JP4265200B2 - 乾燥能力を有する樹脂組成物およびそれを用いた積層体、包装体 - Google Patents

乾燥能力を有する樹脂組成物およびそれを用いた積層体、包装体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乾燥能力を有する樹脂組成物およびそれを用いた積層体、包装体に関し、さらに詳細には、本樹脂組成物を乾燥機能の有する包装体として用いた場合の、内容物への影響、吸湿機能の向上、それに伴う成形加工性の向上、さらには包装体としての物理的強度を維持することが可能な乾燥能力を有する樹脂組成物およびそれを用いた積層体および各種包装体関する。
【0002】
【従来の技術】
各種内容物を包装するパッケージ事業という分野において、「パッケージ」あるいは「包装」のキーワードとしては大きく以下の内容が挙げられる。
【0003】
(1)消費者に対する購買意識の付与、危険性の提示といった「表示効果」
(2)充填した内容物自体に包装体が侵されないための「内容物耐性」
(3)外部刺激に対する「内容物の保護」
これらのキーワードは更に細分化され、細かい要求品質へと展開される。
【0004】
そのうち、「内容物の保護」という点で特に注目を浴びているのが、酸素や水分からの内容物の保護が挙げられる。
【0005】
特に最近では、食品分野、工業製品分野、医療・医薬品分野等の各分野において、酸素や水分に対する内容物の保護性が重要視されるようになってきた。
【0006】
その背景として、酸素については酸化による内容物の分解、変質、水分については吸湿や加水分解に伴う内容物の変質が挙げられる。
【0007】
このように酸素あるいは水分による内容物の変質を防ぐ為、様々な方法が検討されてきた。
【0008】
その一つが、酸素バリアあるいは水分バリア性を有する材料を用いた包装体を設計することが挙げられる。
【0009】
水分バリアという点で例を挙げると、防湿性のあるポリオレフィン系樹脂を用いる、あるいは、これらのポリオレフィンやポリエステルやポリアミドフィルムにポリビニリデンクロライド系コーティング層を設けることで防湿性を付与したフィルムが最も一般的である。
【0010】
これらの水分バリア性基材を用いた包装体は、その高い水分バリア性から各種用途に展開が広がっている。
【0011】
しかしながら、これらの水分バリア性基材は塩素系ポリマーを用いていることからその代替案が検討されている状態である。
【0012】
また、一部の内容物によっては、ヘッドスペース中のわずかな湿度や水分によって劣化を伴う場合もあり、包装容器外側からの水分バリア性だけでなく、ヘッドスペース中の湿度や水分も除去したいというニーズが出てきている。
【0013】
これらの問題点を解決する為に、各種容器に乾燥剤を練り込むことで、吸湿性を付与した技術が開発されている。
【0014】
これらの技術はすでに公知の技術である。
【0015】
そのうち、用いる乾燥剤としては各種公報より様々な提案がされており、ゼオライトや硫酸マグネシウムやシリカや酸化カルシウムや塩化カルシウムのような無機系乾燥剤、ポリアクリル酸誘導体やセルロース誘導体のような吸水性ポリマーが挙げられている。
【0016】
吸水性ポリマーについては吸湿はするが水分を放出しやすいといった課題を有することから、無機系の乾燥剤が良く用いられる。
【0017】
無機系の乾燥剤は吸湿能力という点から好ましいが、酸化カルシウムや酸化マグネシウムなどは、吸湿により塩基性の化合物を形成する。
【0018】
また硫酸マグネシウムなどは酸性である事から、これらの乾燥剤を練り込んだ樹脂組成物を容器とした際に、内容物への影響が懸念される。
【0019】
また、後述するがコンパウンド工程において、熱及び塩基性または酸性化合物との接触により分解を伴う化合物を添加する事が出来ないといった問題も有する。
【0020】
一方で、乾燥剤を練り込んだ熱可塑性樹脂組成物の改善が必要な事項として、吸湿速度が挙げられる。
【0021】
これは、ポリオレフィンなどの防湿性樹脂に乾燥剤を配合すると、せっかくの吸湿剤の効果が薄れてしまうという問題がある。
【0022】
この内容は、吸湿剤を練り込む樹脂層の水分バリア性が比較的良い為、吸湿剤のもつ吸湿速度に影響を与えることを意味する。
【0023】
また、ポリエステルまたはポリアミドのように吸湿性を有する樹脂をベースに用いると、上述したように熱と塩基性化合物の影響により分解を伴う。
【0024】
【特許文献1】
米国特許第6,214,255号公報
【0025】
ポリマーに乾燥剤を配合することで発生する吸湿速度の低下を克服する試みとして、特許文献1に記載されている乾燥容器があげられる。
【0026】
本内容では、熱可塑性樹脂に吸湿剤およびチャンネル構造形成剤を配合することで、射出成形容器を成形しいる。
【0027】
機構としては、乾燥剤が選択的にチャンネル構造形成剤からなる相に分散し、その局所的な濃度分布と吸湿を利用して、徐々にチャンネルユニット部分を起点に微細クラックを発生させ、そのクラックを水分の通り道とすることで乾燥性を向上させている。
【0028】
しかしながら、クラックの発生は容器の物理的強度物性への影響が懸念されるところである。
【0029】
また、成形方法が限定されているという点も課題事項としてあげられる。
【0030】
また、乾燥機能を向上させる為に高含量の乾燥剤を配合すると、樹脂と乾燥剤の密着性が低い為、物理的強度物性が低下する。
【0031】
乾燥能力を有する樹脂組成物の登場は、今後のパッケージの内容物保存効果という点で期待される分野であるが、現状としては上述した改善事項が多く残されている。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記の実情を考慮したものであり、吸湿により塩基性や酸性を呈する化合物を配合しても、加工性や内容物の影響を低減させる事が可能であり、乾燥能力を維持しながらも、能力の持続性または容器の物理的強度物性の維持を保つことが可能な、乾燥能力を有する樹脂組成物およびそれを用いた積層体、包装体を得ることが挙げられる。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を克服するために考え出されたものであり、
請求項1記載の発明は、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体から1種以上選択される単体あるいはブレンド樹脂である熱可塑性樹脂(樹脂A)50〜99wt%と、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物が1〜99wt%に対しエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分または完全ケン化物から選択される吸水または吸湿性有機化合物を99〜1wt%配合した樹脂組成物(樹脂B)を1〜50wt%配合し、樹脂A中に樹脂Bを分散させた、樹脂A+樹脂Bからなるブレンド樹脂100重量部に対しミネラルオイルより表面処理を施された、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物から1種以上選択される吸湿性無機化合物を1〜100重量部配合したことを特徴とする、乾燥能力を有する脂組成物、としたものである。
【0039】
請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂(樹脂A)がポリオレフィン樹脂であり、そのポリオレフィン樹脂中にはシクロペンタジエニル誘導体の周期律表第III、IV、V、VI、IX、X族遷移金属原子からなる錯体もしくは、上記金属錯体に必要に応じてメチルアルミノキサンからなる、シングルサイト触媒を用いて、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1,からなるC3〜C8、あるいはC9以上の高級αオレフィン、あるいはシクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィンを共重合した、密度0.930g/cm 3 以下であり、曲げ弾性率が250MPa以下であるポリオレフィン系樹脂を少なくとも10wt%以上含む事を特徴とする、請求項記載の乾燥能力を有する樹脂組成物、としたものである。
【0041】
請求項記載の発明は、表面処理無機系乾燥剤を配合することによって発生した樹脂組成物中の空隙率が、1%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の乾燥能力を有する樹脂組成物、としたものである。
【0045】
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の乾燥能力を有する樹脂組成物を設けたことを特徴とする積層体、としたものである。
【0046】
請求項記載の発明は、乾燥能力を有する樹脂組成物からなる層のどちらか一方に防湿層あるいは高酸素バリア層を設けたことを特徴とする請求項記載の積層体、としたものである。
請求項6記載の発明は、防湿層あるいは高酸素バリア層が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分あるいは完全けん化物、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、無機化合物蒸着フィルム、オーバーコート層を設けた無機化合物蒸着フィルムであることを特徴とする請求項5記載の積層体、としたものである。
【0047】
請求項記載の発明は、請求項4、5、または6記載の積層体から形成された包装体、としたものである。
【0048】
請求項記載の発明は、軟包装体として用いられることを特徴とする、請求項記載の包装体、としたものである。
【0049】
請求項記載の発明は、中空容器として用いられることを特徴とする、請求項記載の包装体、としたものである。
【0050】
請求項1記載の発明は、トレーまたはカップとして用いられることを特徴とする、請求項記載の包装体、としたものである。
【0051】
請求項1記載の発明は、複合紙容器として用いられることを特徴とする、請求項記載の包装体、としたものである。
【0052】
請求項12記載の発明は、キャップとして用いられることを特徴とする、請求項記載の包装体、としたものである。
【0053】
請求項13記載の発明は、請求項8、9、10、11あるいは12記載の包装体を2種以上組み合わせることで用いられる包装体、としたものである
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0055】
本発明の乾燥能力を有する樹脂組成物としては、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体から1種以上選択される単体あるいはブレンド樹脂である熱可塑性樹脂(樹脂A)50〜99wt%と、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物が1〜99wt%に対しエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分または完全ケン化物から選択される吸水または吸湿性有機化合物を99〜1wt%配合した樹脂組成物(樹脂B)を1〜50wt%配合し、樹脂A中に樹脂Bを分散させた、樹脂A+樹脂Bからなるブレンド樹脂100重量部に対しミネラルオイルより表面処理を施された、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物から1種以上選択される吸湿性無機化合物を1〜100重量部配合したことを特徴とする、乾燥能力を有する脂組成物である。
【0056】
本発明で必須となるのは、吸湿により塩基性または酸性を呈する無機化合物に表面処理を施すことが挙げられる。
【0057】
本来であれば乾燥剤は、上述した硫酸マグネシウムなどを使用する事も可能であるが、相対湿度90%雰囲気下で飽和水分量が自重の10%という吸湿能力、水分保持力などを考慮して酸化カルシウムを用いた方が好ましい。
【0058】
しかし、酸化カルシウムの吸湿機構は、水分と接する事で塩基性の水酸化カルシウムを形成することが問題として挙げられる。
【0059】
その吸湿に伴う塩基性の影響を防ぐ為、酸化カルシウムの表面に表面処理を施した方が好ましい。
【0060】
この内容は、塩基性だけでなく酸性を呈するものについても同様な事がいえる。
【0061】
その表面処理の具体例としては、飽和あるいは不飽和脂肪酸あるいはこれらの塩、アクリル酸あるいは無水マレイン酸などの酸成分により変性されたポリオレフィン系ワックス、さらには、軽質油やマシン油に代表される潤滑油、シリコンオイルやシリコングリースに代表されるミネラルオイルで表面処理を施す事が挙げられ、誠意検討した結果、特にミネラルオイルが好ましいと判断された。
【0063】
表面処理を施す効果としては大きく3つ挙げられ、第1に、熱と塩基または酸により容易に分解しうる化合物の分解防御が挙げられる。
【0064】
第2に、乾燥剤を配合したコンパウンドを容器にした時の内容物への影響が低減される。
【0065】
そして第3には、表面処理を施す事でコンパウンド工程の乾燥剤の吸湿が抑制でき、ハンドリングが容易になるという事が挙げられる。
【0066】
このような表面処理は、あらかじめ酸化カルシウムなどの乾燥剤に施しておいても構わないし、コンパウンド工程で押出機内で表面処理を施しても構わない。
【0067】
上記乾燥剤を配合する熱可塑性樹脂(樹脂A)としては、低密度ポリエチレンαオレフィンがブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などのエチレン−αオレフィン共重合体から1種以上選択される単体あるいはブレンド樹脂が使用可能である。
【0068】
つまり、表面処理を施した酸化カルシウムを用いる事で、従来まで表面処理無しでは分解の恐れが有った熱可塑性樹脂、特にポリエステル樹脂やポリアミド樹脂やエチレン−α,β不飽和カルボン酸のエステル化物にも展開が可能ということである。
【0069】
特に、熱可塑性樹脂(樹脂A)としてポリオレフィン樹脂を用いる場合には、その10wt%以上は、シクロペンタジエニル誘導体の周期律表第III、IV、V、VI、IX、X族遷移金属原子からなる錯体および、上記金属錯体に必要に応じてメチルアルミノキサンからなる、シングルサイト触媒を用いて得られた、ASTMのD1238に準ずるメルトインデックス(MI)が0.1〜200の範囲、好ましくは3〜50の範囲エチレン−αオレフィン共重合体あるいはエチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂を配合した方が好ましい。
【0070】
このような触媒の例として、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドにメチルアミノキサンを加えて得られたシングルサイト触媒(カミンスキー触媒)やその誘導体が挙げられる。
【0071】
金属としては特に、チタニウムやジルコニウムやハフニウムなどの周期律第IV族の遷移金属が用いられるが、特にこれらに限定されるものでない。
【0072】
また、上記触媒は、嵩高い2つのシクロペンタジエニル基に遷移金属が導入された構造を有するが、チタン系の幾何拘束触媒を用いることで、C6,C8、あるいはC9以上の高級αオレフィンや、シクロペンタジエンやノルボルネンなどの環状オレフィンをも導入することが可能であることから非常に好ましい。
【0073】
ただし、コモノマーとしては柔軟性という点を考慮するとαオレフィンが好ましい。
【0074】
このような、シングルサイト系触媒を用いる利点は以下の内容が上げられる。
【0075】
(1)分子量分布が狭い
(2)コモノマーの導入位置が制御しやすい。
【0076】
(3)ラメラ間に存在するタイ分子が多いため、引裂きなどに対する強度に優れる。
【0077】
(4)柔軟性を付与することが可能
(5)ストレスクラッキング耐性に優れる
また、密度が0.930g/cm3以下、特に密度領域が0.850〜0.925g/cm3のものは、ポリオレフィンエラストマーあるいはプラストマーの領域に入り、強度物性という点で非常に好ましい。
【0078】
特に、チタン系の幾何拘束触媒を用いることで、コモノマーの分布位置だけでなく、C9以上の高級αオレフィン(イオン重合における生成物)をコモノマーとして導入させることが可能であり、シングルサイト系触媒でありながら、低密度ポリエチレンのような長鎖分岐を構造中に取り込むことが可能である。
【0079】
この内容は、エチレン−αオレフィン共重合体でありながら溶融張力が大きい、せん断速度に対する溶融粘度の変化が顕著(高せん断で低粘度)など、各種成形加工に展開が可能である意味でも好ましい。
【0080】
また、詳細原理は不明であるが、シングルサイト系触媒によるエチレン−αオレフィン共重合体は無機化合物の分散性に優れる。
【0081】
特に上記密度範囲はなお有効である。
【0082】
このような強度物性、柔軟性、無機化合物分散性、成形性と言った点で、本材料系を配合することは非常に好ましい。
【0083】
上述したエチレン−αオレフィン共重合体における曲げ弾性率も250MPa以下が好ましい。
【0084】
曲げ弾性率は高分子の柔軟性の指標ともなり、250MPa以上であると、応力を繰り返すことによりクラックや強度物性の低下を伴う恐れがある。
【0085】
これらの樹脂組成物においては、基本的に非相溶系である樹脂と無機化合物の配合になるため、これらの界面接着性は非常に劣る。
【0086】
そのため、樹脂組成物中には空隙が多くなることを意味する。
【0087】
この時、空隙率の定義として、樹脂A単体(あるいは樹脂A+樹脂B)で成形した成形品の比重と重量から成形品の体積を求め、その無機化合物と樹脂A(あるいは樹脂A+樹脂B)を配合した理論比重から求められる理論重量を計算し、100−(実際の樹脂組成物の重量)/(理論上の樹脂組成物の重量)×100で計算される値を空隙率として用いる。
【0088】
その値が1〜50wt%の範囲、さらに好ましくは、10〜40wt%の範囲が好ましい。
【0089】
空隙率はポリマーの強度物性を低下させる要因となりうる。
【0090】
つまり、50wt%以上の場合は、樹脂組成物の強度物性の低下を引き起こす可能性が高い。
【0091】
また、吸水または吸湿性を付与するとなると、空隙は水分の通り道として機能を果たすことができる。
【0092】
つまり樹脂組成物中の無機化合物が吸湿性のものであれば、空隙を透過した水分を効率よく捕獲することが可能である。
【0093】
そのような意味で、1%以上、好ましくは10%以上の空隙を有していた方が好ましい。
【0094】
また、シングルサイト系触媒によるエチレン−αオレフィン共重合体を用いることで、上述した空隙率の範囲においても十分な物理的強度物性を維持する事が可能である。
【0095】
表面処理を施した乾燥剤を用いる事で、加工性やハンドリングの向上は期待できるが、その反面、吸湿速度を犠牲にする。
【0096】
表面処理の有無での飽和水分量は変わらないが、表面処理を施す事でその速度が低下する。
【0097】
更にそれを熱可塑性樹脂にコンパウンド処理する事で、さらに吸湿速度が低下する恐れが有る。
【0098】
そこで、少なくとも熱可塑性樹脂に配合する事による吸湿速度の低下を改善させるという意味で、樹脂Bの配合は効果的である。
【0099】
樹脂Bの成分である、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物と吸水または吸湿性有機化合物については、まずエチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物としては、エチレン−(メタ)アクリル酸が代表的なものとしてあげられ、さらに(メタ)アクリル酸エステルを含む三元共重合体でも構わない。
【0100】
さらに、これらのエチレン−α,β不飽和カルボン酸を、ナトリウム、カリウム、亜鉛などの各種陽イオンによりイオン架橋させたアイオノマー樹脂も使用することが可能である。
【0101】
特に、後述したアイオノマー樹脂は、以下に述べる吸水または吸湿性有機化合物との相溶性、分散性という点で好ましい。
【0102】
樹脂Bのもう一つの成分である吸水または吸湿性有機化合物としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分または完全けん化物挙げられる。
【0104】
樹脂Bの配合組成としては、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物1〜99wt%に対し、吸水または吸湿性有機化合物を99〜1wt%配合したことを特徴とする。
【0105】
この内容から、これらの材料の配合組成は任意に設定することが可能であり、乾燥能力を有する樹脂組成物として求められる乾燥速度に応じて設計することが可能である。
【0106】
エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物1wt%以下に対し、吸水または吸湿性有機化合物を99wt%以上配合した場合は、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物配合の効果が十分に現れず、逆にエチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物99wt%以上に対し、吸水または吸湿性有機化合物を1wt%以下配合した場合は、吸水または吸湿性有機化合物配合の効果が十分に現れない。
【0107】
また、材料組み合わせ的には加工性の低下等が伴う場合があるので、その場合は、加工性に応じて設定することも可能である。
【0108】
エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物の必要性は主に以下に挙げられる。
【0109】
一つに吸水または吸湿性有機化合物の分散性の向上である。
【0110】
エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物はイオン−双極子相互作用、イオン−イオン双極子作用などの分子間相互作用により、極性ポリマーとの相性に優れる材料である。
【0111】
また、エチレン系共重合体であることから、ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレンとも相性が良い。
【0112】
また、ポリアクリル酸やポリアクリル酸ナトリウムやセルロース誘導体、あるいは高けん化度(けん化度98%以上)のポリ酢酸ビニルけん化物は、融点と分解点とのギャップが狭いこと、熱可塑性を示さないことから、単純にこれらの材料を樹脂Aに配合したとしても、分散性が極めて低く、外観不良を伴うばかりでなく、樹脂中の分散状態によっては、効率よく乾燥機能を果たすことが困難になる恐れがある。
【0113】
そのような意味で、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物は必須成分としてあげられる。
【0114】
第2に樹脂A中における分散状態の制御が挙げられる。
【0115】
上述したようにエチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物は、樹脂Aと吸水または吸湿性有機化合物の相互間で作用するものである。
【0116】
以下の製法でも述べるが、これら3成分を単独でそれぞれ配合する(製法−1)ことも可能であるが、あらかじめ、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物と吸水または吸湿性有機化合物からなるコンパウンド(樹脂B)を作成し、さらに樹脂Aと配合した方が好ましい(製法−2)。
【0117】
この内容は、(製法−1)を用いた場合で図1に示すように樹脂A中においてエチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物と吸水または吸湿性有機化合物が独立して分散する可能性が有り、特に熱可塑性を示さない吸湿性有機化合物の場合は、ポリマー型フィラーとして分散されてしまう。
【0118】
一方、(製法−2)を用いることで、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物と吸水または吸湿性有機化合物からなるコンパウンド(樹脂B)が効率よく分散することが可能である(図2)。
【0119】
また、図2の状態をさらに各種成形方法によりアスペクト比を1よりも大にすることで、より効率よく透湿度の制御を行うことが可能である。
【0120】
ここで、また無機化合物の表面処理の効果について記載するが、上述した樹脂Bにおける吸水または吸湿性有機化合物のうち、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分けん化物の場合、あるいはカルボキシメチルセルロース、あるいはポリエステル、ポリアミドについては表面処理を施した酸化カルシウムを用いないと分解してしまうため、樹脂Bの配合の点でも有効な手段である。
【0121】
樹脂A+樹脂Bの合わせて100重量部に対し配合する吸湿性無機化合物としては1〜100重量部である
【0122】
1重量部以下では吸湿性能に劣り、100重量部以上では成形加工性に問題が生じる。
【0123】
また、必要に応じては上記以外の各種添加剤、酸化防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、分散剤など各種添加剤を配合してもかまわない。
【0124】
これらの乾燥能力を有する樹脂組成物の製造方法とし最も好ましい製法を以下に記載する。
【0125】
(1)樹脂A+乾燥剤のコンパウンドの作成
最終製品の成形方法および必要とされる乾燥能力により設定した各種所定配合量の材料を、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどを用いてドライブレンドし、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、バンバリーなどの混練機を用いて、ベースとなる熱可塑性樹脂にもよるが、融点以上280℃以下、好ましくは260℃以下、さらに好ましくは240℃以下で混練することで得られる。
【0126】
その際、あらかじめ表面処理を施した無機化合物を用いても良く、さらには表面処理剤を押出機内に添加して、コンパウンド工程と同時に表面処理を施しても構わない。
【0127】
得られたストランドは空冷により冷却し、ペレタイズ後、アルミバッグなどの包装形態中で保管する。
【0128】
(2)樹脂Bの作成
同様に、最終製品の成形方法および必要とされる乾燥能力により設定した各種所定配合量の材料を、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどを用いてドライブレンドしたものを単軸押出機、二軸押出機などの押出機、バンバリーなどの混練機を用いて、220℃以下で混練することで得られる。
【0129】
得られたストランドは空冷により冷却し、ペレタイズ後、アルミバッグなどの包装形態中で保管する。
【0130】
(3)樹脂組成物の作成
(樹脂A+乾燥剤)と樹脂Bを同様に求める能力に応じて配合し、求める製品形態で必用な成形法の適切温度で、樹脂組成物を作成する。
【0131】
(樹脂A+乾燥剤)と樹脂Bを更にコンパウンドしても、直接成形品に成形しても構わない。
【0133】
本発明の乾燥能力を有する樹脂組成物は、押出ラミネーション成形、押出キャスト成形、インフレーション成形、インジェクション成形、ダイレクトブロー成形など各種成形法を用いて積層体とすることが可能である。
【0134】
また上述した成形法で得られたフィルム(インフレーションなど)については後工程でドライラミネーションやウエットラミネーション、ノンソルベントラミネーションにより積層体を得ることも可能であり、またインジェクション成形で得られたプリフォームを延伸ブロー成形により多層延伸ブローボトルにすることも可能であるが、これらの成形法に限られるものではない。
【0135】
本発明の乾燥能力を有する樹脂組成物単体は、乾燥能力は有するが、吸湿性無機材料が吸湿し飽和してしまうと、機能を発現しなくなる恐れがある。
【0136】
そのような意味で、本樹脂組成物を用いた積層体は少なくとも一層は、水分バリア性を有する材料を設けた方が好ましい。
【0137】
これらの材料としては、ポリオレフィン樹脂やポリビニリデンクロライドのようなバリアコート層を設けた基材を用いた方が良い。
【0138】
これらのバリア層を用いることで、これらのバリア層を僅かに透過した水分を吸収するだけでなく、包装体のヘッドスペースの湿度を低下させることが可能になる。
【0139】
また、高酸素バリア性の基材たとえばアルミ箔、アルミ蒸着フィルム、シリカやアルミナの蒸着フィルム、ポリビニルアルコール系コーティング層を設けたシリカやアルミナの蒸着フィルムを用いる事で、水分吸収だけでなく酸素バリア性も付与する事が可能である。
【0140】
また当然の事ながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体などを設ける事で、軟包装やボトル用途にも展開可能である。
【0141】
積層体の例を以下に記載する。
【0142】
積層体の例に記載されている記号は、以下に記載する。
【0143】
A:ポリオレフィン樹脂、B:ポリエステルフィルム、C:ポリビニリデンクロライドコート、D:アルミ箔
【0144】
構成例−1:
構成:A/乾燥能力を有する樹脂組成物
成形法:押出成形、射出成形、ブロー成形、など
用途:シート、中空容器、カップ、トレーなど
【0145】
構成例−2:
構成:B/C/接着剤/A/乾燥能力を有する樹脂組成物
成形法:押出/ドライラミネートなど
用途:軟包装体、蓋材
【0146】
構成例−3:
構成:B/接着剤/D/接着剤/A/乾燥能力を有する樹脂組成物
成形法:同上
用途:同上
【0147】
構成例−4:
構成:紙/A/D/接着剤/A/乾燥能力を有する樹脂組成物
成形法:押出ラミネートなど
用途:複合紙容器など
Bのポリエステルフィルムについては、Cのコート層ではなく、アルミ蒸着やシリカ、アルミナ蒸着あるいはさらにバリア性を付与する為にポリビニルアルコール系オーバーコート層を設けた高酸素ガスバリアフィルムでも構わない。
【0148】
上述したように、様々な構成で得られた積層体は、そのまま各種用途の包装体へ展開することが可能である。
【0149】
これらの例は上述した内容にかぎられないで、様々な包装形態へ展開が可能になる。
【0150】
また、これらの包装形態を組み合わせることで、水分を吸収し、乾燥能力を有する包装体を形成することが可能になる。
【0151】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、それに限定されるものではない。
【0152】
[樹脂A+無機系吸湿剤の作成:材料]
以下の材料を用いた。
【0153】
<樹脂A>
・A−1:シングルサイト エチレン−ヘキセン−1共重合体(MI=25、曲げ弾性率80MPa、密度0.901g/cm3
・A−2:低密度ポリエチレン(MI=20、曲げ弾性率160MPa、密度0.915g/cm2
・A−3:ホモポリプロピレン(MI=30、曲げ弾性率1750MPa、密度0.900g/cm3
・A−4:マルチサイト エチレン−オクテン−1共重合体(MI=20、曲げ弾性率420MPa、密度0.925g/cm3
・A−5:ホモポリエチレンテレフタレート樹脂
【0154】
<乾燥剤>
・B−1:酸化カルシウム(ミネラルオイル表面処理品)
・B−2:酸化カルシウム(未処理)
【0155】
[樹脂A+乾燥剤の作成:製造]
あらかじめ、樹脂60wt%に対し、酸化カルシウム40wt%になるように調整した混合物を2軸押出機(φ=30,L/D=49)により吐出9kg、200℃(ポリオレフィン樹脂)あるいは265℃(ポリエステル樹脂)、50rpmでコンパウンドを行った(この時点では重量比で換算しておく)。
【0156】
この高濃度分散体をマスターバッチとして以下の成形に使用した。
【0157】
得られたマスターバッチは、空冷ペレタイズを行い、アルミ包装体に保管した(不活性ガス置換済み)。
【0158】
[樹脂Bの作成:材料]
<エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物>
C−1:Na−アイオノマー
<吸水または吸湿性有機化合物>
D−1:ポリビニルアルコール(けん化度50〜70%)
D−2:エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量32mol%)
[樹脂Bの作成:製造]
以下の実施例に示す配合組成になるように調整したエチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物と吸水または吸湿性有機化合物の混合物を2軸押出機(φ=30,L/D=49)により吐出9kg、200℃、50rpmでコンパウンドを行った。
【0159】
得られたコンパウンドは空冷ペレタイズを行い、アルミ包装体に保管した(不活性ガス置換済み)。
【0160】
[評価サンプルの作成:製造]
本発明の樹脂組成物の能力確認については、射出成形および押出キャスト成形により得られたサンプルを用いた。
【0161】
射出成形容器については、図4に示すスクリューネジ式中空容器の外側容器と内側容器(乾燥剤練り込み)を別々に射出成形を行う事で作成した。
【0162】
その時の外側容器はポリプロピレン樹脂を用い、外側容器と内側容器を別工程で一体化させる事で乾燥容器を得た。
【0163】
押出キャスト成形は2層共押出機による共押出フィルムを用い、サポート樹脂層/本発明の樹脂組成物層=30μm/30μmの膜厚比で製膜を行った。
【0164】
得られたフィルムサンプルを、スクリューネジ式中空容器用キャップのインナーキャップとして用い、インサート射出成形法によりキャップを製造した。
【0165】
外側容器に用いた樹脂および共押出キャストによる支持層については、その成形法に応じた樹脂で、本発明の樹脂組成物層のベース樹脂と同じ材質のものを用いた。
【0166】
容器形状は、高さ60mm、底面積約1250mm2(75000mm3)の円柱状容器であり、樹脂組成物層の目付けは約10gである。
【0167】
また、外層の容器の目付けも10gであり、厚さは1.5mmである。
【0168】
インナーキャップにおける樹脂組成物層の面積は700mm2であり、それに相当する樹脂組成物の重量は0.02〜0.03gである。
【0169】
また、内側容器を用いて算出された空隙率は25〜40%であった。
【0170】
[評価サンプルの作成:評価法−分解性評価]
小型ミキシング装置を用いて、ポリオレフィンについては220℃、ポリエステルについては265℃でコンパウンドを行った時の分解挙動を観察した。
【0171】
ミキシングスクリュー回転数は50rpmで5min.混練を行った。
【0172】
その際の材料は、上述したコンパウンド工程を用いずに、小型ミキシング装置にあらかじめ樹脂Aを溶融可塑化させた後に、乾燥剤を配合し、必要に応じて樹脂Bの原料を投入した。
【0173】
混練時間は最終材料投入時点から計測を始めた。
【0174】
[評価サンプルの作成:評価法−柔軟性評価]
図3より、スクリューネジ式キャップを開閉する事で、内側容器の変形が生じる事が確認される。
【0175】
この変形は、内側容器の内径をスクリューキャップの内側中央部に添えられた壁面で密閉する事で、容器密封性の向上を図ったものである。
【0176】
そこで、このスクリュー容器を100回開け閉めした時の繰り返しひずみによるクラックの発生状況を観察した。
【0177】
以下に示す実施例のサンプルを40℃−90%相対湿度下における、容器開放状態の吸湿量を確認し、その吸湿挙動から吸湿速度について評価した。
【0178】
結果を図4に示す。
【0179】
また各実施例、参考実施例、比較例の組成表を表1に示す。ここで実施例2、5、7、8が本発明に係る実施例であり、実施例1、3、4、6が本発明に関係しない参考実施例である。
【0180】
【表1】
Figure 0004265200
【0181】
[分解性評価]
本発明に関係しない参考実施例である<実施例1>
A−5、B−1を用いた。
【0182】
それぞれの配合組成は、A−5/B−1=60/40であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が66重量部に相当する。
【0183】
<比較例1>
A−5、B−2を用いた。
【0184】
それぞれの配合組成は、A−5/B−1=60/40であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が66重量部に相当する。
【0185】
<実施例2>
A−1、A−2、B−1、C−1、D−1を用いた。
【0186】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1/C−1/D−1=24/24/32/8/12であり、樹脂A+樹脂Bの100重量部に対し乾燥剤が47重量部に相当する。
【0187】
<比較例2>
A−1、A−2、B−2、C−1、D−1を用いた。
【0188】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1/C−1/D−1=24/24/32/8/12であり、樹脂A+樹脂Bの100重量部に対し乾燥剤が47重量部に相当する。
【0189】
分解性評価の結果を表2に示す。
【0190】
実施例1/比較例1では熱と塩基による加水分解するポリエステルを、実施例2/比較例2では、同様に未けん化部分を起点にして加水分解する、低けん化度エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いたが、未処理酸化カルシウムを用いると分解による変色、臭気発生を伴うのに対し、表面処理酸化カルシウムを用いる事で、分解抑制効果が高い事が確認された。
【0191】
【表2】
Figure 0004265200
【0192】
[柔軟性評価]
本発明に関係しない参考実施例である<実施例3>
A−1、A−2、B−1を用いた。
【0193】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1=30/30/40であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が66重量部に相当する。
【0194】
<実施例4>
A−2、A−3、B−1、C−1を用いた。
【0195】
それぞれの配合組成は、A−2/A−3/B−1/C−1=35/25/40であり、樹脂A+樹脂Bの100重量部に対し乾燥剤が66重量部に相当する。
【0196】
<実施例5>
A−1、A−2、B−1、C−1、D−1を用いた。
【0197】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1/C−1/D−1=24/24/32/8/12であり、樹脂A+樹脂Bの100重量部に対し乾燥剤が47重量部に相当する。
【0198】
<比較例3〜5>
実施例3〜5においてA−2を用いずA−4を用いた。
【0199】
結果を表3に示す。ここで実施例4、5が本発明に係る実施例であり、実施例3が本発明に関係しない参考実施例である。
【0200】
シングルサイト系エチレン−αオレフィン共重合体を用いる事で容器のクラックが発生しないのに対し、対象となるマルチサイト系エチレン−αオレフィン共重合体では物理的強度の改良には至らない事が確認される。
【0201】
また、官能的では有るがシングルサイト系を用いたものは容器が柔軟であり、応力を加えた時のクラックが発生しないのに対し、マルチサイト系では柔軟性が認められず、少々の応力でも容易にクラックが発生した。
【0202】
また、以下に示す吸湿能力用に押出キャストフィルムを製膜したが、柔軟性が認められず容易にクラックが発生する。
【0203】
【表3】
Figure 0004265200
【0204】
[吸湿能力評価]
本発明に関係しない参考実施例である<実施例6>
A−1、A−2、B−1を用いた。
【0205】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1=30/30/40であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が66重量部に相当する。
【0206】
<実施例7>
A−1、A−2、B−1、C−1、D−1を用いた。
【0207】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1/C−1/D−1=24/24/32/8/12であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が47重量部に相当する。
【0208】
<実施例8>
A−1、A−2、B−1、C−1、D−2を用いた。
【0209】
それぞれの配合組成は、A−1/A−2/B−1/C−1/D−2=24/24/32/8/12であり、樹脂Aの100重量部に対し乾燥剤が47重量部に相当する。
【0210】
図5に示すように、実施例6でも十分な吸湿能力を有するが、樹脂Bを配合する事で酸化カルシウムのコンテントが低いにもかかわらず、吸湿の初期速度が上昇する事が確認された。
【0211】
【発明の効果】
本発明の結果から、表面処理を施した乾燥剤を用いる事で、組成物として配合する樹脂の分解を抑制する事が可能であり、乾燥容器の材質を問わない事から、各種用途への展開が期待される。
【0212】
また、本実施例でいうと、酸化カルシウムの表面を被覆する事は、吸湿により塩基性を呈した無機化合物も直接内容物に影響を与える事が少なくなる事から、内容物への影響も低減する事が可能である。
【0213】
また、機能として柔軟性が要求される場合には、上記パラメーターに属するシングルサイト系エチレン−αオレフィン共重合体を用いる事で、著しく柔軟性を付与する事が可能であり、この内容はリジッドな容器だけでなく、軟包装体への展開も可能である事を示している。
【0214】
さらに、吸湿速度を向上させたい場合には、上述した樹脂Bの配合が効果的である事が確認され、樹脂Aの成分比率、樹脂Bの成分比率、樹脂Aと樹脂Bと乾燥剤の配合比を調整する事で、あらゆるニーズに対応可能な樹脂組成物を得る事が可能である。
【0215】
この樹脂組成物は各種積層構成を経て、各種包装形態にも展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】製法1で得られた樹脂組成物中の配合物の分散状態の模式図である。
【図2】製法2で得られた樹脂組成物中の配合物の分散状態の模式図である。
【図3】実施例で用いた容器の模式図である。
【図4】実施例のグラフである。ここで実施例7、8が本発明に係る実施例であり、実施例6が本発明に関係しない参考実施例である。
【符号の説明】
a:樹脂A
b:乾燥剤
c:エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物
d:吸水または吸湿性有機化合物
e:中空容器外側
f:中空容器外側
g:キャップ
h:インナーキャップ
i:キャップと内側容器との接点部
j:空隙部

Claims (13)

  1. 低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体から1種以上選択される単体あるいはブレンド樹脂である熱可塑性樹脂(樹脂A)50〜99wt%と、エチレン−α,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物が1〜99wt%に対しエチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分または完全ケン化物から選択される吸水または吸湿性有機化合物を99〜1wt%配合した樹脂組成物(樹脂B)を1〜50wt%配合し、樹脂A中に樹脂Bを分散させた、樹脂A+樹脂Bからなるブレンド樹脂100重量部に対しミネラルオイルより表面処理を施された、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物から1種以上選択される吸湿性無機化合物を1〜100重量部配合したことを特徴とする、乾燥能力を有する脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(樹脂A)がポリオレフィン樹脂であり、そのポリオレフィン樹脂中にはシクロペンタジエニル誘導体の周期律表第III、IV、V、VI、IX、X族遷移金属原子からなる錯体もしくは、上記金属錯体に必要に応じてメチルアルミノキサンからなる、シングルサイト触媒を用いて、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1,からなるC3〜C8、あるいはC9以上の高級αオレフィン、あるいはシクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィンを共重合した、密度0.930g/cm3以下であり、曲げ弾性率が250MPa以下であるポリオレフィン系樹脂を少なくとも10wt%以上含む事を特徴とする、請求項1記載の乾燥能力を有する樹脂組成物。
  3. 表面処理無機系乾燥剤を配合することによって発生した樹脂組成物中の空隙率が、1%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の乾燥能力を有する樹脂組成物。
  4. 請求項1、2、または3記載の乾燥能力を有する樹脂組成物を設けたことを特徴とする積層体。
  5. 乾燥能力を有する樹脂組成物からなる層のどちらか一方に、防湿層あるいは高酸素バリア層を設けたことを特徴とする請求項4記載の積層体。
  6. 防湿層あるいは高酸素バリア層が、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分あるいは完全けん化物、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、無機化合物蒸着フィルム、オーバーコート層を設けた無機化合物蒸着フィルムであることを特徴とする請求項5記載の積層体。
  7. 請求項4、5または6記載の積層体から形成された包装体。
  8. 軟包装体として用いられることを特徴とする、請求項7記載の包装体。
  9. 中空容器として用いられることを特徴とする、請求項7記載の包装体。
  10. トレーまたはカップとして用いられることを特徴とする、請求項7記載の包装体。
  11. 複合紙容器として用いられることを特徴とする、請求項7記載の包装体。
  12. キャップとして用いられることを特徴とする、請求項7記載の包装体。
  13. 請求項8、9、10、11あるいは12記載の包装体を2種以上組み合わせることで用いられる包装体。
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