JP2003105193A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物

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JP2003105193A
JP2003105193A JP2001299011A JP2001299011A JP2003105193A JP 2003105193 A JP2003105193 A JP 2003105193A JP 2001299011 A JP2001299011 A JP 2001299011A JP 2001299011 A JP2001299011 A JP 2001299011A JP 2003105193 A JP2003105193 A JP 2003105193A
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acid
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thermoplastic resin
melt
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JP2001299011A
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English (en)
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Takashi Sanada
隆 眞田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフェニレンエーテルとポリアミドをし、
機械低性能をほとんど損なうことなく、酸素指数を向上
した熱可塑性樹脂組成物が得られる製造方法。 【解決手段】 特定量の(A)〜(D)をからなり、第
一工程及び第二工程又は第一工程〜第三工程を含む熱可
塑性樹脂組成物の製造方法。 (A):ポリフェニレンエーテル (B):ポリアミド (C):相容化剤 (D):ポリアミドと反応する官能基を持つシリコンポ
リマー 第一工程:(A)及び(C)を溶融混練して溶融混練物
を得る 第二工程:溶融混練物に、(B)を添加して溶融混練す
ることにより溶融混練物を得る、又は(B)及び(D)
を添加して溶融混練することにより溶融混練物を得るも
しくは熱可塑性樹脂組成物を得る 第三工程:第二工程によって得られた溶融混練物に
(D)及び/または(B)の残部を添加して溶融混練す
ることにより熱可塑性樹脂組成物を得る

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、ポリフェニレンエーテル
とポリアミドを含有し、優れた耐熱性や機械的強度を有
し、高い酸素指数を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方
法並びに該製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的性
質、耐熱性、寸法安定性などの諸特性に優れた熱可塑性
樹脂であるが、一方では成形加工時の流動性が悪いとい
った欠点を持つ。
【0003】一方、ポリアミド樹脂は、流動性は優れて
いるが、耐熱性や吸水による寸法変化等の欠点がある。
これらのポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂
の欠点を互いにおぎなうため、この二つを混ぜ合わせた
ポリマーアロイが開発されてきた。本来この二つは単純
に混ぜ合わせただけでは十分な機械的強度が得られない
ため、特許第1344351号公報のように相容化剤を
入れる試みがなされている。
【0004】また、ポリフェニレンエーテルとポリアミ
ドを上記のような相容化剤を加えてアロイ化しただけで
は、衝撃強度は低く、一般に衝撃強度改良材を添加し
て、衝撃強度を向上する試みがなされている。このよう
に衝撃強度と耐熱性の優れた材料であるが、難燃性につ
いてはかなり高いレベルでは未だ不充分である。また、
前述のように衝撃強度を向上するために。耐衝撃強度改
良材を添加するとさらに難燃性は低下する。これまで、
この難燃性を補うためにさまざまな試みがなされてき
た。臭素化エポキシや臭素化ポリスチレンのようなハロ
ゲン化合物の添加やトリフェニルフォスフェートに代表
される燐酸エステルなどが効果的であるが、環境面から
みるとでハロゲンやリンを含むので好ましいないと見ら
れ、敬遠される傾向にある。またメラミンイソシアネー
トのようなメラミン系の化合物を添加する方法も提案さ
れているが、ポリフェニレンエーテルとポリアミドの組
成物を製造する際、一般的に溶融混練法を用いるが、こ
のとき温度が高いため、メラミンイソシアネートは分解
し、組成物は発泡してしまう等の欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発
明が解決しようとする課題は、ポリフェニレンエーテル
とポリアミドを含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法
であって、優れた耐熱性、機械的強度を有し、酸素指数
の高い熱可塑性樹脂組成物の製造方法並びに該製造方法
により得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する点に存す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル樹脂
とポリアミド樹脂をアロイ化する際に、特定の手順で、
特定のシリコン化合物を添加することにより、優れた耐
熱性、機械的強度を有し、酸素指数の高い熱可塑性樹脂
組成物が得られることをみいだし本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明のうち第一の発明は、下記の成
分(A)〜(E)をからなり、(A)/(B)の重量比
が5/95〜70/30であり、(C)の量は(A)及
び(B)を相容化するのに有効な量であり、(D)の量
は(A)及び(B)の合計量100重量部あたり0.2
〜15重量部である熱可塑性樹脂組成物の製造方法であ
って、下記の第一工程及び第二工程(下記の[ケース
2]の場合の一部)又は第一工程〜第三工程(下記の
[ケース1]若しくは[ケース2]の場合の一部)を含
む熱可塑性樹脂組成物の製造方法に係るものである。 (A):ポリフェニレンエーテル (B):ポリアミド (C):相容化剤 (D):シリコンポリマー粉末 第一工程:(A)及び(C)を溶融混練することにより
溶融混練物を得る工程第二工程:第一工程で得た溶融混
練物に、 [ケース1]:(B)を添加して溶融混練することによ
り溶融混練物を得る工程、又は [ケース2]:(B)及び(D)を添加して溶融混練す
ることにより溶融混練物を得る工程もしくは熱可塑性樹
脂組成物を得る工程 第三工程:第二工程によって得られた溶融混練物に
(D)及び/または(B)の残部を添加して溶融混練す
ることにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程 また、本発明のうち他の発明は上記の製造方法により得
られる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構
成する成分の(A)は、ポリフェニレンエーテルであ
る。ポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で
示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カ
ップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重
合せしめて得られる重合体である。 (式中、R1,R2,R3,R4及びR5は水素、ハロゲン
原子、炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選ばれた
ものであり、そのうち、必ず1個は水素原子である。)
【0008】上記一般式に於けるR1,R2,R3,R4
びR5の具体例としては、水素、塩素、臭素、フッ素、
ヨウ素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、
pri−、sec−又はt−ブチル、クロロエチル、ヒ
ドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキ
シメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチ
ル、シアノエチル、フェニル、クロロフェニル、メチル
フェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリル
などがあげられる。
【0009】上記一般式の具体例としては、フェノー
ル、o−,m−,又はp−クレゾール、2,6−、2,
5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−
メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニル
フェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル
−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−
又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−
6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6
−アリルフェノールなどがあげられる。
【0010】上記一般式のフェノール化合物は、上記一
般式以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノー
ル−A、テトラブロモビスフェノール−A、レゾルシ
ン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒド
ロキシ芳香族化合物と共重合することもできる。
【0011】ポリフェニレンエーテルとして好ましいも
のとしては、2,6−ジメチルフェノール又は2,6−
ジフェニルフェノールの単独重合体、及び大量部の2,
6−ジメチルフェノールと少量部の3−メチル−6−t
−ブチルフェノール又は2,3,6−トリメチルフェノ
ールの共重合体があげられる。
【0012】フェノール化合物を酸化重合せしめる際に
用いられる酸化カップリング触媒は、特に限定されるも
のではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用し得
る。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成
分の(B)は、ポリアミドである。本発明に用いられる
ポリアミドとは、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の
重合及び等モル量の炭素原子4〜12個を含む飽和脂肪
族ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含む脂肪族ジア
ミンとの結合により製造することができるホモポリアミ
ド及びコポリアミド等から選ばれた1種又は2種以上の
ポリアミド樹脂である。重合の際に所望に応じてジアミ
ンを過剰に用いてポリアミド中のカルボキシル末端基よ
りアミン末端基を過剰に与えることができる。逆に、過
剰の二塩基性酸を用いてポリアミドのカルボキシル基末
端基がアミン末端基より過剰になるよう調整することも
できる。同様に、これらのポリアミドを該酸及びアミン
の酸生成及びアミン生成誘導体、たとえばエステル、酸
塩化物、アミン塩などからも良好に製造することができ
る。このポリアミドを製造するために用いる代表的な脂
肪族ジカルボン酸にはアジピン酸、ピメリン酸、アゼラ
イン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカンジオン酸
が含まれ、一方代表的な脂肪族ジアミンにはヘキサメチ
レンジアミン及びオクタメチレンジアミンが含まれる。
加えて、これらのポリアミドはラクタムの自己縮合によ
り製造することができる。
【0014】脂肪族ポリアミドの例には、ポリヘキサメ
チレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレ
ンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセ
バサミド(ナイロン610)、及びポリヘキサメチレン
ドデカノアミド(ナイロン612)、ポリ−ビス−(p
−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミド、ポリ
テトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ナイロン
6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン6/66共重合体等が、またこれらのナイロンを2
種以上任意の割合で使用してもよい。
【0015】これらのポリアミドにあって好ましくはナ
イロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン1
1、ナイロン12などが用いられる。より好ましくは、
ナイロン6、ナイロン66あるいはナイロン6とナイロ
ン66との任意の比率の混合物が用いられる。またこれ
らポリアミドの末端官能基はアミン末端の多いもの、カ
ルボキシ末端の多いもの、両者がバランスしたもの、あ
るいはこれらの任意の比率の混合物が好適に用いられ
る。
【0016】更に芳香族ポリアミドも含む。たとえばポ
リヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)の
如き芳香族成分を含有するコポリアミドである。かかる
芳香族成分を含有する熱可塑性コポリアミドは芳香族ア
ミノ酸及び/又は芳香族ジカルボン酸たとえば、パラア
ミノメチル安息香酸、パラアミノエチル安息香酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸などを主要構成成分とする溶融
重合が可能なポリアミドを意味する。
【0017】ポリアミドの他の構成成分となるジアミン
はヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレ
ンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(p−アミ
ノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−アミノシクロヘ
キシル)プロパン、ビス(3−メチル、4−アミノシク
ロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シ
クロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘ
キサンなどを使用することができる。またジアミンの代
わりにイソシアネート類を用いる事が出来る。たとえば
4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネートなどである。
【0018】必要に応じて用いられる共重合成分は特に
限定なく、ラクタムもしくは炭素原子4〜12個のω−
アミノ酸の単位、又は炭素原子4〜12個の脂肪族ジカ
ルボン酸、及び炭素原子2〜12個の脂肪族ジアミンか
ら誘導される化合物、たとえば、ε−カプロラクタム、
ω−ラウロラクタム、11−アミノウンデカン酸、12
−アミノドデカン酸などのラクタム、又はアミノ酸、前
記した各種ジアミンとアジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸などとのモル塩などが利用できる。
【0019】またこれらのポリアミドは結晶性であって
も非晶性であっても良い。更にこれらのポリアミドを任
意の割合で混合してもよい。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成
分の(C)は、相容化剤である。相容化剤の好ましい具
体例としては、下記の(C1)〜(C3)をあげること
ができる。これこれらは、その一種を単独で用いてもよ
く、二種以上を併用してもよい。 (C1):エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽
和結合のいずれも持たないエポキシ化合物 (C2):同一分子内に、少なくとも一種の不飽和
基、すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結
合と少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物 (C3):同一分子内に(OR)(ここでRは水素又
はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ
基である。)及びカルボン酸、酸ハライド、酸無水
物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミ
ド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なく
とも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物
【0021】本発明に用いられる(C1)グループの相
容化剤はポリヒドリックフェノール(たとえばビスフェ
ノールA、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシン
など)とエピクロルヒドリンの縮合体、及びコール、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)と
エピクドルヒドリンの縮合体があげられる。
【0022】本発明に用いられる(C2)グループの相
容化剤は、不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は
炭素−炭素三重結合と、極性基すなはちポリアミド樹
脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボ
キシル基、アミノ基と親和性や、化学反応性を示す官能
基を同一分子内に併せ持つ化合物である。かかる官能基
としては、カルボン酸基、カルボン酸より誘導される基
すなわちカルボキシル基の水素原子あるいは水酸基が置
換した各種の塩やエステル、酸アミド、酸無水物、イミ
ド、酸アジド、酸ハロゲン化物、あるいはオキサゾリ
ン、ニトリルなどの官能基、エポキシ基、アミノ基、水
酸基、又は、イソシアン酸エステル基などがあげられ、
不飽和基と極性基を併せ持つ化合物すなわち、不飽和カ
ルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化
合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシ
アン酸エステルが用いられる。
【0023】具体的には、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無
水マレイン酸とジアミンの反応物たとえば、下記化学式
(2)、(3)で表される。 (ただしRは脂肪族、芳香族基を示す。)などで示され
る構造を有するもの、無水メチルナジック酸、無水ジク
ロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水
イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニ
ット酸、無水アコニット酸、大豆油、キリ油、ヒマシ
油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花
生油 、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油などの天
然油脂類、エポキシ化天然油脂類、アクリル酸、ブテン
酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン
酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−
ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロト
ン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2
−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチ
ルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−
ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウン
デセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−
ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン
酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オ
クタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、
テトラコセン酸、ミコリペン酸、2・4−ヘキサジエン
酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン
酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジ
エン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカト
リエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、ア
イコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン
酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、
ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン
酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセ
ン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコン
テン酸などの不飽和カルボン酸、あるいはこれらの不飽
和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物、あるいは
アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニル
カルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニ
ルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウ
ンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,
4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン
−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、
2,4−ヘキサジエン−1−オール、一般式Cn2n-5
OH、Cn2n-7OH、Cn2n-9OH(ただし、nは正
の整数)で示されるアルコール、3−ブテン−1,2−
ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−
ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、
2,6−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和
アルコール、あるいはこのような不飽和アルコールのO
H基が、−NH2基に置き換わった不飽和アミン、ある
いはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジ
ルエーテルなどがあげられる。
【0024】また、ブタジエン、イソプレンなどの低重
合(たとえば平均分子量が500から10000ぐらい
のもの)あるいは高分子量体(たとえば平均分子量が1
0000以上のもの)に無水マレイン酸、フェノール類
を付加したもの、あるいはアミノ基、カルボン酸基、水
酸基、エポキシ基などを導入したもの、イソシアン酸ア
リルなどがあげられる。
【0025】本発明における同一分子内に不飽和基と極
性基を併せ持つ化合物の定義には、不飽和基を2個以
上、極性基を2個以上(同種又は異種)含んだ化合物も
含まれる個とは、いうまでもなく、また、2種以上の特
定化合物を使うことも可能である。
【0026】これらの内で、好ましくは無水マレイン
酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン
酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、
無水アコニット酸、グリシジル(メタ)アクリレート
が、より好ましくは無水マレイン酸、フマル酸が用いら
れる。
【0027】本発明に用いられる(C3)グループの相
容化剤はアリファティックポリカルボン酸、酸エステル
又は酸アミドであり、一般式(R7O)mR6(COO
8)n(CONR910l(ここで、R6は線状又は分
岐状飽和アリファティック炭化水素であって2〜20
個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有するものであ
り、R7 は水素、アルキル基、アリール基、アシル基、
又はカルボニルジオキシ基で特に好ましくは水素であ
り、R8 は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数
1〜20、好ましくは1〜10であり、R9及びR10
水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜10、
好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4であり、m=
1であり、n+lは2以上の整数、好ましくは2又は3
であり、nは0以上の整数であり、lは0以上の整数で
あり、(R7O)はカルボニル基のα位又はβ位に位置
し、少なくとも2つのカルボニル基の間には、2〜6個
の炭素が存在するものである。)によってあらわされる
飽和脂肪族ポリカルボン酸及びその誘導体化合物。(具
体的には、飽和脂肪族ポリカルボン酸のエステル化合
物、アミド化合物、無水物、水加物及び塩などを示す。
飽和脂肪族ポリカルボン酸として、クエン酸、リンゴ
酸、アガリシン酸などである。これらの化合物の詳細
は、公表特許公報昭和61年第502195号公報に開
示されている。)
【0028】しかし、本発明における相容性改良剤は、
ここに例示した化合物に限定されず、PPEとポリアミ
ドの相容性を改良する目的で使用される化合物であれば
どれでもよく、単独又は複数の相容化剤を同時に使用し
てもよい。また、この相容性改良剤を配合するとき、ラ
ジカル開始剤を併用してもよい。
【0029】(C)としては、ポリフェニレンエーテル
およびポリアミドとの反応効率や経済的観点から、無水
マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水
イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アコニ
ット酸、無水アコニット酸、クエン酸及びリンゴ酸から
選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成
分(D)は(D―1)ポリジオルガノシロキサン1種又
は数種のブレンド物ポリジオルガノシロキサンと(D−
2)分子中にポリアミドと反応する官能基を含むポリオ
ルガノシロキサン、および必要に応じて(D―3)シリ
カを含むシリコンポリマーである。シリカを含む場合
は、ポリジオルガノシロキサン100重量部に対し、1
0〜150重量部が好ましい。
【0031】上記成分(D―1)は液体又は高粘度のポ
リジオルガノシロキサン重合体又は共重合体であり、分
子中にヒドロキシル基、ビニル基から選ばれる少なくと
も一つの官能基を含有するものが好ましい。該重合体は
25℃で10,000〜100,000,000センチ
ポアズ、好ましくは1,000,000〜100,00
0,000センチポアズの粘度を示すだけの分子量をも
つものであり、さらに好ましくはガム状の粘度を示すも
のである。
【0032】(D―1)ポリジオルガノシロキサン中の
有機基は炭化水素基又は、ハロゲン化炭化水素基から独
立に選ばれる。それらの有機基は例えば、炭素原子数1
〜20のアルキル基及び置換アルキル基、アルケニル
基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基等である。好
ましい有機群は炭素数1〜4の低級アルキル基、フェニ
ル基、ハロゲン置換アルキル基である。従って、ポリジ
オルガノシロキサンはこのような有機基の組み合わせに
よってホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等各々
の形態をとり得る。例としてはジメチルシロキシユニッ
トとフェニルメチルシロキシユニットを含むガム、ジメ
チルシロキシユニットとジフェニルシロキシユニットを
含むガム、ジメチルシロキシユニット、ジフェニルシロ
キシユニットとフェニルメチルシロキシユニットを含む
ガムをあげることができ、この他にもたくさんのものが
ある。両末端がビニル基、及び又は主鎖に沿って少なく
とも一つのビニル基を含有するポリジメチルシロキサン
が好ましい。
【0033】(D−2)分子中にポリアミドと反応する
官能基を含むポリオルガノシロキサンとは、分子中に、
少なくとも一つの炭素数1〜4のアルコキシグループ
と、エポキシ、アミン、アクリロキシ、メタクリロキシ
から選ばれる少なくとも一つの基を持っているものであ
る。好ましいのは、一般式QSi(OMe)3を有し、
ここでMeは以下においてメチル基を表し、Qはエポキ
シアルキル基、メタクリロキシアルキル基、N−β−
(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノアル
キルモノハイドロゲンクロライドグループからなる群か
ら選ばれるアルコキシシランを用いる方法である。例と
してはγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−
(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシランモノハイドロゲンクロライド、
フェニルトリメトキシシラン及びビニルトリメトキシシ
ランをあげることができ、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノ)
エチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランモノハ
イドロゲンクロライドが好ましい。特にQがエポキシア
ルキル基であるものが好ましい。
【0034】上記ポリジオルガノシロキサンの製造は周
知の方法によって製造することができ、例えば酸又は塩
基を触媒とした環状オルガノシロキサンの重合があげら
れる。
【0035】(D―3)成分はヒュームドシリカもしく
は沈降シリカ又はシリカエーロゾルから得られる微細に
分割されたシリカであり、それら3種を各々単独でも組
み合わせても使用することができる。その表面積は90
0m2/gほどの大きなものも使用できるが、表面積5
0〜400m2/gの形態のものが好ましい。
【0036】当該発明のためにはシリカは好ましくは、
シラノール基又は加水分解できるシラノール基の前駆体
を含有する液体有機ケイ素化合物との反応により処理さ
れる。前記液体有機ケイ素化合物はヒドロキシ基又はア
ルコキシ基を末端基とする低分子量の液状ポリジオルガ
ノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオ
ルガノジシラザン等の成分を含む。シリカ処理剤の全部
又は一部におけるケイ素と結合した炭化水素基は、炭素
−炭素二重結合のような置換基を有することができる。
シリカ処理化合物として好ましいのはヒドロキシ末端の
平均重合度2〜100、さらに好ましくはヒドロキシ末
端の平均重合度2〜10のポリジメチルシロキサンオリ
ゴマーである。
【0037】シリカは(D―1)ポリジオルガノシロキ
サンとのブレンド前にシリカ重量に対して10〜45重
量%の上記シリカ処理剤と反応させることが好ましい。
【0038】(D―1)、(D―2)及び必要により
(D―3)成分からなる(D)シリコンポリマ−パウダ
ーの平均粒径サイズは0.1〜10000μm、好まし
くは1〜1000μmである。
【0039】(D―1)、(D―2)の製法及び(D)
シリコンポリマ−パウダーの製造方法は、例えば特開平
5−230362号公報や米国特許第5391594号
公報に記載されているが、特に限定されるものではな
い。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の
(A)〜(D)を含有し、(A)/(B)の重量比が3
0/70〜80/20であり、(D)の含有量が(A)
と(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重
量部のものである。(A)/(B)の重量比は30/7
0〜80/20であり、好ましくは35/65〜70/
30である。該比が過少であると耐薬品性、流動性が悪
化し、一方該比が過大であると難燃性が悪化する。
(D)の含有量は(A)と(B)の合計量100重量部
に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2
〜8重量部である。(D)が過多の場合、耐熱性が不十
分となり、一方(D)が過少の場合、難燃性が不十分と
なる。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに
耐衝撃改良材を加えても良い。耐衝撃改良材は、室温で
弾性体である天然及び合成の重合体などのゴム様物質で
ある。特に好ましいゴムとしては、エチレンプロピレン
ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチ
レン−ブテン−1ゴム、エチレン−ブテン−1−非共役
ジエンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、
部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、部
分水添スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、ポリ
ウレタンゴム、スチレングラフト−エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエンゴム、スチレン−グラフト−エチレン
−プロピレンゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラ
フト−エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、スチ
レン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピ
レンゴム等、あるいはこれらの混合物が用いられる。ま
た、他の酸もしくはエポキシなどをふくむ官能性単量体
により変性した変性ゴムを用いてもよい。該ゴム様物質
の配合量は、成分(A)、(B)の合計100重量部に
対し、1から50重量部が好ましい。該ゴム様物質の配
合量が50重量部を越えると、該樹脂組成物の剛性の低
下が著しく好ましくない。特に好ましい耐衝撃改良材
は、飽和ゴム系のエラストマーもしくは非共役ジエンを
用いて得られた一部不飽和ゴム系のエラストマーが用い
られる。ここで、これらのエラストマーは、スチレンも
しくはスチレンと他の共重合成分からなる分子量500
0以上のセグメントを持っているのが好ましい。具体的
にはポリスチレン及びポリブタジエンセグメントをそれ
ぞれ1以上有するスチレン−ブタジエンブロック共重合
体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントをそれ
ぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、ポリ
スチレン及びイソプレン−ブタジエンの共重合体をそれ
ぞれ1つずつ以上有するブロック共重合体のイソプレン
部やブタジエン部の不飽和部分を選択的に水素添加した
ブロック共重合体や、エチレン、プロピレン、ブテン、
非共役ジエン成分を共重合したポリオレフィンエラスト
マーにスチレンもしくはスチレンと他の共重合成分をグ
ラフト重合したものである。
【0042】これらエラストマー中のポリスチレンセグ
メントもしくはスチレンと他の共重合成分からなるセグ
メントの分子鎖の長さは重量平均分子量で5000以上
が好ましい。ポリスチレンセグメントもしくはスチレン
と他の共重合成分からなるセグメントが短過ぎると、エ
ラストマーがPPE中に留まりにくくなり、外観不良等
を生じる場合があり好ましくない。このなかで好ましい
耐衝撃改良材はイソプレン部やブタジエン部の不飽和部
分が選択的に水素添加されたスチレン系のブロック共重
合体である。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成
分の含有量は、(A)/(B)の重量比が5/95〜7
0/30であり、(C)の量は(A)及び(B)を相容
化するのに有効な量であり、(D)の量は(A)及び
(B)の合計量100重量部あたり0.2〜15重量部
である。
【0044】熱可塑性樹脂組成物における(A)/
(B)の重量比は5/95〜70/30であり、好まし
くは10/90〜60/40である。(A)が過少
((B)が過多)あると耐熱性が低くなり、一方(A)
が過多((B)が過少)であると流動性が低くなる。
【0045】(C)の量は(A)及び(B)を相容化す
るのに有効な量であり、通常は(A)及び(B)の合計
量100重量部あたり0.01〜2重量部である。
【0046】(D)の量は(A)及び(B)の合計量1
00重量部あたり0.2〜15重量部であり、好ましく
は1〜8重量部である。(D)が過少であると酸素指数
の向上せず、一方(D)が過多であると耐熱性や流動性
の低下が著しい場合がある。
【0047】本発明の製造方法は、下記の第一工程及び
第二工程(下記の[ケース2]の場合の一部)又は第一
工程〜第三工程(下記の[ケース1]若しくは[ケース
2]の場合の一部)を含むものである。 第一工程:(A)、及び(C)を溶融混練することによ
り溶融混練物を得る工程 第二工程:第一工程で得た溶融混練物に、 [ケース1]:(B)を添加して溶融混練することによ
り溶融混練物を得る工程、又は [ケース2]:(B)及び(D)を添加して溶融混練す
ることにより溶融混練物を得る工程もしくは熱可塑性樹
脂組成物を得る工程 第三工程:第二工程によって得られた溶融混練物に
(D)及び/または(B)の残部を添加して溶融混練す
ることにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程
【0048】第一工程は、(A)、及び(C)を溶融混
練することにより溶融混練物を得る工程である。具体的
には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もしく
はバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的に
は二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。こ
の時の温度は樹脂の温度で240〜370℃である。実
際の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要す
る吸熱と剪断による発熱を考慮して260〜300℃程
度に設定する場合が多い。樹脂温度が240℃以下では
成分(A)と成分(C)の反応が十分に起こらず、また
370℃以上では樹脂の劣化が著しく好ましくない。
【0049】第二工程は、[ケース1]〜[ケース2]
に分けられる。
【0050】[ケース1]の場合の第二工程は、第一工
程で得た溶融混練物に、(B)を添加して溶融混練する
ことにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程である。具体
的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機もし
くはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済的
には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されない。
この時第一の工程で得られた反応生成物は溶融したまま
ででも良く、一旦冷却して固化してもよい。溶融したま
ま連続工程で行うほうが経済的には有利である。第二の
工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際の混
練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱
と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度に設
定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成分
(B)溶融が十分でなく、また360℃以上では樹脂の
劣化が著しく好ましくない。またこの場合引き続き第三
工程が必要である。
【0051】[ケース2]の場合の第二工程は、第一工
程で得た溶融混練物に、(B)及び(D)を添加して溶
融混練することにより溶融混練物を得る工程である。具
体的には、溶融混練は単軸、二軸、多軸の連続混練機も
しくはバッチ式混練機を用いて行うのが好ましい。経済
的には二軸の連続混練機が好ましいが特に限定されな
い。この時第一の工程で得られた反応生成物は溶融した
ままででも良く、一旦冷却して固化してもよい。溶融し
たまま連続工程で行うほうが経済的には有利である。第
二の工程の樹脂の温度は230〜360℃である。実際
の混練機のシリンダー温度の設定は樹脂の溶融に要する
吸熱と剪断による発熱を考慮して200〜290℃程度
に設定する場合が多い。樹脂温度が230℃以下では成
分(B)溶融が十分でなく、また360℃以上では樹脂
の劣化が著しく好ましくない。
【0052】第三工程は、第二工程が[ケース1]又は
[ケース2]の一部の場合に用いられる工程であって、
第二工程で得た溶融混練物に(B)及び/または(D)
の残部を添加して溶融混練することにより熱可塑性樹脂
組成物を得る工程である。具体的には、溶融混練は単
軸、二軸、多軸の連続混練機もしくはバッチ式混練機を
用いて行うのが好ましい。経済的には二軸の連続混練機
が好ましいが特に限定されない。第三の工程の樹脂の温
度は230〜360℃である。実際の混練機のシリンダ
ー温度の設定は樹脂の溶融に要する吸熱と剪断による発
熱を考慮して200〜290℃程度に設定する場合が多
い。樹脂温度が230℃以下では成分(B)溶融が十分
でなく、また360℃以上では樹脂の劣化が著しく好ま
しくない。
【0053】一方、第一の工程のみに成分(D)を加え
る方法は、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下したり、
酸素指数の向上が発現しにくく好ましくない。
【0054】また以上の第一工程から第三工程は工程間
で一旦冷却固化してもよいが、経済的観点からは、溶融
したまま連続工程が好ましい。この時、シリンダーに沿
って3つのフィード口を持ち、その各々のフィード口の
後に(次のフィード口との間、第三フィード口の後はダ
イとの間)混練部を持つ二軸混練機を用いる方法が経済
的に有利な方法である。
【0055】本発明においては、熱可塑性樹脂組成物の
優れた物性バランスを保持したまま、酸素指数を向上す
るという効果を発現するために、上記の特徴的な工程を
用いる必要がある。本発明によることなく、たとえば第
一の工程で成分(D)を加えた場合には、十分な酸素指
数の向上が得られない。
【0056】なお、最も熱可塑性樹脂組成物の流動性、
衝撃強度の物性のバランスの優れた熱可塑性樹脂組成物
を得るには、第二工程が[ケース1]である製造方法
(すなわち、成分(D)を第三工程のみで添加する方
法)が好ましい。
【0057】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の
(A)〜(D)を必須の成分とし、衝撃強度の要求特性
に応じて成分(E)を用いるが、該成分に加えて、該成
分以外の成分を用いてもよい。
【0058】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性の
改良や剛性の改良等の目的でアルケニル芳香族樹脂を配
合することができる。アルケニル芳香族樹脂としてはス
チレンもしくはその誘導体たとえばp−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチ
レン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体
及び共重合体があげられる。また、上記した芳香族ビニ
ル系化合物を70〜99重量%とジエンゴム1〜30重
量%とからなるゴム変性された高衝撃性ポリスチレン
(HIPS)を使用することができる。
【0059】本発明の製造法および組成物において、そ
の他の成分として、必要に応じて適当な充填剤、安定剤
を用いることができる、充填材としては、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マ
グネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸、含水ケイ酸カ
ルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、マイカ、マグネシ
ウムオキシサルフェート、ガラスバルン、ガラス繊維、
ガラスビーズ、カーボン繊維、ステンレス繊維、アラミ
ド繊維等があるが、これらの充填剤を一種以上配合する
ことが可能である。また、配合する充填剤は、これらに
限定されない。安定剤として通常、ポリフェニレンエー
テル、ポリアミド、耐衝撃改良材に用いられる酸化防止
剤(リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオ
ウ系酸化防止剤、銅系酸化防止剤、ヒンダードアミン系
酸化防止剤(光安定剤)、UV吸収材等を用いることが
できる。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、ブロー成形、シート成形、真空成形など幅広い成形
が可能であり、特に射出成形用途が最適である。また得
られた成形品は家電製品、自動車用エンジンルーム内部
品や内装材として幅広く使用できる。
【0061】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を詳しく説明す
るが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0062】[各組成物及び試験片の作成]各実施例及
び比較例を各表に示すような組成で混合し、12のバレ
ルからなるシリンダーにおいてバレル1に第一のフィー
ド口、バレル6に第二のフィード口、バレル9に第三の
フィード口を持つの二軸混練機(東芝機械製 TEM−
50A)にて、シリンダー温度は、第一工程の部分は2
80℃、第二、三工程の部分は260℃で押し出し、水
槽にて冷却後ストランドカッターによりペレット化して
組成物を得た。こうして得られたペレットを130℃
2時間真空乾燥した後、射出成形機(東芝機械製 IS
220EN)によりシリンダー温度290℃、射出圧力
1200kg/cm2、金型温度80℃の条件で各テス
トピース及び平板(150mm×150mm 厚み 3mm)
を成形した。こうして得たペレット及びテストピースを
下記の方法によって試験してデータを得た。
【0063】[メルトフローレイト(MRF)の測定]
二軸混練機よって得られたペレットを140℃で5時間
真空乾燥した後、ASTM D−1238に準拠して測定
した。但し、荷重は5kg、設定温度は280℃で行っ
た。
【0064】[アイゾッド衝撃強度の測定]前述の射出
成形によって得た3.2mmアイゾット用試験片を、A
STM D256に準拠してノッチを入れ23°C雰囲
気下で衝撃テストを実施した。 [熱変形温度(HDT)]前述の射出成形によって得た
6.4mm HDT試験片をASTM D648にした
がって、荷重0.45MPaで測定した
【0065】[酸素指数の測定]前述の射出成形によっ
て得た3.0mmの平板を用いて、ON−1法によって
酸素指数を測定した。
【0066】実施例及び比較例の各組成物を得るに当た
り次に示す原料を準備した。 [ポリフェニレンエーテル]PPE :2,6−ジメチルフェノールを単独重合するこ
とによって得られたクロロホルム溶液(濃度:0.50
g/dl),30度摂氏での対数粘度が0.46のポリ
フェニレンエーテル [ポリアミド樹脂]PA6 :A1030BRL(ユニチカ製)PA66 :CM3007(東レ製) [耐衝撃材]StグラフトEPDM :EPDM(住友化学工業(株)
製 エスプレンE502) 100重量部に対して、S
t 37重量部、アクリロニトリル 3重量部をグラフ
トして得た。 [相容化剤]FA :相容化剤 フマル酸 [シリコンポリマー]シリコン-1 :DC4−7051(DOW製) エポキ
シ基含有シリコン-2 :DC6−2230(DOW製)シリコン-3 :R902A(DOW製) [添加剤]添加剤1 :パーオキサイド パーカドックス14/40
C(化薬アクゾ製)添加剤2 : CuI/KI添加剤3 : ジンクステアリレート添加剤4 :アデカスタブ PEP−36 (旭電化
(株)製) [その他]硫酸メラミン
【0067】実施例1及び比較例1 表1に各実施例及び比較例の組成と得られた組成物のM
RF、アイゾット衝撃強度、HDT、酸素指数を示し
た。実施例1,2,3と比較例1を比較すると、衝撃強
度の低下もなく、顕著の酸素指数が向上していることが
わかる。比較例2は酸素指数の向上が乏しく、比較例3
では、衝撃強度が顕著に低下した。比較例4では、用い
た硫酸メラミンが激しく分解し、サンプルが得られなか
った。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ポ
リフェニレンエーテルとポリアミドを含有する熱可塑性
樹脂組成物の製造方法であって、特定のシリコンポリマ
ーを用い、特定の手順で製造することにより、熱可塑性
樹脂組成物の機械低性能をほとんど損なうことなく、酸
素指数を向上した熱可塑性樹脂組成物が得られる製造方
法並びに該製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物
を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/092 C08K 5/092 C08L 77/00 C08L 77/00 83/04 83/04 Fターム(参考) 4F070 AA52 AA54 AA60 AC36 AC37 AC40 AC45 AE30 FA03 FB07 FC06 4J002 BL014 BL024 CH07W CL00X CL01X CL03X CP03Y CP05Y CP09Y CP12Y DJ017 EF026 EF046 EF066 EF076 EH076 EH096 EL026 EL146 EN026 EP016 ER006 EU026 FB097 FD010 FD017 FD030 FD070 FD206 GN00 GQ00 GT00 4J031 AA55 AA59 AB04 AC03 AC09 AD01 AE03 AF18 AF19 AF23 AF30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(A)〜(D)をからなり、
    (A)/(B)の重量比が5/95〜70/30であ
    り、(C)の量は(A)及び(B)を相容化するのに有
    効な量であり、(D)の量は(A)及び(B)の合計量
    100重量部あたり0.2〜15重量部である熱可塑性
    樹脂組成物の製造方法であって、下記の第一工程及び第
    二工程(下記の[ケース2]の場合の一部)又は第一工
    程〜第三工程(下記の[ケース1]若しくは[ケース
    2]の場合の一部)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。 (A):ポリフェニレンエーテル (B):ポリアミド (C):相容化剤 (D):ポリアミドと反応する官能基を持つシリコンポ
    リマー 第一工程:(A)及び(C)を溶融混練することにより
    溶融混練物を得る工程第二工程:第一工程で得た溶融混
    練物に、 [ケース1]:(B)を添加して溶融混練することによ
    り溶融混練物を得る工程、又は [ケース2]:(B)及び(D)を添加して溶融混練す
    ることにより溶融混練物を得る工程もしくは熱可塑性樹
    脂組成物を得る工程 第三工程:第二工程によって得られた溶融混練物に
    (D)及び/または(B)の残部を添加して溶融混練す
    ることにより熱可塑性樹脂組成物を得る工程
  2. 【請求項2】 (D)がエポキシ基を持つことを特徴と
    するシリコンポリマーである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 (D)がシリコンポリマーとシリカから
    なるシリコンポリマー粉体である請求項1又は請求項2
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 (C)が下記の(C1)〜(C3)から
    選ばれる少なくとも一種である請求項1、請求項2又は
    請求項3記載の製造方法。 (C1):エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽
    和結合のいずれも持たないエポキシ化合物 (C2):同一分子内に、少なくとも一種の不飽和
    基、すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結
    合と少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物 (C3):同一分子内に(OR)(ここでRは水素又
    はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ
    基である。)及びカルボン酸、酸ハライド、酸無水
    物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミ
    ド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なく
    とも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物
  5. 【請求項5】 成分(C)が、無水マレイン酸、フマル
    酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラ
    コン酸、無水シトラコン酸、アコニット酸、無水アコニ
    ット酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも
    一種である請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 第三工程まで経る請求項1記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のうちの一の請求項に記載
    の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物。
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WO2024043084A1 (ja) * 2022-08-26 2024-02-29 パナソニックIpマネジメント株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付きフィルム、樹脂付き金属箔、金属張積層板、及び配線板

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