JP4207458B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卑金属からなる導電ペーストの塗布・焼付けにより外部電極が形成される積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、積層セラミック電子部品のコストを低減するために、NiやCuなどの卑金属を用いた内部電極を有する積層セラミック電子部品が種々提案されている。この種の積層セラミック電子部品の製造に際しては、卑金属からなる内部電極を有するセラミック焼結体を得た後に、該セラミック焼結体の外表面に導電ペーストの塗布・焼付けにより外部電極が形成される。外部電極材料として、Cuなどの卑金属を用いることにより、積層セラミック電子部品のコストをさらに低減することができる。Cuなどの卑金属含有導電ペーストを用いて外部電極を形成する方法は、より具体的には、以下の工程により行われていた。
【0003】
すなわち、先ず、Cuなどの卑金属粉末とバインダ樹脂とガラスフリットとを含む導電ペーストをセラミック焼結体の外表面に塗布する。しかる後、導電ペーストが塗布されたセラミック焼結体を炉内に配置し、昇温する。昇温により、先ず、バインダ樹脂が除去される脱バインダ工程が行われ、さらに昇温することにより、ガラスフリットが溶融し、しかる後、さらに昇温することにより、卑金属粉末が焼結する。次に、冷却することにより、外部電極が形成される。
【0004】
上記脱バインダ工程は、室温から500℃程度の温度範囲で行われ、上記ガラスフリットが溶融し、卑金属が液相拡散する液相拡散工程は、500℃から700℃の温度範囲である。
【0005】
ところで、脱バインダ及びガラスフリットの溶融を十分に起こさせるには、脱バインダ工程及び液相拡散工程における雰囲気の酸素濃度が高いことが望ましい。酸素濃度が低い場合には、脱バインダ及びガラスの溶融が不十分となり、外部電極を構成する卑金属粒子の液相拡散や固相拡散が生じ難くなり、緻密な外部電極を得ることができない。
【0006】
従って、従来、脱バインダ工程及び液相拡散工程では、ガラスバインダ及びガラスフリットの軟化を促進するのに十分な酸素濃度の雰囲気が用いられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内部電極や外部電極材料としてCuなどの卑金属を用いた場合、室温から約700℃までの昇温過程における酸素濃度を高くすると、外部電極や内部電極を構成する卑金属が酸化するおそれがあった。卑金属が酸化すると、所望とする導電性を得ることが困難となる。また、外部電極を構成する卑金属が酸化した場合、外部電極を構成する卑金属の固相拡散が阻害され、内部電極と外部電極との電気的接続不良が生じる恐れもあった。
【0008】
従って、卑金属を用いて構成された外部電極を有する積層セラミック電子部品の製造に際しては、脱バインダ及びガラスフリットの軟化を十分に促進するとともに、外部電極を構成する卑金属材料の酸化が生じ難いように、これらのバランスをとることが重要であった。
【0009】
しかしながら、現実には、上記バランスを十分にとることは困難であった。すなわち、炉内への積層セラミック電子部品の投入量などによって上記バランスが変動し易かった。その結果、得られた積層セラミック電子部品において内部電極と外部電極との接合不良がある程度の割合で生じがちであった。
【0010】
また、得られた積層セラミック電子部品において特性のばらつきが生じがちであった。さらに、かつ外部電極の緻密性が低下することにより、電極表面に湿式メッキによりメッキ膜を形成した場合、セラミック電子部品の劣化が生じがちであった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、卑金属からなる外部電極を導電ペーストの塗布・焼付けにより形成する工程を備え、しかも、導電ペースト中のバインダ樹脂の除去及びガラスフリットの軟化を十分に促進することができるとともに、卑金属の酸化に起因する接合不良や特性のばらつきが生じ難い、積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、卑金属を用いて構成された外部電極を有する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、卑金属を用いて構成された複数の内部電極を有し、前記複数の内部電極が外表面に引出されている、誘電体セラミックからなるセラミック焼結体を用意する工程と、前記セラミック焼結体の外表面に卑金属含有導電ペーストを付与し、焼付けることにより外部電極を形成する工程とを備え、前記外部電極を焼付けにより形成する工程が、室温〜500℃の温度範囲で、酸化性雰囲気において、導電ペースト中に含まれているバインダ樹脂を除去する脱脂ゾーンと、500〜700℃の温度範囲で、酸化性雰囲気において、導電ペースト中に含まれているガラスフリットが溶融し、卑金属が液相拡散する液相拡散ゾーンと、700〜800℃の温度範囲で、1.22×10 −15 MPaよりも還元側の雰囲気において、導電ペースト中に含まれている卑金属が焼結し、内部電極に固相拡散する焼結ゾーンと、前記焼結ゾーンに引き続いて行われ、500℃〜室温の温度範囲であり、前記セラミック焼結体を再酸化する冷却ゾーンを有ることを特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、上記焼結ゾーンを、内部電極を構成している卑金属及び外部電極を構成している卑金属の酸化−還元平衡酸素分圧よりも還元側の雰囲気で行うことを特徴とし、それによって、脱脂ゾーンや液相拡散ゾーンにおいて、脱バインダやガラスフリットの溶融を良好に行わせた結果、内部電極及び外部電極を構成する卑金属材料が一旦酸化されたとしても、上記焼結ゾーンにおいて還元され、それによって外部電極を構成する卑金属の内部電極への固相拡散を生じ易くさせたことに特徴を有する。焼結ゾーンにおいて外部電極を構成する卑金属が還元されることにより、該卑金属の固相拡散が生じ易くなるため、外部電極と内部電極との接続の信頼性が保たれ、かつ外部電極の緻密性も高められる。
【0014】
本発明のある特定の局面では、前記セラミック焼結体を構成するセラミックスが前記焼結ゾーンにおいて還元しやすいセラミックスからなり、前記冷却ゾーンにおいて前記セラミック焼結体が再酸化される。すなわち、例えばチタン酸バリウム系セラミックスのように、耐還元性を有しないセラミックスを用いた場合、焼結ゾーンが還元側の雰囲気で行われると、焼結ゾーンにおいてセラミック焼結体が還元される。この場合には、冷却ゾーンにおいてセラミック焼結体を再酸化すればよく、それによってセラミック焼結体の誘電特性などを確保することができる。
【0015】
本発明のある特定の局面では、前記外部電極を構成する卑金属がCuであり、前記内部電極を構成する卑金属がNiであり、前記脱脂ゾーンが室温〜500℃の温度範囲であり、前記液相拡散ゾーンが500〜700℃の温度範囲であり、前記焼結ゾーンが700〜800℃の温度範囲であり、前記脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンにおいては、2×10-10MPaよりも酸化性雰囲気とされ、前記焼結ゾーンにおいては、1.22×10-15MPaよりも還元性雰囲気とされる。すなわち、外部電極を構成する卑金属がCuであり、内部電極を構成する卑金属がNiである場合には、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンにおける炉内の雰囲気を2×10-10MPaよりも酸化性雰囲気とし、焼結ゾーンの雰囲気を1.22×10-15MPaよりも還元性の雰囲気とすることにより、本発明に従って、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンにおけるバインダ樹脂の除去及びガラスフリットの軟化を確実に行うことができるとともに、焼結ゾーンにおいては、外部電極及び内部電極の酸化を抑制して、CuのNiへの固相拡散を促進することができる。
【0016】
本発明に係る製造方法の他の特定の局面では、上記セラミック焼結体を構成するセラミックスとして、誘電体セラミックスが用いられ、それによって積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサが本発明に従って得られる。
【0017】
もっとも、本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、内部電極を有する積層セラミック多層基板、積層インダクタ、積層サーミスタ、または積層圧電共振部品などの様々な積層セラミック電子部品の製造方法に適用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0019】
以下の実施例においては、積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを製造した例を説明する。
【0020】
(実施例1)
チタン酸バリウム系セラミック粉末含有セラミックスラリーを用いて、セラミックグリーンシートを成形し、該セラミックグリーンシート上に、Ni含有導電ペーストを印刷することにより、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを得た。この内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、上下に無地のセラミックグリーンシートを積層し、マザーの積層体を得た。このマザーの積層体を厚み方向に加圧した後、切断することにより、3.2×1.6×1.6mmの寸法の個々の積層セラミックコンデンサ単位の積層体を得た。次に、上記のようにして得られた積層体を、焼結し、セラミック焼結体を得た。図2に、焼結体の構造を略図的に断面図で示す。図2において、焼結体1は、複数の内部電極2〜5を有する。内部電極2〜5は、焼結体の端面1a,1bに引き出されている。なお、図2では、内部電極の積層数は実際よりも少なく略図的に示されている。実際には、内部電極の積層数は80とした。
【0021】
上記のようにして得られたセラミック焼結体の外表面に、Cu粉末と、バインダ樹脂としてのアクリル樹脂と、ガラスフリット等を含む導電ペーストを塗布し、乾燥した。しかる後、下記の表1に示すように、炉内において、脱脂ゾーンの酸素濃度を100ppm、液相拡散ゾーンにおける酸素濃度を100ppm、焼結ゾーンにおける酸素濃度を7×10-16MPa、冷却ゾーンにおける酸素濃度100ppmとなようにして、外部電極の焼付けを行った。なお、図1に示すように、脱脂ゾーンとは、室温から500℃までの昇温工程を意味し、液相拡散ゾーンとは500℃から700℃まで昇温する工程であり、焼結ゾーンは700〜800℃に維持する工程であり、冷却ゾーンは室温まで冷却する工程をいうものとする。また、昇温ゾーン及び液相拡散ゾーンにおける昇温速度は、50℃/分とし、焼結ゾーンにおいては700〜800℃の温度に10分維持した。さらに、冷却ゾーンにおける降温速度は、50℃/分とした。
【0022】
上記のようにして図3に示すように、セラミック焼結体1の端面1a,1bに外部電極6,7を焼付けた後、外部電極表面に、Niメッキ膜及びSnメッキ膜を湿式メッキにより順次形成した。
【0023】
(実施例2及び3並びに従来例1,2)
脱脂ゾーン、液相拡散ゾーン、焼結ゾーン及び冷却ゾーンの酸素濃度を、それぞれ、下記の表1に示すように変更したことを除いて、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。
【0024】
(実施例4)
BaTiO3系セラミックスに変えて、CaZrO3系セラミックスを用いたことを除いては、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。
【0025】
(実施例5及び従来例3,4)
脱脂ゾーン、液相拡散ゾーン、焼結ゾーン及び冷却ゾーンにおける酸素濃度を下記の表1に示すように変更したことを除いては、実施例4と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。
【0026】
(実施例及び従来例の評価)
上記のようにして得られた各積層セラミックコンデンサについて、▲1▼静電容量のばらつき、▲2▼構造欠陥不良数及び▲3▼信頼性不良数を以下の要領で評価した。
【0027】
▲1▼静電容量のばらつき…得られた多数の積層セラミックコンデンサの静電容量を測定し、そのばらつきを求めた。この静電容量のばらつきは、内部電極と外部電極との電気的接続性に対応する。すなわち、電気的接続不良が生じている積層セラミックコンデンサの割合が大きいと、静電容量のばらつきが多くなる。
【0028】
▲2▼構造欠陥不良数…得られた積層セラミックコンデンサをDPA研磨(デストトラクション・フィジカル・アナリシス)し、顕微鏡にて外部電極中のポアの有無を確認した。外部電極中にポアが発生している場合に、構造欠陥と判断し、1000個の積層セラミックコンデンサ当りに構造欠陥が生じていた積層セラミックコンデンサの数を求め、構造欠陥不良数とした。
【0029】
▲3▼信頼性不良数…セラミックスが還元されて所望とする特性が出ていない数を示す。具体的には、信頼性試験(耐湿負荷70℃95%50V)を行ない、ショート不良となったサンプルをDPA研磨して試験後に構造欠陥(層間クラック)が発生した場合に、信頼性不良と判断した。下記の表1には、100個の積層セラミックコンデンサ当りの信頼性不良の積層セラミックコンデンサの数の割合を示す。
【0030】
なお、800℃におけるNiの酸化−還元平衡酸素分圧、すなわちNi/NiO平衡酸素分圧は1.2×10-15MPaであり、Cuの酸化−還元平衡酸素分圧、Cu/Cu2O平衡酸素分圧は2×10-15MPaである。
【0031】
【表1】
Figure 0004207458
【0032】
表1から明らかなように、従来例1,2では、焼結ゾーンにおける酸素濃度が5×10-5MPaと、Ni及びCuの800℃における平衡酸素分圧よりも酸素濃度が高くなっているため、外部電極を形成しているCuの酸化が進行し、内部電極と外部電極との接合の信頼性が低下したり、外部電極において構造欠陥不良がみられた。
【0033】
これに対して、実施例1〜3では、焼結ゾーンにおける酸素濃度が7×10-16MPaであり、Ni及びCuの平衡酸素分圧よりも還元側であるためか、焼結ゾーンにおいてCuが還元され、内部電極と外部電極との電気的接合の信頼性が高められ、かつ外部電極における構造欠陥不良も生じていないことがわかる。
【0034】
もっとも、実施例1では、冷却ゾーンにおける酸素濃度が100ppmと低いため、BaTiO3系セラミックスが還元され、十分な特性が出ていないことがあった。しかしながら、実施例1においても、外部電極と内部電極との電気的接続の信頼性及び外部電極の構造欠陥不良については、従来例1,2に比べて著しく改善されていることがわかる。
【0035】
さらに、CaZrO3系セラミックスを用いた従来例3,4では、BaTiO3系セラミックスを用いた従来例1,2の場合と同様に、焼結ゾーンにおける酸素濃度が高いためか、内部電極と外部電極との接続の信頼性が不十分であり、外部電極に構造欠陥不良が認められた。
【0036】
これに対して、実施例4,5では、実施例1〜3と同様に焼結ゾーンにおける酸素濃度が低く、従って内部電極と外部電極との接続の信頼性が高く、かつ外部電極による構造欠陥の不良を認められなかった。
【0037】
また、実施例4,5では、冷却ゾーンの酸素濃度は100ppmであり、実施例1と同様であったが、セラミックスの信頼性不良は認められなかった。これは、CaZrO3系セラミックスは耐還元性であるため、焼結ゾーンにおいて還元され難く、従って、冷却ゾーンにおける酸素濃度を高めずとも、セラミックスの信頼性不良が生じなかったためである。
【0038】
上記実施例1及び実施例4,5の比較から明らかなように、セラミックスが耐還元性を有しない場合、例えばBaTiO3系セラミックスの場合には、焼結ゾーンの酸素濃度によりセラミックスが還元されることがあるが、この場合には、実施例2,3のように冷却ゾーンの酸素濃度を高くし、セラミックスを再酸化することが望ましい。また、実施例2,3の結果から明らかなように、冷却ゾーンの酸素濃度を高めてセラミックスを再酸化した場合であっても、内部電極と外部電極との電気的接続の信頼性は低下せず、かつ外部電極における構造欠陥の不良も認められないことがわかる。
【0039】
すなわち、上記のようなセラミックスの再酸化処理を行ったとしても、再酸化処理は、焼結ゾーンにおいて還元性雰囲気下で一旦焼結された外部電極と内部電極との電気的接続の信頼性に影響を与えないことがわかる。
【0040】
また、実施例2と実施例3との比較及び実施例4と実施例5との比較から明らかなように、焼結ゾーンの酸素濃度が卑金属の平衡酸素分圧よりも還元性側であれば、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンの酸素濃度については、様々な範囲で変更したとしても、得られた積層セラミックコンデンサの特性に影響を与えないことがわかる。すなわち、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンの酸素濃度を従来例2のように高め、バインダ樹脂の除去及びガラスフリットの溶融を促進したとしても、本発明に従って焼結ゾーンの酸素濃度を設定することにより、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0041】
上記実施例1〜5の結果から明らかなように、本発明に従って、内部電極の焼付けに際しての焼結ゾーンの酸素濃度を、外部電極を構成している卑金属及び内部電極を構成している卑金属の酸化−還元平衡酸素分圧よりも還元側の雰囲気で行うことにより、それまでの脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンの雰囲気に影響を受けることなく、内部電極と外部電極との電気的接合の信頼性及び外部電極の緻密性を確保し得ることがわかる。従って、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンでは、酸素濃度をある程度高い雰囲気とし、それによって脱バインダ及びガラスフリットの溶融を確実に進めることができる。また、焼結ゾーンにおいては、緻密な外部電極を確実に形成することができるとともに、内部電極と外部電極との電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0042】
なお、上記実施例1〜5では、外部電極を構成する卑金属としてCuを用い、内部電極としてNiを用いた場合を例にとり説明したが、内部電極及び外部電極を構成する卑金属としては、Cu、Ni、Cu−Ni合金、あるいは他のPb、Feなどの卑金属を用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、外部電極焼付け工程における脱脂ゾーン、液相拡散ゾーン、焼結ゾーン及び冷却ゾーンの内、焼結ゾーンの雰囲気が、内部電極を構成している卑金属及び外部電極を構成している卑金属の酸化−還元平衡酸素分圧よりも還元側の雰囲気とされる。従って、脱脂ゾーン及び液相拡散ゾーンにおいて、酸素濃度を高くして、バインダ樹脂の除去及びガラスフリットの溶融を促進した場合であっても、焼結ゾーンにおいて、卑金属が還元され、卑金属からなる外部電極と卑金属からなる内部電極との電気的接続の信頼性が確保されるとともに、緻密な外部電極が形成され得る。従って、外部電極と内部電極との接合不良や外部電極の構造欠陥が生じ難く、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを安定に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミック電子部品の製造方法における外部電極形成工程を説明するための模式図。
【図2】本発明の製造方法において用意されるセラミック焼結体を説明するための模式的断面図。
【図3】本発明により得られる積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す模式的断面図。
【符号の説明】
1…セラミック焼結体
1a,1b…端面
2〜5…内部電極
6,7…外部電極

Claims (1)

  1. 卑金属を用いて構成された外部電極を有する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    卑金属を用いて構成された複数の内部電極を有し、前記複数の内部電極が表面に引出されている、誘電体セラミックからなるセラミック焼結体を用意する工程と、
    前記セラミック焼結体の外表面に卑金属含有導電ペーストを付与し、焼付けることにより外部電極を形成する工程とを備え、
    前記外部電極を焼付けにより形成する工程が、
    室温〜500℃の温度範囲で、酸化性雰囲気において、導電ペースト中に含まれているバインダ樹脂を除去する脱脂ゾーンと、
    500〜700℃の温度範囲で、酸化性雰囲気において、導電ペースト中に含まれているガラスフリットが溶融し、卑金属が液相拡散する液相拡散ゾーンと、
    700〜800℃の温度範囲で、1.22×10 −15 MPaよりも還元側の雰囲気において、導電ペースト中に含まれている卑金属が焼結し、かつ内部電極に固相拡散する焼結ゾーンと、
    前記焼結ゾーンに引き続いて行われ、500℃〜室温の温度範囲であり、前記セラミック焼結体を再酸化する冷却ゾーンと、
    を有ることを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法。
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