JP5259897B2 - 包装用フィルム - Google Patents

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本発明は、包装用フィルム、特に、ポリオレフィン系樹脂に充填剤として特定の球状シリカを配合した包装用フィルムに関するものである。
従来、ポリオレフィン系樹脂にゼオライト、シリカなどの無機フィラーを配合して耐ブロッキング性、滑り性を改良したポリオレフィン系フィルムが知られている。
発明が解決しようとする課題
上記従来の包装用フィルムでは、ポリオレフィン系樹脂にゼオライトを配合する場合、耐ブロッキング性を向上しようとするとフィラーを多く添加する必要があり、フィルムの生産性は著しく悪化する。また、ポリオレフィン系樹脂にシリカを配合する場合は、平均粒径0.5〜7μmのものを配合することが知られており、透明性、耐ブロッキング性、滑り性のよいフィルムが得られるが、シリカのタイプによってはフィルムの生産性が悪いという問題があった。
本発明は、上記従来の包装用フィルムの有する問題点を解決し、フィルム生産性が優れ、かつ、耐ブロッキング性、滑り性、透明性に優れた包装用フィルムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の包装用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に、見掛け比重1.15g/cm3以上、平均粒径7.5〜13μmの球状シリカを0.5〜1.5重量部配合した組成物からなることを特徴とする。
この場合において、ポリオレフィン系樹脂に、ポリエチレンを用いることができる。
上記の構成からなる本発明の包装用フィルムは、フィルム生産性が優れ、かつ、耐ブロッキング性、滑り性、透明性に優れている。
以下、本発明の包装用フィルムの実施の形態を説明する。
本発明の包装用フィルムにおいて用いるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1などの単独共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体などの共重合体あるいはこれらの混合物を挙げることができるが、なかでも、ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
本発明で用いるのに好ましい線状低密度ポリエチレンとしては、線状ポリエチレンであって、エチレンと、好ましくは0.2〜20モル%、より好ましくは1〜10モル%の炭素数3〜10のα−オレフィンの少なくとも1種とを液相法又は気相法で共重合させたものを挙げることができる。上記α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などが挙げられる。また、密度は通常0.91〜0.96程度であって、メルトフローレート(以下MFRと略称する)は通常1〜15g/10分、好ましくは4.0〜8.0g/10分程度である。また、融点は85〜135℃程度であるのが通常である。
また、上記線状低密度ポリエチレンの好ましいMFRの範囲は、1〜15g/10分(JIS K7210に準じた230℃での値)、特に好ましくは4〜8g/10分であり、また、低密度ポリエチレンの、好ましいMFRの範囲は0.3〜5.0g/10分である。これらのポリエチレンは、例えば、減圧処理などで脱臭処理したものを用いるのが好ましい。
また、本発明で用いるのに好ましい低密度ポリエチレンは密度が通常0.91〜0.93程度のポリエチレンであって、例えばエチレンを180〜200℃の高温、1000〜2000気圧の高圧でラジカル重合させて得ることができ、通常、側鎖が多く、結晶性は低い。
また、本発明に配合する球状シリカは、見掛け比重1.15g/cm3以上かつ平均粒径7.5〜13μmのものを用いる。見掛け比重が1.15g/cm3未満であると、得られたフィルムの透明性が低いばかりでなく、フィルムの生産性も低いものとなる。また、球状シリカの平均粒径が7.5μm未満のものは耐ブロッキング性を充分保持することができず、また、フィルムの滑り性も低くなる。また、平均粒径が13μmより大きい場合は耐ブロッキング性には優れるが、透明性が悪くなるため好ましくない。また、上記球状シリカの配合量は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり0.5〜1.5重量部、好ましくは0.8〜1.2重量部である。その量が0.5重量部未満ではフィルムの耐ブロッキング性が充分でなく、1.5重量部を超えるとフィルムの透明性が悪化するという問題を生ずる。
なお、球状シリカの粒度分布は狭いほど、フィルムの透明性が良くなり好ましい。粒度分布はレーザー回折散乱法にて、単位μmで表されるが、その分布が2.0μm〜20.0μmの範囲であるのが好ましい。
また、比表面積が大きいものはシリカの空洞部分が多く形が球状でないことを表している。この観点からは、比表面積は簡易表面積測定法にて、単位m2/gで表されるが、その値が0.70〜0.95の範囲であるのが好ましい。比表面積が1.0を超えるものはフィルムの生産性を悪化させる。
ポリオレフィン系樹脂に本発明において用いる球状シリカを配合する方法は、任意であって特に限定するものではないが、ヘンシェルミキサーやバンバリーミキサーなどを用いて混練した後、ペレット化する方法が好ましい。
なお、上記フィルムには熱安定剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤を配合するのがフィシュアイ防止、滑り性の付与という観点から好ましい。
本発明の包装用フィルムの層構成としては、ポリオレフィン系樹脂に特定の球状シリカを配合したフィルム単層でもよいが、上記フィルムを少なくとも一層に有する積層フィルムにすることで、さらに他の特性を付与できるという点で好ましい。
本発明の包装用フィルムを製造するには、例えば、Tダイを用いるTダイ成形法、円形ダイを用いるインフレーション成形法が採用できる。また、必要により共押出し成形法を用いる。Tダイ成形を行う場合には、ドラフト率を1〜10%、樹脂温度を150〜300℃に設定して冷却ドラム上に押出すことが好ましい。厚みは、包装用フィルムとして、通常5〜150μm、より一般的には15〜80μmの範囲である。包装用フィルムの厚みは、150μmを越えると、フレキシブル性の不足が問題となり、5μm未満であると実用強度が低く、包装物の破袋という問題が生じる。
本発明の包装用フィルムは無延伸フィルムとして単体で用いる他、他のフィルム層と積層して積層包装材料としての表層に積層して用いることができるので、この場合、ヒートシール性、滑り性、耐ブロッキング性、ラミネート性、ガスバリア性、耐衝撃性、表面保護性、機械的性質などに優れていることも好ましい。従って、本発明の包装用フィルムは単体構成としてもよいが、上記各性質を異なる層に分担させて積層包装材料として積層構造で構成することも好ましい。
本発明の包装用フィルムを他のフィルムと積層して積層包装材料を製造するために、他のフィルム層に積層する場合の層構成は特に限定されないが、本発明のフィルムはシーラントフィルムとして適しているので、本発明のフィルムに次のような基材層を積層した積層包装材料であるのが好ましい。
基材層としては、熱可塑性樹脂からなるフィルム又は金属蒸着フィルム、金属箔などを挙げることができる。熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやそれらの共重合体などに代表されるポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンに代表されるポリエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ポリメタキシレンアジパミドなどに代表されるポリアミド系樹脂、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニルやそれらの共重合体に代表されるビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などやセロファン、アセテートなどに代表されるセルロース系樹脂、さらにはポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、フッ素含有重合体その他の多くの樹脂の単体、共重合体、混合体、複合体などがあり、フィルムとして未延伸あるいは一軸又は直行する二軸方向に延伸された配向フィルムなどを挙げることができる。
なかでも、本発明の趣旨からは、基材層には耐熱寸法変化や機械的強度、さらには成形性や経済性などの面から二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどのフィルムである場合が好適である。
基材層の厚みは特に限定はされないが、通常は1〜250μmであり、積層包装材料としては3〜50μmである場合が特に好ましい。この基材層は、単体であっても複合された多層フィルムであってもよく、多層フィルムにおける複合方法や層数などは任意である。
本発明の包装用フィルムは、フィルム生産性が優れ、かつ、耐ブロッキング性、滑り性、透明性に優れた包装用フィルムであることから、包装用フィルム及び積層包装材料として広く用いることができる。例えば、食品包装材料として味噌、漬物、惣菜、ベビーフード、佃煮、こんにゃく、ちくわ、蒲鉾、水産加工品、ミートボール、ハンバーグ、ジンギスカン、ハム、ソーセージ、その他の畜肉加工品、茶、コーヒー、紅茶、鰹節、とろろ昆布、ポテトチップス、バターピーナッツなどの油菓子、米菓、ビスケット、クッキー、ケーキ、饅頭、カステラ、チーズ、バター、切り餅、スープ、ソース、ラーメン、わさびなど、あるいは練り歯磨きなどの包装に幅広く用いられ、さらにはペットフード、農薬、肥料、輸液パック、あるいは半導体や精密材料包装など、医療、電子、化学、機械などの産業用材料包装にも広く活用することができる。また、積層包装材料の使用形態にも特に制限がなく、袋、フタ材、カップ、チューブ、スタンディングパウチなどとして広く実用化できる。
以下、実施例を挙げて、本発明の内容及び効果を具体的に説明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例で採用した各種の特性値の測定はは次の方法によって行った。
(1)見掛け比重
試料5gを秤り、200mLのメスシリンダーに入れ、静置後の容量を測定した。
(2)平均粒径
試料を分散し、レーザー回折散乱法粒度分布測定器にて測定した。
(3)比表面積
試料0.10〜0.15gを簡易迅速表面積測定装置にて測定した。
(4)粒度分布
試料を分散し、レーザー回折散乱法粒度分布測定器にて測定した。
(5)フィルム生産性
溶融押出機中で150メッシュフィルターを用いてのフィルム連続生産において、24hr以上製膜異常をおこさなかったものを○、24hr未満に製膜異常があったものを×とした。
(6)耐ブロッキング性
ASTM−D−1893−67に準拠して測定した。
(7)滑り性
JIS−K−7125に準拠して測定した。
(8)透明性
JIS−K−7105に準拠して測定した。
(実施例1)
ポリエチレン(線状低密度ポリエチレン:LLDPE、密度0.923g/cm3、メルトインデックス4.0g/10分)100重量部に球状シリカ(見掛け比重1.15g/cm3、平均粒径9.6、比表面積0.88m2/g)1.0重量部を混合した組成物を溶融し、押出機でTダイから冷却ロール上に押出し、厚さ30μmの包装用フィルムを得た。上記フィルムはフィルム生産性が優れ、かつ、耐ブロッキング性、滑り性、透明性に優れていた。特性値を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、用いるシリカを見掛け比重0.94g/cm3、平均粒径4.0の球状シリカに変更した他は同様にして包装用フィルム(厚さ30μm)を得た。上記フィルムはフィルム生産性は良好なものの、耐ブロッキング性、滑り性が不良であった。なお、透明性は良好であった。フィルム特性値を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、用いるシリカを見掛け比重0.08g/cm3、平均粒径9.0、比表面積300m2/gの不定形シリカに変更した他は同様にして包装用フィルム(厚さ30μm)を得た。上記フィルムのフィルム生産性は悪かったが、一部得られたフィルムは、耐ブロッキング性、滑り性は良好であった。ただし、透明性は不足であった。フィルム特性値を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、用いるシリカを見掛け比重0.11g/cm3、平均粒径10.0、比表面積520m2/gの不定形シリカに変更した他は同様にして包装用フィルム(厚さ30μm)を得た。上記フィルムはフィルム生産性が悪かったが、耐ブロッキング性、滑り性は良好であった。ただし、透明性は不足であった。フィルム特性値を表1に示す。
Figure 0005259897
図1に示すように、本発明フィルムで用いる球状シリカはその粒径及び見掛け比重とも大きいものである。図中aは実施例1のシリカ、bは比較例1のシリカ、cは比較例2のシリカ、dは比較例3のシリカを示す。
発明の効果
本発明の包装用フィルムによれば、フィルム生産性が優れ、かつ、耐ブロッキング性、滑り性、透明性に優れている。
実施例1及び比較例1〜3で用いたシリカの粒径と見掛け比重との関係を示す図。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂100重量部に、見掛け比重1.15g/cm3以上、平均粒径7.5〜13μm、比表面積0.70〜0.95m 2 /gの球状シリカを0.5〜1.5重量部配合した組成物からなることを特徴とする包装用フィルム。
  2. ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載の包装用フィルム。
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