JP2000264729A - 誘電体組成物およびこれを用いたセラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体組成物およびこれを用いたセラミックコンデンサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼成時の耐還元性に優れ、高誘電率および低歪
み率を示すとともに容量温度特性に優れた誘電体組成物
を提供する。 【解決手段】少なくともチタン酸カルシウム、チタン酸
ストロンチウムおよびチタン酸バリウムを含有する誘電
体組成物であって、少なくともこれら3つの組成モル比
について、チタン酸カルシウムの組成モル比(P)が
0.5〜0.85、チタン酸ストロンチウムの組成モル
比(Q)が0.05〜0.4、チタン酸バリウムの組成
モル比(R)が0.1〜0.2、(但しP+Q+R=
1)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体組成物およ
びこれを用いたセラミックコンデンサに関し、焼成時の
耐還元性に優れ、高誘電率および低歪み率を示すととも
に容量温度特性に優れた誘電体組成物ならびに高絶縁抵
抗、高容量および低歪み特性を有し容量温度特性が平坦
であり内部電極に卑金属を用いることができるセラミッ
クコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックコンデンサなどに用いられる
誘電体組成物としては、チタン酸バリウム(BaTiO
)を主成分とした高誘電率のものが知られている
が、強誘電体であるが故に電圧の非線形特性が強く、歪
み率が−50dB〜−70dBと大きい。このため、カ
ップリング回路用コンデンサ、音響回路用コンデンサあ
るいは画像処理回路用コンデンサといった低歪み率が要
求されるコンデンサには、BaTiO系のコンデン
サは使用できず、専らフィルムコンデンサや電解コンデ
ンサなどが用いられているが、こうしたフィルムコンデ
ンサや電解コンデンサは小型化が困難であり、また表面
実装性に問題がある。
【0003】一方、セラミックコンデンサの中でも、C
aTiO、SrTiO、CaSrZrO
NdTiOといった常誘電体により構成されたもの
は、歪み率が低いのでカップリング回路や音響回路等に
用いることができるが、常誘電体であるが故に比誘電率
εrが30〜200と低く、高容量のコンデンサを得る
ことが困難である。
【0004】そこで、高誘電率および低歪み率の両方を
示す誘電体組成物として、SrTiO、Bi
iO、CaTiO、PbTiOを主成分と
したものが提案されている(たとえば特開平3−976
69号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、セラミック
コンデンサの内部電極には、白金Pt、金Auまたは銀
Agなどの貴金属が用いられているが、コストの点から
はニッケルなどの卑金属を用いることが望ましい。
【0006】上述した誘電体組成物は、蒸気圧が低いビ
スマスBiや鉛Pbを含んでいるため、還元雰囲気で焼
成するとこれらが蒸発してしまう。したがって、酸化雰
囲気での焼成が前提となるが、酸化雰囲気で焼成すると
内部電極に低コストの卑金属、たとえばニッケルを用い
た場合にニッケルが酸化されてしまい、結局、内部電極
には白金、金または銀などの貴金属を用いるほかなかっ
た。
【0007】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、焼成時の耐還元性に優れ、
高誘電率および低歪み率を示すとともに容量温度特性に
優れた誘電体組成物、ならびに高絶縁抵抗、高容量およ
び低歪み特性を有し容量温度特性が平坦であり内部電極
に卑金属を用いることができるコンデンサを提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)誘電率が大きくて
歪み率が小さく、しかも温度に対する容量変化率も小さ
い(以下、容量温度特性が平坦ともいう。)、バランス
のとれた誘電体組成物を得るために、本発明者らは鋭意
研究を行った結果、以下の知見を得た。
【0009】まず、歪み率は、誘電率の電界依存性およ
び非線形特性(すなわち強誘電性)に依存するが、これ
を抑制するための方策としては、誘電率の線形性を向上
させたり結晶異方性を低減させたりすることで強誘電性
を低減したり、常誘電相を利用することが有効であると
考えられる。ただし、強誘電性を低減すると誘電率が低
下するので、これらのバランスが重要となる。また、常
誘電体は負の容量温度特性を示し、強誘電体は正の容量
温度特性を示すので、容量温度特性についても、強誘電
体と常誘電体とのバランスが重要となる。
【0010】こうした誘電率、歪み率および容量温度特
性のバランスは、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロ
ンチウムおよびチタン酸バリウムの組成モル比を制御す
ることで好適なものとなる。本発明では、常誘電体であ
るチタン酸カルシウム(およびチタン酸ストロンチウ
ム)に強誘電体であるチタン酸バリウムを添加すること
で、常誘電相および強誘電相のバランスを図り、誘電率
が大きく、歪み率が小さく、しかも容量温度特性が平坦
である誘電体組成物を得ることができる。
【0011】すなわち、チタン酸バリウムの組成モル比
が増加すると、誘電率は大きくなるものの、歪み率も、
温度に対する容量変化率も大きくなる。これに対して、
チタン酸ストロンチウムの組成モル比が増加すると、歪
み率は小さくなるものの誘電率も小さくなる。また、チ
タン酸カルシウムの組成モル比が増加したときも、歪み
率は小さくなるものの誘電率も小さくなる。
【0012】また、チタン酸カルシウムとチタン酸スト
ロンチウムとを比べると、チタン酸カルシウムの組成モ
ル比が増加すると、温度に対する容量変化率は小さくな
るものの誘電率も小さくなる。これに対して、チタン酸
ストロンチウムの組成モル比が増加すると、誘電率は大
きくなるものの温度に対する容量変化率も大きくなる。
【0013】(2)こうした知見に基づき、第1の観点
による発明は、少なくともチタン酸カルシウム、チタン
酸ストロンチウムおよびチタン酸バリウムを含有する誘
電体組成物であって、これら3つの組成モル比について
少なくともチタン酸バリウムの組成モル比が0.3以下
であり、これらチタン酸カルシウム、チタン酸ストロン
チウムおよびチタン酸バリウムによる組成物が、正方晶
(tetragonal)または斜方晶(orthorhombic)の少なく
とも何れか一方の結晶構造を含むものである(図1参
照)。
【0014】チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチ
ウムおよびチタン酸バリウムからなる組成物は、これら
3つの組成比によってこの他にも不溶相(insolube)や
立方晶(cubic )を示すが、主として不溶相を示す組成
比では、歪み率が大きいので好ましくなく、主として立
方晶を示す組成比では、歪み率が大きく温度に対する容
量変化率も大きいので好ましくない。
【0015】また、チタン酸バリウムがリッチである領
域においても正方晶を示すが、この領域ではチタン酸バ
リウムの組成モル比が大きいため、誘電率は大きくなる
ものの歪み率も大きくなって、これら誘電率と歪み率と
のバランスが悪い。したがって、チタン酸バリウムの組
成モル比が0.3以下である領域の正方晶であることが
より好ましい。
【0016】上記発明において、得られる誘電体組成物
の結晶構造は、全てが正方晶または斜方晶の少なくとも
何れか一方からなるものではなく、主たる結晶構造が正
方晶または斜方晶の少なくとも何れか一方という意味で
ある。したがって、その一部に不溶相や立方晶等を含ん
でいても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0017】特に、チタン酸カルシウム、チタン酸スト
ロンチウムおよびチタン酸バリウムが、正方晶と斜方晶
との相転位点の近傍領域の組成比であるとき、誘電率と
歪み率とのバランスは勿論のこと容量温度特性(温度係
数)が良好となる。
【0018】(3)また、第2の観点による発明は、少
なくともチタン酸カルシウムおよびチタン酸バリウムを
含有する誘電体組成物であって、チタン酸カルシウムを
CT、チタン酸バリウムをBTとしたときに、 (CT)(BT)(F)1−x−y (Fは任意成
分)、 0.4≦x<1、0<y≦0.2 を満足する誘電体組成物である(図2参照)。なお、第
三成分Fは特に限定されない。
【0019】常誘電体であるチタン酸カルシウムと強誘
電体であるチタン酸バリウムとの組成比を制御すること
で、常誘電相および強誘電相のバランスを図り、誘電率
が大きくて歪み率が小さく、しかも容量温度特性が平坦
である誘電体組成物を得ることができる。
【0020】チタン酸バリウムの組成モル比(y)が大
きいと、誘電率は大きくなるものの歪み率も大きくなる
ので、誘電率と歪み率とのバランスをとるためには0<
y≦0.2であることがより好ましい。また、チタン酸
カルシウムの組成モル比(x)が小さいと、誘電率は大
きくなるものの温度に対する容量変化率も大きくなる
(容量温度特性が悪化する)ので、誘電率と容量温度特
性とのバランスをとるためには0.4≦x<1であるこ
とがより好ましい。
【0021】(4)第3の観点による発明は、少なくと
もチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび
チタン酸バリウムを含有する誘電体組成物であって、少
なくともこれら3つの組成モル比について、チタン酸カ
ルシウムの組成モル比(P)が0.5〜0.85、チタ
ン酸ストロンチウムの組成モル比(Q)が0.05〜
0.4、チタン酸バリウムの組成モル比(R)が0.1
〜0.2、(但しP+Q+R=1)である誘電体組成物
である(図3参照)。
【0022】常誘電体であるチタン酸カルシウムおよび
チタン酸ストロンチウムに、強誘電体であるチタン酸バ
リウムを添加することで、常誘電相および強誘電相のバ
ランスを図り、誘電率が大きくて歪み率が小さく、しか
も容量温度特性が平坦である誘電体組成物を得ることが
できる。
【0023】チタン酸カルシウムの組成モル比(P)が
小さいと、誘電率は大きくなるものの温度に対する容量
変化率も大きくなる(温度特性が悪化する)傾向があ
る。また、チタン酸ストロンチウムの組成モル比(Q)
が大きいと歪み率および温度に対する容量変化率の両方
が大きくなる傾向がある。さらに、チタン酸バリウムの
組成モル比(R)が大きいと、誘電率は大きくなるもの
の歪み率も大きくなる傾向がある。したがって、誘電
率、歪み率および容量温度特性のバランスをとるために
は、0.55≦P≦0.8、0.2≦Q≦0.35、
0.12≦R≦0.18であり、特に正方晶と斜方晶と
の相転位点の近傍領域であることがより好ましい。
【0024】(5)ちなみに、第2および第3の観点に
よる発明において、正方晶または斜方晶の少なくとも何
れか一方の結晶構造を含む誘電体組成物であることがよ
り好ましい。主として不溶相を示す組成比では、歪み率
が大きくなるので好ましくなく、主として立方晶を示す
組成比では歪み率も、温度に対する容量変化率も大きい
ので好ましくない。
【0025】(6)上述した第1乃至第3の観点による
発明においては、種々の添加物を含んでも良い。 (6−1)この種の添加物としては、MnO,CrOな
どの耐還元性助剤を挙げることができる。この耐還元性
助剤は、焼結を促進する効果と絶縁抵抗(I )を改善
する効果を有するが、多量に添加すると絶縁抵抗、誘電
損失(tanδ)および歪み率が悪化するので、0.1
〜1モル%とすることが好ましい。
【0026】(6−2)また、他の添加物として、ガラ
ス組成物などの焼結助剤を挙げることができる。
【0027】本発明で好適に用いられる焼結助剤として
は、G群:SiO,Al、M群:BaO,Ca
O,SrO、L群:LiO,NaO,KO,B
から選ばれる少なくとも1種以上のガラス組成物で
ある。
【0028】上記発明の誘電体組成物においては、焼成
温度が1340℃以上でないと充分な焼結体を得ること
ができず、この温度未満で焼成すると、誘電率の減少、
絶縁抵抗IRの低下が生じ、歪率が増加する。一方、S
iO,Al ,V ,MoO,WO
,Coの添加物は焼成温度を低下させる
副作用があるが、添加量を増加させると絶縁抵抗IRの
低下が生じてしまう欠点を有する。一般に焼成温度を低
下させることは、内部電極の途切れまたは太りなどの欠
陥の発生を抑制する効果と、内部電極の酸化、拡散を抑
制する効果がある。したがって、本発明のように焼結助
剤を添加することにより内部電極の状態が良好となり、
絶縁破壊強度信頼性等が向上する。また、焼結助剤の添
加によって容量温度特性にはあまり影響を与えない。
【0029】ただし、多量に添加すると焼結性にむらが
生じ、絶縁抵抗および歪み率が悪化し、少量すぎると低
温焼結性の効果がなくなるので、0.2〜5モル%とす
ることが好ましい。
【0030】焼結助剤として上記G群、M群およびL群
から選ばれる少なくとも1種以上のガラス組成物を用い
る場合、好ましくは、G群、M群およびL群の組成比を
三角図(G,M,L)で表したとき、焼結助剤の組成比
が下記点X1〜X5で囲まれた領域内(線上を含む)で
ある。
【0031】 X1:(0.0,0.0,1.0) X2:(0.0,0.5,0.5) X3:(0.1,0.65,0.25) X4:(0.5,0.0,0.5) X5:(0.65,0.05,0.3) また、より好ましくは、G群、M群およびL群の組成比
を三角図(G,M,L)で表したとき、焼結助剤の組成
比が下記点X1,X6,X7およびX5で囲まれた領域
内(線上を含む)である。
【0032】 X1:(0.0,0.0,1.0) X6:(0.0,0.2,0.8) X7:(0.3,0.4,0.3) X5:(0.5,0.0,0.5) (6−3)他の添加物として、V、MoO
、WO、Co の中から選ばれる少なく
とも1種以上の酸化物を挙げることができる。これら
は、焼結温度を低下させるとともに歪み率を低下させる
効果を有する。なかでもVが最も好ましい。
これらを多量に添加すると絶縁抵抗および誘電損失が著
しく悪化するので、0.01〜0.5mol%とするこ
とが好ましい。
【0033】(6−4)さらに他の添加物として、Nb
、Ta、Y 、La
、CeO、Gd、Dy
Hoの中から選ばれる少なくとも1種以上の
酸化物を挙げることができる。誘電損失を改善するとと
もに歪み率を低下させる効果を有する。これらは、0.
01〜0.2mol%とすることが好ましい。
【0034】(7)上述した本発明に係る誘電体組成物
は、内部電極と誘電体層とを有するセラミックコンデン
サの前記誘電体層の材料として好ましく用いられる。
【0035】この場合、前記内部電極が、NiまたはN
i合金で構成されていることがより好ましい。本発明に
係る誘電体組成物は耐還元性に優れているので還元雰囲
気中での焼結が可能となり、内部電極としてNiまたは
Ni合金を用いることができ、コストダウンを図ること
ができる。
【0036】なお、このセラミックコンデンサの構造等
は特に限定されず、積層型コンデンサの他、単板型コン
デンサも含む趣旨である。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図4は本発明の積層セラミックコン
デンサの実施形態を示す一部破断斜視図である。
【0038】この積層型セラミックコンデンサ1は、内
部電極11と誘電体層12とが交互に積層され、各内部
電極に接続している一対の外部電極13を有するもので
ある。
【0039】本例では、内部電極11はニッケルまたは
ニッケル合金から形成され、特に限定はされないがニッ
ケル合金としては、95重量%以上のニッケルと、マン
ガン、クロム、コバルト、アルミニウムなどの一種以上
の合金であることが好ましい。また、ニッケルまたはニ
ッケル合金中には微量成分として0.1重量%以下のリ
ン等が含有されていても良い。
【0040】内部電極11の厚み等の諸条件は目的や用
途に応じて適宜決定すればよいが、通常厚みは1〜5μ
m、特に2〜3μmである。
【0041】誘電体層12の材質は、チタン酸カルシウ
ム、チタン酸ストロンチウムおよびチタン酸バリウムを
含有するものである。これら3つの組成モル比について
は、前述のとおりである。このような組成物はペロブス
カイト型(ABO)構造をとり、そのA/B(モル
比)は、原料の品質によるが、0.99〜1.02の範
囲であれば充分に特性を満足する。
【0042】また、この誘電体組成物に、MnO,Cr
Oなどの耐還元性助剤を0.1〜1mol%、G群:S
iO,Al 、M群:BaO,CaO,Sr
O、L群:LiO,NaO,KO,Bから
選ばれる少なくとも1種以上のガラス組成物の焼結助剤
を0.2〜5mol%、V、MoO、W
、Coの中から選ばれる少なくとも1
種以上の酸化物を0.01〜0.5mol%、Nb
、Ta、Y、La
、CeO、Gd、Dy
、Hoの中から選ばれる少なくとも1種
以上の酸化物を0.01〜0.2mol%添加すること
が好ましい。
【0043】なお、外部電極13には、通常銅や銅合
金、ニッケルやニッケル合金等が用いられるが、銀や銀
とパラジウムの合金なども使用することができる。外部
電極13の厚みは任意であり目的や用途に応じて適宜決
定すればよいが、通常10〜50μmである。
【0044】また、このような積層型セラミックコンデ
ンサ1の形状やサイズは目的や用途に応じて適宜決定す
ればよい。たとえば直方体状の場合は、通常1.6〜
3.2mm×0.8〜1.6mm×0.6〜1.2mm
程度である。
【0045】本実施形態の積層型セラミックコンデンサ
1は以下のようにして製造することができる。まず、誘
電体層用ペースト、内部電極用ペースト、外部電極用ペ
ーストをそれぞれ製造する。
【0046】誘電体層用ペーストは、上述した誘電体組
成物の組成に応じた誘電体原料と有機ビヒクルとを混練
するか、または水溶系塗料として製造される。誘電体原
料には、上述した複合酸化物や酸化物となる各種化合
物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合
物などから適宜選択し、混合して用いることができる。
誘電体原料中の各化合物の含有量は焼成後に上述した誘
電体層の組成となるように決定すればよい。誘電体原料
は、通常平均粒子径0.1〜3.0μm程度の粉末とし
て用いられる。
【0047】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバイ
ンダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニル
ブチラールなどの通常の各種バインダから適宜選択すれ
ばよい。またこのとき用いられる有機溶剤も特に限定さ
れず、印刷法やシート法など利用する方法に応じてテル
ピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン
などの有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0048】また、水溶系塗料とは、水に水溶性バイン
ダ、分散剤などを溶解させたものであり、水溶系バイン
ダは特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロー
ス、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどから適宜選
択すればよい。
【0049】内部電極用ペーストは、上述した各種導電
性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述し
た導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネ
ート等と上述した有機ビヒクルとを混練して調製され
る。また、外部電極用ペーストも、この内部電極用ペー
ストと同様にして調製される。
【0050】上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有
量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダ
は1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とす
ればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分
散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体などから選択される添加
物が含有されても良い。
【0051】印刷法を用いる場合は、誘電体ペーストお
よび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート
などの基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基
板から剥離することでグリーンチップとする。これに対
して、シート法を用いる場合は、誘電体ペーストを用い
てグリーンシートを形成し、この上に内部電極ペースト
を印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとす
る。
【0052】次に、このグリーンチップを脱バインダ処
理および焼成する。脱バインダ処理は焼成前に行われ、
通常の条件で行えばよいが、特に内部電極層の導電材と
してニッケルやニッケル合金などの卑金属を用いる場合
には、空気雰囲気において、昇温速度を5〜300℃/
時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度
を180〜400℃、より好ましくは200〜300
℃、温度保持時間を0.5〜24時間、より好ましくは
5〜20時間とする。
【0053】グリーンチップの焼成雰囲気は、内部電極
層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定すれば
よいが、導電材としてニッケルやニッケル合金などの卑
金属を用いる場合には、焼成雰囲気の酸素分圧を1×1
−8〜1×10−12 気圧とすることが好ましい。
酸素分圧が低すぎると内部電極の導電材が異常焼結を起
こして途切れてしまい、酸素分圧が高すぎると内部電極
が酸化されてしまうからである。また、焼成の保持温度
は1100〜1400℃、より好ましくは1200〜1
380℃である。保持温度が低すぎると緻密化が不充分
となり、保持温度が高すぎると内部電極の異常焼結によ
る電極の途切れまたは内部電極材質の拡散により容量温
度特性が悪化するからである。
【0054】これ以外の焼成条件としては、昇温速度を
50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300
℃/時間、温度保持時間を0.5〜8時間、より好まし
くは1〜3時間、冷却速度を50〜500℃/時間、よ
り好ましくは200〜300℃/時間とし、焼成雰囲気
は還元性雰囲気とすることが望ましく、雰囲気ガスとし
てはたとえば窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを加湿し
て用いることが望ましい。
【0055】還元性雰囲気で焼成した場合は、コンデン
サチップの焼結体にアニールを施すことが望ましい。ア
ニールは誘電体層を再酸化するための処理であり、これ
により絶縁抵抗を増加させることができる。アニール雰
囲気の酸素分圧は、1×10 −6気圧以上、より好まし
くは1×10−5〜1×10−4気圧とする。酸素分圧
が低すぎると誘電体層の再酸化が困難となり、酸素分圧
が高すぎると内部電極が酸化されるおそれがある。アニ
ールの際の保持温度は、1100℃以下、より好ましく
は500〜1100℃である。保持温度が低すぎると誘
電体層の再酸化が不充分となって絶縁抵抗が悪化し、そ
の加速寿命も短くなる。また、保持温度が高すぎると内
部電極が酸化されて容量が低下するだけでなく、誘電体
素地と反応してしまい、容量温度特性、絶縁抵抗および
その加速寿命が悪化する。なお、アニールは昇温行程お
よび降温行程のみから構成することもできる。この場合
には、温度保持時間はゼロであり、保持温度は最高温度
と同義である。
【0056】これ以外のアニール条件としては、温度保
持時間を0〜20時間、より好ましくは6〜10時間、
冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは10
0〜300℃/時間とし、アニールの雰囲気ガスとして
は、たとえば窒素ガスを加湿して用いることが望まし
い。
【0057】ちなみに、上述した脱バインダ処理、焼成
およびアニール工程において、窒素ガスや混合ガスを加
湿するためには、たとえばウェッターなどを用いること
ができる。この場合の水温は5〜75℃とすることが望
ましい。
【0058】また、これら脱バインダ処理、焼成および
アニールは連続して行っても互いに独立して行っても良
い。これらを連続して行う場合には、脱バインダ処理の
のち冷却することなく雰囲気を変更し、続いて焼成の際
の保持温度まで昇温して焼成を行い、続いて冷却してア
ニールの保持温度に達したら雰囲気を変更してアニール
処理を行うことがより好ましい。
【0059】これに対して、これらを独立して行う場合
には、焼成に関しては脱バインダ処理時の保持温度まで
窒素ガスあるいは加湿した窒素ガス雰囲気下で昇温した
のち、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ま
しく、アニールの保持温度まで冷却したのちは、再び窒
素ガスまたは加湿した窒素ガス雰囲気に変更して冷却を
続けることが好ましい。また、アニールに関しては窒素
ガス雰囲気下で保持温度まで昇温したのち雰囲気を変更
しても良く、アニールの全工程を加湿した窒素ガス雰囲
気としても良い。
【0060】以上のようにして得られたコンデンサ焼成
体に、たとえばバレル研磨やサンドブラストにより端面
研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して
焼成し、外部電極を形成する。外部電極用ペーストの焼
成条件は、たとえば加湿した窒素ガスと水素ガスとの混
合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間程度と
することが好ましい。そして、必要に応じて外部電極の
表面にメッキなどにより被覆層を形成する。
【0061】このようにして製造された本実施形態のセ
ラミックコンデンサ1は、はんだ付けなどによってプリ
ント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
【0062】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、本発
明をさらに詳細に説明する。以下の実施例では、本発明
に係る誘電体組成物そのものの特性と、これを誘電体層
とする積層型セラミックコンデンサの特性とを評価し
た。
【0063】誘電体組成物の作製 粒径が0.1〜1μmのチタン酸バリウムBaTiO
、チタン酸ストロンチウムSrTiO、チタン
酸カルシウムCaTiO、酸化マンガンMnO、酸
化ケイ素SiO、酸化バナジウムV、必
要に応じて希土類酸化物(Nb、Ta
、Y、La、CeO、G
、Dy、Hoの中か
ら選ばれる少なくとも1種以上の酸化物)の材料粉末を
ボールミルにより16時間湿式混合し、これを乾燥する
ことによって誘電体材料とした。
【0064】母材となるチタン酸バリウムBaTiO
、チタン酸ストロンチウムSrTiO、チタン
酸カルシウムCaTiOは、BaCO、CaC
、SrCO、TiOをそれぞれ秤量し、ボ
ールミルを用いて16時間湿式混合し、これを乾燥した
のち、1150℃の温度で空気中にて焼成したものをボ
ールミルにより50時間湿式粉砕して作製した。
【0065】ちなみに、チタン酸バリウムBaTiO
、チタン酸ストロンチウムSrTiO、チタン
酸カルシウムCaTiOは、水熱合成粉、蓚酸塩法
などによって作製された原料を用いても同様の特性が得
られた。
【0066】測定用試料は、上記誘電体組成物に、バイ
ンダとしてのポリビニルアルコールを0.05重量%添
加して顆粒状になるようにバインダと誘電体組成物とを
混合した。次にこの顆粒状の誘電体組成物を0.3g秤
量して、外径12mm、厚み0.5mmになるように円
盤状にプレス成形した。
【0067】この成形体を、昇温時間300℃/時間、
保持温度800℃、保持時間2時間、空気および加湿し
た窒素ガス雰囲気(1×10−5気圧)の条件で脱バイ
ンダ処理を行った。
【0068】次いで、この成形体を、昇温速度200℃
/時間、保持温度1380℃、保持時間2時間、冷却速
度300℃/時間、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混
合ガス雰囲気(1×10−9気圧)の条件で焼成し、外
径が約10mm、厚みが0.5mmの焼成体を得た。ま
た、この焼成体を、保持温度900℃、保持時間9時
間、冷却速度300℃/時間、加湿した窒素ガス雰囲気
(1×10−5気圧)の条件でアニール処理した。な
お、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用
い、水温は35℃とした。
【0069】こうして得られた円盤状焼成体の両面に、
In−Gaを塗布することでφ6mmの電極を形成し、
これを誘電体組成物の試料(以下、円盤状試料ともい
う。)として、磁器特性、比誘電率、誘電損失および容
量温度特性を測定した。
【0070】積層型セラミックコンデンサの作製 これと並行して、積層型セラミックコンデンサを作製し
た。まず、誘電体層用ペーストについては、各誘電体原
料100重量%と、アクリル樹脂4.8重量%、塩化メ
チレン40重量%、酢酸エチル20重量%、ミネラルス
ピリット6重量%およびアセトン4重量%とをボールミ
ルにて混合し、ペースト化した。
【0071】内部電極用ペーストについては、平均粒径
0.2〜0.8μmのニッケル粒子100重量%と、有
機ビヒクル(エチレンセルロース樹脂8重量%をブチル
カルビトール92重量%に溶解したもの)40重量%
と、ブチルカルビトール10重量%とを3本ロールによ
り混練しペースト化した。
【0072】外部電極用ペーストについては、平均粒径
0.5μmの銅粒子100重量%と、有機ビヒクル(エ
チレンセルロース樹脂8重量%をブチルカルビトール9
2重量%に溶解したもの)35重量%と、ブチルカルビ
トール7重量%とを混練しペースト化した。
【0073】次に、上述した誘電体層用ペーストを用い
てPETフィルム上に厚さ4.5μmおよび15μmの
グリーンシートを形成し、この上に内部電極用ペースト
を印刷したのち、PETフィルムからグリーンシートを
剥離した。次いで、こうして得られた複数枚のグリーン
シートを積層し、加圧圧着することでグリーンチップを
作製した。内部電極を有するグリーンシートの積層数は
4層とした。
【0074】次いで、グリーンチップを所定サイズに切
断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを行って、
積層セラミック焼成体を得た。
【0075】この脱バインダ処理は、昇温時間15℃/
時間、保持温度280℃、保持時間8時間、空気雰囲気
の条件で行った。また、焼成は、昇温速度200℃/時
間、保持温度1380℃、保持時間2時間、冷却速度3
00℃/時間、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガ
ス雰囲気(1×10−9気圧)の条件で行った。アニー
ルは、保持温度900℃、保持時間9時間、冷却速度3
00℃/時間、加湿した窒素ガス雰囲気(1×10−5
気圧)の条件で行った。なお、それぞれの雰囲気ガスの
加湿にはウェッターを用い、水温は35℃とした。
【0076】次いで、この積層セラミック焼成体の端面
をサンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペース
トを端面に転写し、加湿した窒素ガスおよび水素ガス雰
囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電
極を形成し、積層セラミックコンデンサの試料を得た
(以下、コンデンサ試料ともいう。)。各試料のサイズ
は、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、誘電
体層の厚みは10μmおよび3μm、内部電極の厚みは
2.0μmであった。
【0077】こうして得られた積層セラミックコンデン
サの各試料について、容量温度特性および第三次高調波
歪み率(THD)を測定した。
【0078】評価項目および評価方法 磁器特性は、円盤状に成形されて焼成された円盤状試料
の寸法と質量とから、焼成時の縮率および磁器密度を算
出し、この結果から焼結性の評価とした。
【0079】また、円盤状試料について、LCRメータ
を用いて1kHz、1Vrmsの条件下における静電容
量および誘電損失(tanδ)を測定した。得られた静
電容量と、電極寸法および試料の厚みから比誘電率を算
出した。
【0080】容量の温度特性については、円盤状試料お
よびコンデンサ試料をLCRメータを用いて、−30℃
〜+85℃の温度範囲について1Vの電圧での静電容量
を測定し、基準温度を25℃としたときの容量変化割合
が±15%以内(電子機械工業会EIA規格のY5R特
性)を満足するかどうかを調べた。満足する場合を
「○」、満足しない場合を「×」とした。また、このY
5R特性を満足した代表的な試料1につき、−30℃〜
+85℃の温度範囲における容量変化率を測定した。こ
の結果を図6に示すが、良好な温度特性を示している。
【0081】第三次高調波歪み率(THD)は、コンデ
ンサ試料について、日本電子機械工業会規格EIAJ
RC2111の固定抵抗器の非直線性測定方法の手順に
したがい測定した。測定器は、RE TECNOLOG
Y AS社のCLT−1を使用した。全てのコンデンサ
試料について、10kHzの交流電圧を0.3V/μF
の電界強度で印加したときの第三次高調波歪み率を測定
した。
【0082】各試料の組成比等 チタン酸カルシウム(CT)、チタン酸ストロンチウム
(ST)およびチタン酸バリウム(BT)の組成比およ
び各種の添加物の添加量を、表1および表2に示すよう
に変えて上述した円盤状試料およびコンデンサ試料を作
製した。
【0083】表1は、MnO,V,SiO
などの添加物を固定し(具体的には、MnO=0.5モ
ル%、V=0.05モル%、SiO=0.
2モル%)、CT、STおよびBTの組成比のみを変え
た例であり、試料1〜試料26が本発明の実施例であ
り、試料27〜試料31が本発明の比較例である。それ
ぞれの組成比に対応する試料番号を図5に示す。
【0084】これに対して、表2は、CT、STおよび
BTの組成比を固定し(具体的には、CT=0.6モル
%、ST=0.25モル%、BT=0.15モル%)、
添加物の種類や添加量を変えた例であり、試料32〜試
料36が本発明の実施例であり、試料37〜試料41が
本発明の比較例である。
【0085】また、焼結助剤の有効性を確認するため
に、G群:SiO,Al 、M群:BaO,C
aO,SrO、L群:LiO,NaO,KO,B
の組成比を表3に示すように変えて、上述した積
層コンデンサ試料を作成した。表3は、チタン酸カルシ
ウム(CT)、チタン酸ストロンチウム(ST)および
チタン酸バリウム(BT)の組成比や焼結助剤以外の添
加物の添加量を固定し(具体的には、CT=0.55モ
ル%、ST=0.33モル%、BT=0.12モル%、
MnO=0.5モル%、V=0.05モル%)、
焼結助剤の組成比G,M,Lのみを変えた例であり、試
料42〜試料55が本発明の実施例であり、試料56〜
試料60が本発明の比較例である。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】考察 (1) 以上の結果を表1乃至表3に示す。表中、絶縁
抵抗IRの数値において、「mE+n」は「m×10
+n」を意味する。なお、焼結性の評価結果については
これらの表に示していないが、表1および表2の結果に
関し、試料38以外の試料については何ら問題はなかっ
た。ただし、試料38についてはSiOの添加量が少
ないため焼結性が悪く強度が不充分であった。
【0090】表1の結果から、まず誘電率、歪み率およ
び容量温度特性のバランスが最も好ましいのが、試料1
〜試料11である。これに次いで、試料12〜試料18
は、試料1〜試料11に比べて第三次高調波歪み率TH
Dがやや大きくなるものの、他の特性についてはきわめ
て良好である。また、試料19〜試料22は、試料1〜
試料11に比べると比誘電率が若干低下するものの、他
の特性についてはきわめて良好である。
【0091】これに対して、比較例である試料27〜試
料29は、比誘電率は大きいが第三次高調波歪み率TH
Dが著しく悪化する。また、試料30は、容量温度特性
Y5Rを満足しないし、試料31は誘電損失tanδが
著しく大きい。
【0092】また表2の結果から添加物については、以
下のことが理解される。まず、試料32,33と試料3
7との対比から、MnOの添加量を多くし過ぎると誘電
損失tanδおよび絶縁抵抗IRがともに悪化すること
がわかる。
【0093】また、試料34,35と試料38,39と
の対比から、SiOの添加量を多くしても少なくし
ても、誘電損失tanδおよび絶縁抵抗IRがともに悪
化することがわかる。
【0094】さらに、試料35,36と試料40,41
との対比から、V2O5の添加量を少なくすると誘電損
失tanδおよび絶縁抵抗IRの何れもが悪化し、多く
すると絶縁抵抗IRが悪化することがわかる。
【0095】ちなみに、MnOに代えてCrOを添加
し、またSiO2に代えてAlを添加し、上記と
同様の条件でそれぞれ評価したが、何れも同じ結果が得
られた。またVに代えてMoO、WO
、Coをそれぞれ添加し、またその他の
添加物としてmNb、Ta、Y
、La、CeO、Gd
、Dy、Ho を添加し
て、上記と同様の条件でそれぞれ評価したが、何れも同
じ結果が得られた。
【0096】(2)また、表3の結果については、図7
に示す三角図において、試料42,47,43,44,
53,46,45,48にて囲まれる領域、より好まし
くは、試料42,47,52,49,45,48にて囲
まれる領域のものが、全ての特性において良好である。
なお、比較例である試料56〜59は、焼成しても緻密
な焼結体が得られなかった。
【0097】なお、以上説明した実施形態および実施例
は、本発明の理解を容易にするために記載されたもので
あって、本発明を限定するために記載されたものではな
い。したがって、上記の実施形態および実施例に開示さ
れた各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計
変更や均等物をも含む趣旨である。
【0098】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により得られ
る誘電体組成物は、焼成時の耐還元性に優れ、高誘電率
および低歪み率を示すとともに容量温度特性に優れる。
また、この誘電体組成物により構成された本発明のコン
デンサは、高容量、高絶縁抵抗、低歪み率となり、容量
温度特性が平坦であり、しかも内部電極に卑金属を用い
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体組成物の主成分三元組成図であ
る。
【図2】本発明の誘電体組成物の主成分三元組成図であ
る。
【図3】本発明の誘電体組成物の主成分三元組成図であ
る。
【図4】本発明のコンデンサの実施形態を示す一部破断
斜視図である。
【図5】実施例における試料1乃至31の組成比を示す
三元組成図である。
【図6】実施例の容量温度特性(Y5R)を示すグラフ
である。
【図7】実施例における試料42乃至60の組成比を示
す三角図である。
【符号の説明】
1…積層型セラミックコンデンサ 11…内部電極 12…誘電体層 13…外部電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月31日(2000.1.3
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 亜紀子 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 増宮 薫里 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともチタン酸カルシウム、チタン酸
    ストロンチウムおよびチタン酸バリウムを含有する誘電
    体組成物であって、 これら3つの組成モル比について少なくともチタン酸バ
    リウムの組成モル比が0.3以下であり、 正方晶または斜方晶の少なくとも何れか一方の結晶構造
    を含むことを特徴とする誘電体組成物。
  2. 【請求項2】少なくともチタン酸カルシウムおよびチタ
    ン酸バリウムを含有する誘電体組成物であって、 チタン酸カルシウムをCT、チタン酸バリウムをBTと
    したときに、下記の関係式を満足することを特徴とする
    誘電体組成物。 【数1】(CT)(BT)(F)1−x−y (F
    は任意成分)、 0.4≦x<1、 0<y≦0.2
  3. 【請求項3】少なくともチタン酸カルシウム、チタン酸
    ストロンチウムおよびチタン酸バリウムを含有する誘電
    体組成物であって、少なくともこれら3つの組成モル比
    について、 チタン酸カルシウムの組成モル比(P)が0.5〜0.
    85、 チタン酸ストロンチウムの組成モル比(Q)が0.05
    〜0.4、 チタン酸バリウムの組成モル比(R)が0.1〜0.
    2、 但しP+Q+R=1 であることを特徴とする誘電体組成物。
  4. 【請求項4】正方晶または斜方晶の少なくとも何れか一
    方の結晶構造を含むことを特徴とする請求項2または3
    記載の誘電体組成物。
  5. 【請求項5】温度に対する静電容量の変化率が、少なく
    とも−30℃〜+85℃の温度範囲において±15%以
    内(基準温度は25℃)であることを特徴とする請求項
    1〜4の何れかに記載の誘電体組成物。
  6. 【請求項6】耐還元性助剤をさらに含有することを特徴
    とする請求項1〜5の何れかに記載の誘電体組成物。
  7. 【請求項7】焼結助剤をさらに含有することを特徴とす
    る請求項1〜6の何れかに記載の誘電体組成物。
  8. 【請求項8】前記焼結助剤は、下記G群、M群およびA
    群から選ばれる少なくとも1種以上のガラス組成物であ
    ることを特徴とする請求項7記載の誘電体組成物。 G群:SiO,Al M群:BaO,CaO,SrO L群:LiO,NaO,KO,B
  9. 【請求項9】前記焼結助剤を0.2モル%〜5モル%含
    有する請求項7または8記載の誘電体組成物。
  10. 【請求項10】前記G群、M群およびL群の組成比を三
    角図(G,M,L)で表したとき、前記焼結助剤の組成
    比が下記点X1〜X5で囲まれた領域内(線上を含む)
    である請求項8または9記載の誘電体組成物。 X1:(0.0,0.0,1.0) X2:(0.0,0.5,0.5) X3:(0.1,0.65,0.25) X4:(0.5,0.0,0.5) X5:(0.65,0.05,0.3)
  11. 【請求項11】前記G群、M群およびL群の組成比を三
    角図(G,M,L)で表したとき、前記焼結助剤の組成
    比が下記点X1,X6,X7およびX5で囲まれた領域
    内(線上を含む)である請求項8〜10記載の誘電体組
    成物。 X1:(0.0,0.0,1.0) X6:(0.0,0.2,0.8) X7:(0.3,0.4,0.3) X5:(0.5,0.0,0.5)
  12. 【請求項12】V、MoO、WO
    Coの中から選ばれる少なくとも1種以上の
    酸化物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜1
    1の何れかに記載の誘電体組成物。
  13. 【請求項13】Nb、Ta、Y
    、La、CeO、Gd
    、Dy、Hoの中から選ばれ
    る少なくとも1種以上の酸化物をさらに含有することを
    特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の誘電体組成
    物。
  14. 【請求項14】内部電極と誘電体層とを有するセラミッ
    クコンデンサであって、前記誘電体層が請求項1〜13
    の何れか記載の組成物で構成されていることを特徴とす
    るセラミックコンデンサ。
  15. 【請求項15】前記内部電極が、NiまたはNi合金で
    構成されていることを特徴とする請求項14記載のセラ
    ミックコンデンサ。
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