JP3602361B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビジョン受動機の電子チューナ、携帯電話、ビデオカメラ等の各種電気機器に利用される積層セラミックコンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサは、BaTiO3を主成分とする誘電体層と内部電極層とを交互に積層して積層体を形成して焼成した後、その端面に外部電極を形成することにより、複数の並列等価なセラミックコンデンサを有する構造を実現している。
【0003】
また、内部電極層材料に、安価な卑金属のNiを用い低コスト化を図る試みがなされているが、Niを内部電極層として使用すると、BaTiO3を主成分とする誘電体層とNiとをNiが酸化されない還元雰囲気で同時に焼成しなければならない。そこで中性または還元雰囲気で焼成しても還元されない材料として、非還元性セラミック材料の開発も行われており、BaTiO3にMnO2、Yb2O3、Dy2O3、ThO2を添加することが知られている(例えば特公平6−50700号公報参照)。
【0004】
このような誘電体磁器組成物は、比誘電率が12000〜13000、絶縁抵抗は109Ω程度であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、さらに静電容量及び絶縁抵抗の向上した積層セラミックコンデンサを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、グリーンシートと、Niを主成分とする内部電極が交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次に前記積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程と、次いで前記積層体をNiの融点より低温でかつ前記内部電極が過度に酸化されない還元雰囲気中で焼成する第3の工程とを有し、前記グリーンシートはBa化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn化合物、NiO、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを(化3)とし、(化3)は、
「[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β+(1/3Mn3O4)α +(R2O3)β+aM+b(NiO)
(但し、RはYまたはDyのうち少なくとも一種類
MはBaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラス
1.00≦m≦1.02
0.001≦x≦0.05
0.05≦y≦0.2
0.001≦α≦0.05
0.001≦β≦0.015
0.01≦a≦0.5
0<b≦0.2
(a,bは主成分[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β +(1/3Mn3O4)α+(R2O3)βを100重量%としたときに添加する 重量%))」
の組成となるように混合したものであり、前記ガラスはBaOが25〜40重量%、Al2O3が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%の範囲内の組成である。
【0008】
Mn成分が絶縁抵抗の向上に寄与し、Baの一部をCaで置換することとNi成分により比誘電率が向上するので、上記目的を達成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、グリーンシートと、Niを主成分とする内部電極が交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次に前記積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程と、次いで前記積層体をNiの融点より低温でかつ前記内部電極が過度に酸化されない還元雰囲気中で焼成する第3の工程とを有し、前記グリーンシートはBa化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn化合物、NiO、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを(化1)の組成となるように混合したものであり、前記ガラスはBaOが25〜40重量%、Al 2 O 3 が3〜10重量%、SiO 2 が50〜72重量%の範囲内の組成である積層セラミックコンデンサの製造方法であり、安価で大容量かつ信頼性の高い積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、グリーンシートと、Niを主成分とする内部電極が交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次にこの積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程と、次いで前記積層体をNiの融点より低温でかつ前記内部電極が過度に酸化されない還元雰囲気中で焼成するとともに前記Niの一部を酸化させて前記グリーンシート中に拡散させる第3の工程とを有し、前記グリーンシートは、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn化合物、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを(化2)の組成比に混合したものであり、前記ガラスはBaOが25〜40重量%、Al2O3が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%の範囲内の組成である積層セラミックコンデンサの製造方法であり、安価で大容量かつ信頼性の高い積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0015】
以下本発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図1は本実施の形態における積層セラミックコンデンサの一部断面斜視図であり、1は誘電体層、2は内部電極層、3は外部電極である。
【0017】
以下、本発明の誘電体磁器組成物と積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
【0018】
まず、誘電体層1の出発原料には高純度のBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y2O3、Mn3O4、Dy2O3、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラス、NiOを(表1)に示すように炭酸塩は酸化物に換算して本発明の範囲内外の組成比になるように秤量した。
【0019】
【表1】
【0020】
次にジルコニアボールを備えたボールミルに純水とともに入れ、湿式混合後、脱水乾燥した。次いでこの乾燥粉末を高純度のアルミナルツボに入れ、空気中で1100℃にて2時間仮焼した。その後この仮焼粉末をジルコニアボールを備えたボールミルに純水とともに入れ、湿式粉砕後脱水乾燥した。この時粉砕粉の平均粒径が2μm以下になるようにした。
【0021】
次にこの粉砕粉末に有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂、可塑剤としてBBP(ベンジルブチルフタレート)、溶剤としてn−酢酸ブチルを加えて、ジルコニアを備えたボールミルにて混合し、スラリーを調整した。次にこのスラリーを真空脱泡した後、ドクターブレード法によりフィルム状に造膜しグリーンシートを作製した。この時、乾燥後のグリーンシートの厚みは、約20μmとなるようにした。
【0022】
次に、このグリーンシート上に平均粒径約1.0μmのNi粉末からなる電極ペーストを用い、所望のパターンとなるようにスクリーン印刷を行った。Ni粉末は、内部電極層2間に挟まれた誘電体層1の厚みよりも小さい粒径のものを用いた。
【0023】
次いで内部電極層2のパターン形成済みのグリーンシートを内部電極層2のパターンがグリーンシートを介して対向するように100枚重ね合わせ、加熱加圧して一体化した後、横3.8mm、縦1.8mmの寸法に切断して、未焼結積層体を準備した。
【0024】
次にこの未焼結積層体をジルコニア粉末を敷いたジルコニア質サヤに入れ、350℃まで空気中で加熱して有機バインダを燃焼させ、その後N2+H2中、1300℃で2時間焼成し焼結体を得た。
【0025】
次に得られた焼結体の端面に外部電極3として市販の900℃窒素雰囲気焼成用銅ペーストを塗布し、メッシュ型の連続ベルトによって焼付けて積層セラミックコンデンサを得た。なお、誘電体層1の厚みは約12μm、内部電極層2の厚みは約2〜2.5μmであった。
【0026】
次に得られた積層セラミックコンデンサの静電容量および誘電損失を20℃の恒温槽中で周波数1kHz、入力信号レベル1.0Vrmsにて測定し、静電容量から、(数1)を用いて比誘電率を算出した。
【0027】
【数1】
【0028】
その後、直流16Vを1分間印加し、その時の絶縁抵抗を測定した。上記の測定結果を(表2)に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
(表2)から明らかなように、NiOを本発明の範囲内で添加した誘電体磁器組成物を用いて作製した積層セラミックコンデンサ(No.2,3)は、比誘電率が高く、誘電損失、絶縁抵抗も実用上十分な値を示した。一方、NiOを本発明の範囲を超えて多く添加した誘電体磁器組成物を用いて作製した積層セラミックコンデンサ(No.4)は、比誘電率や絶縁抵抗が低くなる傾向にあった。
【0031】
BaOをCaOで置換することにより、比誘電率、絶縁抵抗を高め、誘電損失を小さくすることに効果がある。特に、比誘電率については、x=0.001〜0.05molの範囲内で高くなる傾向にあり、この範囲で比誘電率の向上に関して有効である。また、この時焼結体の結晶粒径は2〜3μmであり、他の無機添加物で比誘電率を高めた場合と比較しても小さく、大容量の積層セラミックコンデンサの信頼性、強度を向上させるうえで有効である。強度を高めることは、積層セラミックコンデンサを実装するときに発生する熱的および機械的ストレスによるクラックの発生を抑制する作用を有する。
【0032】
xが0.001mol未満では比誘電率のみならず、絶縁抵抗が低下し実用化には不向きである。一方0.05molを越えた場合には、比誘電率が低下する。
【0033】
ZrO2については、焼成中にTiO2と置換することによってシフターとして寄与することから、y=0.2molを越えて置換するとキュリー点がかなり低温側にシフトし、20℃での比誘電率が低下する。
【0034】
Mn3O4は、MnO2等の他のMn化合物と比較して微粒子で、かつ他の無機添加物と混合するときに非常に分散性が優れているため、少量の添加で耐還元性を向上させることができ絶縁抵抗の劣化を防止できる。また、Mnを添加すると比誘電率が低下する傾向にあるが、Mn3O4は他のMn化合物を用いた場合と比較するとその傾向が小さいといった作用を有する。Mn3O4については、1/3Mn3O4に換算してα<0.001molの場合、十分な絶縁抵抗が得られず、α>0.05molの場合には絶縁抵抗および比誘電率が低下する傾向にある。
【0035】
また、NiOを主成分である、
「[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β+(1/3Mn3O4)α +(R2O3)β
(但し、RはYまたはDyのうち少なくとも一種類
1.00≦m≦1.02
0.001≦x≦0.05
0.05≦y≦0.2
0.001≦α≦0.05
0.001≦β≦0.015)」
100重量%に対して、0.2重量%以下(0重量%を除く)、好ましくは0.001〜0.2重量%の範囲で添加することによって、比誘電率を向上させる効果を有する。
【0037】
この時、キュリー点が低温側にややシフトするために、積層セラミックコンデンサの静電容量の経時劣化を抑制する効果も有する。ところが、0.2重量%を越えて添加することは内部電極層2のNiが過度に酸化された場合と同様比誘電率が低下する。
【0038】
Y2O3およびDy2O3は、他の希土類元素と比較すると比誘電率を高める作用を有している。Y2O3およびDy2O3が他の希土類元素と異なるのは、Ca成分との相乗効果により、より高い比誘電率を得ることができる点にある。無添加の場合、誘電体層1の粒成長を促進せず、比誘電率が低いばかりか、絶縁抵抗も低くなる傾向にある。また、0.015molを越えて過度に添加すると逆に焼結性が低下し比誘電率が低くなる。これらの効果は、Y2O3とDy2O3をそれぞれ単独で添加した場合も、両方添加した場合も同様の効果が得られる。両方添加する場合は、Y2O3添加量よりもDy2O3添加量を少なくする方がより高い比誘電率が得られる。
【0039】
また、CaCO3、Mn3O4、Y2O3、Dy2O3の粉末粒径が大きかったり、混合するときの分散性が悪い場合には絶縁抵抗が低くなる傾向にある。従って、これらの粉末の比表面積は、5m2/g以上のものを用いる必要がある。特に、内部電極層2間の誘電体層1厚みが数μm〜数十μmと薄い大容量の積層セラミックコンデンサに対して用いる場合、絶縁抵抗の劣化を招きやすいので、比表面積が10m2/g以上を用いることが好ましい。
【0040】
BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスは誘電体層1の焼結性を高める効果を有する。主成分(化5)100重量%に対して0.01重量%以上添加することで焼結性が向上して高誘電率が得られる。ところが0.5重量%を越えて添加すると絶縁抵抗が低下するので好ましくない。SiO2やAl2O3を単体で添加することでも焼結性を向上させることができるが、本発明の誘電体磁器組成物の場合、十分な比誘電率を得ることができない。また、大量に積層体が重なって焼成される場合、他の組成系のガラスを焼結助剤として用いた場合、積層体どうしがガラスを介して接着してしまう場合があるが、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスは比較的少量で焼結助剤として寄与するために、そのようなことが少ない。
【0041】
さらに、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラス組成はBaOが10〜40重量%、Al2O3が1〜15重量%、SiO2が45〜89重量%の組成比範囲で作製されたものであれば十分な誘電率、絶縁抵抗が得られる。特に、BaOが25〜40重量%、Al2O3が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%の範囲において15000を越える誘電率を得ることができる。
【0042】
以上の結果より本発明の組成範囲においてのみ、高誘電率で誘電損失が小さく絶縁抵抗が十分高い積層セラミックコンデンサの作製が可能となる。
【0043】
次に、(Ba+Ca)と(Ti+Zr)の比率を変えた実験を行った。なお、この時Mn3O4は1/3Mn3O4として0.015mol、Y2O3は0.01mol、BaO−Al2O3−SiO2系ガラスは0.1重量%、NiOは0.05重量%添加し上記と同様な手順で積層セラミックコンデンサを作製し、特性の評価を行った。その結果を(表3)に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
(表3)より明らかなように、本発明の範囲内については比誘電率、誘電損失、絶縁抵抗ともに実用上十分な値を示している。一方、本発明の範囲外のNo.001については絶縁抵抗が低く、試料No.005については焼結性が悪く、比誘電率が低い。(表3)には、Mn3O4、Y2O3の添加量を固定して行った結果を示したが、本発明の範囲内での他の誘電体組成における(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比と特性の関係は同様の傾向を示した。以上の結果より、(Ba+Ca)/(Ti+Zr)比が1.00〜1.02の場合に誘電率が高く、特に1.00〜1.01の範囲が望ましい。
【0046】
以下本発明のポイントについて記載する。
【0047】
(1)本実施の形態においては、誘電体層1の出発原料としてBaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y2O3、Dy2O3、Mn3O4、NiOを用いたが、所望の組成比になるようにBaTiO3などの化合物あるいは炭酸塩、水酸化物など空気中での加熱により、BaO、CaO、TiO2、ZrO2、Y2O3およびDy2O3となる化合物を使用しても本実施の形態と同程度の特性を得ることができる。
【0048】
また、主成分となるBaとTiはBaTiO3の化合物で添加することにより、Tanδを向上させることができる。この理由は、誘電体層1の主成分となるBaTiO3の結晶性が向上するとともにその粒子径のバラツキも小さくなるからである。従ってBaTiO3は、シュウ酸塩法で作製されたものが一番好ましく、次にゾルゲル法、続いて固相法で形成されたものを用いることが好ましい。また、出発原料は全て粉末を用いたが、副成分となるY成分およびDy成分は分散性を向上させるために液体にして添加しても良い。
【0049】
さらに、チタン酸バリウムを出発原料として用いる場合は、その比表面積がチタン酸バリウムよりもCaCO3、Mn3O4、Y2O3、Dy2O3、NiOの副成分の方が大きくなるようにすることにより、主成分チタン酸バリウムと副成分との反応性が向上し、絶縁抵抗が向上する。具体的にはチタン酸バリウムの比表面積は3m2/g以上で、CaCO3、Mn3O4、Y2O3、Dy2O3、NiOの副成分の比表面積は5m2/g以上のものを用いることが好ましい。
【0050】
(2)内部電極層2としてNiを用いたが、Ni−CuなどNiを含み、その融点が誘電体層1の焼成温度よりも高い融点を持つ金属であれば内部電極層2として用いることができる。具体的には1350℃以上のものが好ましい。
【0051】
(3)脱バインダ、焼成条件についても固定して行ったが、脱バインダ工程は使用する有機バインダの燃焼温度に応じて熱処理条件を最適に選択すれば良く、焼成工程はN2+H2中での焼成に限らず、誘電体層1が還元されず内部電極層2となる金属が過度に酸化されない雰囲気、つまり内部電極層2としての機能を果たせるように焼成できる雰囲気であればよい。しかしながら、一度に大量の積層体を焼成する場合、脱バインダ工程において積層体中のバインダを分解しきれないことがある。この分解されなかったバインダが誘電体層1の焼結の際に残留していると、誘電体層1を還元したり構造欠陥を招いたりする可能性がある。
【0052】
従って、焼成工程においてバインダの分解温度以上、誘電体層1の焼結開始温度未満の温度範囲で昇温を一時停止して、この温度での保持過程を設けて積層体中の残留有機物を分解することが望ましい。特に、焼成時の最高温度付近では、Niの平衡酸素分圧から1/20〜1/10000の低い酸素分圧の時に十分な比誘電率、絶縁抵抗が得られる。しかしながら、平衡酸素分圧の1/10000より低い酸素分圧で焼成すると誘電体層1が還元され絶縁抵抗が低下する場合がある。この時には、焼成の降温工程あるいは焼成後にNiの平衡酸素分圧以上の雰囲気で熱処理することで絶縁抵抗を回復することができる。焼成時の最高温度については、1250℃〜1350℃の範囲の温度で十分な比誘電率が得られる。
【0053】
(4)従来焼結性を高めるためにLiを含有したガラスを用いて誘電体磁器組成物を形成することが多かった。しかしながら、Liは仮焼あるいは焼成中に飛散し、焼成炉内に蓄積して焼成炉内を汚染する可能性がある。また、焼成炉内に付着したLiが焼成中に焼結体に再付着する可能性もあるので、Liを含むガラスを用いることは好ましくない。更に大量に焼成する場合、その表面部分と内部とではLiの飛散状態も異なり特性にバラツキが生じるおそれがある。また、Liが飛散した部分にはボイドなどの構造欠陥も誘発すると特性上不具合が生じる。本発明においては、このように問題の原因となりうるLiを含有していないので、上記問題の発生する可能性はなく非常に優れた特性の誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0054】
(5)本実施の形態においては、BaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y2O3、Mn3O4、Dy2O3、NiOの混合時にBaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを一緒に混合したが、BaCO3、CaCO3、TiO2、ZrO2、Y2O3、Mn3O4、Dy2O3、NiOを仮焼した後の粉砕時にBaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを添加混合しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(6)誘電率の低下を招くMnの添加量が従来と比較すると少量で済むため、また本発明の誘電体磁器組成物の有する元々の誘電率が高いため、キュリー点を低温側にシフトさせても静電容量の経時劣化による減少が少ない。従って誘電体層1を薄層化して高積層化したとしても、静電容量の経時劣化の少ない積層セラミックコンデンサとなる。
【0056】
(7)Ni成分については、誘電体層1の出発原料に副成分としてNiOを添加してもかまわないが、内部電極層2としてNiを用いる場合は、出発原料にNiOを添加せずに焼成する際に内部電極層2材料のNiを酸化してNiOとして誘電体層1に拡散させてもかまわない。いずれの場合も、誘電体層1中のNi成分がNiOに換算して主成分(化5)100重量%に対して0.2重量%を越えないように、かつ誘電体層1が還元されすぎず内部電極層2が酸化されすぎないように焼成条件をコントロールすることが大切である。
【0057】
(8)本実施の形態においては、積層セラミックコンデンサを作製し、誘電体磁器組成物の特性を評価したが、本発明の誘電体磁器組成物は、単板型のセラミックコンデンサに使用できることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上本発明によると、誘電体層は高い比誘電率を有し、誘電損失が小さく、還元雰囲気においても優れた絶縁抵抗を示すので、小型、大容量で信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における積層セラミックコンデンサの一部断面斜視図
【符号の説明】
1 誘電体層
2 内部電極層
3 外部電極
Claims (2)
- グリーンシートと、Niを主成分とする内部電極が交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次に前記積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程と、次いで前記積層体をNiの融点より低温でかつ前記内部電極が過度に酸化されない還元雰囲気中で焼成する第3の工程とを有し、前記グリーンシートはBa化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn化合物、NiO、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを(化1)とし、(化1)は、
「[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β+(1/3Mn3O4)α +(R2O3)β+aM+b(NiO)
(但し、RはYまたはDyのうち少なくとも一種類
MはBaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラス
1.00≦m≦1.02
0.001≦x≦0.05
0.05≦y≦0.2
0.001≦α≦0.05
0.001≦β≦0.015
0.01≦a≦0.5
0<b≦0.2
(a,bは主成分[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β +(1/3Mn3O4)α+(R2O3)βを100重量%としたときに添加する 重量%))」
の組成となるように混合したものであり、前記ガラスはBaOが25〜40重量%、Al2O3が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%の範囲内の組成である積層セラミックコンデンサの製造方法。 - グリーンシートと、Niを主成分とする内部電極が交互に積層された積層体を形成する第1の工程と、次にこの積層体を前記グリーンシートが焼結し始める温度より低温で加熱処理する第2の工程と、次いで前記積層体をNiの融点より低温でかつ前記内部電極が過度に酸化されない還元雰囲気中で焼成するとともに前記Niの一部を酸化させて前記グリーンシート中に拡散させる第3の工程とを有し、前記グリーンシートは、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Y化合物、Dy化合物、Mn化合物、BaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラスを(化2)とし、(化2)は、
「[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β+(1/3Mn3O4)α +(R2O3)β+aM
(但し、RはYまたはDyのうち少なくとも一種類
MはBaO−Al2O3−SiO2の三成分系ガラス
1.00≦m≦1.02
0.001≦x≦0.05
0.05≦y≦0.2
0.001≦α≦0.05
0.001≦β≦0.015
0.01≦a≦0.5_
(aは主成分[(Ba1-xCax)m(Ti1-yZry)O2+m]1- α - β +(1/3Mn3O4)α+(R2O3)βを100重量%としたときに添加する 重量%))」
の組成比に混合したものであり、前記ガラスはBaOが25〜40重量%、Al2O3が3〜10重量%、SiO2が50〜72重量%の範囲内の組成である積層セラミックコンデンサの製造方法。
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