JP3389220B2 - 誘電体磁器組成物、電子部品および電子部品の製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物、電子部品および電子部品の製造方法

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JP3389220B2 JP2001032490A JP2001032490A JP3389220B2 JP 3389220 B2 JP3389220 B2 JP 3389220B2 JP 2001032490 A JP2001032490 A JP 2001032490A JP 2001032490 A JP2001032490 A JP 2001032490A JP 3389220 B2 JP3389220 B2 JP 3389220B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば積層型セ
ラミックコンデンサの誘電体層などとして用いられる誘
電体磁器組成物と、その誘電体磁器組成物を誘電体層と
して用いる電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の一例である積層型セラミック
コンデンサは、所定の誘電体磁器組成物からなるグリー
ンシート上に導電ペーストを印刷し、該導電ペーストを
印刷した複数枚のグリーンシートを積層し、グリーンシ
ートと内部電極とを一体的に焼成し、形成されている。
【0003】従来の誘電体磁器組成物は、低酸素分圧で
ある中性または還元性雰囲気下で焼成すると還元され、
半導体化する性質を有していた。このため、積層型セラ
ミックコンデンサを製造するに際しては、高酸素分圧で
ある酸化性雰囲気下で焼成することを余儀なくされてい
た。これに伴い、誘電体磁器組成物と同時に焼成される
内部電極材料としては、該誘電体磁器組成物が焼結する
温度で溶融せず、酸化性雰囲気下で焼成しても酸化され
ない高価な貴金属(たとえばパラジウムや白金など)を
用いる必要があり、製造される積層型セラミックコンデ
ンサの低価格化に対して大きな妨げとなっていた。
【0004】これに対して、安価な卑金属(たとえばニ
ッケルや銅など)を内部電極の材料として用いるために
は、中性または還元性雰囲気下において低温で焼成して
も半導体化せず、すなわち耐還元性に優れ、焼成後には
十分な比誘電率と優れた誘電特性(たとえば容量温度変
化率が小さいなど)とを有する誘電体磁器組成物を開発
することが必要である。
【0005】従来、内部電極の材料として卑金属を用い
ることができる誘電体磁器組成物として種々の提案がな
されている。
【0006】たとえば、特開昭63−224108号公
報では、(Sr1−x Ca (Ti1−y
Zr)Oで示される組成の誘電体酸化物(ただ
し、0.30≦x≦0.50、0.03≦y≦0.2
0、0.95≦m≦1.08)を主成分とし、この主成
分100重量部に対して、副成分として、MnをMnO
換算で0.01〜2.00重量部、SiO
0.10〜4.00重量部含有する誘電体磁器組成物が
開示してある。
【0007】また、特開昭63−224109号公報で
は、前記主成分に対し、前記MnおよびSiOに加
えて、さらにZnOを0.01〜1.00重量部含有す
る誘電体磁器組成物が開示してある。
【0008】さらに、特開平4−206109号公報で
は、(Sr1−x Ca(Ti1−y Zr
)Oで示される組成の誘電体酸化物(ただし、
0.30≦x≦0.50、0.00≦y≦0.20、
0.95≦m≦1.08)を主成分とし、その粉末粒径
を0.1〜1.0μmの範囲にしてある誘電体磁器組成
物が開示してある。
【0009】さらにまた、特公昭62−24388号公
報では、(MeO)TiOで示される組成の誘電
体酸化物(ただし、MeはSr、CaおよびSr+Ca
から選択された金属、kは1.00〜1.04)を主成
分とし、この主成分100重量部に対して、ガラス成分
として、LiO、M(ただし、MはBaO、CaO
およびSrOから選択される少なくとも1種の金属酸化
物)およびSiO を所定のモル比で用いたものを0.
2〜10.0重量部含有する誘電体磁器組成物が開示し
てある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公報記載の誘電体磁器組成物では、何れも焼成後の絶
縁抵抗の加速寿命が短く、該誘電体磁器組成物を用いて
ニッケルなどの卑金属製内部電極を有する積層型セラミ
ックコンデンサを製造した場合には得られる積層型セラ
ミックコンデンサの信頼性が低くなるといった問題があ
った。
【0011】また、該誘電体磁器組成物を用いて卑金属
製内部電極を有する積層型セラミックコンデンサを製造
する場合において、特に誘電体層を薄層化した場合に
は、絶縁抵抗(IR)が劣化しやすく、得られる積層型
セラミックコンデンサの初期絶縁抵抗の不良率が増加す
る問題もあった。
【0012】本発明の第1の目的は、焼成時の耐還元性
に優れ、焼成後には優れた容量温度特性を有し、しかも
絶縁抵抗の加速寿命を向上させることができる誘電体磁
器組成物を提供することである。本発明の第2の目的
は、優れた容量温度特性を有し、しかも絶縁抵抗の加速
寿命が向上され、信頼性が高められたチップコンデンサ
などの電子部品を提供することである。本発明の第3の
目的は、優れた容量温度特性を有し、電子部品に求めら
れる信頼性を維持しながら、かつ誘電体層を薄層化した
場合でも絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵抗の不良率
が少ないチップコンデンサなどの電子部品の製造方法を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る誘電体磁器組成物は、{(Sr1−
Ca)O}・(Ti1−y Zr)O
で示される組成の誘電体酸化物を含む主成分と、R
の酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、P
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なく
とも1種)を含む第4副成分とを少なくとも有する誘電
体磁器組成物であって、前記主成分に含まれる式中の組
成モル比を示す記号m、xおよびyが、 0.94<m<1.02、 0≦x≦1.00、 0≦y≦0.20の関係にあり、前記主成分100モル
に対する前記第4副成分の比率が、酸化物中のR換算
で、0.02モル≦第4副成分<2モルであることを特
徴とする。
【0014】好ましくは、前記第4副成分に含まれるR
の酸化物が、Sc、Y、Ce、Dy、Ho、Er、T
m、YbおよびLuの少なくとも一つの酸化物である。
好ましくは、本発明に係る誘電体磁器組成物は、前記第
4副成分に含まれるRの酸化物が、粒内に略均一に分布
している粒子を含有する。
【0015】好ましくは、本発明に係る誘電体磁器組成
物は、V、Nb、W、TaおよびMoの酸化物および/
または焼成後にこれらの酸化物になる化合物から選ばれ
る1種類以上を含む第1副成分をさらに有し、前記主成
分100モルに対する前記第1副成分の比率が、酸化物
中の金属元素換算で、0.01モル≦第1副成分<2モ
ルである。
【0016】好ましくは、本発明に係る誘電体磁器組成
物は、Mnの酸化物および/または焼成によりMnの酸
化物になる化合物を含む第2副成分をさらに有し、前記
主成分100モルに対する前記第2副成分の比率が、酸
化物中の金属元素換算で、0モル≦第2副成分<4モル
である。
【0017】好ましくは、本発明に係る誘電体磁器組成
物は、SiO、MO(ただし、Mは、Ba、Ca、
SrおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、
Li OおよびBから選ばれる少なくとも
1種を含む第3副成分をさらに有し、前記主成分100
モルに対する前記第3副成分の比率が、酸化物換算で、
0モル<第3副成分<15モルである。第3副成分は、
焼結助剤として機能すると考えられる。第3副成分の特
に好ましい態様は、以下に示すとおりである。より好ま
しくは、本発明に係る誘電体磁器組成物は、(S
,Ca1−p )SiO(ただし、pは0.3
≦p≦1)を含む第3副成分をさらに有し、前記主成分
100モルに対する前記第3副成分の比率が、酸化物換
算で、0モル<第3副成分<15モルである。この種の
第3副成分は、焼結助剤として機能すると考えられる。
【0018】好ましくは、本発明に係る誘電体磁器組成
物は、温度に対する静電容量変化率(△C)が、少なく
とも20〜85℃の温度範囲内において、−2000〜
0ppm/℃、好ましくは−1500〜0ppm/℃、
より好ましくは−1000〜0ppm/℃である。ただ
し、静電容量Cの基準温度は20℃である。
【0019】上記目的を達成するために、本発明に係る
電子部品は、誘電体層を有する電子部品であって、前記
誘電体層が、上記いずれかの誘電体磁器組成物で構成し
てあることを特徴とする。
【0020】好ましくは、本発明に係る電子部品は、前
記誘電体層と共に内部電極層とが交互に積層してあるコ
ンデンサ素子本体を有する。
【0021】好ましくは、本発明に係る電子部品は、前
記内部電極層に含まれる導電材がニッケルまたはニッケ
ル合金である。
【0022】上記目的を達成するために、本発明に係る
電子部品の製造方法は、上記いずれかの誘電体磁器組成
物を用いて誘電体ペーストを作製する工程と、内部電極
用ペーストを作製する工程と、前記誘電体ペーストおよ
び内部電極用ペーストを交互に積層して積層体を得る工
程と、前記積層体を、酸素分圧が10−10 〜10
−3Pa、好ましくは10−1 〜6×10−5
a、より好ましくは10−6〜6×10−5Paの雰囲
気下で焼成して焼結体を得る焼成工程と、前記焼結体を
熱処理する工程とを有する。
【0023】上記目的を達成するために、本発明に係る
電子部品の製造方法は、上記いずれかの誘電体磁器組成
物を用いて誘電体ペーストを作製する工程と、内部電極
用ペーストを作製する工程と、前記誘電体ペーストおよ
び内部電極用ペーストを交互に積層して積層体を得る工
程と、前記積層体を焼成して焼結体を得る焼成工程と、
前記焼結体を、酸素分圧が10−4Pa以上、好ましく
は10−1〜10Paの雰囲気下で熱処理する工程とを
有する。
【0024】好ましくは、本発明に係る電子部品の製造
方法は、前記内部電極用ペーストとして、ニッケルまた
はニッケル合金を用いる。なお、本発明に係る誘電体磁
器組成物において、第3副成分に含有されるSi
、MO、LiOおよびBのそれぞ
れは、少なくとも焼成後にこうした組成になっていれば
よい趣旨であり、焼成後にこれらの酸化物になる化合物
をも含む。
【0025】
【作用】本発明に係る誘電体磁器組成物では、比較的低
いmを有する特定組成の誘電体酸化物を含む主成分に対
して、特定の第4副成分を所定量添加することにより、
焼成時の耐還元性に優れ、焼成後には優れた容量温度特
性を有するとともに、第4副成分を添加しない場合に比
べて、絶縁抵抗の加速寿命が向上する。
【0026】本発明に係るチップコンデンサなどの電子
部品では、本発明に係る誘電体磁器組成物で構成してあ
る誘電体層を有するので、優れた容量温度特性を有し、
しかも絶縁抵抗の加速寿命が向上され、電子部品の信頼
性が向上する。
【0027】本発明に係る電子部品の製造方法では、比
較的低いmを有する特定組成の誘電体磁器組成物が積層
された積層体を、酸素分圧が10−10 〜10−3
aといった所定酸素分圧の雰囲気下で焼成を行うことに
より、優れた容量温度特性を有し、電子部品に求められ
る信頼性を維持しながら、誘電体層をたとえば層間4μ
m程度に薄層化した場合でも、得られるチップコンデン
サなどの電子部品の絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵
抗の不良率の発生を軽減できる。
【0028】本発明に係る電子部品の製造方法では、比
較的低いmを有する特定組成の誘電体磁器組成物が積層
された積層体を焼成して得られる焼結体を、酸素分圧が
10 −4Pa以上といった所定酸素分圧の雰囲気下で熱
処理(アニール)を行うことにより、優れた容量温度特
性を有し、電子部品に求められる信頼性を維持しなが
ら、誘電体層をたとえば層間4μm程度に薄層化した場
合でも絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵抗の不良率の
発生を効率的に軽減できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る積層セラミックコンデンサの断面図、図2は本発明の
実施例である試料13の容量温度特性を示すグラフ、図
3は本発明の実施例である試料3のTEM写真、図4は
本発明の実施例である試料3における粒界からの距離と
の濃度との関係を示すグラフ、図5は本発
明の実施例である試料9のTEM写真、図6は本発明の
実施例である試料9における粒界からの距離とY
の濃度との関係を示すグラフ、図7は第4副成分と
してのY添加の有無と、高温負荷寿命との関係を示すグ
ラフ、図8は本発明の実施例である試料12,13にお
けるVの添加量と高温負荷寿命時間との関係を示すグラ
フ、図9(A)および(B)は誘電体層の厚みを代えた
ときに、熱処理工程における酸素分圧と初期絶縁抵抗の
良品率との関係を示すグラフ、図10は第3副成分とし
ての(Sr,Ca1−p )SiOにおいてS
rの含有割合と、コンデンササンプルの初期絶縁抵抗
(IR)の良品率との関係を示すグラフである。
【0030】積層セラミックコンデンサ 図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品
としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と
内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素
子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両
端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部
電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してあ
る。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はない
が、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に
制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、
通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0m
m)×(0.3〜1.9mm)程度である。
【0031】内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子
本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するよう
に積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子
本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電
極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成
する。
【0032】誘電体層2 誘電体層2は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
本発明の誘電体磁器組成物は、{(Sr1−x Ca
)O}・(Ti 1−y Zr)Oで示
される組成の誘電体酸化物を含む主成分と、Rの酸化物
(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、
Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を
含む第4副成分とを少なくとも有する。この際、酸素
(O)量は、上記式の化学量論組成から若干偏倚しても
よい。
【0033】上記式中、xは、0≦x≦1.00、好ま
しくは0.30≦x≦0.50である。xはCa原子数
を表し、x、すなわちCa/Sr比を変えることで結晶
の相転移点を任意にシフトさせることが可能となる。そ
のため、容量温度係数や比誘電率を任意に制御すること
ができる。xを上記範囲とすると、結晶の相転移点が室
温付近に存在し、静電容量の温度特性を向上させること
ができる。ただし、本発明においては、SrとCaとの
比率は任意であり、一方だけを含有するものであっても
よい。
【0034】上記式中、yは、0≦y≦0.20、好ま
しくは0≦y≦0.10である。yを0.20以下とす
ることにより比誘電率の低下が防止される。yはZr原
子数を表すが、TiOに比べ還元されにくいZrO
を置換していくことにより耐還元性がさらに増して
いく傾向がある。ただし、本発明においては、必ずしも
Zrを含まなくてもよく、Tiだけを含有するものであ
ってもよい。
【0035】上記式中、mは、0.94<m<1.0
2、好ましくは0.97≦m≦1.015である。mを
0.94より大きくすることにより還元雰囲気下での焼
成に対して半導体化を生じることが防止され、mを1.
02未満とすることにより第4副成分を添加する効果が
得られる。
【0036】本発明の誘電体磁器組成物が、従来の誘電
体磁器組成物と異なる点は、mが0.94<m<1.0
2の範囲、すなわちmが比較的低い範囲で、所定の第4
副成分を所定量添加する点にある。所定の第4副成分を
所定量添加することにより、主成分のmが0.94<m
<1.02の範囲での誘電特性を劣化させることなく低
温焼成が可能となり、誘電体層を薄層化した場合でも絶
縁抵抗の加速寿命(高温負荷寿命)を向上でき、信頼性
を大幅に向上できる。その結果、コンデンサの小型化・
高容量化が可能となる。
【0037】本発明では、第4副成分は、Rの酸化物
(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、
Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を
含む。この第4副成分は、高温負荷寿命(絶縁抵抗の加
速寿命)を改善する効果の他、薄層化(たとえば4μm
程度)した際の初期IR不良率を改善する効果をも有す
る。この不良率改善の観点からは、Sc、Y、Ce、D
y、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも一
つの酸化物を含有させることがより好ましい。
【0038】本発明では、主成分100モルに対する第
4副成分の比率は、酸化物中のR換算で、0.02モル
≦第4副成分<2モル、好ましくは0.02≦第4副成
分≦0.6である。第4副成分の比率を、酸化物中のR
換算で、0.02モル≦第4副成分<2モルの範囲にす
ることにより、mが0.94<m<1.02の範囲にお
いて絶縁抵抗の加速寿命を向上できる。
【0039】本発明に係る誘電体磁器組成物では、前記
第4副成分に含まれるRの酸化物が、粒内に略均一に分
布している粒子を含有することが好ましい。本発明で
は、前記主成分に対して所定量の第4副成分を含有する
ものであるが、特に前記第4副成分におけるRの酸化物
が粒内に略均一に分布している粒子を含有することによ
り、高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)を向上させる
のに一層効果的である。
【0040】前記主成分のmが小さくなるにつれてRの
酸化物が粒内に略均一に分布している粒子を含有する傾
向がある。
【0041】また、本発明に係る誘電体磁器組成物で
は、V、Nb、W、TaおよびMoの酸化物および/ま
たは焼成後にこれらの酸化物になる化合物から選ばれる
1種類以上を含む第1副成分がさらに添加してあること
が好ましい。この第1副成分は、焼結温度を低下させる
とともに、絶縁抵抗の加速寿命を向上させる物質として
作用する。前記主成分100モルに対する第1副成分の
比率は、酸化物中の金属元素換算で、0.01モル≦第
1副成分<2モル、好ましくは0.04モル≦第1副成
分≦0.6モルである。第1副成分の比率を、酸化物中
の金属元素換算で、0.01モル≦第1副成分<2モル
の範囲にすることにより、mが0.94<m<1.02
の範囲で、絶縁抵抗の加速寿命を一層改善できる。好ま
しくは、第1副成分として、Vの酸化物および/または
焼成により酸化物になる化合物を、V換算で、0.01
モル以上2モル未満、より好ましくは0.04モル以上
0.6モル以下程度含有させる。こうした特定の第1副
成分を上記範囲で含有させることにより、高温負荷寿命
の向上により一層効果的である。
【0042】さらに、本発明に係る誘電体磁器組成物で
は、Mnの酸化物(たとえばMnO)および/または焼
成によりMnの酸化物になる化合物(たとえばMnCO
)を含む第2副成分がさらに添加してあることが好ま
しい。この第2副成分は、焼結を促進する効果を有し、
しかも誘電体層2をたとえば4μm程度に薄層化したと
きの初期絶縁抵抗(IR)不良率を低下させる効果も有
する。前記主成分100モルに対する第2副成分の比率
は、酸化物中の金属元素換算で、0モル≦第2副成分<
4モル、好ましくは0.05モル≦第2副成分≦1.4
モルである。第2副成分の添加量が4モル以上である
と、初期絶縁抵抗がとれない傾向があり、第2副成分の
添加量が0モル≦第2副成分<4モルの範囲では、添加
量が多いほど、初期IR不良率の発生を低減でき、添加
量が少ないほど、容量温度変化率を小さくできる。
【0043】さらにまた、本発明に係る誘電体磁器組成
物では、SiO、MO(ただし、Mは、Ba、C
a、SrおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元
素)、LiOおよびBから選ばれる少な
くとも1種を含む第3副成分がさらに添加してあること
が好ましい。この第3副成分は、主として焼結助剤とし
て作用するが、薄層化した際の初期絶縁抵抗の不良率を
改善する効果を有する。不良率改善の観点からは、Li
Oを含有させることがより好ましい。また、不良率
改善の観点からは、(Sr,Ca1−p )SiO
を含有させることがより好ましい。この場合におい
て、pは、0.3≦p≦1、好ましくは0.5≦p≦1
である。pはSr原子数を表すが、このpの値を増加さ
せることにより、初期IRの良品率を向上させることが
可能となる。前記主成分100モルに対する前記第3副
成分の比率は、酸化物換算で、0モル<第3副成分<1
5モル、好ましくは0.2モル≦第3副成分≦6モルで
ある。第3副成分の添加量を0モルより多くすることに
より、焼結性の改善に効果的であり、添加量を15モル
未満とすることにより、比誘電率の低下を抑え、十分な
容量を確保できる。
【0044】なお、図1に示す誘電体層2の積層数や厚
み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよ
い。また、誘電体層2は、グレインと粒界相とで構成さ
れ、誘電体層2のグレインの平均粒子径は、1〜5μm
程度あることが好ましい。この粒界相は、通常、誘電体
材料あるいは内部電極材料を構成する材質の酸化物や、
別途添加された材質の酸化物、さらには工程中に不純物
として混入する材質の酸化物を成分とし、通常ガラスな
いしガラス質で構成されている。
【0045】内部電極層3 内部電極層3に含有される導電材は、特に限定されない
が、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑
金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属
としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金と
しては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1
種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi
含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、
NiまたはNi合金中には、P,Fe,Mg等の各種微
量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内
部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい
が、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度で
あることが好ましい。
【0046】外部電極4 外部電極4に含有される導電材は、特に限定されない
が、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を
用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使
用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,C
uや、これらの合金を用いる。外部電極の厚さは用途等
に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μ
m程度であることが好ましい。
【0047】積層セラミックコンデンサの製造方法 本発明の誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコン
デンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、
ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリー
ンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷
または転写して焼成することにより製造される。以下、
製造方法について具体的に説明する。
【0048】まず、誘電体層用ペースト、内部電極用ペ
ースト、外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
【0049】誘電体層用ペースト 誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを
混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であ
ってもよい。
【0050】誘電体原料には、前述した本発明に係る誘
電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料
と、第1〜第4副成分を構成する原料とが用いられる。
主成分を構成する原料としては、Sr,Ca,Ti,Z
rの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合
物が用いられる。第1副成分を構成する原料としては、
V、Nb、W、TaおよびMoの酸化物および/または
焼成後にこれらの酸化物になる化合物から選ばれる1種
類以上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。第
2副成分を構成する原料としては、Mnの酸化物および
/または焼成によりMnの酸化物になる化合物の単一酸
化物または複合酸化物が用いられる。第3副成分を構成
する原料としては、SiO、MO(ただし、Mは、
Ba、Ca、SrおよびMgから選ばれる少なくとも1
種の元素)、LiOおよびBから選ばれ
る少なくとも1種の化合物が用いられる。第4副成分を
構成する原料としては、Rの酸化物(ただし、Rは、S
c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLu
から選択される少なくとも1種)が用いられる。
【0051】なお、焼成により酸化物になる化合物とし
ては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化
合物等が例示される。もちろん、酸化物と、焼成により
酸化物になる化合物とを併用してもよい。誘電体原料中
の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組
成物の組成となるように決定すればよい。これらの原料
粉末は、通常、平均粒子径0.0005〜5μm程度の
ものが用いられる。
【0052】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバイ
ンダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニ
ルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すれ
ばよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定
されず、印刷法やシート法等利用する方法に応じてテル
ピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン
等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0053】また、水溶系塗料とは、水に水溶性バイン
ダ、分散剤等を溶解させたものであり、水溶系バインダ
は、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロー
ス、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択
すればよい。
【0054】内部電極用ペースト,外部電極用ペースト 内部電極用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金
からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料と
なる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上
述した有機ビヒクルとを混練して調製される。また、外
部電極用ペーストも、この内部電極用ペーストと同様に
して調製される。
【0055】上述した各ペーストの有機ビヒクルの含有
量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バイ
ンダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度
とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各
種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添
加物が含有されても良い。
【0056】印刷法を用いる場合は、誘電体ペーストお
よび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート
等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基板
から剥離することでグリーンチップとする。これに対し
て、シート法を用いる場合は、誘電体ペーストを用いて
グリーンシートを形成し、この上に内部電極ペーストを
印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとする。
【0057】次に、このグリーンチップを脱バインダ処
理および焼成する。
【0058】脱バインダ処理 脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、特に内
部電極層の導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用
いる場合には、空気雰囲気において、昇温速度を5〜3
00℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、
保持温度を180〜400℃、より好ましくは200〜
300℃、温度保持時間を0.5〜24時間、より好ま
しくは5〜20時間とする。
【0059】焼成 グリーンチップの焼成雰囲気は、内部電極層用ペースト
中の導電材の種類に応じて適宜決定すればよいが、導電
材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合には、
焼成雰囲気の酸素分圧を好ましくは10−10 〜10
−3Paとし、より好ましくは10−10 〜6×10
−5Pa、さらに好ましくは10−6〜6×10−5
aとする。焼成時の酸素分圧が低すぎると内部電極の導
電材が異常焼結を起こして途切れてしまい、酸素分圧が
高すぎると内部電極が酸化されるおそれがある。酸素分
圧を10−10 〜6×10−5Paに調整することに
より、優れた容量温度特性を有し、しかも絶縁抵抗の加
速寿命が向上され、得られる積層型セラミックコンデン
サ1の信頼性を高めることができる。特に酸素分圧を1
−6〜6×10−5Paに調整することにより、優れ
た容量温度特性を有し、積層型セラミックコンデンサ1
に求められる信頼性を維持しながら、誘電体層2をたと
えば層間4μm程度に薄層化した場合でも、得られるコ
ンデンサ1の絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵抗の不
良率の発生を軽減できる。
【0060】焼成の保持温度は、1000〜1400
℃、より好ましくは1200〜1380℃である。保持
温度が低すぎると緻密化が不充分となり、保持温度が高
すぎると内部電極の異常焼結による電極の途切れまたは
内部電極材質の拡散により容量温度特性が悪化するから
である。
【0061】これ以外の焼成条件としては、昇温速度を
50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300
℃/時間、温度保持時間を0.5〜8時間、より好まし
くは1〜3時間、冷却速度を50〜500℃/時間、よ
り好ましくは200〜300℃/時間とし、焼成雰囲気
は還元性雰囲気とすることが望ましく、雰囲気ガスとし
てはたとえば、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを加湿
して用いることが望ましい。
【0062】還元性雰囲気で焼成した場合は、コンデン
サチップの焼結体にアニール(熱処理)を施すことが望
ましい。
【0063】アニール(熱処理) アニールは誘電体層を再酸化するための処理であり、こ
れにより絶縁抵抗を増加させることができる。アニール
雰囲気の酸素分圧は、好ましくは10−4Pa以上、よ
り好ましくは10−1〜10Paである。酸素分圧が低
すぎると誘電体層2の再酸化が困難となり、酸素分圧が
高すぎると内部電極層3が酸化されるおそれがある。特
に、本発明の誘電体磁器組成物を焼成して得られる焼結
体を熱処理するに際し、酸素分圧を10−1〜10Pa
の範囲に調整することにより、優れた容量温度特性を有
し、積層型セラミックコンデンサ1に求められる信頼性
(絶縁抵抗の加速寿命)を維持しながら、誘電体層をた
とえば層間4μm程度に薄層化した場合でも得られる積
層型セラミックコンデンサ1の絶縁抵抗が劣化し難く、
初期絶縁抵抗の不良率の発生を軽減するのに一層効果的
である。
【0064】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、より好ましくは500〜1100℃である。保持温
度が低すぎると誘電体層の再酸化が不充分となって絶縁
抵抗が悪化し、その加速寿命も短くなる傾向がある。ま
た、保持温度が高すぎると内部電極が酸化されて容量が
低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、容
量温度特性、絶縁抵抗およびその加速寿命が悪化する傾
向がある。なお、アニールは昇温行程および降温行程の
みから構成することもできる。この場合には、温度保持
時間はゼロであり、保持温度は最高温度と同義である。
【0065】これ以外のアニール条件としては、温度保
持時間を0〜20時間、より好ましくは6〜10時間、
冷却速度を50〜500℃/時間、より好ましくは10
0〜300℃/時間とし、アニールの雰囲気ガスとして
は、たとえば、窒素ガスを加湿して用いることが望まし
い。
【0066】なお、上述した焼成と同様に、前記脱バイ
ンダ処理およびアニール工程において、窒素ガスや混合
ガスを加湿するためには、たとえばウェッター等を用い
ることができ、この場合の水温は5〜75℃とすること
が望ましい。
【0067】また、これら脱バインダ処理、焼成および
アニールは連続して行っても互いに独立して行っても良
い。これらを連続して行う場合には、脱バインダ処理の
のち冷却することなく雰囲気を変更し、続いて焼成の際
の保持温度まで昇温して焼成を行い、続いて冷却してア
ニールの保持温度に達したら雰囲気を変更してアニール
処理を行うことがより好ましい。一方、これらを独立し
て行う場合には、焼成に関しては脱バインダ処理時の保
持温度まで窒素ガスあるいは加湿した窒素ガス雰囲気下
で昇温したのち、雰囲気を変更してさらに昇温を続ける
ことが好ましく、アニールの保持温度まで冷却したのち
は、再び窒素ガスまたは加湿した窒素ガス雰囲気に変更
して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに関
しては窒素ガス雰囲気下で保持温度まで昇温したのち雰
囲気を変更しても良く、アニールの全工程を加湿した窒
素ガス雰囲気としても良い。
【0068】以上のようにして得られたコンデンサ焼成
体に、たとえば、バレル研磨やサンドブラストにより端
面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写し
て焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペースト
の焼成条件は、たとえば、加湿した窒素ガスと水素ガス
との混合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間
程度とすることが好ましい。そして、必要に応じて外部
電極4の表面にメッキ等により被覆層(パッド層)を形
成する。
【0069】このようにして製造された本実施形態のセ
ラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリン
ト基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
【0070】以上本発明の実施形態について説明してき
たが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0071】たとえば、上述した実施形態では、本発明
に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示
したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミッ
クコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成
物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも
良い。
【0072】
【実施例】次に、本発明の実施の形態をより具体化した
実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、
本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
【0073】実施例1 まず、誘電体材料を作製するための出発原料として、そ
れぞれ平均粒径0.1〜1μmの主成分原料(SrCO
、CaCO、TiO、ZrO)および第
1〜第4副成分原料を用意した。MnOの原料には炭酸
塩(第2副成分:MnCO)を用い、他の原料には
酸化物(第1副成分:V、第3副成分:Si
+CaO、第4副成分:Y)を用い
た。なお、第3副成分であるSiO+CaOは、S
iOおよびCaOをボールミルにより16時間湿式
混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さら
に、ボールミルにより100時間湿式粉砕して得られる
CaSiOを用いても同様の特性が得られた。
【0074】これらの原料を、組成式{(Sr1−x
Ca)O}・(Ti1−y Zr)O
(主成分)+V(第1副成分)+MnC
(第2副成分)+(SiO+CaO)(第3
副成分)+Y(第4副成分)において、焼成
後の組成が表1〜表4に示す配合比になるように秤量し
た後、これらをそれぞれボールミルにより、約16時間
湿式混合し、これを乾燥することによって誘電体磁器組
成物(誘電体材料)を得た。
【0075】このようにして得られた乾燥後の誘電体原
料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、塩化
メチレン40重量部と、酢酸エチル20重量部と、ミネ
ラルスピリット6重量部と、アセトン4重量部とをボー
ルミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを
得た。
【0076】次いで、平均粒径0.2〜0.8μmのN
i粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロー
ス8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解した
もの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部と
を3本ロールにより混練してペースト化し、内部電極層
用ペーストを得た。
【0077】次いで、平均粒径0.5μmのCu粒子1
00重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8
重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したも
の)35重量部およびブチルカルビトール7重量部とを
混練してペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
【0078】次いで、上記誘電体層用ペーストを用いて
PETフィルム上に、厚さ6μmのグリーンシートを形
成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのち、
PETフィルムからグリーンシートを剥離した。次い
で、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート
(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、
圧着してグリーンチップを得た。内部電極を有するシー
トの積層数は4層とした。
【0079】次いで、グリーンチップを所定サイズに切
断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)
を行って、積層セラミック焼成体を得た。脱バインダ処
理は、昇温時間15℃/時間、保持温度280℃、保持
時間8時間、空気雰囲気の条件で行った。また、焼成
は、昇温速度200℃/時間、保持温度1200〜13
80℃、保持時間2時間、冷却速度300℃/時間、加
湿したN+H混合ガス雰囲気(酸素分圧は2×
10−7〜5×10−4Pa内に調節)の条件で行っ
た。アニールは、保持温度900℃、温度保持時間9時
間、冷却速度300℃/時間、加湿したNガス雰囲
気(酸素分圧は3.54×10−2Pa)の条件で行っ
た。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿
には、水温を35℃としたウェッターを用いた。
【0080】次いで、積層セラミック焼成体の端面をサ
ンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペーストを
端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中におい
て、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、
図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプル
を得た。
【0081】このようにして得られた各サンプルのサイ
ズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内
部電極層に挟まれた誘電体層の数は4、その厚さは4μ
mであり、内部電極層の厚さは2μmであった。各サン
プルについて下記特性の評価を行った。
【0082】比誘電率(εr)、絶縁抵抗(IR) コンデンサのサンプルに対し、基準温度25℃でデジタ
ルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数
1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条
件下で、静電容量を測定した。そして、得られた静電容
量と、コンデンササンプルの電極寸法および電極間距離
とから、比誘電率(単位なし)を算出した。その後、絶
縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用い
て、25℃においてDC50Vを、コンデンササンプル
に60秒間印加した後の絶縁抵抗IRを測定し、この測
定値と、コンデンササンプルの電極面積および厚みとか
ら、比抵抗ρ(単位はΩcm)を計算で求めた。結果を
表1〜表4に示す。評価として、比誘電率εrは、小型
で高誘電率のコンデンサを作成するために重要な特性で
あり、180以上、より好ましくは200以上を良好と
した。比抵抗ρは、1×1012Ωcm以上を良好とし
た。比誘電率εrの値は、コンデンサの試料数n=10
個を用いて測定した値の平均値から求めた。比抵抗ρの
値は、良品10個の比抵抗の平均値とした。
【0083】静電容量の温度特性 コンデンサのサンプルに対し、LCRメータを用いて、
1kHz、1Vの電圧での静電容量を測定し、基準温度
を20℃としたとき、20〜85℃の温度範囲内で、温
度に対する静電容量変化率が−2000〜0ppm/℃
を満足するかどうかを調べ、結果を表1〜表4に示す。
容量変化率△C85/C20(ppm/℃)は、下記式
1により算出した。△C85/C20={(C85−C
20)/C20}×(1/65) …式1ただし、式1
中、C85は85℃における静電容量、C20は20℃
における静電容量を表す。また、本実施例の代表的な試
料13につき、−50℃〜+150℃の温度範囲におけ
る容量変化率ΔC/Cを測定して、図2にグラフ化し
た。同図には20℃における容量を基準とした変化率を
表している。同図からも明らかなように、良好な容量温
度特性を示すことが理解できる。
【0084】高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命) コンデンサのサンプルに対し、175℃で8V/μmの
直流電圧の印加状態に保持することにより、高温負荷寿
命を測定した。この高温負荷寿命は、10個のコンデン
ササンプル(誘電体層の厚み4μm)について行い、平
均寿命時間を測定することにより評価した。結果を表1
〜表4に示す。評価として、高温負荷寿命は、誘電体層
を薄層化する際に特に重要となるものであり、印加開始
から抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義した。
【0085】TEM−EDSによる誘電体組織の観察 本実施例の代表的な組成である試料3(m=0.98
5)についてのTEM写真を図3に示し、この試料3に
おける粒界からの距離(nm)とYの濃度
(重量%)との関係を図4に示す。また、比較のために
試料9(m=1.02)についてのTEM写真を図5に
示し、この試料9における粒界からの距離(nm)とY
の濃度(重量%)との関係を図6に示す。試
料3では、Y添加により高温負荷寿命が129時間と大
きく改善されたが、図3および図4によると、Y
が粒内に略均一に分布していることが確認できた。
これに対し、試料9では、Y添加しても高温負荷寿命が
2.2時間と殆ど変化しないが、図5および図6による
と、粒界や三重点にYが偏析し、均一に分布
していないことが確認できた。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】表1〜4中における第1〜第4副成分のモ
ル数は、主成分100モルに対する比率であり、第1副
成分のモル数はVのモル数である。また表1〜4中、比
抵抗(ρ)の数値において、「mE+n」は「m×10
+n」を意味する。表1に示される結果から、第4副成
分の添加量につき、以下のことが理解される。試料1の
ようにYをまったく添加せず、また試料7のようにYの
添加量が2モルであると、高温負荷寿命(絶縁抵抗の加
速寿命)が不十分であるのに対し、第4副成分を所定量
含有する試料2〜6のサンプルでは、十分な比誘電率と
絶縁抵抗(比抵抗)とを有し、還元雰囲気での焼成にお
いても還元されず、また内部電極材料であるニッケルも
酸化せず、耐還元性に優れた誘電体磁器組成物が得られ
ていることが確認でき、かつ容量温度特性が優れてお
り、しかも高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)を向上
できることが確認できた。
【0091】表2〜3に示される結果から、主成分のm
の比につき、以下のことが理解される。試料8のように
m=0.94の場合は、還元雰囲気下における焼成で誘
電体が還元され、十分な絶縁抵抗がとれず、コンデンサ
として作用しないことが確認できた。これに対し、試料
9のようにm=1.02であると、第4副成分を所定量
含有させても、高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)に
はほとんど効果がない。すなわちm=1.02のごとき
mが比較的高いときには、Yを添加しても高温負荷寿命
値にほとんど変化がないことが分かる(表2参照)。こ
のことから、主成分のmが比較的低い方がY添加の効果
が発現しやすく、高温負荷寿命の向上に効果的であるこ
とが分かった。なお、表2〜3中、試料3は本発明の実
施例を示しており、試料9−1,9−2,8,9は本発
明の比較例を示している。
【0092】表4に示される結果から、第1副成分の添
加量につき、以下のことが理解される。試料10のよう
にVをまったく添加しないと、高温負荷寿命時間が極端
に短い。また試料15のようにVの添加量が2モルであ
ると、誘電体が半導体化され、絶縁抵抗が不十分であ
る。これに対し、試料11〜14のサンプルでは、十分
な比誘電率と絶縁抵抗とを有し、還元雰囲気での焼成に
おいても還元されず、また内部電極材料であるニッケル
も酸化せず、耐還元性に優れた誘電体磁器組成物が得ら
れていることが確認でき、かつ容量温度特性が優れてお
り、しかも高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)を向上
できることが確認できた。Vに代えてMoO
、WO、TaおよびNb
をそれぞれ添加し、上記と同様の条件でそれぞれ評価し
たが、何れもほぼ同じ結果が得られた。なお、試料11
〜14は本発明の実施例を示しており、試料10,15
は本発明の比較例を示している。
【0093】実施例2 本実施例では、Y添加の有無が、高温負荷寿命(絶縁抵
抗の加速寿命)に与える影響を確認するための試験を行
った。具体的には、主成分のx=0.36、y=0、第
1副成分(V換算)のモル数=0.1モル、第2副成分
(Mn換算)のモル数=0.37モル、第3副成分(S
iO+CaO)のモル数=(2.5+2.5)モル
とした以外は、主成分のm値を0.985(焼成温度1
200℃)と1.02(焼成温度1380℃)とに代
え、Yを添加しなかった場合(0モル)、0.07モル
添加した場合のそれぞれの高温負荷寿命(絶縁抵抗の加
速寿命)を測定した。結果を図7に示すが、同図からも
分かるように、Y添加の効果は、m=1.02の場合よ
り、m=0.985の場合の方が、高温負荷寿命の向上
に対して顕著であることが確認できた。
【0094】実施例3 本実施例では、表4に示される試料12,13を用い
て、第1副成分(V)の添加量(V換算)が高
温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)に与える影響を確認
するための試験を行った。結果を図8に示すが、同図か
ら分かるように、Vの添加量が増加して0.2モルにな
るときに、寿命時間は平均184時間であり、添加量が
少ないときよりもコンデンサの信頼性が高いことが分か
る。また、添加量0モルに比べて、2000倍以上に寿
命が改善されることが確認できた。
【0095】実施例4 主成分のm=0.985、x=0.36、y=0、第1
副成分(V換算)のモル数=0.1モル、第3副成分
(SiO+CaO)のモル数=(2.5+2.5モ
ル、第4副成分(Y換算)のモル数=0.07モルとし
た以外には、第2副成分としてのMnCOの添加量
(Mn換算)を、表5に示すように変化させて評価し
た。結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】表5に示されるように、第2副成分(Mn
換算)の添加量が4モルであると、初期絶縁抵抗が低下
し、第2副成分の添加量が0モル≦第2副成分<4モル
の範囲では、添加量が多い(3.8モル)ほど、初期I
R不良率の発生も低減でき、添加量が少ない(0モル)
ほど、容量温度変化率が小さくなることが確認できた。
なお、初期IR不良率の値は、100個程度のコンデン
ササンプルの比抵抗ρを、絶縁抵抗IRと、電極面積お
よび誘電体層の厚み(本実施例では4μm)とから、計
算でそれぞれ求め、バルクの状態のときの比抵抗ρの値
より一桁以上小さい試料の個数を、全体個数で割って、
パーセンテージで示した。この値が小さいほど、初期I
R不良率が低く、良品が多いこととなる。
【0098】なお、MnCOに代えてMnOを添加
し、上記と同様の条件でそれぞれ評価したが、何れも同
じ結果が得られた。
【0099】実施例5 主成分のm=0.985、x=0.36、y=0、第1
副成分(V換算)のモル数=0.2モル、第2副成分
(Mn換算)のモル数=0.37モル、第4副成分の
(Y換算)のモル数=0.07モルとした以外には、第
3副成分としての(SiO+CaO)の添加量を、
表6に示すように変化させて、高温負荷寿命の改善の程
度を試験した。結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】表6に示されるように、第3副成分の添加
量を0モルより多くすることにより、焼結性が改善され
た。添加量を15モル未満とすることにより、比誘電率
の低下を抑え、十分な容量を確保できることも確認でき
た。なお、初期IR不良率の値は、実施例4と同様にし
て求めた。なお、(SiO+CaO)の代わりにC
aSiOを用いても同様の結果が得られた。
【0102】実施例6 焼成工程における酸素分圧を、表7に示すように変化さ
せた以外は、表4に示される実施例1の試料13と同様
にしてサンプル(試料13−1〜13−3)を複数個作
製し、これらサンプルの初期絶縁抵抗(IR)の不良発
生率を算出した。初期IR不良率の値は、実施例4と同
様にして求めた。結果を表7に示す。
【0103】
【表7】
【0104】表7に示されるように、酸素分圧を10
−6Pa以上に調製した場合に、特に初期IR不良率の
低減効果が認められることが確認できた。なお、表7
中、試料13−1〜13−3は何れも本発明の実施例で
ある。
【0105】実施例7 熱処理工程における酸素分圧を、3.54×10−2
a(900℃、9時間、ウエッター温度35℃)、4.
23×10−1Pa(1100℃、3時間、ウエッター
温度35℃)とし、誘電体層の厚みを9μm(試料27
〜28)、4μm(試料29〜30)と異ならせた以外
は、表4に示される試料12と同様にしてサンプルを複
数個作製し、これらサンプルの初期絶縁抵抗(IR)の
不良発生率を算出した。結果を図9(A)〜図9(B)
に示すが、誘電体層の厚みが9μmと厚いときには、酸
素分圧の違いは不良発生率には影響を与えないが(図9
(A)参照)、4μmと薄くなると、酸素分圧を、10
−4Pa以上(ちなみに、10−1〜10Paの範囲内
でもある)である4.23×10−1Pa(試料30)
に調整した場合の効果が表れることが確認できた(図9
(B)参照)。初期IR不良率の値は、実施例4と同様
にして求めた。なお、熱処理工程における酸素分圧を
9.61×10−2Pa(1100℃、3時間、ウエッ
ター温度0℃)にして、試料27〜30と同様に初期絶
縁抵抗の不良率発生の低減の効果を確認してみたが(試
料31〜32)、特にそのような効果は確認されなかっ
た。このことから、保持温度がサンプルの初期絶縁抵抗
の不良発生率の低減に寄与しているものではなく、熱処
理時の酸素分圧が寄与しているものと考えられる。
【0106】実施例8 表8に示すように、第4成分として、Y、Sc、Ce、
Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Tb、Gd、E
u、Sm、La、Pr、NdおよびPmのそれぞれの酸
化物を、酸化物中の希土類元素換算で0.07モル添加
し、かつ、アニールを、保持温度1100℃、温度保持
時間3時間、加湿したNガス雰囲気(酸素分圧は
4.23×10−1Pa)で行った以外は、試料13と
同様にしてサンプルを複数個作製し、これらサンプルの
初期絶縁抵抗(IR)の不良発生率を算出した。結果を
表8に示す。
【0107】
【表8】
【0108】表8に示される結果から、Y、Sc、C
e、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの酸化物
を添加した場合(試料13−4〜試料13−12)に
は、Tb、Gd、Eu、Sm、La、Pr、Ndおよび
Pmの酸化物を添加した場合(試料13−13〜試料1
3−20)に比べて、初期絶縁抵抗(IR)の良品率が
向上し、すなわち薄層化した場合の初期IRの不良率を
著しく低減できることが確認できた。
【0109】実施例9 第3副成分を、(SiO+CaO)=(0.4+
0.4)モル(p=0)、(SiO+CaO+Sr
O)=(0.4+0.2+0.2)モル(p=0.
5)、および(SiO+SrO)=(0.4+0.
4)モル(p=1)とし、かつ、アニールを、保持温度
1100℃、温度保持時間3時間、加湿したN ガス
雰囲気(酸素分圧は4.23×10−1Pa)で行った
以外は、試料13と同様にしてコンデンササンプルを複
数個作製した(試料33,34,35)。そして、第3
副成分としての(Sr,Ca1−p )SiO
において、Srの含有割合が、コンデンササンプルにお
ける初期絶縁抵抗(IR)の良品率にどのような影響を
与えるか評価した。結果を図10に示す。図10に示さ
れる結果から、Srの含有割合が多くなるほど、初期I
Rの良品率が75%(試料33)、83%(試料3
4)、100%(試料35)と向上していき、すなわち
初期IRの不良率が25%、17%、0%と低下してい
くことが確認できた。なお、初期IRの不良率の値は、
実施例4と同様にして求めた。
【0110】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、焼成時の耐還元性に優れ、焼成後には優れた容量温
度特性を有し、しかも絶縁抵抗の加速寿命を向上させる
ことができる誘電体磁器組成物を提供できる。また、本
発明によれば、優れた容量温度特性を有し、しかも絶縁
抵抗の加速寿命が向上され、信頼性が高められたチップ
コンデンサなどの電子部品を提供することができる。さ
らに、本発明によれば、優れた容量温度特性を有し、電
子部品に求められる信頼性を維持しながら、誘電体層を
薄層化した場合でも絶縁抵抗が劣化し難く、初期絶縁抵
抗の不良率が少ないチップコンデンサなどの電子部品の
製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミッ
クコンデンサの断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例である試料13の容量温
度特性を示すグラフである。
【図3】図3は本発明の実施例である試料3のTEM写
真である。
【図4】図4は本発明の実施例である試料3における粒
界からの距離とY の濃度との関係を示すグラフ
である。
【図5】図5は本発明の実施例である試料9のTEM写
真である。
【図6】図6は本発明の実施例である試料9における粒
界からの距離とY の濃度との関係を示すグラフ
である。
【図7】図7は第4副成分としてのY添加の有無と、高
温負荷寿命との関係を示すグラフである。
【図8】図8は本発明の実施例である試料12,13に
おけるVの添加量と高温負荷寿命時間との関係を示すグ
ラフである。
【図9】図9(A)および(B)は誘電体層の厚みを代
えたときに、熱処理工程における酸素分圧と初期絶縁抵
抗の良品率との関係を示すグラフである。
【図10】 図10は第3副成分としての(Sr
Ca1−p )SiOにおいてSrの含有割合と、
コンデンササンプルの初期絶縁抵抗(IR)の良品率と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ 10… コンデンサ素子本体 2… 誘電体層 3… 内部電極層 4… 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 陽 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−211138(JP,A) 特開 平8−301657(JP,A) 特開 平8−301658(JP,A) 特開 昭53−75500(JP,A) 特開 平3−274606(JP,A) 特開 昭62−295304(JP,A) 特開 平10−335169(JP,A) 特開 平11−106259(JP,A) 特開 平6−243725(JP,A) 特開2001−247364(JP,A) 特公 昭50−23920(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 H01B 3/00 - 3/14 JICSTファイル(JOIS) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 {(Sr1−x Ca)O}
    (Ti1−y Zr)Oで示される組成の誘電
    体酸化物を含む主成分と、 Rの酸化物(ただし、Rは、ScおよびYの一方または
    双方)を含む第4副成分とを少なくとも有する誘電体磁
    器組成物であって、 前記主成分に含まれる式中の組成モル比を示す記号m、
    xおよびyが、 0.94<m<1.02、 0≦x≦1.00、 0≦y≦0.20の関係にあり、 前記主成分100モルに対する前記第4副成分の比率
    が、酸化物中のR換算で、0.02モル≦第4副成分<
    2モルである誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 前記第4副成分に含まれるRの酸化物
    が、粒内に略均一に分布している粒子を含有する請求項
    記載の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 V、Nb、W、TaおよびMoの酸化物
    および/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物か
    ら選ばれる1種類以上を含む第1副成分をさらに有し、 前記主成分100モルに対する前記第1副成分の比率
    が、酸化物中の金属元素換算で、0.01モル≦第1副
    成分<2モルである請求項1または2に記載の誘電体磁
    器組成物。
  4. 【請求項4】 Mnの酸化物および/または焼成により
    Mnの酸化物になる化合物を含む第2副成分をさらに有
    し、 前記主成分100モルに対する前記第2副成分の比率
    が、酸化物中の金属元素換算で、0モル≦第2副成分<
    4モルである請求項1〜の何れかに記載の誘電体磁器
    組成物。
  5. 【請求項5】 SiO、MO(ただし、Mは、B
    a、Ca、SrおよびMgから選ばれる少なくとも1種
    の元素)、LiOおよびBから選ばれる
    少なくとも1種を含む第3副成分をさらに有し、 前記主成分100モルに対する前記第3副成分の比率
    が、酸化物換算で、0モル<第3副成分<15モルであ
    る請求項1〜の何れかに記載の誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 (Sr,Ca1−p )SiO
    (ただし、pは0.3≦p≦1)を含む第3副成分をさ
    らに有し、 前記主成分100モルに対する前記第3副成分の比率
    が、酸化物換算で、0モル<第3副成分<15モルであ
    る請求項1〜の何れかに記載の誘電体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 温度に対する静電容量変化率(△C)
    が、少なくとも20〜85℃の温度範囲内において、−
    2000〜0ppm/℃(ただし、静電容量Cの基準温
    度は20℃)である請求項1〜の何れかに記載の誘電
    体磁器組成物。
  8. 【請求項8】 誘電体層を有する電子部品であって、 前記誘電体層が、誘電体磁器組成物で構成してあり、 前記誘電体磁器組成物が、{(Sr1−x Ca
    O}・(Ti1−y Zr)Oで示される
    組成の誘電体酸化物を含む主成分と、 Rの酸化物(ただし、Rは、ScおよびYの一方または
    双方)を含む第4副成分とを少なくとも有し、 前記主成分に含まれる式中の組成モル比を示す記号m、
    xおよびyが、 0.94<m<1.02、 0≦x≦1.00、 0≦y≦0.20の関係にあり、 前記主成分100モルに対する前記第4副成分の比率
    が、酸化物中のR換算で、0.02モル≦第4副成分<
    2モルである電子部品。
  9. 【請求項9】 前記誘電体層と共に内部電極層とが交互
    に積層してあるコンデンサ素子本体を有する請求項
    載の電子部品。
  10. 【請求項10】 前記内部電極層に含まれる導電材がニ
    ッケルまたはニッケル合金である請求項記載の電子部
    品。
  11. 【請求項11】 {(Sr1−x Ca)O}
    ・(Ti1−y Zr)Oで示される組成の誘
    電体酸化物を含む主成分と、 Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、P
    r、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
    o、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なく
    とも1種)を含む第4副成分とを少なくとも有し、 前記主成分に含まれる式中の組成モル比を示す記号m、
    xおよびyが、 0.94<m<1.02、 0≦x≦1.00、 0≦y≦0.20の関係にあり、 前記主成分100モルに対する前記第4副成分の比率
    が、酸化物中のR換算で、0.02モル≦第4副成分<
    2モルである誘電体磁器組成物を用いて誘電体ペースト
    を作製する工程と、 内部電極用ペーストを作製する工程と、 前記誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストを交互に
    積層して積層体を得る工程と、 前記積層体を、酸素分圧が10−10 〜10−3Pa
    の雰囲気下で焼成して焼結体を得る焼成工程と、 前記焼結体を熱処理する工程とを有する電子部品の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 {(Sr1−x Ca)O}
    ・(Ti1−y Zr)Oで示される組成の誘
    電体酸化物を含む主成分と、 Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、P
    r、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
    o、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なく
    とも1種)を含む第4副成分とを少なくとも有し、 前記主成分に含まれる式中の組成モル比を示す記号m、
    xおよびyが、 0.94<m<1.02、 0≦x≦1.00、 0≦y≦0.20の関係にあり、 前記主成分100モルに対する前記第4副成分の比率
    が、酸化物中のR換算で、0.02モル≦第4副成分<
    2モルである誘電体磁器組成物を用いて誘電体ペースト
    を作製する工程と、 内部電極用ペーストを作製する工程と、 前記誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストを交互に
    積層して積層体を得る工程と、 前記積層体を焼成して焼結体を得る焼成工程と、 前記焼結体を、酸素分圧が10−4Pa以上の雰囲気下
    で熱処理する工程とを有する電子部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記内部電極用ペーストとして、ニッ
    ケルまたはニッケル合金を用いる請求項11または12
    記載の電子部品の製造方法。
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