JP3131478B2 - フィルム、多層フィルム、包装材および包装体 - Google Patents

フィルム、多層フィルム、包装材および包装体

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JP3131478B2
JP3131478B2 JP32809791A JP32809791A JP3131478B2 JP 3131478 B2 JP3131478 B2 JP 3131478B2 JP 32809791 A JP32809791 A JP 32809791A JP 32809791 A JP32809791 A JP 32809791A JP 3131478 B2 JP3131478 B2 JP 3131478B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体(以下EVOHと記す)と無機フィラ
ーとからなる樹脂組成物のフィルム、および前記組成物
層を中間層とし、耐湿性熱可塑性樹脂の層を該中間層の
内外層に有する多層フィルム、および前記フィルムまた
は多層フィルムよりなるボイル殺菌またはレトルト殺菌
用包装材、および該包装材に内容物を充填し、密封包装
体とし、続いてこれをボイル殺菌またはレトルト殺菌し
た、保存性、熱収縮性および外観の改良された包装体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品包装体においては、その包装
容器として金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器
などが使用されているが、近年、軽量性、形態の自由
度、耐衝撃性、あるいはコストの面からプラスチック容
器が各種の食品包装用容器として使用されている。
【0003】しかしながら、金属缶およびガラスビンは
材料としての酸素透過量がゼロであるのに対し、プラス
チック容器は、特にボイル殺菌用やレトルト殺菌用のパ
ウチやふた材などのような包装形態において、特に近年
食品流通形態として脚光を浴びている熱水殺菌処理や蒸
気殺菌処理におけるような熱と水分が同時に作用する条
件下の場合、そのガスバリヤー性、とりわけ酸素ガスバ
リヤー性が不足しているため、許容できる以上の酸素が
容器内に進入し、内容食品の酸素による劣化が起こり、
食品の風味、鮮度などの保存性の点で問題になり、限ら
れた用途にのみ使用されているのが現状である。
【0004】すなわち、現在までパウチやふた材として
使用されているガスバリヤー性樹脂の代表としてはポリ
塩化ビニリデン系高分子があるが必ずしも充分な酸素ガ
スバリヤー性を有しておらず、また最近の地球環境問題
の観点(リサイクル使用が不可、焼却による分解物質が
酸性雨の原因とされる等)からも、好ましくない。
【0005】また、他のガスバリヤー性樹脂の代表であ
るEVOHも、上記の点を防止するために、EVOHを
熱可塑性樹脂層と接着性樹脂層とで積層した多層構造か
らなるプラスチック容器が市場に出されているが、下記
に述べるような問題点があり、満足すべき食品包装用容
器としての性能が得られていないのが現状であった。
【0006】すなわち、このような多層構造体におい
て、EVOHは低湿度下では良好なガスバリヤー性を示
すが、特にボイル殺菌またはレトルト殺菌におけるよう
な熱と水分が同時に作用する、つまり高温、高湿度下で
使用する際には、水分が外層を経てEVOH層に浸入
し、このためEVOH層のガスバリヤー性が急激に低下
するという欠点が指摘されている。また、特にパウチや
ふた材などに代表される多層フィルムの形態において
は、加熱収縮による外観変化も大きな問題点であった。
【0007】このようなボイル殺菌またはレトルト殺菌
における水分の影響を小さくして、ガスバリヤー性が低
下するという欠点を改良するために、乾燥剤を配合した
保護層を設けた多層積層体が特開昭57−170748
号および特公昭62−6508号などに記載されてい
る。しかしながら、該処理によりこの保護層に浸入した
水分はガスバリヤー層に接するため、一度吸着した水分
がガスバリヤー層に移行し、ガスバリヤー層の機能が低
下する不安があった。
【0008】また、特開平1−253442号には、E
VOHとポリアミド系樹脂からなる組成物を中間層に
し、高透湿性樹脂(例えばポリアミド)を外層に、低透
湿性樹脂(例えばポリプロピレン)を内層とする多層包
装体の記載があり、上記殺菌処理の用途に一定の効果が
あるものの、ガスバリヤー性は今だ充分でなく、EVO
Hとポリアミド系樹脂からなる組成物からなるフィルム
は加熱時の寸法変化が大きく、多層包装体の外観変化を
悪化させるといった問題点がある。
【0009】またタルクなどの無機物を配合したEVO
H層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を設けた多層容
器は特開昭61−242841号に記載されているが、
ここに記載されているような方法によっては、ボイル殺
菌またはレトルト殺菌後の保存性の優れた包装体を得る
ことはかならずしも容易ではない。
【0010】ところで、タルクを含有したEVOHは、
例えば特公昭51−21822や特開昭62−1439
80でEVOHにタルクを配合した組成物として開示さ
れ公知であるが、本発明に示すように該組成物を1層と
する多層積層体から食品包装用密封容器を得、続いてこ
れを熱と水分が同時に作用する条件下で処理して得られ
る食品包装体という技術的思想は開示されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点のうち、ボイル殺菌またはレトルト殺菌後の
包装体の外観の悪化を防ぎ、さらにガスバリヤー性の劣
化を最小限に抑制するものである。しかして、本発明の
目的はEVOHフィルム、特に耐湿性熱可塑性樹脂を内
外層としEVOH層を中間層とする多層フィルムおよび
このフィルムよりなる包装材に内容物を充填し、密封包
装体とし、続いてこれをボイル殺菌またはレトルト殺菌
した、保存性、熱収縮性および外観の改良された包装
体、特に食品包装体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、EVOHと無機フィラーからなり、かつ無
機フィラーの分散状態を特定した、しかも下記(I)を
満足する樹脂組成物を中間層とし、耐湿性熱可塑性樹脂
の内外層を有する多層包装体を使用して密封容器とし、
続いてこれを熱と水分が同時に作用する条件下で殺菌処
理して得られた食品包装体は内容物の変質がなく、ま
た、殺菌処理後の多層包装体の外観が改良され、優れた
食品包装体であることを見出した。
【0013】すなわち、本発明はエチレン−ビニルアル
コール系共重合体50〜95重量%と無機フィラー50
〜5重量%とからなる樹脂組成物の層からなり、前記層
における前記共重合体中に無機フィラーの実質的に二次
元の薄い層が前記層の層面方向に平行に積層している領
域が多数含まれ、かつ該領域中の無機フィラーの重量平
均フレーク径が30μ以下であり、重量平均アスペクト
比が3以上であり、さらに前記層の透湿度が下記(I)
式を満足し、さらに寸法変化率(空気中で、融点−40
℃、60分処理後に測定した値)が−2.5%〜+2.
5%であるフィルム、および前記樹脂組成物の層を中間
層とし、耐湿性熱可塑性樹脂を該中間層の内外層に有す
る多層フィルム、および該フィルムまたは多層フィルム
よりなる包装容器および該包装容器に内容物を充填した
包装体である。 ここで、Wは温度40℃、相対湿度90%における透湿
度(g・30μ/m2・day)、Eは前記フィルムま
たは中間層樹脂における前記共重合体のエチレン成分の
含有量(モル%)、Ai(i=0〜5)は下記で与えら
れる定数である。またEiはEのi乗であることを示
す。 A0= 1.105×1031=−8.150×10 A2= 2.420 A3=−3.535×10-24= 2.530×10-45=−7.091×10-7
【0014】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
に使用されるフィルムまたは中間層を形成する成分の1
つであるEVOHはエチレン−ビニルエステル系共重合
体けん化物であり、エチレン含量は20〜60モル%で
あることが好適であり、好ましくは25〜55モル%で
ある。エチレン含量が20モル%より小さいと、耐水
性、耐湿性が低下するとともに、高湿度下のガスバリヤ
ー性が損なわれ、耐ストレスクラッキング性が低下し、
また良好な溶融加工特性の保持も困難になる。一方、6
0モル%より大きいと、耐水性、耐湿性は改善されるも
のの、本来の優れたガスバリヤー性が悪くなる。いずれ
にしても包装用等の材料としては不適切になる。ビニル
エステル成分のけん化度は95モル%以上であることが
必要であり、好ましくは98モル%である。けん化度が
95モル%未満では熱安定性が悪くなり、溶融加工時に
ゲルが発生しやすい欠点が生じ、またガスバリヤー性、
耐油性も低下し、EVOH本来の特性を保持し得なくな
り、本発明の効果を享受し難くなる。ここにビニルエス
テルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられ
るが、他のビニルエステル、例えば低級または高級脂肪
酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビ
ニルなど)を使用することができる。また前記ビニルエ
ステルは1種以上用いてもよいし、2種以上を用いるこ
ともできる。
【0015】本発明において、EVOHとして、エチレ
ン含量20〜60モル%、けん化度95モル%以上で、
かつビニルシラン含量0.0001〜0.5モル%のケ
イ素含有EVOHが、本発明の目的に対してより満足に
使用できる。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和モノ
マーとしては、特開昭61−290046号等に開示さ
れているような、従来公知のモノマーが使用できる。た
とえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、ビニルトリプロピオニロキシシラン
等が挙げられる。該ケイ素含有量はそれぞれの目的に応
じて選定されるが、0.0001〜0.5モル%、特に
0.001〜0.1モル%の範囲が好適である。
【0016】また、EVOHのメルトインデックス(A
STM D1238 65Tに準じて、温度190℃、
荷重2160gの条件で測定した測定した値;以下MI
と記す)は、特に制限はないが、0.1〜50g/10
分である。さらに、本発明にいうEVOHは、本発明の
目的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性
されていてもよく、変性用モノマーとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マ
レイン酸、フタル酸、イタコン酸、高級脂肪酸ビニルエ
ステル、アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリド
ン、N−ノルマルブトキシメチルアクリルアミド、N−
(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類ある
いはその4級化物、N−ビニルイミダゾールあるいはそ
の4級化物を例示することができる。
【0017】次に、本発明で用いられるフィルムまたは
中間層を形成するもう一方の成分である無機フィラーに
ついて説明する。無機フィラーとしては重量平均フレー
ク径が30μ以下の粒径であり、3以上の重量平均アス
ペクト比を有していることが重要である。重量平均フレ
ーク径が30μより大きくなるとEVOHとのブレンド
性およびブレンド後の成膜性が悪くなり、アスペクト比
が3より小さいと改質効果が十分でなくなる。なお、上
記した無機フィラーの重量平均フレーク径およびアスペ
クト比は、EVOHに混合する前の原料無機フィラーの
値と多層包装体中に存在する無機フィラーの値とはほと
んど差のないことが走査型電子顕微鏡により確認されて
いる。
【0018】したがって本発明において無機フィラーの
重量平均フレーク径および重量平均アスペクト比とは、
EVOHに混練する前の無機フィラーの値であるかまた
は多層包装体中に存在する無機フィラーの値を意味す
る。無機フィラーの重量平均フレーク径は好適には15
μ以下、さらに好適には5μ以下である。下限値につい
てはとくに限定されないが、好適には0.5μ、さらに
好適には1μである。重量平均アスペクト比については
好適には5以上、さらに好適には10以上である。上限
値についてはとくに限定されない。
【0019】本発明における重量平均フレーク径とは粉
体(ここでは無機フィラーのこと)を各種の目開きのマ
イクロシーブまたはフルイで分級し、その結果をRos
in−Rammlar線図にプロットし、測定に供した
粉体の全重量の50重量%が通過するマイクロシーブま
たはフルイの目開きL50に相当する値である。すなわち
粉体の重量平均フレーク径Lとは(II)または(III)
式で定義される。 L=L50(マイクロシーブの場合) (II) L=21/2・L50(フルイの場合) (III) ここで、粉体のうち粒度の大きい部分についてはフルイ
よって分級されるものであり、粒度の細かい部分につい
てはマイクロシーブによって分級されるものである。
【0020】一方、本発明における粉体の重量平均アス
ペクト比αとは重量平均フレーク径Lと、以下の方法に
より測定される粉体の重量平均フレーク厚さdより(I
V)式を用いて算出される値である。 α=L/d (IV)
【0021】(IV)式における粉体の重量平均フレーク
厚さdは、C.E.Capesらの報告による水面単粒
子膜法{C.E.Capes and R.C.Col
eman.Ind.Eng.Chem.Funda
m.,Vol.12,No.1,p.124−126
(1973)}により測定されるフレークの水面での占
有面積Sを用いて(V)式より算出される値である。 d=W/(ρ(1−ε)・S) (V)
【0022】ここでWは測定に供した粉体の重量、ρは
粉体の比重、(1−ε)は粉体が水面上で最密充填状態
をとった場合の占有率であり、粉体については一般に
0.9を計算に際して用いた。
【0023】本発明において無機フィラーとしては、タ
ルク、クレー、セリサイト、ガラスフレーク、マイカな
どがあげられるが、このうちタルク、クレーが耐衝撃
性、熱成形性の点で好適である。
【0024】フィルムまたは中間層を形成する該樹脂組
成物における配合割合としては、該EVOH50〜95
重量%に対し、該無機フィラー50〜5重量%の範囲、
とくに50〜15重量%、とりわけ40〜20重量%の
範囲から選ばれる。該無機フィラーの添加量が50重量
%を越えると溶融時の流動性、ブレンド物の成形性およ
び強度が低下し、製膜性も低下し、また5重量%未満で
は改質効果、すなわち内容物の保存性や熱と水分が同時
に作用する条件下での殺菌処理後の該組成物を中間層と
する多層包装体の外観維持に対する効果が十分でなくな
る。
【0025】本発明の該EVOH50〜95重量%およ
び該無機フィラー50〜5重量%からなる該組成物はフ
ィルムまたは中間層として使用されるが、この包装体の
ほぼ全域にわたりEVOH中に無機フィラーが凝集せ
ず、実質的に二次元の薄い層が中間層の層面方向に平行
に積層している領域が多数含まれるような分散構造を有
することが、とくに本発明の重要な要件の1つであり、
この特徴は走査型電子顕微鏡による観察から判定され得
る。また、該領域が多数含まれるとは、該領域がフィル
ムまたは中間層中の層面あるいは厚み方向に対し、一箇
所のみでなく少なくとも複数箇所にわたって存在するこ
とを意味している。
【0026】次にフィルムまたは中間層を形成する該樹
脂組成物を得る方法について述べる。EVOH中に無機
フィラーが凝集することなく均一に分散し、かつ実質的
に二次元の薄い層となり、中間層の層面方向に平行に積
層して存在するようにするためには、該樹脂組成物の混
練操作はきわめて重要である。EVOHと無機フィラー
(とくにタルク)をEVOHの融点以上で溶融混練する
方法(溶融混練法)がまずあげられ、この方法としては
EVOHの粉末状物、ペレット状物と無機フィラーを通
常の混合機、たとえばヘンシェルミキサー、スーパーミ
キサー中で混合するか、またはEVOH溶融物に無機フ
ィラーを混合してマスターペレットをつくり、これをE
VOHの粉末状物、ペレット状物、溶融物に混合し、次
にこの混合物を、EVOHの融点以上で混練する方法が
あげられる。EVOHと無機フィラーを前記のように予
め混合することなく、EVOHと無機フィラーを直接混
練機に導入して混練することもできる。無機フィラーの
凝集体のない、高度な分散を有する組成物を得るための
混練機としては、連続式インテンシブミキサー、ニーデ
イングタイプ二軸押出機(同方向、あるいは異方向)な
どの連続型混練機が最適であるが、バンバリーミキサ
ー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ
型混練機を用いることもできる。
【0027】この中で、本発明の目的に最も好ましいも
のとしては連続式インテンシブミキサーをあげることが
できる。市販されている機種としてはFarrel社製
FCM(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸製
鋼所KCM、NCM、LCMあるいはACM等がある。
実際にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有し、押出
ペレット化を同時に実施する装置が望ましい。また、ニ
ーディングディスクあるいは混練用ロータを有する二軸
混練押出機、例えば(株)日本製鋼所のTEX、Wer
ner & Pfleiderer社のZSK、東芝機
械(株)のTEM、池貝鉄鋼(株)のPCMも本発明の
混練の目的に用いられる。
【0028】これらの連続型混練機を使用するにあたっ
ては、ロータ、ディスクの形状が重要な役割を果たす。
特にミキシングチャンバとローターチップあるいはディ
スクチップとの間隙(クリアランス)は重要で、チップ
クリアランスとしては1〜5mmが最適である。また、
本発明の良好な分散性を有する組成物を得るためには混
練機の比エネルギーとして0.05KWh/Kg以上、
望ましくは0.1〜0.8KWh/Kg混練することが
必要であることが判明した。
【0029】比エネルギーは混練に使用されるエネルギ
ー(消費電力量;KW)を1時間あたりの混練処理量で
除して求められるものであり、その単位はKWh/Kg
である。比エネルギーが通常の混練で採用される値より
高い値で混練することが本発明の組成物を得るためには
必要であり、比エネルギー0.05KWh/Kg以上と
するためには、単に混練機の回転数をあげるだけでは不
十分で、混練中の組成物をジャケットなどにより冷却し
て温度を下げ、粘度を上昇させることが好ましい。混練
温度は混練部の出口の排出樹脂温度でEVOHの融点〜
融点+80℃の範囲、より好適には融点〜融点+60℃
の範囲である。また、混練機のローターの回転数は50
〜1200rpm、好ましくは100〜1200rpm
である。混練機チャンバ内径は20mm以上、好ましく
は30mm以上のものが挙げられる。また、内外層を形
成する樹脂に無機フィラー(タルクなど)を配合する際
も、この溶融混練法を実施することができる。
【0030】フィルムまたは中間層を形成する該樹脂組
成物を得るもう一つの方法は、EVOHと無機フィラー
をメチルアルコール/水、n−プロピルアルコール/水
系などのEVOHの溶剤を使用して配合する方法(溶剤
法)である。配合の順番としてはEVOHが溶解した溶
液に無機フィラーを添加する方法、あるいはその逆に無
機フィラーが分散した溶剤にEVOHを添加・溶解する
方法、または同時に添加する方法いずれの方法でも構わ
ない。配合後は日本特許725,520号に開示された
ストランド状に析出させ、無機フィラーが配合されたE
VOHを分離する方法が好適に用いられる。析出単離後
は、必要に応じ公知の方法で水洗、酸処理等の処理を行
い、次いで乾燥を行う。また溶剤法に準じるが、EVO
Hを得る前のけん化の工程段階で無機フィラー(タルク
など)を添加しても構わない。
【0031】フィルムまたは中間層を形成する該樹脂組
成物を得る際には、可塑剤、滑材、酸化防止剤、着色
剤、紫外線吸収剤などあるいは他のポリマーを本発明の
作用効果が損なわれない範囲で添加しても差し支えな
い。
【0032】次に、本発明中において重要なことは、本
発明のフィルムまたは中間層の透湿度が前記(I)式、
好適には下記(I')式、さらに好適には下記(I")式
を満足することである。上記方法で得られた該EVOH
組成物を中間層として使用して得た多層包装体は、所望
の改善効果があるものの必ずしも充分でない場合があ
る。そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、EVOH
として、透湿度がこのように小さい該樹脂組成物からな
るフィルムまたは中間層は、ボイル殺菌およびレトルト
殺菌処理のような高温、高湿下で使用され、EVOHの
ガスバリヤー性が低下する場合に特に有用であることを
見出した。 ここで、Wは温度40℃、相対湿度90%における透湿
度(g・30μ/m2・day)、Eはフィルムまたは
中間層樹脂におけるエチレン−ビニルアルコール系共重
合体のエチレン成分の含有量(モル%)、Bi(i=0
〜5)およびCi(i=0〜5)は下記で与えられる定
数である。なお、透湿度はJIS Z 0208に従っ
て測定した。また、EiはEのi乗であることを示す。 B0= 9.100×1021=−6.712×10 B2= 1.993 B3=−2.911×10-24= 2.083×10-45=−5.840×10-70= 6.000×1021=−4.193×10 C2= 1.188 C3=−1.667×10-24= 1.156×10-45=−3.163×10-7
【0033】本発明においてこのような透湿度を付与す
る方法としては、たとえばEVOH中にりん酸根(PO
4 -3)を5〜500ppm存在する方法があげられる。
ここでりん酸根を有する化合物としては、りん酸、りん
酸ソーダ、りん酸二水素ナトリウム、りん酸一水素ジナ
トリウムなどがあげられる。りん酸根の存在量としては
5ppm以上が好ましく、また500ppm以下が好ま
しい。
【0034】さらに、本発明において重要なことは、フ
ィルムまたは中間層の縦方向および横方向の両方の加熱
時寸法変化率(空気中で、融点−40℃,60分下で測
定した値)がともに−2.5%〜+2.5%の範囲内で
あることである。加熱時寸法変化率がこれらの値より大
きくても小さくても、得られた多層包装体はボイル殺菌
およびレトルト殺菌処理のような高温下の使用の際、E
VOHが変形(しわ、たるみ、ねじれなど)し、多層包
装体の外観が悪化する。本発明者らは鋭意検討した結
果、メカニズムについては十分明らかではないが、該樹
脂組成物からなる中間層の加熱時寸法変化率が上記範囲
内となるとき、ボイル殺菌およびレトルト殺菌処理のよ
うな高温で使用される多層包装体の外観の悪化防止に極
めて有用であることを見出した。なお、加熱時の寸法変
化率は10cm角のフィルムの中央の縦方向および横方
向の、空気中で、融点−40℃で60分の加熱処理によ
る長さ変化から下記(VI)式により算出される値であ
る。なお、ここで縦方向および横方向とはそれぞれフィ
ルムの製膜方向(しばしばMDと表現される)および製
膜方向に直角の方向(しばしばTDと表現される)であ
る。 J=(M−N)/N・100 (VI)
【0035】ここで、Jは空気中で、融点−40℃で6
0分下で加熱処理したときの寸法変化率(%)、Mは加
熱後のフィルムの中央の縦方向または横方向の長さ(c
m)、Nは加熱前のフィルムの中央の縦方向または横方
向の長さ(cm)であり、(VI)式の計算にあたり、M
が縦方向の長さのときはNも縦方向の長さ、Mが横方向
の長さのときはNも横方向の長さとする。また、融点は
DSC測定(昇温速度10℃/分)におけるEVOH組
成物のEVOHの融解吸熱ピーク温度(℃)である。
【0036】このような寸法変化率を付与するフィルム
の製造方法としては、以下の方法があげられる。本発明
に用いられる樹脂組成物は、樹脂組成物ペレットをスク
リューまたはプランジャーを使用した押出成形機よりT
ダイまたはリングダイにより溶融押出して成形しうる。
このさい、該樹脂組成物は吸湿性が高く、水分率が0.
5%以上の場合はそのまま押出成形を実施すると発泡し
良好なフィルムを得られない。発泡しない良好なフィル
ムを得るには、好ましくは水分率が0.25%以下に乾
燥することが望ましく、このためには樹脂組成物ペレッ
トを90〜120℃で乾燥し、続いて乾燥ペレットを窒
素置換したホッパーから押出に供給する。押出成形温度
としては、該樹脂組成物のEVOHの融点に合わせて決
める必要がある。EVOHの融点は、そのエチレン含量
とけん化度に大きく依存し、エチレン含量が小さいほど
およびけん化度が高いほどEVOHの融点は高くなる
が、成形温度としては融点より20〜120℃高温の温
度設定、好ましくは30〜70℃である。成形温度が低
すぎると、該樹脂組成物の溶融が不均一になりブツ状物
が生成し、また溶融粘度が上昇しスクリューにかかる負
荷が増大し好ましくない。一方成形温度が高すぎると、
該樹脂組成物のEVOHの熱安定性が低下し、熱劣化に
よるゲル化、スクリュー部分のコゲの発生による押出運
転時間の低下を引き起こし好ましくない。該樹脂組成物
の溶解物は前記したTダイまたはリングダイにより溶融
押出し、続いて冷却用ロールまたは冷却リングなどによ
り冷却して、本発明のフィルムが得られる。冷却の際の
温度としては40〜100℃、好ましくは50〜95℃
である。冷却後のフィルムは熱処理を施しても構わな
い。
【0037】本発明に用いられる樹脂組成物には、本発
明の目的が阻害されない範囲において他の熱可塑性樹
脂、充填剤、可塑剤、滑材、乾燥剤、酸化防止剤、熱安
定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを配合することは自由
である。特に、ゲル化発生防止対策として、ハイドロタ
ルサイト系化合物、ステアリン酸カルシウムなどの高級
脂肪酸の金属塩、酢酸マグネシウム、ヒンダーフェノー
ル系、ヒンダーアミン系熱安定剤の一種または二種を添
加することは好適である。また、乾燥剤を配合すること
が好ましい場合があり、ここで乾燥剤としては、水和物
形成性の塩類、すなわち結晶水として水分を吸収する塩
類、とりわけリン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウ
ム、リン酸三ナトリウム、リン酸三リチウム、ピロリン
酸ナトリウム等のリン酸塩、その無水物、そのほかの水
和物形成性の塩類(たとえばホウ酸ナトリウム、硫酸ナ
トリウムなどの塩類、その無水物)、そのほかの吸湿性
化合物(たとえば塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、砂
糖、シリカゲル)、高吸水性樹脂などがあげられる。
【0038】本発明においては、前記フィルムを単層で
用いることもできるが、該層を中間層とし、この内外層
に耐湿性熱可塑性樹脂を有する多層フィルムとして用い
ることが、ボイル殺菌またはレトルト殺菌用包装材料と
してより効果的である。以下この多層フィルムについて
述べる。
【0039】耐湿性熱可塑性樹脂からなる内外層を形成
する樹脂としては、疎水性樹脂、とくにポリオレフィン
系樹脂が代表的なものとしてあげられる。ポリオレフィ
ン系樹脂としては、高密度、中密度あるいは低密度のポ
リエチレン、高密度、中密度あるいは低密度のポリプロ
ピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、あるいはブ
テン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−
オレフィン類を共重合したポリエチレン、アイオノマー
樹脂、エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、
あるいはエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロピレ
ン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテ
ン、あるいは上述のポリオレフィンに無水マレイン酸な
どを作用させた変性ポリオレフィンなどを含んでいる。
この中でポリプロピレン(PP)類が本発明の目的に最
も適している。
【0040】さらに内外層を形成する樹脂としては、ポ
リ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタ
レート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エ
チレンテレフタレート/イソフタレート)などに代表さ
れるポリエステル系樹脂やポリスチレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体など
のポリスチレン系樹脂またはポリカーボネート系樹脂な
どがあげられる。 また、上記した内外層を形成する樹
脂は内外層とも同一でも良いし、異なっていても構わな
い。さらに、これらの層を形成する樹脂には、成形性が
損なわれない範囲で上述した該タルクを配合しても構わ
ない。
【0041】本発明の多層フィルムは従来公知の共押出
法、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出ラ
ミネート法などの各種の積層方法によって製造可能であ
る。本発明の多層包装体の一部の層を共押出法によって
作成する場合には中間層と内外層は接着性樹脂の層をは
さんで積層する通常の方法が採用される。接着性樹脂と
しては、実用段階でデラミネーションを起こさないもの
であればよく、特に限定はされないが、不飽和カルボン
酸またはその無水物をオレフィン系重合体(例えばポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフ
ィン、オレフィンを主体とする共重合体)に化学的に
(例えば付加反応、グラフト反応)結合させて得られ
る、カルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体
が挙げられる。具体的には無水マレイン酸グラフト変性
ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピ
レン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルア
クリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチ
レン−酢酸ビニル共重合体から選ばれた1種または2種
の混合物が好適なものとして挙げられる。またこれらの
接着性樹脂にはEVOHを本発明の効果が損なわれない
範囲で混合することも可能である。共押出法において耐
湿性熱可塑性樹脂のからなる内外層には、本発明の多層
容器を製造する際に発生するスクラップを原料として使
用することもできる。また、スクラップを内外層とは独
立した層として使用することもできる。ドライラミネー
ト法を採用する場合は外層、中間層および内層の3種あ
るいはそれ以上のフィルムを張り合わせる方法が一般的
であり、ドライラミネート用接着剤としては層間接着力
が充分であれば特に限定されるものではない。
【0042】本発明のフィルム、多層フィルム、包装
材、とりわけボイル殺菌またはレトルト殺菌用の包装材
として使用した時、最もその特徴が発揮される。フィル
ム包装材の用途としてはふた材、パウチ類、真空包装、
スキンパック、深絞り包装、ロケット包装などがあげら
れる。ふた材はガスバリヤー材を主体とした容器にヒー
トシール法によりシール密封する方法が好適である。本
発明のふた材は高度の保有性を有すると同時に、加熱時
寸法変化が小さく、収縮応力が小さくなり、ボイル殺菌
やレトルト殺菌処理の際の容器の変形がないという極め
て好ましいを長所を有する。パウチ類は三方シール、四
方シール、ピロー、ガゼット、スタンディングパウチな
どの形態で使用される。またバッグインボックスの形で
使用することもできる。
【0043】本発明のフィルムまたは中間層の厚さは8
μ〜60μが好適であり、さらに好適には10μ〜40
μである。また内外層の耐湿性熱可塑性樹脂の層の厚み
はそれぞれ10μ〜250μが好適であり、さらに好適
には20μ〜100μである。多層フィルムの全厚みは
それぞれ30μ〜600μが好適であり、さらに好適に
は50μ〜250μである。
【0044】本発明の包装材をふた材、パウチ類の形で
使用した容器はボイル殺菌やレトルト殺菌処理される
が、これらの処理方法としては公知の熱水加熱処理方法
および条件を採用することができる。レトルト処理は回
収式、置換式、シャワー式、スプレー式等の各種方法が
採用される。
【0045】上述した本発明の包装材に内容物、特に食
品を充填後、必要に応じ公知の手段で内部を脱気状態に
して、あるいは窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスで
内部を置換した後に熱シールなどの手段で密封し、続い
て、例えば100℃以下のいわゆるボイル処理あるいは
100℃を越える温度条件下、とりわけ105〜135
℃で実施されるレトルト処理のような熱水または蒸気
(特に高温、高圧蒸気滅菌)で殺菌処理され、包装体を
得ることができる。
【0046】充填される内容物としては食品が主にあげ
られる。ここで食品としては、そのまま喫食されるか、
喫食に先だって加温されるような調理済みまたは半調理
の食品が適している。次に殺菌食品類の例を示す。調理
済みカレー、調理済みハヤシ、ビーフシチュウ、ボルシ
チ、ミートソース、酢豚、すき焼き、中華あん、八宝
菜、肉じゃが、おでん、アスパラガスゆで煮、スイート
コーン、マッシュルーム、ツナクリーム煮、コンソメ、
ポタージュ等の各種スープ類、味噌汁、豚汁、けんちん
汁、米飯、釜飯、炒飯、ピラフ、粥類、スパゲッティ、
そば、うどん、ラーメン、ヌードル、釜飯の素、中華そ
ばの素などの添加用食品類、ゆであずき、ぜんざい、あ
んみつ、肉団子、ハンバーグ、ビーフステーキ、ロース
トポーク、ポークソテー、コンビーフ、ハム、ソーセー
ジ、焼魚、焼肉、焼鳥、ローストチキン、ポークケチャ
ップ、魚肉くんせい、ベーコン、かまぼこ、プリン、ゼ
リー、ようかん、各種ペットフード類などがあげられ
る。以下実施例により本発明を更に具体的に説明する
が、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではな
い。なお、部は重量部を意味している。
【0047】
【実施例】
実施例1 エチレン含量31モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が
99.5モル%、MIが1.6g/10分のEVOHの
粉体80部と、重量平均フレーク径が3μ、重量平均ア
スペクト比が15のタルク粉体20部をヘンシエルミキ
サー内で予備混合後、高速混合を実施して混合体を得
た。引続き内径30mmのミキシングチャンバで、ミキ
シングロータを二段有し、二個のロータ間に脱気機構を
有する二段二軸異方向連続押出機とこれに連結させた一
軸押出機を使用して混練押出ペレット化を実施して組成
物のペレットを得た。この時採用したミキシングロータ
はミキシングチャンバとのチップクリアランスが3mm
のものであり、混練温度(出口温度)は205〜230
℃、ローター回転数は300〜450rpmおよび比エ
ネルギー0.1〜0.3KWh/Kgの範囲で実施し
た。
【0048】上記組成物について、実質的に無水の状態
とし、メトラー社DSC30を使用して融点Tmの測定
(昇温速度10℃/分)を行った。結果を表1に示す。
ついで該ブレンドペレットを105℃で乾燥した後(水
分率は0.2%であった)、径40mmのフルフライト
型スクリューと500mm幅のコートハンガーダイ(温
度230℃)を有する押出機および表面温度90℃のキ
ャスティングロール(冷却ロール)を用いて製膜を実施
し、厚さ30μの組成物の無延伸フィルム(f)を得
た。このフィルムから製膜方向(縦方向)とそれに直角
な方向(横方向)を辺とする10cm角のフィルム片を
切り出し、融点−40℃で60分熱処理し、処理前後の
縦方向・横方向の長さ変化から加熱時寸法変化を求め
た。結果を表1に示す。またこのフィルム(f)につい
て、JIS Z 0208に従って40℃、90%RH
の条件で透湿度を測定した。また、該EVOH層を0.
1規定の硝酸水溶液中でかく拌下95℃、3時間加熱
し、そのろ液中のりん酸根をイオンクロマトグラフィー
で測定した。これらの結果を表1に併せて示す。
【0049】次に、このフィルム(f)を中間層に用
い、内外層にポリプロピレンフィルム(厚さ100μ)
を使用し、ドライラミネートを実施し、3層の多層フィ
ルムを得た。ドライラミネート用接着剤としてはタケラ
ックA−385(武田薬品工業(株)製)を主剤にタケ
ネートA−10(武田薬品工業(株)製)を硬化剤とし
て使用した。接着剤の塗布量は4.0g/m2であっ
た。ラミネート後、40℃、3日間養生を実施した。こ
のフィルムを内寸15cm角の四方シールしたパウチと
した。内容物は水とした。これをレトルト装置((株)
日阪製作所製、高温高圧調理殺菌試験機RCS−40R
TGN)を使用し、95℃、30分の殺菌処理を実施し
た。殺菌処理後のパウチは特に外観、形態に不良は認め
られなかった。
【0050】また、パウチの中間層を電気炉で焼成して
得たタルクの形態(重量平均フレーク径、重量平均アス
ペクト比)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、混合
前のものとほどんど差異が認められなかった。また、パ
ウチの任意の数箇所切取りその断面の中間層を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、タルクは凝集しておらず、
またタルクの薄い層が中間層フィルム面にほぼ平行に積
層しており、また積層している領域も多数見られ、さら
にまたタルクの分散性(酸素ガスの透過性の低下に作用
していると推定している)は良好であった。以上の結果
は表1に示す。
【0051】実施例2〜3 EVOHとタルクのブレンド割合を、表1に示す割合で
変えた以外は実施例1と同様にしてフィルムおよびこの
フィルムを中間層とするパウチを作成し、同様の測定を
実施した。結果を表1に示す。
【0052】実施例4 エチレン含量31モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が
99.5モル%、ビニルトリメトキシシラン0.027
モル%、MIが1.6g/10分のEVOHを使用した
以外は、実施例1と同様にしてフィルムおよびこのフィ
ルムを中間層とするパウチを作成し、同様の測定を実施
した。結果を表1に示す。
【0053】実施例5 タルクの重量平均フレーク径、重量平均アスペクト比
を、表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にし
てフィルムおよびこのフィルムを中間層とするバウチを
作成し、同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
【0054】比較例1 実施例1において、タルクをブレンドせず、エチレン含
量31モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が99.5モ
ル%、MIが1.6g/10分のEVOH単独を使用し
た以外は実施例1と同様にしてフィルムおよびこのフィ
ルムを中間層とするパウチを作成し、同様の測定を実施
した。加熱時寸法変化が大きく、殺菌処理後の外観も悪
化した。結果を表1に示す。
【0055】比較例2 エチレン含量31モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が
90.0モル%、MIが8.5g/10分のEVOHを
使用した以外は、実施例1と同様の測定を実施しようと
したが、組成物の製膜の際ゲル、ブツが多発し、各種評
価ができなかった。結果を表1に示す。
【0056】比較例3 エチレン含量17モル%、酢酸ビニル成分のけん化度が
99.5モル%、210℃で測定したMIが7.5g/
10分のEVOHを使用し、実施例1と同様にしてフィ
ルムおよびこのフィルムを中間層とするパウチを作成
し、同様の測定を実施した。タルクの分散性が低下し、
耐湿性が劣るためか、殺菌処理後の外観も悪化した。結
果を表1に示す。
【0057】比較例4 EVOHとタルクのブレンド割合を、表1に示す割合で
変えた以外は実施例1と同様にしてフィルムおよびこの
フィルムを中間層とするパウチを作成し、同様の測定を
実施した。単層フィルムの外観、タルクの分散性(一部
タルクの凝集が見られた)、殺菌処理後の外観とも劣っ
ていた。結果を表1に示す。
【0058】比較例5 EVOHのタルクのブレンド割合を、表1に示す割合で
変えた以外は実施例1と同様にしてテストを実施しよう
としたが、溶融時の流動性が悪く、混練が困難でありE
VOHとタルクのブレンドペレット化が出来なかった。
結果を表1に示す。
【0059】比較例6 EVOHとして純水で充分洗浄したものを使用した以外
は、実施例1と同様にしてフィルムおよびこのフィルム
を中間層とするパウチを作成し、同様の測定を実施し
た。透湿度が大きく、殺菌処理後の外観も劣っていた。
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明のフィルム、または多層フィルム
よりなる包装材に食品を充填、密封した後、ボイル殺菌
やレトルト殺菌など熱と水分が同時に作用する条件下で
殺菌処理して得られた食品包装体は、殺菌処理後の外観
がすぐれている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B32B 27/28 C08L 23/08 C08L 29/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体
    50〜95重量%と無機フィラー50〜5重量%とから
    なる樹脂組成物の層からなり、前記層における前記共重
    合体中に無機フィラーの実質的に二次元の薄い層が前記
    層の層面方向に平行に積層している領域が多数含まれ、
    かつ該領域中の無機フィラーの重量平均フレーク径が3
    0μ以下であり、重量平均アスペクト比が3以上であ
    り、さらに前記層の透湿度が下記(I)式を満足し、さ
    らに寸法変化率(空気中で、融点−40℃、60分処理
    後に測定した値)が−2.5%〜+2.5%である単層
    フィルム。 ここで、Wは温度40℃、相対湿度90%における透湿
    度(g・30μ/m2・day)、Eは前記フィルム層
    樹脂における前記共重合体のエチレン成分の含有量(モ
    ル%)、Ai(i=0〜5)は下記で与えられる定数で
    ある。 A0=1.105×1031=−8.150×10 A2=2.420 A3=−3.535×10-24=2.530×10-45=−7.091×10-7
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルムの層と耐湿性熱
    可塑性樹脂の層とを有する多層フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフィルムの層を中間層と
    し、耐湿性熱可塑性樹脂の層を該中間層の内外層に有す
    る多層フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の単層フィルムからなるボ
    イル殺菌用またはレトルト殺菌用単層フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項2または3に記載の多層フィルム
    からなるボイル殺菌用またはレトルト殺菌用多層フィル
    ム。
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