JP4164918B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂組成物の加工時及び実使用時の熱安定性を向上し、かつ流動性、成形品表面へのブリードの発生の防止性能等を高水準に維持した熱可塑性樹脂組成物の製造方法並びに該製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的性質、耐熱性、寸法安定性などの諸特性に優れた熱可塑性樹脂であるが、一方では成形加工時の流動性が悪いといった欠点を持つ。またポリフェニレンエーテル樹脂は高温で加工する際、特に酸素存在下で着色したり、架橋等の劣化を生じ易い。
【0003】
一方、ポリアミド樹脂は、流動性は優れているが、耐熱性や吸水による寸法変化等の欠点がある。これらのポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂の欠点を互いにおぎなうため、この二つを混ぜ合わせたポリマーアロイが開発されてきた。本来この二つは単純に混ぜ合わせただけでは十分な機械的強度が得られないため、特許第1344351号公報のように相容化剤を入れる試みがなされている。
【0004】
しかし、前述のようにポリフェニレンエーテルは流動性が悪い、すなわち粘度が高いことから、工業的に有利な方法である溶融混練によってポリフェニレンエーテルとポリアミドをブレンドすると溶融樹脂の温度が高くなり。溶融混練時に樹脂の劣化を引き起こしたり、高温でのブレンド物の成形加工時に樹脂の劣化を生じる等の問題がある。これまで特開昭52−141883号公報等により添加剤による劣化の抑制が試みられてきたが、未だ不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂組成物の加工時及び実使用時の熱安定性を向上し、かつ流動性、成形品表面へのブリードの発生の防止性能等を高水準に維持した熱可塑性樹脂組成物の製造方法並びに該製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する点に存する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂をアロイ化する工程においてに特定の手順で特定の構造のフォスフォナイト化合物を添加することにより、アロイ製造時及び得られた樹脂組成物の成形加工時の熱による劣化を抑制する著しい効果をみいだし本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のうち第一の発明は、下記の成分(A)〜(D)を含有し、(A)/(B)の重量比が1/99〜99/1であり、(C)の量は(A)及び(B)を相容化するのに有効な量であり、(D)の量は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.01〜2重量部である熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、下記の第一工程及び第二工程(下記の[ケース1]の場合)又は第一工程〜第三工程(下記の[ケース2]若しくは[ケース3]の場合)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法に係るものである。
(A):ポリフェニレンエーテル
(B):ポリアミド
(C):相容化剤
(D):テトラキス(2,4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト
第一工程:(A)及び(C)を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第二工程:第一工程で得た溶融混練物に、
[ケース1]:(D)の全量及び(B)を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程、又は
[ケース2]:(D)の一部及び(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程、又は
[ケース3]:(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第三工程:第二工程が[ケース2]又は[ケース3]の場合に用いられる工程であって、第二工程で得た溶融混練物に(D)の残部を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程
【0008】
また、本発明のうち第二の発明は、上記の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成分の(A)は、ポリフェニレンエーテルである。
【0010】
ポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合せしめて得られる重合体である。
(式中、R1,R2,R3,R4及びR5は水素、ハロゲン原子、炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち、必ず1個は水素原子である。)
【0011】
上記一般式に於けるR1,R2,R3,R4及びR5の具体例としては、水素、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、クロロエチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、クロロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどがあげられる。
【0012】
上記一般式の具体例としては、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールなどがあげられる。
【0013】
上記一般式のフェノール化合物は、上記一般式以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と共重合することもできる。
【0014】
ポリフェニレンエーテルとして好ましいものとしては、2,6−ジメチルフェノール又は2,6−ジフェニルフェノールの単独重合体、及び大量部の2,6−ジメチルフェノールと少量部の3−メチル−6−t−ブチルフェノール又は2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体があげられる。
【0015】
フェノール化合物を酸化重合せしめる際に用いられる酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用しえる。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成分の(B)は、ポリアミドである。
【0017】
本発明に用いられるポリアミドとは、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合及び等モル量の炭素原子4〜12個を含む飽和脂肪族ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含む脂肪族ジアミンとの結合により製造することができるホモポリアミド及びコポリアミド等から選ばれた1種又は2種以上のポリアミド樹脂である。重合の際に所望に応じてジアミンを過剰に用いてポリアミド中のカルボキシル末端基よりアミン末端基を過剰に与えることができる。逆に、過剰の二塩基性酸を用いてポリアミドのカルボキシル基末端基がアミン末端基より過剰になるよう調整することもできる。同様に、これらのポリアミドを該酸及びアミンの酸生成及びアミン生成誘導体、たとえばエステル、酸塩化物、アミン塩などからも良好に製造することができる。このポリアミドを製造するために用いる代表的な脂肪族ジカルボン酸にはアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸が含まれ、一方代表的な脂肪族ジアミンにはヘキサメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが含まれる。加えて、これらのポリアミドはラクタムの自己縮合により製造することができる。
【0018】
脂肪族ポリアミドの例には、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバサミド(ナイロン610)、及びポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66)共重合体等が、またこれらのナイロンを2種以上任意の割合で使用してもよい。
【0019】
これらのポリアミドにあって好ましくはナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが用いられる。より好ましくは、ナイロン6、ナイロン66あるいはナイロン6とナイロン66との任意の比率の混合物が用いられる。またこれらポリアミドの末端官能基はアミン末端の多いもの、カルボキシ末端の多いもの、両者がバランスしたもの、あるいはこれらの任意の比率の混合物が好適に用いられる。
【0020】
更に芳香族ポリアミドも含む。たとえばポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)の如き芳香族成分を含有するコポリアミドである。かかる芳香族成分を含有する熱可塑性コポリアミドは芳香族アミノ酸及び/又は芳香族ジカルボン酸たとえば、パラアミノメチル安息香酸、パラアミノエチル安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを主要構成成分とする溶融重合が可能なポリアミドを意味する。
【0021】
ポリアミドの他の構成成分となるジアミンはヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル、4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを使用することができる。またジアミンの代わりにイソシアネート類を用いる事が出来る。たとえば4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどである。
【0022】
必要に応じて用いられる共重合成分は特に限定なく、ラクタムもしくは炭素原子4〜12個のω−アミノ酸の単位、又は炭素原子4〜12個の脂肪族ジカルボン酸、及び炭素原子2〜12個の脂肪族ジアミンから誘導される化合物、たとえば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのラクタム、又はアミノ酸、前記した各種ジアミンとアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などとのモル塩などが利用できる。
【0023】
またこれらのポリアミドは結晶性であっても非晶性であっても良い。更にこれらのポリアミドを任意の割合で混合してもよい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成分の(C)は、相容化剤である。
【0025】
相容化剤の好ましい具体例としては、下記の(C1)〜(C9)をあげることができる。これこれらは、その一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(C1):エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽和結合のいずれも持たないエポキシ化合物
(C2):同一分子内に、▲1▼少なくとも一種の不飽和基、すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と▲2▼少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物
(C3):分子構造中に、▲3▼酸素の架橋を介して炭素原子、及び▲4▼少なくともエチレン性炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合及び/又はアミノ基及びメルカプト基から選ばれる官能基、の両方を有し、前記官能基がケイ素原子に直接結合されていないシラン化合物
(C4):同一分子内に▲5▼(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)及び▲6▼カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なくとも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物
(C5):同一分子内に▲7▼酸ハライド基と▲8▼少なくとも一種のカルボン酸、カルボン酸無水物、、酸エステル又は、酸アミド基を併せ持つ化合物
(C6):ビニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸もしくはジカルボン酸無水物の単位を有する共重合体、又はビニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物の単位を有する共重合体
(C7):エチレン性又はアセチレン性不飽和結合を持たないで、一分子中に2個以上のイソシアネート基及び/又はイソチオシアネート基を有する有機化合物
(C8):エチレン性又はアセチレン性不飽和結合及び(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)を持たない2つ以上のアミノ基を持つ化合物
(C9):アルケニル芳香族化合物と相容化を目的とするポリアミドと相容する化合物との共重合体
【0026】
本発明に用いられる(C1)グループの相容化剤はポリヒドリックフェノール(たとえばビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシンなど)とエピクロルヒドリンの縮合体、及びコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)とエピクドルヒドリンの縮合体があげられる。
【0027】
本発明に用いられる(C2)グループの相容化剤は、▲1▼不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と、▲2▼極性基すなはちポリアミド樹脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボキシル基、アミノ基と親和性や、化学反応性を示す官能基を同一分子内に併せ持つ化合物である。かかる官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸より誘導される基すなわちカルボキシル基の水素原子あるいは水酸基が置換した各種の塩やエステル、酸アミド、酸無水物、イミド、酸アジド、酸ハロゲン化物、あるいはオキサゾリン、ニトリルなどの官能基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、又は、イソシアン酸エステル基などがあげられ、不飽和基と極性基を併せ持つ化合物すなわち、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシアン酸エステルが用いられる。
【0028】
具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水マレイン酸とジアミンの反応物たとえば、下記化学式(2)、(3)で表される。
(ただしRは脂肪族、芳香族基を示す。)
【0029】
具体例としては、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油などの天然油脂類、エポキシ化天然油脂類、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2・4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸などの不飽和カルボン酸、あるいはこれらの不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物、あるいはアリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、一般式CnH2n-5OH、CnH2n-7OH、CnH2n-9OH(ただし、nは正の整数)で示されるアルコール、3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和アルコール、あるいはこのような不飽和アルコールのOH基が、−NH2基に置き換わった不飽和アミン、あるいはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0030】
また、ブタジエン、イソプレンなどの低重合(たとえば平均分子量が500から10000ぐらいのもの)あるいは高分子量体(たとえば平均分子量が10000以上のもの)に無水マレイン酸、フェノール類を付加したもの、あるいはアミノ基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基などを導入したもの、イソシアン酸アリルなどがあげられる。
【0031】
本発明における同一分子内に不飽和基と極性基を併せ持つ化合物の定義には、不飽和基を2個以上、極性基を2個以上(同種又は異種)含んだ化合物も含まれる個とは、いうまでもなく、また、2種以上の特定化合物を使うことも可能である。
【0032】
これらの内で、好ましくは無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、グリシジル(メタ)アクリレートが、より好ましくは無水マレイン酸、フマル酸が用いられる。
【0033】
本発明に用いられる(C3)グループの相容化剤は分子構造中に、▲3▼酸素の架橋を介して炭素原子に結合された少なくとも1つのケイ素原子、及び▲4▼少なくともエチレン性炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合及び/又はアミノ基及びメルカプト基から選ばれる官能基、の両方を有し、前記官能基がケイ素原子に結合されていない、シラン化合物であり、ガンマアミノプロピトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキシル)エチルトリメキシシランなどが使用できる。
【0034】
本発明に用いられる(C4)グループの相容化剤はアリファティックポリカルボン酸、酸エステル又は酸アミドであり、一般式(R7O)mR6(COOR8)n(CONR9R10)l(ここで、R6は線状又は分岐状飽和アリファティック炭化水素であって2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有するものであり、R7は水素、アルキル基、アリール基、アシル基、又はカルボニルジオキシ基で特に好ましくは水素であり、R8は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜20、好ましくは1〜10であり、R9及びR10は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜10、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4であり、m=1であり、n+lは2以上の整数、好ましくは2又は3であり、nは0以上の整数であり、lは0以上の整数であり、(R7O)はカルボニル基のα位又はβ位に位置し、少なくとも2つのカルボニル基の間には、2〜6個の炭素が存在するものである。)によってあらわされる飽和脂肪族ポリカルボン酸及びその誘導体化合物。(具体的には、飽和脂肪族ポリカルボン酸のエステル化合物、アミド化合物、無水物、水加物及び塩などを示す。飽和脂肪族ポリカルボン酸として、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸などである。これらの化合物の詳細は、公表特許公報昭和61年第502195号公報に開示されている。)
【0035】
本発明に用いられる(C5)グループの相容化剤は▲7▼一般式((I)−Z−(II))(式中、(I)は、少なくとも式:(X−CO)−(式中Xは、F、Cl、B、I、OH、OR又は−O−CO−Rで、RはH、アルキル基又はアリール基である)の基、▲8▼一般式(II)は少なくともカルボン酸、酸無水物基、酸アミド基、イミド基、カルボン酸エステル基、アミノ基又はヒドロキシル基であり、(I)及び(II)の基は、2価炭化水素である結合Zを介して共有結合している。]で表される化合物。(具体的には、クロロホルミルこはく酸無水物、クロロエタノイルこはく酸無水物、トリメリット酸無水物酸クロライド、トリメリット酸無水物酢酸無水物、テレフタル酸酸クロライドなどがあげられる。)からなる群から選ばれる一種又はそれ以上の化合物からなる。
【0036】
本発明に用いられる(C6)グループの相容化剤はアルケニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸もしくはジカルボン酸無水物の単位を有する共重合体、又はビニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物の単位を有する共重合体とはたとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族化合物と無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等の共重合をあげることができる。
【0037】
本発明に用いられる(C7)グループの相容化剤はエチレン性又はアセチレン性不飽和結合を持たないで、一分子中に2個以上のイソシアネート基及び/又はイソチオシアネート基を有する有機化合物としては、たとえばm−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート類;4,4’−シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類等及びこれらの混合物、並びにこれらに対応するイソチアシアネート基を持った化合物をあげることができる。また、これらの2量体、3量体等の多量体型;カルボジイミド変性型;フェノール類、ラクタム類等によってイソシアネート基をマスクしたブロック型等のポリイソシアネート変性体等をあげることができる。
【0038】
本発明に用いられる(C8)グループの相容化剤はエチレン性又はアセチレン性不飽和結合及び(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)を持たない2つ以上のアミノ基を持つ化合物とは、たとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、等の飽和脂肪族ジアミン及びポリアミン類、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、ならびにこれらの二酸化炭素付加物等の脂肪族ポリアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン類があげられる。
【0039】
本発明に用いられる(C9)グループの相容化剤はアルケニル芳香族化合物と相容化を目的とするポリアミド樹脂と相容する化合物との共重合体は、たとえば結晶性樹脂としてポリオレフィンを用いる場合、スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族化合物とα−オレフィンの共重合体があげられる。
【0040】
しかし、本発明における相容性改良剤は、ここに例示した化合物に限定されず、PPEとポリアミドの相容性を改良する目的で使用される化合物であればどれでもよく、単独又は複数の相容化剤を同時に使用してもよい。また、この相容性改良剤を配合するとき、ラジカル開始剤を併用してもよい。
【0041】
(C)としては、ポリフェニレンエーテルおよびポリアミドとの反応効率や経済的観点から、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成分の(D)は、テトラキス(2,4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトである。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の含有量は、(A)/(B)の重量比が1/99〜99/1であり、(C)の量は(A)及び(B)を相容化するのに有効な量であり、(D)の量は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.01〜2重量部である。
【0044】
熱可塑性樹脂組成物における(A)/(B)の重量比は1/99〜99/1であり、好ましくは10/90〜60/40である。(A)が過少((B)が過多)あると耐熱性が低くなり、一方(A)が過多((B)が過少)であると流動性が低くなる。
【0045】
(C)の量は(A)及び(B)を相容化するのに有効な量であり、通常は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.01〜30重量部である。
【0046】
(D)の量は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.01〜2重量部であり、好ましくは0.02〜2重量部である。(D)が過少であると安定化効果が発現せず、一方(D)が過多であると成形品表面にブリードして商品性を損なう。
【0047】
本発明の製造方法は、下記の第一工程及び第二工程(下記の[ケース1]の場合)又は第一工程〜第三工程(下記の[ケース2]若しくは[ケース3]の場合)を含むものである。
第一工程:(A)及び(C)を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程第二工程:第一工程で得た溶融混練物に、
[ケース1]:(D)の全量及び(B)を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程、又は
[ケース2]:(D)の一部及び(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程、又は
[ケース3]:(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第三工程:第二工程が[ケース2]又は[ケース3]の場合に用いられる工程であって、第二工程で得た溶融混練物に(D)の残部を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程
【0048】
第一工程は、(A)及び(C)を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。この時の温度は樹脂の温度で240〜370℃である。実際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して260〜300℃程度に設定する場合が多い。樹脂温度が240℃以下では成分(A)と成分(C)の反応が十分に起こらず、また370℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0049】
第二工程は、[ケース1]〜[ケース3]に分けられる。
【0050】
[ケース1]の場合の第二工程は、第一工程で得た溶融混練物に、(D)の全量及び(B)を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。この時第一の工程で得られた反応生成物は溶融したままででも良く、一旦冷却して固化してもよい。溶融したまま連続工程で行うほうが経済的には有利である。第二の工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度に設定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成分(B)溶融がが十分でなく、また360℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0051】
[ケース2]の場合の第二工程は、第一工程で得た溶融混練物に、(D)の一部及び(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。この時第一の工程で得られた反応生成物は溶融したままででも良く、一旦冷却して固化してもよい。溶融したまま連続工程で行うほうが経済的には有利である。第二の工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度に設定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成分(B)溶融がが十分でなく、また360℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0052】
[ケース3]の場合の第二工程は、第一工程で得た溶融混練物に、(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。この時第一の工程で得られた反応生成物は溶融したままででも良く、一旦冷却して固化してもよい。溶融したまま連続工程で行うほうが経済的には有利である。第二の工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度に設定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成分(B)溶融がが十分でなく、また360℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0053】
第三工程は、第二工程が[ケース2]又は[ケース3]の場合に用いられる工程であって、第二工程で得た溶融混練物に(D)の残部を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。第三の工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度に設定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成分(B)溶融がが十分でなく、また360℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0054】
一方、第一の工程で成分(D)を加える方法は、成分(D)の効果が成分(C)や成分(A)と成分(C)との反応によって阻害されると推定され、十分な効果が得られない。
【0055】
また以上の第一工程から第三工程は工程間で一旦冷却固化してもよいが、経済的観点からは、溶融したまま連続工程が好ましい。この時、シリンダーに沿って3つのフィード口を持ち、その各々のフィード口の後に(次のフィード口との間、第三フィード口の後はダイとの間)混練部を持つ二軸混練機を用いる方法が経済的に有利な方法である。
【0056】
本発明においては、熱可塑性樹脂組成物の加工時の安定性に加え、実使用時の熱安定性を向上するという効果を発現するために、上記の特徴的な工程を用いいる必要がある。本発明によることなく、たとえば第一の工程で成分(D)を加えた場合には、優れた熱安定化効果が得られない。
【0057】
なお、最も熱可塑性樹脂組成物の実使用時の熱安定性を向上するには、第二工程が[ケース3]である製造方法が好ましい。
【0058】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の(A)〜(D)を必須の成分とするものであるが、該成分に加えて、該成分以外の成分を用いてもよい。
【0059】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性の改良や剛性の改良等の目的でアルケニル芳香族樹脂を配合することができる。アルケニル芳香族樹脂としてはスチレンもしくはその誘導体たとえばp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体及び共重合体があげられる。また、上記した芳香族ビニル系化合物を70〜99重量%とジエンゴム1〜30重量%とからなるゴム変性された高衝撃性ポリスチレン(HIPS)を使用することができる。
【0060】
本発明において、該熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度の改良の目的で耐衝撃改良材を配合することができる。具体的には、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、更に第三成分を加えたEPDM等のオレフィン系エラストマーやスチレン−ブタジエン共重合体(SB、SBS)やこれらの水素添加物(SEB、SEBS)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーに無水マレイン酸等の極性基やスチレン、アクリルニトリル等をグラフトしたエラストマーが適している。公開特許公報昭和63年312350号公報、公開特許公報平成2年202547号、公開特許公報平成5年25386号公報、公開特許公報平成6年256645号公報、公開特許公報平成1年79258号公報等に記述される耐衝撃材を用いることができる。
【0061】
本発明において、該熱可塑性樹脂組成物の剛性の改良や硬度の改良等の目的で充填剤を配合することができる。適当な充填剤として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、マイカ、鉱物繊維、ゾノトライト、チタン酸カリウム・ウイスカ、マグネシウムオキシサルフェート、ガラスバルン、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、ステンレス繊維等の無機繊維、アラミド繊維、カーボンブラック等があるが、これらの充填剤を一種以上配合することが可能である。また、配合する充填剤は、これらに限定されない。
【0062】
本発明において熱可塑性樹脂組成物を得るために、強化用、機能付与等を目的に充填剤を配合して用いることができる。
【0063】
充填剤としては、ガラス繊維、カ−ボン繊維、アラミド繊維、アルミニウムやステンレスなどの強化用繊維及び金属のウィスカ−、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレ−、カオリン、硫酸マグネシウム、カ−ボンブラック、TiO2、ZnO及びSb2O3のような無機充填剤を用いることができる。
【0064】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、フィルム成形、真空成形など幅広い成形が可能であり、特にブロー成形、シート成形、フィルム成形において熱による劣化を著しく抑制していることから最適である。また得られた成形品は包材、家電製品、自動車用外板部品や内装材として幅広く使用できる。
【0065】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳しく説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
[各組成物及び試験片の作成]
各実施例及び比較例を各表に示すような組成で混合し、12のバレルからなるシリンダーにおいてバレル1に第一のフィード口、バレル6に第二のフィード口、バレル9に第三のフィード口を持つの二軸混練機(東芝機械製 TEM−50A)にて、シリンダー温度260℃で押し出し、水槽にて冷却後ストランドカッターによりペレット化して組成物を得たた。こうして得られたペレットを130℃で2時間真空乾燥した後、射出成形機(東芝機械製 IS220EN)によりシリンダー温度290℃、射出圧力1200kg/cm2、金型温度80℃の条件で各テストピースを成形した。こうして得たペレット及びテストピースを下記の方法によって試験してデータを得た。
【0067】
[メルトフローレイト(MRF)の測定]
二軸混練機よって得られたペレットを140℃で5時間真空乾燥した後、ASTM D−1238に準拠して測定した。但し、荷重は2.16kg、設定温度は280℃で行った。
【0068】
[アイゾッド衝撃強度の測定]
前述の射出成形によって得た3.2mmアイゾット用試験片を、ASTM D256に準拠してノッチを入れ23°C雰囲気下で衝撃テストを実施した。
【0069】
[滞留時のメルトフローレイト(滞留MFR)の測定]
メルトフローレイトと同様の方法であるが、メルトフローレートの測定の余熱を280℃で30分間とった後、荷重は2.16kgで測定した。
【0070】
実施例及び比較例の各組成物を得るに当たり次に示す原料を準備した。
[ポリフェニレンエーテル]
PPE:2,6−ジメチルフェノールを単独重合することによって得られたクロロホルム溶液(濃度:0.5g/dl),30度摂氏での対数粘度が0.40のポリフェニレンエーテル
[ポリアミド樹脂]
PA6−A:A1020BRL(ユニチカ製)
PA6−B:MC100(鐘紡製)
PA6−12:CF6S(EMS製)
[耐衝撃材]
EPSA:スチレン−アクリロニトリルグラフトEPDM
[相容化剤]
相容化剤1:無水マレイン酸
[添加剤]
SAH:無水コハク酸
添加剤1:沃化銅/沃化カリウム=1/4ブレンド品
添加剤2:パーオキサイド(8%にポリプロピレンで希釈したもの)
顔料:カーボンブラック
添加剤3:GSYP101(テトラキス(2,4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト) (吉富ファインケミカル製)
添加剤4:アデカスタブ PEP−36 (旭電化(株)製) 下記化学式(4)で表される
【0071】
実施例1〜2及び比較例1〜2
表1に各実施例及び比較例の組成と得られた組成物のMRF、アイゾット衝撃強度を示した。比較例1は成分(D)(GSYP101)を加えなかった以外は、実施例1と同じである。比較例2は成分(D)を第一の工程で加えた以外は実施例1と同一である。
【0072】
実施例3及び比較例3
表1に各実施例及び比較例の組成と得られた組成物のMRF、アイゾット衝撃強度、滞留MFRを示した。比較例3は成分(D)にかえて、アデカスタブPEP−36を加えた以外、実施例3と同一である。
【0073】
実施例1、2と比較例1、2を比較すると、実施例1、2ではMFRが低く抑えられている効果が確認できる。また、実施例1と比較例1、2を比較すると、衝撃強度も優れることがわかる。更に実施例3と比較例3を比較すると、実施例3では滞留によってMFRの上昇が見られず、熱分解抑制に優れた効果があることがわかる。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂組成物の加工時及び実使用時の熱安定性を向上し、かつ流動性、成形品表面へのブリードの発生の防止性能等を高水準に維持した熱可塑性樹脂組成物の製造方法並びに該製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することができた。
Claims (5)
- 下記の成分(A)〜(D)を含有し、(A)/(B)の重量比が1/99〜99/1であり、(C)の量は(A)及び(B)を相容化するのに有効な量であり、(D)の量は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.01〜2重量部である熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、下記の第一工程及び第二工程(下記の[ケース1]の場合)又は第一工程〜第三工程(下記の[ケース2]若しくは[ケース3]の場合)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(A):ポリフェニレンエーテル
(B):ポリアミド
(C):相容化剤
(D):テトラキス(2,4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト
第一工程:(A)及び(C)を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第二工程:第一工程で得た溶融混練物に、
[ケース1]:(D)の全量及び(B)を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程、又は
[ケース2]:(D)の一部及び(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程、又は
[ケース3]:(B)を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第三工程:第二工程が[ケース2]又は[ケース3]の場合に用いられる工程であって、第二工程で得た溶融混練物に(D)の残部を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程 - (C)が下記の(C1)〜(C9)から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の製造方法。
(C1):エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽和結合のいずれも持たないエポキシ化合物
(C2):同一分子内に、(1)少なくとも一種の不飽和基、すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(2)少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物
(C3):分子構造中に、(3)酸素の架橋を介して炭素原子に結合された少なくとも1つのケイ素原子、及び(4)少なくともエチレン性炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合及び/又はアミノ基及びメルカプト基から選ばれる官能基、の両方を有し、前記官能基がケイ素原子に結合されていない、シラン化合物
(C4):一般式(R 7 O) m R 6 (COOR 8 ) n (CONR 9 R 10 ) l によってあらわされる飽和脂肪族ポリカルボン酸及びその誘導体化合物
[ここで、R 6 は線状又は分岐状飽和アリファティック炭化水素であって炭素数が2〜20であり、R 7 は水素、アルキル基、アリール基、アシル基、又はカルボニルジオキシ基であり、R 8 は水素、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20のアリール基であり、R 9 及びR 10 は水素、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数1〜10のアリール基であり、m=1であり、n+lは2以上の整数であり、nは0以上の整数であり、lは0以上の整数であり、(R 7 O)はカルボニル基のα位又はβ位に位置し、少なくとも2つのカルボニル基の間には、2〜6個の炭素が存在するものである。]
(C5):同一分子内に(5)酸ハライド基と(6)少なくとも一種のカルボン酸、カルボン酸無水物、、酸エステル又は、酸アミド基を併せ持つ化合物
(C6):ビニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸もしくはジカルボン酸無水物の単位を有する共重合体、又はビニル芳香族化合物の単位及びα、β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物の単位を有する共重合体
(C7):エチレン性又はアセチレン性不飽和結合を持たないで、一分子中に2個以上のイソシアネート基及び/又はイソチオシアネート基を有する有機化合物
(C8):エチレン性又はアセチレン性不飽和結合及び(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)を持たない2つ以上のアミノ基を持つ化合物
(C9):アルケニル芳香族化合物とα−オレフィンの共重合体 - (C)が、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の製造方法。
- 第二工程が[ケース3]である請求項1記載の製造方法。
- 請求項1〜4のうちの一の請求項に記載の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物。
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