JP4227754B2 - 容器の内蓋体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品類、食品類、化粧品類、電子部品類等の湿気を嫌う物品を収納する容器の内蓋体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、乾燥容器は、ねじ付き外蓋の内側に乾燥剤を収納したものが知られている。図9は、乾燥容器の要部を示し、容器1はその口部1aが内蓋体2で閉じられ、内蓋体2にシリカゲル等の固形の乾燥剤3を収納し、口部1aの雄ねじにねじ付き外蓋4の雌ねじが螺合している。内蓋体2の底部には通気孔2aや通気孔にメッシュ部材等が設けられている。
【0003】
この乾燥容器は、容器1の口部1aを内蓋体2で閉じ、内蓋体2内に乾燥剤3を収納して、ねじ付き外蓋4で容器1の口部1aを閉じている。内蓋体2には、通気孔2aや通気孔にメッシュ部材等が設けられ、容器1内を乾燥剤3によって、防湿状態に密封している。また、乾燥剤としては、シリカゲルやモレキュラーシーブを利用して、これらの乾燥剤をビヒクルに混合して溶剤で希釈し、基材フィルムに塗膜状に形成したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、乾燥容器では、乾燥容器内に内容物を投入して、容器の口部を内蓋体で閉じ、内蓋体内に乾燥剤を収納して外蓋を閉じている。例えば、乾燥剤として、モレキュラーシーブを用いた場合、モレキュラーシーブが短時間で防湿性能を失う性質があり、乾燥容器内を長期間にわたって、防湿性を持続するのが困難であった。さらに、乾燥容器の利用には、容器内に収納した品物を容器内の乾燥剤で追加乾燥させて、乾燥容器内を長期間に渡って、防湿性を持続し得る乾燥性能が要求されている。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、乾燥容器内を長期間に渡って乾燥性能を維持することができる内蓋体を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、容器外蓋の内側に設けられる容器の内蓋体であって、該容器の内蓋体の少なくとも一部が樹脂に乾燥剤を混入した乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体であり、前記乾燥剤樹脂成形体に凹嵌部を設け、該凹嵌部に袋に収納した乾燥剤若しくは錠剤状乾燥剤を収納したことを特徴とする容器の内蓋体である。
【0007】
請求項1の発明では、乾燥容器の外蓋の内側に設けられる容器の内蓋体であり、容器の内蓋体が樹脂に乾燥剤を混入した乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体であるので、乾燥剤樹脂成形体の吸湿性によって、容器内の乾燥性能を長期間にわたって維持することができる作用を有し、しかも乾燥剤混練樹脂は、射出成形によって、何れの形状にも成形することができ、内蓋体の少なくとも一部を乾燥剤樹脂成形体とすることができる。また、乾燥剤樹脂成形体が吸湿性能を有し、しかもそれ自体が乾燥容器内に露出していても容器内の内容物を乾燥剤より汚損するおそれがない。また、乾燥剤を樹脂成形することで、粉状の乾燥剤とは異なった吸湿性能(乾燥容器の内蓋体として使用した場合の乾燥性能)を付与することができるし、樹脂に対する乾燥剤の混合量を調整することで、容器内に収納する品物が要求する乾燥性能を容易に付与することができる作用を有する。
【0008】
また、本発明の内蓋体では、内蓋体の乾燥剤樹脂成形体に凹嵌部を形成することで、乾燥性能の異なる乾燥剤を内蓋体内に収納することができ、内蓋体に短期間の乾燥性能と長期間の乾燥性能とを異ならせて、両者の乾燥性能を合わせ持った内蓋体とすることができる。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記乾燥剤樹脂成形体に含有する乾燥剤とは異なる種類の乾燥剤を前記凹嵌部に収納したことを特徴とする請求項1に記載の容器の内蓋体である。
【0010】
請求項2の発明では、乾燥剤樹脂成形体に凹嵌部を形成し、乾燥剤樹脂成形体に使用する乾燥剤と、凹嵌部に収納される乾燥剤の種類が異なった乾燥性能を使用することができ、吸湿性能の異なる乾燥性能を組み合わせて、収納する品物が要求する乾燥性能を容易に得易い作用を有する。なお、乾燥剤樹脂成形体の乾燥剤と錠剤状乾燥剤とを同一の乾燥剤を使用したとしてもその形態の相違によって、異なった吸湿性能(乾燥容器内の乾燥性能)を付与することができる。乾燥剤の形態は、乾燥剤樹脂成形体、錠剤状乾燥剤、袋に封入した乾燥剤等である。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記内蓋体が前記容器の口部に当接するリング部と、該リング部の内周側に前記乾燥剤樹脂成形体を支持する支持部とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の内蓋体である。
【0012】
請求項3の発明では、内蓋体が容器の口部に当接するリング部と乾燥剤樹脂成形体を支持する支持部とが乾燥剤を含まない樹脂により樹脂成形され、乾燥剤樹脂成形体がこの支持部に支持されるように構成されており、乾燥剤樹脂成形体とリング部とは別体である。乾燥剤樹脂成形体は、支持部に組み込まれるので、内蓋体のリング部側面に乾燥剤樹脂成形体が露呈しないようにし、外部の湿気の影響を容易に受けない構成とすることができる作用を有する。
【0013】
また、請求項4の発明は、前記リング部と前記支持部とを一体に樹脂成形した樹脂成形体と、前記乾燥剤樹脂成形体とを2色射出成形して構成したことを特徴とする請求項3に記載の容器の内蓋体である。
【0014】
請求項4の発明では、乾燥剤を混合した樹脂による乾燥剤樹脂成形体と、リング部と支持部との樹脂成形体とを2色射出成形し、内蓋体を一体に形成することによって、乾燥容器の密封作業効率の効率化を図ることができるとともに、蓋体のリング部側面から乾燥剤樹脂成形体が露呈しない作用を有する。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記乾燥剤混練樹脂に混入した乾燥剤がモレキュラーシーブであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の容器の内蓋体である。
【0016】
請求項5の発明では、乾燥剤混練樹脂に混入した乾燥剤がモレキュラーシーブであり、モレキュラーシーブをビヒクルに混合してもお互いに組成変性がなく、樹脂成形に適しており、しかもモレキュラーシーブを樹脂に混合して成形した成形体は、比較的厚く成形したとしても成形体全体で湿気を吸収する作用がある。しかも、樹脂にモレキュラーシーブを混合することで、モレキュラーシーブが短期間で吸湿性能が失う性質に改質することができ、長期間吸湿性能を付与することができ、長期間乾燥容器の乾燥性能を維持することができる作用を有する。
【0017】
また、請求項6の発明は、前記乾燥剤混練樹脂中の樹脂のMFRが10以上であって、前記乾燥剤混練樹脂中の該乾燥剤の含有量を40〜75重量%としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の容器の内蓋体である。
【0018】
請求項6の発明では、乾燥剤混練樹脂中の樹脂のMFRが10以上とし、好ましくは20以上とし、上限な特になく、100程度のものがあればそれも使用可能であり、また、MFRが10以上であれば、乾燥剤混練樹脂中の乾燥剤の含有量を35〜80重量%としたとしても射出成形が可能であり、好ましくは、40〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%とし、MFRが10以上であれば、生産性を良好なものとし得る作用を有する。
【0019】
なお、本発明では、リング部と支持部との樹脂成形体に、乾燥剤樹脂成形体を該支持部に組み込んで内蓋体とすることも可能である。
【0020】
このような構造では、内蓋体の側面に乾燥剤樹脂成形体の側部が露呈しないように構成することができ、外部の湿気の影響を緩慢にすることができるし、しかも外蓋に内蓋体を組み込むようにすれば、乾燥容器の密封作業を効率的に進めることができる作用を有する。
【0021】
また、前記支持部は、乾燥剤樹脂成形体を収納する容器状支持体であり、該容器状支持体の底部に貫通孔又は有底の穴を設けることができる。
【0022】
容器状支持体に貫通孔又は有底の穴が設けられている場合、貫通孔では、その総面積によって、乾燥剤の経時的な吸湿性能を調整することができ、穴も同様にその総面積によって、乾燥剤の経時的な吸湿性能を調整することができる作用を有する。また、穴の場合は、乾燥剤樹脂成形体が露呈していないように、樹脂成形体で覆われるので、乾燥剤樹脂成形体の経時的な吸湿特性を調整することができる作用を有し、さらに燥剤樹脂成形体が露呈しないので、乾燥容器内の内容物が内蓋内に進入しない作用を有する。
【0023】
また、支持部に収納される乾燥剤樹脂成形体が円柱状,円筒状又は環状であるか、若しくは該円筒状に環状の乾燥剤樹脂成形体を同心円上に形成してもよい。乾燥剤樹脂成形体が円筒状又は環状であるか、若しくは該円筒状に環状の乾燥剤樹脂成形体を同心円上に形成することによって、乾燥容器内の空気と乾燥剤樹脂成形体との接触面積を調整することができるので、乾燥剤樹脂成形体の経時的な乾燥性能を調整することができる作用を有する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る容器の内蓋体の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本発明に係る容器の内蓋体の一実施形態を示し、図2〜図4,図6,図7は、本発明に係る容器の内蓋体の他の実施形態を示している。
【0027】
先ず、本発明の容器の内蓋体について、図1を参照して説明する。同図は、乾燥容器等の容器の口部を閉じる内蓋体5であり、内蓋体5は容器の口部に当接して、容器のシール性を維持するためのリング部5aが設けられ、リング部5aの内周側に容器状の支持部5bが設けられている。リング部5aの上側には、容器の外蓋体と接触して外気とのシール性を保つための環状凸部(コンタクトリング)5cが設けられ、リング部5aの下側には、容器の口部に当接してシール性を保つための環状凸部(コンタクトリング)5dが設けられている。容器状の支持部5bには、複数の貫通孔5eが設けられている。リング部5aの内周側には、舌片状の係止片5fが設けられている。容器状の支持部5b内には、乾燥剤を混練した樹脂による乾燥剤樹脂成形体6が収納されている。乾燥剤としては、例えばモレキュラーシーブが用いられる。
【0028】
内蓋体5は、その内蓋本体がリング部5aと支持部5bとで構成され、かつ乾燥剤樹脂成形体6が支持部5bに収納されている。リング部5aと支持部5b及び乾燥剤樹脂成形体6は2色射出成形で形成することができる。2色射出成形では、例えば円柱状の乾燥剤樹脂成形体6を射出成形し、その後、リング部5aと支持部5bとを射出成形する。なお、リング部5aの内周側に設けられた係止片5fは、支持部5bとの密着が良好であれば、必ずしも形成する必要はない。
【0029】
また、リング部5aと支持部5bとを射出成形した後、容器状の支持部5b内に乾燥剤樹脂成形体6を射出成形して形成してもよい。この射出成形の場合は、乾燥剤混練樹脂が支持部5bの貫通孔5e内に注入して満たし、乾燥剤樹脂成形体6が支持部5bの外周壁と面一となるようにしてもよいし、乾燥剤混練樹脂が貫通孔5eを塞がないように射出成形してもよい。
【0030】
なお、乾燥剤樹脂成形体6は、乾燥剤を混入する樹脂のMFR(メルトフロート)を10以上とし、乾燥剤混練樹脂中の乾燥剤の含有量を40〜80重量%として射出成形したものである。MFRの測定は、JISK7210に規定される条件のもとで、溶融した樹脂を押し出し、一定時間(10分間)あたりに押出される熱可塑性樹脂の量であり、具体的には試験温度190℃、試験荷重21.18Nの条件ももとで測定された値である。
【0031】
次に、本発明に係る他の実施形態の容器の内蓋体について、図2を参照して説明する。本実施形態の乾燥剤樹脂成形体6は、図1の実施形態の乾燥剤樹脂成形体6が円柱状であるのに対し、中空円筒状の凹嵌部6cを設けて円筒状乾燥剤樹脂成形体6aとしたものである。また、支持体5bには、貫通孔5eが中央部及びその周囲に設けられている。他の構成及び樹脂成形の方法は、上記実施形態と同様であり、その説明は省略する。なお、乾燥剤樹脂成形体6は、その表面積を拡大させるために、円筒状に環状体を同心円上に形成したものであってもよい。
【0032】
また、本発明に係る他の実施形態の容器の内蓋体について、図3(a),(b)を参照して説明する。図3(a)の実施形態は、乾燥剤樹脂成形体6を収納する支持体5bの底部に大きな貫通孔5gが形成されており、リング部5aと支持部5bとからなる内蓋本体と、乾燥剤樹脂成形体6とが2色射出成形で形成される。乾燥剤樹脂成形体6は、貫通孔5g内に注入されて、支持部5b外周壁と面一となっている。また、図3(b)の本実施形態は、支持体5bの底部に有底状の穴5hが形成されている。なお、穴5hは支持体5bの内面側に形成してもよい(図なし)。穴5hは、複数形成されているが、直径の大きなものであれば一個であってもよい。
【0033】
上記実施形態では、支持体5bに貫通孔5eや穴5hが設けられている。貫通孔5eや穴5hは、乾燥剤樹脂成形体6の吸湿性能を調整するために設けられており、貫通孔5eの開口部の総面積によって、乾燥剤樹脂成形体6の吸湿性能を調整することができる。また、同様に、穴5hでは、有底状であるので、乾燥剤樹脂成形体6の上部を除いて支持体5bで被覆されている。穴5hの底部は、支持体5bと同一の樹脂で薄く乾燥剤樹脂成形体6を覆うように形成され、穴5hの底部分の樹脂の厚さによって、乾燥剤樹脂成形体6の吸湿性能を調整することができる。なお、穴5hの底部分の樹脂の厚さは、支持体5bを構成する樹脂の透湿率を考慮して設定する。
【0034】
次に、図4を参照して、本発明の他の実施形態の容器の内蓋体について説明する。同図(a)は、内蓋体の断面斜視図であり、同図(b)は、本実施形態の内蓋体の断面図である。同図において、内蓋体5は、リング部5aの内周側に突片状に支持部5bが樹脂成形によって一体に形成され、リング部5aには、上記実施形態と同様に環状凸部5c,5dが形成されている。乾燥剤樹脂成形体6は、円柱状の乾燥剤樹脂成形体の上部にフランジ部6bが樹脂成形されている。リング部5a内に乾燥剤樹脂成形体6を挿入して、そのフランジ部6bをリング部5aの内周側に形成された支持部5bに係合させることで、乾燥剤樹脂成形体6をリング部5aに組み込んだ構造の内蓋体5を構成することができる。無論、本実施形態の内蓋体5は、それぞれ射出成形して組み込んだ組み立て構造であるが、2色射出成形によって形成することも可能である。なお、2色射出成形では、リング部5aと支持部5bとを樹脂成形し、続いて、乾燥剤樹脂成形体6を樹脂成形してもよいし、その逆の樹脂成形工程としてもよい。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態である内蓋体について、図6(a),(b)を参照して説明する。図6(a)の実施形態は、内蓋体5を乾燥剤としてモレキュラーシーブを樹脂に混練した乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体であり、内蓋体5は、そのリング部5aに、上記実施形態と同様に環状凸部5c,5dが形成され、リング部5aの内周側には容器状支持部5b′が樹脂成形されている。
【0036】
また、図6(b)の実施形態の内蓋体5′は、図6(a)の内蓋体5の容器状支持部5b′に乾燥剤を袋に封入したものや錠剤状の乾燥剤7を収納したものである。本実施形態では、内蓋体5′の乾燥剤樹脂成形体の乾燥性能とは異なる吸湿性能の乾燥剤7を内蓋体5′内に収納した内蓋体5′であり、この内蓋体5′を使用する乾燥容器は、乾燥容器内の品物を追加乾燥した後、長期間乾燥性能を維持することができる。
【0037】
この乾燥剤7は、袋に乾燥剤を封入したものや錠剤状のものが用いられ、乾燥剤としては、シリカゲルやモレキュラシーブ等を小袋に封入したものや、プレスによる圧縮固形化した錠剤状のものが用いられる。乾燥剤7として、シリカゲルやモレキュラシーブ等の乾燥剤を選択して用いることによって、内蓋体に異なった吸湿性能(乾燥性能)を付与することができる。乾燥剤7としてモレキュラシーブを用いたとしてもその形態(粉体,錠剤状,樹脂成形体等)の相違による吸湿性能(乾燥容器内の乾燥性能)を異ならせることができる。
【0038】
次に、図7(a)〜(c)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。同図(a)〜(c)の実施形態は、乾燥剤樹脂成形体6の凹嵌部6cに乾燥剤を袋に封入したものや錠剤状の乾燥剤7を収納した内蓋体5′を示す断面図であり、内蓋体5′に追加乾燥性能を付与するものである。
【0039】
同図(a)の内蓋体5′は、乾燥容器の口部に当接してシール性を維持するためのリング部5aが設けられ、リング部5aの内周側に容器状の支持部5bが形成されている。リング部5aの上側には、容器の外蓋体と接触して外気とのシール性を保つための環状凸部(コンタクトリング)5cが設けられ、リング部5aの下側には、容器の口部に当接してシール性を保つための環状凸部(コンタクトリング)5dが設けられている。容器状の支持部5bには、複数の貫通孔5eが設けられている。リング部5aの内周側には、舌片状の係止片5fが設けられている。容器状の支持部5b内には、モレキュラーシーブによる乾燥剤を混練した乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体6が組み込まれている。
【0040】
この乾燥剤樹脂成形体6には、中央部の凹嵌部6cが設けられ、この凹嵌部6c内に袋に乾燥剤を収納したもの又は錠剤状の乾燥剤7が収納されている。乾燥剤7は、モレキュラーシーブを用いてもよいし、乾燥剤樹脂成形体6に用いられた乾燥剤とは異なった種類の乾燥剤を用いてもよい。なお、乾燥剤7は、乾燥剤樹脂成形体6に用いられた乾燥剤と同一の乾燥剤を用いたとしても、乾燥剤樹脂成形体6の乾燥性能と乾燥剤7の乾燥性能とを異なったものとすることができる。このように、一つの内蓋体5′に異なった乾燥性の乾燥剤を組み込むことで、追加乾燥性能を付与することはができる。すなわち、一方の乾燥剤を短期間の乾燥性能を得る乾燥剤とし、他の形態の乾燥剤を長期間の乾燥性能を維持するように作用させることができる。
【0041】
さらに、この種の実施形態には、同図(b)に示す内蓋体5′があり、この実施形態では、モレキュラーシーブを混練した樹脂による乾燥剤樹脂成形体6に貫通孔6dを形成した環状に構成し、この貫通孔6d内に乾燥剤7を収納したものである。本実施形態では、乾燥剤7が支持体5bに接触しており、図7(a)の実施形態とは、形態の相違による異なった乾燥性能を付与することができる。
【0042】
また、同図(c)の実施形態は、図4の内蓋体5の乾燥剤樹脂成形体6に凹嵌部6cを形成したものである。この凹嵌部6c内には、袋に乾燥剤を収納したもの又は錠剤状の乾燥剤7が収納されている。内蓋体5は、リング部5aの内周側に突片状に支持部5bが樹脂成形によって一体に形成され、リング部5aには、上記実施形態と同様に環状凸部5c,5dが形成されている。乾燥剤樹脂成形体6には、円柱状の乾燥剤樹脂成形体6の上部にフランジ部6bが設けられ、リング部5a内に乾燥剤樹脂成形体6を挿入して、そのフランジ部6bがリング部5aの内周側に形成された支持部5bに係合することで、乾燥剤樹脂成形体6をリング部5aに組み込んだ構造の内蓋体5′とすることができる。
【0043】
乾燥剤7は、モレキュラーシーブを用いてもよいし、シリカゲル等の他の乾燥剤を用いてもよい。このように、乾燥剤の形態の相違による乾燥性能の相違、及び異なる乾燥性能を有する乾燥剤とを組み合わせて用いることによって、乾燥容器内の追加乾燥性能、すなわち短期間の比較的急速な乾燥性能に加えて、長期間に渡る乾燥性能を付与した内蓋体とすることができる。また、図7の実施形態は、乾燥剤樹脂成形体6とその外周のリング部5aとを2色成形してよいし、組み込み成形してもよい。
【0044】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例について説明する。本発明の内蓋体について、▲1▼乾燥剤混練樹脂による成形性とその吸湿性能の検証と、▲2▼追加乾燥性能を備える内蓋体であるか否かの検証とについて説明する。先ず、▲1▼の事項について、図1,図4による実施例と図5の比較例とを参照して、実施例1,2、比較例1〜3を作製して検証を行った。
【0045】
先ず、図1,図4の実施例の乾燥剤樹脂成形体6に混入する乾燥剤について説明する。乾燥剤は、モレキュラーシーブが用いられた。モレキュラーシーブは、分子の大きさの違いによって物質を分離するのに用いられる多孔質の粒状物質であって、均一な細孔をもつ構造であり、細孔の空洞に入る小さな分子を吸収して一種のふるいの作用をする代表的な合成ゼオライトである。その細孔径としては、3Å,4Å,5Å,10Åのものが知られ、通常、細孔径が3Å,4Å,5Å,10Åのモレキュラーシーブを、それぞれモレキュラーシーブ3A,モレキュラーシーブ4A,モレキュラーシーブ5A,モレキュラーシーブ13Xと称する。また、モレキュラーシーブの平均粒子径は、例えば10μm前後から10μm以下のものが用いられる。本実施例では、乾燥剤としてモレキュラーシーブ3Aを用い、その平均粒子径が5μm程度のものを使用した。
【0046】
乾燥剤樹脂成形体6の基材樹脂としては、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、各種共重合体(コポリマー)として、アイオノマー、EAA、EMAA、EVA、EEA、EMA、EMMAが用いられ、このような樹脂の中から高MFR(メルトフローレート)、好ましくはMFRが10以上のものを適宜選んで使用することができる。本実施例では、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製,MFR=23)が用いられた。樹脂のMFRは、10以上のものを使用することで、乾燥剤混練樹脂中の乾燥剤含有量を80重量%程度まで増やしたとしても射出成形が可能で乾燥性能の優れた乾燥剤樹脂成形体を作製することが可能である。乾燥剤含有量は、実用的には、乾燥性能と成形性から40重量%〜75重量%が好ましい。
【0047】
一方、内蓋体5のリング部5aと支持体5bの樹脂には、同様にLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、各種共重合体(コポリマー)として、アイオノマー、EAA、EMAA、EVA、EEA、EMA、EMMA等が用いられる。本実施例では、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)が用いられた。
【0048】
実施例1は、図1の内蓋体であり、乾燥剤樹脂成形体6を形成する乾燥剤混練樹脂としては、樹脂としてPE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製,MFR=23)を50重量部に対して、乾燥剤としてモレキュラーシーブ3Aを50重量部混練したものが用いられた。内蓋体のリング部5a等は、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部が用いられた。これらの樹脂によって、2色射出成形して内蓋体を形成した。
【0049】
実施例2は、図1の内蓋体であり、乾燥剤樹脂成形体6を形成する乾燥剤混練樹脂としては、樹脂としてPE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)40重量部に対して、乾燥剤としてモレキュラーシーブ3Aを60重量部混練したものが用いられた。内蓋体のリング部5a等は、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部が用いられた。これらの樹脂によって、2色射出成形して内蓋体を形成した。
【0050】
一方、比較例1は、図5の形状の内蓋体を射出成形したものである。図5の内蓋体は、リング部2aに容器状の支持部2bが設けられ、リング部2aの下側には、図1と同じ形状の環状凸部2bと、リング部2aの上側に環状凸部2cとが設けられている。リング部2aと支持部2bは、モレキュラーシーブ3Aが50重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)50重量部混練した乾燥剤混練樹脂によって、射出成形した。
【0051】
比較例2は、図5の形状の内蓋体であり、モレキュラーシーブ3Aが60重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)を40重量部混練した乾燥剤混練樹脂によって、射出成形したものである。
【0052】
比較例3は、上記で説明した図5の形状の内蓋体を射出形成した。比較例3の内蓋体は、乾燥剤であるモレキュラーシーブ3Aを混練しない樹脂を使用して樹脂成形したもので、樹脂にはPE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部を用いた。
【0053】
実施例1,2と比較例1〜3の内蓋体のシール性の評価は、乾燥雰囲気中でこれらの内蓋体を外蓋に組み込み、高密度ポリエチレン製のボトルを内蓋体で閉じて外蓋で閉めて密封状態とした後、このボトルを40℃90%RHの環境下に放置して、250時間後の内蓋体の吸湿率を算出した。その結果は表1に示されている。
【0054】
【表1】
【0055】
なお、表1において、吸湿率(%)は、算出式として、吸湿率(%)=(250時間後の内蓋体の重量(g)−初期内蓋体の重量(g))/内蓋体中モレキュラーシーブ重量(g)×100で求めた結果を示している。表1の内蓋体のリング部であるコンタクトリング成形性は、表中○,×で示し、○は金型通りに成形されたことを示し、×は金型通りに成形されていないものを示している。
【0056】
表1から明らかなように、実施例1,2では、吸湿率が殆ど変化せず(負の値となっているのは測定誤差の範囲内)、これは、乾燥したボトルに実施例1,2の内蓋体を閉じて外蓋を閉めて密封することによって、ボトル外部の湿気の影響を受けないし、また環状凸部(コンタクトリング)により、外部の湿気の侵入が有効に防止されていることを示している。比較例1,2では、吸湿率が4.2〜5.0の正の値となっている。すなわち、比較例1,2では、リング部にもモレキュラーシーブが混在しており、リング部の側面から外部の湿気を吸収したことを示している。比較例3は、モレキュラーシーブを含まない樹脂のみの内蓋体であるので、内蓋体の側面からの湿気の吸収がないことを示している。このことから内蓋体全体をモレキュラーシーブを混練した樹脂を使用した場合では、内蓋体の側部から乾燥剤が外部の湿気を吸収することに使用され、ボトル内の湿気の吸収に有効に使用されないものがあることを示している。さらに、比較例1,2は、射出成形性に問題があり、コンタクトリングがうまく成形されず外部からの湿気の侵入を許してしまうおそれがある。
【0057】
続いて、実施例1,2と比較例1〜3との内蓋体の乾燥性能評価(吸湿性能の持続性)について、表2を参照して説明する。この試験では、これらの内蓋体を、40℃90%RHの環境下に放置して、時間経過後の内蓋体の重量を測定して、内蓋体の湿気の吸収の度合いを調べた。さらに、比較例として乾燥剤(モレキュラーシーブ3A)自体の吸湿率を調べた。表2はその試験結果を示している。
【0058】
実施例1,2は、表2に示したように、長時間にわたって吸湿性能を維持していることを示している。比較例1,2についても同様な結果を得た。比較例3は、樹脂のみであるので、殆ど吸湿性を有しないことを示している。一方、乾燥剤(モレキュラーシーブ3A)は、100時間経過後の吸湿性が殆どないことを示しており、実際は5,6時間で飽和に達している。すなわち、モレキュラーシーブ自体では、長時間にわたって吸湿性能を維持することが困難であることを示している。
【0059】
【表2】
【0060】
次に、図4の内蓋体の試験結果について、実施例3,4と比較例4〜6とを参照して説明する。実施例3は、図4の内蓋体であり、乾燥剤樹脂成形体6は、乾燥剤混練樹脂として、モレキュラーシーブ3Aが50重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)を50重量部混練したものを用いて射出形成した。図4の内蓋体のリング部5a等は、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部を混練したものを用いて射出成形した。その後、リング部5aに乾燥剤樹脂成形体6を組み込んで内蓋体5を形成した。
【0061】
実施例4は、図4の内蓋体であり、乾燥剤樹脂成形体6は、乾燥剤混練樹脂として、モレキュラーシーブ3Aが60重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)を40重量部混練したものを用いて射出成形した。図4の内蓋体のリング部5a等は、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部を用いて射出成形した。その後、リング部5aに乾燥剤樹脂成形体6を組み込んで内蓋体5を形成した。
【0062】
一方、比較例4は、図5の形状の内蓋体を形成した。図5の内蓋体は、リング部2aに容器状の支持部2bが形成され、リング部2aの下側には、図1と同じ形状の環状凸部2bと、リング部2aの上側に環状凸部2cが設けられられている。リング部2aと支持部2bは、モレキュラーシーブ3Aが50重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)50重量部を混練したものを射出形成した。
【0063】
比較例5は、上記図5の形状の内蓋体であり、モレキュラーシーブ3Aが60重量部に対して、PE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)40重量部を混練したものを射出形成した。
【0064】
比較例6は、上記図5の形状の内蓋体を、モレキュラーシーブ3Aを混練しないPE(ミラソンM−68三井石油化学株式会社製)100重量部で射出成形した。
【0065】
実施例3,4と比較例4〜6の内蓋体のシール性の評価は、先の試験と同様に、乾燥雰囲気中でこれらの内蓋体を外蓋に乾燥状態で組み込み、高密度ポリエチレン製のボトルを内蓋体で閉じ、外蓋を閉めた後、このボトルを40℃90%RHの環境下に放置して、250時間後の内蓋の吸湿率を算出した。吸湿率は、先の算出方法と同様であるので、その説明は省略する。また、表中の○,×の意味も先のものと同様である。
【0066】
その結果、実施例3,4は、表3に示したように、内蓋の吸湿率が殆ど変化しなかった(負の値を示しているのは、測定誤差の範囲内)。すなわち、実施例3,4の内蓋体は、250時間経過した後も外部からの湿気の侵入を防止していることを示している。一方、比較例4,5の内蓋体は、3.9〜5.3の正の値を示しており、容器内が乾燥状態でありながら湿気を吸収しており、内蓋体の側部から外部の湿気を吸収したことを示している。さらにこれらの内蓋体は、射出成形に問題があり、コンタクトリングの成形性が悪く、外部の湿気の侵入を許してしまうおそれがある。
【0067】
【表3】
【0068】
続いて、実施例3,4と比較例4〜6の内蓋体の吸湿性能の評価について、説明する。この吸湿性能の試験では、これらの内蓋体を、40℃90%RHの環境下に放置して、時間経過後の内蓋体の重量を測定して、内蓋体の湿気の吸収の度合いを調べた。さらに、乾燥剤(モレキュラーシーブ3A)の吸湿率を調べた。
【0069】
【表4】
【0070】
この試験結果から、表4から明らかなように、実施例3,4では、長時間にわたって吸湿性能を維持することが確認された。同様に比較例4,5においても同様な結果を得たが、先のシール性試験で明らかにされたように、樹脂の射出成形に問題があり、好ましいものではない。一方、比較例6は、乾燥剤が混入されていないので、湿気を吸収しないことを示している。乾燥剤については、表2の結果と同様であった。
【0071】
また、本発明の内蓋体では、そのリング部に環状凸部(コンタクトリング)が表裏に形成されており、環状凸部の一方が外蓋体に、他方が容器の口部にそれぞれ当接するので、乾燥剤樹脂成形体が外部とは遮断され、外部からの湿気を吸収しない構造となっている。
【0072】
次に、本実施例の内蓋体における▲2▼の事項(追加乾燥性)について、実施例5〜8と比較例7〜9とを作製して比較説明する。なお、実施例5〜8と比較例7〜9は、図6(a),(b)の内蓋体を参照して説明する。
【0073】
実施例5は、図6(a)の内蓋体5である。実施例5は、乾燥剤混練樹脂として、エチレン・メタクリル酸共重合物(EMAA)(住友化学工業(株)のニュクレル52115C)を50重量部と、モレキュラーシーブ3A(ユニオンカーバイト(株))を50重量部とを混合してペレットを形成し、このペレットを用いて射出成形して内蓋体自体を乾燥剤樹脂成形体としたものである。 内蓋体5は、そのリング部5aに環状凸部5c,5dが形成され、リング部5aの内周側には容器状支持部5b′が乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体である。
【0074】
実施例6は、図6(b)の内蓋体5′であり、実施例5の内蓋体5の容器状支持部5b′内に、モレキュラーシーブ3A(ユニオンカーバイト(株))による錠剤状の乾燥剤7を収納したものである。
【0075】
実施例7は、図6(b)の内蓋体5′であり、実施例5の内蓋体5の容器状支持部5b′内に、市販のシリカゲルによる錠剤状の乾燥剤7を収納したものである。
【0076】
実施例8は、図4の内蓋体5であり、乾燥剤樹脂成形体6は、乾燥剤混練樹脂として、エチレン・メタクリル酸共重合物(EMAA)(住友化学工業(株)のニュクレル52115C)を50重量部と、モレキュラーシーブ3A(ユニオンカーバイト(株))を50重量部とを混合してペレットを形成し、このペレットを用いて射出成形して乾燥剤樹脂成形体を形成したものである。リング部5aは、エチレン・メタクリル酸共重合物(EMAA)(住友化学工業(株)のニュクレル52115C)を用いて射出成形したものであり、このリング部5aに乾燥剤樹脂成形体6を組み込んだものである。
【0077】
一方、比較例7の内蓋体は、図6(a)の形状の内蓋体であって、乾燥剤を混練しない樹脂を用いて射出成形したものである。樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)(サンテックL1850K:旭化成工業(株))が用いられた。
【0078】
比較例8の内蓋体は、実施例7の内蓋体の容器状支持部5b′内に錠剤状のモレキュラーシーブ3A(ユニオンカーバイト(株))を収納したものである。
【0079】
比較例9の内蓋体は、実施例7の内蓋体の容器状支持部5b′内に錠剤状のシリカゲルを収納したものである。
【0080】
実施例5〜8と比較例7〜9の各内蓋体は、室温(恒温槽内の温度)を23℃とし、50%RHの環境下に設定し、内蓋体をそのままの状態で暴露して、その重量の変化を計測して吸湿特性を検証した。実施例5〜8と比較例7〜9の計測前の重量は、表5に示した。
【0081】
【表5】
【0082】
続いて、各試料を上記環境下に露呈して、経過時間毎の各試料の重量を計測し、その測定結果を表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】
各試料の測定開始時の重量と、所定時間経過毎の重量の変化量を表7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
表7の結果は、図8のグラフで示した。図8において、その横軸が時間経過を示し、縦軸が重量を示しており、(イ)〜(ホ)は吸湿特性曲線を示している。図8は、(イ)が比較例7,(ロ)が比較例8,(ハ)が比較例9であり、(ニ)が実施例5,(ホ)が実施例6,(ヘ)が実施例7,(ト)が実施例8の時間経過に伴う重量変化を示す吸湿特性曲線である。
【0087】
図8を参照して説明する。比較例7では、樹脂のみで構成されており、吸湿特性曲線(イ)から明らかなように殆ど湿気を吸収しないことを示している。比較例8,9では、吸湿特性曲線(ロ),(ハ)から明らかなように、モレキュラーシーブの乾燥剤を組み込んだ内蓋体(比較例8)がシリカゲルを組み込んだ内蓋体(比較例9)より、湿気の吸収に優れた特性を示しているが、モレキュラーシーブは比較的短い時間で飽和に達している。
【0088】
一方、実施例7〜10では、吸湿特性曲線(ニ)〜(ト)から明らかなように、比較例2,3とは異なり、急激な湿気の吸収が完了した後も湿気を吸収する効果を有し、400時間経過後も飽和に達することなく湿気を吸収することが明らかになった。
【0089】
また、吸湿特性が良好な内蓋体は、実施例6,7の内蓋体であり、吸湿特性曲線(ホ)の実施例6は、モレキュラーシーブを含有する樹脂で成形された内蓋体に錠剤状のモレキュラシーブを収納したものである。吸湿特性曲線(ヘ)の実施例7は、モレキュラーシーブを含有する樹脂で成形された内蓋体に錠剤状のシリカゲルを収納したものである。吸湿特性曲線(ニ)の実施例5は、錠剤状の乾燥剤を含まない乾燥剤樹脂成形体のみ内蓋体であるが、優れた吸湿特性を示しており、乾燥容器の内蓋体に用いることで、良好な乾燥性能を得ることができることが明らかになった。しかも、実施例6,7では、乾燥容器に品物を封入してから2〜3時間の間は優れた吸湿性能を示しており、この期間に品物を追加乾燥させることが可能であることを示している。
【0090】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、乾燥容器の内蓋体に乾燥剤を混入した樹脂による乾燥剤樹脂成形体を用いることで、長期間にわたって、乾燥容器内の乾燥性能を維持できる効果を有し、乾燥容器内の内容物を湿気から保護することができる効果を有する。しかも、乾燥剤が混練された樹脂による樹脂成形体であるので、この乾燥剤樹脂成形体は、内蓋体と一体に樹脂成形或いは組み込み形成が容易となる利点があるとともに、容器内の内容物が粉体であったとしても樹脂成形体による乾燥剤であるので、清潔感を与える利点がある。
【0091】
また、本発明によれば、内蓋体が乾燥剤混練樹脂によって、射出成形されており、モレキュラーシーブが短時間で吸湿性能(乾燥容器内の乾燥性能)が低下するのに対して長時間に渡って、吸湿性能を維持することができる利点がある。
【0092】
また、本発明によれば、乾燥剤樹脂成形体に設けた凹嵌部に乾燥剤を収納することで、乾燥容器内に封入した品物を追加乾燥させ、その後長時間に渡って、乾燥容器内の乾燥性能を維持し得る内蓋体であり、また凹嵌部内に収納される乾燥剤の種類を変えることで、乾燥容器内を好みの乾燥性能に設定することができる利点があり、種々の品物に対応し得る内蓋体を提供することができる内蓋体である。
【0093】
また、本発明によれば、内蓋が容器の口部に当接するリング部と乾燥剤樹脂成形体を支持する支持部と乾燥剤樹脂成形体とで構成され、乾燥剤樹脂成形体をリング部に組み込むことで、乾燥剤樹脂成形体とリング部とを一体とすることで、乾燥剤樹脂成形体の側部が外部に露呈しないようにして、内蓋体の側面からの湿気を吸収するのを防止することができる利点がある。なお、リング部が乾燥剤樹脂で形成されている場合であってもリング部の側面を外蓋で保護することによって、このような問題点は解消できる。
【0094】
また、本発明によれば、リング部と支持部とが一体の樹脂成形体であり、乾燥剤剤が混合した乾燥剤樹脂成形体であり、2色射出成形することができ、内蓋と乾燥剤樹脂成形体とを一体に成形することができ、容器の密封作業を効率良く行える利点がある。
【0095】
また、本発明によれば、リング部と前記支持部とが樹脂一体成形であり、この樹脂成形体に乾燥剤樹脂成形体を組み込むことができ、環状凸部(コンタクトリング)により、内蓋体の側面からの外部の湿気の侵入を防止できるとともに、乾燥剤樹脂成形体がリング部の側面に露呈しないので、乾燥剤が外部の湿気の吸収に使われてしまうことがなく、容器内の湿気を効果的に吸収し、また、乾燥剤を含む内蓋体として、乾燥容器の密封作業が行える利点がある。
【0096】
また、本発明によれば、容器状支持体に貫通孔又は穴が設けられ、貫通孔では、その総面積によって、乾燥剤の吸湿性能(乾燥容器内の乾燥性能)を調整することができ、穴も同様にその総面積によって、乾燥剤の吸湿性能を調整することができる利点があり、長期に渡って吸湿性能を維持することができる利点がある。また、穴の場合では、乾燥剤樹脂成形体が露呈していないので、穴底部の乾燥剤樹脂成形体を覆う樹脂層で吸湿特性を調整することができる利点があり、さらに乾燥剤樹脂成形体が露呈しないので、乾燥容器内の内容物が内蓋内に進入しないので清潔である利点がある。
【0097】
また、本発明によれば、乾燥剤樹脂成形体が円筒状、環状、又は円筒状、若しくは環状乾燥剤樹脂成形体が同心円上に設けられて、乾燥容器内の空気と乾燥剤樹脂成形体との接触面積を調整することができ、乾燥剤樹脂成形体の吸湿特性を調整することができ、長期にわたって、吸湿性能を維持することができる利点がある。また、乾燥剤樹脂成形体の幅を射出成形に最適な幅に設定できるので、射出成形速度を高めることができる利点がある。
【0098】
また、本発明によれば、乾燥剤としてモレキュラーシーブが用いられ、モレキュラーシーブをビヒクルに混合してもお互いに組成変性がなく、樹脂成形に適し、しかもモレキュラーシーブを樹脂に混練して成形した樹脂成形体は、比較的厚く成形したとしても湿気を成形体全体で吸収することができるので、樹脂全体に分散したモレキュラーシーブを無駄なく、吸湿性能を発揮させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る容器の内蓋体の一実施形態を示す切欠斜視図、(b)はその断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す切欠斜視図である。
【図3】(a),(b)は本発明の他の実施形態を示す切欠斜視図である。
【図4】(a)は本発明に係る容器の内蓋体の他の実施形態を示す切欠斜視図、(b)はその断面図である。
【図5】比較例を示す内蓋体の断面図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の他の実施形態の内蓋体の断面斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】実施例と比較例の吸湿特性曲線を示すグラフである。
【図9】従来の密封された乾燥容器の口部の断面図である。
【符号の説明】
5,5′ 内蓋体
5a リング部
5b 支持部
5b′ 容器状支持部
5c,5d 環状凸部(コンタクトリング)
5e, 5g 貫通孔
5f 係止片
5h 穴
6 乾燥剤樹脂成形体
6c 凹嵌部
6d 貫通孔
7 乾燥剤
Claims (6)
- 容器外蓋の内側に設けられる容器の内蓋体であって、該容器の内蓋体の少なくとも一部が樹脂に乾燥剤を混入した乾燥剤混練樹脂による乾燥剤樹脂成形体であり、前記乾燥剤樹脂成形体に凹嵌部を設け、該凹嵌部に袋に収納した乾燥剤若しくは錠剤状乾燥剤を収納したことを特徴とする容器の内蓋体。
- 前記乾燥剤樹脂成形体に含有する乾燥剤とは異なる種類の乾燥剤を前記凹嵌部に収納したことを特徴とする請求項1に記載の容器の内蓋体。
- 前記内蓋体が前記容器の口部に当接するリング部と、該リング部の内周側に前記乾燥剤樹脂成形体を支持する支持部とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の内蓋体。
- 前記リング部と前記支持部とを一体に樹脂成形した樹脂成形体と、前記乾燥剤樹脂成形体とを2色射出成形して構成したことを特徴とする請求項3に記載の容器の内蓋体。
- 前記乾燥剤混練樹脂に混入した乾燥剤がモレキュラーシーブであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の容器の内蓋体。
- 前記乾燥剤混練樹脂中の樹脂のMFRが10以上であって、前記乾燥剤混練樹脂中の該乾燥剤の含有量を40〜75重量%としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の容器の内蓋体。
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