JP4298568B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4298568B2
JP4298568B2 JP2004109038A JP2004109038A JP4298568B2 JP 4298568 B2 JP4298568 B2 JP 4298568B2 JP 2004109038 A JP2004109038 A JP 2004109038A JP 2004109038 A JP2004109038 A JP 2004109038A JP 4298568 B2 JP4298568 B2 JP 4298568B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface layer
photosensitive member
producing
electrophotographic photosensitive
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004109038A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005292560A5 (ja
JP2005292560A (ja
Inventor
周二 石井
弘規 植松
晶夫 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004109038A priority Critical patent/JP4298568B2/ja
Publication of JP2005292560A publication Critical patent/JP2005292560A/ja
Publication of JP2005292560A5 publication Critical patent/JP2005292560A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4298568B2 publication Critical patent/JP4298568B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は電子写真感光体の製造方法に関する。詳しくは、導電性支持体上に感光層を有する電子写真用感光体において、該電子写真感光体の最表面を構成する表面層が潤滑剤を含有することを特徴とし、前記表面層が潤滑剤及び溶剤としてフッ素系溶剤を含有した塗布液を用い浸漬コーティング法により塗布して形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電材料がその高生産性や無公害性等の利点が注目され、広く用いられるようになってきている。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。一方当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。また、繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、その表面に帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的や機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求されている。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化による転写効率や滑り性の低下、さらには感度低下、電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
近年電子写真装置の高画質化が進んでおり、これらの耐久性を達成させるために、電子写真感光体の感光層上に表面層を設けることが有効な方法として提案されている。
一般に電子写真感光体の表面層は薄い樹脂層として構成され、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されているが、上述したような耐久性の全てがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、特に電子写真感光体の高耐久化を図る上では表面層の樹脂の被膜硬度は十分高いとは言い難い。これらの問題点を解決する手段として、電子写真感光体の表面層硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる提案がされている(例えば、特許文献1参照)。
電子写真感光体の表面層を重合又は架橋して硬化することにより機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性は大きく向上する。また、滑剤を表面層に分散することで表面エネルギーを低下させ、電子写真感光体表面の摩擦力を小さくすることによってクリーニング性や耐削れ性はさらに向上することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。

一般的に表面層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために分散粒子の粒径が入射光の波長よりも小さいこと、具体的には0.3μm以下であることが好ましい。しかし、いったん分散しても二次凝集や沈殿が起こりやすいので粒径0.3μm以下といった微粒子の良好な分散膜を安定して生産することは非常に困難である。さらに透明度を向上させる観点から、特に粒径の小さい超微粒子(一次粒径0.1μm以下)を分散するのが好ましいが、このような超微粒子の分散性、分散安定性はさらに悪くなる傾向がある。これらのことより、超微粒子を分散させる場合、分散性や分散安定性をあげるために分散剤を使うことが非常に効果的である。
超微粒子を分散させる際に用いる分散剤としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤、フッ素系グラフトポリマー等のフッ素含有高分子が挙げられる。高分子量タイプの分散剤には塩素系溶剤にしか溶解しないもの
が多いが、表面層の塗布液に塩素系溶剤を使用した場合、浸漬コーティング法では下層の表面樹脂を溶解してしまい、それによりコンタミネーションを起こしてしまうことがある。また、分散剤を用いない場合でも表面層の下にある層(以下、「下層」ともいう)を表面層の塗布液が溶解してしまい、同様にコンタミネーションを起こしてしまうこともある。それを回避するため、下層の表面樹脂を溶解しない溶剤を選択する必要がある。
表面層を積層する方法としては、一般的には、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等の公知の塗布方法が知られている。また、蒸着、プラズマCVDその他の公知の製膜方法も適宜選択することができる。スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等は、塗布液をスプレーにより被塗布体へと吹き付けるため、下層の膜の表面樹脂を溶解しても、塗布液に下層の溶解した樹脂が混ざり合うといったコンタミネーションを起こすことはない。
一方、浸漬コーティング法の場合、塗布液のポットライフや積層型電子写真感光体の特性上、浸漬時に下層の膜が溶解することで生じるコンタミネーションを極力防ぐことが必要である。このために、溶剤には、下層の膜を形成する樹脂を溶解しないような溶剤を選択するのが一般的である。浸漬コーティング法は、スプレイコーティング法よりも生産性や効率性といった観点から、大量生産を考えた場合、有効的な塗布方法である。
これらのことより、浸漬コーティング法を行う際、塗布液に含有される溶剤による下層の表面樹脂のコンタミネーションを防ぐことが望まれる。さらに、潤滑剤を表面層に安定的に分散させるために、潤滑剤を表面層用塗布液中に安定に分散させることが望まれている。
特開平11−265085号公報
本発明の目的は、前述の問題点について考慮されたものであり、潤滑剤を分散させた表面層を感光体の最外表面を構成する層として積層する場合、表面層中に潤滑剤が安定に分散され、且つ浸漬コーティング法で塗布した際にも下層の表面の樹脂を溶解することのない電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法の該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程において、前記表面層は潤滑剤及び溶剤として環状構造を有するフッ素系溶剤を含有した表面層用塗布液を用いて形成されることにより、上記課題が達成されることを見出した。これにより、浸漬コーティングした際にも、表面層の下層である感光層等の表面樹脂を溶解することなく、安定的に潤滑剤が分散した表面層を積層した電子写真感光体が提供される。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]導電性支持体及び該導電性支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
該表面層形成工程が、連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーと、潤滑剤と、環状構造を有するフッ素系溶剤を含有する表面層用塗布液を浸漬コーティング法により、該表面層の下層のポリカーボネート樹脂で形成された膜の表面に塗布する工程と、 該塗布する工程で該表面層用塗布液が塗布された後、これに放射線若しくは紫外線を照射し、又はこれを加熱し、該連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーを重合又は架橋させることによって、硬化させる工程とを含み、該環状構造を有するフッ素系溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、又は1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロシクロヘキサンであることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
[2]前記連鎖重合性官能基が不飽和重合性官能基である[1]に記載の電子写真感光体の製造方法
[3]前記不飽和重合性官能基が、下記構造式(1)で示されるアクリロイルオキシ基、下記構造式(2)で示されるメタクリロイルオキシ基又は下記構造式(3)で示される基である[2]に記載の電子写真感光体の製造方法
Figure 0004298568

(式(3)中、Arは置換又は無置換のアリーレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
[4]前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーが電荷輸送性基をさらに有する[1]〜[3]のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法
[5]前記電荷輸送性基が正孔輸送性基である[4]に記載の電子写真感光体の製造方法
[6]前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーが同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する[1]〜[5]のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法[7]前記硬化させる工程が、前記塗布する工程で前記表面層用塗布液が塗布された後、これに放射線を照射し、前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーを重合又は架橋させることによって、硬化させる工程であり、かつ該放射線が電子線である[1]〜[6]のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法
[8]導電性支持体及び該導電性支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
該表面層形成工程が、硬化性レゾール型フェノール樹脂と、潤滑剤と、環状構造を有するフッ素系溶剤とを含有する表面層用塗布液を、浸漬コーティング法により、該表面層の下層のポリカーボネート樹脂で形成された膜の表面に塗布する工程と、該塗布する工程で該表面層用塗布液が塗布された後、これを加熱して、該硬化性レゾール型フェノール樹脂を重縮合させることによって、硬化させる工程とを含み、該環状構造を有するフッ素系溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンであることを特徴とする電子写真感光体の製造方法
本発明によれば、浸漬コーティング法でも塗布液のコンタミネーションを起こすことなく、表面層を積層することが可能となる。さらには、潤滑剤が表面層内で二次凝集を起こすことなく均一に分散された電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、導電性支持体及び該導電性支持体上感光層を有する電子写真感光体製造する方法であって、該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において表面層形成工程が、潤滑剤及び環状構造を有するフッ素系溶剤を含有する表面層用塗布液を浸漬コーティング法により塗布する工程を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。

本発明は、潤滑剤を分散させた表面層を形成するために感光層上に浸漬コーティング法により塗布する際、環状構造を有するフッ素系溶剤を溶剤として用いて潤滑剤を分散させた表面層用塗布液を用いることで、表面層の下層の表面樹脂を溶解することなく、潤滑剤が安定して分散された表面層を形成することができる。
以下に本発明における表面層形成工程の表面層用塗布液に用いられる環状構造を有するフッ素系溶剤について説明する。
環状構造を有するフッ素系溶剤としては、環状パーフルオロカーボン、環状モノハイドロフルオロカーボン、環状ジハイドロフルオロカーボン、環状トリハイドロフルオロカーボンが挙げられる。より詳しくは、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロブタン、1,1,2、2、3、3−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3,4,4,5―ノナフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロシクロヘキサン、1,1,2、2,3,3,4,4,5−ノナフルオロシクロヘキサン等が挙げられる。環状構造を有するフッ素系溶剤は、これらに限定されるものではないが、中でも1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが特に好ましく、これらは、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、必要に応じてその他の有機溶剤を上記の環状構造を有するフッ素系溶剤に併用することができる。併用できる有機溶剤としては、浸漬コーティング時に表面層の下層の表面樹脂を溶解しない溶剤であれば特に制限はなく、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられる。これらの併用できる有機溶剤は、2種類以上組み合わせて用いることもできる。併用する割合は、割合が多くなるに従ってフッ素系溶剤の効果が減少することから、溶剤全体の70%以下とすることが好ましい。
次に、本発明において表面層に分散させる潤滑剤に関して説明する。
本発明に用いられる潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素原子含有樹脂粒子;アクリル樹脂粒子;ポリエチレン樹脂粒子;酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物粒子等が挙げられる。特に、フッ素原子を多量に含むフッ素原子含有樹脂粒子は表面エネルギーが著しく小さいので潤滑剤としての効果が大きい。本発明において用いられるフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂粒子、三フッ化塩化エチレン樹脂粒子、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
表面層が十分な摩擦力の低下を示すためには、表面層全体に対して5質量%以上のフッ素原子含有樹脂粒子を含有させることが好ましく、表面層の膜の強度、被膜性の観点から50質量%以下にすることが好ましい。
潤滑剤の粒径としては、0.01μm以上1μm以下が好ましく、中でも0.3μm以下にするのが特に好ましい。
表面層用塗布液中に潤滑剤を分散させる方法としては、ボールミル、超音波、ペイントシェーカー、レッドデビル、サンドミル、ホモジナイザー、衝突型高圧分散機等を用いる方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
潤滑剤を表面層用塗布液中に安定的に分散させる際には、分散剤を用いることも好ましい。潤滑剤としてフッ素原子含有樹脂粒子を分散させる場合、含フッ素シランカップリング剤;フッ素変性シリコーンオイル;フッ素系界面活性剤;フッ素系グラフトポリマー等のフッ素含有高分子;が分散剤として好ましく用いられ、中でもフッ素含有高分子が特に好ましい。
通常フッ素含有高分子を分散剤として用いる場合、該フッ素含有高分子を溶解するために用いる溶剤として塩素系溶剤を用いることが一般的であり、塩素系溶剤を含む塗布液は、浸漬コーティングの際に表面層の下層の表面樹脂を溶解してしまう問題があったが、本発明においては環状構造を有するフッ素系溶剤を用いることで、その問題は解消される。
次に本発明における電子写真感光体の構成について説明する。本発明における電子写真感光体は導電性支持体上に感光層が形成されている。前記感光層は電荷発生層、電荷送層をこの順に積層した構成又は逆に電荷輸送層、電荷発生層をこの順に積層した構成、電荷発生物質と電荷輸送物質を結着樹脂中に分散した単層より構成されるもののいずれの構成をとることも可能である。中でも、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型感光層上にさらに表面層を形成した構成が好ましい。
なお、本発明における電子写真感光体の表面を構成する表面層は、感光層の一部である構成でもよく、感光層の上に形成される構成でもよい。いずれの場合も、表面層を形成する工程において、潤滑剤と前記フッ素系溶剤とを含む表面層用塗布液を、感光層の一部として又は保護的な層として、感光層上に浸漬コーティング法により塗布して形成することを特徴とする。
本発明における表面層は、前記潤滑剤と前記フッ素系溶剤を含有した表面層用塗布液を用いて、感光層上に浸漬コーティングされた後、放射線照射、紫外線照射又は熱により硬化形成されることが好ましい。
本発明における電子写真感光体における表面層は、放射線照射、紫外線照射又は熱により重合又は架橋し硬化する樹脂であればいずれのものを用いて形成されてもかまわない。すなわち、放射線照射、紫外線照射又は熱によりラジカル等の活性点が発生し、重合又は架橋し硬化することが可能な化合物であれば、表面層の構成材料として用いることができる。中でも分子内に連鎖重合性官能基を有する化合物、特に不飽和重合性官能基を有する化合物は反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましく、下一般式(1)で示されるアクリロイルオキシ基、下記一般式(2)で示されるメタクリロイルオキシ基及び下記一般式(3)で示されるスチレン基等を有する化合物が特に好ましい。また、熱を利用した重合又は架橋による硬化反応を利用する際には、重縮合が可能なフェノール系化合物や有機金属化合物を用いることもできる。
Figure 0004298568
本発明における連鎖重合性官能基を有する化合物は、モノマー、オリゴマー又はマクロマーのいずれにも限定されない。
表面層塗布液の固形分は、10〜90質量%の範囲であることが好ましく、塗布液に含まれる水分量としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下であることが好ましい。なお、「表面層塗布液の固形分」とは、具体的には、潤滑剤、分散剤、モノマー等全ての固形物の塗布液全体における割合である。
本発明における電子写真感光体の表面層は、感光層の一部として構成される場合又は感光層の上にさらに設けられる場合いずれにおいても、両者は硬化後に電荷輸送能を有していることが好ましい。従って、連鎖重合性官能基を有する化合物が電荷輸送性基を有することが好ましい。表面層用塗布液に用いる連鎖重合性官能基を有する化合物が電荷輸送性基を有さない場合、表面層用塗布液に電荷輸送物質や導電性材料を添加することにより表面層に電荷輸送能を確保することが望ましい。ただし、表面層の膜硬度や種々の電子写真特性の点からして、連鎖重合性官能基及び電荷輸送性基を有する化合物を表面層用塗布液に使用するのがより好ましい。さらに電荷輸送性基を有する化合物の中でも、電子写真プロセスや材料の汎用性の点からして、正孔輸送性基を有する化合物がさらに好ましい。
表面層用塗布液に添加する導電性材料としては、酸化チタンや酸化錫等の導電性微粒子が一般的ではあるが、その他として、導電性高分子化合物等の利用も可能である。
不飽和重合性官能基及び正孔輸送性基を有する化合物としては、例えば不飽和重合性官能基を有する公知の正孔輸送性化合物や、公知の正孔輸送性化合物の一部に不飽和重合性官能基を付加した化合物等が挙げられる。公知の正孔輸送性化合物の例としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、ベンジジン化合物及びスチルベン化合物等が挙げられるが、正孔輸送性化合物であればいかなる化合物も使用可能である。更に、本発明において電子写真感光体表面層の硬度を十分に確保するためには、不飽和重合性官能基を有する化合物は一分子中に複数の不飽和重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。重合又は架橋反応は、酸素による反応の阻害が起こることもあるので、表面層用塗布液に含まれる溶存酸素濃度としては、100ppm以下にするのが好ましく、さらに50ppm以下とすることが特に好ましい。
次に、放射線照射、紫外線照射又は熱による重合又は架橋方法について説明する。
本発明における放射線とは、特開2000−66425号公報において開示したものと同様に、電子線及びγ線等が挙げられ、装置の大きさ、安全性、コスト及び汎用性等の種々の点から電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としては、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等のいずれの加速器も使用することができる。また、電子線照射により電子写真感光体の表面層を形成する本発明においても、電子写真感光体の電気特性及び耐久性能を十分に発現させる上で、電子線の加速電圧と吸収線量が非常に重要なファクターであり、加速電圧は300KV以下
が好ましく、最適には150KV以下、また線量は好ましくは1〜100Mrad(1×10〜1MGy)の範囲、より好ましくは50Mrad(5×10Gy)以下の範囲である。加速電圧が300KVを超えたり、線量が100Mrad(1MGy)を超えると、電子写真感光体への劣化が起こり易い傾向にあることは該公報において示した通りである。
本発明における紫外線照射によって重合又は架橋反応を行う場合、ラジカルを発生させる光源としては、光開始剤や光鋭感剤の種類により最適なものが選択されるが、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、He−Cdレーザー等が使用される。また、硬化促進のため光開始剤を用いることが望ましい。光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラ−ケトン、チオキサントン、ベンゾインブチルエーテル、アシロキシムエステル、ジベンゾスロベン等が挙げられる。また、紫外線照射後には加熱処理を行うことも可能である。
本発明における熱によって重合又は架橋反応を行う場合、連鎖重合又は重縮合が好ましい。熱によってラジカルを発生し連鎖重合を行う場合には、ラジカル開始剤を用いることが望ましく、通常のラジカル開始剤としては、例えばp−メトキシ過酸化ベンゾイル、m,m’−ジメトキシ過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルエステル、4,4’−アゾビス−4−シアノヘプタン酸等を用いることができる。
熱による重縮合反応を行う場合には、例えば有機金属化合物を用いたゾルゲル法による縮合反応、フェノールとホルムアルデヒドのように2種類以上の分子が反応する重縮合を用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。ゾルゲル法による重縮合を利用する場合、用いる有機金属化合物の金属は、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ケイ素、ゲルマニウムから選択されるものが好ましいが、これらの元素を1つ以上含めば複数であってもかまわない。また、フェノールとホルムアルデヒドのように2種類以上の分子が反応する重縮合を利用する場合、特に硬化型のフェノール樹脂を用いることが好ましい。更に、熱硬化型のレゾール型のフェノール樹脂を用いることがより好ましい。
通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物とをアルカリ触媒下で製造される。これに用いられる主なフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン及びビスフェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、環状構造を有するフッ素系溶剤を溶剤として用いて潤滑剤を分散させた表面層用塗布液を用いる以外は、通常の電子写真感光体の製造方法と同様の工程、同様の材料を用いて行えばよく、特に制限されない。
以下に電子写真感光体の具体的な構成を説明する。
本発明における電子写真感光体の導電性支持体は、導電性を有するものであればよい。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明においては、導電性支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ導電層
を設けることができる。導電層は感光層の接着性改良、塗工性改良、導電性支持体の保護、導電性支持体の欠陥の被覆、導電性支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
導電層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。導電層は、これらの材料をそれぞれ適した溶剤に溶解した導電層用塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。
電子写真感光体が機能分離型感光層を有する電子写真感光体である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶型を有するフタロシアニン化合物、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物;アントアントロン顔料;ジベンズピレンキノン顔料;ピラントロン顔料;トリスアゾ顔料;ジスアゾ顔料;モノアゾ顔料;インジゴ顔料;キナクリドン顔料;非対称キノシアニン顔料;キノシアニン;等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等を用いる方法で良く分散し、得られた電荷発生層用塗布液を導電性支持体上又は導電層上に塗布し、乾燥することによって形成される。又は、前記電荷発生物質の蒸着膜とした単独組成の膜として形成される。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
次に電荷輸送層について説明する。本発明において、表面層が感光層の一部となる場合、具体的に電荷輸送層が表面層となる場合には、電荷輸送層は、環状構造を有するフッ素系溶剤を含有した表面層用塗布液を用いて、より好ましくは放射線照射、紫外線照射又は熱により硬化する化合物をさらに含んだ塗布液を用いて形成されることが好ましい。電荷輸送層は、潤滑剤と電荷輸送物質と放射線照射、紫外線照射又は熱により硬化する化合物を用いて構成される。前記電荷輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物;ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物;トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体;トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体;フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物;が挙げられる。これらを放射線照射、紫外線照射又は熱により硬化する化合物及び潤滑剤とともに環状構造を有するフッ素系溶剤に分散させ、先の電荷発生層上に浸漬コーティングした後、放射線照射、紫外線照射又は加熱して硬化させる工程により電荷輸送層を形成する。
本発明において、単層型感光層で且つ該単層型感光層自体が表面層となる構成の電子写真感光体の場合には、少なくとも潤滑剤、電荷発生物質及び電荷輸送物質、好ましくは重合又は架橋し硬化する化合物を、環状構造を有するフッ素系溶剤に分散させた表面層用塗布液を用いて硬化させることにより感光層が形成される。この場合においても、好ましく用いられる、放射線照射、紫外線照射又は熱により硬化する化合物は電荷輸送性を有する
ことが望ましい。
本発明において、表面層が感光層の上に構成される場合には、積層型感光層、単層型感光層の構成にかかわらず、潤滑剤を環状構造を有するフッ素系溶剤に分散させた表面層用塗布液を用いて形成されることが好ましい。この場合、表面層の下層となる感光層の構成は、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型感光層、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した機能分離型感光層、又は単層型感光層のいずれの構成も可能であるが、先に述べた理由により、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層構成が好ましい。この場合電荷発生層は前述と同様な方法で形成され、電荷輸送層は前記電荷輸送物質を、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等の結着樹脂中に分散又は溶解した溶液を塗布液として用いて形成される。場合によっては電荷輸送層用塗布液に放射線照射、紫外線照射又は熱により重合又は架橋し硬化する化合物の添加も可能である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の配合量の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
直径30mm×357.5mmのアルミニウムシリンダーを導電性支持体として用い、そのアルミニウムシリンダー上に以下の材料より構成される導電層用塗布液を導電性支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分間熱硬化して、膜厚が18μmの導電層を形成した。
・導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
・抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
・結着樹脂:フェノール樹脂 6部
・レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
・溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 15部
この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した中間層用塗布液を浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部及びシクロヘキサノン80部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル80部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。これを浸漬コーティング法で中間層上に塗布して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
下記一般式(5)で示されるスチリル化合物7部、及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ800、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部をモノクロロベンゼン105部/ジクロロメタン35部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗布液を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。このときの電荷輸送層の膜厚は10μmであった。
Figure 0004298568
分散剤としてのフッ素原子含有高分子(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)のフッ素系溶剤150部に溶解した後、潤滑剤として4フッ化エチレン樹脂粒子(商品名/ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cm(58.84MPa)の圧力で3回の処理を施し均一に分散させた。これを1μmのPTFEメンブレンフィルターで濾過を行い、潤滑剤分散液を作成した。その後、下記一般式(6)で示される正孔輸送性化合物70部を潤滑剤分散液に加え、PTFEプレフィルター(商品名:PF020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、表面層用塗布液を調製した。
Figure 0004298568
この表面層用塗布液を循環させながら浸漬コーティングにて前記電荷輸送層上に表面層を塗布した。塗布後、50℃で10分加熱乾燥を行い、加熱乾燥後、窒素雰囲気中において加速電圧150KV、線量20Mrad(2×10Gy)の条件で電子線を照射し、樹脂を硬化させることによって膜厚5μmの表面層を形成した。
作製した電子写真感光体の表面層を、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、潤滑剤の分散性及び電荷輸送層との界面を観測して、以下のように評価した。
(潤滑剤分散性)
分散性の評価に関しては、TEM画像で表面層5ミクロン四方の中に含まれる潤滑剤が二次凝集を生じていなければ◎、二次凝集が潤滑剤の3%以内であれば○、3〜5%であれば△、5%以上であれば×とした。
(表面層と電荷輸送層との界面)
表面層と電荷輸送層との界面の評価に関しては、電荷輸送層と表面層との間に界面があれば○、界面がなければ×とした。
結果を表1に示す。表1に見られるように本発明の電子写真感光体の製造方法により、浸漬コーティング法による表面層の塗布方法において、後述の電子写真感光体の製造方法の比較例2と比べて、より優れた製法であることがわかった。
(実施例2)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)105部、n−プロパノール45部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)75部、n−プロパノール75部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3におけるn−プロパノールを、イソプロパノールに変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)45部、n−プロパノール105部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)135部、n−プロパノール15部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1におけるフッ素系溶剤を、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロシクロヘキサンに変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において用いた上記一般式(6)に示される化合物を下記一般式(7)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004298568
(実施例9)
実施例1において用いた上記一般式(6)に示される化合物を下記一般式(8)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004298568
(実施例10)
実施例1において用いた上記一般式(6)に示される化合物を下記一般式(9)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004298568
(実施例11)
実施例1と同様にして導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。次いで、上記一般式(6)の代わりに下記一般式(4)で示される正孔輸送性化合物70部と、
Figure 0004298568
下記一般式(A)で示される光重合開始剤1.2部を用いた以外は、実施例3と同様にして表面層用塗布液を調製した。
Figure 0004298568
この表面層用塗布液を前記の電荷輸送層上に浸漬コーティングし、メタルハライドランプを用いて500mW/cmの光強度で60秒間硬化させ、膜厚5μの表面層を形成することで電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例11において用いた上記一般式(4)に示される化合物を、実施例1で用いた上記一般式(6)で示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例11において用いた上記一般式(4)に示される化合物を、実施例8で用いた上記一般式(7)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例11において用いた上記一般式(6)に示される化合物を、実施例9で用いた上記一般式(8)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例15)
実施例11において用いた上記一般式(6)に示される化合物を、実施例10で用いた上記一般式(9)に示される正孔輸送性化合物に代えた以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例16−20)
実施例11−15における光重合開始剤を、下記一般式に示される熱重合開始剤(B)に変更した以外は、実施例11−15と同様に表面層用塗布液を調製した。
Figure 0004298568
この表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬コーティングし、150℃で1.5時間加熱し熱硬化させ、膜厚5μの表面層を形成して電子写真感光体を作製し、実施例16−20の電子写真感光体とした。それぞれの電子写真感光体について評価した結果を表1に示す。
(実施例21)
実施例1と同様にして導電層、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。次いで、アンチモンドープ酸化スズ超微粒子100部を下記一般式(C)で示されるフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越化学工業(株)製)7部で表面処理した。
Figure 0004298568
処理済み酸化スズ微粒子35部と、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン75部及びエタノール75部を、サンドミルにて66時間かけて分散を行い、さらに、潤滑剤としての四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名/ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)18部、分散剤としてのフッ素原子含有高分子(商品名/GF−300、東亞合成(株)製)0.9部を加えて、さらにペイントシェーカーで3時間分散を行った。その後、樹脂成分として、硬化性レゾール型フェノール樹脂(商品名:PR−53123、住友デュレズ(株)製)54部(不揮発分:45%)、さらに、電荷輸送物質として下記一般式(10)に示される化合物を15部溶解し、アセトン35部で希釈して表面層用塗布液とした。この塗布液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬コーティングを行い、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が5μmの表面層を形成した。評価した結果を表1に示す。
Figure 0004298568
(実施例22)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)15部、n−プロパノール135部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例23)
実施例1におけるフッ素系溶剤150部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)30部、n−プロパノール120部に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1におけるフッ素系溶剤を、直鎖状のヘキサフルオロイソプロパノールに代えた以外は、実施例1と同様にして表面層用塗布液を調整した。上記表面層用塗布液を浸漬コーティング法により電荷輸送層上に塗布したところ、電荷輸送層の表面樹脂を溶解してしまい、表面層用塗布液とコンタミネーションを起こしてしまった。また、作製した電子写真感光体の表面層を、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、電荷輸送層との界面が観察されなかった。
(比較例2)
実施例1におけるフッ素系溶剤を、モノクロロベンゼンに代えた以外は、実施例1と同様にして表面層用塗布液を調整した。上記表面層用塗布液を浸漬コーティング法により電荷輸送層上に塗布したところ、電荷輸送層の表面樹脂を溶解してしまい、表面層用塗布液とコンタミネーションを起こしてしまった。また、作製した電子写真感光体の表面層を、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、電荷輸送層との界面が観察されなかった。
Figure 0004298568

Claims (8)

  1. 導電性支持体及び該導電性支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
    該表面層形成工程が、
    連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーと、潤滑剤と、環状構造を有するフッ素系溶剤を含有する表面層用塗布液を浸漬コーティング法により、該表面層の下層のポリカーボネート樹脂で形成された膜の表面に塗布する工程と、
    該塗布する工程で該表面層用塗布液が塗布された後、これに放射線若しくは紫外線を照射し、又はこれを加熱し、該連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーを重合又は架橋させることによって、硬化させる工程と
    を含み、
    該環状構造を有するフッ素系溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、又は1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロシクロヘキサンである
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記連鎖重合性官能基が不飽和重合性官能基である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法
  3. 前記不飽和重合性官能基が、下記構造式(1)で示されるアクリロイルオキシ基、下記構造式(2)で示されるメタクリロイルオキシ基又は下記構造式(3)で示される基である請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法
    Figure 0004298568

    (式(3)中、Arは置換又は無置換のアリーレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
  4. 前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーが電荷輸送性基をさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法
  5. 前記電荷輸送性基が正孔輸送性基である請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法
  6. 前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーが同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法
  7. 前記硬化させる工程が、前記塗布する工程で前記表面層用塗布液が塗布された後、これに放射線を照射し、前記連鎖重合性官能基を有する化合物であるモノマーを重合又は架橋させることによって、硬化させる工程であり、かつ該放射線が電子線である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法
  8. 導電性支持体及び該導電性支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、該電子写真用感光体の最外表面を構成する表面層を形成する表面層形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
    該表面層形成工程が、
    硬化性レゾール型フェノール樹脂と、潤滑剤と、環状構造を有するフッ素系溶剤とを含有する表面層用塗布液を、浸漬コーティング法により、該表面層の下層のポリカーボネート樹脂で形成された膜の表面に塗布する工程と、
    該塗布する工程で該表面層用塗布液が塗布された後、これを加熱して、該硬化性レゾール型フェノール樹脂を重縮合させることによって、硬化させる工程と
    を含み、
    該環状構造を有するフッ素系溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンである
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法
JP2004109038A 2004-04-01 2004-04-01 電子写真感光体の製造方法 Expired - Fee Related JP4298568B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004109038A JP4298568B2 (ja) 2004-04-01 2004-04-01 電子写真感光体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004109038A JP4298568B2 (ja) 2004-04-01 2004-04-01 電子写真感光体の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005292560A JP2005292560A (ja) 2005-10-20
JP2005292560A5 JP2005292560A5 (ja) 2007-05-10
JP4298568B2 true JP4298568B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=35325530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004109038A Expired - Fee Related JP4298568B2 (ja) 2004-04-01 2004-04-01 電子写真感光体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4298568B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5167638B2 (ja) * 2006-11-10 2013-03-21 株式会社リコー 画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP5095982B2 (ja) * 2006-11-15 2012-12-12 株式会社リコー 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法
JP5573170B2 (ja) * 2010-01-08 2014-08-20 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP5696520B2 (ja) * 2011-02-17 2015-04-08 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置
JP5958011B2 (ja) 2012-03-28 2016-07-27 富士ゼロックス株式会社 電荷輸送性膜形成用組成物、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置
JP6036058B2 (ja) * 2012-09-12 2016-11-30 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP6024555B2 (ja) * 2013-03-26 2016-11-16 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP6821441B2 (ja) * 2017-01-12 2021-01-27 キヤノン株式会社 フッ素原子含有樹脂粒子の分散液、および電子写真感光体の製造方法
JP7279478B2 (ja) * 2018-11-30 2023-05-23 株式会社リコー 電子写真感光体、画像形成装置、及び電子写真感光体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005292560A (ja) 2005-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7059111B2 (ja) 電子写真感光体およびその製造方法、並びにプロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置
JP4630806B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP5777392B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、電子写真感光体の製造方法
JP2019035804A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2019061132A (ja) 電子写真感光体、その製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
US8735032B2 (en) Electrophotographic photosensitive member, method of producing electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4095509B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2020184069A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP4298568B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
US9423706B2 (en) Electrophotographic photosensitive member, method for producing electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4630813B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法、並びに、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2005062301A (ja) 電子写真感光体
JP2005062300A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2021021858A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2019007994A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2018077450A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置および電子写真感光体の製造方法
JP6368114B2 (ja) 電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法
JP2005345662A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び電子写真装置
CN112631092A (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
JP4136836B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP6821441B2 (ja) フッ素原子含有樹脂粒子の分散液、および電子写真感光体の製造方法
JP2004093802A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008058888A (ja) 電子写真感光体
JP2005345781A (ja) 電子写真感光体
JP2008076465A (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070315

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090113

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090407

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4298568

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140424

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees