JP2003309039A - 積層セラミック電子部品の製造方法および積層セラミック電子部品 - Google Patents

積層セラミック電子部品の製造方法および積層セラミック電子部品

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JP2003309039A
JP2003309039A JP2002114362A JP2002114362A JP2003309039A JP 2003309039 A JP2003309039 A JP 2003309039A JP 2002114362 A JP2002114362 A JP 2002114362A JP 2002114362 A JP2002114362 A JP 2002114362A JP 2003309039 A JP2003309039 A JP 2003309039A
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Kazuaki Kawabata
和昭 川端
Akihiro Shimizu
昭宏 清水
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部電極が形成される内層部と内層部を挟む
ように位置し内部電極が形成されない外層部とに区分さ
れる電子部品本体を得るための焼成工程において、内層
部と外層部との間の収縮度合いの差により、デラミネー
ションが発生したり、クラックが生じたりすることがあ
る。 【解決手段】 焼成されるべき生の電子部品本体23の
外層部25において、焼成工程の後にバインダの焼失の
結果として残されるポア32の存在率が、内層部24側
ほどより高くなるように、内層部24側ほどバインダを
より多く含有するようにする。この場合、外層部25に
おける内層部24に接する生のセラミック層22aでの
バインダの含有率は、内層部24でのセラミック層22
のバインダの含有率より高くなるようにされることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数のセラミッ
ク層からなる積層構造を有する電子部品本体を備える積
層セラミック電子部品の製造方法およびこの製造方法に
よって得られた積層セラミック電子部品に関するもの
で、特に、電子部品本体でのデラミネーション防止を図
るための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この発明にとって興味ある積層セラミッ
ク電子部品として、たとえば、積層セラミックコンデン
サがある。図2には、この積層セラミックコンデンサの
一般的な構造が図解的に断面図で示されている。
【0003】図2を参照して、積層セラミックコンデン
サ1は、複数のセラミック層2からなる積層構造を有す
る電子部品本体3を備えている。電子部品本体3は、積
層方向に関して中間部に位置する内層部4と内層部4を
挟むように位置する外層部5とに区分される。
【0004】内層部4には、セラミック層2間の各界面
に沿って内部電極6および7が形成されている。内部電
極6および7は、電子部品本体3の第1の端面8にまで
引き出される第1の内部電極6と第1の端面8に対向す
る第2の端面9にまで引き出される第2の内部電極7と
に分類され、これら第1および第2の内部電極6および
7は、積層方向に関して交互に配置されている。
【0005】他方、外層部5には、内部電極が形成され
ていない。
【0006】また、電子部品本体3の第1および第2の
端面8および9上には、それぞれ、第1および第2の外
部電極10および11が形成されている。したがって、
第1の外部電極10は第1の内部電極6に接続され、第
2の外部電極11は第2の内部電極7に接続される。
【0007】このような積層セラミックコンデンサ1
は、通常、次のようにして製造される。
【0008】まず、セラミック層2となる複数枚のセラ
ミックグリーンシートが作製される。セラミックグリー
ンシートは、たとえばチタン酸バリウム系誘電体セラミ
ック材料の粉末、バインダおよび有機溶剤を少なくとも
含んでいる。
【0009】次に、特定のセラミックグリーンシート上
には、導電性ペーストが印刷により付与され、それによ
って、内部電極6または7となる導電性ペースト膜が形
成される。
【0010】次に、一方の外層部5を与えるように、導
電性ペースト膜が形成されていない適当枚数のセラミッ
クグリーンシートが積層され、次いで、内層部4を与え
るように、導電性ペースト膜によって内部電極6および
7が与えられるように位置合わせされた状態で、導電性
ペースト膜が形成された適当枚数のセラミックグリーン
シートが積層され、さらにその後、他方の外層部5を与
えるように、導電性ペースト膜が形成されていない適当
枚数のセラミックグリーンシートが積層される。
【0011】次いで、上述の積層構造物を積層方向にプ
レスした後、必要に応じて、カットし、それによって、
電子部品本体3の生の状態のものが得られる。
【0012】次に、生の電子部品本体3を脱脂し、次い
で本焼成する焼成工程が実施され、それによって、焼結
後の電子部品本体3が得られる。
【0013】次に、電子部品本体3の端面8および9上
に、導電性ペーストが付与され、焼付けられることによ
って、外部電極10および11が形成される。外部電極
10および11には、その後、必要に応じて、めっきが
施される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した積層セラミッ
クコンデンサ1を製造するための焼成工程では、誘電体
セラミック材料の絶縁性を損なわないようにするため、
1200℃以上の温度で焼成されるのが通常である。ま
た、不均一な焼結が生じることを防止するため、焼成工
程において、最高温度にて一定時間保持することが行な
われている。
【0015】他方、近年の積層セラミックコンデンサ1
に対する高容量化の要求に応じて、セラミック層2なら
びに内部電極6および7の多層化が進んでいる。このよ
うな多層化の下で、焼成工程において、前述したような
高温が適用され、しかも最高温度にて一定時間保持され
た場合、内部電極6および7が存在する内層部4と内部
電極が存在しない外層部5との間での収縮度合いの差が
原因となって、内層部4と外層部5との界面にデラミネ
ーションが生じやすいという問題に遭遇することがあ
る。
【0016】また、上述のようなデラミネーションに至
らないまでも、焼成後の電子部品本体3には、無視でき
ない残留歪みがもたらされていることになるので、たと
えば、外部電極10および11を形成するための焼付け
工程やその後のめっき工程といった外的要因により、内
層部4と外層部5との境界部分においてクラックのよう
な構造欠陥が発生しやすいという問題に遭遇することも
ある。
【0017】上述のような問題は、積層セラミックコン
デンサに限らず、内部電極が存在する内層部と内部電極
が存在しない外層部とを有する電子部品本体を備える他
の積層セラミック電子部品においても、同様に遭遇し得
るものである。
【0018】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、積層セラミック電子部品の製造方
法およびこの製造方法によって得られた積層セラミック
電子部品を提供しようとすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明は、各々バイン
ダを含む複数の生のセラミック層からなる積層構造を有
し、積層方向に関して中間部に位置する内層部と内層部
を挟むように位置する外層部とに区分され、内層部に
は、生のセラミック層間の各界面に沿って内部電極が形
成され、外層部には、内部電極が形成されていない、生
の電子部品本体を作製する工程と、生の電子部品本体を
焼成する、焼成工程とを備える、積層セラミック電子部
品の製造方法にまず向けられるものであって、上述した
技術的課題を解決するため、次のような構成を備えるこ
とを特徴としている。
【0020】すなわち、生の電子部品本体は、その外層
部において、焼成工程の後にバインダの焼失の結果とし
て残されるポアの存在率が内層部側ほどより高くなるよ
うに、内層部側ほどバインダを多く含有するように作製
されることを特徴としている。
【0021】上述のような構成を採用することにより、
焼成工程において、内層部と外層部との間での収縮度合
いの差を緩和することができる。
【0022】好ましくは、各外層部における内層部に接
する部分でのバインダの含有率は、内層部でのバインダ
の含有率より高くなるようにされる。これによって、上
述の収縮度合いの差の緩和作用をより確実に発揮させる
ことができる。
【0023】また、各外層部が、複数の積層された生の
セラミック層から構成される場合、各外層部を構成する
複数の生のセラミック層に含有されるバインダの含有率
が、内層部側の生のセラミック層ほどより高くなるよう
にされる。このような構成を採用すれば、外層部におけ
るバインダの含有率を、内層部側ほどより高くすること
が容易である。
【0024】この発明に係る製造方法は、特に積層セラ
ミックコンデンサの製造方法に有利に適用される。この
場合、電子部品本体には、第1の端面にまで引き出され
る第1の内部電極と第1の端面に対向する第2の端面に
まで引き出される第2の内部電極とが積層方向に関して
交互に配置され、電子部品本体の第1および第2の端面
上に、それぞれ、第1および第2の内部電極のいずれか
に接続されるように、外部電極を形成する工程がさらに
実施される。
【0025】この発明は、また、上述したような製造方
法によって得られた、積層セラミック電子部品にも向け
られる。この積層セラミック電子部品においては、各外
層部におけるポアの存在率は、内層部側ほどより高くな
っている。
【0026】
【発明の実施の形態】図1には、この発明の一実施形態
による積層セラミック電子部品としての積層セラミック
コンデンサ21の一部が拡大されて断面図で示されてい
る。
【0027】図1は、図2の一部を拡大して示したもの
と理解すればよく、図1に示した積層セラミックコンデ
ンサ21は、図2に示した積層セラミックコンデンサ1
と基本的な構成を共通にしている。
【0028】積層セラミックコンデンサ21は、複数の
セラミック層からなる積層構造を有する、電子部品本体
23を備えている。図1では、セラミック層の代表的な
ものとして、セラミック層22および22a〜22eが
図示されている。
【0029】電子部品本体23は、積層方向に関して中
間部に位置する内層部24とこの内層部24を挟むよう
に位置する外層部25(一方の外層部25のみが図示さ
れている。)とに区分される。前述したセラミック層2
2は内層部24に位置し、セラミック層22a〜22e
は外層部25に位置している。
【0030】内層部24には、セラミック層22および
22a間の各界面に沿って内部電極26および27が形
成されている。内部電極26および27は、電子部品本
体23の第1の端面28にまで引き出される第1の内部
電極26と第1の端面28に対向する第2の端面(図示
せず。)にまで引き出される第2の内部電極27とに分
類され、これら第1および第2の内部電極26および2
7が積層方向に関して交互に配置されている。
【0031】また、電子部品本体23の第1の端面28
および図示しない第2の端面上には、それぞれ、第1の
外部電極30および図示しない第2の外部電極が形成さ
れる。したがって、第1の外部電極30は第1の内部電
極26に接続され、図示しないが、第2の外部電極は第
2の内部電極27に接続される。
【0032】図1には、複数のポア32が小さな円によ
って図解的に示されている。このようなポア32の存在
率に関して、外層部25では、内層部24側ほどより高
くなるようにされている。この実施形態では、外層部2
5が複数のセラミック層22a〜22eで構成されてい
るので、表面側から内層部24側に向かって、セラミッ
ク層22e、22d、22c、22b、22aの順で、
ポア32の存在率がより高くなるようにされている。
【0033】また、外層部25における内層部24に接
する部分、すなわちセラミック層22aにおけるポア3
2の存在率は、内層部24すなわちセラミック層22で
のポア32の存在率より高くなるようにされることが好
ましい。
【0034】このような積層セラミックコンデンサ21
は、次のようにして製造される。
【0035】まず、セラミック層22および22a〜2
2eとなるべき複数のセラミックグリーンシートが作製
される。セラミックグリーンシートは、たとえばチタン
酸バリウム系のような誘電体セラミックの粉末、バイン
ダおよび有機溶剤を少なくとも含んでいる。前述したポ
ア32の存在率の調整は、バインダの含有率を変えるこ
とによって行なわれる。したがって、複数のセラミック
グリーンシートを作製するにあたっては、バインダの含
有率が異なる複数種類のセラミックグリーンシートが作
製される。
【0036】次に、特定のセラミックグリーンシート上
に、内部電極26または27となるべき導電性ペースト
膜が印刷等によって形成される。
【0037】次に、外層部25を与えるように、導電性
ペースト膜が形成されていない適当数のセラミックグリ
ーンシートが積層され、次いで、図1に示すような内部
電極26および27が形成されるように位置合わせされ
た状態で、内層部24を与えるように、導電性ペースト
膜が形成された適当数のセラミックグリーンシートが積
層され、さらにその後、もう一方の外層部25を与える
ように、導電性ペースト膜が形成されていない適当数の
セラミックグリーンシートが積層される。
【0038】上述の積層において、外層部25を与える
セラミックグリーンシートにあっては、そこに含有され
るバインダの含有率が、内層部24側のセラミックグリ
ーンシートほどより高くなるような順序で積層される。
【0039】次に、上述の積層構造物は、積層方向にプ
レスされ、その後、必要に応じてカットされる。このよ
うにして、電子部品本体23の生の状態のものが得られ
る。この生の電子部品本体23は、複数の生のセラミッ
ク層22および22a〜22eからなる積層構造を有し
ている。また、生の電子部品本体23の内層部には、生
のセラミック層22および22a間の各界面に沿って内
部電極26および27が形成され、外層部25には、内
部電極が形成されていない。
【0040】また、外層部25における内層部24に接
する部分、すなわち生のセラミック層22aでのバイン
ダの含有率は、内層部24における生のセラミック層2
2でのバインダの含有率より高くなるようにされること
が好ましい。この場合、生のセラミック層22aでのバ
インダの含有率は、後述する実験例から明らかなよう
に、生のセラミック層22でのバインダの含有率の2倍
以上とされることが好ましく、3.5倍以上とされるこ
とがより好ましい。
【0041】このようにして、電子部品本体23の生の
状態のものが得られた後、これを脱脂し、次いで本焼成
する、焼成工程が実施され、焼結後の電子部品本体23
が得られる。
【0042】次に、焼結後の電子部品本体23の第1の
端面28および第2の端面上に、導電性ペーストが付与
され、焼き付けられることによって、第1の外部電極3
0および第2の外部電極が形成される。その後、必要に
応じて、第1の外部電極30および第2の外部電極上に
めっきが施される。
【0043】以上のように、生の電子部品本体23にお
いて、外層部25におけるバインダの含有率が、内層部
24側ほどより高くなるようにされることにより、焼成
工程において生じる内層部24と外層部25との間の収
縮度合いの差を低減することができ、それによって、内
層部24と外層部25との界面において生じ得るデラミ
ネーションを抑制することができるとともに、焼結後の
電子部品本体23における残留歪みの低減により、たと
えば外部電極30等を形成するための焼付け工程やその
他の外的要因によって発生し得るクラック等の構造欠陥
も抑制することができる。
【0044】そして、得られた積層セラミックコンデン
サ21においては、前述したように、電子部品本体23
の外層部25におけるポア32の存在率は、内層部24
側ほどより高くなっている。
【0045】以上、この発明を、積層セラミックコンデ
ンサに関連して説明したが、内層部と外層部とに区分さ
れ、内層部に内部電極が形成された、電子部品本体を備
えるものであれば、積層セラミックコンデンサに限ら
ず、他の積層セラミック電子部品に対しても適用するこ
とができる。
【0046】次に、この発明の効果を確認するために実
施した実験例について説明する。
【0047】
【実験例】チタン酸バリウムを主成分とする誘電体セラ
ミック原料粉末を、これに溶剤を加えた状態でボールミ
ル等によって混合および分散処理し、スラリーを得た。
【0048】ここで、スラリーは、可塑剤を3.0重量
%含有するが、バインダについては、6.5重量%、1
0重量%、15重量%、20重量%および25重量%そ
れぞれ含有する5種類のものを作製した。
【0049】次に、得られた各スラリーを、0.5時
間、脱泡処理した。
【0050】次に、バインダを6. 5重量%含有するス
ラリーを用いて、内層部のための厚み3μmのセラミッ
クグリーンシートを成形した。
【0051】他方、外層部のためのセラミックグリーン
シートとして、バインダを6.5重量%、10重量%、
15重量%、20重量%および25重量%それぞれ含有
するスラリーを用いて、厚み10μmのセラミックグリ
ーンシートを成形した。
【0052】次に、内層部のためのセラミックグリーン
シート上に、平均粒径0.4μmのニッケル粉末を導電
成分として含む導電性ペーストをスクリーン印刷法によ
って印刷し、内部電極のための導電性ペースト膜を形成
し、次いで、セラミックグリーンシートを所定の寸法に
打ち抜いた。
【0053】次に、表1に示す積層順序および積層数と
なるように、一方の外層部を与えるセラミックグリーン
シートを合計20枚積層し、次いで、内層部のためのセ
ラミックグリーンシートを520枚積層し、さらにその
後、他方の外層部のためのセラミックグリーンシート
を、一方の外層部とは逆の積層順序で、合計20枚積層
した。
【0054】表1において示された「外層部バインダ含
有率」は、外層部のためのセラミックグリーンシートに
含まれるバインダ含有率を示している。また、「積層
数」は、そのバインダ含有率を有するセラミックグリー
ンシートの積層枚数を示している。また、表1におい
て、より左側に表面側に位置するものが示され、より右
側に内層部側に位置するものが示されている。
【0055】たとえば、表1に示した試料3について言
えば、表面側から内層部側に向かって、バインダ含有率
6.5重量%の6枚のセラミックグリーンシート、バイ
ンダ含有率10重量%の7枚のセラミックグリーンシー
ト、およびバインダ含有率15重量%の7枚のセラミッ
クグリーンシートが順に積層されたことを示している。
【0056】
【表1】
【0057】次に、上述のようにして得られた積層構造
物を、圧力1000Kg/cm2 、時間60秒間および
温度70℃の条件で積層方向にプレスし、その後、カッ
トし、それによって、積層セラミックコンデンサのため
の電子部品本体の生の状態のものを得た。この生の電子
部品本体の寸法は、長さ5.7mm、幅5.0mmおよ
び厚さ3.2mmであった。
【0058】次に、生の電子部品本体を、空気中におい
て、250℃の温度で5時間脱脂処理し、次いで、H2
−H2 O−N2 ガスによって雰囲気をコントロールしな
がら、最高温度1300℃で2時間の焼成を行なった。
【0059】このようにして得られた焼結後の電子部品
本体を、緩衝材および玉石とともにポットに入れ、18
0rpmの回転速度で回転させ、200μmのアールが
得られるように、90分間バレル研磨を施し、電子部品
本体の端面等を研磨するとともに、稜線部のアール面取
りを行なった。
【0060】次に、電子部品本体の端面上に、銅を含む
導電性ペーストを塗布し、800℃の温度で焼き付け、
外部電極を形成し、試料となる積層セラミックコンデン
サを作製した。
【0061】次に、表2に示すような項目について評価
した。
【0062】「外層部ポア存在率」は、焼成後の電子部
品本体を、その長さ方向寸法および厚み方向寸法によっ
て規定される面に沿って研磨し、鏡面に仕上げた後、市
販の画像認識装置を用い、20μm×20μmの領域内
でのポアの面積比率を求めたものである。なお、「外層
部ポア存在率」は、外層部に位置する、前述したバイン
ダ含有率が異なるセラミックグリーンシートの各々に対
応するセラミック層について調査した。
【0063】「デラミネーション発生率」は、焼成後の
電子部品本体を目視により観察し、全試料数100個に
対するデラミネーションが発生していた試料数の比率を
求めたものである。
【0064】「クラック発生率」は、クラックの発生を
加速するため、錫めっきに使用される錯化剤に電子部品
本体を24時間浸漬し、全試料数100個に対するクラ
ックが発生した試料数の比率を求めたものである。
【0065】
【表2】
【0066】まず、表1における「外層部バインダ含有
率」と表2における「外層部ポア存在率」とを対比すれ
ばわかるように、「外層部バインダ含有率」と「外層部
ポア存在率」との間に一定の相関関係があり、「外層部
バインダ含有率」が高くなるほど、「外層部ポア存在
率」が高くなる傾向があることがわかる。
【0067】試料1は、表1に示すように、「外層部バ
インダ含有率」が一定であり、また、内層部におけるバ
インダ含有率と同じである。その結果、表2に示すよう
に、デラミネーションが発生し、また、クラックも、多
く発生した。
【0068】これに対して、試料2〜5では、表1に示
すように、「外層部バインダ含有率」が、内層部側ほど
より高くなるようにされているので、表2に示すよう
に、デラミネーションの発生を防止でき、また、クラッ
クも、その発生率を低くすることができた。
【0069】また、これら試料2〜5では、表1に示す
ように、内層部側の「外層部バインダ含有率」が15重
量%以上というように、内層部におけるバインダ含有率
である6.5重量%より2倍以上高くなっていることに
も注目すべきである。特に、試料5のように、内層部側
の「外層部バインダ含有率」が25重量%であり、内層
部側のバインダ含有率である6.5重量%より3.5倍
以上とされたときには、表2に示すように、デラミネー
ションおよびクラックの双方について、その発生を完全
に防止することができることがわかる。
【0070】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、生の
電子部品本体の外層部において、焼成工程の後にバイン
ダの焼失の結果として残されるポアの存在率が、内層部
側ほどより高くなるように、内層部側ほどバインダをよ
り多く含有するようにされているので、焼成工程におけ
る内層部と外層部との間での収縮度合いの差を緩和する
ことができ、そのため、内層部と外層部との界面で発生
し得るデラミネーションを抑制できるとともに、残留歪
みの低減により、外部要因にて発生し得るクラックも抑
制することができる。
【0071】このようなことから、この発明は、近年、
多層化が進み、電子部品本体においてデラミネーション
やクラックが生じやすくなっている積層セラミックコン
デンサに対して特に有利に適用することができる。
【0072】この発明において、外層部における内層部
に接する部分でのバインダの含有率が、内層部でのバイ
ンダの含有率より高くなるようにされると、上述した収
縮度合いの差の緩和作用がより高められる。この場合に
おいて、外層部における内層部に接する部分でのバイン
ダの含有率が、内層部でのバインダの含有率の2倍以上
とされたり、より好ましくは、3.5倍以上とされたり
すると、収縮度合いの差の緩和作用をより確実に発揮さ
せることができる。
【0073】外層部が複数の積層された生のセラミック
層から構成される場合、外層部を構成する複数の生のセ
ラミック層に含有されるバインダの含有率が、内層部側
の生のセラミック層ほどより高くなるようにすれば、バ
インダの含有率を内層部側ほどより高くする構成を容易
に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコ
ンデンサ21の一部を拡大して示す断面図である。
【図2】この発明にとって興味ある従来の積層セラミッ
クコンデンサ1を示す断面図である。
【符号の説明】
21 積層セラミックコンデンサ 22,22a〜22e セラミック層 23 電子部品本体 24 内層部 25 外層部 26 第1の内部電極 27 第2の内部電極 28 第1の端面 30 第1の外部電極 32 ポア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E082 AB03 BC32 BC38 BC39 EE04 EE23 FF05 FG26 FG46 GG10 MM22 MM23 MM24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々バインダを含む複数の生のセラミッ
    ク層からなる積層構造を有し、積層方向に関して中間部
    に位置する内層部と前記内層部を挟むように位置する外
    層部とに区分され、前記内層部には、前記生のセラミッ
    ク層間の各界面に沿って内部電極が形成され、前記外層
    部には、内部電極が形成されていない、生の電子部品本
    体を作製する工程と、 生の前記電子部品本体を焼成する、焼成工程とを備え
    る、積層セラミック電子部品の製造方法であって、 生の前記電子部品本体は、その前記外層部において、前
    記焼成工程の後に前記バインダの焼失の結果として残さ
    れるポアの存在率が、前記内層部側ほどより高くなるよ
    うに、前記内層部側ほど前記バインダをより多く含有す
    るように作製される、積層セラミック電子部品の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 各前記外層部における前記内層部に接す
    る部分での前記バインダの含有率は、前記内層部での前
    記バインダの含有率より高くなるようにされる、請求項
    1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 各前記外層部は、複数の積層された前記
    生のセラミック層から構成され、各前記外層部を構成す
    る複数の前記生のセラミック層に含有される前記バイン
    ダの含有率は、前記内層部側の前記生のセラミック層ほ
    どより高くなるようにされる、請求項1または2に記載
    の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 積層セラミックコンデンサの製造方法に
    適用され、 前記電子部品本体において、第1の端面にまで引き出さ
    れる第1の前記内部電極と前記第1の端面に対向する第
    2の端面にまで引き出される第2の前記内部電極とが積
    層方向に関して交互に配置され、 前記電子部品本体の前記第1および第2の端面上に、そ
    れぞれ、第1および第2の前記内部電極のいずれかに接
    続されるように、外部電極を形成する工程とさらに備え
    る、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層セラミッ
    ク電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の製
    造方法によって得られた、積層セラミック電子部品であ
    って、 各前記外層部におけるポアの存在率は、前記内層部側ほ
    どより高くなっている、積層セラミック電子部品。
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