JP5050339B2 - 乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器 - Google Patents
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Description
本発明は、高い乾燥環境を必要とする内容物を収納する容器内に在中させて乾燥剤として使用する又は部材として使用する瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体に関するものである。
従来、血糖値などのセンサーチップ、尿蛋白検出などの検査紙、サブリメント、電子部品、有機エレクトロルミネッセンス素子、医薬錠剤などの高い乾燥環境を必要とする内容物を収納する容器内には、合成樹脂に乾燥剤を混合分散させた成形材料で射出成形した乾燥剤含有樹脂成形体を、容器内の乾燥のため在中させていた。例えば、合成樹脂としてポリオレフィンを使用し、このポリオレフィン中に、乾燥剤として主体のモレキュラシーブとグリコールを混合分散させ、グリコールの吸水によりモレキュラシーブの周りにクラックを発生させて、瞬発性を持たせた乾燥剤含有樹脂成形体が知られていた。
しかしながら、上述の従来の乾燥剤含有樹脂成形体は、グリコールを使用しているので、水分の吸収率が高くなって来ると、表面にグリコールが溶出し、グリコールの膜が表面に出来て来るため、容器に収納している内容物に悪影響をもたらす危惧があった。そして、グリコールの膜が出来始めると、急速に吸水能力が低下してしまう。また、グリコールが内容物や指に付着してしまう。また、乾燥剤の主体がモレキュラシーブであるため、吸水効果の消失が早く、トータルとしての吸水量が低かった。そのうえ、成形体中にクラックが発生するため、成形体が脆くなった。
本発明は、上述の従来の乾燥剤含有樹脂成形体の問題点を解決したものであり、吸水能力の瞬発性が高く、乾燥剤の溶出がなく衛生的な問題がなく、吸水能力の寿命が長く、脆くならない瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体を提供するものである。
すなわち、本発明の第１の発明は、乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器であって、前記容器は内容器と外容器とからなり、
前記内容器は、アクリル酸系高分子吸水体を含まない合成樹脂成形体中に乾燥剤として、酸化カルシウムが混合比率４０〜７０重量％、アクリル酸系高分子吸水体が混合比率０．５〜１０重量％で含有しており、前記外容器は、容器本体と、蓋部とからなり、
前記外容器の内部に、前記内容器が収容されていることを特徴とする乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器である。
前記内容器は、アクリル酸系高分子吸水体を含まない合成樹脂成形体中に乾燥剤として、酸化カルシウムが混合比率４０〜７０重量％、アクリル酸系高分子吸水体が混合比率０．５〜１０重量％で含有しており、前記外容器は、容器本体と、蓋部とからなり、
前記外容器の内部に、前記内容器が収容されていることを特徴とする乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器である。
そして、本発明の第２の発明は、前記内容器は、周壁と底板とからなるカップ状の容器であり、前記底板には複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器である。
本発明の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体（１０）は、図１に示すように、射出成形された合成樹脂成形体（１１）中に、乾燥剤として酸化カルシウム（１２）と高分子吸水体（１３）とが混合分散しているものである。この瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体を容器内に在中させると、容器内の高湿度環境下で吸水が開始されるが、その吸水メカニズムは、まず、高分子吸水体が素早く水分を吸収し、次に、酸化カルシウムが更に水分を吸収して容器内の湿度を下げ、そして、吸水膨張した酸化カルシウムの周りの合成樹脂成形体に、図２に示すように、クラック（１１ｃ）が発生し、新たな酸化カルシウムと高分子吸水体が、クラックにより湿度環境下に露呈して吸水する。この吸水メカニズムの結果、本発明の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体は、吸水能力の瞬発性が高く、しかも、吸水
能力の寿命が長い。
能力の寿命が長い。
また、本発明の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体は、従来の乾燥剤含有樹脂成形体のように乾燥剤としてグリコール系の成分を使用していないため、乾燥剤の溶出がなく、衛生的な問題を発生する危惧がない。
また、本発明の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体は、吸水により酸化カルシウムの周りの合成樹脂成形体にクラックが発生するが、このクラック上にある高分子吸水体が、クラックにより合成樹脂成形体が脆くなることを防ぐ効果がある。このため、吸水がさらに進み、合成樹脂成形体中に、酸化カルシウムとクラックと高分子吸水体による網目構造が形成されて行くが、使用に耐えられなくなるほど合成樹脂成形体の強度が脆くなることはない。
次に、本発明の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体の一実施形態について、図及び表を用いて詳細に説明する。
本発明の一実施形態の瞬発性の高い乾燥剤含有樹脂成形体は、図１に示すように、射出成形された合成樹脂成形体（１１）中に、乾燥剤として酸化カルシウム（１２）と高分子吸水体（１３）とを混合分散しているものである。酸化カルシウムは、４０〜７０重量％添加するものであるが、４０重量％以下では、吸水効果が不十分であり、７０重量％以上では、射出成形が困難となる。酸化カルシウムの粒径は、５〜１００μｍのものが吸水能力から好ましい。また、高分子吸水体は、０．５〜１０重量％添加するものであるが、０．５重量％以下では、吸水効果及び脆さ改善効果に寄与せず、１０重量％以上では、表面全体に高分子吸水体が皮膜を形成するため、酸化カルシウムの吸水能力を、発揮することが出来なくなる。高分子吸水体は、アクリル系の高分子吸水体であり、粒径が５〜１００μｍのものが好ましい。また、合成樹脂成形体の合成樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが、クラックが伝播しにくいため好ましい。また、乾燥剤としてアクリル系の高分子吸水体を使用するので、アクリル樹脂と同等以上の可塑化温度（２６０℃以上）の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロンなどを合成樹脂成形体の合成樹脂として使用することは、好ましくない。
次に、配合比率を検討するため、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを１対１の比率で混合した合成樹脂成形体の樹脂に、酸化カルシウムと高分子吸水体とを混合分散して、５種類の配合組成の成形材料を作製し、それぞれの成形材料を用いて、射出成形により５種類の乾燥剤含有樹脂成形体である内容器を作製した。また、別途に、ポリプロピレンを用いて、射出成形法により外容器を作製した。そして、それぞれの内容器の初期吸水量と、外容器に内容器を挿着した容器の容器内湿度が１０％ＲＨ以下になる経過時間を評価した。なお、内容器（２００）は、図４（ａ）に示すように、周壁（２０１）と底板（２０２）とからなるカップ状容器であり、底板（２０２）には、図４（ｂ）に示すように、多数の貫通孔が設けられたものであり、上端外径寸法がφ２６．８ｍｍで、高さ寸法が４２．８５ｍｍである。また、外容器（１００）は、図３に示すように、容器本体（１１０）の上端開口部に蓋部（１２０）が後方のヒンジ（１０１）を介して開閉可能に接続する外観円柱状の容器であり、容器本体は、周壁（１１１）と底板（１１５）とからなり、周壁の上端外周面に蓋部（１２０）との咬合リング（１１２）を設け、上方外周面に蓋部受けリング（１１３）を設け、上方内周面に周方向に内容器（２００）を係止する複数の係止突条（１１４）を設け、蓋部（１２０）は、天板（１２１）と周壁（１２３）とからなり、天板下面に、容器本体を封止するインナーリング（１２２）（外周面を容器本体の周壁上端部内周面に密接）を垂設し、周壁の前方下端に開閉用つまみ（１２５）
を突設し、周壁の下端内周面に容器本体との咬合リング（１２４）を設けるものであり、容器本体の上端外径寸法がφ３０ｍｍで、容器本体の高さ寸法が４７ｍｍである。
（各種内容器の初期吸水量の評価）
上述した配合組成の異なる５種類の内容器を、４０℃で９０％ＲＨの環境下で２６時間保管したのち、それぞれの内容器の吸水量（初期吸水量）を測定した。その結果を表１に示す。
を突設し、周壁の下端内周面に容器本体との咬合リング（１２４）を設けるものであり、容器本体の上端外径寸法がφ３０ｍｍで、容器本体の高さ寸法が４７ｍｍである。
（各種内容器の初期吸水量の評価）
上述した配合組成の異なる５種類の内容器を、４０℃で９０％ＲＨの環境下で２６時間保管したのち、それぞれの内容器の吸水量（初期吸水量）を測定した。その結果を表１に示す。
（内容器を挿着した容器の容器内湿度が１０％ＲＨ以下になる経過時間の評価）
前述した配合組成の異なる５種類の内容器（２００）を、図３に示すように、外容器（１００）の容器本体（１１０）内に挿着して５種類のセンサー容器（２０）を作製した。そして、これら５種類のセンサー容器を、３０℃で９０％ＲＨの環境下に、蓋部を開いた状態で１分間だけ放置したのち、それぞれの容器に湿度検出センサーを挿入して蓋部を閉じて密封し、容器内の湿度が１０％ＲＨになるまでの経過時間を測定した。その結果を表２に示す。
上述した各種内容器の初期吸水量の評価及び内容器を挿着した容器の容器内湿度が１０％ＲＨ以下になる経過時間の評価の結果から、高分子吸水体の添加量は、最大でも１０重量％にした。
１０……乾燥剤含有樹脂成形体
１１……合成樹脂成形体
１１ｃ……クラック
１２……酸化カルシウム
１３……高分子吸水体
２０……容器
１００……外容器
１０１……ヒンジ
１１０……容器本体
１１１，１２３，２０１……周壁
１１２，１２４……咬合リング
１１３……蓋部受けリング
１１４……係止突条
１１５，２０２……底板
１２０……蓋部
１２１……天板
１２２……インナーリング
１２５……開閉用つまみ
２００……内容器
２０３……貫通孔
１１……合成樹脂成形体
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Claims (2)
- 乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器であって、前記容器は内容器と外容器とからなり、
前記内容器は、アクリル酸系高分子吸水体を含まない合成樹脂成形体中に乾燥剤として、酸化カルシウムが混合比率４０〜７０重量％、アクリル酸系高分子吸水体が混合比率０．５〜１０重量％で含有しており、前記外容器は、容器本体と、蓋部とからなり、
前記外容器の内部に、前記内容器が収容されていることを特徴とする乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器。 - 前記内容器は、周壁と底板とからなるカップ状の容器であり、前記底板には複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の乾燥剤含有樹脂成形体を用いた容器。
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