JP2933179B2 - 積層コンデンサ用誘電体の製造方法 - Google Patents

積層コンデンサ用誘電体の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた品質の積層コン
デンサを与えるように改良された鉛系ペロブスカイト誘
電体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉛系複合ペロブスカイト、例えばPb
(Mg1/3Nb2/3)O3‐PbTiO3の焼結体は、バイ
アス特性、高誘電特性のような電気的性質が優れている
ため、圧電素子材料、コンデンサ材料などの電子部品材
料として利用されている(特開平2−9756号公
報)。
【0003】ところで、この鉛系複合ペロブスカイトを
誘電体とし、銅を内部電極として積層コンデンサを製造
する場合、焼成工程に先立って、セラミックスの成形の
際に加えられたバインダーを酸化雰囲気中でバーンアウ
トすることが必要になるが、銅は極めて酸化しやすいた
め、バーンアウトの際銅酸化物を生じ、これが誘電体中
に拡散し、品質劣化の原因になる。また、このような不
都合を避けるために、銅の酸化しない還元雰囲気中でバ
ーンアウトを行うと、バインダーの分解が不十分になり
残留炭素発生の原因となる。
【0004】このような問題を解決するため、これまで
内部電極の原料として銅の代わりに銅酸化物を用い、空
気中でバーンアウトした後、還元処理して銅電極を形成
する方法が多数提案されている(特開昭62−2033
21号公報、特開昭63−15407号公報、特開昭6
3−15408号公報、特開昭63−250809号公
報、特開昭63−254714号公報、特開昭63−2
65411号公報、特開昭64−89311号公報)。
【0005】これらの方法は、バーンアウトを完全に行
うという点では極めて有力な方法であるが、還元処理の
際に内部電極の収縮を伴い、誘電体との接触不良をもた
らし、これにより静電容量のバラツキを生じるという欠
点がある。
【0006】他方、内部電極に銅合金を用い、銅酸化物
の拡酸を低減する方法も提案されているが(特開昭62
−210611号公報)、銅合金は比抵抗が大きく、銅
本来の好ましい低比抵抗という特性をそこなう上に、コ
スト高になるのを免れないという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉛系複合ペ
ロブスカイトを誘電体とし、銅を内部電極とする積層セ
ラミックコンデンサを製造する際に、従来方法で伴う、
残留炭素による比誘電率の低下、酸化銅の拡散による短
寿命化、内部電極の収縮による静電容量のバラツキなど
の欠点を克服し、優れた品質の積層コンデンサを与える
ことができる鉛系ペロブスカイト誘電体を製造すること
を目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鉛系複合
ペロブスカイトを誘電体とし、銅を内部電極とする積層
セラミックコンデンサについて種々研究を重ねた結果、
バーンアウトを水素と水蒸気と窒素の混合ガス雰囲気
中、特定の条件を用いて行うことにより、その優れた品
質の積層セラミックコンデンサを与える誘電体が得られ
ることを見い出し、この知見に基づいて本発明をなすに
至った。
【0009】すなわち、本発明は、原料混合物に仮焼、
粉砕、成形、バーンアウト、焼成の処理を施して鉛系複
合ペロブスカイトから成る積層コンデンサ用誘電体を製
造するに当り、バーンアウトを水素と水蒸気と不活性ガ
スとの混合ガス雰囲気中で行い、かつ室温から600℃
までの温度範囲で、かつ該混合ガス中の水素濃度を0.
01〜1000ppmの範囲に保つとともに、水素と水
蒸気とのモル比を[水素/水蒸気]としたとき、式
【数2】の関係が維持されるように制御することを特徴
とする積層コンデンサ用誘電体の製造方法を提供するも
のである。
【0010】本発明において、積層コンデンサ用誘電体
として用いる鉛系複合ペロベスカイトは、基本的には、
式Pb(Mg1/3Nb2/3)O3‐PbTiO3の組成を有
するものを挙げることができるが、これ以外にその組成
のAサイトの成分中のPb原子の一部にCa原子を導入
したもの、Bサイトの成分中にNi,W,Fe,Mg,
Nb,Mnを平均原子価が四価となるように組合せたも
のなど、あるいはこれらにさらにアルカリ土類金属の酸
化物、酸化銅、ケイ酸鉛などを添加したものも用いるこ
とができる。
【0011】このような鉛系複合ペロブスカイトは、そ
れを構成する金属の酸化物例えばPbO、MgO、Nb
23、TiO2、アルカリ土類金属の酸化物、PbSi
3など、あるいは焼成によりこれらの酸化物を生成し
うる化合物を、最終的に所望の組成が得られる割合で混
合し、仮焼したのち、得られた仮焼物を粉砕し、バイン
ダー例えばアクリル酸(エステル)系バインダーを加
え、成形し、乾燥、バーンアウトの工程を経て最後に1
000〜1050℃で焼成することにより製造される。
そして、本発明においては、前記バーンアウトの工程を
水素と水蒸気と窒素との混合ガス雰囲気中で行うことが
必要である。
【0012】すなわち、銅を内部電極とした鉛系ペロブ
スカイト化合物の積層セラミックコンデンサを製造する
には、銅の酸化を伴わないバーンアウトを行う必要があ
るため、還元作用を有する水素含有雰囲気が用いられ
る。
【0013】還元作用を有する気体としては、水素以外
に例えば一酸化炭素、炭化水素なども知られているが、
これらはいずれも有機物の燃焼の際に発生する気体と同
じものであるため、これらを雰囲気として用いるとバイ
ンダーの分解反応が阻害され、残留炭素が増大する。
【0014】次に、この雰囲気中には水蒸気を含ませる
ことが必要であるが、これは、水素と水との間の化学平
衡により、水素濃度が増大したときの酸素分圧の変化を
抑制し、かつバインダー中に含まれる炭化水素やバーン
アウトにより生成する残留炭素の除去を促進する作用が
ある。例えば炭化水素及び炭素は以下に示す反応式に従
って水蒸気と反応し、気体となって系外に発散する。
【化1】
【0015】この雰囲気は、さらに窒素のような不活性
ガスによって水素濃度0.01〜1000ppmの濃度
に希釈されていることが必要である。水素濃度が0.0
1ppmよりも低いと、還元作用が著しく小さくなり、
銅の酸化防止が不完全になるし、また、水素濃度が10
00ppmよりも高くなると鉛系誘電体材料が鉛にまで
還元され、絶縁抵抗が低下してコンデンサとしての機能
を示さなくなる。
【0016】次に本発明においては、雰囲気中の水素と
水蒸気のモル比の対数値log[水素/水蒸気]が−8
と−2の間になるように制御することが必要である。こ
の値が−8よりも小さくなると、酸素分圧の変化を緩衝
する作用が低下するし、また−2よりも大きくなると、
銅の一部に酸化を生じ、この状態で焼成を行うと、誘電
体に対する銅酸化物の拡散が起り、赤色を呈するように
なる。そして、銅の酸化がさらに増大すると、焼成時に
酸化銅の著しい拡散が進行する結果、電極が部分的に消
失し、静電容量の不足をきたす。
【0017】ところで、鉛系ペロブスカイトについて、
熱天秤によりその熱的挙動を観察すると、水素の存在下
で重量減少を起し、金属鉛を析出するが、この現象は、
2重量%以上の重量減少のときにのみ認められ、それよ
りも少ない重量減少のときには認められない。そして、
この重量減少は可逆的であり、酸素分圧を増大させると
元の重量に戻り、また重量減少した状態においては残留
炭素が著しく少なくなっている。
【0018】このような現象は、アルミナ、チタン酸バ
リウムなどの酸化物においては認められず、全く鉛系複
合ペロブスカイトに特有のものであるが、残留炭素の存
在においては、容易に還元が行われるため、その量を1
000ppm以下に抑制することが必要である。
【0019】ところで、窒素雰囲気中でメタクリル系バ
インダーをバーンアウトする場合は、600℃に48時
間保持しても約400ppm程度の残留炭素が認めら
れ、100ppm以下にするには、600℃で100時
間保持することが必要である。
【0020】さらに、高い温度を用いればより短時間で
残留炭素を減少させることができるが、600℃を越す
と鉛系複合ペロブスカイトが焼結しはじめ、ち密化する
ために外部への通気路が閉塞し、バインダーの分解が妨
げられるし、また、水蒸気の存在下、部分的に酸化銅が
生成した場合は650℃以上においてはこの酸化銅の急
速な拡散を生じ絶縁性をそこなうことになるので、バー
ンアウトの温度の上限は600℃にすることが望まし
い。
【0021】しかるに、本発明において、水素と水蒸気
を含有する窒素を雰囲気として用い、前記した条件下で
バーンアウトを行うと、30時間以内で残留炭素を10
0ppm以下にすることができる。
【0022】本発明方法に従い、積層コンデンサを製造
するには、例えば原料粉末にバインダーと溶剤を加えて
スラリとし、厚さ15μm程度のシートに成形し、銅電
極ペーストを印刷後積層し切断する。次いで、所定条件
下でバーンアウトしてバインダーを除去したのち、焼成
した。この際、焼成体に外部電極として市販の銅ペース
トを塗布し、窒素中で焼付け、また外部電極を同時焼成
することも可能である。
【0023】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 実施例1〜4、比較例1〜6 Pb(Mg1/3Nb2/3)O30.95モルとPbTiO3
0.05モルから構成された鉛系複合ペロブスカイトに
対し、MgO1モル%、CaO0.3モル%及びPbS
iO30.3モル%を添加した粉末混合物を、メタクリ
ル系バインダーを用いてシート成形し、印刷法により銅
電極を付設して、10層積層した。
【0024】次いで、この積層体をマグネシア板上に載
置し、100mm径のアルミナ製管状炉の中に入れ、室
温から200℃までは5℃/分、200℃から400℃
までは1℃/分、400℃から600℃までは5℃/分
の昇温速度で600℃まで加熱し、この温度に10時間
保持したのち、5℃/分の降温速度で冷却した。この際
の雰囲気としては、窒素と水素の混合ガスを所定の温度
に維持した水の中にバブリングさせて水蒸気を飽和させ
たものを用いた。
【0025】このようにして、表1に示す条件の雰囲気
を形成させバーンアウトしたのち、密閉マグネシア容器
中、同一ロットの粉体中に埋入し、酸素分圧logPo
2が−8.7、温度が900℃の条件下で2時間焼成す
ることにより3.2mm×1.6mm×1.0mmの寸
法の成形体を得た。このようにして得た試料の加速寿命
時間を表1に示す。
【表1】 この表から明らかなように、本発明の方法により得られ
た誘電体はいずれも長寿命のコンデンサを与える。
【0026】
【発明の効果】本発明方法により得られた鉛系ペロブス
カイトを誘電体とし、銅を内部電極とすると、残留炭素
による比誘電率の低下や酸化銅の拡散による寿命時間の
短縮のない、積層セラミックコンデンサを得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 真一 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ イーデイーケイ株式会社内 (72)発明者 沢村 建太郎 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ イーデイーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−110716(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 4/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料混合物に仮焼、粉砕、成形、バーン
    アウト、焼成の処理を施して鉛系複合ペロブスカイトか
    ら成る積層コンデンサ用誘電体を製造するに当り、バー
    ンアウトを水素と水蒸気と不活性ガスとの混合ガス雰囲
    気中で行い、かつ室温から600℃までの温度範囲で該
    混合ガス中の水素濃度を0.01〜1000ppmの範
    囲に保つとともに、水素と水蒸気とのモル比を[水素/
    水蒸気]としたとき、 【数1】 の関係が維持されるように制御することを特徴とする積
    層コンデンサ用誘電体の製造方法。
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