JP4281895B2 - 非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液およびそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過充電防止効果を有し、かつ高温保存特性に優れた非水電解液、およびそれを用いた過充電時の安全性に優れたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
非水電解液を用いた電池は、高電圧でかつ高エネルギ−密度を有しており、また貯蔵性などの信頼性も高いので、民生用電子機器の電源として広く用いられている。
【0003】
そのような電池は二次電池としても製造されており、その代表例はリチウムイオン二次電池である。この電池は、リチウムを吸蔵、放出が可能な活物質を含む負極と、リチウムと遷移金属との複合酸化物を含む正極と、電解液などから構成されている。電解液には、プロピレンカ−ボネ−トやエチレンカ−ボネ−トなどの高誘電率カ−ボネ−ト溶媒と、ジエチルカ−ボネ−ト、メチルエチルカ−ボネ−トやジメチルカ−ボネ−トなどの低粘度カ−ボネ−ト溶媒との混合溶媒に、LiBF、LiPFなどのリチウム電解質を混合した溶液が用いられている。
【0004】
ところで、リチウムイオン二次電池の熱安定性は、電池の充電状態に関連していることが報告されている。電池を規定電圧値以上に充電すると、すなわち過充電すると、負極上に金属リチウムが析出したり、あるいは正極の酸化度が高まって、電解液との化学反応が起こりやすくなり、電池の熱安定性が低下する。熱安定性が低下した電池を高温条件下におくと、自己発熱反応によって熱暴走が起こることが考えられるので、電池を過充電させないことが重要である。
【0005】
そこで、特開平9−171840号、特開2000−58116号、特開2001−15155号公報などでは、ビフェニル類やアルキルベンゼン類を添加した電解液の使用を提案している。また、特開平11−162512号公報には2個の芳香族基で置換されたアルキル化合物やフッ素原子置換芳香族化合物類などが、高温特性が改良された過充電防止剤として提案されている。
【0006】
ビフェニル類、アルキルベンゼン類、芳香族基で置換されたアルキル化合物やフッ素原子置換芳香族化合物類は、リチウム電池に使用される一般的な溶媒に比べて酸化電位が低いため、これらを添加した電解液は、電気分解され易くなる。このため、電池が過充電される代わりに、電解液が電気分解されるため、過充電を防止する効果がある。以降、このような機能を有する化合物を過充電防止剤と呼ぶ。
【0007】
一方で、過充電防止剤は、酸化電位が低いために、通常の使用状態で高温の条件でも、少量ながらも電気分解が起り、高温保存特性が低下することがある。すなわち、過充電防止剤を添加した電解液において、過充電防止作用と高温保存特性はトレードオフの関係にある。
【0008】
例えば、本発明者らの検討によると、前記したビフェニル類やアルキルベンゼン類は、室温における電池特性に及ぼす影響は小さいが、4.2Vの電圧で85℃以上の高温にすると、電池特性が大幅に低下する実験結果が得られている。また、例えば、本発明者らの検討によると、フッ素原子置換芳香族化合物類は、ビフェニルに比較して、高温保存特性が若干改善されたものの、過充電の防止作用が低くなる実験結果が得られている。これは、フッ素原子置換芳香族化合物類が、ビフェニル類やアルキルベンゼン類よりも酸化電位が若干高いため、高温条件下での電気分解は起り難くなったものの、電池を過充電状態にしたときにも電気分解が起り難くなり、過充電の防止作用が低くなったものと思われる。
【0009】
また、特開平11−162512号公報では、フッ素原子置換芳香族化合物類の添加量は、2.5重量%で十分であると記されている。しかし、本発明者らの検討によると、前述のように、フッ素原子置換芳香族化合物類は、ビフェニルに比較して、過充電の防止作用が若干低いため、フッ素原子置換芳香族化合物類のみで過充電時の電池の安全性を高めるためには、添加量を3重量%以上にすることが必要であり、その場合には、フッ素原子置換芳香族化合類を使用したとしても、高温下での電池特性の劣化が大きくなる。
【0010】
また、電池の高温保存特性を改善する方法として、ビニレンカーボネート類(特許3066126号)やアルケニルエチレンカーボネート類(特開2001−57232号公報)やスルトン類(特開平10−50342号公報)、芳香族スルホン酸エステル類(特開2002−158035号公報)を電解液に添加することが報告されている。これらの方法を、さらに過充電防止剤を添加した電解液に適用することにより、過充電防止剤の高温保存特性を改良することが考えられる。ところが、本発明者の検討によると、過充電防止剤としてビフェニルを使用した電池に、これらの添加剤を使用しても、高温保存特性の改善作用がほとんどなかった。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−162512号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、過充電防止特性に優れ、高温保存特性に優れた非水電解液、およびリチウム二次電池はまだ得られていない。そこで本発明は、過充電防止効果が高く、かつ高温保存特性に優れた非水電解液の提供を目的にする。また本発明は、そのような非水電解液を含み、過充電時の安全性を高めた二次電池の提供を目的にする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、フッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物、その他の非水溶媒およびリチウム含有電解質とからなる電解液であって、フッ素原子置換芳香族化合物は電解液中に0.1〜20重量%、また芳香族炭化水素化合物は電解液中に0.1〜3重量%含有されている非水電解液を提供する。
【0014】
前記のフッ素原子置換芳香族化合物が、フッ素原子置換ナフタレン類、フッ素原子置換フルオレン類、およびフッ素原子置換ビフェニル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である前記非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【0015】
前記の芳香族炭化水素化合物が、アルキル基またはシクロアルキル基置換ベンゼン類およびビフェニル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である前記非水電解液は、本発明の好ましい態様である。
【0016】
また本発明は、前記の電解液が、さらに下記一般式(1)で示されるビニレンカ−ボネ−ト類、下記一般式(2)で示されるアルケニルエチレンカ−ボネ−ト類、および下記一般式(3)で示される不飽和炭化水素基を有するスルトン類、下記一般式(4)で表されるアリール基を有するスルホン酸エステル、飽和炭化水素基を有するスルトン類、およびスルホン酸イミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、電解液中に0.01〜10重量%含有している非水電解液を提供する。これらを、フッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物の混合物と併用した場合は、高温保存特性を大幅に改良することができる。
【0017】
【化5】
Figure 0004281895
[式(1)において、RおよびRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基を表す。]
【0018】
【化6】
Figure 0004281895
[式(2)において、R〜Rは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、または炭素数が2〜12のアルケニル基であって、その内少なくとも一つは炭素数が2〜12アルケニル基である。]
【0019】
【化7】
Figure 0004281895
[式(3)において、R〜R10は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基であって、nは0から3の整数である。]
【0020】
【化8】
Figure 0004281895
[式(4)において、R11〜R16は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、リチウム原子、ハロゲン原子、スルホン酸エステル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸リチウム基、および炭素数1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基からなる群から選ばれる原子または基である。]
【0021】
さらに本発明は、負極、正極および電解液を含む二次電池であって、電解液が前記した非水電解液であるリチウム二次電池を提供する。
【0022】
また本発明は、電池内部のガス圧力が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構を備えている前記のリチウム二次電池を提供する。
【0023】
またさらに本発明は、電池の温度が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構を備えている前記のリチウム二次電池を提供する。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る非水電解液およびその非水電解液を用いたリチウム二次電池について、その構成を具体的に説明する。
本発明の非水電解液は、フッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物、その他の非水溶媒およびリチウム含有電解質とからなる電解液であって、フッ素原子置換芳香族化合物は電解液中に0.1〜20重量%、また芳香族炭化水素化合物は電解液中に0.1〜3重量%含有されている非水電解液である。このような非水電解液は、優れた過充電防止効果を示すと共に、高温保存特性の低下を可能な限り抑制することができる。
【0025】
フッ素原子置換芳香族化合物
本発明に係わる非水電解液の一成分であるフッ素原子置換芳香族化合物は、過充電防止剤として機能する物質であって、芳香族環に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された化合物である。ここで芳香族環を有する化合物とは、π電子の非局在化によって実質的に安定化される環状化合物を示している。
【0026】
そのような化合物の例として、フッ素原子置換ベンゼン類、フッ素原子置換ナフタレン類、フッ素原子置デカリン類、フッ素原子置換フルオレン類、フッ素原子置換ビフェニル類、フッ素原子置換ジフェニルメタン類、フッ素原子置換アントラセン類、フッ素原子置換タ−フェニル類、フッ素原子置換フェニルエ−テル類、フッ素原子置換チオフェン類、フッ素原子置換フラン類、フッ素原子置換ピロ−ル類、フッ素原子置換インド−ル類、フッ素原子置換ピリジン類などを挙げることができる。これらの中でも、フッ素原子置換ナフタレン類、フッ素原子置換フルオレン類およびフッ素原子置換ビフェニル類が、過充電防止効果が高く、かつ高温条件下でも電池特性の劣化が比較的に小さいために好ましく、特にフッ素原子置換ビフェニル類がより好ましい。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
次に、フッ素原子置換ナフタレン類の具体例を挙げる。
(1)フッ素原子置換ナフタレン類:
1−フルオロナフタレン、2−フルオロナフタレン、3−フルオロナフタレン、1,2−ジフルオロナフタレン、1,3−ジフルオロナフタレン、1,4−ジフルオロナフタレン、1,5−ジフルオロナフタレン、1,6−ジフルオロナフタレン、1,7−ジフルオロナフタレン、1,8−ジフルオロナフタレン、2,3−ジフルオロナフタレン、2,6−ジフルオロナフタレン、2,7−ジフルオロナフタレン、1,3,5−トリフルオロナフタレン、1,3,7−トリフルオロナフタレン、1,3,5,7−テトラフルオロナフタレン、ペンタフルオロナフタレン、ヘキサフルオロナフタレン、ヘプタフルオロナフタレン、パ−フルオロナフタレン
【0028】
(2)アルキル基およびフッ素原子置換ナフタレン類:
1−フルオロ−3−メチルナフタレン
(3)アルキルオキシ基およびフッ素原子置換ナフタレン類:
1−フルオロ−3−メトキシナフタレン
(4)塩素原子およびフッ素原子置換ナフタレン類:
1−フルオロ−3−クロロナフタレン
これらのフッ素原子置換ナフタレン類において、その1分子当りのフッ素原子置換数は、2〜4個が望ましい。フッ素原子置換数が前記の範囲内にあると、優れた過充電防止効果を生じると共に、高温保存下での電池特性の劣化が小さくなる。
【0029】
次に、フッ素原子置換フルオレン類の具体例を挙げる。
(1)フッ素原子置換フルオレン類:
1−フルオロフルオレン、2−フルオロフルオレン、3−フルオロフルオレン、4−フルオロフルオレン、9−フルオロフルオレン、1,2−ジフルオロフルオレン、1,3−ジフルオロフルオレン、1,4−ジフルオロフルオレン、1,5−ジフルオロフルオレン、1,6−ジフルオロフルオレン、1,7−ジフルオロフルオレン、1,8−ジフルオロフルオレン、2,3−ジフルオロフルオレン、2,6−ジフルオロフルオレン、2,7−ジフルオロフルオレン、2,8−ジフルオロフルオレン、3,4−ジフルオロフルオレン、3,5−ジフルオロフルオレン、3,6−ジフルオロフルオレン、4,5−ジフルオロフルオレン、9,9−ジフルオロフルオレン、1,3,5−トリフルオロフルオレン、2,3,7−トリフルオロフルオレン、1,3,5,7−テトラフルオロフルオレン、ペンタフルオロフルオレン、ヘキサフルオロフルオレン、ヘプタフルオロフルオレン、パ−フルオロフルオレン
【0030】
(2)アルキル基およびフッ素原子置換フルオレン類:
1−フルオロ−3−メチルフルオレン
(3)アルキルオキシ基およびフッ素原子置換フルオレン類:
1−フルオロ−3−メトキシフルオレン
(4)塩素原子およびフッ素原子置換フルオレン類:
1−フルオロ−3−クロロフルオレン
【0031】
これらのフッ素原子置換フルオレン類において、その1分子当りのフッ素原子置換数は、2〜4個が望ましい。フッ素原子置換数がこの範囲にあると、優れた過充電防止効果が得られ、かつ高温保存下での電池特性の劣化が小さくなる。
【0032】
次に、フッ素原子置換ビフェニル類の具体例を挙げる。
(1)フッ素原子置換ビフェニル類:
2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2,3−ジフルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロビフェニル、2,6−ジフルオロビフェニル、2,2’−ジフルオロビフェニル、2,3’−ジフルオロビフェニル、2,4’−ジフルオロビフェニル、2,5’−ジフルオロビフェニル、2,6’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジフルオロビフェニル、3,4’−ジフルオロビフェニル、3,5’−ジフルオロビフェニル、3,6’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、トリフルオロビフェニル、テトラフルオロビフェニル、ペンタフルオロビフェニル、ヘキサフルオロビフェニル、ヘプタフルオロビフェニル、オクタフルオロビフェニル、ノナフルオロビフェニル、パ−フルオロビフェニル
【0033】
(2)アルキル基およびフッ素原子置換ビフェニル類
2−フルオロ−4−メチルビフェニル、4−フルオロ−2−メチルビフェニル、2−フルオロ−2’−メチルビフェニル
(3)アルキルオキシ基およびフッ素原子置換ビフェニル類
2−フルオロ−4−メトキシビフェニル、4−フルオロ−2−メトキシビフェニル、2−フルオロ−2’−メトキシビフェニル
(4)塩素原子およびフッ素原子置換ビフェニル類
2−フルオロ−4−クロロビフェニル
【0034】
これらのフッ素原子置換ビフェニル類において、その1分子当りのフッ素原子置換数は、1〜3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。フッ素原子置換数が前記の範囲にあると、優れた過充電防止効果が得られる。
【0035】
フッ素原子モノ置換ビフェニル類の場合、そのフッ素原子置換位置は、2位置または4位置が望ましく、さらには2位置が最も望ましい。2位置が置換されると、フッ素原子の電子吸引効果だけでなく立体効果によっても、ビフェニルの電気分解電圧がコントロ−ルされ、高温保存下での電池特性の劣化を可能な限り抑制でき、かつ過充電防止効果を高めることができる。
【0036】
フッ素原子ジ置換ビフェニル類の場合、そのフッ素原子置換位置は、二つの環の2位置または4位置が望ましく、さらには4位置および4’位置が最も望ましい。フッ素原子が前記の置換位置に結合していると、ビフェニルの電気分解電圧が適度にコントロ−ルされ、高温保存下での電池特性の劣化を抑制し、過充電防止効果を高めることができる。
【0037】
前記したフッ素原子置換ビフェニル類の中でも、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニルが好ましく、特に2−フルオロビフェニルが好ましい。
【0038】
芳香族炭化水素化合物
本発明に係わる非水電解液では、その構成成分の一つとして炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物を添加する。それによって、フッ素原子置換芳香族化合物の過充電防止効果をより一層高める効果を得ることができる。そのような芳香族炭化水素化合物として、ベンゼン類、ビフェニル類、タ−フェニル類、ナフタレン類などを挙げることができ、それらは1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
次に、それら芳香族炭化水素化合物の具体例を挙げる。
(1)ベンゼン類:
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン
(2)ビフェニル類:
ビフェニル、2−メチルビフェニル、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル、2,2’−ジメチルビフェニル
(3)タ−フェニル類:
オルトタ−フェニル、メタタ−フェニル、パラタ−フェニル、メチルタ−フェニル
(4)ナフタレン類:
ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン
【0040】
これらの芳香族炭化水素化合物の中でも、アルキル基またはシクロアルキル基置換ベンゼン類とビフェニル類が好ましく、さらにはシクロヘキシルベンゼンとビフェニルがより好ましく、ビフェニルが最も好ましい。これらの化合物を少量添加する場合は、高温保存時の電池特性の低下を最小限にしつつ、フッ素原子置換芳香族化合物の過充電防止効果を高めることができる。
【0041】
その他の化合物
本発明に係わる非水電解液では、先に記した2成分に加えて、さらに一般式(1)で示されるビニレンカ−ボネ−ト類、一般式(2)で示されるアルケニルエチレンカ−ボネ−ト類、一般式(3)で示される不飽和炭化水素基を有するスルトン類、一般式(4)で表されるアリール基を有するスルホン酸エステル、飽和炭化水素基を有するスルトン類、およびスルホン酸イミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を加えることが望ましい。
【0042】
過充電防止剤が、先に示した2成分の場合は、上述の化合物を加えることで、過充電防止剤を添加することで起こる高温保存時の電池特性の低下を大幅に抑制することができる。
上述の化合物として、次に記す化合物を例示することができる。それらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)一般式(1)で示されるビニレンカ−ボネ−ト類
(2)一般式(2)で示されるアルケニルエチレンカ−ボネ−ト類
(3)一般式(3)で示される不飽和炭化水素基を有するスルトン類
(4)一般式(4)で表されるアリール基を有するスルホン酸エステル
(5)飽和炭化水素基を有するスルトン類
(6)スルホン酸イミド
【0043】
ビニレンカ−ボネ−ト類は、次に示す一般式(1)で表される。
【化9】
Figure 0004281895
【0044】
式(1)において、RおよびRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、さらにはフッ素原子がより好ましい。
【0045】
式(1)で表されるビニレンカ−ボネ−ト類の具体例として、ビニレンカ−ボネ−ト、フルオロビニレンカ−ボネ−ト、メチルビニレンカ−ボネ−ト、フルオロメチルビニレンカ−ボネ−ト、エチルビニレンカ−ボネ−ト、プロピルビニレンカ−ボネ−ト、ブチルビニレンカ−ボネ−ト、ジメチルビニレンカ−ボネ−ト、ジエチルビニレンカ−ボネ−ト、ジプロピルビニレンカ−ボネ−トなどを挙げることができる。これらの化合物の内、ビニレンカ−ボネ−トが最も望ましい。
【0046】
アルケニルエチレンカ−ボネ−ト類は、次に示す一般式(2)で表される。
【化10】
Figure 0004281895
【0047】
式(2)において、R〜Rは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、または、炭素数が2〜12のアルケニル基であって、R〜Rの内の少なくとも一つは炭素数が2〜12アルケニル基である。アルケニル基の例として、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基などを挙げることができる。
【0048】
式(2)で表されるアルケニルエチレンカ−ボネ−ト類の具体例として、ビニルエチレンカ−ボネ−ト、プロペニルエチレンカ−ボネ−ト、4,4−ジビニルエチレンカ−ボネ−ト、4,5−ジビニルエチレンカ−ボネ−ト、4−メチル−4−ビニルエチレンカ−ボネ−ト、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカ−ボネ−ト、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカ−ボネ−ト、4−エチル−4−ビニルエチレンカ−ボネ−トなどを挙げることができる。これら化合物の内、ビニルエチレンカ−ボネ−トおよびジビニルエチレンカ−ボネ−トが最も望ましい。
【0049】
不飽和炭化水素基を有するスルトン類は、次に示す一般式(3)で表される。
【化11】
Figure 0004281895
【0050】
式(3)において、R〜R10は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基であって、nは0から3の整数である。
【0051】
式(3)で表される不飽和炭化水素基を有するスルトン類の具体例として、エチレンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン、1,5−ペンテンスルトン、1−メチル−1,3−プロペンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、2−メチル−1,3−プロペンスルトン、3−メチル−1,3−プロペンスルトン、1−トリフルオロメチル−1,3−プロペンスルトンなどを挙げることができる。これらの化合物のうちでも、1,3−プロペンスルトンおよび1,4−ブテンスルトンが最も望ましい。
【0052】
アリール基を有するスルホン酸エステルとしては、次に示す一般式(4)のものが例示される。
【化12】
Figure 0004281895
【0053】
式(4)において、R11〜R16は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、リチウム原子、ハロゲン原子、スルホン酸エステル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸リチウム基、および炭素数1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基からなる群から選ばれる原子または基である。
【0054】
式(4)で表されるアリール基を有するスルホン酸エステル類の具体例として、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンジ(スルホン酸メチル)、ベンゼンジ(スルホン酸エチル)、ベンゼンジ(スルホン酸プロピル)、ベンゼン(スルホン酸メチル)(スルホン酸エチル)、ベンゼンジ(スルホン酸アリル)、ベンゼンジ(スルホン酸ビニル)、ベンゼンジ(スルホン酸エチニル)、ベンゼントリ(スルホン酸メチル)、スルホ安息香酸無水物、スルホ安息香酸ジメチル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンジ(スルホン酸エチル)、トルエントリ(スルホン酸プロピル)、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメチルベンゼンジ(スルホン酸メチル)、トリフルオロメチルベンゼントリ(スルホン酸エチル)、ナフタレンスルホン酸リチウム塩、ベンゼンスルホン酸リチウム塩、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸リチウム塩、ベンゼンジスルホン酸ジリチウム塩、トリフルオロメチルベンゼンジスルホン酸ジリチウム塩、ベンゼントリスルホン酸トリリチウム塩、スルホ安息香酸ジリチウム塩、トルエンスルホン酸リチウム塩、トルエンジスルホン酸ジリチウム塩などを挙げることができる。
これらの化合物の中でも、ベンゼンジ(スルホン酸エステル)が好ましく、特にメタ位置置換のベンゼンジ(スルホン酸エステル)が好ましい。
【0055】
飽和炭化水素基を有するスルトン類として、1、3―プロパンスルトン、1、4―ブタンスルトン、1,5−ペンタンスルトン、1,6−ヘキサンスルトン、1−メチルー1、3―プロパンスルトン、2―メチル1、3―プロパンスルトン、3―メチル1、3―プロパンスルトン、1―メチル−1、4―ブタンスルトン、2―メチル−1、4―ブタンスルトン、3―メチル−1、4―ブタンスルトン、4―メチル−1、4―ブタンスルトンなどを例示することができる。これらのうちで、1、3―プロパンスルトンと1、4―ブタンスルトンが望ましい。
【0056】
スルホン酸イミドとして、N−メチル−ジ(メタンスルホン酸)イミド、N,N−ジメチル−メタンスルホン酸イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド、N−メチル−ジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド、ジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドリチウム塩、N,N−ジメチル−トリフルオロメタンスルホン酸イミド、N−エチル−ジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド、N,N−ジエチル−トリフルオロメタンスルホン酸イミド、N−メチル−ジ(ペンタフルオロエタンスルホン酸)イミド、ジ(ペンタフルオロエタンスルホン酸)イミドリチウム塩、N,N−ジメチル−ペンタフルオロエタンスルホン酸イミド、N−メチル−ジ(パーフルオロプロパンスルホン酸)イミド、N,N−ジメチル−パーフルオロプロパンスルホン酸イミド、N−メチル−ジ(パーフルオロブタンスルホン酸)イミド、N,N−ジメチル−パーフルオロブタンスルホン酸イミドなどを例示することができる。
【0057】
これらの化合物の中でも、ジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド類、ジ(ペンタフルオロエタンスルホン酸)イミド類が好ましく、特にジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドリチウム塩やジ(ペンタフルオロスルホン酸)イミドリチウム塩は、電解質としても作用し、電解液のイオン伝導性を向上させるので望ましい。
【0058】
前記した化合物のうち、一般式(1)で表されるビニレンカ−ボネ−ト類、および一般式(3)で表される不飽和炭化水素基を有するスルトン類が望ましい。具体的には、ビニレンカーボネートと1,3−プロペンスルトンが好ましい。
【0059】
また、一般式(1)で表されるビニレンカ−ボネ−ト類と、一般式(3)で表される不飽和炭化水素基を有するスルトン類とを同時に添加すると、高温保存性の効果が相乗して加わるために好ましく、その一例としてビニレンカーボネートと1,3−プロペンスルトンとの組み合わせを挙げることができる。
【0060】
その他の非水溶媒
本発明に係わる非水電解液は、非水溶媒と電解質とから基本的に構成されており、その非水溶媒は、前記したフッ素原子置換芳香族化合物、および炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物に加えて、通常使用されている非水溶媒を用いる。ここでは、「通常使用されている非水溶媒」を「その他の非水溶媒」と呼び、次に具体的に説明する。
【0061】
使用可能なその他の非水溶媒として、環状の非プロトン性溶媒および/または鎖状の非プロトン性溶媒を挙げることができる。その内、環状の非プロトン性溶媒としては、エチレンカ−ボネ−トのような環状カ−ボネ−ト、γ−ブチロラクトンのような環状エステル、スルホランのような環状スルホン、ジオキソランのような環状エ−テルを例示することができる。また鎖状の非プロトン性溶媒としては、ジメチルカ−ボネ−トのような鎖状カ−ボネ−ト、プロピオン酸メチルのような鎖状カルボン酸エステル、ジメトキシエタンのような鎖状エ−テルを例示することができる。
【0062】
電池の負荷特性や低温特性の向上を特に意図した場合には、環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒とを混合して用いることが望ましい。また、電解液の電気化学的安定性を重視する場合には、環状の非プロトン性溶媒として環状カ−ボネ−トを、鎖状の非プロトン性溶媒として鎖状カ−ボネ−トを選択して混合使用することが望ましい。
【0063】
環状カ−ボネ−トの例として、エチレンカ−ボネ−ト、プロピレンカ−ボネ−ト、1,2−ブチレンカ−ボネ−ト、2,3−ブチレンカ−ボネ−ト、1,2−ペンチレンカ−ボネ−ト、2,3−ペンチレンカ−ボネ−トを挙げることができる。誘電率の高いエチレンカ−ボネ−トとプロピレンカ−ボネ−トは、好適である。負極活物質に黒鉛を使用する場合には、特にエチレンカ−ボネ−トが好ましい。これら環状カ−ボネ−トは、2種類以上を混合使用してもよい。
【0064】
鎖状カ−ボネ−トの例として、ジメチルカ−ボネ−ト、メチルエチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、メチルプロピルカ−ボネ−ト、メチルイソプロピルカ−ボネ−ト、ジプロピルカ−ボネ−ト、メチルブチルカ−ボネ−ト、ジブチルカ−ボネ−ト、エチルプロピルカ−ボネ−ト、メチルトリフルオロエチルカ−ボネ−トを挙げることができる。粘度の低いジメチルカ−ボネ−ト、メチルエチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−トは好適に使用できる。これら鎖状カ−ボネ−トは、2種類以上を混合使用してもよい。
【0065】
環状カ−ボネ−トと鎖状カ−ボネ−トとの混合割合(環状カ−ボネ−ト:鎖状カ−ボネ−ト)は、重量比で表して、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは5:95〜70:30、さらに好ましくは10:90〜60:40である。このような混合割合の範囲内であると、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるので、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
【0066】
一方、電池の火災安全性向上の観点から溶媒の引火点を高くする場合には、その他の非水溶媒として、環状の非プロトン性溶媒を単独で使用するか、あるいは鎖状の非プロトン性溶媒の混合割合をその他の非水溶媒全体に対して20重量%以下に調整することが望ましい。
【0067】
この場合の環状の非プロトン性溶媒としては、特に、エチレンカ−ボネ−ト、プロピレンカ−ボネ−ト、スルホラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルオキサゾリノンから選ばれる1種またはこれらを組み合わせて用いることが望ましい。具体的な溶媒の組み合わせとしては、エチレンカ−ボネ−トとスルホラン、エチレンカ−ボネ−トとプロピレンカ−ボネ−ト、エチレンカ−ボネ−トとγ−ブチロラクトン、エチレンカ−ボネ−トとプロピレンカ−ボネ−トとγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
【0068】
鎖状の非プロトン性溶媒をその他の非水溶媒全体に対して20重量%以下の割合で使用する場合には、鎖状の非プロトン性溶媒として、鎖状カ−ボネ−ト、鎖状カルボン酸エステル、鎖状リン酸エステルを使用することができる。特に、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジプロピルカ−ボネ−ト、ジブチルカ−ボネ−ト、ジヘプチルカ−ボネ−ト、ジオクチルカーボネート、メチルエチルカ−ボネ−ト、メチルプロピルカ−ボネ−ト、メチルブチルカ−ボネ−ト、メチルヘプチルカ−ボネ−ト、メチルオクチルカーボネートなどの鎖状カ−ボネ−トが望ましい。環状カ−ボネ−トと鎖状カ−ボネ−トとの混合割合(環状カ−ボネ−ト:鎖状カ−ボネ−ト)は、重量比で表して、80:20〜99.5:0.5が望ましく、さらには90:10〜99:1が望ましい。
【0069】
その他の非水溶媒には、本発明の目的から逸脱しない範囲内で前記以外の溶媒を含んでいてもよい。そのような溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、メチル−N,N−ジメチルカ−バメ−トなどの鎖状カ−バメ−ト類、N−メチルピロリドンなどの環状アミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア類、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリブチル、ほう酸トリオクチル、ほう酸トリ(トリメチルシリル)などのホウ酸エステル類、、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリス(トリメチルシリル)のような鎖状リン酸エステルおよびエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジメチルエ−テルのようなエチレングリコ−ル誘導体などを例示することができる。
【0070】
リチウム含有電解質
本発明の非水電解液に使用可能なリチウムを含有する電解質としては、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、特に制限されることなくいずれをも使用することができる。
【0071】
電解質の具体例として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF{C(2k+1)(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)などのリチウム塩が挙げられる。
【0072】
また、次の一般式で示されるリチウム塩も使用することができる。すなわち、LiC(SO17)(SO18)(SO19)、LiN(SOOR20)(SOOR21)、LiN(SO22)(SOOR23)、LiN(SO24)(SO25)。ここで、R17〜R25は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、炭素数1〜8のパ−フルオロアルキル基である。
これらの内、特に、LiPF、LiBF、およびLiN(SO24)(SO25)が好ましい。
【0073】
なお、ここで例示した化合物の中には前記したスルホン酸イミドと部分的に重複しているものがあるが、それらの化合物は、電解質として作用すると同時に、非水電解液の高温条件下における電池特性の劣化を抑制する効果を併せ持っているので、いずれの目的で使用してもよく、リチウム含有電解質として使用することが望ましい。
【0074】
これらのリチウム塩は単独で使用してもよいし、また2種類以上を混合して使用してもよい。2種類以上を混合して使用する組み合わせとしては、LiPFとLiBF、LiPFとLiN(SO24)(SO25)、LiBFとLiN(SO24)(SO25)、およびLiPFとLiBFとLiN(SO24)(SO25)が例示される。
【0075】
非 水 電 解 液
本発明に係わる非水電解液は、その構成成分として、フッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物、およびその他の非水溶媒とを含む非水溶媒、およびリチウム含有電解質とを少なくとも含有している。
【0076】
フッ素原子置換芳香族化合物の含有量は、電解液全体に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは3〜20重量%、さらには3〜10重量%が望ましい。この範囲内であると、高い過充電防止効果が得られると共に、高温保存特性の低下が最小限に抑えられ、また電解液のリチウムイオン伝導度の低下がほとんどないので電池の負荷特性を良好に保つことができる。
【0077】
炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物の含有量は、電解液全体に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%が望ましい。この範囲内であると、フッ素原子置換芳香族化合物との相乗効果によって、優れた過充電防止効果が得られ、また高温保存時の電池特性の低下も最小限に抑制される。
【0078】
またリチウム含有電解質は、好ましくは0.1〜3モル/リットル、より好ましくは0.5〜2モル/リットルの濃度で非水電解液中に含まれていることが望ましい。それによって、良好な負荷特性、低温特性などの電気特性を得ることができる。
【0079】
本発明に係わる非水電解液の一態様として、前記したフッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物、その他の非水溶媒および電解質を含む基本構成に加えて、さらに前述の「その他の化合物」を添加した構成へと変えることができる。その含有量は、電解液全体に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%が望ましい。添加量がこの範囲内にあると、前記した過充電防止剤を添加したときに起る高温保存時における電池特性の低下を大幅に抑制することができる。
【0080】
前述した構成の本発明に係る非水電解液は、リチウム二次電池用の非水電解液として好適であるばかりでなく、一次電池用の非水電解液、電気化学キャパシタ用の非水電解液、電気二重層キャパシタやアルミ電解コンデンサ用の非水電解液としても用いることができる。
【0081】
二 次 電 池
本発明に係るリチウム二次電池は、負極、正極、それらを互いに分離するセパレ−タ−、および前記した非水電解液とから基本的に構成されている。
【0082】
負極を構成する負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、またはリチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属窒素化合物、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な炭素材料、あるいはこれらの混合物のいずれをも用いることができる。
【0083】
炭素材料としては、カ−ボンブラック、活性炭、人造黒鉛、天然黒鉛、非晶質炭素材料などを挙げることができる。その形態は繊維状、球状、ポテト状、フレ−ク状などのいずれであってもよい。 非晶質炭素材料として、具体的にはハ−ドカ−ボン、コ−クス、1500℃以下で焼成したメソカ−ボンマイクロビ−ズ(MCMB)、メソフェ−ズピッチカ−ボンファイバ−(MCF)などを例示することができる。黒鉛材料としては、天然黒鉛、黒鉛化コ−クス、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなど、またホウ素を含有するもの、さらに金、白金、銀、銅、Sn、Siなど金属で被覆したもの、あるいは非晶質炭素で被覆したものなどを使用することができる。これらの炭素材料は、1種類を使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて混合使用してもよい。また、導電助剤として、カーボンブラック、アモルファスウイスカーカーボンなどを加えて使用してもよい。
【0084】
炭素材料としては、特にX線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましく、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛またはそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が望ましい。このような炭素材料を使用すると、電池のエネルギ−密度を高くすることができる。
【0085】
正極を構成する正極活物質としては、FeS、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属硫化物または遷移金属酸化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−X)、LiNiCoMn(1−x−y)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾ−ル・ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料、フッ素化炭素、活性炭などの炭素材料などを挙げることができる。
【0086】
これらの中でも、特にリチウムと遷移金属との複合酸化物は過充電時の電池電圧の増加が大きいので、過充電防止剤を電気分解させやすく好ましい。正極活物質は1種類を使用してもよいし、2種類以上を混合使用してもよい。正極活物質は通常導電性が十分でないために、導電助剤をともに使用して正極を構成する。そのような導電助剤としては、カ−ボンブラック、アモルファスウィスカ−カ−ボン、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
【0087】
セパレ−タは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよく、多孔性膜や高分子電解質が使用される。多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステルなどが例示される。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、または多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。これら多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れた他の樹脂がコ−ティングされていてもよい。
【0088】
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子物質や、電解液で膨潤した高分子物質などが挙げられる。本発明の非水電解液は、高分子物質を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
【0089】
このような構成のリチウム二次電池は、円筒型、コイン型、角型、フィルム型、その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は形状によらずほぼ同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
【0090】
本発明に係わるリチウム二次電池には、非水電解液の持つ過充電防止効果を発揮させるために、電池内部のガス圧力が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構、および/または電池の温度が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構を備えていることが好ましい。
【0091】
一般に電池を過充電すると、電解液が電気分解されてガスおよび熱を発生する。前記した電流遮断機構は、このガスおよび/または熱を検知して電池の充電を遮断し、電池が過充電されることを防止する機構である。本発明に係わる非水電解液は、電池の電圧が一定値以上に高くなると電気分解されて電池の充電をそれ以上進めない機能の他に、この電気分解時にガスおよび熱が発生することから、電流遮断機構を早く作動させることができる。従って、電池の過充電時の安全性をより一層高めることができる。
【0092】
電池内部のガス圧力が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構としては、電池の内圧が上昇することによって変形して充電電流接点が切れる機構、電池の内圧をセンサ−で検知して充電を停止する外部回路、電池の内圧による電池の変形をセンサ−で検知して充電を停止する外部回路、電池の内圧が上昇することによって変形して正極と負極とを短絡させて電池が充電されないようにする機構などを例示することができる。この内、電池の内圧が上昇することによって変形して充電電流の接点が切れる機構は、シンプルな構造であってかつ効果が高いので好ましい。
【0093】
電池の温度が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構としては、電池の温度上昇をセンサ−で検知して充電を停止する外部回路、電池の温度が上昇すると溶融して目詰まりを起こしイオンの通過を阻止するセパレ−タ−、電池の温度が上昇すると電池の不活性化物質を放散するカプセル類、電池の温度が上昇すると電気抵抗が上昇する素子、電池の温度が上昇すると溶融して充電電流の接点が切れる機構、電池の温度が上昇すると電気抵抗が上昇する導電材を含んだ電極などを例示することができる。
【0094】
次に、円筒型およびコイン型電池の構造の一例について説明するが、各電池を構成する負極活物質、正極活物質およびセパレ−タは、前記したものを共通して使用することができる。
【0095】
円筒型リチウム二次電池では、銅箔などの負極集電体に負極活物質を塗布した負極と、アルミニウム箔などの正極集電体に正極活物質を塗布した正極とを、非水電解液を注入したセパレ−タを介して巻回し、巻回体の上下に絶縁板を載置した状態で電池缶に収納されている。そして、電池の内圧が上昇すると変形して切れる電流接点や、電池の温度が上昇すると電気抵抗が上昇する素子が取り付けられた封口体を用いて、電池缶に蓋をして電池缶の端部をかしめた構造になっている。
【0096】
コイン型リチウム二次電池では、円盤状負極、非水電解液を注入したセパレ−タ、円盤状正極、必要に応じて、ステンレスまたはアルミニウムなどのスペ−サ−板が、この順序に積層された状態でコイン型電池缶に収納されている。また、電池の内圧による電池の変形を検知する歪みゲ−ジなどが取り付けられていてもよい。
【0097】
【実施例】
次に実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0098】
1.電池の作製
<非水電解液の調製>
非水溶媒として、エチレンカ−ボネ−ト(EC)とメチルエチルカ−ボネ−ト(MEC)とをEC:MEC=4:6(重量比)の割合で混合し、次に電解質であるLiPFを前記した非水溶媒に溶解し、電解質濃度が1.0モル/リットルになるように非水電解液を調製した。
【0099】
次にこの非水電解液に対して、表1に記載した各種の化合物を所定量添加し、19種類の電解液を調製した。
なお、表1において、添加剤の種類を次のように略して記した。
FBP:2−フルオロビフェニル、
BP:ビフェニル、
VC:ビニレンカ−ボネ−ト、
PES:1,3−プロペンスルトン、
DPM:ジフェニルメタン、
CHB:シクロヘキシルベンゼン、
BD:メタベンゼンジスルホン酸ジメチルエステル、
TF:ジ(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドリチウム
PS:1,3−プロパンスルトン
また、カッコ内の数値は、各化合物の電解液中における含有量を重量%で示した値である。
【表1】
Figure 0004281895
【0100】
<負極の作製>
メソカーボンマイクロビーズ(大阪ガス(株)製 MCMB10−28)74重量部、天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製 LF18A)20重量部、および結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)6重量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリジノンに分散させて負極合剤スラリ−を調製した。次に、この負極合剤スラリ−を厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し、乾燥した。
【0101】
<正極の作製>
LiCoO(本荘FMCエナジ−システムズ(株)製 HLC−22)82重量部、導電剤の黒鉛7重量部、アセチレンブラック3重量部、および結着剤のポリフッ化ビニリデン8重量部を混合し、溶剤のN−メチルピロリドンに分散させてLiCoO合剤スラリ−を調製した。このLiCoO合剤スラリ−を厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、乾燥した。
【0102】
<コイン型電池の作製>
コイン型電池用負極には、前記の負極を圧縮成型し、直径14mmの円盤状に打ち抜いてコイン状の負極を得た。負極合剤の厚さは70μm、重量は20mg/14mmφであった。
コイン型電池用正極には、前記の正極を圧縮成型し、直径13.5mmの円盤状に打ち抜いてコイン状のLiCoO正極を得た。LiCoO合剤の厚さは70μm、重量は42mg/13.5mmφであった。
直径14mmの負極、直径13.5mmの正極、および厚さ25μmで直径16mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレ−タを、ステンレス製の2032サイズの電池缶内に負極、セパレ−タ−、正極の順序で積層した。その後、セパレ−タに前記の非水電解液0.04mlを注入し、さらにアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)およびバネを収納した。最後に、ポリプロピレン製のガスケットを介して電池缶蓋をかしめることによって電池内の気密性を保持し、直径20mm、高さ3.2mmのコイン型電池を作製した。
【0103】
<ラミネ−ト電池の作製>
前記したと同一の電極を使用して寸法21mm×21mmの負極、および寸法20mm×20mmの正極を切り出し、幅25mm×長さ50mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレ−タを介して対向させて電極体とした。この電極体を、アルミニウムラミネ−トフィルム(昭和ラミネ−ト工業(株)製)で作製した筒状の袋に、正極と負極の両リ−ド線が片方の開放部から引き出されるように収容し、そしてリ−ド線が引き出された側を熱融着して閉じた。次に、電解液0.15mlを電極体に注入して含浸させ、その後、残った開放部を熱融着して電極体を袋中に密封し、ラミネ−ト電池を得た。
【0104】
2.電池特性の評価
<過充電防止効果の評価方法1:過充電時のガス発生量の測定>
前述のラミネ−ト電池を4.1Vに充電し、45℃で24時間保存後、4.2Vから3.0Vの充放電を行い、電池の容量を確認した。このときの電池の容量は10mAhであった。この電池を5mAの定電流で5時間充電し、電池を過充電させた。
過充電前の電池の容積と過充電後の電池の容積とを測定し、その差分から過充電時の発生ガス量を測定した。測定に使用した電解液の種類と過充電時に発生したガス量の測定結果を表2に示した。
【0105】
<過充電防止効果の評価方法2:電解液の酸化電流の測定>
電解液の酸化電圧は、グローブボックス中にて、電解液を80℃に加熱した状態で、作用極をグラッシーカーボン、対極および参照極を金属リチウムとし、3V〜5Vの範囲にて、10mV/secでサイクリックボルタンメトリーを行い測定した。80℃で測定を行ったのは、電池を過充電すると、電解液の電気分解熱により電池は発熱するため、高温での電解液の酸化電流が実効的に重要であるためである。測定に使用した電解液の種類と、4.65Vのときの酸化電流値を表3に示した。
【0106】
<高温保存特性の評価方法>
前述のコイン型電池を4.1Vに充電し、45℃で7日間保存後、4.2Vから3.0Vの充放電を行い、電池の容量を確認した。このときの電池の容量は5mAhであった。コイン型電池の保存試験は、同じ電池について、電池を4.1Vに充電後45℃で7日間保存する条件(「エ−ジング」と呼ぶ)と、電池を4.2Vに充電後85℃で3日間保存する条件(「高温保存」と呼ぶ)との2条件で続けて行った。
保存前後での電池の「5mA放電容量」を測定し、その後「放電容量比」を算出し、その結果から高温保存特性の評価を行った。測定に使用した電解液の種類と、高温保存特性の評価結果を表4に示した。
「放電容量比」は、保存後(エ−ジング後または高温保存後)の5mA放電容量を未保存時の5mA放電容量に対する比率で表し、それぞれエ−ジング後の放電容量比、高温保存後の放電容量比とした。
放電容量比=(C/D) ×100 (%)
C=保存後の5mA放電容量
D=未保存時の5mA放電容量
ここで、電池の「5mA放電容量」は、コイン型電池を4.2Vに充電後、5mAの電流で放電させたときの放電容量である。
【0107】
<結果>
【表2】
Figure 0004281895
【0108】
【表3】
Figure 0004281895
【0109】
表2および表3の結果より、フッ素原子置換芳香族化合物(2−フルオロビフェニル)および炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物(ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン)の両化合物を加えた電解液は、過充電時のガス発生量が多く(実施例1〜4)、酸化電流値はフッ素原子置換芳香族化合物単独の場合(比較例5)よりも大幅に高くなった(実施例5〜9)。従ってこの電解液は、電池内の圧力に連動して充電を停止する機構を備えた電池に適用すると、過充電時の安全性を高めた電池が得られることを示している。
【0110】
また、実施例1〜3の実験を熱量計(セタラム社 C−80)内で行い、電池からの発熱量を測定したところ、添加剤を含まない電解液(比較例1)よりも多くの発熱が起こっていることを確認した。従って、この電解液は、特に、電池内の温度に連動して充電を停止する機構を有する電池に適用すると、過充電時の安全性を高め、高温保存時の劣化が小さい電池が得られることを示している。
【0111】
【表4】
Figure 0004281895
【0112】
表4の結果より、フッ素原子置換芳香族化合物および炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物の両化合物を含む電解液(実施例10、11、12)は、フッ素原子置換芳香族化合物のみを添加した電解液(比較例8)と比べて、高温保存特性の低下が最小限に抑えられていることが分かる。これに対して、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物のみを含む電解液(比較例9)は、高温保存特性が大幅に劣化した。
【0113】
また、さらに、前述の「その他の化合物」をさらに添加した電解液(実施例13〜20)は、高温保存特性がさらに向上しており、過充電防止剤を含まない電解液(比較例7)と比較しても、優れた高温保存特性を示した。これに対して、過充電防止剤が炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物だけの場合は、「その他の化合物」をさらに添加した電解液でも高温保存特性の改善度は低い(比較例12)、あるいは全く改善されなかった(比較例10、11)。
【0114】
【発明の効果】
本発明に係わる非水電解液は、過充電時に発生するガス量が多く、酸化電流が多く流れることから高い過充電防止効果が得られる。また、コイン電池での高温保存試験結果から高温保存特性に優れている。従って、この非水電解液を含むリチウム二次電池は、過充電したときの安全性が高められており、また高温保存特性にも優れている。また、この非水電解液を電池の内圧および/または温度に連動して充電を停止する機構を備えた電池に適用すると、電池の過充電時における安全性が高く、高温保存時の劣化が小さい電池を得ることができる。

Claims (6)

  1. フッ素原子置換ナフタレン類、フッ素原子置換フルオレン類、およびフッ素原子置換ビフェニル類から選ばれる少なくとも1種のフッ素原子置換芳香族化合物、炭素原子と水素原子のみからなる芳香族炭化水素化合物、その他の非水溶媒およびリチウム含有電解質とからなる電解液であって、フッ素原子置換芳香族化合物は電解液中に0.1〜20重量%、また芳香族炭化水素化合物は電解液中に0.1〜3重量%含有されていることを特徴とする非水電解液。
  2. 前記の芳香族炭化水素化合物が、アルキル基またはシクロアルキル基置換ベンゼン類およびビフェニル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  3. 請求項1に記載の電解液は、さらに下記一般式(1)で示されるビニレンカ−ボネ−ト類、下記一般式(2)で示されるアルケニルエチレンカ−ボネ−ト類、下記一般式(3)で示される不飽和炭化水素基を有するスルトン類、下記一般式(4)で表されるアリール基を有するスルホン酸エステル、飽和炭化水素基を有するスルトン類、およびスルホン酸イミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、電解液中に0.01〜10重量%含有していることを特徴とする非水電解液。
    Figure 0004281895
    [式(1)において、RおよびRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基を表す。]
    Figure 0004281895
    [式(2)において、R〜Rは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、または炭素数が2〜12のアルケニル基であって、その内少なくとも一つは炭素数が2〜12のアルケニル基である。]
    Figure 0004281895
    [式(3)において、R〜R10は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基であって、nは0から3の整数である。]
    Figure 0004281895
    [式(4)において、R11〜R16は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、リチウム原子、ハロゲン原子、スルホン酸エステル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸リチウム基、および炭素数1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基からなる群から選ばれる原子または基である。]
  4. 負極、正極および電解液を含む二次電池であって、電解液が請求項1〜のいずれかに記載の非水電解液であることを特徴とするリチウム二次電池。
  5. 電池内部のガス圧力が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構を備えていることを特徴とする請求項に記載のリチウム二次電池。
  6. 電池の温度が所定値以上になると充電を遮断する電流遮断機構を備えていることを特徴とする請求項に記載のリチウム二次電池。
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