JP7340125B1 - 多層フィルム、多層構造体、包装材料、回収組成物、及び多層フィルム又は多層構造体の回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]エチレン単位含有量が20~50モル%であり、けん化度が90モル%以上であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(a)(以下「EVOH(a)」と略記する場合がある)を主成分として含むバリア層(A)(以下、「バリア層(A)」と略記する場合がある)、接着性樹脂(b)を主成分として含む接着層(B)(以下、「接着層(B)」と略記する場合がある)、及び密度が0.880~0.920g/cm3であるエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)(以下「エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)」と略記する場合がある)を主成分として含む熱融着層(C)(以下、「熱融着層(C)」と略記する場合がある)を有し、融点が200℃以上の樹脂を主成分として含む層及び厚みが1μm以上の金属層を有さず、熱融着層(C)が、融点が60~120℃の高級脂肪酸アミド化合物(d)(以下「高級脂肪酸アミド化合物(d)」と略記する場合がある)を100~7000ppm含有する、多層フィルム;
[2]エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)の、JIS K7210(2014)に準拠して測定されるMFR(190℃、2.16kg荷重下)が0.5~2.0g/10分である、[1]の多層フィルム;
[3]エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を示差走査熱量計(DSC)で10℃/分で昇温した際の融解曲線における全融解熱が150J/g以下である、[1]又は[2]の多層フィルム;
[4]エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を示差走査熱量計(DSC)で10℃/分で昇温した際の融解曲線において、融解ピークを100℃を区切りとして分割した際に、全融解熱に占める、100℃以下の融解熱の比率(百分率)が45%以上である、[1]~[3]のいずれかの多層フィルム;
[5]エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)が、エチレンと炭素数6以上のα-オレフィンとを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレンである、[1]~[4]のいずれかの多層フィルム;
[6]高級脂肪酸アミド化合物(d)が、炭素数10~25の飽和脂肪酸モノアミド及び炭素数10~25の不飽和脂肪酸モノアミドからなる群から選択される少なくとも一種である、[1]~[5]のいずれかの多層フィルム;
[7]高級脂肪酸アミド化合物(d)が、融点が異なる2種以上の高級脂肪酸アミド化合物を含む、[1]~[6]のいずれかの多層フィルム;
[8]熱融着層(C)が、平均粒子径が1~30μmである無機酸化物粒子(e)を500~5000ppm含有し、無機酸化物粒子(e)が酸化ケイ素粒子及び金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[7]のいずれかの多層フィルム;
[9]バリア層(A)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の多価金属イオン(f)を10~200ppm含有する、[1]~[8]のいずれかの多層フィルム;
[10]多価金属イオン(f)が、炭素数10~25の高級脂肪酸金属塩として含有される、[9]の多層フィルム;
[11]接着性樹脂(b)が、未変性樹脂(bx)と酸変性樹脂(by)の混合物であり、未変性樹脂(bx)がエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を含む、[1]~[10]のいずれかの多層フィルム;
[12]接着性樹脂(b)における、未変性樹脂(bx)と酸変性樹脂(by)の比率(bx/by)が55/45~95/5である、[11]の多層フィルム;
[13]全層の合計厚みが200μm以下であり、全層の合計厚みに対する、バリア層(A)の厚みの比が0.10以下である、[1]~[12]のいずれかの多層フィルム;
[14]20℃、65%RH条件下における酸素透過速度が5cc/(m2・day・atm)以下である、[1]~[13]のいずれかの多層フィルム;
[15]23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断伸度が6mm以上である、[1]~[14]のいずれかの多層フィルム;
[16]23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断強度が5N以上である、[1]~[15]のいずれかの多層フィルム;
[17][1]~[16]のいずれかの多層フィルムと、熱可塑性樹脂(g)を主成分として含む少なくとも1層の樹脂層(R)とを積層した、多層構造体;
[18]熱可塑性樹脂(g)が、ポリエチレン樹脂を主成分として含有する、[17]の多層構造体;
[19][1]~[16]のいずれかの多層フィルム又は[17]若しくは[18]の多層構造体を含む包装材料;
[20][1]~[16]のいずれかの多層フィルム又は[17]若しくは[18]の多層構造体の回収物を含む、回収組成物;
[21][1]~[16]のいずれかの多層フィルム又は[17]若しくは[18]の多層構造体を粉砕した後に溶融成形する工程を備える、多層フィルム又は多層構造体の回収方法;
を提供することで達成される。
本明細書において、数値範囲を示す「α~β」は、下限のα及び上限のβを含む。すなわち、「α~β」は、α以上β以下であることを意味する。
本明細書において、「厚み」とは、任意の5カ所での測定値の平均値(平均厚み)をいう。
本明細書において、「ppm」は、質量基準の含有量をいう。
本発明の多層フィルムは、EVOH(a)を主成分として含むバリア層(A)を有する。EVOH(a)はガスバリア性に優れることから、EVOH(a)を主成分として含む層を有する多層フィルムは、内容物保存性の高い包装材料として好ましく用いられる。また、EVOH(a)はポリエチレン樹脂と容易に溶融混合できるため、リサイクル性に優れた包装材料を提供できる。また、バリア層(A)におけるEVOH(a)の含有量は50質量%超である必要があり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
バリア層(A)は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の多価金属イオン(f)を10~200ppm含有することが好ましい。多価金属イオン(f)を一定量含有することで、EVOH(a)及びEVOH(a)を含む多層フィルムの粉砕物を溶融成形する際の増粘、ゲル化やスクリューへの樹脂付着が抑制される。中でも、バリア層(A)は、多価金属イオン(f)として、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンを含有することが好ましく、マグネシウムイオンを含有することがより好ましい。また、多価金属イオン(f)をカルボン酸塩として含有することが好ましい。このときのカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のいずれであってもよいが、脂肪族カルボン酸が好ましい。脂肪族カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられ、炭素数10~25の高級脂肪酸がより好ましく、炭素数14~22の高級脂肪酸がさらに好ましい。また、溶融成形時の着色を抑制する点からは、多価金属イオン(f)は、後述する多価カルボン酸の塩として含有することも好ましい。
バリア層(A)は、アルカリ金属イオンを含有することが好ましい。アルカリ金属イオンの含有量の下限は100ppmが好ましく、150ppmがより好ましい。一方、アルカリ金属イオンの含有量の上限は400ppmが好ましく、350ppmがより好ましい。アルカリ金属イオンの含有量が100ppm未満の場合、EVOH(a)を成形して得られる層を含む多層成形体の層間接着性が不十分となる場合がある。一方、アルカリ金属イオンの含有量が400ppmを超える場合、熱劣化による着色が問題となる場合がある。また、アルカリ金属イオンと、後述するカルボン酸との含有比率を制御することで、溶融成形性や着色耐性をさらに改善できる。
バリア層(A)はカルボン酸を含有することが好ましい。カルボン酸の含有量の下限は50ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、カルボン酸の含有量の上限は400ppmが好ましく、350ppmがより好ましい。カルボン酸の含有量が50ppm以上の場合、着色耐性が向上する傾向にある。一方、カルボン酸の含有量が400ppm以下の場合、接着層(B)との層間接着性が高まったり、臭気が抑制されたりする傾向にある。カルボン酸の含有量は、バリア層(A)を構成する樹脂組成物10gを純水50mlで95℃、8時間抽出した後、得られる抽出液を滴定することで求められる。なお、樹脂組成物中のカルボン酸の含有量として、前記抽出液中に塩として存在するカルボン酸は考慮しない。また、樹脂組成物が、カルボン酸以外の酸性化合物を含有する場合には、滴定による測定値からそれらの酸性化合物の寄与分を差し引くことで樹脂組成物中のカルボン酸の含有量を求めることができる。
バリア層(A)は、リン酸化合物をさらに含有してもよい。リン酸化合物の含有量の下限は、リン酸根換算で5ppmが好ましい。一方、リン酸化合物の含有量の上限は、リン酸根換算で100ppmが好ましい。この範囲でリン酸化合物を含有することにより、EVOH(a)及び多層フィルムの粉砕物の溶融成形物の着色が抑制され、熱安定性が改善される場合がある。
バリア層(A)は、ホウ素化合物をさらに含有してもよい。ホウ素化合物の含有量の下限は、ホウ素元素換算で50ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、ホウ素化合物の含有量の上限は、ホウ素元素換算で400ppmが好ましく、200ppmがより好ましい。この範囲でホウ素化合物を含有することにより、EVOH(a)及び多層フィルムの粉砕物の溶融成形時の熱安定性が向上し、ゲル及びブツの発生が抑制される場合がある。また、耐ドローダウン性や製膜する際の耐ネックイン性が改善される場合や、多層フィルムの機械的性質が向上する場合がある。これらの効果は、EVOH(a)とホウ素化合物との間にキレート相互作用が発生することに起因すると推測される。
バリア層(A)は、エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物をさらに含有してもよい。ヒンダードフェノール系化合物の含有量は1000~10000ppmが好ましい。当該含有量が1000ppm以上であると、多層フィルムの粉砕物を溶融成形する際に樹脂の着色、増粘及びゲル化を抑制できる。ヒンダードフェノール系化合物の含有量は2000ppm以上がより好ましい。一方、ヒンダードフェノール系化合物の含有量が10000ppm以下であると、ヒンダードフェノール系化合物に由来する着色やブリードアウトを抑制できる。ヒンダードフェノール系化合物の含有量は8000ppm以下がより好ましい。
本発明の多層フィルムは、接着性樹脂(b)を主成分として含む接着層(B)を有する。接着性樹脂(b)は、1種の樹脂のみからなっていてもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。2種以上の樹脂の混合物である接着性樹脂(b)には、接着性を有さない樹脂が含まれていてもよい。2種以上の樹脂の混合物全体で接着性を有していればよい。換言すれば、接着性樹脂(b)とは、接着性を有する少なくとも1種の樹脂を含む、1種又は2種以上の樹脂である。接着性樹脂(b)は、例えば、酸性基を有し、酸価が0.1mgKOH/g以上である樹脂であってもよい。2種以上の樹脂の混合物である場合、上記の酸化は平均値(混合物における酸価)を表す。接着性樹脂(b)に含まれていてもよい接着性を有さない樹脂としては、後述する未変性樹脂(bx)等が挙げられる。
本発明の多層フィルムは、密度が0.880~0.920g/cm3であるエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を主成分として含む熱融着層(C)を有する。熱融着層(C)は包装材料を形成する際のシール層としての機能に加え、突き刺し強伸度や引張強伸度といった種々の機械強度を高める機能を有する。熱融着層(C)におけるエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)の含有量は50質量%超である必要があり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
熱融着層(C)は、融点が60~120℃の高級脂肪酸アミド化合物(d)を100~7000ppm含有する。高級脂肪酸アミド化合物(d)とは、例えば、炭素数6以上(好ましくは炭素数10~25)の脂肪酸のアミド化合物である。換言すれば、高級脂肪酸アミド(d)とは、例えば、炭素数6以上(好ましくは炭素数10~25)のアシル基を有するアミド化合物である。本発明の多層フィルムは、熱融着層(C)に高級脂肪酸アミド化合物(d)を上記範囲有することで、保管環境や測定位置によらず、機械強度測定値の変動が小さくさせ、機械強度の安定性を向上できる。特に、多層フィルムが高温で長時間保管された場合においても、機械強度の変動を抑制できるため、包装材料としての信頼性を向上できる。
熱融着層(C)は、平均粒子径が1~30μmである無機酸化物粒子(e)を500~5000ppm含有することが好ましい。こうすることで、多層フィルムを製造・加工する工程でのハンドリング性が向上し、多層フィルムの機械強度の安定性をさらに向上できる場合がある。無機酸化物粒子(e)の平均粒子径は、2~15μmが好ましく、3~10μmがより好ましい。平均粒子径は無機酸化物粒子(e)を水や有機溶媒に分散し、十分撹拌した後に得られた分散液を循環させながら光散乱法により測定されるメジアン径である。無機酸化物粒子(e)の含有量は、750~4500ppmが好ましく、1000~4000ppmがより好ましい。また、無機酸化物粒子(e)の形状は、アスペクト比が小さく(例えば2以下、好ましくは1.5以下)、真球状に近いことが好ましい。
本発明の多層フィルムは、バリア層(A)、接着層(B)、及び熱融着層(C)を少なくとも有する一方で、融点が200℃以上の樹脂を主成分として含む層及び厚みが1μm以上の金属層は有さない。多層フィルムが、融点が200℃以上の樹脂を主成分として含有する層及び厚みが1μm以上の金属層を有さないことで、多層フィルムの粉砕物を溶融成形する際に、他の成分との混合が不均一になることを抑制できる。なお、ここで金属層とは、アルミニウム箔等、金属からなる連続及び不連続面を有する層である。
本発明の多層フィルムそのものをガスバリア性を有する包装材料として使用することができるが、熱可塑性樹脂(g)を主成分として含む少なくとも1層の樹脂層(R)とをさらに積層した多層構造体とすることで、耐熱性や意匠性等の包装材料としての諸機能を付与することができる。熱可塑性樹脂(g)としては特に限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ビニルエステル樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体(炭素数4~20のα-オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独、又はその共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、耐湿性、機械的特性、ヒートシール性、経済性等に優れる観点からはポリオレフィンが好ましく、機械的特性、耐熱性等に優れる観点からはポリアミドやポリエステルが好ましい。特に、リサイクル性に優れた多層構造体を得るためには、熱可塑性樹脂(g)はポリエチレン樹脂を主成分として含有することがより好ましく、ポリエチレン樹脂であることがさらに好ましい。「ポリエチレン樹脂」とは、ポリエチレン(変性されていないポリエチレン)及び変性ポリエチレンをいう。樹脂層(R)に用いられるポリエチレン樹脂は、ポリエチレン(変性されていないポリエチレン)であってもよい。
本発明の多層フィルム及び多層構造体は、優れた外観、ガスバリア性及びリサイクル性を有しており、機械物性の安定性にも優れることから、食品包装、医薬品包装、工業薬品包装、農薬包装等の各種包装の材料として好適に使用できる。すなわち、本発明の包装材料は、本発明の多層フィルム又は多層構造体を含む。本発明の包装材料は、本発明の多層フィルム又は多層構造体からなるものであってもよい。但し、本発明の多層フィルム及び多層構造体は、さらに広範囲の用途に使用することが可能であり、包装材料の用途に限定されない。
本発明の多層フィルムや多層構造体を製造する際に発生する端部や不良品は回収して再使用することが好ましい。また、市場に流通した多層フィルムや多層構造体を回収して再使用することも好適な実施態様である。本発明の多層フィルム又は多層構造体を粉砕した後に溶融成形する工程を備える多層フィルム又は多層構造体の回収方法、及び本発明の多層フィルム又は多層構造体の回収物を含む回収組成物も、本発明の好適な実施態様である。ここで、本発明の多層フィルム又は多層構造体の回収物とは、本発明の多層フィルム又は多層構造体を含む包装材料の回収物も包含する。
(1)バリア層(A)のためのEVOH(a)含有樹脂組成物の作製
EVOH(a-1)(エチレン単位含有量32モル%、けん化度99.99、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分、酢酸ナトリウムをナトリウムイオン換算で220ppm、リン酸イオンをリン酸根換算で30ppm、ホウ酸をホウ素元素換算で150ppm含み、多価金属イオンは含まない)とステアリン酸マグネシウムとを、得られる樹脂組成物中のマグネシウムイオンの含有量が50ppmとなるように溶融混練し、バリア層(A)のための樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、東洋精機製作所社製二軸押出機(D(mm)=25、L/D=25、スクリュー:同方向完全噛合型)を使用し、樹脂温度が220℃となるようにした。
三井化学社製の無水マレイン酸変性ポリエチレン「アドマー(商標) NF518」(MFR(190℃、2.16kg荷重)3.1g/10分、密度0.91g/cm3、酸価1.8mgKOH/g)を接着性樹脂(b-1)とした。この接着性樹脂(b-1)を接着層(B)のための樹脂組成物ペレットとしてそのまま使用した。
ダウケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)「エリート(商標)AT6101」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)0.8g/10分、密度0.905g/cm3)とステアリン酸アミド(S1A)(融点101℃)とを、得られる樹脂組成物中のステアリン酸アミドの含有量が4質量%となるように溶融混練し、ステアリン酸アミドマスターバッチペレットを製造した。溶融混練は、東洋精機製作所社製二軸押出機(D(mm)=25、L/D=25、スクリュー:同方向完全噛合型)を使用し、樹脂温度が220℃となるようにした。次いで、直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)ペレットと、得られたステアリン酸アミドマスターバッチペレットとを98/2の質量比でドライブレンドし、熱融着層(C)のための樹脂組成物混合ペレットを得た。ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)について、示差走査熱量分析計DSC(TA Instrument社製「Q2000」)を用いて20℃から250℃まで10℃/分の速度にて昇温した際の融解曲線における全融解熱は86.8J/gであり、全融解熱に占める、100℃以下の融解熱の比率(百分率)は79.7%であった。
上記(1)~(3)で得られた各樹脂組成物ペレットを用い、3種5層共押出製膜設備を用いて(C)/(B)/(A)/(B)/(C)=41μm/6μm/6μm/6μm/41μmの層厚みと層構成を有する多層フィルムを作製した。このときの製膜条件を以下に示す。
バリア層(A):20φ単軸押出機 ラボ機ME型CO-EXT(東洋精機製作所社製)
接着層(B):25φ単軸押出機 P25-18-AC型(大阪精機工作社製)
熱融着層(C):32φ単軸押出機 GT-32-A型(プラスチック工学研究所社製)
Tダイ:300mm幅3種5層用(株式会社プラスチック工学研究所社製)
バリア層(A)の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/220/220/220℃
接着層(B)の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/220/220/220℃
熱融着層(C)の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/220/220/220℃
冷却ロールの温度:80℃
引取速度:1.5m/分
上記(4)で得られた多層フィルムを目視で評価し、以下の基準で判定を行った。結果を表3に示す。なお、D1~D3は許容できない基準である。
判定基準
A:外観は均一で着色もなく良好である
B1:ブツ等の軽度の欠点が見られる
B2:軽度の着色(黄変)が見られる
B3:軽度のムラ(厚み、ブリードアウト)が見られる
C1:ブツ等の中程度の欠点が見られる
C2:中程度の着色(黄変)が見られる
C3:中程度のムラ(厚み、ブリードアウト)が見られる
D1:ブツ等の重度の欠点が見られる
D2:重度の着色(黄変)が見られる
D3:重度のムラ(厚み、ブリードアウト)が見られる
上記(4)で得られた多層フィルムを用いて、片方を酸素供給側、他方をキャリアガス側として酸素透過速度を測定した。具体的には、酸素透過量測定装置(モダンコントロール社製「MOCON OX-TRAN2/21」)を用い、JIS K7126-2(等圧法;2006)に準拠して、温度20℃、酸素供給側の湿度65%RH、キャリアガス側の湿度65%RH、酸素圧1気圧、キャリアガス圧力1気圧の条件下で酸素透過速度(単位:cc/(m2・day・atm))を測定した。キャリアガスには2体積%の水素ガスを含む窒素ガスを使用した。結果を表3に示す。
上記(4)で得られた多層フィルムを23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断伸度及び破断強度を測定した。測定は場所を変えながら10回行い、その平均値を測定結果として採用した。結果を表3に示す。
上記(4)で得られた多層フィルムを10cm四方に20枚切り出して重ね、40℃、90%RH条件下で30日間静置した。この間、11日目から20日目までは上から5kgの荷重をかけて静置した。その後、23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断強度を測定した。測定は場所を変えながら10回行い、その変動係数(標準偏差を平均値で割った値)を測定結果として採用した。結果を表3に示す。なお、変動係数が0.05以上の場合は機械強度の安定性が低いと判断した。
上記(4)で得られた多層フィルムを23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下でフィルムインパクトテスターを用いてインパクト強度を測定した。測定は場所を変えながら5回行い、その平均値を測定結果として採用した。結果を表3に示す。
上記(4)で得られた多層フィルムをA4サイズに2枚切り出して重ね、3辺を幅5mmでヒートシールした。次いで、開口部から1Lの水を充填してから残る辺をヒートシールし、水充填袋を作成した。この水充填袋を20℃、70%RH条件下で1mの高さから正立方向に自由落下させた。20回落下させ、水の漏れが見られなかったものを合格、漏れが見られたものを不合格とした。結果を表3に示す。
上記(4)で得られた多層フィルムを4mm四方以下のサイズに粉砕した。この粉砕物と日本ポリエチレン社製の低密度ポリエチレン樹脂「ノバテックLD LJ400」(MFR(190℃、2.16kg荷重)1.5g/10分、密度0.921g/cm3)とを質量比(粉砕物/ポリエチレン樹脂)40/60の割合でブレンドし、下記に示す押出条件にて単層製膜を行うことで、厚み50μmの単層フィルムを得た。単層フィルムの厚みはスクリュー回転数及び引取りロール速度を適宜変えることで調整した。また、対照として、ポリエチレン樹脂のみを用いて、同様に厚み50μmの単層フィルムを得た。
押出機:東洋精機製作所社製単軸押出機
スクリュー径:20mmφ(L/D=20、圧縮比=3.5、フルフライト型)
押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=230/230/230/230℃
引取りロール温度:80℃
得られた単層フィルムのブツ及び着色状況を下記A~Eの5段階で評価した。結果を表4に示す。なお、Eは許容できない基準である。
ブツの判定基準
A:対照と比べて、ブツの量はほとんど変わらなかった
B:対照と比べて、小さなブツの量がわずかに多かった
C:対照と比べて、小さなブツの量が多かった
D:対照と比べて、大きなブツの量が多かった
E:対照と比べて、大きなブツの量が非常に多かった
着色の判定基準
A:対照と比べて、色相変化の度合いは小さかった
B:対照と比べて、軽度の着色が見られた
C:対照と比べて、中程度の着色が見られた
D:対照と比べて、顕著な着色が見られた
E:対照と比べて、顕著な着色が見られ、ムラも見られた
上記(4)で得られた多層フィルムを4mm四方以下のサイズに粉砕した。この粉砕物60gをラボプラストミル(二軸異方向)を用いて窒素雰囲気下、230℃、100rpmの条件で混練したときのトルク変化を測定した。混練開始10分後及び90分後のトルク値(それぞれTI及びTF)を算出し、当該値の比率(TF/TI)によって、下記A~Eの5段階で評価した。結果を表4に示す。なお、Eは許容できない基準である。
判定基準
A:80/100以上120/100未満
B:70/100以上80/100未満、又は120/100以上130/100未満
C:60/100以上70/100未満、又は130/100以上140/100未満
D:50/100以上60/100未満、又は140/100以上150/100未満
E:50/100未満、又は150/100以上
2液反応型ポリウレタン系接着剤(三井化学社製「タケラックA-520」24質量部及び「タケネートA-50」4質量部)を酢酸エチル37質量部と混合し、接着剤溶液を調整した。次いで、厚み25μmの一軸延伸ポリエチレンフィルム(樹脂層(R))上に乾燥後の厚みが2μmとなるように前記接着剤溶液をバーコータによって塗工し、100℃で5分間乾燥させ、上記(4)で得た多層フィルムとラミネートして、(R)/接着剤/(C)/(B)/(A)/(B)/(C)=25μm/2μm/41μm/6μm/6μm/6μm/41μmの層厚みと層構成を有する多層構造体を作製した。得られた多層構造体は、コシがありながら柔軟であり、外観特性、ガスバリア性、機械物性のいずれにも優れるため、包装材料として好ましく使用することができる。また、ポリエチレン系材料の比率(多層構造体の合計厚みに対する、ポリエチレン樹脂を主成分として含有する層の合計厚みの比)が、0.9を超えるため、いわゆるモノマテリアル包装材としてリサイクルにも好ましく供することができる。
EVOH(a-1)の代わりにEVOH(a-2)(エチレン単位含有量32モル%、けん化度99.99、MFR(190℃、2.16kg荷重)4.4g/10分、酢酸ナトリウムをナトリウムイオン換算で220ppm、リン酸イオンをリン酸根換算で30ppm含み、多価金属イオンは含まない)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
EVOH(a-1)の代わりにEVOH(a-3)(エチレン単位含有量27モル%、けん化度99.99、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.5g/10分、酢酸ナトリウムをナトリウムイオン換算で220ppm、リン酸イオンをリン酸根換算で30ppm、ホウ酸をホウ素元素換算で120ppm含み、多価金属イオンは含まない)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
EVOH(a-1)の代わりにEVOH(a-4)(エチレン単位含有量44モル%、けん化度99.99、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.7g/10分、酢酸ナトリウムをナトリウムイオン換算で220ppm、リン酸イオンをリン酸根換算で30ppm、ホウ酸をホウ素元素換算で100ppm含み、多価金属イオンは含まない)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
EVOH(a-1)にステアリン酸マグネシウムを混練しなかった以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
EVOH(a-1)と混練するステアリン酸マグネシウム量を、表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
EVOH(a-1)と混練するステアリン酸マグネシウムを、それぞれステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛及び酢酸マグネシウムに変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
接着性樹脂(b-1)の代わりに、下記の接着性樹脂(b-2)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
接着性樹脂(b-2):直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)とダウケミカル社製の無水マレイン酸変性ポリエチレン「バイネル CXA417E10」(MFR(190℃、2.16kg荷重)2.7g/10分、密度0.91g/cm3、酸価10.7mgKOH/g)とを質量比93/7でドライブレンドしたもの
接着性樹脂(b-1)の代わりに、下記の接着性樹脂(b-3)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
接着性樹脂(b-3):直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)とダウケミカル社製の無水マレイン酸変性ポリエチレン「バイネル CXA417E10」(MFR(190℃、2.16kg荷重)2.7g/10分、密度0.91g/cm3、酸価10.7mgKOH/g)とを質量比85/15でドライブレンドしたもの
接着性樹脂(b-1)の代わりに、下記の接着性樹脂(b-4)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
接着性樹脂(b-4):直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)とダウケミカル社製の無水マレイン酸変性ポリエチレン「バイネル CXA417E10」(MFR(190℃、2.16kg荷重)2.7g/10分、密度0.91g/cm3、酸価10.7mgKOH/g)とを質量比60/40でドライブレンドしたもの
熱融着層(C)中のステアリン酸アミド量が表2の通りになるように、直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)ペレットと、ステアリン酸アミドマスターバッチペレットのドライブレンド比を変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
ステアリン酸アミドの代わりに、ラウリン酸アミド(L1A)、オレイン酸アミド(О1A)及びエルカ酸アミド(E1A)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
ステアリン酸アミドの代わりに、ステアリン酸アミドとオレイン酸アミドとを1/1の質量比で使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
なお、実施例1、21及び23の各多層フィルムに対し、上記「(8)多層フィルムの突刺破断強度の安定性評価」を、条件を変えて別途実施した。融点が異なる2種以上の高級脂肪酸アミド化合物を使用した本実施例の多層フィルムは、高級脂肪酸アミド化合物を単独で使用した実施例1や実施例21の多層フィルムと比べ、60℃、90%RHや85℃、85%RHといったより過酷な条件下で長期保管した際にも突刺破断強度の変動が抑制され、機械物性の安定性に優れていた。
ステアリン酸アミドマスターバッチペレットに平均粒子径3.9μmの球状シリカ粒子を10質量%添加した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
多層フィルムの厚みを(C)/(B)/(A)/(B)/(C)=38μm/6μm/12μm/6μm/38μmに変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
多層フィルムの厚みを(C)/(B)/(A)/(B)/(C)=82μm/12μm/12μm/12μm/82μmに変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにダウケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-2)「エリート(商標) 5220G」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)3.5g/10分、密度0.915g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにダウケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-3)「エリート(商標) 5400G」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.0g/10分、密度0.916g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにダウケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-4)「イネート(商標) ST50」(エチレンと1-オクテンを重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)0.9g/10分、密度0.918g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにダウケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-5)「イネート(商標) TH60」(エチレンと1-オクテンを重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)0.9g/10分、密度0.912g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにプライムポリマー社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-6)「エボリュー(商標) SP1540」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)3.8g/10分、密度0.913g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにプライムポリマー社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-7)「エボリュー(商標) SP0540」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)3.8g/10分、密度0.903g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにプライムポリマー社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-8)「エボリュー(商標) SP1510」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.0g/10分、密度0.915g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりにプライムポリマー社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-9)「エボリュー(商標) SP0510」(エチレンと1-オクテンをメタロセン触媒で重合、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.2g/10分、密度0.903g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
多層フィルムの代わりに厚み100μmの熱融着層(C)の単層フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
ステアリン酸アミドを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
ステアリン酸アミドの代わりに、エチレンビスステアリン酸アミド(S2A)を使用した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりに日本ポリエチレン社製の低密度ポリエチレン(c-10)「ノバテックLD LJ400」(MFR(190℃、2.16kg荷重)1.5g/10分、密度0.921g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりに日本ポリエチレン社製の直鎖状低密度ポリエチレン(c-11)「ノバテックLL UF943」(MFR(190℃、2.16kg荷重)2.1g/10分、密度0.938g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
直鎖状低密度ポリエチレン(c-1)の代わりに日本ポリエチレン社製の高密度ポリエチレン(c-12)「ノバテックHD HY540」(MFR(190℃、2.16kg荷重)1.0g/10分、密度0.960g/cm3、DSC測定結果は表2記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、各種測定及び評価を行った。結果を表3、4に示す。
実施例1において、3種5層共押出製膜設備を用いて樹脂を押出す際に、厚み9μmのアルミニウム箔上に樹脂を押出すことで、アルミニウム箔/(C)/(B)/(A)/(B)/(C)=9μm/41μm/6μm/6μm/6μm/41μmの層厚みと層構成を有する多層フィルムを作製した。この多層フィルムはガスバリア性に優れる一方、多層フィルムの粉砕物の溶融成形物には大きなブツが非常に多く、着色も顕著であり、実用レベルではなかった。
なお、実施例の中でも、バリア層(A)において多価金属イオン(f)が含有されていない又は多価金属イオン(f)の含有量が比較的多い実施例5、7、接着性樹脂(b)における酸変性樹脂の含有比率が比較的高い実施例13、熱融着層(C)における高級脂肪酸アミド化合物(d)の含有量が比較的多い実施例19、バリア層(A)の厚みの比が比較的高い実施例25は、リサイクル性に係る一部の指標が低下する傾向にあることがわかる。熱融着層(C)における高級脂肪酸アミド化合物(d)の含有量が比較的少ない又は比較的多い実施例14、15、19は、機械的強度の安定性がやや低い傾向にあることがわかる。また、エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)の種類のみが異なる実施例1、27~34の比較から、MFRが0.5~2.0g/10分であり且つ100℃以下の融解熱の比率が45%以上であるエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を用いた実施例1、30、33、34は、インパクト強度等の機械強度が特に優れることがわかる。
Claims (20)
- エチレン単位含有量が20~50モル%であり、けん化度が90モル%以上であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(a)を50質量%超含むバリア層(A)、接着性樹脂(b)を50質量%超含む接着層(B)、及び密度が0.880~0.920g/cm3であるエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を50質量%超含む熱融着層(C)を有し、
融点が200℃以上の樹脂を50質量%超含む層及び厚みが1μm以上の金属層を有さず、
熱融着層(C)が、融点が60~120℃の高級脂肪酸アミド化合物(d)を100~7000ppm含有し、
23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断強度が5N以上である、多層フィルム。 - エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)の、JIS K7210(2014)に準拠して測定されるMFR(190℃、2.16kg荷重下)が0.5~2.0g/10分である、請求項1に記載の多層フィルム。
- エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を示差走査熱量計(DSC)で10℃/分で昇温した際の融解曲線における全融解熱が150J/g以下である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を示差走査熱量計(DSC)で10℃/分で昇温した際の融解曲線において、融解ピークを100℃を区切りとして分割した際に、全融解熱に占める、100℃以下の融解熱の比率(百分率)が45%以上である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)が、エチレンと炭素数6以上のα-オレフィンとを共重合させた直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 高級脂肪酸アミド化合物(d)が、炭素数10~25の飽和脂肪酸モノアミド及び炭素数10~25の不飽和脂肪酸モノアミドからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 高級脂肪酸アミド化合物(d)が、融点が異なる2種以上の高級脂肪酸アミド化合物を含む、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 熱融着層(C)が、平均粒子径が1~30μmである無機酸化物粒子(e)を500~5000ppm含有し、無機酸化物粒子(e)が酸化ケイ素粒子及び金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- バリア層(A)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン及び亜鉛イオンからなる群から選択される少なくとも1種の多価金属イオン(f)を10~200ppm含有する、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 多価金属イオン(f)が、炭素数10~25の高級脂肪酸金属塩として含有される、請求項9に記載の多層フィルム。
- 接着性樹脂(b)が、未変性樹脂(bx)と酸変性樹脂(by)の混合物であり、未変性樹脂(bx)がエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(c)を含む、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 接着性樹脂(b)における、未変性樹脂(bx)と酸変性樹脂(by)の比率(bx/by)が55/45~95/5である、請求項11に記載の多層フィルム。
- 全層の合計厚みが200μm以下であり、全層の合計厚みに対する、バリア層(A)の厚みの比が0.10以下である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 20℃、65%RH条件下における酸素透過速度が5cc/(m2・day・atm)以下である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、同条件下で、先端直径1mmの針を50mm/分の速度で突き刺した際の破断伸度が6mm以上である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 請求項1に記載の多層フィルムと、熱可塑性樹脂(g)を50質量%超含む少なくとも1層の樹脂層(R)とを積層した、多層構造体。
- 熱可塑性樹脂(g)が、ポリエチレン樹脂を50質量%超含有する、請求項16に記載の多層構造体。
- 請求項1に記載の多層フィルム又は請求項16に記載の多層構造体を含む包装材料。
- 請求項1に記載の多層フィルム又は請求項16に記載の多層構造体の回収物を含む、回収組成物。
- 請求項1に記載の多層フィルム又は請求項16に記載の多層構造体を粉砕した後に溶融成形する工程を備える、多層フィルム又は多層構造体の回収方法。
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