JP2006216781A - 電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 導通抵抗の上昇を招くことなく、導電性接着剤により確実に実装することが可能であり、しかも安価に提供され得る電子部品を得る。
【解決手段】 電子部品素体としてのセラミック焼結体4の外表面に外部電極5,6が形成されており、外部電極5,6が、卑金属からなる電極層5a,6aと、卑金属からなる電極層5a,6aの表面を覆うように設けられたガラス層5b,6bとを有し、ガラス層5b,6bが水に溶解しないガラスからなり、ガラス層5b,6bにおいて、ガラス層の表面まで電極層5a,6aの卑金属が拡散している部分が存在する、電子部品。
【選択図】 図1
【解決手段】 電子部品素体としてのセラミック焼結体4の外表面に外部電極5,6が形成されており、外部電極5,6が、卑金属からなる電極層5a,6aと、卑金属からなる電極層5a,6aの表面を覆うように設けられたガラス層5b,6bとを有し、ガラス層5b,6bが水に溶解しないガラスからなり、ガラス層5b,6bにおいて、ガラス層の表面まで電極層5a,6aの卑金属が拡散している部分が存在する、電子部品。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば積層セラミック電子部品のような電子部品に関し、より詳細には、外部電極が導電性接着剤により実装されるように構成されている電子部品に関する。
積層セラミックコンデンサなどの電子部品では、電子部品素体の外表面に外部電極が形成されている。この種の外部電極としては、導電ペーストの焼付けにより形成された焼結電極層の表面に、Snメッキ膜などを形成したものが多用されていた。
他方、近年、鉛フリー実装を果たすために、半田に代えて、導電性接着剤を用いて電子部品をプリント回路基板などに実装する方法が注目されている。導電性接着剤により電子部品を実装する際には、電子部品の外部電極が導電性接着剤により接合されることになる。この場合、外部電極表面がSnメッキ膜などからなる場合には、導電性接着剤の熱処理による硬化に際し、外部電極表面が酸化するという問題があった。
下記の特許文献1には、導電性接着剤を用いて実装され得る電子部品が開示されている。ここでは、電子部品としての積層セラミックコンデンサ51が、基板52上に実装されている。積層セラミックコンデンサ51は、セラミック焼結体53を有する。セラミック焼結体53内には、第1,第2の内部電極54,55が厚み方向に交互に配置されている。そして、第1の外部電極56がセラミック焼結体53の一方の端面に、外部電極57が他方の端面に形成されている。ここでは、内部電極54,55はAg−Pd合金からなり、外部電極56,57もまた、Ag−Pd合金により構成されている。そして、Ag含有導電性接着剤58,59により、基板52上の電極52a,52bに接合されている。
特開2000−124059号公報
特許文献1に記載の積層セラミック電子部品51では、Agを含む導電性接着剤58,59による実装を可能とするために、外部電極56,57がAg−Pd合金からなり、外部電極に接合される内部電極54,55もまたAg−Pd合金により構成されていた。従って、導電性接着剤58,59による実装は可能であるものの、貴金属を電極材料として用いているため、コストが高くつくという問題があった。
なお、上記特許文献1では、外部電極に卑金属を用いた例も記載されているものの、外部電極をCuなどの卑金属などにより構成した場合には、導電性接着剤を硬化する際の熱処理や、空気中に放置された際の空気中の湿気により表面が容易に酸化する。従って、導電性接着剤により実装した場合、導通抵抗が高くなる。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、電極コストを低減することができ、しかも導電性接着剤を硬化させるための熱処理時や空気中に放置された際の電極表面の酸化が生じ難く、それによって導電性接着剤により実装した場合の導通抵抗が上昇し難い電子部品を提供することにある。
本発明は、電子部品素体と、電子部品素体の外表面に形成された外部電極とを備え、前記外部電極が、卑金属からなる電極層と、前記卑金属からなる電極層表面を覆うように最外層として設けられており、かつ水に溶解しないガラス層とを有し、前記ガラス層において、前記電極層の卑金属が前記ガラス層に拡散することにより卑金属とガラスの化合物が形成され、前記化合物がガラス層表面に達している部分が存在することを特徴とする。
本発明に係る電子部品のある特定の局面では、前記化合物がガラス層表面に達している部分が、ガラス層表面全体の30%以上である。
本発明に係る電子部品の他の特定の局面では、前記化合物がガラス層表面に達している部分の膜厚が0.5μm以下である。
本発明の電子部品のさらに他の特定の局面では、前記電極層の卑金属がCuまたはCu合金である。
本発明の電子部品の別の特定の局面では、前記電子部品は、導電性接着剤により実装される電子部品である。
本発明に係る電子部品では、電子部品素体の外表面に形成された外部電極が、卑金属からなる電極層と、卑金属からなる電極層表面を覆うように最外層として設けられており、かつ水に溶解しないガラス層を有しているため、空気中に放置された場合であっても、卑金属からなる上記電極層の表面が酸化され難い。また、導電性接着剤の硬化に際しての熱処理時においても、卑金属からなる上記電極層の表面が酸化し難い。しかも、導電性接着剤を用いて実装するに際しては、上記電極層の卑金属を拡散させて卑金属とガラスの化合物を形成して、この化合物がガラス層表面に達する部分を形成しているため、この部分において卑金属からなる上記電極層と導電性接着剤とが確実に導通され、導通抵抗の上昇も生じ難い。
また、ガラスと卑金属の化合物がガラス層表面に達している部分が、ガラス層表面の30%を占めている場合には、導電性接着剤を用いて実装するに際して、卑金属からなる電極層と導電性接着剤とがより一層確実に導通される。
さらに、ガラス層の膜厚が0.5μm程度であれば、水に溶解しないガラスと卑金属を含む導電性ペーストの焼付温度800〜950℃において、確実にガラス層表面にまで卑金属が拡散する。従って、卑金属がガラス層表面まで達している部分の膜厚は0.5μm以下であることが好ましい。なお、ガラス層が存在しなければ、電極層表面の酸化が防止できないため、上記膜厚0.5μm以下とは、0μmは含まない。
また、卑金属からなる電極層がCuまたはCu合金からなる場合には、安価に外部電極を形成することができ、内部電極がNiなどの卑金属の場合に合金化しやすいため、内部電極との接続が容易となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサを示す正面断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、第1の内部電極2と、第2の内部電極3とが、厚み方向において交互に配置されたセラミック焼結体4を有する。内部電極2と内部電極3とは、セラミック層を介して厚み方向に重なり合うように配置されている。第1の内部電極2は、セラミック焼結体4の第1の端面4aに引き出されており、第2の内部電極3は、端面4aとは反対側の第2の端面4bに引き出されている。
セラミック焼結体4は、チタン酸バリウム系セラミックスなどの適宜の誘電体セラミックスにより構成され得る。内部電極2,3は、本実施形態では、卑金属であるNiにより構成されている。もっとも、Ni以外のCu等の卑金属を用いてもよく、また、内部電極2,3は、Ag−Pdなどの貴金属により構成されてもよい。もっとも、コストを低減し得るため、卑金属により内部電極2,3を形成することが望ましい。
セラミック焼結体4の第1の端面4aを覆うように外部電極5が形成されており、第2の端面4bを覆うように外部電極6が形成されている。外部電極5,6は、導電ペーストの焼付けにより形成された電極層5a,6aと、電極層5a,6a上にそれぞれ最外層として形成されたガラス層5b,6bとを有する。上記電極層5a,6aは、Cuペーストの焼付けにより形成されている。もっとも、CuやCu合金以外の卑金属を用いてもよい。
また、電極層5a,6aよりも内側に、さらに1以上の電極層が積層されていてもよい。この1以上の任意に設けられる電極層は、電極層5a,6aと同様に、導電ペーストの焼付により形成してもよいが、その他、めっきやスパッタリングなど適宜の電極形成方法を用いてもよい。
他方、ガラス層5b,6bは、水に溶解しないガラスにより構成されている。水に溶解しないガラスとは、具体的には、ガラスを水中、25℃の条件で240分放置した後、ガラスの重量減少が5%以下のものを意味している。このような水に溶解しないガラスとしてアルカリ金属を含むホウケイ酸系ガラスが挙げられる。
なお、従来、一般的に外部電極に用いられる導電性ペーストに含まれるホウケイ酸亜鉛系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスは、水に溶解するガラスであり、このようなガラスの場合、水との反応が生じてガラス層にポアが生じ、内側の電極層5a,6aが露出し、後述の導電性接着剤の硬化の際の熱処理時や空気中にさらされた際に電極層5a,6a表面の酸化が進行するおそれがある。
上記のように、水に溶解しないガラスによりガラス層5b,6bを形成することにより、内側の電極層5a,6aの所望でない露出を防止することができる。
上記ガラス層5b,6bを構成するガラスは、上記のように機能し得る限り特に限定される訳ではないが、本実施形態では、アルカリ金属を含有するホウケイ酸系ガラスが用いられ、より具体的には、アルカリ金属を含み、波長分散型X線マイクロアナライザで分析された場合、ホウ素以外の全ての含有割合を100重量%としたときに、ケイ素が65〜80重量%、アルカリ金属が3.5〜8.0重量%含まれている組成のガラスを好適に用いることができる。この組成のホウケイ酸系ガラスの軟化点は、580〜630℃程度の範囲とされる。
他方、電極層の焼付温度は800〜950℃である。よって、上記アルカリ金属を含むホウケイ酸系ガラスを含むCuペーストの焼付けにより、形成された電極層5a,6a表面にガラスを析出させて、ガラス層5b,6bを安定に形成することができ、かつガラス層に電極層の卑金属を拡散させて卑金属とガラスの化合物を形成することができる。
また、本実施形態の特徴は、上記ガラス層5b,6bが外部電極5,6の最外層に配置されているため、すなわち、電極層5a,6aの外表面がガラス層5b,6bで覆われているため、外部電極5,6の酸化が生じ難いことにある。加えて、上記ガラス層5b,6bには、電極層5a,6aの卑金属が拡散して卑金属とガラスの化合物になり、この化合物がガラス層表面に達している部分があるため、導電性接着剤により基板上に実装された際に、導電性接着剤と電極層5a,6aとの導通を図ることができる。また、後述の実験例から明らかなように、卑金属とガラスの化合物がガラス層表面に達している部分は30%以上存在することが好ましい。また、ガラス層の膜厚が0.5μm以下となっている部分があり、この部分では卑金属とガラスの化合物がガラス層表面にまで達している。従って、上記化合物がガラス層表面に達している部分の膜厚が0.5μm以下の領域では、確実に導通を図ることができる。しかも、上記電極層5a,6aが卑金属からなるため、電極コストの上昇を招くこともない。
次に、具体的な実験例につき説明する。
周知の積層セラミックコンデンサの製造方法に従って、Niペーストが印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、上下に無地のセラミックグリーンシートを積層し、積層体を得た。そして、この積層体を厚み方向に加圧した後、個々の積層セラミックコンデンサ単位の積層体チップに切断した。得られた積層体チップを焼成し、セラミック焼結体4を得た。ここでは、長さ2.0mm×幅1.25mm×高さ1.25mmの寸法のセラミック焼結体4を用意した。なお、内部電極積層数は30枚とし、設計静電容量が150pF、定格電圧が50Vである積層セラミックコンデンサの製造を試みた。
上記セラミック焼結体4の端面4a,4bに、Cu含有導電ペーストを塗布し、窒素雰囲気中で焼付けることにより、電極層5a,6a及びガラス層5b,6bを形成した。
ここで、Cu含有導電ペーストとしては、Cu粉末100体積%に対し、水に溶解しないガラスを18体積%含み、さらに溶剤が添加されて固形比が70体積%とされたものを用いた。
また、上記水に溶解しないガラスとしては、アルカリ金属が5重量%、ホウ素が18重量%、ケイ素が70重量%含まれたアルカリ金属を含むホウケイ酸系ガラスで、軟化点が600℃のものを用いた。
上記Cu含有導電ペーストの焼付けを窒素雰囲気中において、種々焼付温度を異ならせて、ガラス層5b,6bに対する電極層5a,6aからのCuの拡散距離をWDX(波長分散型X線マイクロアナライザ)で確認した。その結果を表1に示す。なお、拡散距離については、WDXの画像を電子データ化し、金属の拡散した部分の面積を求め、この面積をWDXの分析幅で割ったものを拡散距離とした。
表1から明らかなように、ガラス層5b,6bに対する電極層5a,6a中のCuの拡散においては、焼付温度が上がるほど拡散距離が大きくなる傾向にある。この拡散距離よりもガラス層が厚くなると、電極層5a,6aと導電性接着剤との導通が確保できない。
一方、上記水に溶解しないガラスとして用いたアルカリ金属を含有するホウケイ酸系ガラスを用いたCu含有導電ペーストが緻密に焼結する温度範囲は800〜950℃である。この範囲の内、最も拡散距離の小さい800℃では、ガラス層の厚みが0.56μmである。従って、ガラス層では、0.5μm以下の膜厚のガラス層部分が少なくとも必要であることが分かる。
次に、焼成温度を800℃に固定し、Cu含有導電ペーストへのガラスの添加量を変化させることにより、ガラスの析出量を制御し、膜厚が0.5μm以下の部分の面積比率が異なるように種々の積層セラミックコンデンサを作製した。このようにして得られた、複数種の積層セラミックコンデンサについて、それぞれ、静電容量を測定し、容量不良率を評価した。設計静電容量に対して、静電容量が10%以上低い場合に、容量不良とした。なお、容量不良率の評価に際しては、それぞれの積層セラミックコンデンサ100個における容量不良とされたセラミックコンデンサの割合を求めた。結果を下記の表2に示す。
エポキシ樹脂中にAg粉末を混合した導電性接着剤を用い、基板上の電極に、空気中にて、150℃の温度で60分熱処理し、積層セラミックコンデンサを実装した。そして、得られた実装構造における等価直列抵抗(ESR)変化率を求めた。ESRはインピーダンスアナライザによりインピーダンスを測定して算出した。ESR変化率は、実装前の積層セラミックコンデンサのESRに対するESR変化分の割合を示す。ESR変化率については、それぞれ10個の積層セラミックコンデンサにおける変化率を求めた。結果を下記の表2に示す。
なお、同様の方法で、従来構造の積層セラミックコンデンサについてESR変化率を求めたところ、外部電極表面がSnめっきの積層セラミックコンデンサではESR変化率が20%増加し、一般的なホウケイ酸亜鉛系ガラスを用いたCu外部電極を有する積層セラミックコンデンサの場合、ガラスが外部電極表面を覆っていても、ガラスが水と反応した結果、ESR変化率が30%も増加していた。
なお、上記評価に際し、ガラス層5b,6bの膜厚が0.5μm以下である部分の面積比率は以下のようにして求めた。すなわち、外部電極の断面を研磨し、SEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、該電子顕微鏡写真により、金属粒子表面と、ガラス表面の曲線を取り出し、両曲線間の距離を測定することにより、ガラス膜厚を求めた。また、外部電極表面の走査型電子顕微鏡写真を、デジタル処理し、膜厚が0.5μm以下である部分の面積比率を測定した。
表2から明らかなように、ガラス層5b,6bの膜厚が0.5μm以下である部分の面積比率が20%以下の場合には、容量不良率が、該面積比率が小さくなるにつれて高くなることがわかる。なお、ガラス層5b,6bの膜厚が0.5μm以下の部分が0%である場合、電極層5a,6aの卑金属の拡散がガラス層5b,6b表面にまで及ばず、導通しないため、容量不良率は100%である。また、導通していないため、ESRも測定できない。これに対して、ガラス膜厚0.5μm以下の部分の面積比率が30%以上の場合には、静電容量不良が見られず、ESR変化率も0であり、従って、静電容量不良がなく、かつ電気的接続に際しての導通抵抗の上昇も生じ難いことがわかる。
なお、上記実施形態及び実験例では、積層セラミックコンデンサにつき示したが、本発明は、上記のように、導電性接着剤で実装される外部電極に特徴を有するものである。従って、積層セラミックコンデンサに限らず、様々な積層セラミック電子部品、並びにセラミックス以外の材料からなる電子部品素体を有する電子部品に広く本発明を適用することができる。
1…積層セラミックコンデンサ(電子部品)
2,3…内部電極
4…セラミック焼結体(電子部品素体)
5,6…外部電極
5a,6a…電極層
5b,6b…ガラス層
2,3…内部電極
4…セラミック焼結体(電子部品素体)
5,6…外部電極
5a,6a…電極層
5b,6b…ガラス層
Claims (5)
- 電子部品素体と、電子部品素体の外表面に形成された外部電極とを備え、
前記外部電極が、卑金属からなる電極層と、前記卑金属からなる電極層表面を覆うように最外層として設けられており、かつ水に溶解しないガラス層とを有し、
前記ガラス層において、前記電極層の卑金属が前記ガラス層に拡散することにより卑金属とガラスの化合物が形成され、前記化合物がガラス層表面に達している部分が存在することを特徴とする、電子部品。 - 前記化合物がガラス層表面に達している部分が、ガラス層表面全体の30%以上である、請求項1に記載の電子部品。
- 前記化合物がガラス層表面に達している部分の膜厚が0.5μm以下である、請求項1または2に記載の電子部品。
- 前記電極層の卑金属がCuまたはCu合金である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品。
- 前記電子部品は、導電性接着剤により実装される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品。
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CN103762075A (zh) * | 2010-05-27 | 2014-04-30 | 株式会社村田制作所 | 陶瓷电子部件及其制造方法 |
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