JPH07169644A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法

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JPH07169644A
JPH07169644A JP6134954A JP13495494A JPH07169644A JP H07169644 A JPH07169644 A JP H07169644A JP 6134954 A JP6134954 A JP 6134954A JP 13495494 A JP13495494 A JP 13495494A JP H07169644 A JPH07169644 A JP H07169644A
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atmosphere
ceramic
oxygen atmosphere
firing
electronic component
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JP6134954A
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English (en)
Inventor
Emiko Igaki
恵美子 井垣
Wataru Sakamoto
渉 坂本
Masakazu Tanahashi
正和 棚橋
Takashi Iguchi
隆 井口
Yoichi Okinaka
庸一 沖中
Koji Hirate
晃司 平手
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 PdあるいはPd合金とセラミックとを一体
焼結して積層セラミックコンデンサ等を製造する方法に
おいて、内部構造欠陥の発生を抑制しながら、経時変化
を含めた電気的な特性の低下を抑制し、大量焼成でも均
一に優れたものを製造する。 【構成】 Pdが大気中で酸化する温度域はPdが酸化
しない雰囲気中で焼成し、それ以上の温度域では、大気
中でPdOがPdに分解する温度以上の温度域で大気に
変換し、セラミックの焼結収縮温度域で雰囲気ガスを酸
素雰囲気に変換するか、あるいは酸素雰囲気中でPdO
がPdに分解する温度以上の温度域で、Pdが酸化しな
い雰囲気から直接、雰囲気ガスを酸素雰囲気へと変換
し、その後酸素雰囲気のまま昇温してセラミックを焼結
させる。さらには、Pdが酸化しない雰囲気として二酸
化炭素を含むガスを使用するか、酸素雰囲気への変換に
際しては前雰囲気ガスを減圧後酸素雰囲気へと変換する
ことにより行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック電子部品の
製造方法に関するものであり、主として積層セラミック
コンデンサなどのセラミック電子部品における電極とセ
ラミックを一体焼結するセラミック電子部品の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、PdあるいはPdを主要金属とす
る合金を電極として一体焼結した積層セラミックコンデ
ンサなどの電極一体型のセラミック電子部品は、セラミ
ック材料を焼結するに際して大気中で加熱昇温すること
により焼成されていた。PdあるいはPd合金を大気中
で焼成した場合、Pdは820℃までの温度で大気中の
酸素と結合して酸化が進行して酸化物(PdO)になる
が、820℃以上の温度になると酸化物(PdO)が分
解してPd金属に変わるため、820℃以上の温度で焼
結されるセラミックと同時に焼成した場合には、セラミ
ック材料の焼結と同時にPd金属電極あるいはPd合金
電極として形成される。
【0003】このような電極とセラミックを一体焼結す
るタイプのセラミック電子部品としては、例えば積層セ
ラミックコンデンサがある。すなわち、従来の積層セラ
ミックコンデンサを製造する場合には、内部電極として
Pd電極が多く用いられており、通常の場合、セラミッ
クシートと電極膜を交互に積み重ねたグリーンチップを
作り、脱バインダーを行った後大気中で焼成させて、積
層セラミック構造体の内部にPd電極を形成する方法が
行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにセラミック
シートと電極膜を交互に積み重ねたグリーンチップを大
気中で焼成した場合、内部電極のPdは脱バインダー時
に一時還元されるが、その後の焼成過程の中で大気中の
酸素と結合して一旦酸化されるため、上記内部電極の体
積が膨張し、積層構造体の内部電極部分の体積が増大し
てしまい、焼成後に内部構造欠陥を発生することが多い
という問題がある。
【0005】このため、上記チップを焼成させる際の焼
成条件として、大気中でPdが酸化される温度域ではP
dに対して不活性なガス雰囲気中あるいは真空中でチッ
プを焼成し、大気中でPdOが分解する温度以上の温度
域では大気中で焼成するという方法を開発したが、不活
性ガス雰囲気中で焼成した場合には、焼成するチップの
処理量あるいは処理方法によっては、脱バインダが充分
行われず、積層構造体内部にC分が残存したままセラミ
ックの焼結温度域まで昇温させることになり、積層セラ
ミック構造体に内部構造欠陥の発生や絶縁抵抗をはじめ
とした電気的諸特性の変動が生じたり、素子としての寿
命劣化を引き起こし易くなるという問題を有することが
ある。
【0006】本発明は、これらの問題点も解決し、積層
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品の内部構
造欠陥および経時変化を含めた電気的な特性の低下を抑
制し得る一体焼結タイプの再現性の高い製造方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、上
述の課題を解決するために、PdあるいはPdを主要金
属とする合金を電極とし、この電極とセラミックとを一
体焼結を行ってセラミック電子部品を製造する方法にお
いて、Pdが大気中で酸化される温度域ではPdが酸化
しない雰囲気中で焼成し、大気中でPdOが分解する温
度以上の温度域では雰囲気を大気に変換し、セラミック
の焼結収縮温度域では酸素雰囲気に変換するか、また
は、酸素雰囲気中でPdOが分解する温度以上の温度域
で、前記Pdが酸化しない雰囲気から直接酸素雰囲気へ
と変換し、その後酸素雰囲気中で昇温してセラミックを
焼結させることを特徴とする電極とセラミックの一体焼
結タイプのセラミック電子部品の製造方法である。
【0008】また、請求項2の発明は、前記セラミック
電子部品が積層セラミックコンデンサであることを特徴
とするセラミック電子部品の製造方法である。また、請
求項3の発明は、前記Pdが酸化しない雰囲気が、Pd
に対して不活性なガスあるいは真空であることを特徴と
し、請求項4の発明は、前記Pdに対して不活性なガス
の雰囲気が二酸化炭素、窒素の単独ガスかあるいはその
混合ガスであることを特徴とするセラミック電子部品の
製造方法である。また、請求項5の発明は、前記Pdに
対して不活性なガスの雰囲気が二酸化炭素あるいは二酸
化炭素を3%以上含むガスであることを特徴とするセラ
ミック電子部品の製造方法である。更に、請求項6の発
明は、前記酸素雰囲気の酸素濃度が90%以上であるこ
とを特徴とし、請求項7の発明は、前記酸素雰囲気への
変換法として焼成炉を一旦減圧した後に行うことを特徴
とし、請求項8の発明は前記酸素雰囲気での焼成をセラ
ミック焼結収縮終了まで行い、その後は大気中で焼成す
ることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法であ
る。
【0009】
【作用】セラミックとPd金属あるいはPdを主要金属
とする合金電極を交互に積層することにより得られる積
層構造体は、焼成前には各種有機バインダを成分として
含んでいるため、不活性ガス雰囲気中で焼成を行うと高
温域にまでチップ構造体内部にCが残存する。この構造
体内部の残存C分が完全に除去されないまま高温域での
焼成を行いセラミックを焼結させると、残存していたC
の影響で焼結体において内部構造欠陥の発生や絶縁抵抗
値の低下、寿命特性の低下などを引き起こす原因とな
る。
【0010】これに対し、本発明方法のように、焼成工
程の第1段階として、大気中でPdが酸化される温度域
ではPdの酸化が起こらない雰囲気で焼成し、第2段階
として大気中でPdOがPdへと還元する温度以上の温
度域では大気に変換し、さらにセラミックの焼結収縮温
度域で酸素雰囲気に変換し焼成を行うか、または第1段
階終了後、酸素雰囲気中でPdOがPdへと還元する温
度以上の温度域で、Pdが酸化しない雰囲気から直接酸
素雰囲気へと変換して焼成を行う方法の場合、第1段階
でPdの酸化を抑制することにより内部構造欠陥の発生
を抑制できると同時に、第2段階で積層セラミック構造
体内部から外部に通じるオープンポアが存在するうちに
内部に残存するC分を燃焼することができ、焼結体にお
ける残存Cによる構造欠陥および電気特性の低下を抑制
することができる。
【0011】しかし、処理量が量産レベルの大量になる
と前記方法でも残存Cの燃焼が不十分となり、焼結体の
電気的特性の低下を引き起こす。本発明方法ではさらに
残存C分の除去をスムーズに行うため、第2段階でのセ
ラミック焼結収縮温度域で大気雰囲気から酸素雰囲気に
変換する際に、あるいは酸素雰囲気中でPdOが分解す
る温度以上の温度域で直接Pdが酸化しない雰囲気から
酸素雰囲気へ変換する際に、雰囲気ガスを減圧すること
により取り除いた後酸素ガスを導入し、チップ構造体内
部にまで十分酸素導入を行い、最終酸素雰囲気で焼成す
るものであり、この方法により、チップの処理量に関係
なく円滑にしかも完全に残留C分を除去して焼成するこ
とができるものである。また、本発明の請求項5の方法
は、Pdに対して不活性なガスとしてCと反応するCO
2 ガスを用いることにより、焼成工程の第1段階でCの
除去をスムーズに行う方法である。
【0012】また、本発明の請求項8の方法は、セラミ
ックの焼結温度域において、セラミックの焼結収縮終了
時までを酸素雰囲気での焼成とし、その後は大気雰囲気
へと変換して焼成することにより、酸素雰囲気のみで最
終まで焼成した場合に発生するキュリー点のシフトを防
止し、大気雰囲気で焼成した場合と同等のキュリー点を
実現することができるものである。
【0013】このようにPdに対して不活性なガス雰囲
気中での焼成時に生じる残留C分を、高温域でのセラミ
ック焼結前に除去することによって、電極とセラミック
の一体焼結タイプのセラミック電子部品において、構造
欠陥を抑制しながら絶縁性などの電気的な諸特性が大幅
に改善され、素子としての寿命特性にも優れた性能が発
揮されるものである。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に述べ
る。 (実施例1)チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉
末と有機バインダーよりなる30μm厚のグリーンシー
トを作製し、金属成分として平均粒径0.4μmのPd
粉を用いた電極ペーストを3μm厚に印刷し、有効層3
0層からなる積層体構造のグリーンチップを作製した。
このグリーンチップを処理量約10000個として窒素
雰囲気中で100℃/hrの加熱速度で昇温し、400
℃で脱バインダーを行った後、次の2種類の方法で13
20℃まで昇温して焼成を行い、初期の絶縁抵抗値およ
び絶縁破壊電圧の測定を行った。 (1)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で大気に置換し、そのまま900℃から1
320℃まで大気中で焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で大気に置換し、さらに1100℃で酸素
雰囲気に変換して、そのまま1320℃まで酸素雰囲気
中で焼成した。 (3)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で酸素雰囲気へ置換し、そのまま900℃
から1320℃まで酸素雰囲気中で焼成した。 (4)900℃まで二酸化炭素中で昇温させて焼成。そ
の後900℃の時点で大気へ置換し、さらに1100℃
で酸素雰囲気に変換して、そのまま1320℃まで酸素
雰囲気中で焼成した。
【0015】これらの実験では、いずれの場合でも昇温
速度は200℃/hrとした。この結果、(1)の焼成
方法では絶縁抵抗の測定値および絶縁破壊電圧の平均値
が8×109 Ω,760V(500個の平均)となった
のに対し、本発明の方法である(2)の焼成方法では、
絶縁抵抗の測定値および絶縁破壊電圧の平均値が1.8
×1011Ω,1010V(500個の平均)であり、
(3)の焼成方法では、絶縁抵抗の測定値および絶縁破
壊電圧の平均値が4.5×1011Ω,1085V(50
0個の平均)、(4)の焼成方法では、絶縁抵抗の測定
値および絶縁破壊電圧の平均値が6.6×1011Ω,1
040V(500個の平均)であり、本発明の方法
(2)(3)(4)の焼成方法では、セラミック誘電体
層の絶縁特性および破壊電圧特性が、従来の方法(1)
に比べてはるかに向上していた。
【0016】(実施例2)実施例1と同様のグリーンチ
ップを、実施例1と同様の脱バインダーを行った後、次
の2種類の方法で1320℃まで焼成を行い、絶縁抵抗
の寿命試験(試験条件は、85℃,相対湿度85%,D
C200V,1000hr)を行った。 (1)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で大気に置換し、そのまま900℃から1
320℃まで大気中で焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で酸素雰囲気に置換し、そのまま昇温して
900℃から1320℃まで酸素雰囲気中で焼成した。
【0017】これらの実験では、いずれも昇温速度は2
00℃/hrとした。この結果、(1)の焼成方法では
1000時間後に抵抗値が1×108 Ω以下に減少した
ものが4個(試料数1000個中)あったのに対し、本
発明の方法である(2)の焼成方法では、1000時間
後の抵抗値が1×108 Ω以下に減少したものが0個
(試料数1000個中)となり、本発明の焼成方法
(2)によって焼成したチップでは優れた安定性の効果
が確認された。
【0018】(実施例3)実施例1と同様のグリーンチ
ップを、実施例1あるいは実施例2の場合のような約1
0000個の処理量から約100万個の処理量にスケー
ルアップして実施例1と同様の脱バインダーを行った
後、次の3種類の方法で1320℃まで焼成を行い、実
施例2と同様の絶縁抵抗の寿命試験を行った。 (1)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で大気に置換し、そのまま900℃から1
320℃まで大気中で焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温させて焼成。その後9
00℃の時点で酸素雰囲気に置換し、そのまま900℃
から1320℃まで酸素雰囲気中で焼成した。 (3)900℃まで二酸化炭素中で昇温させて焼成。そ
の後900℃の時点で酸素雰囲気に置換し、そのまま9
00℃から1320℃まで酸素雰囲気中で焼成した。
【0019】これらの実験では、いずれの場合も昇温速
度は200℃/hrとした。この結果、(1)の焼成方
法では1000時間後に抵抗値が1×108 Ω以下に減
少したものが23個(試料数1000個中)あったのに
対し、本発明の方法である(2)の方法では3個(試料
数1000個中)となり、さらに(3)の焼成法では0
個(試料数1000個中)となり優れた効果が確認でき
た。また、(3)の焼成方法において二酸化炭素の濃度
を3%とした窒素ガスとの混合ガスを用いた場合も同様
の効果が得られたが、二酸化炭素濃度を1%にまで下げ
た場合には、2個(試料数1000個中)が1×108
Ω以下となり、充分な効果が得られなかった。
【0020】(実施例4)実施例1と同様のグリーンチ
ップを処理量約500万個として、実施例1と同様の脱
バインダーを行った後、次の3種類の方法で1320℃
まで昇温して焼成を行い、初期の絶縁抵抗値の測定を行
った。 (1)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で大気雰囲気に置換し、さらに1100℃で
酸素雰囲気に変換して、そのまま1320℃まで酸素雰
囲気中で焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で大気雰囲気に置換し、さらに1100℃で
一度炉内のガスを減圧(100Torr)した後酸素雰
囲気に変換する操作を2回繰り返した後、酸素雰囲気の
まま1320℃まで焼成した。 (3)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で雰囲気ガスを一度減圧(100Torr)
した後酸素雰囲気へと置換し、その後酸素雰囲気のまま
1320℃まで焼成した。
【0021】これらの実験では、いずれの場合も昇温速
度は200℃/hrとした。この結果、(1)の焼成方
法で得られたチップでは絶縁抵抗の測定値が3×109
Ωから9×109 Ωとばらつき、平均値が7×109 Ω
(500個の平均)となったのに対し、本発明の方法で
ある(2)の焼成方法で得られたチップでは絶縁抵抗の
ばらつきは小さく、絶縁抵抗の平均値は8.5×1010
Ω(500個の平均)であり、また(3)の焼成方法に
おいても絶縁抵抗のばらつきは小さく、絶縁抵抗の平均
値は6.2×1010Ω(500個の平均)となり、本発
明の方法(2)(3)の焼成方法では、セラミック誘電
体層の絶縁特性が、大量焼成においても従来の方法
(1)に比べてはるかに向上していた。また、本発明の
方法(2)(3)の焼成方法において酸素雰囲気の酸素
濃度を90%程度に下げても、上記結果と同様の結果が
得られ、絶縁抵抗の平均値として5×1010Ω以上の値
(500個の平均)であり、充分絶縁特性の向上に効果
があった。
【0022】(実施例5)実施例1と同様のグリーンチ
ップを、実施例4と同様の処理量で、実施例1と同様の
脱バインダーを行った後、次の2種類の方法で1320
℃まで焼成を行い、絶縁抵抗の寿命試験(試験条件は8
5℃、相対湿度85%、DC200V、1000hr)
を行った。 (1)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で大気中に置換し、さらに1100℃で酸素
雰囲気に変換して、そのまま1320℃まで酸素雰囲気
中で焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で大気中に置換し、さらに1100℃で一度
炉内のガスを減圧(100Torr)した後酸素雰囲気
に変換する操作を2回繰り返した後、酸素雰囲気のまま
1320℃まで焼成した。
【0023】これらの実験では、いずれの場合も昇温速
度は200℃/hrとした。この結果、(1)の焼成方
法では1000時間後に絶縁抵抗値が1×108 Ω以下
に減少したものが1000個中6個であったのに対し、
本発明の方法である(2)の焼成方法では、1000時
間後に絶縁抵抗値が1×108 Ω以下に減少したものが
1000個中0個であり、本発明の焼成方法(2)によ
って焼成したチップでは大量焼成においても優れた寿命
特性の安定化効果が確認された。また、本発明の方法
(2)の焼成方法において酸素雰囲気の酸素濃度を90
%程度に下げても、上記結果と同様の結果が得られ、1
000時間後に絶縁抵抗値が1×108 Ω以下に減少し
たものが1000個中0個であり、充分寿命特性の安定
化に効果があった。
【0024】(実施例6)実施例1と同様のグリーンチ
ップを、実施例4と同様の処理量で、実施例1と同様の
脱バインダーを行った後、次の2種類の方法で1320
℃まで焼成を行い、初期の絶縁抵抗値の測定、キュリー
点の測定、絶縁抵抗の寿命試験(試験条件は85℃、相
対湿度85%、DC200V、1000hr)を行っ
た。 (1)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で雰囲気ガスを一度減圧(100Torr)
した後酸素雰囲気へと置換し、その後酸素雰囲気のまま
1320℃まで昇温、保持し焼成した。 (2)900℃まで窒素中で昇温して焼成。その後90
0℃の時点で雰囲気ガスを一度減圧(100Torr)
した後酸素雰囲気へと置換し、その後酸素雰囲気のまま
セラミックの焼結収縮が終了する1320℃到達時まで
焼成し、その後大気雰囲気に変換し1320℃で保持し
て焼成した。
【0025】これらの実験では、いずれの場合も昇温速
度は200℃/hrとした。この結果、(1)(2)の
焼成方法とも実施例4、5と同様、初期の絶縁抵抗値の
向上および寿命特性の安定化が確認された。キュリー点
の測定については、比較として実施例1と同様のグリー
ンチップを大気中で1320℃まで焼成を行った焼結体
についても評価を行った結果、(1)の焼成方法で得ら
れたチップではキュリー点が大気中焼成したチップに比
べ高温側にシフトし、その結果として常温での誘電損失
が大きくなっていることがわかった。一方、(2)の焼
成方法で得られたチップでは大気焼成したチップと同様
のキュリー点を有し、静電容量、誘電損失とも大気焼成
並みの良好な特性が得られた。
【0026】すなわち、上記実施例1から3の実験結果
からも明らかなように、本発明の方法は、大気中でPd
Oが分解する温度以上の温度域で、かつセラミックの焼
結収縮温度域において、または酸素雰囲気中でPdOが
分解する温度以上の温度域において、酸素雰囲気へ変換
して焼成を行うことにより、セラミックの焼結により外
部と遮断される前にチップ構造体内部の残留C分を除去
することを可能にするものである。また、焼成時の処理
量が多い場合には、Pdが酸化しない雰囲気を、Pdを
酸化させることなく残留C分をC+CO2 →2COとい
う反応により除去する効果を有する二酸化炭素雰囲気と
併用することで、残留C分の除去効果をさらに高めるこ
とができる。
【0027】また、上記実施例4、5の実験結果からも
明らかなように、本発明の方法は、酸素雰囲気への置換
方法として、雰囲気ガスを減圧後酸素雰囲気に変換する
ことにより、雰囲気ガスを素子内部からも充分に取り除
いた後に、酸素雰囲気を素子内部にまで充分侵入させ、
セラミックの焼結により外部と遮断される前にチップ構
造体内部の残存C分をさらに確実に除去することを可能
にするものである。以上のことより、素子としての寿命
を含めた電気的な諸特性を大幅に改善、均一化し、大量
焼成においても優れた特性が提供できるものである。
【0028】また、上記実施例6の実験結果からも明ら
かなように、本発明の方法は、セラミックの焼結収縮時
は酸素雰囲気中で焼成し、セラミックの焼結収縮終了後
は大気雰囲気に変換して焼成することにより、残存C分
の除去も充分行われ、絶縁抵抗値の向上や寿命特性の改
善が図れると同時に、大気焼成と同等の静電容量、誘電
損失等の初期特性を達成し得るものである。
【0029】上述の実施例において、Pd電極のかわり
に、Pdを主要金属とする合金電極を用いる場合、Pd
が酸化しない雰囲気を真空あるいは二酸化炭素と不活性
ガスの混合ガスとして焼成する場合においても同様の結
果が得られることはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明は、Pdあるいは
Pdを主要金属とする合金電極とセラミックとを一体焼
結する方法であって、Pdが大気中で酸化する温度域で
はPdが酸化しない雰囲気中で焼成し、その後大気中で
PdOがPdに分解する温度以上の温度域で大気雰囲気
に変換し、さらにセラミックの焼結収縮温度域では雰囲
気ガスを酸素雰囲気に変換するか、または酸素雰囲気中
でPdOがPdに分解する温度以上の温度域で、Pdが
酸化しない雰囲気から直接酸素雰囲気へと変換し、その
後酸素雰囲気中で昇温して焼成を行うと共に、酸素雰囲
気への雰囲気の置換法として、雰囲気ガスを減圧により
取り除いた後酸素雰囲気に変換することを特徴とするセ
ラミック電子部品の製造方法に係るものであるから、大
気中でPdOが分解する温度以上の温度域でかつセラミ
ックの焼結収縮温度域において、または酸素雰囲気中で
PdOが分解する温度以上の温度域において、雰囲気を
酸素雰囲気へ変換して焼成することにより、残留C分の
除去を促進し、内部構造欠陥の発生を抑制しながらかつ
絶縁抵抗値の低下や寿命特性の低下のない優れたセラミ
ック電子部品を製造することができるものである。
【0031】また、本発明の製造方法においては、Pd
が酸化しない雰囲気として二酸化炭素を含むガス雰囲気
を用いることにより、Pdを酸化させず酸化膨張による
内部構造欠陥を抑制しながら残存C分の除去を促進し、
あるいは雰囲気の減圧除去後に酸素雰囲気への置換をお
こなうことにより、さらに残存C分の除去を確実にし、
大量焼成においても再現よく均一に優れたセラミック電
子部品を提供することができるものである。また、セラ
ミックの焼結収縮終了時より酸素雰囲気から大気雰囲気
に変換して焼成を行うことにより、大気焼成なみの良好
な静電容量、誘電損失特性を有する優れたセラミック電
子部品を製造することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 隆 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 沖中 庸一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 平手 晃司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PdあるいはPdを主要金属とする合金
    を電極とし、この電極とセラミックとを一体焼結を行っ
    てセラミック電子部品を製造する方法において、Pdが
    大気雰囲気で酸化される温度域ではPdが酸化しない雰
    囲気中で焼成し、大気中でPdOが分解する温度以上の
    温度域では雰囲気を大気に変換し、セラミックの焼結収
    縮温度域では酸素雰囲気に変換するかまたは、酸素雰囲
    気中でPdOが分解する温度以上の温度域で、前記Pd
    が酸化しない雰囲気から直接酸素雰囲気へと変換し、セ
    ラミックの焼結収縮温度域以上では酸素雰囲気中で昇温
    してセラミックを焼結させることを特徴とする電極とセ
    ラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 セラミック電子部品が積層セラミックコ
    ンデンサであることを特徴とする請求項1記載のセラミ
    ック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 Pdが酸化しない雰囲気がPdに対して
    不活性なガスあるいは真空であることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のセラミック電子部品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 Pdに対して不活性なガスの雰囲気が二
    酸化炭素,窒素の単独ガスかあるいは、その混合ガスで
    あることを特徴とする請求項3記載のセラミック電子部
    品の製造方法。
  5. 【請求項5】 Pdに対して不活性なガスの雰囲気が二
    酸化炭素あるいは二酸化炭素を3%以上含むガスである
    ことを特徴とする請求項3記載のセラミック電子部品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 酸素雰囲気の酸素濃度が90%以上であ
    ることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の
    セラミック電子部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸素雰囲気への変換法として、焼成炉内
    を減圧することにより脱気した後、酸素雰囲気に変換す
    る操作を1回あるいは数回繰り返すことを特徴とする請
    求項1から6のいずれかに記載のセラミック電子部品の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 セラミックの焼結収縮温度域では酸素雰
    囲気で焼成し、焼結収縮終了時より大気雰囲気中で焼成
    を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記
    載のセラミック電子部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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