JP4561165B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法に関し、より詳細には、卑金属からなる内部電極が形成されている積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
従来、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品のコストを低減するために、Niなどの卑金属からなる内部電極が用いられている。例えば、下記の特許文献1には、セラミック電子部品における電極を卑金属により形成する方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法では、まず、セラミックグリーンシート上に、Niを主体とする導電ペーストをスクリーン印刷する。しかる後、Niを主体とする導電ペーストが印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、積層セラミックコンデンサ用のグリーンチップを作製する。このグリーンチップを加熱し、有機バインダーを除去した後、還元雰囲気を焼成温度に至るまでは、卑金属であるNiの平衡酸素分圧以上の雰囲気とし、焼成温度に維持する工程及び該工程に続く降温過程においては、Niの平衡酸素分圧以下の雰囲気とする方法が開示されている。
焼成温度に至るまでは、卑金属の平衡酸素分圧以上の酸素分圧とすることにより、卑金属表面の酸化膜を温存し、焼結開始を遅らせている。他方、焼結温度に達した後には、雰囲気を上記還元性雰囲気とすることにより、電極の過焼結を防ぎつつ、良好な電極を形成することができるとされている。
特開昭63−215029号公報
近年、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品では、小型化及び軽量化等を果たすために、内部電極間に挟まれたセラミック層の厚みが5μm程度まで薄くなってきている。
内部電極間のセラミック層の厚みが薄くなってくるにつれて、均一に焼結されたセラミック焼結体を得ることが困難となってきている。これは、内部電極間のセラミック層の厚みが薄くなると、内部電極構成金属の周囲のセラミックスへの拡散による影響が大きくなっているためと考えられる。すなわち、Niなどの卑金属により内部電極を構成した場合、Niなどの卑金属がセラミックスの焼成に際し、周囲のセラミックスに拡散する。この場合、Niが拡散したセラミックス部分では、より低い温度から焼結が進行する。従って、内部電極が積層されている部分と、内部電極が積層されている部分の外側の部分、すなわちセラミック焼結体の上下の外層部分等とで、焼結性が異なりがちであった。より具体的には、内部電極間のセラミック層で、焼結が優先的に進行しがちであった。そのため、周囲にセラミックグリーンシート中のガラス成分が押し出されることになり、内部電極積層部分の周囲のセラミックス部分にガラスが偏析することがあった。
すなわち、図3に横断面図で示すように、積層セラミックコンデンサ51において、セラミック焼結体52中の複数の内部電極53,54が交互に積層されている部分から外側にガラスが偏析しがちであった。ガラスが偏析している部分、すなわち矢印Aで示す部分では、ガラスの偏析により、焼結体の緻密性が損なわれる。従って、焼結時の収縮量の違いによりクラックが生じたり、得られたセラミック焼結体の端面(図示せず)に外部電極を形成した後、外部電極表面に湿式めっきによりめっき膜を形成した場合、焼結体の耐めっき液性が低下したりするという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、卑金属からなる内部電極を有する積層セラミック電子部品であって、セラミック焼結体中におけるガラスの偏析が生じ難く、従って、焼結時の収縮量の差によるクラック等が生じ難く、かつ耐めっき液性が低下しない積層セラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明は、卑金属導電ペーストからなる内部電極層が未焼成のセラミック層を介して重なり合うように配置されている未焼成の積層体を用意する工程と、前記積層体を焼成し、前記内部電極を焼き付けて内部電極を形成するとともに、未焼成のセラミック層をセラミック焼結体層とする焼結工程と、前記内部電極に電気的に接続される外部電極を形成する工程とを備え、前記焼成工程は、焼結温度で一定時間維持する工程を有し、該一定時間維持する工程中にセラミック粒子が収縮完了し、前記焼結工程において、前記未焼成のセラミック層を構成しているセラミックスの焼結による収縮開始温度から収縮完了までの雰囲気を、卑金属と、卑金属酸化物との平衡酸素分圧以上の高い酸素分圧雰囲気とし、前記セラミックスの収縮完了以降の雰囲気を、前記卑金属と卑金属酸化物との平衡酸素分圧以下の還元性雰囲気とすることを特徴とする、積層セラミック電子部品の製造方法である。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のある特定の局面では前記外部電極の形成は、前記セラミック焼結体の外表面に導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより行われる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法の他の特定の局面では、前記外部電極の形成は、未焼成の積層体の外表面に導電ペーストを塗布し、前記セラミック焼結体を得る焼結工程において該導電ペーストを焼き付けることにより行われる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記外部電極の外表面に湿式めっき法によりめっき膜を形成する工程がさらに備えられる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、卑金属としては、Ni、Cuなどの様々な金属を用いることができるが、ある特定の局面では、卑金属としてNiが用いられる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、内部電極間のセラミック層の厚みは特に限定されないが、焼結後において5μm以下と非常に薄い積層セラミック電子部品の製造に好適に用いられる。
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミックスの収縮開始温度から収縮完了まで、内部電極を構成している卑金属と卑金属酸化物との平衡酸素分圧よりも高い酸素分圧の雰囲気として加熱し、セラミックスの収縮完了に至った後に、卑金属と卑金属酸化物との平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気で焼結が進行する。従って、セラミックスの収縮完了までには、上記平衡酸素分圧以上の雰囲気とされているため、セラミックスの不均一な粒成長が確実に抑制され、かつ内部電極構成金属である卑金属のセラミックス全体への拡散が促進される。そして、上記収縮が完了した後に、雰囲気が、上記酸素分圧よりも還元性の雰囲気とされて焼結が進行するので、ガラスの内部電極積層部から外側への移動が生じ難く、かつセラミック粒子が均一に成長することとなる。
従って、ガラス成分の偏析が生じ難いので、均一かつ緻密な焼結体を得ることができ、特に内部電極間に挟まれたセラミック層の厚みが薄くなった場合においても、緻密かつ均一なセラミック焼結体を得ることができる。耐めっき液性に優れ、かつ所望でないクラックが生じ難い、セラミック焼結体を得ることができ、よって信頼性に優れた積層セラミック電子部品を提供することが可能となる。
前記外部電極の形成が、セラミック焼結体の外表面に導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより行われる場合には、焼結体を得た後に、導電ペーストの塗布及び焼き付けにより外部電極が形成される。この場合、セラミック焼結体の均一性が高められているため、外部電極形成後に湿式めっき等によりめっき膜を形成したとしても、焼結体内へのめっき液の浸入による絶縁抵抗不良などを確実に抑制することができる。
外部電極の形成は、未焼成のセラミック焼結体の外表面に導電ペーストを塗布し、上記焼結工程において該導電ペーストを焼き付けることにより形成されてもよい。この場合には、外部電極の焼き付けを、セラミックスの焼結と同時に行うことができ、工程の簡略化を図ることができる。この場合においても、セラミック焼結体の均一性が高められるため、外部電極表面にさらに湿式めっき法によりめっき膜を形成したとしても、セラミック焼結体へのめっき液の浸入による絶縁抵抗の不良等が生じ難い。
本発明において、外部電極の外表面に、湿式めっき法によりめっき膜を形成する工程がさらに備えられている場合には、前記セラミック焼結体の耐めっき液性が高められているため、めっき液の浸入による絶縁抵抗の低下等が生じ難い。従って、信頼性に優れた積層セラミック電子部品であって、例えば、半田付け性に優れためっき膜を有する積層セラミック電子部品を提供することが可能となる。
卑金属がNiである場合には、安価な内部電極を有する積層セラミック電子部品を提供することが可能となる。
内部電極間のセラミック層の厚みが、焼結後において5μm以下である場合には、従来、緻密なセラミック焼結体を得ることが困難であったのに対し、本発明によれば、卑金属からなる内部電極を用いた場合であっても、均一なセラミック焼結体を得ることができる。従って、内部電極間のセラミック層の厚みが薄い、小型・大容量の積層セラミック電子部品の信頼性を効果的に高めることが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
本発明の一実施形態の積層セラミック電子部品の製造方法では、図2に示す積層セラミックコンデンサが製造される。
積層セラミックコンデンサ1は、セラミック焼結体2を有する。セラミック焼結体2内においては、複数の内部電極3,4がセラミック層を介して交互に積層されている。内部電極3は、セラミック焼結体2の第1の端面2aに引き出されており、内部電極4は、第1の端面2aとは反対側の第2の端面2bに引き出されている。
本実施形態では、セラミック焼結体2は、チタン酸バリウム系セラミックスにより構成されている。もっとも、セラミック焼結体2を構成するセラミック材料については、チタン酸バリウム系セラミックスに限らす、種々の誘電体セラミックスを用いることができる。
また、内部電極3,4は、卑金属としてのNiを主体とする導電ペーストを焼き付けることにより形成されている。卑金属としては、Ni以外のCuなどを用いてもよい。
セラミック焼結体2の端面2a,2bを覆うように、外部電極5,6が形成されている。外部電極5,6は、Cuペーストを塗布し、焼き付けることにより形成されている。外部電極5,6を得るための焼き付け工程は、後述のセラミック焼結体2の焼結工程において同時に行われてもよく、あるいはセラミック焼結体2を得た後に導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより外部電極5,6が形成されていてもよい。
外部電極5,6の表面には、めっき膜7,8及び外側めっき膜9,10が構成されている。めっき膜7,8は、Niよりなり、外側めっき膜9,10は、Snにより構成されている。外側にSnよりなるめっき膜9,10を形成することにより半田付け性が高められている。なお、めっき膜7,8は、内側の外部電極5,6の酸化を防止するために、中間層として形成されている。
上記積層セラミックコンデンサ1では、内部電極3,4間に挟まれたセラミック層2cの厚みは、5μm以下と薄くされている。従来、内部電極3,4を卑金属で構成し、内部電極間のセラミック層2cの厚みをこのように薄くした場合、前述したように、ガラス成分が偏析し、セラミック焼結体2の均一性が損なわれがちであった。
これに対し、本実施形態の製造方法によれば、ガラス成分の偏析が生じ難い、均一なセラミック焼結体2を得ることができる。これを、より具体的に説明する。
上記積層セラミックコンデンサ1の製造に際しては、まず、チタン酸バリウム系セラミックスを主体とするセラミックグリーンシートの上面に、内部電極3または内部電極4を形成するためのNiを主体とする導電ペーストをスクリーン印刷する。導電ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、上下に適宜の枚数の無地のセラミックグリーンシートを積層し、未焼成のセラミック積層体を得る。
上記未焼成の積層体は、通常、多数の積層セラミックコンデンサを得るためのマザーの積層体として用意される。そして、このマザーの積層体を厚み方向に切断し、個々の積層セラミックコンデンサ単位の未焼成のセラミック積層体を用意する。
上記のようにして得られた未焼成のセラミック積層体を焼成炉内で加熱し、焼成し、セラミック焼結体2を得る。
本実施形態では、焼成に際し、まず、未焼成のセラミック焼結体を250〜300℃程度の温度に3時間程度の時間維持し、未焼成のセラミックスに混練されているバインダー樹脂を除去する。
次に、NiとNiOとの平衡酸素分圧よりも高い酸素分圧で加熱を施す。上記加熱工程においては、まず、上記平衡酸素分圧よりも高い酸素分圧で加熱する。収縮開始温度まで昇温されると、セラミック粒子の収縮が開始する。そして、予め定めた最高温度である焼結温度まで昇温し、さらにその温度に維持する。そして、焼結温度で一定時間維持して収縮が完了した時点で、雰囲気を切り換える。
この場合、雰囲気を、上記平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気とするように切り換える。そして、雰囲気を切り換えた後も焼結温度で一定時間維持し、セラミックスの粒成長を促進する。しかる後、降温し、降温工程を完了する。
上記焼結温度に維持する時間は、通常、2〜4時間とされる。そして、収縮完了時点とは、上記焼結温度に達した後一定時間経過後であり、例えば30分〜2時間経過後である。この収縮完了時点は、予め使用するセラミック材料を用いたパイロット試験により求めることができる。
なお、収縮完了後も焼結温度に維持するのは、セラミック粒子の粒成長を促進させるためであり、収縮完了後に、さらに1〜2時間程度焼結温度に維持することにより、セラミックスの粒成長が促進され、焼結が完了する。しかる後、上記降温過程により、常温まで冷却される。この場合、雰囲気を、その平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気とするように雰囲気を切り替え、さらに焼結を進める。
チタン酸バリウム系セラミックスでは、通常、上記収縮開始温度は1000〜1200℃程度であり、収縮完了温度は1200〜1400℃である。
降温過程においても、雰囲気は上記還元性雰囲気のままとする。
上記のようにして焼結を行うことにより、均一なセラミック焼結体2を得ることができる。これは、以下の理由によると考えられる。
まず、セラミックスの収縮が開始し、収縮が完了するまで、上記平衡酸素分圧よりも酸素側の雰囲気とすることにより、セラミックスの粒成長が抑制されるとともに、内部電極を構成しているNiの周囲への拡散が促進される。そして、Niが内部電極の周囲のセラミックスに十分に拡散された後、上記平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気で焼結を進めることにより、均一に分散しているセラミック粒子が均一に成長する。そのため、ガラス成分の内部電極積層部分から外側への移動が生じ難くなる。従って、ガラス成分の偏析が生じ難く、均一なかつ緻密なセラミック焼結体2を得ることができる。
上記のように、本発明の製造方法の特徴は、セラミックスの収縮完了までを、上記平衡酸素分圧よりも高い酸素分圧雰囲気で加熱することにより、不均一な焼結の進行によるガラス成分の偏析を抑制し、Niのような卑金属を十分に周囲に拡散させ、しかる後、収縮完了後には、上記平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気下で焼成を行うことにより、Niの酸化を抑制しつつ、均一な粒成長を実現し、それによって、緻密かつ均一なセラミック焼結体2を得ることにある。
次に、具体的な実験例を説明することにより本発明の効果を明らかにする。
上記積層セラミックコンデンサ1の製造に際し、チタン酸バリウム系セラミックスを主体とするセラミックグリーンシート上に、Niを主体とする導電ペーストを塗布し、該導電ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、上下に無地の適宜の枚数のセラミックグリーンシートを積層し、マザーの積層体を得た。このマザーの積層体を個々の積層コンデンサ単位の積層体に切断する。なお、内部電極積層数は300枚とした。
上記セラミック積層体を、下記の表1に示す焼成条件S1〜S9に従って焼成し、3.2mm×幅1.6mm×高さ1.4mmのセラミック焼結体2を得た。ここで、セラミック焼結体2内における内部電極間に挟まれたセラミック層の厚みは、焼成後で3μmであった。
上記セラミック焼結体2の両端面に、Cuを主体とする導電ペーストを塗布し、焼き付け、外部電極5,6を形成した。しかる後、外部電極5,6の表面に、Niめっき膜及びSnめっき膜を、それぞれ5μm及び3μmの厚みとなるように湿式めっき法により形成し、積層セラミックコンデンサ1を得た。
なお、使用したチタン酸バリウム系セラミックスでは、1100℃から焼結に際しての収縮が始まり、1100℃から1300℃まで3℃/分で昇温した場合、収縮完了温度は1300℃であることが予め確認されている。
下記の表1における焼結条件S1〜S9においては、いずれも、昇温開始時点から700℃までの酸素分圧は10-19MPaとした。また、700℃から1100℃の温度では、酸素分圧10-17.5〜10-10MPaの雰囲気とし、1100℃〜1300℃の範囲、すなわち収縮開始温度から焼結温度までの温度範囲については、下記の表1に示す各酸素分圧の雰囲気を用いた。
そして、焼結温度である1300℃に達した時点から、1300℃に維持し、1時間経過するまでの間は、下記の表1に示す酸素分圧の雰囲気とした。さらに、1300℃に維持して1時間経過した後から、4時間経過後までの間は、酸素分圧を10-9.5MPaとした。なお、1300℃から500℃まで降温する過程においては、酸素分圧は10-9.5〜10-17.5MPaの還元性雰囲気とした。
また、焼結温度は、上記のように1300℃とし、該1300℃の温度に4時間維持し、さらに1300℃までの昇温速度は3.0℃/分とした。
なお、表1においては、焼成条件S1〜S9の欄の上に、1100℃時点、1300℃時点の上記平衡酸素分圧値を参考までに併せて記載しておく。
Figure 0004561165
次に、上記焼成条件S1〜S9で得られた各セラミック焼結体を用いて構成された積層セラミックコンデンサについて、焼結体を破断し、クラックが発生しているか否かを評価した。クラックが発生しているセラミック焼結体の割合を下記の表2に示す。
Figure 0004561165
表2から明らかなように、焼成条件S3〜S5では、クラックの発生は皆無であった。これに対して、焼成条件S1,S2では、クラック不良発生率は15%及び10%と高かった。これは、1100℃すなわち収縮開始温度から1300℃すなわち収縮完了温度に至るまでの雰囲気が、平衡酸素分圧よりも還元性の雰囲気とされていたため、さらに1300℃に到達してから1時間経過後までも、上記1300℃における平衡酸素分圧濃度よりも還元性の雰囲気に維持されたため、均一なセラミック焼結体が得られず、焼結に際しての収縮量の差等により、クラックが生じがちであったためと考えられる。
他方、焼成条件S6及びS7では、1300℃に到達してから、1時間経過後までの雰囲気が、10-8.5MPa及び10-8.0MPaと還元性雰囲気であるため、同様に、均一な焼結体がえられず、クラック不良発生率が7%及び3%と高かった。
さらに、焼成条件S8及びS9においては、収縮開始時点における雰囲気が、10-10.9及び10-10.4MPaと還元性雰囲気であったためか、やはり均一なセラミック焼結体が得られず、クラック不良発生率が4%及び2%と高かった。
従って、表2の結果から明らかなように、図1に示すように、3℃/分の速度で昇温し、収縮開始温度である1100℃から収縮完了温度である1300℃に1時間維持して収縮が完了するまでの間の雰囲気を、平衡酸素分圧よりも還元性雰囲気とし、収縮完了時点以降は、上記平衡酸素分圧よりも酸素側の雰囲気とすることにより、ガラスの偏析を抑制し、セラミック粒子が均一に成長されている、均一なセラミック焼結体を確実に得られることがわかる。
なお、本発明では、積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサである必要は必ずしもない。例えば、積層型圧電セラミック部品等を本発明の製造方法に従って得てもよく、その場合には、セラミック材料としてチタン酸鉛系セラミックスのような圧電セラミックスが用いられる。
また、外部電極を構成する金属についても、Cuに限らず、Agなどの適宜の金属もしくは合金を用いることができる。さらに、外部電極表面に形成されるめっき膜についても、単層であってもよく、3層以上のめっき膜が形成されていてもよく、めっき膜を構成する材料についても特に限定されるものではない。
上記実施形態では、内部電極間に挟まれた内部電極層の厚みは3μmとされていたが、本発明は、このような内部電極間に挟まれたセラミック層の厚みが5μm以下の非常に薄い積層セラミック電子部品の製造に好適に用いることができる。すなわち、従来、内部電極間のセラミック層の厚みがこのように薄い積層セラミック電子部品では、均一なセラミック焼結体を得ることが困難であったのに対し、本発明の製造方法によれば、均一なセラミック焼結体を安定に得ることができる。
本発明の一実施形態の製造方法における焼成に際しての温度とセラミックスの収縮率の変化との関係を示す図。 本発明の一実施形態で得られる積層セラミックコンデンサを示す正面断面図。 従来の積層セラミックコンデンサの製造方法の問題点を説明するための横断面図。
符号の説明
1…積層セラミックコンデンサ
2…セラミック焼結体
2a,2b…端面
3,4…内部電極
5,6…外部電極
7〜10…めっき膜

Claims (6)

  1. 卑金属導電ペーストからなる内部電極層が未焼成のセラミック層を介して重なり合うように配置されている未焼成の積層体を用意する工程と、
    前記積層体を焼成し、前記内部電極を焼き付けて内部電極を形成するとともに、未焼成のセラミック層をセラミック焼結体層とする焼結工程と、
    前記内部電極に電気的に接続される外部電極を形成する工程とを備え、
    前記焼成工程は、焼結温度で一定時間維持する工程を有し、該一定時間維持する工程中にセラミック粒子が収縮完了し、
    前記焼結工程において、前記未焼成のセラミック層を構成しているセラミックスの焼結による収縮開始温度から収縮完了までの雰囲気を、卑金属と、卑金属酸化物との平衡酸素分圧以上の高い酸素分圧雰囲気とし、前記セラミックスの収縮完了以降の雰囲気を、前記卑金属と卑金属酸化物との平衡酸素分圧以下の還元性雰囲気とすることを特徴とする、積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記外部電極の形成が、前記セラミック焼結体の外表面に導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより行われる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記外部電極の形成が、未焼成の積層体の外表面に導電ペーストを塗布し、前記セラミック焼結体を得る焼結工程において該導電ペーストを焼き付けることにより行われる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記外部電極の外表面に湿式めっき法によりめっき膜を形成する工程をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記卑金属が、Niである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記内部電極間のセラミック層の厚みが、焼結後において5μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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