JP5036204B2 - 非水電解質二次電池及びその充電方法 - Google Patents

非水電解質二次電池及びその充電方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池及びそれに用いる非水電解質に関し、より詳しくは、高電位となるまで正極を充電して使用する非水電解質二次電池の過充電安全性及び高率放電特性を向上することに関する。
今日、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の高機能化・小型化および軽量化が急速に進展している。これらの端末の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。近年、これらの機器の一層の高機能化に伴い、電池の更なる高容量化や、高率放電特性の向上の要望が高まっている。
このため、正極を4.4〜5.1Vの高い電位となるまで充電して使用することにより、正極活物質の利用効率を高めて、高容量化を図る技術が提案されている。しかし、正極を高い電位となるまで充電して使用すると、正極活物質の安定性が低下し、且つ安全性が低下するとともに、高温保存時に正極と非水電解質とが反応することによりガスが発生し、電池が大きく膨れてしまうという問題がある。
ところで、過充電により電池が異常状態になることを防止するために、非水電解質にビフェニル(BP)やシクロヘキシルベンゼン(CHB)等を添加する技術が提案されている。
しかし、BPやCHB等は、正極を高電位となるまで充電して使用する場合には、充放電サイクルによってこれらの化合物が分解して、電池に悪影響を及ぼす副反応をひき起こすという問題があった。
ここで、非水電解質二次電池に関する技術として、下記特許文献1〜3が提案されている。
特開2003-187863号公報 特開平7-192721号公報 特開平10-125327号公報
特許文献1にかかる技術は、非水電解質に酢酸リチウムや安息香酸リチウム等を含有させる技術である。この技術によると、過充電時に発生したガスをこれらの化合物がトラップすることにより、安全性に優れた非水電解質二次電池が得られるとされる。
特許文献2にかかる技術は、所定圧力よりも高い電池内圧となった場合に開放作動する弁機構を有する非水電解質二次電池の非水電解質に、酢酸リチウムや安息香酸リチウム等を含有させる技術である。この技術によると、電池温度上昇等による電池の著しい破壊を抑制できるとされる。
特許文献3にかかる技術は、非水電解質に酢酸ナトリウムや酢酸カリウム等を含有させる技術である。この技術によると高温保存特性に優れた非水電解質二次電池が得られるとされる。
しかしながら、上記各技術は、正極を高い電位となるまで充電して使用することについては考慮されていない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、正極を高電位となるまで充電して使用した場合においても高率放電特性が高く、且つ過充電安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の本発明は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池において、前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜5.1Vであり、前記非水電解質は更に、プロピレンカーボネートに飽和溶解させた液の電気伝導度が、25℃において0.3mS×cm−1以下であるリチウム塩と、酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物と、を有することを特徴とする。
通常、充放電を行うと、非水電解質内でリチウムイオンの濃度分布が不均一となるが、上記低電気伝導度のリチウム塩は、リチウムイオン濃度が低くなっている部分で乖離してリチウムイオンを生じさせ、リチウムイオンの濃度分布の不均一を緩衝させるように作用する。このため、正極全体が均一に充放電される。
過充電時や高率放電時には、特にリチウムイオン濃度分布の不均一が生じやすいが、上記リチウム塩を含ませることにより、局所的な過充電や過放電が生じにくくなる。これにより、正極全体としての電位のムラを0.3V未満に抑制できる。また、高率放電時においてもスムースに放電反応が進行するので、高率放電特性を飛躍的に高めることができる
上記構成では、さらに酸化分解電位がリチウム基準で正極の電位よりも0.3V以上高い化合物を備えている。この化合物は、上記リチウム塩と併用して正極電位のムラを低くすることにより、高電位となるまで充電して使用する充放電サイクルでは酸化分解することがない。この一方、過充電時には、正極とこの化合物とが反応して、電池が異常に至る前に速やかに電池を安全状態に移行させる。よって、電池に悪影響を及ぼすことなく過充電安全性が飛躍的に向上する。
上記構成において、前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜4.6Vであり、前記正極活物質が、少なくともジルコニウムとマグネシウムとが添加されたコバルト酸リチウムと、層状構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物とからなり、前記負極活物質が黒鉛からなる構成とすることができる。
この構成によると、正極活物質としてジルコニウムとマグネシウムとが添加されたリチウムコバルト複合酸化物を有しており、この化合物はジルコニウムとマグネシウムとの添加によって高電位(リチウム基準で4.4〜4.6V)での安定性が高められている。さらに、正極活物質として、高電位での熱安定性に優れた層状構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物が配合されているため、高電位での熱安定性に優れる。よって、この活物質系は、高電位となるまで充電して使用するのに適している。
電池電圧は、正極の電位と負極の電位との差で示され、電池電圧を大きくすることにより、電池の容量を大きくすることができるが、負極活物質として電位の低い黒鉛(リチウム基準で約0.1V)を用いると、電池電圧が高く、正極活物質の利用効率の高い電池が得られる。
なお、この系の電池では、正極の電位を4.6Vよりも高くすると、上記正極活物質を用いても、正極活物質の安定性が低下するという問題がある。よって、正極の電位を上記範囲内に規制することが好ましい。
また、ジルコニウムとマグネシウムとが添加されたリチウムコバルト複合酸化物には、アルミニウム等の異種元素がさらに添加されていてもよい。また、層状構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物には、結晶構造中にコバルトが含まれていてもよく、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム等が添加されていてもよい。
上記のジルコニウムとマグネシウムとが添加されたリチウムコバルト複合酸化物は、LiCo1−x−y−zZrMg(MはAl,Ti,Snの少なくとも一種であり、0<a≦1.1、x+y+z=1)で示されるものである。また、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、LiMnNiCo(XはZr,Mg,Al,Ti,Snの少なくとも一種、0≦<b≦1.1、s+t+u+v=1)で示されるものである。
なお、本願発明の効果を十分に得るためには、ジルコニウムの添加量が、LiCo1−x−y−zZrMgにおいて、0.0001≦x<0.03であることが好ましい。また、本願発明の効果を十分に得るためには、マグネシウムの添加量は、0.0001≦y<0.03であることが好ましい。また、ジルコニウム、マグネシウム以外に、Al,Ti,Snが0.0002≦z<0.03の割合で添加されていてもよい。
また、本願発明の効果を十分に得るためには、ニッケルの含有量が、LiMnNiCoにおいて、0<t≦0.5であることが好ましい。また、マンガン、コバルトの含有量が、0≦s、0<u≦0.5であり、s+t+u=1であることが好ましい。また、化合物の熱安定性を高めるために、Zr,Mg,Al,Ti,Sn等の異種元素が0.0001≦v≦0.03の割合で添加されていてもよい。この場合はs+t+u+v=1であることが好ましい。
また、正極活物質中のリチウムコバルト複合酸化物の含有量が51質量%より少ないと、電池容量、サイクル特性、保存特性が低下するおそれがあり、また、層状構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の含有量が10質量%未満であると、正極活物質の高電位での熱安定性の向上効果が十分に得られない。このため、好ましくはリチウムコバルト複合酸化物と、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物の質量比を、好ましくは51:49〜90:10とし、より好ましくは70:30〜80:20とする。
上記構成において、前記リチウム塩の含有量が、非水電解質100質量部に対して0.05〜2.0質量部であり、前記酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物の含有量が、非水電解質100質量部に対して0.5〜4.0質量部であるである構成とすることができる。
上記リチウム塩の含有量が0.05質量部未満であると、十分な効果が得られない可能性がある。他方、2.0質量部とすると、リチウム塩による効果の上限に達し、更なる添加はコスト高を招く。また、この種のリチウム塩は、非水溶媒に対する溶解性が低いため、2.0質量部以上溶かすことは難しく、溶けきらなかったリチウム塩が電池に悪影響を及ぼす可能性もある。よって、リチウム塩の含有量は上記範囲内に規制することが好ましい。
酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物の含有量が0.5質量部未満であると、十分な効果が得られないおそれがあり、4.0質量部より多いと、この化合物が分解してガスが発生し電池の厚みを増大させる可能性がある。よって、酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物の含有量は上記範囲内に規制することが好ましい。
上記構成において、前記非水電解質は更に、ビニレンカーボネートを有する構成とすることができる。
ビニレンカーボネート(VC)は、負極と反応して安定な被膜を形成し、サイクル特性を向上させるように作用する。ここで、VCの含有量が0.5質量%未満であると十分な効果が得られず、4.5質量部より多いと、VCが分解して発生したガスにより電池を膨らしてしまう。よって、VCの含有量は0.5〜4.5質量%であることが好ましい。
上記酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物としては、クロロトルエンやフルオロベンゼン等が好適に使用できる。
上記課題を解決するための第2の本発明は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池の充電方法において、前記非水電解質は更に、プロピレンカーボネートに飽和溶解させた液の電気伝導度が0.3mS×cm−1以下であるリチウム塩と、酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物と、を有し、前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜5.1Vとなるまで充電する工程を備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によると、正極を高電位となるまで充電して使用した場合の安全性を飛躍的に向上でき、高率放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供できる。
本発明を実施するための最良の形態を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は下記の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
〈正極の作製〉
コバルト(Co)に対して0.2mol%のジルコニウム(Zr)と、コバルトに対して0.5mol%のマグネシウム(Mg)とを共沈させ、熱分解反応させて、ジルコニウム、マグネシウム含有四酸化三コバルトを得た。この四酸化三コバルトと炭酸リチウムとを混合し、空気雰囲気中で850℃で24時間焼成し、その後乳鉢で平均粒径が14μmとなるまで粉砕して、ジルコニウム、マグネシウム含有リチウムコバルト複合酸化物(正極活物質A)を得た。
炭酸リチウムと、Ni0.33Mn0.33Co0.34(OH)で示される共沈水酸化物とを混合し、空気雰囲気中で1000℃で20時間焼成し、その後乳鉢で平均粒径が5μmとなるまで粉砕して、コバルト含有リチウムニッケルマンガン複合酸化物(正極活物質B)を得た。なお、この正極活物質Bの結晶構造をX線を用いて解析したところ、層状構造であることが確認された。
正極活物質Aと正極活物質Bとを質量比7:3で混合した正極活物質94質量部と、導電剤としての炭素粉末3質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部と、N−メチルピロリドンとを混合して正極活物質スラリーとした。この正極活物質スラリーをアルミニウム製の正極集電体(厚み15μm)の両面に塗布し、乾燥・圧延して正極を作製した。
〔負極の作製〕
負極活物質としての黒鉛95質量部と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム3質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース2質量部とを、水に分散させて、負極活物質スラリーを調製した。
次に、厚み8μmの銅箔からなる負極芯体の両面に、この負極活物質スラリーを均一な厚さで塗布した。この極板を乾燥機内に通して水分を除去した。この後、ロールプレス機を用いて圧延して、負極を作製した。
〔電極体の作製〕
上記正極と負極とポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜のセパレータとを、巻き取り機により捲回し、絶縁性の巻き止めテープを取り付け、プレスして扁平電極体を完成させた。
〔非水電解質の調製〕
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートとを、体積比20:50:30の割合(1気圧、25℃における)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF(本発明の低電気伝導度リチウム塩ではない)を1.0M(モル/リットル)の割合で溶解した。これに、クロロトルエンを非水電解質100質量部あたり2質量部、酢酸リチウムを非水電解質100質量部あたり1質量部となるように添加して非水電解質を調製した。
〔電池の作製〕
上記扁平電極体と上記非水電解質とを、アルミニウム合金製の角形外装缶内に挿入し、外装缶の開口部に封口板を嵌め合わせレーザ溶接して、高さ43mm、幅34mm、厚み5.0mmの、実施例1にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
クロロトルエンを非水電解質100質量部あたり2質量部、酢酸リチウムを非水電解質100質量部あたり1質量部添加することに代えて、フルオロベンゼンを非水電解質100質量部あたり2質量部、安息香酸リチウムを非水電解質100質量部あたり1質量部以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2にかかる非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
クロロトルエン及び酢酸リチウムをともに添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1にかかる非水電解質二次電池を作製した。
(比較例2)
酢酸リチウムを添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2にかかる非水電解質二次電池を作製した。
(比較例3)
酢酸リチウムに代えて、LiBFを1質量部添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例3にかかる非水電解質二次電池を作製した。
(比較例4)
クロロトルエンを添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例4にかかる非水電解質二次電池を作製した。
(比較例5)
クロロトルエンに代えて、シクロヘキシルベンゼンを添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例5にかかる非水電解質二次電池を作製した。
《電気伝導度の測定》
25℃において、プロピレンカーボネート(PC)に各種リチウム塩を飽和溶解させた液を、電解液を厚さ0.2mmおよび面積1.77cmのステンレス板で挟んで電圧を印加し、その印加する正弦波交流電圧を記号法(複素表示)で表現したいわゆるコール・コール(Cole-Cole)プロットから電気伝導度を求めた。この結果を下記表1に示す。
Figure 0005036204
《酸化分解電位の測定》
25℃において、エチレンカーボネート30体積%とエチルメチルカーボネート70体積%からなる混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させた。次いで、この液100gに、各種化合物を0.1質量%溶解させて、試験液となした。リチウム金属からなる対極と参照極と、白金からなる作用極とを、上記試験液に浸漬し、1mV/秒の電位走査を行った。このとき、0.1mA/cmの酸化電流が流れた電位を酸化分解電位とした。
Figure 0005036204
《過充電試験》
25℃において、830mAの定電流で電圧が12Vとなるまで充電し、電池の状態を観察した。ここで、非水電解質の漏液が確認されたものを×(不良)、異常なしのものを○(良好)と評価した。この結果を下記表3に示す。
《高率放電試験》
25℃において、1It(830mA)の定電流で電圧が4.4V(正極の電位がリチウム基準で4.5V)となるまで充電し、その後4.4Vの定電圧で電流が20mAとなるまで充電した。この電池を、1It(830mA)の定電流で電圧が3.0Vとなるまで放電した。この後上記条件で再度充電し、3It(2490mA)の定電流で電圧が3.0Vとなるまで放電した。高率放電特性を、以下の式により求め、0.8以上のものを○(良好)、0.8未満のものを×(不良)と評価した。この結果を下記表2に示す。
高率放電特性=3It放電容量÷1It放電容量
Figure 0005036204
上記表3から、低電気伝導度リチウム塩が添加されていない比較例1〜3では、高率放電特性試験の結果が×、過充電試験の結果が×であり、低電気伝導度リチウム塩及び高電位酸化分解化合物を添加した実施例1、2の高率放電特性試験の結果○、過充電試験の結果○よりも劣っていることがわかる。
このことは、次のように考えられる。通常、充放電を行うと、非水電解質内でリチウムイオンの濃度分布が不均一となるが、上記低電気伝導度のリチウム塩は、リチウムイオン濃度が低くなっている部分で乖離してリチウムイオンを生じさせ、リチウムイオンの濃度分布の不均一を緩衝させるように作用する。このため、正極全体が均一に充放電される。
過充電時や高率放電時には、特にリチウムイオン濃度分布の不均一が生じやすいが、上記リチウム塩を含ませることにより、局所的な過充電や過放電が生じにくくなる。よって、高率放電時においてもスムースに放電反応が進行するので、高率放電特性が飛躍的に高まる。また、正極内での電位のムラを0.3V未満に抑制できる。
上記実施例1、2では、さらに酸化分解電位がリチウム基準で4.8V以上(正極の電位よりも0.3V以上高い)の化合物を備えている。この化合物は、上記リチウム塩と併用することにより、高電位となるまで充電して使用する充放電サイクルでは、酸化分解することがない。この一方、過充電時には、正極とこの化合物とが反応して、電池が異常に至る前に速やかに電池を安全状態に移行させる。よって、電池に悪影響を及ぼすことなく過充電安全性が飛躍的に向上する。
また、低電気伝導度リチウム塩を含み、高電位酸化分解化合物が添加されていない比較例4では、過充電試験の結果が×であり、低電気伝導度リチウム塩及び高電位酸化分解化合物を添加した実施例1、2の過充電試験の結果○よりも劣っていることがわかる。
このことは、次のように考えられる。比較例4では、高電位酸化分解化合物を含んでいないため、過充電時による電池の異常状態を回避できず、電池を漏液に至らせる。
また、低電気伝導度リチウム塩を含み、高電位酸化分解化合物に代えてシクロヘキシルベンゼンが添加された比較例5では、高率放電特性試験の結果が×であり、低電気伝導度リチウム塩及び高電位酸化分解化合物を添加した実施例1、2の過充電試験の結果○よりも劣っていることがわかる。
このことは、次のように考えられる。比較例5では、シクロヘキシルベンゼンの酸化分解電位が4.7Vであり、正極の電位との差が0.2Vと小さく、通常の充放電で局所的に過充電された部分で分解して電池に悪影響を及ぼす。このため、高率放電特性が低下する。
なお、正極活物質としては、上記実施例で用いたもの以外に、例えば異種元素を添加して高電位での安定性を高めたスピネル型マンガン酸リチウムを用いることができる。また、負極活物質には、リチウムを吸蔵・放出することが可能な炭素質材料、特に人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛類が用いられる。
本発明においては、非水溶媒系電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好ましく、カーボネート類がさらに好ましい。
具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−シクロヘキシルカーボネート、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。充放電効率を高める点から、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)・メチルエチルカーボネート(MEC)・ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート等との混合溶媒を用いることが好ましく、鎖状カーボネートとしてMECのような非対称鎖状カーボネートを用いることがより好ましい。また、鎖状カーボネートとして、DMCを用いるときは0体積%以上40体積%以下、MECを用いるときは30体積%以上80体積%以下、DECを用いるときは20体積%以上50体積%以下とすることが好ましい。
なお、本発明における非水電解質の電解質塩としては、非水電解質二次電池において一般に電解質塩として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。ここで、高い充電電圧で充電する場合、通常正極の集電体として用いられるアルミニウムが溶解しやすくなるが、LiPFの存在下では、LiPFが分解することにより、アルミニウム表面に被膜が形成され、この被膜によってアルミニウムの溶解を抑制することができる。従って、リチウム塩としては、LiPFを用いることが好ましい。前記非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
以上説明したように、本発明によると、正極を高電位となるまで充電して使用する電池の過充電安全性を大きく向上させることができ、且つ高率放電特性を飛躍的に向上できるので、産業上の意義は大きい。

Claims (6)

  1. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池において、
    前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜5.1Vであり、
    前記非水電解質は更に、プロピレンカーボネートに飽和溶解させた液の電気伝導度が、25℃において0.3mS×cm−1以下であるリチウム塩と、
    酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物と、を有する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
    前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜4.6Vであり、
    前記正極活物質が、少なくともジルコニウムとマグネシウムとが添加されたコバルト酸リチウムと、層状構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物とからなり、
    前記負極活物質が黒鉛からなる、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池において、
    前記リチウム塩の含有量が、非水電解質100質量部に対して0.05〜2.0質量部であり、
    前記酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物の含有量が、非水電解質100質量部に対して0.5〜4.0質量部である、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  4. 請求項1、2又は3に記載の非水電解質二次電池において、
    前記非水電解質は更に、ビニレンカーボネートを有する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  5. 請求項1、2、3又は4に記載の非水電解質二次電池において、
    前記化合物は、クロロトルエン及びフルオロベンゼンの少なくとも一種である、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  6. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池の充電方法において、
    前記非水電解質は更に、プロピレンカーボネートに飽和溶解させた液の電気伝導度が、25℃において0.3mS×cm−1以下であるリチウム塩と、
    酸化分解電位がリチウム基準で前記正極の電位よりも0.3V以上高い化合物と、を有し、
    前記正極の電位がリチウム基準で4.4〜5.1Vとなるまで充電する工程を備える、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池の充電方法。
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