JP7275455B2 - 電池用非水電解液及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1及び2には、高温保存時における特性劣化の抑制とガス発生を抑制する非水系電解液として、電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液であって、環状亜リン酸エステル化合物を、該非水系電解液中に0.001~5質量%含有する非水系電解液が開示されている。
また、特許文献1及び2以外にも、添加剤として、リン酸エステル化合物等のリン含有化合物を含有する非水電解液が知られている(例えば、特許文献3~7参照)。
本開示の目的は、電池抵抗を低減できる電池用非水電解液、及び、この電池用非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することである。
<1> 下記式(1)で表される部分構造を含む化合物(A)を含有する電池用非水電解液。
<3> 前記化合物(A)が、前記式(1)で表される部分構造を含む5員環構造、又は、前記式(1)で表される部分構造を含む6員環構造を含む<1>又は<2>に記載の電池用非水電解液。
<4> 前記化合物(A)が、下記式(A1)~下記式(A3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である<1>~<3>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
式(A2)中、R21~R28は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のフッ化アルコキシ基、式(P1)で表される基、式(P2)で表される基、又は式(P3)で表される基を表す。
式(A3)中、R31~R36は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のフッ化アルコキシ基、式(P1)で表される基、式(P2)で表される基、又は式(P3)で表される基を表す。
式(P1)~式(P3)中、*は、結合位置を表し、L1は、単結合又は-CRL1RL2-基を表し、L2は、単結合又は-CRL3RL4-基を表し、L3は、単結合又は-CRL5RL6-基を表す。RL1~RL6は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のフッ化アルコキシ基を表す。
式(A2)中、R21~R28は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、
式(A3)中、R31~R36は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す<4>に記載の電池用非水電解液。
<6> 更に、炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物を含有する<1>~<5>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
<7> 電池用非水電解液の全量に対する前記炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物の含有量が、0.001質量%~10質量%である<6>に記載の電池用非水電解液。
<8> 電池用非水電解液の全量に対する前記化合物(A)の含有量が、0.001質量%~10質量%である<1>~<7>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液と、
を含むリチウム二次電池。
<10> <9>に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示の電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」ともいう)は、下記式(1)で表される部分構造を含む化合物(A)を含有する。
かかる効果が奏される理由は明らかではないが、以下のように推測される。
電池の充放電時、化合物(A)が酸化分解し、正極に吸着することにより、正極上に、P=O結合を含む式(1)で表される部分構造(以下、「部分構造(1)」ともいう)を含む被膜が形成されると考えられる。この被膜により、非水電解液と正極との副反応が抑制されると考えられる。更に、被膜中の部分構造(1)中、極性の大きなF及びP=O結合が、被膜中におけるLi+の移動を容易にし、その結果、電池抵抗の低減が実現されると考えられる。
本開示の非水電解液は、部分構造(1)を含む化合物(A)を含有する。
非水電解液に含有される化合物(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
化合物(A)は、部分構造(1)を、1つ又は2つ含むことが好ましい。
化合物(A)の分子量は、好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下であり、更に好ましくは400以下であり、更に好ましくは300以下である。
式(A2)中、R21~R28は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のフッ化アルコキシ基、式(P1)で表される基、式(P2)で表される基、又は式(P3)で表される基を表す。
式(A3)中、R31~R36は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のフッ化アルコキシ基、式(P1)で表される基、式(P2)で表される基、又は式(P3)で表される基を表す。
式(P1)~式(P3)中、*は、結合位置を表し、L1は、単結合又は-CRL1RL2-基を表し、L2は、単結合又は-CRL3RL4-基を表し、L3は、単結合又は-CRL5RL6-基を表す。RL1~RL6は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフッ化アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のフッ化アルコキシ基を表す。
式(A3)で表される化合物についても同様である。
R11~R16で表される炭素数1~6のアルキル基の炭素数としては、1~3がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1が特に好ましい。
R11~R16で表される炭素数1~6のアルコキシ基の炭素数としては、1~3がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1が特に好ましい。
R11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基の炭素数としては、1~3がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1が特に好ましい。
R11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基の炭素数としては、1~3がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1が特に好ましい。
RL1~RL6で表される炭素数1~6のアルキル基は、R11~R16で表される炭素数1~6のアルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
RL1~RL6で表される炭素数1~6のアルコキシ基は、R11~R16で表される炭素数1~6のアルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
RL1~RL6で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基は、R11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
RL1~RL6で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基は、R11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A2)中のR21~R28で表される炭素数1~6のアルコキシ基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のアルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A2)中のR21~R28で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A2)中のR21~R28で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A3)中のR31~R36で表される炭素数1~6のアルコキシ基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のアルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A3)中のR31~R36で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A3)中のR31~R36で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基は、式(A1)中のR11~R16で表される炭素数1~6のフッ化アルコキシ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
本開示の非水電解液の全量に対する化合物(A)の含有量としては、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.005質量%~5質量%がより好ましく、0.01質量%~1質量%が更に好ましく、0.1質量%~1質量%が特に好ましい。
本開示の非水電解液は、化合物(A)以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物、スルトン化合物、環状硫酸エステル化合物、化合物(A)以外のリン酸エステル化合物、オキサラト化合物、フッ素原子で置換された芳香族化合物、フッ素原子で置換された脂肪族化合物、ジニトリル化合物、フッ素原子を有するスルホニル化合物、及びフッ素原子を有するカーボネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
また、その他の添加剤としては、分子量1000以下の化合物が好ましく、分子量500以下の化合物がより好ましい。
炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物としては、メチルビニルカーボネート、エチルビニルカーボネート、ジビニルカーボネート、メチルプロピニルカーボネート、エチルプロピニルカーボネート、ジプロピニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,4-ジメチルビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,4-ジビニルエチレンカーボネート、4,5-ジビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,4-ジエチニルエチレンカーボネート、4,5-ジエチニルエチレンカーボネート、プロピニルエチレンカーボネート、4,4-ジプロピニルエチレンカーボネート、4,5-ジプロピニルエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;などが挙げられる。これらのうち、好ましくは環状カーボネート類であり、より好ましくは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,4-ジビニルエチレンカーボネート、4,5-ジビニルエチレンカーボネートであり、更に好ましくは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートである。
スルトン化合物としては、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,3-プロペンスルトン、1-メチル-1,3-プロペンスルトン、2-メチル-1,3-プロペンスルトン、3-メチル-1,3-プロペンスルトン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトンである。
環状硫酸エステル化合物(但し、式(1)で表される化合物を除く)としては、
カテコールサルフェート、
1,2-シクロヘキシルサルフェート、
2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-メチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-エチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-プロピル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-ブチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-ペンチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-ヘキシル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
4-エチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、
ビス((2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン-4-イル)メチル)サルフェート、
4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、4-プロピル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオランである。
環状硫酸エステル化合物については、国際公開第2012/053644号を参照してもよい。
リン酸エステル化合物としては、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、リン酸トリストリメチルシリル、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルジトリメチルシリル、リン酸トリメチル、リン酸トリストリエチルシリル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、ジフルオロリン酸リチウム、リン酸トリストリメチルシリルである。
オキサラト化合物としては、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム、トリス(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。
これらのうち、好ましくは、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである。
フッ素原子で置換された芳香族化合物としては、少なくともフッ素原子1個によって置換されたベンゼンが好ましい。ここで、少なくともフッ素原子1個によって置換されたベンゼンは、フッ素原子2個以上によって置換されていてもよいし、フッ素原子以外の置換基によって置換されていてもよい。
フッ素原子で置換された芳香族化合物としては、フルオロトルエン(o-、m-、p-体)、ジフルオロトルエン、トリフルオロトルエン、テトラフルオロトルエン、ペンタフルオロトルエン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o-、m-、p-体)、1-フルオロ-4-t-ブチルベンゼン、2-フルオロビフェニル、フルオロシクロヘキシルベンゼン(例えば、1-フルオロ-2-シクロヘキシルベンゼン、1-フルオロ-3-シクロヘキシルベンゼン、1-フルオロ-4-シクロヘキシルベンゼン)、2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソールなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはフルオロトルエン(o-、m-、p-体)であり、より好ましくは、オルトフルオロトルエンである。
フッ素原子で置換された脂肪族化合物としては、フッ化アルケンが好ましい。ここで、フッ化アルケンとは、少なくとも1つのフッ素原子によって置換されたアルケンを意味する。
フッ化アルケンとしては、炭素数3~15のフッ化アルケンがより好ましい。
フッ化アルケンとしては、炭素数1~12のフッ化アルキル基によって置換されたエチレンが好ましい。ここで、フッ化アルキル基とは、少なくとも1つのフッ素原子によって置換されたアルキル基を意味する。
フッ化アルケンとしては、(パーフルオロメチル)エチレン、(パーフルオロエチル)エチレン、(パーフルオロプロピル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロペンチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロヘプチル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロノニル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン、(パーフルオロウンデシル)エチレン、(パーフルオロドデシル)エチレン、等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは(パーフルオロヘキシル)エチレンである。
ジニトリル化合物としては、炭素数2~10のジニトリル化合物が好ましい。
ジニトリル化合物としては、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert-ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2-ジメチルスクシノニトリル、2,3-ジメチルスクシノニトリル、トリメチルスクシノニトリル、テトラメチルスクシノニトリル、3,3’-オキシジプロピオニトリル、3,3’-チオジプロピオニトリル、3,3’-(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’-(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル、1,2-ベンゾジニトリル、1,3-ベンゾジニトリル、1,4-ベンゾジニトリル、1,2-ジシアノシクロブタン、1,1-ジシアノエチルアセテート、2,3-ジシアノヒドロキノン、4,5-ジシアノイミダゾール、2,4-ジシアノ-3-メチルグルタアミド、9-ジシアノメチレン-2,4,7-トリニトロフルオレン、2,6-ジシアノトルエンなどが挙げられる。
これらのうち、好ましくはスクシノニトリル又はアジポニトリルである。
フッ素原子を有するスルホニル化合物としては、スルホニルフルオリド化合物、フッ化アルキルスルホン酸リチウム化合物、ビス(フルオロスルホニル)イミド化合物、等が挙げられる。
メタンスルホニルフルオリド、エタンスルホニルフルオリド、プロパンスルホニルフルオリド、2-プロパンスルホニルフルオリド、ブタンスルホニルフルオリド、2-ブタンスルホニルフルオリド、ヘキサンスルホニルフルオリド、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド、パーフルオロエタンスルホニルフルオリド、パーフルオロプロパンスルホニルフルオリド、又はパーフルオロブタンスルホニルフルオリドが好ましく、
メタンスルホニルフルオリド、エタンスルホニルフルオリド、プロパンスルホニルフルオリド、2-プロパンスルホニルフルオリド、ブタンスルホニルフルオリド、2-ブタンスルホニルフルオリド、又はヘキサンスルホニルフルオリドがより好ましく、
メタンスルホニルフルオリド、エタンスルホニルフルオリド、又はプロパンスルホニルフルオリドが更に好ましく、
メタンスルホニルフルオリドが特に好ましい。
フッ素原子を有するカーボネート化合物としては、メチルトリフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、エチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネートなどの鎖状カーボネート類;4-フルオロエチレンカーボネート、4,4-ジフルオロエチレンカーボネート、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、4-トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、4-フルオロエチレンカーボネート、4,4-ジフルオロエチレンカーボネート、4,5-ジフルオロエチレンカーボネートである。
本開示の非水電解液がその他の添加剤を含有する場合、その含有量には特に制限はないが、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.005質量%~5質量%がより好ましく、0.01質量%~1質量%が更に好ましく、0.1質量%~1質量%が特に好ましい。
非水電解液は、一般的に、非水溶媒を含有する。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができるが、環状の非プロトン性溶媒及び鎖状の非プロトン性溶媒から選ばれる少なくとも一方を用いることが好ましい。
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、環状スルホン、環状エーテルを用いることができる。
環状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%~100質量%、さらに好ましくは20質量%~90質量%、特に好ましくは30質量%~80質量%である。このような比率にすることによって、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カルボン酸エステルは、蒸気圧が低く、粘度が低く、かつ誘電率が高く、電解液の引火点と電解質の解離度を下げることなく電解液の粘度を下げることができる。このため、電解液の引火性を高くすることなく電池の放電特性に関わる指標である電解液の伝導度を高めることができるという特徴を有するので、溶媒の引火点の向上を指向する場合は、前記環状の非プロトン性溶媒として環状カルボン酸エステルを使用することが好ましい。γ-ブチロラクトンが最も好ましい。
環状エーテルの例としてジオキソランを挙げることができる。
鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、鎖状リン酸エステルなどを用いることができる。
鎖状エーテルとして具体的には、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
鎖状リン酸エステルとして具体的には、リン酸トリメチルなどが挙げられる。
本開示の非水電解液に含有される非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
また、環状の非プロトン性溶媒のみを1種類または複数種類用いても、鎖状の非プロトン性溶媒のみを1種類または複数種類用いても、または環状の非プロトン性溶媒及び鎖状のプロトン性溶媒を混合して用いてもよい。電池の負荷特性、低温特性の向上を特に意図した場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
非水溶媒としては、上記以外のその他の溶媒も挙げられる。
その他の溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド、メチル-N,N-ジメチルカーバメートなどの鎖状カーバメート、N-メチルピロリドンなどの環状アミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリブチル、ほう酸トリオクチル、ほう酸トリメチルシリル等のホウ素化合物、及び下記の一般式で表されるポリエチレングリコール誘導体などを挙げることができる。
HO(CH2CH2O)aH
HO[CH2CH(CH3)O]bH
CH3O(CH2CH2O)cH
CH3O[CH2CH(CH3)O]dH
CH3O(CH2CH2O)eCH3
CH3O[CH2CH(CH3)O]fCH3
C9H19PhO(CH2CH2O)g[CH(CH3)O]hCH3
(Phはフェニル基)
CH3O[CH2CH(CH3)O]iCO[OCH(CH3)CH2]jOCH3
前記式中、a~fは、5~250の整数、g~jは2~249の整数、5≦g+h≦250、5≦i+j≦250である。
本開示の非水電解液は、種々公知の電解質を使用することができ、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。
これらのうち、特にリチウム塩が望ましく、さらには、LiPF6、LiBF4、LiOSO2CkF(2k+1)(k=1~8の整数)、LiClO4、LiAsF6、LiNSO2[CkF(2k+1)]2(k=1~8の整数)、LiPFn[CkF(2k+1)](6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)が好ましい。
具体例としては、LiPF6とLiBF4、LiPF6とLiN[SO2CkF(2k+1)]2(k=1~8の整数)、LiPF6とLiBF4とLiN[SO2CkF(2k+1)](k=1~8の整数)などが例示される。
本開示のリチウム二次電池は、正極と、負極と、本開示の非水電解液と、を含む。
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極における負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状のいずれの形態であってもよい。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極集電体の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極における正極活物質としては、MoS2、TiS2、MnO2、V2O5などの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNiXCo(1-X)O2〔0<X<1〕、α-NaFeO2型結晶構造を有するLi1+αMe1-αO2(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1-α)≦1.6)、LiNixCoyMnzO2〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2等)、LiFePO4、LiMnPO4などのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
本開示のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
本開示のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
図1は、本開示のリチウム二次電池の一例であるラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。
図3は、本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
即ち、本開示のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、この充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
なお、以下の実施例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量を表す。
また、「wt%」は、質量%を意味する。
以下の手順にて、図3に示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池(以下、「コイン型電池」とも称する)を作製した。
天然黒鉛系黒鉛100質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部及びSBRラテックス2質量部を水溶媒で混錬してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層とからなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は12mg/cm2であり、充填密度は1.5g/mlであった。
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2を90質量部、アセチレンブラック5質量部及びポリフッ化ビニリデン5質量部を、N-メチルピロリドンを溶媒として混錬してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は22mg/cm2であり、充填密度は2.9g/mlであった。
非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ34:33:33(質量比)の割合で混合した中に、電解質であるLiPF6を、最終的に得られる非水電解液中における電解質濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた。
得られた溶液に対して、添加剤として、化合物(A)の具体例である化合物(a-1)を、非水電解液全量に対する含有量が0.5質量%となるように添加して、非水電解液を得た。
上述の負極を直径14.5mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いて、コイン状の電極(負極及び正極)を得た。また、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径16mmの円盤状に打ち抜きセパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、上記非水電解液40μlを注入してセパレータと正極と負極に含漬させた。
さらに、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封し、直径20mm、高さ3.2mmの図3で示す構成を有するコイン型電池を作製した。
得られたコイン型電池について、ASKA充放電装置(ASKA CHARGE DISCHARGE SYSTEM ACD-M01A, ASKA ElectronicCo.,Ltd.,Japan)と恒温槽(LU-113,ESPEC CORP.,Japan)とを用いて、以下の評価を行った。
上記コイン型電池を、恒温槽内で25℃にて、充電レート0.2Cで4.2VまでCC-CV充電してから放電レート0.2CでCC放電する操作を4回繰り返した。
コンディショニング後のコイン型電池を用いて、以下の方法により、25℃にて初期の電池抵抗を測定した。
まず、SOC(State of Chargeの略)50%から放電レート0.2CでCC10s放電を行い、充電レート0.2CでCC-CV10s充電を行った。
次に、放電レート1CでCC10s放電を行い、充電レート1CでCC-CV10s充電を行った。
次に、放電レート2CでCC10s放電を行い、充電レート2CでCC-CV10s充電を行った。
次に、放電レート5CでCC10s放電を行い、充電レート5CでCC-CV10s充電を行った。
なお、CC10s放電とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。CC-CV10s充電とは、定電流定電圧(Constant Current - Constant Voltage)にて10秒間充電することを意味する。
各充放電休止電流と各充放電休止電圧とから直流抵抗を求め、得られた直流抵抗を、コイン型電池の初期の電池抵抗とした。
比較例1におけるコイン型電池の初期の電池抵抗を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の初期の電池抵抗(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
-低温サイクル試験-
上記コンディショニング後のコイン型電池に対し、低温サイクル試験を実施した。
ここで、低温サイクル試験は、-10℃にて、コイン型電池を充電レート0.2Cで充電させて放電レート0.5Cで放電させるサイクルを、50サイクル行う操作とした。
低温サイクル試験後のコイン型電池を用い、初期の直流抵抗と同様の方法により、低温サイクル後の電池抵抗を測定した。
後述する比較例1についても同様にして、コイン型電池の低温サイクル後の電池抵抗を測定した。
比較例1におけるコイン型電池の低温サイクル後の電池抵抗を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の低温サイクル後の電池抵抗(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
-高温サイクル試験-
上記コンディショニング後のコイン型電池に対し、高温サイクル試験を実施した。
ここで、高温サイクル試験は、55℃にて、コイン型電池を充電レート1Cで充電させて放電レート1Cで放電させるサイクルを、150サイクル行う操作とした。
高温サイクル試験後のコイン型電池を用い、初期の直流抵抗と同様の方法により、高温サイクル後の電池抵抗を測定した。
後述する比較例1についても同様にして、コイン型電池の高温サイクル後の電池抵抗を測定した。
比較例1におけるコイン型電池の高温サイクル後の電池抵抗を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の高温サイクル後の電池抵抗(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
コンディショニング後のコイン型電池を充電レート0.2CにてSOC100%まで充電させた後、25℃にて、放電レート0.2Cにて、初期の放電容量(0.2C)を測定した。
後述する比較例1についても同様にして、コイン型電池の初期の放電容量(0.2C)を測定した。
比較例1におけるコイン型電池の初期の放電容量(0.2C)を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の初期の放電容量(0.2C)(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
放電レートを0.2Cから2Cに変更したこと以外は初期の放電容量(0.2C)と同様にして、初期の放電容量(2C)を測定した。
下記式に基づき、初期の放電容量維持率(0.2C-2C)を求めた。
初期の放電容量維持率(0.2C-2C)=(初期の放電容量(2C))/(初期の放電容量(0.2C))
比較例1におけるコイン型電池の初期の放電容量維持率(0.2C-2C)を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の初期の放電容量維持率(0.2C-2C)(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
上記コンディショニング後のコイン型電池に対し、上述した低温サイクル試験を施した。
低温サイクル試験後のコイン型電池を用い、初期の放電容量(0.2C)と同様の方法により、低温サイクル後の放電容量(0.2C)を測定した。
また、低温サイクル試験後のコイン型電池を用い、放電レートを0.2Cから2Cに変更したこと以外は低温サイクル後の放電容量(0.2C)と同様にして、低温サイクル後の放電容量(2C)を測定した。
これらの結果に基づき、下記式により、低温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)を求めた。
低温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)=(低温サイクル後の放電容量(2C))/(低温サイクル後の放電容量(0.2C))
比較例1におけるコイン型電池の低温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の低温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
上記コンディショニング後のコイン型電池に対し、上述した高温サイクル試験を施した。
高温サイクル試験後のコイン型電池を用い、初期の放電容量(0.2C)と同様の方法により、低温サイクル後の放電容量(0.2C)を測定した。
また、高温サイクル試験後のコイン型電池を用い、放電レートを0.2Cから2Cに変更したこと以外は高温サイクル後の放電容量(0.2C)と同様にして、高温サイクル後の放電容量(2C)を測定した。
これらの結果に基づき、下記式により、高温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)を求めた。
高温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)=(高温サイクル後の放電容量(2C))/(高温サイクル後の放電容量(0.2C))
比較例1におけるコイン型電池の高温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)を100とした場合の相対値として、実施例1におけるコイン型電池の高温サイクル後の放電容量維持率(0.2C-2C)(相対値)を求めた。
結果を表1に示す。
非水電解液中の化合物(A)の種類及び添加量の組み合わせを、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
但し、表1中の「N.D.」(No Data)は、評価結果が無いことを意味する(後述の表3についても同様である)。
また、実施例4~6における化合物(a-2)は、化合物(A)の具体例である、下記化合物である。
非水電解液に、化合物(A)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
非水電解液中の化合物(a-1)を、同質量のLiDFOP(比較化合物)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
比較化合物であるLiDFOPの構造は以下のとおりである。LiDFOPは、化合物(A)に類似した構造を有するが、P=O結合を持たない点等において、化合物(A)と異なる。
これら実施例1~6は、比較例1と比較して、電池の容量及び容量維持率も、ほぼ同等か又は同等以上であった。
非水電解液に対し、更に、炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物の具体例であるビニレンカーボネート(VC)(添加量2.0wt%)を含有させたこと以外は実施例1~3及び比較例1の各々と同様にして、コイン型電池を作製した。
得られたコイン型電池について、実施例1~3及び比較例1の各々と同様の各種の評価を行った。これらの結果は、それぞれ、比較例101における結果を100とした場合の相対値として求めた。
結果を表2に示す。
これら実施例101~103は、比較例101と比較して、電池の容量及び容量維持率も、ほぼ同等であった。
非水電解液に対し、更に、炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物の具体例であるビニレンカーボネート(VC)(添加量1.0wt%)を含有させたこと以外は実施例1~3及び比較例1の各々と同様にして、コイン型電池を作製した。
得られたコイン型電池について、実施例1~3及び比較例1の各々と同様の各種の評価を行った。これらの結果は、それぞれ、比較例201における結果を100とした場合の相対値として求めた。
結果を表3に示す。
これら実施例201~203は、比較例201と比較して、電池の容量及び容量維持率も、ほぼ同等か又は同等以上であった。
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7、8 セパレータ
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板
Claims (7)
- 前記式(A1)中、前記R 11 ~前記R 16 は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す請求項1に記載の電池用非水電解液。
- 電池用非水電解液の全量に対する前記炭素-炭素不飽和結合を有するカーボネート化合物の含有量が、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
- 電池用非水電解液の全量に対する前記化合物(A)の含有量が、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
- 正極と、
金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電池用非水電解液と、
を含むリチウム二次電池。 - 請求項6に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
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