JP2006213575A - 耐還元性誘電体磁器組成物、電子部品および積層セラミックコンデンサ - Google Patents

耐還元性誘電体磁器組成物、電子部品および積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 Cu電極などの卑金属電極に対応する耐還元性誘電体磁器組成物を得る場合に、組成物中に、環境や人体に有害な鉛を含むことなく比誘電率を向上させ、かつ比誘電率の温度変化率を小さくさせることができる耐還元性誘電体磁器組成物を提供すること。
【解決手段】 主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)O+(1−α)((Bi1−Zn*A+βTiO)、ただしMはZr,Mgの中から選ばれる少なくとも1種類以上、AはLi,K,Naの中から選ばれる少なくとも1種類以上、と表した場合に、主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)Oのモル比αと、(Bi1−Zn*Aが1モルに対するTiのモル比βとが、0.60<α<0.85, 1.5<β<4.0の範囲にある。
【選択図】 図3

Description

本発明は、耐還元性誘電体磁器組成物に係り、特に卑金属内部電極と同時に焼成を行うことにより作製される積層磁器コンデンサなどの電子部品に用いられる耐還元性誘電体磁器組成物に関する。
内部電極としてCuやCu合金を用いるために、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、酸化ビスマス、酸化チタンを主成分とした誘電体で、耐還元性を付与した誘電体磁器組成物が知られている(特許文献1〜5)。
また、チタン酸ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化チタンを主成分とした誘電体磁器組成物も知られている(特許文献6)。さらに、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化アルカリ(リチウム、ルビジウム、セシウム、ナトリウム、カリウム、フランシウム)を主成分とした誘電体磁器組成物も知られている(特許文献7)。
これらの特許文献1〜7では、Cu電極に対応させるため、1080℃以下の低温で焼結し、かつ還元雰囲気で焼成しても電気特性の劣化の生じない組成物の発明に関して報告されている。
しかしながら、これらの従来の誘電体磁器組成物には、鉛(Pb)を含んでおり、鉛は有害物質であるため環境汚染や人体への悪影響から鉛を含んだ部品や製品の使用を制限、もしくは禁止されるという問題が生じる。
また通常、積層磁器コンデンサを作製する場合、有機バインダ等と混合して作製されるのが一般的であるが、この有機バインダの除去、つまり脱バインダ工程において十分に除去されていないと、残留した有機物中の炭素によって酸化鉛が還元され金属化してしまい絶縁性の低下という不具合が生じる。脱バインダを十分に行おうとする場合、脱バインダ工程に多大な時間と手間を要するので、生産効率の低下や生産コストが高くなるという問題が生じる。
なお、前述した公知の特許文献では、鉛を含まない組成も開示してあるが、その特許文献の実施例の記載に開示してあるように、鉛を含まない組成の場合は、比誘電率が低い値となり、得られるコンデンサの静電容量が低い値となってしまう。
上述した特許文献に記載してある従来公知の発明のもう一つの問題として、これらの発明には比誘電率の温度変化率について触れておらず、得られるコンデンサの温度特性に関して考慮なされていない。そのため、いくら比誘電率の高い材料であっても、コンデンサの使用環境変化による周囲温度の変化によって所望の静電容量が得られなくなるといった不具合が生じてしまう。
特開平5−78171号公報 特開平5−78166号公報 特開平5−124858号公報 特開平5−124859号公報 特開平5−124861号公報 特開昭49−46198号公報 特開昭49−59297号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、Cu電極などの卑金属電極に対応する耐還元性誘電体磁器組成物を得る場合に、組成物中に、環境や人体に有害な鉛を含むことなく比誘電率を向上させ、かつ比誘電率の温度変化率を小さくさせることができる耐還元性誘電体磁器組成物を提供することである。本発明の他の目的は、その耐還元性誘電体磁器組成物で構成された誘電体層を有する電子部品および積層セラミックコンデンサを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る耐還元性誘電体磁器組成物は、
主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)O+(1−α)((Bi1−Zn*A+βTiO)、ただしMはZr,Mgの中から選ばれる少なくとも1種類以上、AはLi,K,Naの中から選ばれる少なくとも1種類以上、と表した場合に、
主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)Oのモル比αと、(Bi1−Zn*Aが1モルに対するTiのモル比βとが、
0.60<α<0.85, 1.5<β<4.0の範囲にあることを特徴とする。
従来では、誘電体に鉛を含まない組成であると、比誘電率の高い磁器組成物を得ることができなかったが、この発明によって比誘電率の向上が可能となり、静電容量のより大きな積層セラミックコンデンサなどの電子部品を得ることができるようになった。
また、従来技術では比誘電率の高いものを得ようとすると、比誘電率の温度特性が悪くなり、両方の特性を向上させることはできなかったが、この発明によって比誘電率の向上と温度特性の改善とを両立させることができる。
すなわち、本発明によれば、組成物中に鉛を含むことなく、比誘電率の値が1000以上と高く、且つ比誘電率の温度変化率が−25℃から+85℃の間で±10%以内と温度特性に優れ、しかも静電容量と絶縁抵抗との値を掛け合わせたCR積が1000MΩμF以上と、還元焼成後でも絶縁性に優れた耐還元性誘電体磁器組成物を得ることが可能となる。
本発明において、好ましくは、0.65≦α≦0.80, 2.0≦β≦3.0である。本発明において、αの値が小さすぎると、あるいは大きすぎると、温度特性が劣化する傾向にある。また、βの値が小さすぎると、比誘電率が低下する傾向にあり、大きすぎると、比誘電率が低下するのみでなく、CR積および温度特性も劣化する傾向にある。
好ましくは、前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、0.1<X<0.5, 0<Y<0.5の範囲、
さらに好ましくは0.2≦X≦0.4, 0.1≦Y≦0.3の範囲にある。
Xの値が小さすぎると、あるいは大きすぎると、温度特性が劣化する傾向にある。また、Yの値が小さすぎると、温度特性が劣化する傾向にあり、Yの値が大きすぎると、比誘電率およびCR積が劣化する傾向にある。
好ましくは、前記主成分の組成式における(Bi1−Zn*A)中のBiに対するA成分の置換倍率をnとし、n=1であると仮定した時のA成分のモル比をZとし、モル比Zおよび置換倍率nの積をZ*nとした場合に、
0.1<Z*n<0.5の範囲、
さらに好ましくは、0.2≦Z*n≦0.4の範囲にある。
この場合において、好ましくは、
0.03<Z≦0.3, 1≦n≦4、
さらに好ましくは、0.07≦Z≦0.3, 1≦n≦4である。
Z*nの値が小さすぎたり、大きすぎる場合には、温度特性が劣化すると共に、CR積が劣化する傾向にある。
好ましくは、前記主成分の組成式における(Ti1−W)O中のTiに対するM成分の置換率Wが0≦W<0.2、さらに好ましくは、0≦W≦0.1の範囲にある。Wの値が大きすぎると、比誘電率が低下する傾向にある。
本発明では、好ましくは、前記主成分の他に、焼結助剤および/または耐還元性付与剤を含む副成分を有する。焼結助剤を含有することで、焼結性が向上する。また、耐還元性付与剤を含有することで、耐還元性が向上する。
好ましくは、前記副成分は、LiSiO、MnO、Vの少なくとも一つを含み、
前記主成分100モルに対し、
0.5<LiSiO<5, 0.05<MnO<3, 0.005<V<2のモル%、
さらに好ましくは、
1≦LiSiO≦4, 0.1≦MnO≦2, 0.01≦V≦1のモル%の範囲にある。
LiSiOが少なすぎると、焼結性が悪くなる傾向にあり、多すぎると、比誘電率が低下する傾向にある。MnOが少なすぎると、CR積が劣化する傾向にあり、多すぎると、CR積のみでなく比誘電率も劣化する傾向にある。Vが少なすぎると、CR積が劣化する傾向にあり、多すぎると、CR積のみでなく比誘電率も劣化する傾向にある。
本発明に係る電子部品は、誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層が、上記のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする。
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、
内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記誘電体層が、上記のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物における(SrCaBa1−X−Y)中のSr,Ca,Baの組成割合を示す三元組成図、
図3は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を示す三元組成図、
図4は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を示す三元組成図である。
図1に示すように、本発明の電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層10と内部電極層12とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体4を有する。このコンデンサ素子本体4の両側端部には、素子本体4の内部で交互に配置された内部電極層12と各々導通する一対の外部電極6,8が形成してある。内部電極層12は、各側端面がコンデンサ素子本体10の対向する2つの端部4a,4bの表面に交互に露出するように積層してある。
一対の外部電極6,8は、コンデンサ素子本体4の両端部4a,4bに形成され、交互に配置された内部電極層12の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体4の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜3.2mm)程度とすることができる。
誘電体層10は、本発明の一実施形態に係る耐還元性誘電体磁器組成物で構成してある。この誘電体磁器組成物は、主成分と副成分とを有する。
この誘電体磁器組成物の主成分は、主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)O+(1−α)((Bi1−Zn*A+βTiO)、ただしMはZr,Mgの中から選ばれる少なくとも1種類以上、AはLi,K,Naの中から選ばれる少なくとも1種類以上、と表した場合に、
主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)Oのモル比αと、(Bi1−Zn*Aが1モルに対するTiのモル比βとが、
0.60<α<0.85, 1.5<β<4.0の範囲にあり、
好ましくは、0.65≦α≦0.80, 2.0≦β≦3.0の範囲にある。
また、前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、0.1<X<0.5, 0<Y<0.5の範囲、
さらに好ましくは0.2≦X≦0.4, 0.1≦Y≦0.3の範囲にある。
さらに、前記主成分の組成式における(Bi1−Zn*A)中のBiに対するA成分の置換倍率をnとし、n=1であると仮定した時のA成分のモル比をZとし、モル比Zおよび置換倍率nの積をZ*nとした場合に、
0.1<Z*n<0.5の範囲、
さらに好ましくは、0.2≦Z*n≦0.4の範囲にある。
この場合において、好ましくは、
0.03<Z≦0.3, 1≦n≦4、
さらに好ましくは、0.07≦Z≦0.3, 1≦n≦4である。
前記主成分の組成式における(Ti1−W)O中のTiに対するM成分の置換率Wが0≦W<0.2、さらに好ましくは、0≦W≦0.1の範囲にある。
本発明では、好ましくは、前記主成分の他に、焼結助剤および/または耐還元性付与剤を含む副成分を有する。焼結助剤を含有することで、焼結性が向上する。また、耐還元性付与剤を含有することで、耐還元性が向上する。
好ましくは、前記副成分は、LiSiO、MnO、Vの少なくとも一つを含み、
前記主成分100モルに対し、
0.5<LiSiO<5, 0.05<MnO<3, 0.005<V<2のモル%、
さらに好ましくは、
1≦LiSiO≦4, 0.1≦MnO≦2, 0.01≦V≦1のモル%の範囲にある。
図1に示す内部電極層12の材質としては、特に限定されないが、本実施形態では、Cuまたは、Cu+Ni、Cu+Fe、Cu+CoなどのCu合金の卑金属が用いられる。内部電極層12の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1〜3μmである。また、誘電体層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは3〜30μmである。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1を製造する方法の一例を説明する。
(1)本実施形態では、焼成後に図1に示す誘電体層10を形成するための焼成前誘電体層を構成することとなる誘電体層用ペーストと、焼成後に図1に示す内部電極層12を形成するための焼成前内部電極層を構成することとなる内部電極層用ペーストを準備する。また、外部電極用ペーストも準備する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して調製する。
本実施形態で用いる誘電体原料としては、上述した誘電体磁器組成物を構成する各原料を所定の組成比で含有するものを用いる。
なお、上記成分で構成される誘電体原料は、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
また、誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体原料の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm〜0.5μm程度である。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダを用いることができる。溶剤も、特に限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノールなどの有機溶剤が用いられる。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、形成することもできる。水溶性バインダは、特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
外部電極用ペーストも、この内部電極層用ペーストと同様にして調製される。
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
(2)次に、上記誘電体原料を含有する誘電体層用ペーストと、内部電極層用ペーストとを用いて、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とが積層されたグリーンチップを作製する。その後、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て、コンデンサ素子本体4を得る。その後、この素子本体4に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極6,8を形成して、積層セラミックコンデンサ2が製造される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
原料として、高純度のSrCO,CaCO,BaCO,TiO,ZrO,MgO,Bi,NaCO,LiCO,KCO粉末を使用し、仮焼後に表1および表2の試料番号1〜45に示す組成比になるように秤量を行った。
ボールミルにより各原料粉を混合した後、大気雰囲気中で1100°Cおよび3時間の条件で仮焼成を行った。その後、乳鉢で解砕し母組成(主成分)の粗粉末を得た。この母組成粉末100モル部に、低温焼結助剤として、LiSiOを1モル部と、耐還元剤としてMnCOを1モル部を加え、ボールミルにより混合と微粉砕を行い、試料を作成した。
なお、添加したLiSiOとしては、高純度のLiCOおよびSiO粉末を混合し、Air雰囲気中1100°C以上で溶融させ、その溶融物を純水中に流し込み急冷させることにより、ガラス状のLiSiOを得た後、ボールミルにより微粉砕したものを使用した。また、MnCOは、高純度の粉末を使用した。
作製した粉末試料と樹脂バインダとを有機溶剤中で混合してスラリー状にし、ドクターブレードにより、厚さ10μmのグリーンシートを作成した後、Cu電極ペーストを内部電極パターンで印刷して乾燥した。この内部電極パターン印刷したシートを積層してプレス後、1個ずつのグリーンチップに切断してグリーンチップ試料を作成した。
グリーチップ試料は、Air雰囲気中200〜400°Cで樹脂バインダを飛散させた後、窒素と水素と水蒸気の混合ガス中で1050°Cおよび2時間の条件で焼成を行った。その後、Cuの酸化を抑制した条件であるドライ窒素ガス中900°Cおよび2時間の条件で再酸化処理を行った。これら再酸化処理後の試料端部にIn−Gaを塗布して端部電極を形成させ、チップコンデンサ形状の試料を得た。
試料はLCRメータにより静電容量Cpを測定した。試料の内部電極重なり面積および電極間厚みから材料の比誘電率を算出した。絶縁抵抗IRを超高抵抗計により測定し、CpとIRの値を掛けてCR積を求めた。静電容量Cpの−25°Cおよび85°Cでの値を測定し、室温20°Cでの静電容量Cpを基準とした変化率を計算し、−25°Cおよび85°Cでの温度変化率を求めた。
試料1〜4に示すように、組成式中のAの元素が無い場合には、比誘電率が1000以上の大きな値を得られる試料では、温度変化率が10%を超えてしまい、温度変化率が±10%以内に収まるものは比誘電率が1000を満たさなくなる。このようにAの元素が含まれない場合では、静電容量と温度変化率の両方の特性を向上させることは困難であった。
これに対し、Biに対するNaの置換倍率nを3倍として、モル比Zを0.1とした試料5では、比誘電率が1000以上で温度変化率も±10%以内となり、良好な電気特性を得ることができる。
試料6〜12は、組成式中の変数XとYの値によって、組成中の元素SrとCaとBaの比率を変えた試料である。試料6のように、Xの値が0.5程度にSrの割合が多くなると、高温側の温度変化率が大きくなり、+85℃で±10%以上となって好ましくない。
また、試料12のように、Xの値が0.1となってSrの割合が少なくなると。低温側の温度変化率が大きくなり、−25℃で±10%以上となって好ましくない。
試料10のようにYの値が0.5となりCaの割合が多くなると、比誘電率の値が1000以下と小さくなり、CR積も1000MΩμF未満となって好ましくない。また、試料9のように、Yの値が0となってCaの割合が少なくなると高温側の温度変化率が大きくなり、+85℃で−10%以上となって好ましくない。なお、試料5〜12における組成式中のSr,Ca,Baのモル%を図2に示す。
試料13〜16は、組成中のTiをZrもしくはMgで一部置き換えたものであり、組成式中の変数Wは、Tiに対するZr,Mgの置換量である。試料14および試料16のように、Wの値が0.2以上では、比誘電率が大幅に低下する傾向にある。
試料17〜22は、組成式の変数αの値によって、主成分組成に占める(SrCaBa1−X−Y)TiOの比率を変えた試料である。試料17のようにαの値が0.85以上では、低温側の温度変化率が大きくなり、−25℃で±10%以上となって好ましくない。また、試料22のように、αの値が0.6以下となっても低温側の温度変化率が大きくなり、−25℃で±10%以上となって好ましくない。なお、試料17〜22におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を図3に示す。
試料23〜26は、組成式の変数βの値によって主成分組成のうちの(Bi1−Zn*A+βTiOの部分に占めるTiOの比率を変えた試料である。試料23のように、βの値が1.5以下となってTiの比率が小さくなると比誘電率の値が1000以下と小さくなって好ましくない。また、試料26のようにβの値が4.0以上となると、比誘電率、CR積、温度変化率すべての特性が低下して好ましくない。試料23〜26におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を図4に示す。
試料27〜36は、組成式の変数Zとnの値によって、主成分組成のうちの(Bi1−Zn*Aの部分に占めるBiに対する元素Aの割合を変えた試料である。試料27および試料31のように、Zの値とnの値との積n×Zの値が0.1以下となると、高温側の温度変化率が大きくなり、+85℃で±10%以上となって好ましくない。また、試料34および試料36のように、n×Zの値が0.5以上となると低温側の温度変化率が大きくなり、−25℃で±10%以上となって好ましくない。
また、試料37,38は組成のうちの元素Aを、Naの代わりにLiもしくはKとした試料であるが、どちらも比誘電率が1000以上で温度変化率も±10%以内となり、CR積も1000MΩμF以上の値となり良好な電気特性を得ることができることが確認された。
試料39〜45は、表2に示すように、副成分としてのLiSiO、MnO、Vの添加量を変えた組成である。試料39のように、LiSiOの量が0.5モル%以下になると焼結性が低下し、Cuの融点である1083℃以下では焼結できなかった。
また、試料40のように、LiSiOの量が、5モル%以上になると低誘電率のガラス相が増えることにより比誘電率が低下し好ましくない。さらに、試料41のように、MnOの量が0.05モル%以下になると絶縁性が低下し、CR積が1000MΩμF未満となり好ましくない。また、試料42のように、MnOの量が3モル%以上となると比誘電率と絶縁性が低下し好ましくない。
試料43は、MnOの代わりに、Vを、0.5モル%添加したものであるが、この場合もMnO添加と同様に良好な電気特性を得ることが出来た。しかし試料44のように、Vの量が0.005モル%以下になると絶縁性が低下し、CR積が1000MΩμF未満となり好ましくない。また、試料45のようにVの量が2モル%以上となると、比誘電率と絶縁性が低下し好ましくない。
Figure 2006213575
Figure 2006213575
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物における(SrCaBa1−X−Y)中のSr,Ca,Baの組成割合を示す三元組成図である。 図3は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を示す三元組成図である。 図4は本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物におけるSrCaBaTiOと(BiNa)とTiOとの組成割合を示す三元組成図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… 素子本体
10… 誘電体層
12… 内部電極層

Claims (9)

  1. 耐還元性誘電体磁器組成物であって、
    主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)O+(1−α)((Bi1−Zn*A+βTiO)、ただしMはZr,Mgの中から選ばれる少なくとも1種類以上、AはLi,K,Naの中から選ばれる少なくとも1種類以上、と表した場合に、
    主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)(Ti1−W)Oのモル比αと、(Bi1−Zn*Aが1モルに対するTiのモル比βとが、
    0.60<α<0.85, 1.5<β<4.0の範囲にあることを特徴とする耐還元性誘電体磁器組成物。
  2. 前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、
    0.1<X<0.5, 0<Y<0.5の範囲にある請求項1に記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  3. 前記主成分の組成式における(Bi1−Zn*A)中のBiに対するA成分の置換倍率をnとし、n=1であると仮定した時のA成分のモル比をZとし、モル比Zおよび置換倍率nの積をZ*nとした場合に、
    0.1<Z*n<0.5の範囲にある請求項1または2に記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  4. 0.03<Z≦0.3, 1≦n≦4である請求項3に記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  5. 前記主成分の組成式における(Ti1−W)O中のTiに対するM成分の置換率Wが0≦W<0.2の範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  6. 前記主成分の他に、焼結助剤および/または耐還元性付与剤を含む副成分を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  7. 前記副成分は、LiSiO、MnO、Vの少なくとも一つを含み、
    前記主成分100モルに対し、
    0.5<LiSiO<5, 0.05<MnO<3, 0.005<V<2のモル%の範囲にある請求項6に記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  8. 誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体層が、請求項1〜7のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする電子部品。
  9. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    前記誘電体層が、請求項1〜7のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする電子部品。
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