアシスト射出成形法により
中空部を有する成形品を成形する。前記射出充填工程で
は、成形体の中空部の容積に応じて、キャビティ容積よ
りも小さな量で溶融樹脂が射出充填される。前記射出充
填工程において、図3に示されるように、ゲート3を通
じて金型キャビテイ1内に射出樹脂2が不均一に射出さ
れ流動変形すると、成形品にヘジテーションマークなど
が生成し、外観特性を低下させる。これに対して、本発
明の樹脂組成物を用いると、図2に示すように、射出樹
脂2が流動変形せず、金型キャビテイ1内で均一な形状
に射出され(例えば、金型キャビティに対応した形状に
射出され)、その形状を保持できる。そのため、肉厚が
均一であるとともに、多重しわ状のヘジテーションマー
クや油しわの生成を抑制でき、表面が均一で外観特性に
優れ、商品価値の高い中空成形品を得ることができる。
【0045】前記射出充填工程の後のガス注入工程で
は、図1に示されるように、不活性ガスが、可動式ガス
注入用ニードル4から射出した溶融樹脂2内に注入さ
れ、溶融樹脂が膨脹して金型キャビティ1に対応した形
状およびサイズの中空成形品が得られる。ガス注入工程
の後、冷却して金型から取り出すことにより、図1に示
されるように、中空部5を有する成形品6が得られる。
なお、GAI成形は、従来公知のGAI用成形機を使用
し、慣用の方法に準じて行うことができる。例えば、溶
融樹脂の射出量は、金型キャビティ容積の30〜80
%、特に50〜70%程度の範囲から選択してもよく、
ガスの注入圧は、樹脂組成物の溶融粘度などに応じて、
例えば、5〜500kg/cm2 、好ましくは10〜3
00kg/cm2 程度の範囲から選択してもよい。
【0046】本発明は、充填剤で強化されたPBT樹脂
の特性を備えた中空成形体を得るのに有用である。特に
高い機械的強度,高い外観特性および軽量化が必要とさ
れる自動車内外装部品、オフィスオートメーション機器
(OA機器)、家電機器の内部機構部品、外部カバー
(ハウジングなど)などに好適に用いられる。
【0047】
【発明の効果】本発明では、PBT樹脂と、ポリカーボ
ネート樹脂及び/又はPET樹脂と、充填剤とを組み合
わせ、さらに必要に応じてリン系化合物を添加するの
で、GAI成形においてガス圧入前の溶融樹脂の流動変
形を抑制できるととも、充填剤の浮き出しを抑制でき
る。そのため、充填剤の浮き出しだけでなく、多重しわ
状のヘジテーションマーク・油じわなどによる表面外観
特性の低下や偏肉などが生じにくく、高い成形性で表面
外観特性(表面均一性)および均一性に優れる中空部品
を得ることができる。また、結晶性熱可塑性樹脂(エン
ジニアリングプラスチック)の一種であるPBT樹脂を
用いても、GAI成形法の利点を最大限に活用しつつ、
均一性、機械的強度・衝撃強度および耐熱性の高い中空
成形体を効率よく製造することができる。
【0048】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 未変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(A-1)100
重量部に対して、ビスフェノールA型ポリカーボネート
樹脂(B-1)30重量部、ガラス繊維(C-1)30重量
部、さらにテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4′−ビフェニレンホスファイト(D)0.
30重量部を添加し、2軸押出し機にて押出し、ペレッ
ト状樹脂組成物を調製した。得られたペレット状樹脂組
成物を射出成形機のシリンダー内で溶融し、金型キャビ
テイ内に噴出した。シリンダー、金型の温度はそれぞれ
260℃、80℃に調整し、樹脂の射出量はキャビテイ
容積の約70%である。金型キャビテイ形状の概略を図
1に示す。樹脂射出から2秒後に、圧力100Kg/c
2 の圧縮窒素ガスを、金型キャビテイに配置した可動
式ニードルから射出樹脂内に注入して、樹脂を膨脹さ
せ、金型キャビテイに転写させた。その後、ガスによる
圧縮加圧状態を解除し、さらに金型を冷却して成形品を
取り出した。
【0049】得られた成形品の表面状態(ヘジテーショ
ン・油じわ)、偏肉の程度を観察し、下記点数をつける
ことにより評価した。 (1)表面外観 1:充填剤の表面浮き出し、ヘジテーション・油じわが
なく、外観が良好 2:流動末端に充填剤の表面浮き出し及び油じわが多少
見られるものの、全体的に外観が良好である 3:ヘジテーション跡・油しわ跡は余り見られないもの
の、充填剤の浮き出しが見られる 4:充填剤の浮き出し、ヘジテーション跡・油しわ跡が
見られ、十分に金型転写していない 5:ガス漏れが生じ、所定の形状が得られない。また全
体に充填剤の浮き出しが見られる (2)偏肉 1:ほぼ均一にガスが充填され、2〜3mm程度の均一
な肉厚である 2:流動末端に1mm程度の薄肉箇所が見られるもの
の、全体的には均一な肉厚である 3:厚肉部5mm程度、薄肉部1mm程度と偏肉部位が
2〜3個所みられる 4:極端な薄肉箇所があり偏肉が顕著である。又は一部
ガス漏れ跡が見られるまた、成形品の下記の特性につい
ても評価した。
【0050】(3)曲げ弾性率:ASTM D−790
に準じて測定した。 (4)W/N アイゾット衝撃強度:ノッチ付きアイゾッ
ト衝撃強度をASTMD−256に準じて測定した。
【0051】実施例2 実施例1のポリカーボネート樹脂の使用量を15重量部
とする以外、実施例1と同様にして中空成形品の特性を
評価した。
【0052】実施例3 実施例1のガラス繊維(C-1)30重量部に代えて、実
施例1のガラス繊維(C-1)15重量部と平均一次粒子
径3μmのタルク(C-2)15重量部とを併用添加する
以外、実施例1と同様にして中空成形品の特性を評価し
た。
【0053】実施例4 実施例3のポリカーボネート樹脂に代えて、未変性ポリ
エチレンテレフタレート樹脂を用いる以外、実施例3と
同様にして中空成形品の特性を評価した。
【0054】実施例5 実施例1の未変性ポリブチレンテレフタレート樹脂に代
えて、テレフタル酸の12モル%をイソフタル酸で置換
した12モル%イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタ
レート共重合体を用いる以外、実施例1と同様にして中
空成形品の特性を評価した。
【0055】実施例6 実施例3のポリカーボネート樹脂に代えて、12モル%
イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート共重合体
を用いる以外、実施例3と同様にして中空成形品の特性
を評価した。
【0056】実施例7 実施例3のガラス繊維およびタルクの添加量を、それぞ
れ10量部とする以外、実施例3と同様にして中空成形
品の特性を評価した。
【0057】実施例8 実施例1のガラス繊維30重量部に代えて、タルク20
重量部を用いる以外、実施例1と同様にして中空成形品
の特性を評価した。
【0058】比較例1 ポリカーボネート樹脂を用いることなく、実施例1と同
様にして中空成形品の特性を評価した。
【0059】比較例2 ガラス繊維を添加することなく、実施例1と同様にして
中空成形品の特性を評価した。
【0060】比較例3 ポリカーボネート樹脂を用いることなく、実施例3と同
様にして中空成形品の特性を評価した。
【0061】比較例4 ポリカーボネート樹脂を用いることなく、実施例6と同
様にして中空成形品の特性を評価した。
【0062】結果を表に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】 表から明らかなように、実施例では、表面外観特性およ
び均一性に優れ、機械的強度の高い中空成形品が得られ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明および実施例1で得られた中空成
形品の概念図である。
【図2】図2は本発明および実施例1においてガス圧入
前の溶融樹脂の状態を示す概念図である。
【図3】図3は従来技術および比較例1においてガス圧
入前の溶融樹脂の状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1…金型キャビティ 2…射出溶融樹脂 4…ガス注入用ニードル 5…中空部 6…成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 67:00 B29K 67:00 69:00 69:00 B29L 22:00 B29L 22:00 (56)参考文献 特開 平7−24863(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02 C08L 69/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
    と、(B)ポリカーボネート樹脂(B-1)およびポリエチ
    レンテレフタレート樹脂(B-2)から選択された少なく
    とも一種の樹脂と、(C)充填剤と、(D)リン系化合物
    で構成されているガスアシスト射出成形用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
    100重量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂(B
    -1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(B-2)か
    ら選択された少なくとも一種の樹脂5〜100重量部を
    含有する請求項1記載のガスアシスト射出成形用樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)
    が、コモノマーユニットを含有する共重合樹脂である請
    求項1又は2記載のガスアシスト射出成形用樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)
    が、5〜40モル%のコモノマーユニットを含有する共
    重合樹脂である請求項1〜3のいずれかの項に記載のガ
    スアシスト射出成形用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)
    が、コモノマーユニットとしてイソフタル酸残基および
    /またはアルキレングリコール残基を含有する共重合樹
    脂である請求項1〜4のいずれかの項に記載のガスアシ
    スト射出成形用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンテレフタレート樹脂(B-
    2)が、コモノマーユニットを含有する共重合樹脂であ
    る請求項1〜5のいずれかの項に記載のガスアシスト射
    出成形用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 充填剤(C)が、繊維状充填剤(C-1)及
    び/又は非繊維状充填剤(C-2)で構成され、繊維状充
    填剤(C-1)がガラス繊維およびカーボン繊維から選択
    された少なくとも一種であり、非繊維状充填剤(C-2)
    が平均一次粒子径20μm以下の粉粒状又は板状充填剤
    から選択された少なくとも一種である請求項1〜6のい
    ずれかの項に記載のガスアシスト射出成形用樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 非繊維状充填剤(C-2)が、ガラスビー
    ズ,ミルドファイバー,タルク,マイカおよびカオリン
    から選択された少なくとも一種である請求項1〜7のい
    ずれかの項に記載のガスアシスト射出成形用樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 リブチレンテレフタレート樹脂(A)
    100重量部に対して、充填剤(C)5〜80重量部を
    含む請求項1〜8のいずれかの項に記載のガスアシスト
    射出成形用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 リブチレンテレフタレート樹脂
    (A)100重量部に対して、充填剤(C)10〜40重
    量部を含む請求項1〜9のいずれかの項に記載のガスア
    シスト射出成形用樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 リブチレンテレフタレート樹脂
    (A)100重量部に対して、(D)リン系化合物0.0
    1〜5重量部を含有する請求項1〜10のいずれかの項
    に記載のガスアシスト射出成形用樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかの項に記載
    の樹脂組成物を用いて、ガスアシスト射出成形し、中空
    部を有する成形品を成形する方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれかの項に記載
    の樹脂組成物で構成され、かつガスアシスト成形法によ
    り成形された中空成形品。
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