JP2000243652A - 誘電体磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサおよびその製造方法

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JP2000243652A
JP2000243652A JP4624499A JP4624499A JP2000243652A JP 2000243652 A JP2000243652 A JP 2000243652A JP 4624499 A JP4624499 A JP 4624499A JP 4624499 A JP4624499 A JP 4624499A JP 2000243652 A JP2000243652 A JP 2000243652A
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克知 土本
Kazuhiro Komatsu
和博 小松
Katsuyuki Miura
克之 三浦
Hidenori Kuramitsu
秀紀 倉光
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比誘電率及び絶縁抵抗の向上した誘電体磁器
組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、(化1)で表される誘電体磁
器組成物である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレビジョン受動機
の電子チューナ、携帯電話、ビデオカメラ等の各種電気
機器に利用されるセラミックコンデンサに用いる誘電体
磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサお
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサは、BaTi
3を主成分とする誘電体層と内部電極層とを交互に積
層して積層体を形成して焼成した後、その端面に外部電
極を形成することにより、複数の並列等価なセラミック
コンデンサを有する構造を実現している。
【0003】また、内部電極層材料に、安価な卑金属の
Niを用い低コスト化を図る試みがなされているが、N
iを内部電極層として使用すると、BaTiO3を主成
分とする誘電体層とNiとをNiが酸化されない還元雰
囲気で同時に焼成しなければならない。そこで中性また
は還元雰囲気で焼成しても還元されない材料として、非
還元性セラミック材料の開発も行われており、BaTi
3にMnO2、Yb23、Dy23、ThO2を添加す
ることが知られている(例えば特公平6−50700号
公報参照)。
【0004】このような誘電体磁器組成物は、比誘電率
が12000〜13000、絶縁抵抗は109Ω程度で
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、さら
に比誘電率及び絶縁抵抗の向上した誘電体磁器組成物と
積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の誘電体磁器組成物は、(化3)で表されるも
のである。
【0007】
【化3】
【0008】Mn成分が絶縁抵抗の向上に寄与し、Ba
の一部をCaで置換することとNi成分により比誘電率
が向上するので、上記目的を達成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、(化3)で表される誘電体磁器組成物であり、比誘
電率および絶縁抵抗の高いものである。
【0010】請求項2に記載の発明は、誘電体層と内部
電極層とが交互に積層された積層体と、この積層体の前
記内部電極層の露出した端面に設けた外部電極とを備
え、前記誘電体層は(化3)で表される誘電体磁器組成
物を用いて形成した積層セラミックコンデンサであり、
大容量かつ信頼性の高いものである。
【0011】請求項3に記載の発明は、内部電極層とし
てNiを主成分とする金属を用いた請求項2に記載の積
層セラミックコンデンサであり、安価な卑金属のNiを
用い、低コスト化を図ることができるものである。
【0012】請求項4に記載の発明は、誘電体材料を用
いて形成したグリーンシートと、Niを主成分とする内
部電極ペーストとが交互に積層された積層体を形成する
第1の工程と、次にこの積層体を前記グリーンシートが
焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程
と、次いでこの積層体をNiの融点より低温の還元雰囲
気中で焼成する第3の工程とを有する積層セラミックコ
ンデンサの製造方法において、前記誘電体材料は、Ba
化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合
物、Dy化合物、Mn34、NiO、BaO−Al23
−SiO2の三成分系ガラスを(化3)の組成比に混合
したものを用いる積層セラミックコンデンサの製造方法
であり、安価に大容量かつ信頼性の高い積層セラミック
コンデンサが得られるものである。
【0013】請求項5に記載の発明は、誘電体層となる
グリーンシートと、内部電極層となるNiを主成分とす
る内部電極ペーストとが交互に積層された積層体を形成
する第1の工程と、次にこの積層体を前記グリーンシー
トが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工
程と、次いでこの積層体を焼成するとともに、前記内部
電極層となるNiの一部を酸化させて前記誘電体層中に
拡散させる第3の工程とを有する積層セラミックコンデ
ンサの製造方法において、前記グリーンシートは、Ba
化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合
物、Dy化合物、Mn34、BaO−Al23−SiO
2の三成分系ガラスを(化4)の組成比に混合したもの
を用いて形成することを特徴とする積層セラミックコン
デンサの製造方法であり、安価に大容量かつ信頼性の高
い積層セラミックコンデンサが得られるものである。
【0014】
【化4】
【0015】以下本発明の一実施の形態について説明す
る。
【0016】図1は本実施の形態における積層セラミッ
クコンデンサの一部断面斜視図であり、1は誘電体層、
2は内部電極層、3は外部電極である。
【0017】以下、本発明の誘電体磁器組成物と積層セ
ラミックコンデンサの製造方法について説明する。
【0018】まず、誘電体層1の出発原料には高純度の
BaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y23、M
34、Dy23、BaO−Al23−SiO2の三成
分系ガラス、NiOを(表1)に示すように炭酸塩は酸
化物に換算して本発明の範囲内外の組成比になるように
秤量した。
【0019】
【表1】
【0020】次にジルコニアボールを備えたボールミル
に純水とともに入れ、湿式混合後、脱水乾燥した。次い
でこの乾燥粉末を高純度のアルミナルツボに入れ、空気
中で1100℃にて2時間仮焼した。その後この仮焼粉
末をジルコニアボールを備えたボールミルに純水ととも
に入れ、湿式粉砕後脱水乾燥した。この時粉砕粉の平均
粒径が2μm以下になるようにした。
【0021】次にこの粉砕粉末に有機バインダとしてポ
リビニルブチラール樹脂、可塑剤としてBBP(ベンジ
ルブチルフタレート)、溶剤としてn−酢酸ブチルを加
えて、ジルコニアを備えたボールミルにて混合し、スラ
リーを調整した。次にこのスラリーを真空脱泡した後、
ドクターブレード法によりフィルム状に造膜しグリーン
シートを作製した。この時、乾燥後のグリーンシートの
厚みは、約20μmとなるようにした。
【0022】次に、このグリーンシート上に平均粒径約
1.0μmのNi粉末からなる電極ペーストを用い、所
望のパターンとなるようにスクリーン印刷を行った。N
i粉末は、内部電極層2間に挟まれた誘電体層1の厚み
よりも小さい粒径のものを用いた。
【0023】次いで内部電極層2のパターン形成済みの
グリーンシートを内部電極層2のパターンがグリーンシ
ートを介して対向するように100枚重ね合わせ、加熱
加圧して一体化した後、横3.8mm、縦1.8mmの
寸法に切断して、未焼結積層体を準備した。
【0024】次にこの未焼結積層体をジルコニア粉末を
敷いたジルコニア質サヤに入れ、350℃まで空気中で
加熱して有機バインダを燃焼させ、その後N2+H2中、
1300℃で2時間焼成し焼結体を得た。
【0025】次に得られた焼結体の端面に外部電極3と
して市販の900℃窒素雰囲気焼成用銅ペーストを塗布
し、メッシュ型の連続ベルトによって焼付けて積層セラ
ミックコンデンサを得た。なお、誘電体層1の厚みは約
12μm、内部電極層2の厚みは約2〜2.5μmであ
った。
【0026】次に得られた積層セラミックコンデンサの
静電容量および誘電損失を20℃の恒温槽中で周波数1
kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて測定し、静
電容量から、(数1)を用いて比誘電率を算出した。
【0027】
【数1】
【0028】その後、直流16Vを1分間印加し、その
時の絶縁抵抗を測定した。上記の測定結果を(表2)に
示した。
【0029】
【表2】
【0030】(表2)から明らかなように、NiOを本
発明の範囲内で添加した誘電体磁器組成物を用いて作製
した積層セラミックコンデンサ(No.2,3)は、比
誘電率が高く、誘電損失、絶縁抵抗も実用上十分な値を
示した。一方、NiOを本発明の範囲を超えて多く添加
した誘電体磁器組成物を用いて作製した積層セラミック
コンデンサ(No.4)は、比誘電率や絶縁抵抗が低く
なる傾向にあった。
【0031】BaOをCaOで置換することにより、比
誘電率、絶縁抵抗を高め、誘電損失を小さくすることに
効果がある。特に、比誘電率については、x=0.00
1〜0.05molの範囲内で高くなる傾向にあり、こ
の範囲で比誘電率の向上に関して有効である。また、こ
の時焼結体の結晶粒径は2〜3μmであり、他の無機添
加物で比誘電率を高めた場合と比較しても小さく、大容
量の積層セラミックコンデンサの信頼性、強度を向上さ
せるうえで有効である。強度を高めることは、積層セラ
ミックコンデンサを実装するときに発生する熱的および
機械的ストレスによるクラックの発生を抑制する作用を
有する。
【0032】xが0.001mol未満では比誘電率の
みならず、絶縁抵抗が低下し実用化には不向きである。
一方0.05molを越えた場合には、比誘電率が低下
する。
【0033】ZrO2については、焼成中にTiO2と置
換することによってシフターとして寄与することから、
y=0.2molを越えて置換するとキュリー点がかな
り低温側にシフトし、20℃での比誘電率が低下する。
【0034】Mn34は、MnO2等の他のMn化合物
と比較して微粒子で、かつ他の無機添加物と混合すると
きに非常に分散性が優れているため、少量の添加で耐還
元性を向上させることができ絶縁抵抗の劣化を防止でき
る。また、Mnを添加すると比誘電率が低下する傾向に
あるが、Mn34は他のMn化合物を用いた場合と比較
するとその傾向が小さいといった作用を有する。Mn3
4については、1/3Mn34に換算してα<0.0
01molの場合、十分な絶縁抵抗が得られず、α>
0.05molの場合には絶縁抵抗および比誘電率が低
下する傾向にある。
【0035】また、NiOを主成分(化5)100重量
%に対して、0.2重量%以下(0重量%を除く)、好
ましくは0.001〜0.2重量%の範囲で添加するこ
とによって、比誘電率を向上させる効果を有する。
【0036】
【化5】
【0037】この時、キュリー点が低温側にややシフト
するために、積層セラミックコンデンサの静電容量の経
時劣化を抑制する効果も有する。ところが、0.2重量
%を越えて添加することは内部電極層2のNiが過度に
酸化された場合と同様比誘電率が低下する。
【0038】Y23およびDy23は、他の希土類元素
と比較すると比誘電率を高める作用を有している。Y2
3およびDy23が他の希土類元素と異なるのは、C
a成分との相乗効果により、より高い比誘電率を得るこ
とができる点にある。無添加の場合、誘電体層1の粒成
長を促進せず、比誘電率が低いばかりか、絶縁抵抗も低
くなる傾向にある。また、0.015molを越えて過
度に添加すると逆に焼結性が低下し比誘電率が低くな
る。これらの効果は、Y23とDy23をそれぞれ単独
で添加した場合も、両方添加した場合も同様の効果が得
られる。両方添加する場合は、Y23添加量よりもDy
23添加量を少なくする方がより高い比誘電率が得られ
る。
【0039】また、CaCO3、Mn34、Y23、D
23の粉末粒径が大きかったり、混合するときの分散
性が悪い場合には絶縁抵抗が低くなる傾向にある。従っ
て、これらの粉末の比表面積は、5m2/g以上のもの
を用いる必要がある。特に、内部電極層2間の誘電体層
1厚みが数μm〜数十μmと薄い大容量の積層セラミッ
クコンデンサに対して用いる場合、絶縁抵抗の劣化を招
きやすいので、比表面積が10m2/g以上を用いるこ
とが好ましい。
【0040】BaO−Al23−SiO2の三成分系ガ
ラスは誘電体層1の焼結性を高める効果を有する。主成
分(化5)100重量%に対して0.01重量%以上添
加することで焼結性が向上して高誘電率が得られる。と
ころが0.5重量%を越えて添加すると絶縁抵抗が低下
するので好ましくない。SiO2やAl23を単体で添
加することでも焼結性を向上させることができるが、本
発明の誘電体磁器組成物の場合、十分な比誘電率を得る
ことができない。また、大量に積層体が重なって焼成さ
れる場合、他の組成系のガラスを焼結助剤として用いた
場合、積層体どうしがガラスを介して接着してしまう場
合があるが、BaO−Al23−SiO 2の三成分系ガ
ラスは比較的少量で焼結助剤として寄与するために、そ
のようなことが少ない。
【0041】さらに、BaO−Al23−SiO2の三
成分系ガラス組成はBaOが10〜40重量%、Al2
3が1〜15重量%、SiO2が45〜89重量%の組
成比範囲で作製されたものであれば十分な誘電率、絶縁
抵抗が得られる。特に、BaOが25〜40重量%、A
23が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%
の範囲において15000を越える誘電率を得ることが
できる。
【0042】以上の結果より本発明の組成範囲において
のみ、高誘電率で誘電損失が小さく絶縁抵抗が十分高い
積層セラミックコンデンサの作製が可能となる。
【0043】次に、(Ba+Ca)と(Ti+Zr)の
比率を変えた実験を行った。なお、この時Mn34は1
/3Mn34として0.015mol、Y23は0.0
1mol、BaO−Al23−SiO2系ガラスは0.
1重量%、NiOは0.05重量%添加し上記と同様な
手順で積層セラミックコンデンサを作製し、特性の評価
を行った。その結果を(表3)に示した。
【0044】
【表3】
【0045】(表3)より明らかなように、本発明の範
囲内については比誘電率、誘電損失、絶縁抵抗ともに実
用上十分な値を示している。一方、本発明の範囲外のN
o.001については絶縁抵抗が低く、試料No.00
5については焼結性が悪く、比誘電率が低い。(表3)
には、Mn34、Y23の添加量を固定して行った結果
を示したが、本発明の範囲内での他の誘電体組成におけ
る(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比と特性の関係は同
様の傾向を示した。以上の結果より、(Ba+Ca)/
(Ti+Zr)比が1.00〜1.02の場合に誘電率
が高く、特に1.00〜1.01の範囲が望ましい。
【0046】以下本発明のポイントについて記載する。
【0047】(1)本実施の形態においては、誘電体層
1の出発原料としてBaCO3、CaCO3、TiO2
ZrO2、Y23、Dy23、Mn34、NiOを用い
たが、所望の組成比になるようにBaTiO3などの化
合物あるいは炭酸塩、水酸化物など空気中での加熱によ
り、BaO、CaO、TiO2、ZrO2、Y23および
Dy23となる化合物を使用しても本実施の形態と同程
度の特性を得ることができる。
【0048】また、主成分となるBaとTiはBaTi
3の化合物で添加することにより、Tanδを向上さ
せることができる。この理由は、誘電体層1の主成分と
なるBaTiO3の結晶性が向上するとともにその粒子
径のバラツキも小さくなるからである。従ってBaTi
3は、シュウ酸塩法で作製されたものが一番好まし
く、次にゾルゲル法、続いて固相法で形成されたものを
用いることが好ましい。また、出発原料は全て粉末を用
いたが、副成分となるY成分およびDy成分は分散性を
向上させるために液体にして添加しても良い。
【0049】さらに、チタン酸バリウムを出発原料とし
て用いる場合は、その比表面積がチタン酸バリウムより
もCaCO3、Mn34、Y23、Dy23、NiOの
副成分の方が大きくなるようにすることにより、主成分
チタン酸バリウムと副成分との反応性が向上し、絶縁抵
抗が向上する。具体的にはチタン酸バリウムの比表面積
は3m2/g以上で、CaCO3、Mn34、Y23、D
23、NiOの副成分の比表面積は5m2/g以上の
ものを用いることが好ましい。
【0050】(2)内部電極層2としてNiを用いた
が、Ni−CuなどNiを含み、その融点が誘電体層1
の焼成温度よりも高い融点を持つ金属であれば内部電極
層2として用いることができる。具体的には1350℃
以上のものが好ましい。
【0051】(3)脱バインダ、焼成条件についても固
定して行ったが、脱バインダ工程は使用する有機バイン
ダの燃焼温度に応じて熱処理条件を最適に選択すれば良
く、焼成工程はN2+H2中での焼成に限らず、誘電体層
1が還元されず内部電極層2となる金属が過度に酸化さ
れない雰囲気、つまり内部電極層2としての機能を果た
せるように焼成できる雰囲気であればよい。しかしなが
ら、一度に大量の積層体を焼成する場合、脱バインダ工
程において積層体中のバインダを分解しきれないことが
ある。この分解されなかったバインダが誘電体層1の焼
結の際に残留していると、誘電体層1を還元したり構造
欠陥を招いたりする可能性がある。
【0052】従って、焼成工程においてバインダの分解
温度以上、誘電体層1の焼結開始温度未満の温度範囲で
昇温を一時停止して、この温度での保持過程を設けて積
層体中の残留有機物を分解することが望ましい。特に、
焼成時の最高温度付近では、Niの平衡酸素分圧から1
/20〜1/10000の低い酸素分圧の時に十分な比
誘電率、絶縁抵抗が得られる。しかしながら、平衡酸素
分圧の1/10000より低い酸素分圧で焼成すると誘
電体層1が還元され絶縁抵抗が低下する場合がある。こ
の時には、焼成の降温工程あるいは焼成後にNiの平衡
酸素分圧以上の雰囲気で熱処理することで絶縁抵抗を回
復することができる。焼成時の最高温度については、1
250℃〜1350℃の範囲の温度で十分な比誘電率が
得られる。
【0053】(4)従来焼結性を高めるためにLiを含
有したガラスを用いて誘電体磁器組成物を形成すること
が多かった。しかしながら、Liは仮焼あるいは焼成中
に飛散し、焼成炉内に蓄積して焼成炉内を汚染する可能
性がある。また、焼成炉内に付着したLiが焼成中に焼
結体に再付着する可能性もあるので、Liを含むガラス
を用いることは好ましくない。更に大量に焼成する場
合、その表面部分と内部とではLiの飛散状態も異なり
特性にバラツキが生じるおそれがある。また、Liが飛
散した部分にはボイドなどの構造欠陥も誘発すると特性
上不具合が生じる。本発明においては、このように問題
の原因となりうるLiを含有していないので、上記問題
の発生する可能性はなく非常に優れた特性の誘電体磁器
組成物を得ることができる。
【0054】(5)本実施の形態においては、BaCO
3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y23、Mn34
Dy23、NiOの混合時にBaO−Al23−SiO
2の三成分系ガラスを一緒に混合したが、BaCO3、C
aCO3、TiO2、ZrO2、Y23、Mn34、Dy2
3、NiOを仮焼した後の粉砕時にBaO−Al23
−SiO2の三成分系ガラスを添加混合しても上記と同
様の効果を得ることができる。
【0055】(6)誘電率の低下を招くMnの添加量が
従来と比較すると少量で済むため、また本発明の誘電体
磁器組成物の有する元々の誘電率が高いため、キュリー
点を低温側にシフトさせても静電容量の経時劣化による
減少が少ない。従って誘電体層1を薄層化して高積層化
したとしても、静電容量の経時劣化の少ない積層セラミ
ックコンデンサとなる。
【0056】(7)Ni成分については、誘電体層1の
出発原料に副成分としてNiOを添加してもかまわない
が、内部電極層2としてNiを用いる場合は、出発原料
にNiOを添加せずに焼成する際に内部電極層2材料の
Niを酸化してNiOとして誘電体層1に拡散させても
かまわない。いずれの場合も、誘電体層1中のNi成分
がNiOに換算して主成分(化5)100重量%に対し
て0.2重量%を越えないように、かつ誘電体層1が還
元されすぎず内部電極層2が酸化されすぎないように焼
成条件をコントロールすることが大切である。
【0057】(8)本実施の形態においては、積層セラ
ミックコンデンサを作製し、誘電体磁器組成物の特性を
評価したが、本発明の誘電体磁器組成物は、単板型のセ
ラミックコンデンサに使用できることは言うまでもな
い。
【0058】
【発明の効果】以上本発明の誘電体磁器組成物は、高い
比誘電率を有し、誘電損失が小さく、還元雰囲気におい
ても優れた絶縁抵抗を示すものでNiを主成分とする内
部電極の積層セラミックコンデンサの作製にあたって非
常に有効である。また、比誘電率が高いため積層セラミ
ックコンデンサの小型化、大容量化が極めて容易にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における積層セラミック
コンデンサの一部断面斜視図
【符号の説明】
1 誘電体層 2 内部電極層 3 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 和博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 三浦 克之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 倉光 秀紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AC09 AE00 AE02 AE03 AE04 AF00 AF06 AH01 AH05 AH06 AH09 AJ01 AJ02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (化1)で表される誘電体磁器組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 誘電体層と内部電極層とを交互に積層し
    た積層体と、この積層体の前記内部電極層の露出した端
    面に設けた外部電極とを備え、前記誘電体層は(化1)
    で表される誘電体磁器組成物を用いて形成した積層セラ
    ミックコンデンサ。
  3. 【請求項3】 内部電極層としてNiを主成分とする金
    属を用いた請求項2に記載の積層セラミックコンデン
    サ。
  4. 【請求項4】 誘電体材料を用いて形成したグリーンシ
    ートと、Niを主成分とする内部電極ペーストが交互に
    積層された積層体を形成する第1の工程と、次にこの積
    層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温
    で加熱処理する第2の工程と、次いでこの積層体をNi
    の融点より低温の還元雰囲気中で焼成する第3の工程と
    を有する積層セラミックコンデンサの製造方法におい
    て、前記誘電体材料はBa化合物、Ca化合物、Ti化
    合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn34
    NiO、BaO−Al23−SiO2の三成分系ガラス
    を(化1)の組成比に混合したものを用いる積層セラミ
    ックコンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 誘電体層となるグリーンシートと、内部
    電極層となるNiを主成分とする内部電極ペーストとが
    交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次に
    この積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度よ
    り低温で加熱処理する第2の工程と、次いでこの積層体
    を焼成するとともに前記内部電極層となるNiの一部を
    酸化させて前記誘電体層中に拡散させる第3の工程とを
    有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、
    前記グリーンシートは、Ba化合物、Ca化合物、Ti
    化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn
    34、BaO−Al23−SiO2の三成分系ガラスを
    (化2)の組成比に混合したものを用いて形成する積層
    セラミックコンデンサの製造方法。 【化2】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6649554B1 (en) 2002-05-24 2003-11-18 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Dielectric composition having increased homogeneity and insulation resistance, method of preparing the same and multi-layer ceramic capacitor using the same
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