JP2017157557A - 非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
特に、高温環境下では電池内部で副反応が起こりやすく、電極表面上で電解液が分解され、保存特性が著しく悪化する。一方、低温環境下では電池内部のイオン伝導が低下するため、電池特性が安定しにくく、サイクル特性が著しく悪化する。そのため、高温保存特性や低温サイクル特性に対する要求はますます高くなっており、更なる電池特性の改善が求められている。
なお、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
また、リチウム二次電池の負極としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られている。特にリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
また、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や金属酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いものの、蓄電デバイスとして使用中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、低温サイクル特性が大きく低下することが知られている。
また、特許文献2には、2−ビフェニルメチルカーボネート等を含有する非水電解質二次電池が開示されており、過充電時の安全性が優れると記載されている。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のビフェニル化合物を含有させることにより、高温保存特性や低温サイクル特性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液であって、下記一般式(I)で表される化合物を0.01〜4質量%含有することを特徴とする非水電解液。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、又はフッ素化エチル基を示す。)
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、前記一般式(I)で表される化合物を0.01〜4質量%含有することを特徴とする。
本発明の前記一般式(I)で表される特定のビフェニル化合物は、構造中のビフェニル基の2位と2’位にそれぞれアルコキシカルボニルオキシ基が置換されている。このビフェニル基の2位と2’位にそれぞれ置換したアルコキシカルボニルオキシ基は特性基として作用し、正極及び負極の活物質表面とビフェニル化合物の親和性を高める効果を有する。そのため、本発明の特定のビフェニル化合物を、非水電解液中に特定量含有させることによって、該ビフェニル化合物が正負極活物質表面に選択的に吸着し、非水電解液と正負極の副反応を抑制すると考えられる。
そして、この効果はメタ位又はパラ位ビフェニル基の3位と3’位、又は4位と4’位にそれぞれアルコキシカルボニルオキシ基が置換した化合物を用いても、本発明と同様な効果は得られない。すなわち、本発明の特定のビフェニル化合物を非水電解液中に特定量含有させることによって得られる特異的な効果であると考えられる。
本発明の非水電解液に含有される化合物は、下記一般式(I)で表される。
一般式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、又はフッ素化エチル基を示す。
前記R1及び/又はR2であるフッ素化エチル基としては、2,2−ジフルオロエチル基、又は2,2,2−トリフルオロエチル基が好適に挙げられる。
R1及びR2の中では、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。高温での電気化学特性を相乗的に向上させるため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状エステルの両方が含まれることが更に好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが特に好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(EEC)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられ、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オンからなる群より選ばれる1種又は2種以上がより好適である。
炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して、好ましくは0.07体積%以上、より好ましくは0.2体積%以上、更に好ましくは0.7体積%以上であり、また、その上限は、好ましくは7体積%以下、より好ましくは4体積%以下、更に好ましくは2.5体積%以下である。該含有量が上記範囲であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と高温保存特性を向上させることができるので好ましい。
鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、メチルブチルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートからなる群より選ばれる1種又は2種以上の非対称鎖状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートからなる群より選ばれる1種又は2種以上の対称鎖状カーボネート;ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸プロピル等のピバリン酸エステル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル、酢酸メチル、及び酢酸エチル(EA)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられる。
少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されている鎖状エステルの具体例としては、2,2−ジフルオロエチル アセテート(DFEA)、2,2,2−トリフルオロエチル アセテート(TFEA)、2,2−ジフルオロエチル プロピオネート、2,2,2−トリフルオロエチル プロピオネート、メチル 2,2−ジフルオロプロピオネート、メチル 3,3,3−トリフルオロプロピオネート、メチル(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート(MDFEC)、及びメチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
これらの中でも高温環境下での電気化学特性向上の観点から、2,2,2−トリフルオロエチルアセテート、2,2−ジフルオロエチルアセテート、メチル 3,3,3−トリフルオロプロピオネート、メチル(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、及びメチル(2,2,2−トリルオロエチル)カーボネートからなる群より選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
鎖状エステルの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総体積に対して、60〜90体積%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が60体積%以上であれば非水電解液の粘度が高くなりすぎず、90体積%以下であれば非水電解液の電気伝導度が低下して低温サイクル特性が低下するおそれが少ないので上記範囲であることが好ましい。
本発明においては、上記の非水溶媒の他にその他の非水溶媒を添加することができる。
その他の非水溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等の鎖状エーテル、ジメチルホルムアミド等のアミド、スルホラン等のスルホン、及びγ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、α−アンゲリカラクトン等のラクトンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
その他の非水溶媒の含有量は、非水溶媒の総体積に対して、通常1体積%以上、好ましくは2体積%以上であり、また通常40体積%以下、好ましくは30体積%以下、更に好ましくは20体積%以下である。
一段と高温保存特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらにその他の添加剤を加えることが好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(I)の化合物が挙げられる。
一段と高温での電気化学特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらに、シュウ酸構造を有するリチウム塩、リン酸構造を有するリチウム塩、S=O基を有するリチウム塩、及びエーテル化合物を配位子としたリチウムカチオンとジフルオロリン酸アニオンとからなるリチウム塩の中からなる群より選ばれる1種以上のリチウム塩を含むことが好ましい。
リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕からなる群より選ばれる1種以上のシュウ酸構造を有するリチウム塩、LiPO2F2及びLi2PO3Fから選ばれる1種以上のリン酸構造を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSO3Liからなる群より選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩、2,5,8,11−テトラオキサドデカン(以下、「TOD」ともいう)及び2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデカン(以下、「POP」ともいう)から選ばれるエーテル化合物を配位子としたリチウムカチオンと、ジフルオロリン酸アニオンとからなる下記式(1)又は(2)で表されるリチウム塩等から選ばれるリチウム塩が好適に挙げられる。
[Li2(POP)]2+[(PO2F2)−]2 (2)
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕等の無機リチウム塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2C2F5)2からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることがもっとも好ましい。
また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPF6以外のリチウム塩が非水電解液中に占める割合は、0.001M以上であると、低温サイクル特性を向上させることができ、1M以下であると低温サイクル特性が低下する懸念が少ないので好ましい。好ましくは0.01M以上、特に好ましくは0.03M以上、最も好ましくは0.04M以上である。その上限は、好ましくは0.8M以下、さらに好ましくは0.6M以下、特に好ましくは0.4M以下である。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える一般式(I)で表される化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
第1の蓄電デバイスであるリチウム電池とは、リチウム一次電池及びリチウム二次電池の総称であり、リチウム二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
本発明のリチウム電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiCo1−xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuからなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2O4からなる群より選ばれる1種又は2種以上がより好適である。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
特にNiを含む正極活物質を用いると、一般的に、Niの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの高温保存特性の低下を抑制することができるので好ましい。特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、40atomic%以上が更に好ましく、50atomic%以上が特に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、及びLiNi0.8Co0.15Al0.05O2からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等からなる群より選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4及びLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
リチウム含有オリビン型リン酸塩は、安定したリン酸(PO4)構造を形成し、充電時の熱安定性に優れるため、広い温度範囲での電気化学特性を向上することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、上限は、4g/cm3以下が好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、高温保存特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、高温保存特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、一般的に、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって高温保存特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では高温保存特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、上限としては、2g/cm3以下が好ましい。
電池用セパレータとしては、特に制限はないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンの単層又は積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
ポリオレフィンの積層体としては、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層体が好ましく、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造がより好ましい。
セパレータの厚みは、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、その上限は、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
本発明の第2の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
本発明の第3の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
本発明の第4の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気二重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6等のリチウム塩が含まれる。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2 93質量%、アセチレンブラック(導電剤)4質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。
また、ケイ素(単体)8質量%、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)82質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。
そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1〜表3に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
<初期の放電容量>
上記の方法で作製したラミネート型電池を用いて、25℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3Vまで3時間充電し、1Cの定電流下終止電圧2.7Vまで放電して、初期の放電容量を求めた。
<高温保存試験>
次に、このラミネート電池を60℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.3Vまで3時間充電し、4.3Vに保持した状態で7日間保存を行った。その後、25℃の恒温槽に入れ、一旦1Cの定電流下終止電圧2.7Vまで放電した。
<高温保存後の容量維持率>
高温保存後の容量維持率を下記式より求めた。
高温保存後の容量維持率(%)=(高温保存後の放電容量/初期の放電容量)×100
<低温サイクル容量維持率>
上記の方法で作製したラミネート型電池を用いて0℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧3.0Vまで放電することを1サイクルとし、これを200サイクルに達するまで繰り返した。そして、下記式により低温サイクル容量維持率を求めた。
低温サイクル容量維持率(%)=(200サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
実施例4及び比較例1で用いた正極活物質に変えて、LiNi0.5Mn1.5O4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。
LiNi0.5Mn1.5O4 94質量%、アセチレンブラック(導電剤)3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。
この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を4.85V、放電終止電圧を3.0Vとしたこと、非水電解液の組成を所定のものに変えたことの他は、実施例4及び比較例1と同様にラミネート型電池を作製し、電池評価を行った。結果を表4に示す。
実施例4及び比較例1で用いた負極活物質に代えて、チタン酸リチウムLi4Ti5O12(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。
チタン酸リチウムLi4Ti5O1280質量%、アセチレンブラック(導電剤)15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。
この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を2.8V、放電終止電圧を1.2Vとしたこと、非水電解液の組成を所定のものに変えたことの他は、実施例4及び比較例1と同様にラミネート型電池を作製し、電池評価を行った。結果を表5に示す。
また、実施例16と比較例5の対比、実施例17と比較例6の対比から、正極にニッケルマンガン酸リチウム塩(LiNi1/2Mn3/2O4)を用いた場合や負極にチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
Claims (7)
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液であって、下記一般式(I)で表される化合物を0.01〜4質量%含有することを特徴とする非水電解液。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、又はフッ素化エチル基を示す。) - 一般式(I)で表される化合物が、(1,1’−ビフェニル)−2,2’−ジイル ジメチル ビス(カーボネート)、及び(1,1’−ビフェニル)−2,2’−ジイル ジエチル ビス(カーボネート)から選ばれる1種又は2種である、請求項1に記載の非水電解液。
- 非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状エステルを含む、請求項1又は2に記載の非水電解液。
- 環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビニレンカーボネート、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オンから選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項3に記載の非水電解液。
- 鎖状エステルとして対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方を含み、対称鎖状カーボネートが非対称鎖状カーボネートより多く含まれる、請求項3に記載の非水電解液。
- 蓄電デバイス用である、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
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