JP2017088666A - エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物、積層体及び成形品 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物、積層体及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れ、なおかつ長期間にわたって安定に製造できる樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)を含有し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)が5/95〜45/55であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、ハロゲン捕捉剤(C)を0.01〜1質量部含有する、樹脂組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物、積層体及び成形品に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、優れたガスバリア性を有し、しかも、塩化ビニル樹脂のように焼却処分時に有害なガスを発生することもない。そのため、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、飲食品用包装、容器用パッキング、医療用輸液バッグ、タイヤ用チューブ、靴用クッションなどとして、広く用いられている。しかしながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体は比較的硬い樹脂であるため、用途によっては柔軟性が不十分となる場合があった。
ところで、エチレン−ビニルアルコール共重合体に他の樹脂を含有させて様々な機能を付与する方法が知られており、エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の樹脂を含有する種々の樹脂組成物が報告されている。
特許文献1及び2には、主としてビニル芳香族モノマー単位からなる重合体ブロックと、主としてイソブチレン単位からなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体、およびエチレン−ビニルアルコール系共重合体を含有する重合体組成物が記載されている。そして、これらの重合体組成物は、柔軟性およびゴム弾性に優れるとともに、ガスバリア性にも優れていると記載されている。しかしながら、特許文献1及び2に記載された重合体組成物を長期間にわたって製造した場合、重合体が架橋して製造が困難になり、当該重合体組成物を安定して生産することが難しかった。また、当該重合体組成物は、用途によっては耐薬品性が不十分である場合があった。
特開平10−1579号公報 特開平10−110086号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れ、なおかつ長期間にわたって安定に製造できる樹脂組成物を提供することを目的とする。また、当該樹脂組成物を用いた積層体及び成形品を提供することを目的とする。
上記課題は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(以下、「エチレン−ビニルアルコール共重合体」を「EVOH」と称することがある)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)を含有し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)が5/95〜45/55であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、ハロゲン捕捉剤(C)を0.01〜1質量部含有する、樹脂組成物を提供することによって解決される。
ここで、ハロゲン捕捉剤(C)が交換性イオンを有する層状無機化合物であることが好適であり、当該層状無機化合物がハイドロタルサイトであることがより好適である。ポリオレフィン(B)に含有されるハロゲン原子が塩素原子であることも好適である。
前記樹脂組成物が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とポリオレフィン(B)の総量100質量部に対し、カルボン酸金属塩(D)を0.0005〜0.3質量部含むことが好適である。
前記樹脂組成物からなる層を有する積層体が本発明の好適な実施態様である。当該積層体が、さらに、熱可塑性樹脂からなる層を有することが好適である。ここで、当該熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好適である。前記積層体からなるブロー成形容器が本発明のより好適な実施態様である。前記積層体からなる熱成形容器も本発明のより好適な実施態様である。前記積層体からなるインフレーションフィルムも本発明のより好適な実施態様である。
本発明の樹脂組成物は、ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れ、なおかつ長期間にわたって製造した場合でも樹脂の架橋が防止されるため、安定に製造できる。当該樹脂組成物を用いた積層体及び成形品は、ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れ、しかも良好な外観(フィッシュアイの少ない外観)を有する。
本発明の樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)を含有し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)が5/95〜45/55であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、ハロゲン捕捉剤(C)を0.01〜1質量部含有するものである。
本発明の樹脂組成物に含有されるEVOH(A)は、主としてエチレン単位とビニルアルコール単位とからなる共重合体であり、エチレン−ビニルエステル共重合体中のビニルエステル単位をけん化して得られるものである。本発明において使用されるEVOH(A)は特に限定されず、溶融成形用途で使用される公知のものを用いることができる。EVOH(A)は、単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
EVOH(A)のエチレン単位の含有量の下限としては、20モル%が好ましく、24モル%がより好ましい。上記の下限を下回る場合には、得られる樹脂組成物の溶融成形性が低下するおそれがある。一方、EVOH(A)のエチレン単位の含有量の上限として65モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、48モル%がさらに好ましい。上記の上限を超える場合には、得られる樹脂組成物のガスバリア性が低下するおそれがある。
EVOH(A)のケン化度は、特に限定されないが、得られる樹脂組成物のガスバリア性を維持する観点から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、99モル%以上であることがさらに好ましい。
EVOH(A)のメルトフローレート(温度210℃、荷重2160gの条件下で、ASTM D1238に記載の方法で測定、以下、「メルトフローレート」を「MFR」と称することがある)は、下限としては0.5g/10分であることが好ましく、1.0g/10分がより好ましく、2.0g/10分がさらに好ましい。一方、MFRの上限としては、100g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、25g/10分がさらに好ましい。MFRが上記の範囲の場合には、得られる樹脂組成物の成形性や加工性が向上する。
EVOH(A)は、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位に加えて、他の構成単位を有していてもよい。他の構成単位としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランなどのビニルシラン化合物から誘導される単位が挙げられる。これらのなかでも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランから誘導される単位が好ましい。さらに、EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル;N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンから誘導される単位を有していてもよい。エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単位の含有量は、全構成単位に対して10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
EVOH(A)の製造方法としては、例えば、公知の方法に従って、エチレン−ビニルエステル共重合体を製造し、次いで、これをケン化することによってEVOH(A)を製造することができる。エチレン−ビニルエステル共重合体は、例えば、エチレンとビニルエステルとを、メタノール、t−ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中、加圧下に、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を用いて重合させることによって得られる。原料のビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを使用することができるが、これらの中でも酢酸ビニルが好ましい。エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化には、酸触媒またはアルカリ触媒を使用することができる。
本発明の樹脂組成物に含有されるハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)は、ハロゲン原子を含有するポリオレフィンであれば特に限定されない。ポリオレフィン(B)は、単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。ポリオレフィン(B)に含有されるハロゲン原子は特に限定されないが、塩素原子及び臭素原子が好ましく、前者がより好ましい。ポリオレフィン(B)中のハロゲン原子の含有量の下限は、0.1質量%が好ましい。ハロゲン原子の含有量の下限が上記の下限未満の場合には、樹脂組成物の耐薬品性が低下するおそれがある。一方、ポリオレフィン(B)中のハロゲン原子の含有量の上限は50質量%が好ましい。ポリオレフィン(B)中のハロゲン原子は、イオンクロマトグラフを用いて分析することができる。
ポリオレフィン(B)として、ハロゲン化ポリオレフィンが好ましい。前記ハロゲン化ポリオレフィンとして、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したエチレン系共重合体;ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど);プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したプロピレン系共重合体;ポリ(1−ブテン);ポリ(4−メチル−1−ペンテン)又は上述のポリオレフィンに無水マレイン酸を作用させた変性ポリオレフィンなどをハロゲン化したものが挙げられる。なかでも、ハロゲン化ポリオレフィンとして、ハロゲン化ポリエチレンが好ましい。また、ポリオレフィン(B)として用いられるハロゲン化ポリオレフィンが、塩素化ポリオレフィン、臭素化ポリオレフィン、クロロスルホン化ポリオレフィンであることが好ましい。
ポリオレフィン(B)のMFR(温度180℃、荷重21.6kgの条件下に、JIS K7210に記載の方法で測定)の下限は、0.1g/10分が好ましく、0.2g/10分がより好ましく、0.8g/10分がさらに好ましい。一方、ポリオレフィン(B)のMFRの上限は、100g/10分が好ましく、90g/10分がより好ましく、70g/10分がさらに好ましい。MFRが上記の範囲の場合には、得られる樹脂組成物の成形性や加工性が向上する。
ポリオレフィン(B)は、公知の方法に従って製造方法することができる。例えば、塩素化ポリオレフィンの製造方法として、ポリオレフィン粉末を水性溶媒に懸濁させた後、得られた懸濁液中に塩素ガスを吹込むことにより、ポリオレフィンの塩素化を行う方法が挙げられる。このとき用いられるポリオレフィン粉末の平均粒子径は、通常、100〜1000μmであり、反応温度は、通常、80〜150℃である。また、クロロスルホン化ポリオレフィンの製造方法として、ラジカル発生剤の存在下、溶剤中でポリオレフィンを、塩素及び亜硫酸ガスと反応させることにより、ポリオレフィンの塩素化及びクロロスルホン化を行う方法等が挙げられる。このとき用いられる溶剤としては、トリクロロエチレン、四塩化炭素等が挙げられ、ラジカル発生剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。また、このときの反応は、通常、40〜150℃、0〜1MPaの条件下で行われる。
本発明の樹脂組成物における、EVOH(A)に対するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)の下限は5/95であることが必要であり、10/90が好ましく、15/85がより好ましい。質量比(B/A)が上記の下限未満の場合には、樹脂組成物の柔軟性が低下する。一方、質量比(B/A)の上限は45/55であることが必要であり、40/60が好ましく、35/65がより好ましい。質量比(B/A)が上記の上限を超える場合には、樹脂組成物を長期間にわたって製造した際に樹脂が急速に架橋する。また、樹脂組成物のガスバリア性が低下する上に、得られる成形品中のフィッシュアイ数が増加する。
本発明の樹脂組成物に含有されるハロゲン捕捉剤(C)は、ハロゲン捕捉能を有するものであればよく、例えば、交換性イオンを有する層状無機化合物;酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属化合物;酸化亜鉛;炭酸リチウムなどが挙げられる。
なかでも、ハロゲン捕捉剤(C)が交換性イオンを有する層状無機化合物であることが好ましい。層状無機化合物中の層間に存在するイオンがハロゲンイオンと交換されることにより、当該ハロゲンイオンが層状無機化合物に取り込まれる。前記層状無機化合物として、例えば、粘土鉱物;層状ポリ珪酸;層状珪酸塩;層状複水酸化物;層状リン酸塩;チタン・ニオブ酸塩、六ニオブ酸塩及びモリブデン酸塩等の層状遷移金属酸素酸塩;層状マンガン酸化物;層状コバルト酸化物等を挙げることができ、なかでも粘土鉱物が好ましい。
前記粘土鉱物として、例えば、ハイドロタルサイト、ゼオライト、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト及びスチーブンサイトが挙げられる。粘土鉱物は、合成粘土であっても天然粘土であってもよい。なかでも、前記粘土鉱物として、ハイドロタルサイト及びゼオライトが好ましく、前者がより好ましい。ハイドロタルサイトとして、下記の一般式(I)で示されるものなど、ゼオライトとして下記式(II)で示されるものなどがそれぞれ挙げられる。
Mg1-aAla(OH)2(CO3)a/2・xH2O (I)
Na2O・Al2O3・2SiO2・yH2O (II)
(式I及びII中、xは0〜5の数、aは0<a≦0.5を満たす数、yは0〜6の数を示す。)
本発明の樹脂組成物におけるハロゲン捕捉剤(C)の含有量の下限は、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、0.01質量部であることが必要であり、0.025質量部であることが好ましい。ハロゲン捕捉剤(C)の含有量が上記の下限未満の場合には、樹脂組成物を長期間にわたって製造した場合に樹脂が急速に架橋する。一方、ハロゲン捕捉剤(C)の含有量の上限は、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、1質量部であることが必要であり、0.8質量部であることが好ましい。ハロゲン捕捉剤(C)の含有量が上記の上限を超えると、得られる成形品におけるフィッシュアイ数が増加して外観が損なわれる。
以上に説明したハロゲン捕捉剤(C)を含有することが本発明の樹脂組成物の大きな特徴である。本発明者が、EVOH(A)とポリオレフィン(B)とを溶融混練した際に生じる急速な架橋反応の原因について検討した結果、ポリオレフィン(B)に含有されるハロゲン原子が原因であることを突き止めた。EVOH(A)とポリオレフィン(B)とを溶融混練して樹脂組成物を製造する際に、ポリオレフィン(B)中のハロゲン原子が脱離してハロゲン化水素などが副生し、このような副生物によりEVOH(A)とポリオレフィン(B)との架橋反応が加速するものと考えられる。そして、本発明者は、ハロゲン捕捉剤(C)を所定量含有させることにより、フィッシュアイが増加することなく、EVOH(A)とポリオレフィン(B)との架橋が抑制されることを見出した。従来、EVOHにハロゲン捕捉剤を添加するとフィッシュアイが増加して得られる成形品の外観が損なわれるとされており、ハロゲン捕捉剤をEVOHに添加することはなかった。上記のようなハロゲン捕捉剤(C)の効果は、本発明者の検討の結果、初めて見出されたものである。
本発明の樹脂組成物における、EVOH(A)、ポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)の合計量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、EVOH(A)とポリオレフィン(B)の総量100質量部に対し、さらに、カルボン酸金属塩(D)を含むことが好ましい。カルボン酸金属塩(D)の含有量の下限としては、0.0005質量部が好ましく、0.001質量部がより好ましい。カルボン酸金属塩(D)の含有量が上記の下限以上であることで、樹脂組成物中のハロゲン捕捉剤(C)の含有量が少なかったとしても、EVOH(A)とポリオレフィン(B)との急激な架橋をさらに抑制できる。また、カルボン酸金属塩(D)の含有量の上限としては0.3質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。カルボン酸金属塩(D)の含有量が上記の上限以下であることでフィルムとしたときに、カルボン酸金属塩(D)由来のフィッシュアイが少なくなる。カルボン酸金属塩(D)を構成するカルボン酸としては、炭素数1〜30のカルボン酸が好適であり、具体的には、酢酸、ステアリン酸、ラウリン酸、モンタン酸、ベヘン酸、オクチル酸、セバシン酸、リシノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等が挙げられ、なかでも、酢酸及びステアリン酸が特に好適である。カルボン酸金属塩(D)を構成する金属としては、アルカリ土類金属が好適であり、具体的には、マグネシウム及びカルシウム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、熱安定性や粘度調整の観点でカルボン酸金属塩(D)以外の金属塩や酸等の化合物を含有していてもよい。このような化合物としては、カルボン酸、リン酸化合物及びホウ素化合物などであり、具体的な例としては次のようなものが挙げられる。なお、これらの化合物は、あらかじめEVOH(A)又はポリオレフィン(B)に含まれていても構わない。
カルボン酸:シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、乳酸等
リン酸化合物:リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等
ホウ素化合物:ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等
また、前記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記以外の各種添加剤を含有していてもよい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、造核剤、難燃剤、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)以外のポリマー等を挙げることができる。前記樹脂組成物における、EVOH(A)、ポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)以外の成分の含有量は、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。前記樹脂組成物に含有される、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)以外ポリマーの含有量の上限は、全ポリマー成分に対して、20質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましい。一方、前記樹脂組成物における、全ポリマー成分に対する、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)の合計量の下限は、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物の調製方法は特に制限されないが、EVOH(A)及びポリオレフィン(B)にハロゲン捕捉剤(C)を添加してから溶融混練することによって調製するのが好ましく、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合装置または混練装置を使用して行うことができる。溶融混練時の温度は、通常、110〜300℃である。ハロゲン捕捉剤(C)は、予めEVOH(A)やポリオレフィン(B)に含有されていても構わない。
本発明の樹脂組成物は、ペレット、粉末などの任意の形態にしておいて、成形材料として使用することができる。本発明の樹脂組成物は、フィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形品に成形される。成形法としては、例えば、ブロー成形、熱成形、インフレーション成形、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、真空成形などの任意の方法を採用することができる。前記樹脂組成物を溶融成形する際の温度はEVOH(A)の融点等により異なるが、150〜270℃程度が好ましい。このような方法で製造される本発明の樹脂組成物からなる成形品は、ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れるとともに、外観も良好である。
なかでも、本発明の樹脂組成物からなる層を有する積層体が本発明の好適な実施態様である。前記樹脂組成物からなる層と、熱可塑性樹脂からなる層とを有する積層体がより好ましい。当該熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン等などのポリオレフィン;ポリスチレン(PS);ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;アイオノマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA);塩化ビニル樹脂(PVC);塩化ビニリデン樹脂(PVDC)などが挙げられ、なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。当該熱可塑性樹脂がEVOH(A)やポリオレフィン(B)であってもよい。
前記積層体は、本発明の樹脂組成物からなる層と他の熱可塑性樹脂からなる層との間に接着層を介在させてもよい。接着層を介在させることによって、その両側の2層を強固に接合一体化させることができる。接着層に用いられる接着剤としては、ジエン系重合体の酸無水物変性物;ポリオレフィンの酸無水物変性物;高分子ポリオールとポリイソシアネート化合物との混合物等が挙げられる。熱可塑性樹脂からなる層がポリオレフィン層である場合には、接着層を介在させなくても層間接着性に優れるため、接着層を介在させる意義は薄い。
前記積層体の層構成は特に限定されないが、前記樹脂組成物からなる層を「樹脂組成物層」、他の熱可塑性樹脂からなる層をT、接着層をADと表すとき、次のような層構成の例を全層構成の一部として含む。
2層:樹脂組成物層/T
3層:樹脂組成物層/AD/T;T/樹脂組成物層/T
4層:T/樹脂組成物層/AD/T
5層:T/AD/樹脂組成物層/AD/T
前記積層体の製造方法は、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法等が例示されるが、特に限定されるものではない。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法等を挙げることができる。
このようにして得られた積層体のシート、フィルム、パリソン等を再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法、ブロー成形法等により一軸又は二軸延伸して、延伸された成形品を得ることもできる。
前記積層体の厚みは、50〜5000μmが好ましい。前記積層体中の本発明の樹脂組成物からなる層の厚みは、5〜500μmが好ましく、他の熱可塑性樹脂からなる層の厚みは45〜4500μmが好ましい。
前記積層体からなるブロー成形容器が本発明の好適な実施態様である。このようなブロー成形容器の製造方法としては以下のような方法があげられる。
まず、少なくとも2台の押出機を有する多層押出機を用いて、本発明の樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂とを別々の押出機に供給して別々に混練、溶融押出しを行い、各層を多層パリソン成形用ダイの内部またはダイより吐出直後の外部で密着合流させるように押出し、管状の多層パリソンを得、次いでこのパリソンを溶融状態でブロー成形して共押出多層容器を得る、いわゆるダイレクトブロー成形法があげられる。
また、少なくとも2台の押出機を有する多層射出成形機を用いて射出成形によって多層パリソンを得てから、再加熱しブローするいわゆる延伸ブロー成形法も採用される。さらに、押出成形法によって多層パイプを成形してからこれを適当な長さに切断し、次いで一端を密封し他端にはキャップ等の蓋を取付け可能な加工をして有底パリソンを成形し、これを再加熱してブローする延伸ブロー成形法も採用される。
ブロー成形法としては公知のダイレクトブロー法か延伸ブロー法を用途に応じて適宜選択すればよい。例えば一般にダイレクトブロー法は、樹脂の分子の配向度が低いため、機械的強度は高くならないが、高温における寸法安定性が良いので、高温殺菌を必要とする用途には適している。一方、炭酸飲料容器のように耐圧、耐クリープ性が必要な用途には、延伸ブロー法が適している。なおダイレクトブローする場合は他の熱可塑性樹脂としてポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、延伸ブローする場合は飽和ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。前記ブロー成形容器を製造する場合、前記樹脂組成物のMFR(温度210℃、荷重2160gの条件下で、ASTM D1238に記載の方法で測定)は、3.0〜7.0g/10分であることが好ましい。
前記積層体からなる熱成形容器も本発明の好適な実施態様である。当該容器は、フィルムあるいはシート等を加熱して軟化させた後に、金型形状に成形することにより得ることができる。成形方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要によりさらにプラグを併せ用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)やプレス成形する方法などが挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形状または原料フィルムやシートの性質等により適当に設定される。前記熱成形容器を製造する場合、前記樹脂組成物のMFR(温度210℃、荷重2160gの条件下で、ASTM D1238に記載の方法で測定)は、1.0〜6.0g/10分であることが好ましい。
前記積層体からなるインフレーションフィルムも本発明の好適な実施態様である。当該フィルムは、原料を別々の押出機で溶融混練し、少なくとも二層以上の環状ダイスから押し出し、その中に空気を吹き込んで膨らませるとともに冷却して得ることができる。前記インフレーションフィルムを製造する場合、前記樹脂組成物のMFR(温度210℃、荷重2160gの条件下で、ASTM D1238に記載の方法で測定)は、0.4〜4.0g/10分であることが好ましい。
本発明の積層体は、ガスバリア性、耐薬品性及び柔軟性に優れているうえに、フィッシュアイ数が少なく外観も良好であるため、これらの性質が要求される日用品、包装材、機械部品などとして使用することができる。当該積層体の特長が特に効果的に発揮される用途の例としては、飲食品用包装、容器用パッキング、医療用輸液バッグ、タイヤ用チューブ、靴用クッション、容器、バッグインボックス用内袋、有機液体貯蔵用タンク、有機液体輸送用パイプ、暖房用温水パイプ(床暖房用温水パイプ等)、ジオメンブレン、樹脂製壁紙、などが挙げられる。これらのうち特に好適な用途は、飲食品用包装、容器用パッキング、医療用輸液バッグ、タイヤ用チューブ及び靴用クッションである。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
[EVOHのエチレン含有量及びケン化度]
測定装置に日本電子社製「JNM−GX−500型」、溶媒にDMSO−dを用いたH−NMR測定により求めた。
[メルトフローレート(MFR)]
メルトインデクサ(東洋精機製作所製「A−111A」)を用い、所定の条件下(EVOH:温度210℃、荷重2160g;スチレン系共重合体:温度230℃、荷重2160g)、ASTM D1238に記載の方法で、測定試料の流出速度(g/10分)を測定して求めた。
[EVOH]
A−1:クラレ製「EVAL F104B」、EVOH
MFR10.0g/10分、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.99モル%
A−2:クラレ製「EVAL L104B」、EVOH
MFR8.9g/10分、エチレン含有量27モル%、ケン化度99.99モル%
A−3:クラレ製「EVAL E105B」、EVOH
MFR13.0g/10分、エチレン含有量44モル%、ケン化度100.0モル%
[ハロゲン原子を含有するポリオレフィン]
B−1:昭和電工製「エラスレン 252B」、塩素化ポリエチレン
MFR3g/10分(180℃、荷重21.6kg)、塩素原子含有量22.0〜25.0質量%
B−2:昭和電工製「エラスレン 301A」、塩素化ポリエチレン
MFR1.6g/10分(180℃、荷重21.6kg)、塩素原子含有量30.0〜33.0質量%
[その他の樹脂]
A−4、B−3:日本ポリエチレン製「ノバテックLD LJ400」、低密度ポリエチレン
MFR1.5g/10分(190℃、荷重2160g)、密度0.921g/cm
B−4:旭化成製「Taftec H1041」、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体
MFR5.0g/10分(230℃、荷重2160g)、密度0.911g/cm、塩素原子含有量0.00質量%
[ハロゲン捕捉剤]
C−1:協和化学工業製「ZHT−4A」、ハイドロタルサイト
C−2:協和化学工業製「DHT−4A」、ハイドロタルサイト
[カルボン酸金属塩]
D−1:酢酸マグネシウム
D−2:ステアリン酸マグネシウム
D−3:酢酸カルシウム
[樹脂組成物の架橋までの時間の評価]
樹脂組成物を75g秤量し、ローラミキサ(株式会社東洋精機製作所製「R100」)に入れて230℃、100rpmで撹拌しトルク変化を経時観察した。トルクが継続的に1N・m以上、上下に変動し始める時間を計測した。
[酸素透過度(OTR)]
単層フィルムを20℃/65%RHの条件下で調湿した後、酸素透過速度測定装置(Modern Control社製「OX−Tran2/20」)を用い、20℃/65%RHの条件下でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて酸素透過度(OTR)を測定した。
[耐薬品性]
樹脂組成物10gとキシレン50mLを100mLビーカーに入れ、23℃、50%RHの条件下にて48時間放置した。その後真空乾燥機にて40℃下で24時間真空乾燥した後、質量a(g)を測定した。樹脂組成物の質量変化率を下記式を用いて算出し、下記のように耐薬品性を判断した。
質量変化率(%)=100×(10−a)/10

A:質量変化率が10%未満
B:質量変化率が10%以上30%未満
C:質量変化率が30%以上
[フィッシュアイ数の測定]
単層フィルム製膜時に欠点検出器(フロンティアシステム製「FEカウンター」を用いて引取速度3m/分、幅0.08m×長さ1m(0.08m)中の欠点数を検出した。
[単層フィルムの柔軟性評価]
単層フィルムを20℃/65%RHの条件下で1日調湿した後、A4サイズにカットしてゲルボフレックステスター(テスター産業製「BE−1006−S」)にて5℃下で100回屈曲させた。屈曲後のピンホール数を目視で数え、以下のように判断した。
A:10個以下
B:11個以上
[成形容器の柔軟性評価]
成形容器の胴部を片手で持ち、23℃下で2秒に1回の間隔で100回潰した。その後の成形容器の胴部の外観から以下のように判断した。
A:白化スジなし
B:白化スジの原因となるスジ(折り目)がある
C:白化スジあり
実施例1
[樹脂組成物の作製]
EVOH(A)としてA−1、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)としてB−1、ハロゲン捕捉剤(C)としてC−1をそれぞれ用いた。まず、A−1(70質量部)とB−1(30質量部)とをドライブレンドし、得られた混合物にC−1(0.3質量部)を添加してから以下の条件で溶融混練した後、ペレット化及び乾燥して樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物の架橋性及び耐薬品性の評価を上記方法により行った結果を表1に示す。各評価結果を表1に示す。
<溶融混練条件>
装置:26mmφ二軸押出機(東洋精機製作所製「ラボプラストミル4C150」)
スクリュー:同方向完全噛合型
ダイスホール数:2ホール(3mmφ)
押出温度:C1=200℃、C2からC5=230℃、ダイ=230℃
乾燥:熱風乾燥80℃/6hr
[単層フィルムの作製]
得られた樹脂組成物を以下の条件で製膜し、厚み20μmの単層フィルムを得た。当該単層フィルムのフィッシュアイ数、酸素透過度及び柔軟性を上記方法により評価した結果を表1に示す。また、製膜条件を以下に示す。
<製膜条件>
装置:20mmφ単軸押出機(東洋精機製作所製「ラボプラストミル4M150」)
L/D:20
スクリュー:フルフライト
ダイ:300mmコートハンガーダイ
押出温度:C1=180℃、C2からC3=220℃、ダイ=220℃
スクリーン:50/100/50
冷却ロール温度:40℃
[成形容器の作製]
得られた樹脂組成物と低密度ポリエチレン(LDPE、日本ポリエチレン製「ノバテックZE41K」)と接着性樹脂(三井化学製「アドマーLB548」を以下の条件で多層製膜し、LDPE/接着性樹脂/樹脂組成物/接着性樹脂/LDPE=400/20/30/20/400μmの厚みの積層体を得た。次に、当該積層体を用いてブロー成形することで、円筒形状の成形容器を得た。当該成形容器の柔軟性を上記方法により測定した結果を表1に示す。また、ブロー成形条件を以下に示す。
<ブロー成形条件>
装置:ダイレクトブロー成形機(鈴木鉄工所製「TB−ST−6P」)
ダイ温度:210℃
金型温度:50℃
実施例2、3
ハロゲン捕捉剤(C)の添加量を表1に示すとおりに変更したこと、及びEVOH(A)とハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)を溶融混練する際に、さらにカルボン酸金属塩(D)としてD−1を表1に示す量添加したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
実施例4〜11
EVOH(A)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)の種類や添加量を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
実施例12、13
カルボン酸金属塩(D)としてD−2またはD−3を用いたこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例1
ハロゲン捕捉剤(C)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例2
EVOH(A)の代わりに低密度ポリエチレンであるA−4を用いたこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例3、4、7
EVOH(A)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)の添加量を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例5
ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)の代わりに低密度ポリエチレンであるB−3を用いたこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例6
ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)の代わりにB−4を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製及び評価した。また、得られた樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして単層フィルム及び成形容器を作製、評価した。各評価結果を表1に示す。
Figure 2017088666
本発明の樹脂組成物(実施例1〜13)は、長期間にわたって溶融混練しても急激なトルクの変動が見られず、樹脂の架橋が抑制されていた。また、これらの樹脂組成物は、耐薬品性に優れていた。さらに、これらの樹脂組成物を成形して得られたフィルムや成形容器はガスバリア性及び柔軟性に優れるとともに、フィッシュアイ数も少なく、外観が良好であった。一方、ハロゲン捕捉剤(C)を含有しない樹脂組成物(比較例1)は、溶融混練すると短時間でトルクが変動したことから、樹脂が急激に架橋したものと考えられる。EVOH(A)の代わりに低密度ポリエチレンであるA−4を用いた樹脂組成物(比較例2)は、耐薬品性が不十分であった。EVOH(A)に対するハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)が45/55を超える樹脂組成物(比較例3)は、溶融混練すると短時間でトルクが変動したことから、樹脂が急激に架橋したものと考えられる。また、当該樹脂組成物を成形して得られたフィルムはフィッシュアイ数が多く、外観が不良であった。ハロゲン捕捉剤(C)の含有量が1質量部を超える樹脂組成物(比較例4)を成形して得られたフィルムは、フィッシュアイ数が多く外観が不良であった。ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)の代わりに低密度ポリエチレンであるB−3(比較例5)やスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体であるB−4(比較例6)を用いた樹脂組成物は、耐薬品性が不十分であった。ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)の含有量が5質量部に満たない樹脂組成物(比較例7)を成形して得られたフィルムや成形容器は、柔軟性に劣った。

Claims (11)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、ハロゲン原子を含有するポリオレフィン(B)及びハロゲン捕捉剤(C)を含有し、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対するポリオレフィン(B)の質量比(B/A)が5/95〜45/55であり、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びポリオレフィン(B)の総量100質量部に対して、ハロゲン捕捉剤(C)を0.01〜1質量部含有する、樹脂組成物。
  2. ハロゲン捕捉剤(C)が交換性イオンを有する層状無機化合物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記層状無機化合物がハイドロタルサイトである、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. ポリオレフィン(B)に含有されるハロゲン原子が塩素原子である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とポリオレフィン(B)の総量100質量部に対し、カルボン酸金属塩(D)を0.0005〜0.3質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を有する積層体。
  7. さらに、熱可塑性樹脂からなる層を有する、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項7に記載の積層体。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の積層体からなるブロー成形容器。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の積層体からなる熱成形容器。
  11. 請求項6〜8のいずれかに記載の積層体からなるインフレーションフィルム。
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