JP2019164937A - 非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
尚、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
特許文献2にはアルキルベンゾニトリル化合物を含有した非水電解液を用いた電池において、過充電時にアルキルベンゾニトリルが分解する際の熱によって保護素子(温度ヒューズ)を切ることで過充電時の安定性を高めることが開示されている。
これらのベンゾニトリル化合物は高電圧状態でガスや熱を発生させる用途では知られているが、高電圧状態でガスを抑制する効果は確認されていない。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、前記一般式(I)で表される化合物を非水電解液中に含有することを特徴とする。
まず本明細書において、「溶媒」とは溶質を溶解するための物質を示す。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、およびアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。環状カーボネートが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートまたは鎖状エステルが含まれることがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方、または、環状カーボネートと鎖状エステルの両方が含まれることが更に好ましい。
さらに、「鎖状カーボネート」とは炭酸直鎖アルキル誘導体であるものと定義する。
特にMTEC、EPを用いた場合にはガス発生抑制効果および容量低下抑制効果が向上するため好ましい。
特にECまたはFECを用いた場合にはガス発生抑制効果および容量低下抑制効果が向上するため好ましい。特にFECを用いた場合、一段と容量回復率が良好となるので好ましい
環状カーボネートと鎖状エステルの割合は、環状カーボネート:鎖状エステル(質量比)が10:90〜50:50が好ましく、30:70〜45:55がさらに好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(I)の化合物が挙げられる。
前記群から選ばれるリチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、およびリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPO2F2やLi2PO3F等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、リチウム 2,2,3,3−テトラフルオロプロピルサルフェート〔LTFPS〕およびFSO3Liから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO2F2、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、LTFPS、およびFSO3Liから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等の無機リチウム塩、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、およびLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることがもっとも好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、4質量%以上であることが好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF3)2、およびLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解全量に占めるそれぞれの割合は、0.01質量%以上であると、ガス発生の抑制効果も高まる。非水電解液全量に対して10質量%以下であるとガス抑制効果が低下する懸念が少ないので好ましい。好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは非水電解液全量に対して0.3質量%以上、最も好ましくは0.46質量%以上である。その上限は、好ましくは11質量%以下、さらに好ましくは9質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩および該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒および非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の第1の蓄電デバイスであるリチウム二次電池は、正極、負極および非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、およびニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiCo1−xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、およびCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、およびLiNi1/2Mn3/2O4から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、50atomic%以上が特に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2等が好適に挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、WおよびZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、またはこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4またはLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵および放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、充電保存特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、サイクル特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によってサイクル特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池ではサイクル特性が良好となる。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6などのリチウム塩が含まれる。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2;94質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質);95質量%と、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1〜5に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
上記の方法で作製した電池を用いて45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で終止電圧4.2Vで3サイクル充放電を行い、60℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で終止電圧4.6Vで2日間または4日間連続充電した。その後、45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流下終止電圧2.75Vまで放電した。連続充電後のガス発生量、容量回復率はアルキメデス法により測定した。また、容量回復率(%)は下記の式にて算出した。
容量回復率(%)=(連続充電後の放電容量/連続充電前の放電容量)×100
実施例1〜9および比較例1〜7における、非水電解液の組成、添加した化合物、添加した化合物の濃度、連続充電期間、ガス発生量、および容量回復率を表1〜5に示す。
oMBN:2−メトキシベンゾニトリル
mMBN:3−メトキシベンゾニトリル
pMBN:4−メトキシベンゾニトリル
ちなみに、実施例1の添加剤を除いた非水電解液の質量比で示した組成は、FECが29質量%、MTECが61質量%、LiPF6が10質量%となる。
Claims (2)
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表される化合物を含有する蓄電デバイス用非水電解液。
- 正極、負極、および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
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