JPH08167536A - 銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方法

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JPH08167536A
JPH08167536A JP6333042A JP33304294A JPH08167536A JP H08167536 A JPH08167536 A JP H08167536A JP 6333042 A JP6333042 A JP 6333042A JP 33304294 A JP33304294 A JP 33304294A JP H08167536 A JPH08167536 A JP H08167536A
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copper
temperature
burnout
firing
ceramic capacitor
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Yoshio Kosaka
嘉男 小坂
Kentaro Sawamura
建太郎 澤村
Toru Takahashi
徹 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造
方法は、銅を内部電極とする積層セラミックコンデンサ
の製造方法において、焼成に先だって行なうバーンアウ
トを、酸化銅の存在下、水蒸気と不活性ガスと5000
ppm 以下の水素との混合雰囲気で、室温からセラミック
の焼成開始温度未満の温度に保持して行なうことを特徴
とする。 【効果】 本発明では、酸化銅の存在下、水蒸気と不活
性ガスと5000ppm 以下の水素との混合雰囲気中でバ
ーンアウトを行なうようにしたので、セラミック中のバ
インダーのバーンアウトの初期および中期の熱分解温度
領域で酸素が必要となると、上記酸化銅が自動的に酸素
を供給し、低中温領域のバーンアウトを促進させる効果
がある。また、上記酸化銅から供給された酸素は、内部
導体として用いられた銅には、取り込まれることがない
ので、銅内部電極が酸化してしまうおそれがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅内部電極積層セラミ
ックコンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅を内部電極とする積層セラミックコン
デンサに関しては、以前より各種の提案がなされてお
り、誘電体として鉛系複合ペロブスカイトを使用するも
のとして、特公平2−60046号公報、特公平3−2
9019号公報、特公平6−30317号公報、特公平
6−46619号公報、特開昭63−158431〜1
58441号公報、特開平2−22806号公報等に開
示されたものが知られ、誘電体としてチタン酸バリウム
系を使用するものとして特開昭63−246810号公
報等に開示されたものが知られ、誘電体としてチタン酸
ストロンチウム系を使用するものとして特公平6−66
219号公報等に開示されたものが知られている。
【0003】これらの誘電体は何れも、銅の融点以下、
かつ銅の平衡酸素分圧以下で焼成しても誘電特性の劣化
なく焼結するように、低温焼結性、耐還元性を具備する
工夫がなされている。
【0004】ところで、このような積層セラミックコン
デンサを製造する場合、焼成工程に先立って、セラミッ
クスの成形の際に加えられたバインダーを酸化雰囲気中
でバーンアウトすることが必要になるが、銅は極めて酸
化しやすいため、バーンアウトの際に酸化物を生じ、こ
れが誘電体中に拡散し、品質劣化の原因になる。また、
このような不都合を避けるために、銅が酸化しない還元
雰囲気中でバーンアウトを行うと、バインダーの分解が
不十分になり残留炭素発生の原因となる。
【0005】このような問題を解決するため、これまで
内部電極の原料として銅の代わりに銅酸化物を用い、空
気中でバーンアウトした後、還元処理して銅電極を形成
する方法が多数提案されている(特開昭62−2033
21号公報、特開昭63−15407号公報、特開昭6
3−15408号公報、特開昭63−250809号公
報、特開昭63−254714号公報、特開昭62−2
65411号公報、特開昭64−89311号公報)。
【0006】これらの方法は、バーンアウトを完全に行
うという点では極めて有力な方法であるが、還元処理の
際に内部電極の収縮を伴い、誘電体との接触不良をもた
らし、これにより静電容量のバラツキを生じるという欠
点がある。
【0007】他方、内部電極に銅合金を用い、銅酸化物
の拡散を低減する方法も提案されているが(特開昭62
−210611号公報)、銅合金は比抵抗が大きく、銅
本来の好ましい低比抵抗という特性をそこなう上に、コ
スト高になるのを免れないという欠点がある。
【0008】そこで、本発明者らは、鉛系複合ペロブス
カイトを誘電体とし、銅を内部電極とする積層セラミッ
クコンデンサを製造する際に、従来方法で伴う、残留炭
素による比誘電率の低下、酸化銅の拡散による短寿命
化、内部電極の収縮による静電容量のバラツキなどの欠
点を克服し、優れた製品の積層コンデンサを得ることが
できる鉛系ペロブスカイト誘電体を製造することを目的
とし、特開平5−90066号公報において、原料混合
物に仮焼、粉砕、成形、バーンアウト、焼成の処理を施
して鉛系複合ペロブスカイトからなる積層コンデンサ用
誘電体を製造するに当り、バーンアウトを水素と水蒸気
と不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で行い、かつ室温か
ら600℃までの温度範囲で、かつ該混合ガス中の水素
濃度を0.01〜1000ppm の範囲に保つとともに、
水素と水蒸気とのモル比を[水素/水蒸気]としたと
き、式
【0009】
【数1】
【0010】の関係が維持されるように制御することを
特徴とする積層コンデンサ用誘電体の製造方法を提案し
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平5−90
066号公報の方法は、少量処理の場合には確かに有効
であるが、コンデンサのサイズが大きくなったり、処理
個数が増えてくると残留炭素が減らなくなるため、混合
ガスの流量を増やしたり、熱処理の保持時間を延ばした
りする必要がある。また、この対策としてバーンアウト
の初期および中期に銅内部電極を酸化させない程度の濃
度の酸素を導入することが考えられるが、バーンアウト
の促進効果は認められるものの、安定条件が狭いため処
理量に応じて厳密に酸素濃度を管理しないと銅内部電極
を酸化させてしまう欠点がある。
【0012】また、鉛系複合ペロブスカイトを誘電体と
する場合には、多量処理においては、コンデンサ自身か
ら発生するバインダーの分解ガスにより誘電体が還元さ
れて表面に金属鉛が析出し安定して焼成できなくなる
が、この対策としてもバーンアウトの初期および中期に
酸素を導入することが有効である。しかしながら、この
場合、処理板に多数のコンデンサを配して焼成を行おう
とすると、中央部のコンデンサと周辺部のコンデンサで
有効酸素濃度範囲が異なり、中央部のコンデンサ表面に
金属鉛の発生しない酸素濃度では周辺部のコンデンサの
銅内部電極を酸化させてしまい均一なバーンアウトがで
きない。
【0013】そこで、本発明は、銅を内部電極とする積
層セラミックコンデンサにつき、バーンアウトを行う
際、多量処理においても銅内部電極を酸化させることな
く残留炭素を低下させ、特に鉛系複合ペロブスカイトを
誘電体とする場合においては、中央部のコンデンサ表面
に金属鉛を発生させないでバーンアウトを行い、残留炭
素や酸化銅の拡散による比誘電率の低下や絶縁抵抗の低
下のない高寿命の積層セラミックコンデンサを製造する
ことのできる銅内部電極積層セラミックコンデンサの製
造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の本発明により達成される。 (1)銅を内部電極とする積層セラミックコンデンサの
製造方法において、焼成に先だって行なうバーンアウト
を、酸化銅の存在下、水蒸気と不活性ガスと5000pp
m 以下の水素との混合雰囲気で、室温からセラミックの
焼成開始温度未満の温度に保持して行なうことを特徴と
する銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方法。 (2)前記酸化銅の使用量を、積層セラミックコンデン
サの単位体積(cm3 )当たり0.01モル以上とした上
記(1)の銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造
方法。 (3)一回にバーンアウトを行なう積層セラミックコン
デンサの総体積が3cm3 以上である上記(1)または
(2)の銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方
法。
【0015】
【作用・効果】本発明では、酸化銅の存在下、水蒸気と
不活性ガスと5000ppm 以下の水素との混合雰囲気中
でバーンアウトを行なうようにしたので、セラミック中
のバインダーのバーンアウトの初期および中期の熱分解
温度領域で酸素が必要となると、上記酸化銅が自動的に
酸素を供給し、低中温領域のバーンアウトを促進させる
効果がある。また、上記酸化銅から供給された酸素は、
内部導体として用いられた銅には、取り込まれることが
ないので、銅内部電極が酸化してしまうおそれがない。
【0016】したがって、多量処理においても銅内部電
極を酸化させることなく残留炭素を低下させることがで
き、特に鉛系複合ペロブスカイトを誘電体とする場合に
おいて、多数並置したコンデンサの全てにつき、それら
の表面に金属鉛を発生させることなくバーンアウトを行
い、残留炭素や酸化銅の拡散による比誘電率の低下や絶
縁抵抗の低下のない高寿命の積層セラミックコンデンサ
を製造することができる。
【0017】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0018】本発明において、積層セラミックコンデン
サ用セラミック誘電体は、鉛の融点以下、かつ銅の平衡
酸素分圧以下で特性劣化なく焼結する、耐還元性低温焼
結材であればよいが、具体的には鉛系複合ペロブスカイ
ト、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系等
のセラミックスを主成分とする。ちなみに、銅の融点は
1083℃であり、従って本発明で用いられるセラミッ
ク誘電体の焼結温度は、それより低い900〜1050
℃程度であることが好ましい。また、銅の平衡酸素分圧
は図1に示す。
【0019】積層コンデンサ用誘電体として用いる上記
鉛系複合ペロブスカイトは、基本的には、式Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 の組成を有するもの
を挙げることができるが、これ以外にその組成のAサイ
トの成分中のPb原子の一部にCa原子を導入したも
の、Bサイトの成分中にNi,W,Fe,Mg,Nb,
Mnを平均原子価が四価となるように組み合わせたもの
など、あるいはこれらにさらにアルカリ土類金属の酸化
物、酸化銅、ケイ酸鉛などを添加したものを用いること
ができる。
【0020】上記チタン酸バリウム系セラミックスとし
ては、Aサイトの成分中のBa原子の一部にSr原子、
Ca原子を導入し、Bサイトの成分中のTi原子の一部
にZr原子を導入したものに、4BaO・Al23
2B23 等のガラス成分を添加したものを挙げること
ができる。
【0021】また、チタン酸ストロンチウム系セラミッ
クスとしては、Aサイトの成分中のSr原子の一部にP
b原子、Ca原子を導入し、Bサイトの成分中のTi原
子の一部にSn原子を導入したものにBi23 、還元
防止材を添加したものを挙げることができる。還元防止
材としては、aLi2 O・bRO・cB23 ・(1−
a−b−c)SiO2 (ただし、RはMg、Ca、S
r、Baのうち少なくとも一種)等のガラス成分を用い
ることができる。
【0022】上記のような材料は、それを構成する金属
の酸化物、例えば、鉛系複合ペロブスカイトでは、Pb
O,MgO,Nb2 3 ,TiO2 ,アルカリ土類金属
の酸化物、PbSiO3 など、あるいは焼成によりこれ
らの酸化物を生成しうる化合物を、最終的に所望の組成
が得られる割合で混合し、仮焼したのち、得られた仮焼
物を粉砕して得られる。そして、積層コンデンサはこれ
らの材料にバインダ、例えば(メタ)アクリル酸(エス
テル)系バインダを加え、成形し、乾燥、バーンアウト
の工程を経て最後に900〜1050℃で焼成すること
により製造される。そして、本発明においては、前記バ
ーンアウトの工程を、酸化銅の存在下で、水蒸気と不活
性ガスと5000ppm 以下の水素との混合ガス雰囲気中
で行うことが必要である。
【0023】本発明においては、バインダのバーンアウ
トに必要な酸素O2 を、酸化銅を用いて供給する。酸化
銅としては、CuOもしくはCu2 Oを用いればよい。
このような酸化銅は、バーンアウトに必要なO2 の量が
不足すると、自動的に必要な量だけのO2 を排出・供給
するので、雰囲気中の酸素分圧を良好に制御し、内部電
極の銅を酸化させることなく、バーンアウトを有効に促
進させる。酸化銅は、粉体であってもよいが、10mm
(縦)×50mm(横)×10mm(厚み)程度の焼結ブロ
ックを用いても同様の脱バインダー効果があり、粉体の
場合は処理チップに接触させると付着しやすいので、む
しろ焼結ブロックを用いる方がハンドリングしやすい。
酸化銅の焼結ブロックを用いる場合には、処理チップを
そのままこのブロック上に置くことができる。
【0024】酸化銅の量は、積層コンデンサの単位体積
(cm3 )当たり0.01モル以、特に0.015モルで
あることが好ましい。これ未満であると、バーンアウト
の促進効果があまり認められなくなる。また、処理量に
応じた必要な量の酸素のみがCuOもしくはCu2 Oか
ら供給され、しかも銅内部電極を酸化させることはない
ので、ハンドリングの不具合を除けば、CuOもしくは
Cu2 Oの量に上限はない。このため、設定雰囲気に酸
素を導入する場合に比べて管理が数段容易になり、かつ
バーンアウトの促進効果も同等以上である。さらに、鉛
系複合ペロブスカイトを誘電体とする場合は、多量処理
においては、コンデンサ自身から発生するバインダの分
解ガスにより誘電体が還元されて表面に金属鉛が析出し
安定して焼成できなくなるが、この対策として、設定雰
囲気に酸素を導入する方法がある。しかしこの場合は、
通常、処理板の中央部のコンデンサ表面に金属鉛の発生
しない酸素濃度では周辺部のコンデンサの銅内部電極を
酸化させてしまい均一なバーンアウトができない。しか
し、酸化銅からの酸素を用いる場合には、必要な酸素量
のみが供給されるので、全体のコンデンサのバインダを
均一にバーンアウトすることができる。特に、この効果
は、処理する積層コンデンサの近傍、例えば直下にCu
OもしくはCu2 Oを存在させることにより、増進され
る。酸化銅をこのように配置するには、例えば、板状部
材の上にスペーサを介して網状等の通気性に優れた処理
板を配し、この処理板上に、処理すべきコンデンサをセ
ットするとともに、上記板状部材上に酸化銅を敷つめれ
ばよい。好ましくは、上記の構造を上下に数段繰り返し
て、多数のコンデンサの処理を行なう。具体的には、本
発明では、処理するチップコンデンサの量は、その総体
積で3cm3 以上であることが好ましい。この処理量の上
限は特になく、しいていえば、熱処理炉の均熱部の容積
で決まる。なお、本発明のバーンアウトの方法は、特
に、多数のコンデンサの処理に適しているが、少量を処
理する場合にも好ましく用いることができる。
【0025】上記水蒸気は、バインダ中に含まれる炭化
水素やバーンアウトにより生ずる残留炭素の除去を促進
する作用がある。例えば、炭化水素と炭素は、以下に示
す反応式に従って水蒸気と反応し、気体となって系外に
飛散する。 CmHn+mH2 O→mCO+(n+2m)/2H2 C+H2 O→CO+2H2
【0026】上記不活性ガスとしては、窒素ガス、アル
ゴンガス等を用いることができる。
【0027】不活性ガスの流量としては、例えば130
mmφ程度の管状熱処理炉で処理する場合、0.2〜1.
0リットル/分程度であればよい。不活性ガスの流量をさら
に増やすことは脱バインダー効果に悪影響はないが、脱
バインダー効果を促進することもなく、適量の酸化銅を
存在させておけば、上記流量範囲で同等の脱バインダー
効果が得られるので製造コストの面でも有利になる。ま
た、上記水素は必ずしも用いる必要がないが、残留炭素
を除去する作用があるので用いることが好ましい。な
お、水素を導入する際には、雰囲気における水素濃度
が、5000ppm 以下、好ましくは0.01〜5000
ppm となるように導入する。水素濃度が、0.01ppm
未満では、この作用が不充分になるし、一方、5000
ppm を超えると、誘電体中の酸化物が還元され、例え
ば、鉛系誘電体組成物では、金属鉛を析出し、絶縁抵抗
が低下してコンデンサとしての機能を果たせなくなる。
【0028】バーンアウトは、上記雰囲気中で、鉛系複
合ペロブスカイト系については、図2の温度パターンで
行うことが好ましい。すなわち、昇温工程は、室温から
200℃程度までの第1昇温工程、この第1昇温工程
後、400℃程度までの第2昇温工程、およびこの第2
昇温工程後、保持温度までの第3昇温工程の3つの工程
からなることが好ましい。ここで、第1、第2、第3昇
温工程の昇温速度は、それぞれ5〜10℃/分、0.3
〜0.6℃/分、1.0〜2.0℃/分とすることが好
ましい。また、保持温度は600〜620℃、保持時間
は7〜10時間とすることが好ましい。400℃以下で
徐昇温にしているのは、熱分解を促進するためであり、
保持温度を600〜620℃にしたのは、これ以上の温
度では誘電体が焼結を開始して脱バインダーが進まなく
なるためである。チタン酸バリウム系、チタン酸ストロ
ンチウム系の場合は、800℃まで焼結を開始しないの
で保持温度を750〜800℃にし、保持時間を半分の
3.5〜5時間にして行う。
【0029】また、図2に示したように、バーンアウト
工程を昇温工程から完全に独立させて行なう場合には、
バーンアウト後に、冷却するが、その降温速度は、5〜
10℃/時間程度が好ましい。
【0030】以上のようにしてバーンアウトを完了した
コンデンサは、上記のように900〜1050℃で、2
〜4時間で焼成される。昇・降温速度は、5℃/分程度
が好ましい。焼成雰囲気は銅の平衡酸素分圧より低く、
かつ誘電体を還元する酸素分圧より高い酸素分圧範囲を
選ばなければならない。
【0031】本発明において、製造されたコンデンサ
は、加速寿命が0.5時間以上、特に1時間以上になる
ことが望ましく、そのためには残留炭素量を150ppm
、特に80ppm 以下にする必要がある。
【0032】上記残留炭素量の下限は特にないが、現在
のところ、30ppm 程度である。また、上記加速寿命時
間の上限は特にないが、現在のところ10時間程度であ
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0034】0.95モルのPb(Mg1/3 Nb2/3
3 と0.05モルのPbTiO3から構成された鉛系
複合ペロブスカイトに対し、1モル%のMgO、0.2
wt%のMnCO3 および0.5モル%のPbSiO3
添加した粉末混合物(これを誘電体材料Aと称す)、
(Ba0.5 Sr0.3 Ca0.1 )(TiO0.95Zr0.05
に4BaO・Al23・2BO3 のガラス成分を7wt%
添加した粉末混合物(これを誘電体材料Bと称す)、
および0.95モル(Sr0.55Pb0.3 Ca0.15)(T
0.95Sn0.05)と0.05モルのBi23 からなる
粉末組成物に5wt% の(0.06Li2 O・0.54B
aO・0.2B23 ・0.2SiO2 )からなる還元
防止材を添加した粉末混合物(これを誘電体材料Cと称
す)を、それぞれメタクリル系バインダを用いてシート
成形し、印刷法により銅電極を付設して、40層積層し
た。積層体のサイズは3.65mm(縦)×1.85mm
(横)×1.05mm(厚み)であった。
【0035】次いで、マグネシア板上に、マグネシア製
の高さ5mmのスペーサを介してこれもマグネシア製の網
状セッターを配したものに、マグネシア板上には表1に
示した量のCu2 O粉を敷き、上記マグネシア製の網状
セッター上には表1に示した個数の上記積層体を配置
し、その他の条件も表1に示した条件として、炉中で、
誘電体材料Aを用いたものでは、室温から200℃まで
は5℃/分、200℃から400℃までは0.6℃/
分、400℃から620℃までは1.2℃/分の昇温速
度で620℃まで加熱し、この温度に8時間保持したの
ち、5℃/分の降温速度で冷却した。また、誘電体材料
B、Cを用いたものでは、保持温度を800℃、保持時
間を4時間とした以外は上記と同様の温度条件でバーン
アウトを行なった。この際の雰囲気としては、窒素と水
素の混合ガスを所定の温度に維持した水の中にバブリン
グさせて水蒸気を飽和させたものを用いた。なお、サン
プルNo. 3および7における酸素導入は、雰囲気におけ
る酸素濃度が、室温から300℃まで5000ppm 、3
00℃をこえて400℃まで500ppm 、400℃をこ
えて620℃まで20ppm 、620℃での保持工程(8
時間)から冷却工程は0ppm とそれぞれなるように行っ
た。
【0036】このようにして、表1に示す条件の雰囲気
を形成させバーンアウトしたのち、誘電体材料Aのもの
については、酸素分圧logPo2 が−8.0で950
℃−4時間、誘電体材料B、Cのものについては、酸素
分圧logPo2 が−7.0で1000℃−2時間焼成
することにより3.2mm×1.6mm×0.9mmt の寸法
の焼結体(層数;40、層間;10μm )(試料No. 1
〜15)を得た。
【0037】このようにして得られる試料の焼成前の平
均残留炭素量および焼成後の平均加速寿命時間を測定し
た結果を表1に示した。残留炭素量は、誘導加熱型非分
散赤外分析計(堀場製作所、EMIA−520)で測定
した。また、加速寿命時間は200℃、80V の条件で
測定した。なお、加速寿命時間の測定は、1時間で停止
したので、表1の加速寿命時間の欄の「1.0」は1時
間以上を意味する。
【0038】
【表1】
【0039】この表から明らかなように、本発明の方法
により得られたコンデンサは、いずれも残留炭素が少な
く、長寿命である。また、本発明の実施例の試料におい
ては、処理炉内での位置にかかわらず、その特性のバラ
ツキがほとんどなかった。特に、本発明の方法の効果
は、コンデンサの処理量が多くなればなるほど顕著であ
る。なお、試料4のように炉内に導入する混合ガスの流
量を増大すれば、得られたコンデンサは、その残留炭素
が少なく、長寿命となるが、混合ガスを多く導入する
と、それだけコスト増となるので望ましくない。
【図面の簡単な説明】
【図1】動の平衡酸素分圧を示すグラフ図である。
【図2】本発明によるバーンアウトの温度パターンの1
例を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅を内部電極とする積層セラミックコン
    デンサの製造方法において、焼成に先だって行なうバー
    ンアウトを、酸化銅の存在下、水蒸気と不活性ガスと5
    000ppm 以下の水素との混合雰囲気で、室温からセラ
    ミックの焼成開始温度未満の温度に保持して行なうこと
    を特徴とする銅内部電極積層セラミックコンデンサの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化銅の使用量を、積層セラミック
    コンデンサの単位体積(cm3 )当たり0.01モル以上
    とした請求項1の銅内部電極積層セラミックコンデンサ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 一回にバーンアウトを行なう積層セラミ
    ックコンデンサの総体積が3cm3 以上である請求項1ま
    たは2の銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方
    法。
JP6333042A 1994-12-14 1994-12-14 銅内部電極積層セラミックコンデンサの製造方法 Withdrawn JPH08167536A (ja)

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Cited By (7)

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