JP2007161538A - 耐還元性誘電体磁器組成物、電子部品および積層セラミックコンデンサ - Google Patents

耐還元性誘電体磁器組成物、電子部品および積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】内部電極として、Cu電極等の卑金属電極を用いることができる耐還元性誘電体磁器組成物であって、比誘電率を維持しつつ、CR積が良好となる誘電体磁器組成物を提供すること。
【解決手段】主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、
前記主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表した場合に、αが0.60<α<0.85、βが1.5<β<4.0の範囲にあり、前記副成分として、少なくとも、酸化硼素および酸化マンガンを有し、前記主成分100モルに対して、0.5≦酸化硼素≦5モルであり、0.05<酸化マンガン<3モルである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐還元性誘電体磁器組成物に係り、特に卑金属内部電極と同時に焼成を行うことにより作製される積層磁器コンデンサなどの電子部品に用いられる耐還元性誘電体磁器組成物に関する。
内部電極としてCuやCu合金を用いるために、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、酸化ビスマス、酸化チタンを主成分とした誘電体で、耐還元性を付与した誘電体磁器組成物が知られている(特許文献1〜5)。
また、チタン酸ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化チタンを主成分とした誘電体磁器組成物も知られている(特許文献6)。さらに、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化アルカリ(リチウム、ルビジウム、セシウム、ナトリウム、カリウム、フランシウム)を主成分とした誘電体磁器組成物も知られている(特許文献7)。
これらの特許文献1〜7では、Cu電極に対応させるため、1080°C以下の低温で焼結し、かつ還元雰囲気で焼成しても電気特性の劣化の生じない組成物の発明に関して報告されている。
しかしながら、これらの従来の誘電体磁器組成物には、鉛(Pb)を含んでおり、鉛は有害物質であるため環境汚染や人体への悪影響から鉛を含んだ部品や製品の使用を制限、もしくは禁止されるという問題が生じる。
また通常、積層磁器コンデンサを作製する場合、有機バインダ等と混合して作製されるのが一般的であるが、この有機バインダの除去、つまり脱バインダ工程において十分に除去されていないと、残留した有機物中の炭素によって酸化鉛が還元され金属化してしまい絶縁性の低下という不具合が生じる。脱バインダを十分に行おうとする場合、脱バインダ工程に多大な時間と手間を要するので、生産効率の低下や生産コストが高くなるという問題が生じる。
なお、前述した公知の特許文献では、鉛を含まない組成も開示してあるが、その特許文献の実施例の記載に開示してあるように、鉛を含まない組成の場合は、比誘電率が低い値となり、得られるコンデンサの静電容量が低い値となってしまう。
上記の状況を改善するため、本出願人は、特許文献8において、鉛を含まない耐還元性誘電体磁器組成物であって、1080°C以下で焼成可能で、比誘電率と比誘電率の温度変化率が良好な誘電体磁器組成物を開示している。しかしながら、さらに焼成温度を下げるため、焼結助剤に着目した研究が求められている。
特開平5−78171号公報 特開平5−78166号公報 特開平5−124858号公報 特開平5−124859号公報 特開平5−124861号公報 特開昭49−46198号公報 特開昭49−59297号公報 特願2005−29643号
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、内部電極として、Cu電極等の卑金属電極を用いることができる耐還元性誘電体磁器組成物であって、比誘電率を維持しつつ、CR積が良好となる誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る耐還元性誘電体磁器組成物は、
主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、
前記主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表した場合に、
主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αと、Biの1モルに対するTiのモル比βとが、
0.60<α<0.85,
1.5<β<4.0の範囲にあり、
前記副成分として、少なくとも、酸化硼素および酸化マンガンを有し、
前記主成分100モルに対する酸化硼素と酸化マンガンの比率が、
酸化硼素:0.5〜5モル
酸化マンガン:0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、
である。
第1の観点では、副成分として、少なくとも、酸化硼素および酸化マンガンを主成分に含有させることで、誘電体磁器組成物が耐還元性を有し、さらに、誘電率を維持しつつ、CR積を良好とすることができる。
第1の観点において、酸化硼素は、主に焼結助剤として機能し、焼成温度を下げることが可能で、誘電率の低下を抑制しつつ、CR積を良好にできる。本発明において、好ましくは、前記主成分100モルに対する酸化硼素の比率が、1〜3モルである。酸化硼素が少なすぎても、あるいは、多すぎても、比誘電率およびCR積がともに悪化する傾向がある。
第1の観点において、酸化マンガンは、誘電体磁器組成物に耐還元性を付与する。本発明において、好ましくは、前記主成分100モルに対する酸化マンガンの比率が、0.1〜2モルである。酸化マンガンが、少なすぎると、CR積が悪化する傾向にあり、多すぎると、比誘電率が悪化する傾向にある。
本発明の第2の観点に係る耐還元性誘電体磁器組成物は、
主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、
前記主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表した場合に、
主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αと、Biの1モルに対するTiのモル比βとが、
0.60<α<0.85,
1.5<β<4.0の範囲にあり、
前記副成分として、少なくとも、酸化硼素、酸化ビスマスおよび酸化マンガンを有し、
副成分としての酸化硼素と酸化ビスマスとが、モル比で、0.5≦酸化硼素/(酸化硼素+酸化ビスマス)≦1.0の関係があり、かつ、前記主成分100モルに対する酸化硼素および酸化ビスマスの合計モル数の比率が、
(酸化硼素+酸化ビスマス):1〜5モル
であり、
前記主成分100モルに対する酸化マンガンの比率が、
酸化マンガン:0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、
である。
第2の観点では、前記副成分として、少なくとも、酸化硼素、酸化ビスマスおよび酸化マンガンを主成分に含有させることで、酸化硼素単独の場合よりも焼結助剤の融点を下げることができ、低温での焼成が可能となることに加え、比誘電率およびCR積を良好にできる。第2の観点において好ましくは、酸化硼素と酸化ビスマスとが、モル比で、0.6≦酸化硼素/(酸化硼素+酸化ビスマス)≦0.9の関係があり、かつ、前記主成分100モルに対する酸化硼素および酸化ビスマスの合計モル数の比率が、
(酸化硼素+酸化ビスマス):1〜3モルである。酸化硼素および酸化ビスマスの含有量が本発明の範囲を外れると、比誘電率が低下し、さらにCR積が悪化する傾向にある。
なお、第2の観点では、酸化ビスマスを主成分、副成分の双方に含有させているが、主成分として含有される酸化ビスマスは、それ以外の主成分原料とともに仮焼され、主成分となるため、主成分の組成の一部として機能する。一方、副成分として含有される酸化ビスマスは、酸化硼素とともに添加することで、焼結助剤の融点を下げる効果を発揮する。したがって、主成分としての酸化ビスマスの添加量の増減により、副成分としての酸化ビスマスの添加量およびその作用効果は何ら制限されることはない。
第2の観点における酸化マンガンの効果および好ましい添加量は、第1の観点に準ずる。
第1の観点および第2の観点において、0.65≦α≦0.80、2.0≦β≦3.0であることが好ましい。本発明において、αの値が小さすぎると、比誘電率が悪化する傾向にあり、大きすぎると、CR積が悪化する傾向にある。また、βの値が、小さすぎると、比誘電率が悪化する傾向にあり、大きすぎると、比誘電率およびCR積が、ともに悪化する傾向にある。
好ましくは、第1の観点および第2の観点において、前記副成分として、さらにケイ酸リチウムを有し、前記主成分100モルに対するケイ酸リチウムの比率が、ケイ酸リチウム:0〜5モル(ただし、5モルは除く)、好ましくは、1〜3モルである。ケイ酸リチウムが多すぎると、比誘電率が悪化する傾向にある。
好ましくは、第1の観点および第2の観点において、前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、0.1<X<0.5、0<Y<0.5、さらに好ましくは、0.2≦X≦0.4、0.1≦Y≦0.3の範囲にある。Xの値が小さすぎると、比誘電率が悪化する傾向にあり、大きすぎると、CR積が悪化する傾向にある。また、Yの値が小さすぎると、比誘電率が悪化する傾向にあり、大きすぎると、比誘電率およびCR積がともに悪化する傾向にある。
本発明に係る電子部品は、上記記載の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する。電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明に係る積層セラミックコンデンサは、上記の誘電体磁器組成物からなる誘電体層と、内部電極層とが、交互に積層されている。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
積層セラミックコンデンサ2
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層10および内部電極12が交互に積層された構成のコンデンサ素体4を有する。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部4aの外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部4bの外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
コンデンサ素体4の形状は、特に制限されず、目的および用途に応じて適宜選択されるが、形状は通常、直方体とされる。寸法についても、制限はなく、目的および用途に応じて適宜選択され、通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度である。
誘電体層10
誘電体層10は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を含有する。
本実施形態に係る耐還元性誘電体磁器組成物は、主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、前記主成分の組成式が、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表され、前記副成分として、少なくとも、酸化硼素および酸化マンガンを有し、必要に応じて酸化ビスマスを有している。
本実施形態において、主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αが、0.60<α<0.85、好ましくは、0.65≦α≦0.80の範囲にあり、
主成分のBiの1モルに対するTiのモル比βが、1.5<β<4.0、好ましくは、2.0≦β≦3.0の範囲にあり、
前記主成分100モルに対する酸化硼素の比率が、0.5〜5モル、好ましくは、1〜3モルであり、
前記主成分100モルに対する酸化マンガンの比率が、0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、好ましくは、0.1〜2モルである。
また、主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αが、0.60<α<0.85、好ましくは、0.65≦α≦0.80の範囲にあり、
主成分のBiの1モルに対するTiのモル比βが、1.5<β<4.0、好ましくは、2.0≦β≦3.0の範囲にあり、
副成分としての酸化硼素と酸化ビスマスとが、モル比で、0.5≦酸化硼素/(酸化硼素+酸化ビスマス)≦1.0の関係があり、かつ、前記主成分100モルに対する酸化硼素および酸化ビスマスの合計モル数の比率が、
(酸化硼素+酸化ビスマス):1〜5モル
であり、
前記主成分100モルに対する酸化マンガンの比率が、
酸化マンガン:0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、
である。
好ましくは、前記副成分として、さらにケイ酸リチウムを有し、前記主成分100モルに対するケイ酸リチウムの比率が、ケイ酸リチウム:0〜5モル(ただし、0および5モルは除く)、より好ましくは、1〜3モルである。
好ましくは、前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、0.1<X<0.5、より好ましくは0.2≦X≦0.4、0<Y<0.5、より好ましくは0.1≦Y≦0.3の範囲にある。
内部電極層12
図1に示す内部電極層12の材質としては、特に限定されないが、本実施形態では、Cuまたは、Cu+Ni、Cu+Fe、Cu+CoなどのCu合金の卑金属が用いられる。内部電極層12の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1〜3μmである。また、誘電体層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは3〜30μmである。
外部電極6,8
外部電極6,8に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極6,8の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2を製造する方法の一例を説明する。
本実施形態では、焼成後に図1に示す誘電体層10を形成するための焼成前誘電体層を構成することとなる誘電体層用ペーストと、焼成後に図1に示す内部電極層12を形成するための焼成前内部電極層を構成することとなる内部電極層用ペーストを準備する。また、外部電極用ペーストも準備する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して調製する。
本実施形態で用いる誘電体原料としては、上述した誘電体磁器組成物を構成する各原料を所定の組成比で含有するものを用いる。
なお、上記成分で構成される誘電体原料は、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
また、誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体原料の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm〜0.5μm程度である。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダを用いることができる。溶剤も、特に限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノールなどの有機溶剤が用いられる。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、形成することもできる。水溶性バインダは、特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
外部電極用ペーストも、この内部電極層用ペーストと同様にして調製される。
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
次に、上記誘電体原料を含有する誘電体層用ペーストと、内部電極層用ペーストとを用いて、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とが積層されたグリーンチップを作製する。その後、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て、コンデンサ素子本体4を得る。その後、この素子本体4に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極6,8を形成して、積層セラミックコンデンサ2が製造される。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、主成分原料として、高純度のSrCO,CaCO,BaCO,TiO,Bi粉末を使用し、仮焼後にα=0.75、β=2.5、X=0.2、Y=0.3となるように、秤量を行った。すなわち、主成分の組成は、0.75(Sr0.2Ca0.3Ba0.5)TiO+0.25(Bi+2.5TiO)とした。
ボールミルにより上記の各原料粉を混合した後、大気雰囲気中で1100°Cおよび3時間の条件で仮焼成を行った。その後、乳鉢で解砕し主成分の粗粉末を得た。この主成分粉末100モル部に、副成分として、表1に示す組成となるように、酸化硼素としてB、焼成後にMnOとなる原料としてMnCO、酸化ビスマスとしてBi、ケイ酸リチウムとしてLiSiOを加え、ボールミルにより混合と微粉砕を行い、試料を作成した。
なお、添加したLiSiOとしては、高純度のLiCOおよびSiO粉末を混合し、Air雰囲気中1100°C以上で溶融させ、その溶融物を純水中に流し込み急冷させることにより、ガラス状のLiSiOを得た後、ボールミルにより微粉砕したものを使用した。
作製した粉末試料と樹脂バインダとを有機溶剤中で混合してスラリー状にし、ドクターブレードにより、厚さ10μmのグリーンシートを作成した後、Cu電極ペーストを内部電極パターンで印刷して乾燥した。この内部電極パターン印刷したシートを積層してプレス後、1個ずつのグリーンチップに切断してグリーンチップ試料を作成した。
グリーンチップ試料は、Air雰囲気中200〜400°Cで樹脂バインダを飛散させた後、窒素と水素と水蒸気の混合ガス中で950〜1070°Cおよび2時間の条件で焼成を行った。その後、Cuの酸化を抑制した条件であるドライ窒素ガス中900°Cおよび2時間の条件で再酸化処理を行った。これら再酸化処理後の試料端部にIn−Gaを塗布して端部電極を形成させ、チップコンデンサ形状の試料を得た。
次いで、得られたコンデンサ試料について、以下に示す方法により、比誘電率εsおよびCR積の評価を行った。
比誘電率εs
コンデンサの試料に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(横河電機(株)製 YHP4274A)にて、周波数120Hz,入力信号レベル(測定電圧)0.5Vrms/μmの条件下で、静電容量Cを測定した。そして、得られた静電容量、積層セラミックコンデンサの誘電体厚みおよび内部電極同士の重なり面積から、比誘電率(単位なし)を算出した。比誘電率は、700以上を良好とした。結果を表1に示す。
CR積
まず、コンデンサ試料に対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、20℃において4V/μmの直流電圧を、コンデンササンプルに1分間印加した後の絶縁抵抗IRを測定した。CR積は、上記にて測定した静電容量C(単位はμF)と、絶縁抵抗IR(単位はMΩ)との積を求めることにより測定した。CR積は、1000以上を良好とした。結果を表1に示す。
Figure 2007161538
表1より、主成分に、副成分としてBおよびMnOを含有させることで、焼成温度をCuの融点以下としつつ、耐還元性を維持し、比誘電率とCR積がバランス良く両立できた。さらにBiを副成分に添加し、BとBiとを本発明の範囲内の含有量とすることで、さらに比誘電率とCR積とを良好にできることが確認できた。
Bi以外にBに添加すると融点を低くできる酸化物として、ZnO、AlおよびGeOを選択し、上記の効果を奏するかどうかの評価を行った。
比較例1
副成分として添加されるBiを、ZnOとした以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製し、特性評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2
副成分として添加されるBiを、Alとした以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製し、特性評価を行った。結果を表3に示す。
比較例3
副成分として添加されるBiを、GeOとした以外は、実施例1と同様にして、サンプルを作製し、特性評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2007161538
Figure 2007161538
Figure 2007161538
表2〜4より、副成分として添加されるBiを、ZnO、Al、GeOに置換しても、Biを添加した場合の効果を奏することができないことが確認できた。
実施例2
およびLiSiOの添加量を変化させた以外は、表1の試料番号5と同様にして、サンプルを作製し、特性評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2007161538
表5より、Biが添加されていない場合において、BおよびLiSiOの添加量を変化させても、実施例1と同様の効果を奏することが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
4a… 第1端部
4b… 第2端部
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
12… 内部電極層

Claims (6)

  1. 主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、
    前記主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表した場合に、
    主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αと、Biの1モルに対するTiのモル比βとが、
    0.60<α<0.85,
    1.5<β<4.0の範囲にあり、
    前記副成分として、少なくとも、酸化硼素および酸化マンガンを有し、
    前記主成分100モルに対する酸化硼素と酸化マンガンの比率が、
    酸化硼素:0.5〜5モル
    酸化マンガン:0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、
    であることを特徴とする耐還元性誘電体磁器組成物。
  2. 主成分と副成分とを有する耐還元性誘電体磁器組成物であって、
    前記主成分の組成式を、α(SrCaBa1−X−Y)TiO+(1−α)(Bi+βTiO)と表した場合に、
    主成分の全体に対する(SrCaBa1−X−Y)TiOのモル比αと、主成分に含有されるBiの1モルに対するTiのモル比βとが、
    0.60<α<0.85,
    1.5<β<4.0の範囲にあり、
    前記副成分として、少なくとも、酸化硼素、酸化ビスマスおよび酸化マンガンを有し、
    酸化硼素と酸化ビスマスとが、モル比で、0.5≦酸化硼素/(酸化硼素+酸化ビスマス)≦1.0の関係があり、かつ、前記主成分100モルに対する酸化硼素および酸化ビスマスの合計モル数の比率が、
    (酸化硼素+酸化ビスマス):1〜5モル
    であり、
    前記主成分100モルに対する酸化マンガンの比率が、
    酸化マンガン:0.05〜3モル(ただし、0.05モルおよび3モルは除く)、
    であることを特徴とする耐還元性誘電体磁器組成物。
  3. 前記副成分として、さらにケイ酸リチウムを有し、
    前記主成分100モルに対するケイ酸リチウムの比率が、
    ケイ酸リチウム:0〜5モル(ただし、0および5モルは除く)、
    である請求項1または2に記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  4. 前記主成分の組成式における(SrCaBa1−X−Y)中のSrのモル比XとCaのモル比Yとが、0.1<X<0.5、0<Y<0.5の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物。
  5. 誘電体層を有する電子部品であって、前記誘電体層が、請求項1〜4のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする電子部品。
  6. 内部電極層と、誘電体層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    前記誘電体層が、請求項1〜4のいずれかに記載の耐還元性誘電体磁器組成物で構成してあることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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