JP6044839B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関し、詳しくはガス発生剤を含む非水電解液と電流遮断機構とを備えたリチウムイオン二次電池に関する。
例えば、リチウムイオン二次電池は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵・放出可能なカーボン系材料などを用い、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用い、有機溶媒にリチウム塩を溶解した電解液が用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池は、過充電状態になると、正極からリチウムが過剰に放出され、負極ではリチウムが過剰に挿入される。このため、正極と負極の両極が熱的に不安定になる。正極と負極の両極が熱的に不安定になると、やがては電解液の有機溶媒が分解され、急激な発熱反応が生じて電池が異常に発熱し、電池の安全性が損なわれる。かかる問題に対して、例えば、特許文献1には、電池内部のガス圧力が所定圧力以上になると充電を遮断する電流遮断機構を電池容器に備え、電解液中に予め定められた過充電状態に達するとガスを発生させるガス発生剤を添加したリチウムイオン二次電池が開示されている。ここで開示されたリチウムイオン二次電池は、過充電状態になると、電解液に添加されたガス発生剤が重合反応を開始してガスを発生させるようになる。過充電状態がさらに続くと、ガスの発生量が増大し、電池ケース内の圧力が高くなり、電流遮断封口板が作動して過充電電流を遮断する。これにより、電池を物理的に停止させることができる。
特開2012―109219号公報
ところで、リチウムイオン二次電池の正極活物質を構成する複合酸化物としては、層状岩塩型(layered rocksalt)やスピネル型(spinel)等の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物が挙げられる。例えば、リチウム(Li)と少なくとも一種の遷移金属元素を含む、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、あるいは上記結晶構造のリチウム以外の金属サイトにニッケル、コバルト、マンガンの各原子が配置されたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が例示される。特にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は固層中に二価のニッケル、三価のコバルト、四価のマンガンが規則的に配置する格子構造を有し、熱安定性に優れ、高エネルギー密度が得られるものとして注目されている。
しかしながら、上記リチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いた場合、リチウム含有複合酸化物が雰囲気中の微量水分と反応し、電池内に水酸化リチウム(LiOH)が生じる虞があった。かかるアルカリまたは水酸基(OH基)の存在がガス発生剤におけるガス発生量の減少に影響していると推測される。ガス発生量が減少すると、電流遮断機構の作動が遅れる要因となり得る。電流遮断機構は、予め定められた条件になると短時間で作動することが望ましい。本発明は上記課題を解決するものである。
上記課題を解決するべく、ここで提案されるリチウムイオン二次電池は、電池ケースと、前記電池ケースに収容された電極体と、前記電池ケースに設けられ、前記電極体に接続された外部端子と、前記電池ケースに収容され、予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含む非水電解液と、前記電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に高くなると、前記電極体と前記外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構と、を備えている。前記電極体は、正極、負極およびセパレータを備える。また、前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体に保持され、正極活物質を含む正極活物質層と、を備える。ここで前記正極、負極およびセパレータのうちの少なくとも一つは、親水性官能基が存在する親水性部位を有する。そして、前記正極活物質層を水に浸漬したときに該正極活物質層から溶出する水酸化リチウム(以下、「可溶LiOH」ともいう。)の量が、中和滴定に基づく該正極活物質層中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%となるように設定されている。
なお、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に、リチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「正極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(すなわちリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な正極側の物質をいう。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池では、正極、負極およびセパレータのうちの少なくとも一つが親水性官能基の存在する親水性部位を有し、かつ、正極活物質層から溶出可能な可溶LiOH量が上記所定の割合に設定されているので、正極活物質の電子伝導性を高めつつ、ガス発生剤によるガス発生量をより適切に確保できる。そのため、出力特性を高く保ちつつ、電流遮断機構を適切に作動させうる。
上記可溶LiOH量が0.014質量%よりも少なすぎる場合には、正極活物質の電子伝導性を高める効果が十分に発揮され難くなり、電池抵抗が増大する場合があり得る。他方、可溶LiOH量が0.035質量%よりも多すぎる場合には、正極活物質層から溶出した水酸化リチウムによりガス発生剤の反応が阻害され、過充電時におけるガス発生量の低下を招く場合があり得る。
ここで、上記可溶LiOH量は、本発明に係る正極活物質層を水に分散させ、この分散液に塩化バリウムを加えることにより炭酸系イオンを炭酸バリウムとして除去した後、塩酸で滴定して遊離のアルカリ成分を定量することにより求めることができる。上記滴定においては、pH9付近の第一中和点(変曲点)を、典型的には電位差計を用いて判断するとよい。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様では、前記親水性官能基として、酸素原子(O)を含む極性官能基を有する。酸素原子を含む極性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アルデヒド基、ケト基などが挙げられる。特にカルボキシル基が好ましい。これら極性官能基を親水性部位に導入することによって、電池内に存在する水分を効率よく(例えば、より高濃度に)吸着することができる。したがって、正極活物質層からの水酸化リチウムの溶出をより効果的に抑制し得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様では、前記親水性官能基は、コロナ放電処理により前記親水性部位に導入されている。このことによって、カルボキシル基や水酸基等の親水性向上効果の高い極性官能基をより効率よく(例えば、より高密度に)導入することができる。したがって、上記親水性をより効果的に向上させることができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様では、前記正極活物質は、少なくともリチウム(Li)とニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを構成金属元素とする複合酸化物により構成されている。このようにリチウム(Li)とニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを構成金属元素とする複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」と呼称する場合もある)を正極活物質として採用することにより、出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様では、前記正極活物質を構成する複合酸化物は、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とのモル比(Ni/Mn)が、1.1≦(Ni/Mn)≦1.7、好ましくは1.1≦(Ni/Mn)≦1.5となるように形成されている。このようにニッケルの含有率が高いモル組成比を有する複合酸化物を正極活物質として採用することにより、出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
好ましくは、前記正極活物質を構成する複合酸化物は、以下の一般式:
LiNiMnMe (1)
(式(1)中のx,a,bおよびcは、
0.99≦x≦1.12、
0.9≦a+b+c≦1.1
1.1≦a/b≦1.7
0≦c≦0.4を全て満足する数であり、
Meは、存在しないか若しくはCo、Mg、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Mo、W、B及びAlから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。)で示される複合酸化物として規定される。
上記複合酸化物は、リチウムのモル比xが0.99≦x≦1.12(好ましくは1<x≦1.12、より好ましくは1.05≦x≦1.1)であって、化学量論組成よりも過剰量のリチウムを含み得る結晶構造を有し、また、リチウム(Li)以外の構成金属元素としてニッケル(Ni)とマンガン(Mn)を含んでいる。さらに、微少含有金属元素として、コバルト(Co)及び/又はMe元素を含み得る。
特に、式(1)中のa及びbが、1.1≦a/b≦1.7(さらには1.1≦a/b≦1.3)を満足する数であることが好ましい。このようなa/bの値、即ちニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とのモル組成比(原子比)Ni/Mnが、1.1以上1.7以下(より好ましくは1.1以上1.5以下)であることにより、正極活物質の電子伝導性が向上し、出力特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。aは、0.33≦a≦0.4を満足する数であることがさらに好ましい。またbは、0.25≦b≦0.33を満足する数であることが特に好ましい。
なお、本明細書中のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を示す化学式では、便宜上、O(酸素)の組成比を2として示しているが厳密ではなく、多少の組成の変動(典型的には1.95以上2.05以下の範囲に包含される)を許容するものである。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面図である。 リチウムイオン二次電池に内装される捲回電極体を示す図である。 可溶LiOH量とIV抵抗との関係を示すグラフである。 可溶LiOH量と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。 モル組成比(Ni/Mn)とIV抵抗との関係を示すグラフである。 モル組成比(Ni/Mn)と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。 可溶LiOH量と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。 Mサイト占有率と可溶LiOH量との関係を示すグラフである。 Mサイト占有率と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。 リチウムイオン二次電池を搭載した車両を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る二次電池を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
以下では捲回タイプの電極体(以下「捲回電極体」という。)と非水電解液とを角形(ここでは、直方体の箱形状)のケースに収容した形態のリチウムイオン二次電池を例に挙げる。なお、電池構造は、図示例に限定されず、特に、角形電池に限定されない。
図1は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池100に内装される捲回電極体200を示す図である。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、図1に示すような扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)300に構成されている。リチウムイオン二次電池100は、図2に示すように、扁平形状の捲回電極体200が、図示しない液状電解質(電解液)とともに、電池ケース300に収容されている。
《電池ケース300》
電池ケース300は、一端(電池100の通常の使用状態における上端部に相当する。)に開口部を有する箱形(すなわち有底直方体状)のケース本体320と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ矩形状プレート部材からなる封口板(蓋体)340とから構成される。
電池ケース300の材質は、従来の密閉型電池で使用されるものと同じであればよく、特に制限はない。軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース300が好ましく、このような金属製材料としてアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に係る電池ケース300(ケース本体320および封口板340)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。
図1に示すように、封口板340には外部接続用の正極端子420および負極端子440が形成されている。封口板340の両端子420、440の間には、電池ケース300の内圧が所定レベル(例えば設定開弁圧0.3〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成された薄肉の安全弁360と、注液口350が形成されている。なお、図1では、当該注液口350が注液後に封止材352によって封止されている。
《捲回電極体200(電極体)》
捲回電極体200は、図2に示すように、長尺なシート状正極(正極シート220)と、該正極シート220と同様の長尺シート状負極(負極シート240)とを計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータ262,264)とを備えている。
《正極シート220》
正極シート220は、帯状の正極集電箔221と正極活物質層223とを備えている。正極集電箔221には、例えば、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、正極集電箔221として、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔が用いられている。正極集電箔221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、正極集電箔221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電箔221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質粒子と導電材とバインダが含まれている。
≪導電材≫
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。導電材としては、このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ≫
また、バインダは、正極活物質層に含まれる正極活物質粒子と導電材の各粒子を結着させたり、これらの粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
≪増粘剤、溶媒≫
正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質粒子と導電材とバインダを溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダとして例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
《負極シート240》
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電箔241と負極活物質層243とを備えている。負極集電箔241には、例えば、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、負極集電箔241には、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電箔241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電箔241の両面に保持されている。負極活物質層243には、負極活物質粒子が含まれている。ここでは、負極活物質層243は、負極活物質粒子を含む負極合剤を負極集電箔241に塗布し、乾燥させ、予め定められた厚さにプレスすることによって形成されている。
《負極活物質粒子》
負極活物質層243に含まれる負極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボンなどの炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物などが挙げられる。また、上記セパレータシートの好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。
《セパレータ262、264》
セパレータ262、264は、図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
なお、図2に示す例では、セパレータ262、264は、シート状の部材で構成されている。セパレータ262、264は、正極活物質層223と負極活物質層243とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。従って、シート状の部材に限定されない。セパレータ262、264は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層223または負極活物質層243の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
《電解液(非水電解液)》
電解液(非水電解液)としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。
《ガス発生剤》
この実施形態では、非水電解液には、例えば、電池電圧が予め定められた電圧以上になると反応し、ガスを発生させるガス発生剤が含まれている。かかるガス発生剤としては、例えば、シクロヘキシルベンゼン(CHB)やビフェニル(BP)などを用いることができる。シクロヘキシルベンゼン(CHB)とビフェニル(BP)は、例えば、例えば、凡そ4.35Vから4.6V程度の過充電時において、以下のような重合反応が活性化し、ガス(ここでは、水素ガス)を発生させる。
・シクロヘキシルベンゼン(CHB)
n[C1216]→(C1214+nH
・ビフェニル(BP)
n[C1210]→(C12+nH
非水電解液に対するガス発生剤の添加量は、例えば、凡そ0.05wt%以上4.0wt%以下にするとよい。なお、ガス発生剤の添加量は、これに限定されず、予め定めた条件で所定量のガスが生じるように調整するとよい。また、ガス発生剤は、シクロヘキシルベンゼン(CHB)とビフェニル(BP)に限定されない。ここで、(C1214または(C12は、ガスが発生する重合反応において重合膜として生成されうる。
《捲回電極体200の取り付け》
この実施形態では、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電箔221の未塗工部222と負極集電箔241の未塗工部242は、それぞれセパレータ262、264の両側においてらせん状に露出している。この実施形態では、図1に示すように、未塗工部222(242)の中間部分は、寄せ集められ、電池ケース300の内部に配置された電極端子420、440(内部端子)の集電タブ420a、440aに溶接されている。このような捲回電極体200では、捲回軸WLの軸方向から電解液が捲回電極体200の内部に浸入する。
《電流遮断機構460》
また、このリチウムイオン二次電池100は、上述のように、電解液にガス発生剤が添加されており、例えば、凡そ4.35Vから4.6V程度の過充電時にガスが発生し、電池ケース内の圧力が高くなる。電流遮断機構460は、電池ケース内の圧力が異常に高くなった場合に、電流経路を遮断する機構である。この実施形態では、電流遮断機構460は、図1に示すように、正極における電池電流の導通経路が遮断されるように、正極端子420の内側に構築されている。なお、電流遮断機構460の具体的な構造は、例えば、特許文献1に開示されている。ここで開示される電流遮断機構は、適宜に、リチウムイオン二次電池100の電流遮断機構460として採用されうる。このため、ここでは、電流遮断機構460について、具体的な構造には、特段言及しない。なお、電流遮断機構460の具体的な構造は、上述した特許文献に開示された構造に限定されず、種々の機構を採用し得る。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100について、より詳細に説明する。ここで開示されるリチウムイオン二次電池100では、セパレータ262、264は、親水性官能基が存在する親水性部位を有している。
《親水性部位》
上記親水性部位に存在する親水性官能基の好適例として、酸素(O)を含む極性官能基(水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケト基等)が挙げられる。特に、水酸基およびカルボキシル基から選択される少なくとも一種を導入可能な親水化処理を行うことが効果的である。上記酸素を含む極性官能基を導入する処理は、酸素を含む化学種(例えば、酸素ガス(O)、オゾン(O)、酸化物イオン(O2−)、酸素ラジカル、酸素プラズマ等)を上記セパレータ262、264に供給することを含む処理であり得る。かかる化学種は、例えば、上記セパレータ262、264に対してコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等を適用する(典型的には、酸素を含む雰囲気下で上記処理を行う)ことによって該セパレータ262、264に供給され得る。上記酸素を含む極性官能基を導入する処理として、上記セパレータ262、264にオゾンを供給する処理(オゾン処理)を好ましく採用することができる。かかるオゾンの供給は、例えば、酸素ガス(O)を含む雰囲気下でコロナ放電処理を施してOからOを発生させることにより好ましく行うことができる。
上記コロナ放電処理は、一般的なコロナ放電処理装置(例えばスパークギャップ方式、真空管方式、ソリッドステート方式装置)を用いて行うとよい。例えば、電極と、接地された対極誘電体ロールとの間に高周波電圧を印加してコロナ放電を生じさせて行うとよい。コロナ放電処理条件としては、コロナ放電密度50W・min/m以上で行うことが適当であり、好ましくは50W・min/m〜100W・min/mである。また、処理時間は0.01秒以上とすることが適当であり、好ましくは0.1秒〜1秒である。コロナ放電密度が小さすぎたり処理時間が短すぎたりすると、親水化による性能向上効果が不十分になり得る。一方、コロナ放電密度が大きすぎたり処理時間が長すぎたりすると、処理が過剰になるため経済的に好ましくない。かかるコロナ放電処理により、セパレータ262、264の表層にカルボキシル基等の活性な官能基が生成する。
《可溶LiOH》
また、ここで開示されるリチウムイオン二次電池100は、正極活物質層223を水に浸漬したときに該正極活物質層223から溶出する水酸化リチウム(以下、可溶LiOHという。)の量が、中和滴定に基づく該正極活物質層223中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%となるように設定されている。
ここで、可溶LiOHは、正極活物質の調製工程(製造過程)において使用したリチウム源化合物(例えば、LiCO、LiOH等)に由来するものであり得る。例えば、前駆体としての遷移金属水酸化物と上記リチウム源化合物とを混合して該混合物を加熱(焼成)することによりリチウム遷移金属酸化物を生成させる場合において、該リチウム源化合物の余剰分、未反応分、副反応生成物が水と反応して生じたLiOHであり得る。
本発明者の知見によれば、正極活物質層に含まれる可溶LiOH量が少なすぎると、正極活物質層の電子伝導性が低下傾向となり、電池抵抗が増大する場合があり得る。他方、上記可溶LiOH量が多すぎると、雰囲気中の水分(電池内に存在する微量水分)と正極活物質(典型的には正極活物質に含まれるリチウム源化合物の余剰分、未反応分、副反応生成物)とが反応して多量のアルカリ成分(典型的にはLiOH)が生じ、電解液中にアルカリ成分(典型的にはLiOH)が溶出する。かかるアルカリまたは水酸基(OH基)の存在は、前述したCHBやBP等のガス発生剤の重合反応を阻害して、該ガス発生剤におけるガス発生量の減少ひいては電流遮断機構460の作動の遅れに影響していると推測される。
しかしながら、ここに開示されるリチウムイオン二次電池100は、セパレータ262、264が、親水性官能基が存在する親水性部位を有する。そのため、電池内に存在する微量水分は、親水性官能基が存在するセパレータ262、264の親水性部位に優先的に吸着される。そのため、該水分と正極活物質との接触が回避され、該水分との反応により正極活物質からアルカリ成分(典型的にはLiOH)が溶出するような事態が生じ難い。そして、正極活物質からアルカリ成分(典型的にはLiOH)が溶出することに起因して、前述したCHBやBP等のガス発生剤の重合反応が阻害される事象が緩和される。その結果、ガス発生剤におけるガス発生量を確保でき、電流遮断機構460を適切に作動させることができる。
ここで、上記可溶LiOH量は、中和滴定法を実施して以下のようにして求めるとよい。例えば、正極シート220から所定量の正極活物質層223を切り取る。そして、切り取った正極活物質層223を水に分散させ、これに塩化バリウムを加えて炭酸系イオンを炭酸バリウムとして除去した後、塩酸で中和滴定してpH9付近の第一中和点(変曲点)までの滴定量を判断することによって、上記所定量の正極活物質層223から溶出したLiOHの量を、該正極活物質層中のLi換算の量α(質量%)として求めることができる。具体的には以下の計算式を用いて求めることができる。
可溶LiOH量α(質量%)=D×F×K×M÷S×100%
D:第一中和点までの塩酸滴定量(L)
F:塩酸のファクター(濃度補正係数)
K:リチウムの原子量(6.941g/mol)
M:塩酸のモル濃度(mol/L)
S:正極活物質層の質量(g)
自動滴定装置としては、例えば、平沼産業株式会社製の型式「COM−1600」またはその相当品を使用することができる。上記滴定方法において、塩化バリウム溶液の添加は、上記正極活物質がLiOHに加えて炭酸リチウムを含む場合にその残留分を除去する目的を有する。pH9近傍の第一中和点は、電位差計を用いて決定することができる。
上記可溶LiOH量としては、正極活物質層223中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%の範囲である。可溶LiOH量が0.014質量%よりも少なすぎる場合には、正極活物質の電子伝導性を高める効果が十分に発揮され難くなり、電池抵抗が増大する場合があり得る。他方、可溶LiOH量が0.035質量%よりも多すぎる場合には、上記親水化部位を設けたことによる効果が十分に発揮され難くなり、ガス発生量の低下を招く場合がある。好ましい一態様では、正極活物質層223における可溶LiOH量が、凡そ0.015質量%以上(例えば0.02質量%以上)である。他の好ましい一態様では、正極活物質層223における可溶LiOH量が、凡そ0.032質量%以下(例えば0.03質量%以下)である。かかる態様によると、正極活物質の電子伝導性を高めつつ、過充電時にガス発生剤の重合反応が阻害される事象を回避し得る。そのため、出力特性を高く保ちつつ、電流遮断機構460を適切に作動させうるリチウムイオン二次電池が実現される。
《正極活物質》
ここに開示されるリチウムイオン二次電池100に用いられる正極活物質としては、上記可溶LiOH量が0.014質量%〜0.035質量%となるように設定され得る物質であれば、本願の効果を発揮し得る範囲において特に限定なく用いることができる。例えば、正極活物質は、少なくともリチウム(Li)とニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを必須の金属元素として有する層状構造の六方晶系リチウムニッケルマンガン複合酸化物により実質的に構成される正極活物質であってもよい。この場合、当該複合酸化物を構成するニッケル原子とマンガン原子とのモル比(Ni/Mn)が、1.1以上であることが適当であるが、1.2以上が好ましく、1.3以上が特に好ましい。このようなモル組成比でニッケル原子とマンガン原子とを有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Ni/Mnが1.1を下回るようなリチウムニッケルマンガン複合酸化物に比べて、電子伝導性を著しく向上させることができる。従って、上記のようなモル組成比でニッケル原子とマンガン原子とを含有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として採用することにより、リチウムイオン二次電池の電池抵抗(具体的には正極活物質の電子抵抗)を低減させることができる。
《モル比(Ni/Mn)》
例えば、本発明によって提供されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物としては、モル比(Ni/Mn)が1.1≦(Ni/Mn)≦1.7を満足するものが好ましく、1.2≦(Ni/Mn)≦1.7を満足するものがさらに好ましく、1.3≦(Ni/Mn)≦1.7を満足するものが特に好ましい。その一方、モル比(Ni/Mn)が1.7を上回るリチウムニッケルマンガン複合酸化物は生成(合成)が難しくなってくることに加えて電子伝導性の向上率も鈍化するため、メリットがあまりない。さらに合成時にアルカリ成分(典型的にはリチウム源化合物の余剰分、未反応分、副反応生成物)が過剰に残留するため、前述した中和滴定における可溶LiOH量が増大傾向となり得る。可溶LiOH量が多すぎると、前述したように電池内水分との反応により正極活物質からアルカリ成分(典型的にはLiOH)が溶出し、ガス発生量の低下を招くため好ましくない。ガス発生量を確保する観点からは、モル比(Ni/Mn)が1.1≦(Ni/Mn)≦1.7(特には1.2≦(Ni/Mn)≦1.7)を満足するものが好ましい。例えば、モル比(Ni/Mn)が1.3以上1.7以下(特に1.3以上1.5以下)のリチウムニッケルマンガン複合酸化物が電子伝導性の向上とガス発生量の確保を両立するという観点から適当である。
ここで開示されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、リチウム以外の主構成金属元素としてニッケル及びマンガンを含むが、これら必須の金属元素の一部を置換して他の1種又は2種以上の金属元素又は半金属(セミメタル)元素を含むものであってもよい。例えば、周期表の2族(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属)、4族(チタン、ジルコニウム等の遷移金属)、5族(バナジウム、ニオブ等の遷移金属)、6族(モリブデン、タングステン等の遷移金属)、8族(鉄等の遷移金属)、9族(コバルト、ロジウム等の遷移金属)、10族(パラジウム、白金等の遷移金属)、11族(銅等の遷移金属)、12族(亜鉛等の金属)および13族(半金属元素であるホウ素、若しくはアルミニウムのような金属)に属するいずれかの元素を含むことができる。
好ましくは、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ホウ素(B)およびアルミニウム(Al)のうちから選択される1種又は2種以上(典型的に2種又は3種)の元素が選択される。中でもCo、Ti、Zrの何れか一種またはこれらの組み合わせが好ましい。特にCoが好ましい。これら付加的な構成元素は、当該付加元素とニッケル及びマンガンの合計の40原子%以下、好ましくは35原子%以下の割合で添加される。あるいは添加されないでもよい。
ここで開示される正極活物質を構成するリチウムニッケルマンガン複合酸化物の好ましいものは、以下の式(1)で示されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物である。
LiNiMnMe (1)
ここで式(1)中のx,a,bおよびcは、
0.9≦a+b+c≦1.1
1.1≦a/b≦1.7
0≦c≦0.4を全て満足する数である。
また、式(1)中のxは、0.99≦x≦1.12を満足する数であり、好ましくは1<x≦1.12、より好ましくは1.05≦x≦1.1である。また、式(1)中のaは、0.33≦a≦0.4を満足する数であることが好ましく、bは、0.25≦b≦0.33を満足する数であることが好ましい。Meは、存在しないか若しくはCo、Mg、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Mo、W、B及びAlから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。
《Mサイト占有率》
また好ましくは、上記式(1)で表される層状構造の六方晶系リチウムニッケルマンガン複合酸化物において、X線回折パターンのリートベルト解析から得られる3bサイト(空間群:R3m)におけるNi、MnおよびMeのサイト占有率(以下、Mサイト占有率という。)が93%以上97%以下である。Mサイト占有率は93%以上であることが適当であるが、93.5%以上が好ましく、94%以上が特に好ましい。このようなM占有率を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、M占有率が93%を下回るようなリチウムニッケルマンガン複合酸化物に比べて、電子伝導性を著しく向上させることができる。従って、上記のようなM占有率を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として採用することにより、リチウムイオン二次電池の電池抵抗を低減させることができる。
その一方で、Mサイト占有率が97%を上回るリチウムニッケルマンガン複合酸化物は生成(合成)が難しくなってくることに加えて電子伝導性の向上率も鈍化するため、メリットがあまりない。さらに合成時にアルカリ成分(典型的にはリチウム源化合物の余剰分、未反応分、副反応生成物)が過剰に残留するため、中和滴定における可溶LiOH量が増大傾向となり得る。可溶LiOH量が多すぎると、前述したように雰囲気中水分との反応により正極活物質層223からアルカリ成分(典型的にはLiOH)が溶出し、ガス発生量の低下を招くため好ましくない。ガス発生量を確保する観点からは、Mサイト占有率が97%以下(特に96%以下)であることが望ましい。例えば、Mサイト占有率が93%以上97%以下(特に94%以上96%以下)のリチウムニッケルマンガン複合酸化物が電子伝導性の向上とガス発生量の確保を両立するという観点から適当である。
《試験例1》
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは、正極活物質層の可溶LiOH量を変えて、正極シートを作製した。また、コロナ放電処理を施したセパレータと、コロナ放電処理を施していないセパレータを用意した。さらに、当該正極シートおよびセパレータを用いて評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。そして、当該評価試験用のリチウムイオン二次電池を用いて出力特性試験および過充電試験を行い、上述した可溶LiOH量や、コロナ放電処理の有無が、電池性能に与える影響を評価した。
《可溶LiOH量の定量》
後述する各サンプルにおいて使用した正極シートにつき、以下の手順に従い、自動滴定装置(平沼産業株式会社製の型式「COM−1600」)を用いてLiOHの中和滴定を実施した。
(1)攪拌子を入れた200mLビーカーに、正極活物質層を構成する正極活物質、導電材及びバインダを91:6:3の質量比で混合した混合粉末2gを秤量する。
(2)上記ビーカーに容積が100mLとなるまでイオン交換水を加える。
(3)10%塩化バリウム溶液2mLをさらに加える。
(4)スターラーにより1分間程度攪拌する。
(5)自動滴定装置を用い、pH9近傍の変曲点を第一中和点として、塩酸溶液で中和滴定を行い、第一中和点までの塩酸滴定量D(L)を求める。
なお、使用した塩酸溶液の濃度は1モル/Lとした。
他の滴定条件は次のとおりとした。
滴定速度: 400μL/秒
最大滴下量: 50μL
最小滴下量: 2μL
滴下待ち時間: 1秒
安定待ち係数: 10mpH
安定待ち時間: 1秒
各例に係るサンプルについて、上記で得られた中和滴定の結果から、上記計算式(1)を用いて、可溶LiOHの量(Li換算)を求めた。
《リチウムイオン二次電池の構築》
<サンプル1>
LiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末(正極活物質粉末)を用意した。この正極活物質粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これら材料の質量比率が91:6:3となり、かつNVが凡そ60%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)で混練し、正極活物質層形成用のペースト状組成物(正極ペースト)を調製した。この正極ペーストを、厚み凡そ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に、目付量(固形分換算の塗付量、すなわち正極活物質層の乾燥質量)が両面の合計で30mg/cmとなるように塗布し、120℃の熱風で乾燥させて正極活物質層を形成した。次いで、該正極活物質層の密度が2.8g/cmとなるようにプレスして、正極シートを作製した。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.01274質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1である。
負極活物質としてのグラファイト(粉末)とスチレンブタジエンゴム(SBR)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比が98:1:1であり、且つNVが45質量%となるようにイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用のペースト状組成物(負極ペースト)を調製した。この負極ペーストを、厚み凡そ10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に、正極に対する対向容量比が1.4となるように塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。次いで、該負極活物質層の密度が1.3g/cmとなるようにプレスして、負極シートを作製した。
セパレータとして多孔質ポリエチレンシート(PE)を用意した。このセパレータに、一般的なコロナ放電処理装置を使用して該セパレータの表面に大気中にてコロナ放電を発生させ、セパレータのコロナ放電処理(親水化処理)を行った。コロナ放電処理条件としては、放電密度を50W・min/mとし、処理時間を0.1秒とした。
上記作製した正極シートと負極シートとを、上記親水化処理した2枚のセパレータを介して重ね合わせて捲回し、電極体を作製した。この電極体を非水電解液とともに円筒型の電池ケースに収容した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で含む混合溶媒に凡そ1mol/Lの濃度でLiPFを凡そ1mol/Lの濃度で溶解した溶液を使用した。また、非水電解液には、前述したガス発生剤(過充電時にガスを発生させる添加剤)を添加した。ガス発生剤の添加量は、電解液に対して質量比で2質量%とした。ガス発生剤には、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を用いた。次いで、コンディショニング処理を行うことにより、18650型(直径18mm、高さ65mm)のリチウムイオン二次電池を構築した。
<サンプル2>
サンプル2では、正極活物質粒子として、LiNi0.33Co0.37Mn0.3粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.01456質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1.104である。
<サンプル3>
サンプル3では、正極活物質粒子として、LiNi0.38Co0.32Mn0.3粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.02457質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1.267である。
<サンプル4>
サンプル4では、正極活物質粒子として、LiNi0.4Co0.3Mn0.3粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.03185質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1.333である。
<サンプル5>
サンプル5では、正極活物質粒子として、LiNi0.4Co0.4Mn0.2粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.04732質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、2である。
<サンプル6>
サンプル6では、正極活物質粒子として、LiNi0.4Co0.35Mn0.25粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.03822質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1.6である。
<サンプル7>
サンプル7では、正極活物質粒子として、LiNi0.45Co0.3Mn0.25粉末を用いた。その他の構成は、サンプル1と同じとした。この場合、正極活物質層の可溶LiOH量は、0.04277質量%であった。また、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)は、1.8である。
<サンプル8〜14>
サンプル8〜14では、コロナ放電処理(親水化処理)を施していないセパレータを用いた。その他の構成はそれぞれサンプル1〜7と同じとした。
《評価試験用のリチウムイオン二次電池の評価》
上記各サンプルのリチウムイオン二次電池について、出力特性としてのIV抵抗と過充電時のガス発生量によって、高出力特性と電流遮断機構の適切な作動を評価した。
《IV抵抗》
IV抵抗の測定は、次の手順により実施した。
手順1:25℃の温度条件下、3.0Vまで1Cの定電流で放電した後、1Cで定電流定電圧充電を行い、SOC(State of Charge)20%の充電状態にする。
手順2:手順1の後、10A(10Cに相当)のパルス電流を通電して10秒間放電処理する。
ここでは、手順2で測定された測定電流値を、手順2での初期電圧値から10秒時点での電圧値を引いた値である電圧ドロップ値で、除算する。その値をIV抵抗値として求めた。
《過充電ガス発生量》
過充電ガス発生量は、円筒型電池に用いた極板群(正極シート、負極シート、セパレータの積層体)と同一の極板群を、ガス発生剤が添加された電解液とともにラミネート袋に入れて、真空封止し、電池容量20mAのラミネートセルを作製する。かかるラミネートセルにコンディショニング工程を施す。過充電試験の前にラミネートセルの水中重量をあらかじめ測っておき、その後、ラミネートセルを60℃の試験槽中で、1Cの定電流で充電し、SOC140%の過充電状態とした。その後、3Vまで放電処理を行い、試験槽から取り出し、再度水中重量を測定して、ラミネートセルの体積変化をアルキメデス法に基づき測定し、これを1C容量で徐算する。この値を過充電ガスの発生量として算出した。
つまり、ラミネートセルの体積変化ΔVは、次式で求められる。
ΔV=ρw×(W−W1)
ここで、ρwは水の密度であり、Wは過充電前のラミネートセルの水中重量であり、W1は過充電後のラミネートセルの水中重量である。
各サンプルについて、上記試験の結果を表1、図3〜図6に示す。表1は、各サンプルについて、構成と評価を纏めた表である。図3は、可溶LiOH量とIV抵抗との関係を示すグラフである。図4は、可溶LiOH量と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。図5は、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)とIV抵抗との関係を示すグラフである。図6は、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。
Figure 0006044839
表1および図3に示すように、可溶LiOH量が増大するに従いIV抵抗は低くなり、高出力特性が高いレベルで発揮されうる。一方、表1および図4に示すように、可溶LiOH量が増大するに従いガス発生量は減少傾向を示した。ただし、可溶LiOH量を0.014質量%〜0.035質量%としたサンプルについては、セパレータに対してコロナ放電処理を行ったサンプルの方が、セパレータに対してコロナ放電処理を行っていないサンプルに比べて、ガス発生量の落ち込みが少なく、電流遮断機構が適切に(比較的早期に)作動しうるレベルであった。一方、可溶LiOH量が0.014質量%を下回るサンプルや、可溶LiOH量が0.035質量%を上回るサンプルは、コロナ放電処理の有無によるガス発生量に有益な差は認められなかった。かかる試験のように、可溶LiOH量を0.014質量%〜0.035質量%とし、かつ、セパレータに対してコロナ放電処理を行う場合には、出力特性を高く保ちつつ、ガス発生量を多くすることができ、電流遮断機構を適切に作動させることができる傾向がある。
また、表1および図4に示すように、正極活物質のモル組成比(Ni/Mn)が増大するに従いIV抵抗は低くなり、高出力特性が高いレベルで発揮されうる。一方、表1および図6に示すように、モル比(Ni/Mn)が増大するに従いガス発生量は減少傾向を示した。ただし、モル比(Ni/Mn)を1.1〜1.7としたサンプルについては、セパレータに対してコロナ放電処理を行ったサンプルの方が、セパレータに対してコロナ放電処理を行っていないサンプルに比べて、ガス発生量の落ち込みが少なく、電流遮断機構が適切に(比較的早期に)作動しうるレベルであった。一方、モル比(Ni/Mn)が1.1を下回るサンプルや、モル比(Ni/Mn)が1.7を上回るサンプルは、コロナ放電処理の有無によるガス発生量に有益な差は認められなかった。かかる試験のように、モル比(Ni/Mn)を1.1〜1.7とし、かつ、セパレータに対してコロナ放電処理を行う場合には、出力特性を高く保ちつつ、ガス発生量を多くすることができ、電流遮断機構を適切に作動させることができる傾向がある。
以上、種々説明したように、ここで提案される二次電池100は、例えば、図1に示すように、電池ケース300と、捲回電極体200(電極体)と、外部端子(正極端子)420と、非水電解液(図示省略)と、電流遮断機構460とを備えている。ここで、捲回電極体200は、電池ケース300に収容されており、外部端子420は、捲回電極体200に接続されている。非水電解液は、電池ケース300に収容され、ガス発生剤を含んでいる。電流遮断機構460は、電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に高くなると、捲回電極体200と、外部端子420との電気的な接続を遮断する。
捲回電極体200は、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を備えている。セパレータ262、264は、親水性官能基が存在する親水性部位を有している。また、正極シート220は、正極集電箔221(正極集電体)と、正極集電箔221に形成され、正極活物質を含む正極活物質層223とを備えている。ここで、正極活物質層223は、該正極活物質層223を水に浸漬したときに該正極活物質層223から溶出する水酸化リチウム(可溶LiOH)の量が、中和滴定に基づく該正極活物質層中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%となるように設定されているとよい。これにより、正極活物質層223の電子伝導性を高めつつ、ガス発生剤によるガス発生量をより適切に確保できる。そのため、出力特性を高く保ちつつ、電流遮断機構460を適切に作動させることができる。
この場合、出力特性向上という観点において、正極活物質層223から溶出し得る可溶LiOH量は、例えば0.014質量%以上であるとよく、0.024質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることが特に好ましい。一方、ガス発生量の確保という観点において、正極活物質層223から溶出し得る可溶LiOH量は、例えば0.035質量%以下であるとよく、0.03質量%以下であることが好ましく、0.024質量%以下であることが特に好ましい。出力特性向上とガス発生量の確保とを両立させる観点からは、例えば0.014質量%以上0.035質量%以下であるとよく、0.02質量%以上0.032質量%以下であることが好ましく、0.025質量%以上0.03質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、正極活物質層223に含まれる正極活物質は、例えば、リチウムとニッケルとマンガンとを必須の金属元素として有する層状構造の六方晶系リチウムニッケルマンガン複合酸化物により実質的に構成される正極活物質であることが好ましい。リチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として用いた場合には、熱的安定性が向上するとともに、高エネルギー密度が得られうる。
この場合、当該リチウムニッケルマンガン複合酸化物を構成するニッケル原子とマンガン原子とのモル比(Ni/Mn)が、1.1≦(Ni/Mn)≦1.7を満足するものが好ましく、1.1≦(Ni/Mn)≦1.5を満足するものがさらに好ましい。このようなモル組成比でニッケル原子とマンガン原子とを含有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として採用することにより、ガス発生剤によるガス発生量をより適切に確保しつつ、リチウムイオン二次電池の電池抵抗(具体的には正極活物質の電子抵抗)を低減させることができる。
《試験例2》
本例では、セパレータに代えて、正極シートまたは負極シートに対してコロナ放電処理を行った。さらに、当該正極シートまたは負極シートを用いて評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。そして、当該評価試験用のリチウムイオン二次電池を用いて出力特性試験および過充電ガス発生量測定試験を行い、電池性能に与える影響を評価した。
<サンプル15〜21>
サンプル15〜21では、正極シートに対してコロナ放電処理を行った。その他の構成は、サンプル1〜7と同じとした。
<サンプル22〜28>
サンプル22〜22では、負極シートに対してコロナ放電処理を行った。その他の構成は、サンプル1〜7と同じとした。
サンプル15〜28について、上記試験の結果を表2に示す。表2は、サンプル15〜28について、構成と評価を纏めた表である。また、サンプル1〜28について、上記試験の結果を、図7に纏めて示す。図7は、可溶LiOH量と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。
Figure 0006044839
表2および図7に示すように、可溶LiOH量を0.014質量%〜0.035質量%とし、かつ、正極シートまたは負極シートに対してコロナ放電処理を行ったサンプルについては、コロナ放電処理を行っていないサンプルに比べて、ガス発生量が多く、電流遮断機構が適切に(比較的早期に)作動しうるレベルである。ここで供試した電池の場合、負極シートに対してコロナ放電処理を行うよりも、正極シートまたはセパレータに対してコロナ放電処理を行った方が、より良好な結果が得られた。また、セパレータに対してコロナ放電処理を行うよりも、正極シートに対してコロナ放電処理を行った方が、より良好な結果が得られた。この結果から、コロナ放電処理は、セパレータに対して行うことが好ましく、正極シートに対して行うことがより好ましい。
《試験例3》
本例では、正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いた。ただし、該複合酸化物の生成処理(例えば焼成条件)や組成(例えばLi/(Ni+Co+Mn)比など)を工夫して、互いに前述したMサイト占有率が異なる正極活物質を用意した。そして、正極活物質のMサイト占有率を変えて、正極シートを作製した。また、コロナ放電処理を施したセパレータと、コロナ放電処理を施していないセパレータを用意した。さらに、当該正極シートおよびセパレータを用いて評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。そして、当該評価試験用のリチウムイオン二次電池を用いて過充電試験を行い、上述したMサイト占有率や、コロナ放電処理の有無が、電池性能に与える影響を評価した。結果を表3、図8および図9に示す。図8はMサイト占有率と可溶LiOH量との関係を示すグラフであり、図9はMサイト占有率と過充電ガス発生量との関係を示すグラフである。
Figure 0006044839
表3および図8に示すように、Mサイト占有率が減少するに従い可溶LiOH量は増大傾向を示した。また、図9に示すように、Mサイト占有率が減少するに従いガス発生量は減少傾向を示した。ただし、Mサイト占有率を93%〜97%としたサンプルについては、セパレータに対してコロナ放電処理を行ったサンプルの方が、セパレータに対してコロナ放電処理を行っていないサンプルに比べて、ガス発生量の落ち込みが少なく、電流遮断機構が適切に(比較的早期に)作動しうるレベルであった。一方、Mサイト占有率が93%を下回るサンプルや、Mサイト占有率が97%を上回るサンプルは、コロナ放電処理の有無によるガス発生量に有益な差は認められなかった。かかる試験のように、Mサイト占有率を93%〜97%とし、かつ、セパレータに対してコロナ放電処理を行う場合には、出力特性を高く保ちつつ、ガス発生量を多くすることができ、電流遮断機構を適切に作動させることができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上述した実施形態では、セパレータが、親水性官能基が存在する親水性部位を有する場合を例示したが、これに限定されない。正極シート、負極シートおよびセパレータのうちの少なくとも一つが、親水性官能基が存在する親水性部位を有していればよい。また、リチウムイオン二次電池の電極体は、捲回電極体を例示したが、正極シートと、負極シートとが、セパレータを介して交互に積層された、いわゆる積層型の電極体で構成してもよい。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池は、上述したように、ハイレートでの出力特性が高く維持され、電流遮断機構を作動させるガス発生量が適当である。このため、ここで提案される二次電池は、特に、ハイレート特性と、安全性の確保が高いレベルで要求される、自動車用途における車載搭載用の電源として好適である。この場合、例えば、図10に示すように、二次電池の複数個を接続して組み合わせた組電池の形態で、自動車などの車両1のモータ(電動機)を駆動させる車両駆動用電源1000として好適に利用され得る。
また、ここでは、リチウムイオン二次電池を例示したが、ここで提案される二次電池は、特に明示的に限定されない限りにおいて、リチウムイオン二次電池以外の二次電池の構造にも採用しうる。
1 車両
100 リチウムイオン二次電池
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
223 正極活物質層
240 負極シート
243 負極活物質層
262,264 セパレータ
300 電池ケース
420 正極端子
440 負極端子
460 電流遮断機構
1000 車両駆動用電源


Claims (8)

  1. 電池ケースと、
    前記電池ケースに収容された電極体と、
    前記電池ケースに設けられ、前記電極体に接続された外部端子と、
    前記電池ケースに収容され、予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含む非水電解液と、
    前記電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に高くなると、前記電極体と前記外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構と
    を備え、
    前記電極体は、正極、負極およびセパレータを備え、
    前記正極は、
    正極集電体と、
    前記正極集電体に保持され、正極活物質を含む正極活物質層と
    を備え、
    ここで前記正極、負極およびセパレータのうちの少なくとも一つは、親水性官能基が存在する親水性部位を有し、
    前記正極活物質層を水に浸漬したときに該正極活物質層から溶出する水酸化リチウムの量が、中和滴定に基づく該正極活物質層中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%となるように設定されている、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記親水性官能基として、酸素原子を含む極性官能基を有する、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記親水性官能基として、カルボキシル基を有する、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極活物質は、少なくともリチウム(Li)とニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを構成金属元素とする複合酸化物により構成されている、請求項1〜の何れか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記正極活物質を構成する複合酸化物は、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とのモル比(Ni/Mn)が、1.1≦(Ni/Mn)≦1.7となるように形成されている、請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記正極活物質を構成する複合酸化物は、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とのモル比(Ni/Mn)が、(Ni/Mn)≦1.5となるように形成されている、請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記正極活物質を構成する複合酸化物は、以下の一般式:
    LiNiMnMe (1)
    (式(1)中のx,a,bおよびcは、
    0.99≦x≦1.12、
    0.9≦a+b+c≦1.1
    1.1≦a/b≦1.7
    0≦c≦0.4を全て満足する数であり、
    Meは、存在しないか若しくはCo、Mg、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Mo、W、B及びAlから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。)
    で示される複合酸化物である、請求項の何れか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 電池ケースと、
    前記電池ケースに収容された電極体と、
    前記電池ケースに設けられ、前記電極体に接続された外部端子と、
    前記電池ケースに収容され、予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含む非水電解液と、
    前記電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に高くなると、前記電極体と前記外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構と
    を備え、
    前記電極体は、正極、負極およびセパレータを備え、
    前記正極は、
    正極集電体と、
    前記正極集電体に保持され、正極活物質を含む正極活物質層と
    を備え、
    ここで前記正極、負極およびセパレータのうちの少なくとも一つは、親水性官能基が存在する親水性部位を有し、
    前記正極活物質層を水に浸漬したときに該正極活物質層から溶出する水酸化リチウムの量が、中和滴定に基づく該正極活物質層中のLi換算で0.014質量%〜0.035質量%となるように設定されている、リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記親水性官能基をコロナ放電処理により前記親水性部位に導入する、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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