JP2006036606A - 誘電体セラミック、誘電体セラミックの製造方法、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体セラミック、誘電体セラミックの製造方法、及び積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】誘電体層をより薄層化しても、誘電特性や静電容量の温度特性を損なうことなく、絶縁性や高温負荷寿命等の信頼性を向上させる。
【解決手段】(Ba,Ca)TiOを主成分とし、該主成分に第1〜第4の添加成分が含有されている。第1の添加成分が、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWの中から選択された少なくとも1種を含み、第2の添加成分が所定の希土類元素からなり、第3の添加成分が、Mn、Ni、Fe、Cu、Mg及びAlの中から選択された少なくとも1種を含み、第4の添加成分が少なくともSiを含有した焼結助剤からなる。そして、第1の添加成分2が主成分粒子1に固溶されると共に、第1の添加成分2の前記主成分粒子1への固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって前記主成分粒子1の半径Rの1/100以上かつ1/3以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は誘電体セラミック、誘電体セラミックの製造方法、及び積層セラミックコンデンサに関し、より詳しくは小型・大容量の積層セラミックコンデンサの誘電体材料に適した誘電体セラミック、その製造方法、及び該誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサに関する。
近年におけるエレクトロニクス技術の発展に伴い、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が急速に進行している。そして、このような状況の下、中、高電圧回路用途向けの積層セラミックコンデンサにおいても小型化、大容量化の要求が強くなってきている。
この種の積層セラミックコンデンサは、セラミック焼結体の内部に内部電極が埋設されており、該積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化を図るべく、今日では、誘電体層の薄層化技術の開発が盛んに行われている。
ところで、誘電体層を薄層化すると、誘電体層に印加される電圧が高くなることから、絶縁性や高温負荷寿命をより一層向上させて信頼性を得ることが必要となる。
一方、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化を図る方法としては、上述した誘電体層の薄層化と共に、誘電体セラミックの誘電率を増加させることが考えられるが、一般に誘電率の高い誘電体セラミックは、直流電圧印加時の容量変化が大きく、中、高電圧回路用途には不向きである。
したがって、適正な誘電率を有し、かつ絶縁性や高温負荷時の耐久性に優れ、信頼性の優れた誘電体セラミックの開発が必要となる。また、電気回路を温度に対して安定に動作させるためには、該電気回路に搭載される積層セラミックコンデンサについても温度変化に対する静電容量の容量変化率を小さくし、安定化させる必要がある。
そこで、従来より、一般式BaCaTiOで表されるカルシウム変性チタン酸バリウムを主成分とし、所定量のMgO、MnO、BaO、CaO、SiO、及び所定の希土類酸化物を添加した誘電体磁器組成物が提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、Ba成分の一部をCa成分で置換することにより、耐還元性を改善すると共に、所定量のMgO、MnO、BaO、CaO、SiO、及び所定の希土類酸化物を前記主成分に添加することにより、誘電率の低下や静電容量の温度特性を悪化させることもなく、絶縁性が良好で高温負荷時の耐久性にも優れた積層セラミックコンデンサを得ている。
また、他の従来技術としては、一般式ABO(AはBa、Ba+Ca、Ba+Sr、又はBa+Ca+Sr、BはTi、Ti+Zr、Ti+R、又はTi+Zr+R(ただし、Rは希土類元素))を主成分とし、強誘電体相部分(コア部)と該強誘電体相部分を囲む常誘電体相部分とを有し、Mn、V、Cr、Co、Ni、Fe、Nb、Mo、Ta、及びWから選択された1種以上の添加成分が、結晶粒界から中心までの全域にほぼ均一に分布させた誘電体磁器も提案されている(特許文献2)。
特許文献2では、耐還元性の向上に寄与するMn、V、Cr、Co、Ni、Fe、Nb、Mo、Ta、及びWから選択された1種以上の添加成分が、結晶粒界から中心までの全域にほぼ均一に分布しているので、強誘電体相部分も耐還元性が向上して半導体化するのを回避することができ、強誘電体相部分が高抵抗となり、これにより絶縁性を向上させている。
特開2002−29836号公報 特開平10−330160号公報
しかしながら、特許文献1では、誘電体層の厚みが5μm程度までであれば、良好な絶縁性や高温負荷時の耐久性を確保することが可能であるが、誘電体層が1〜3μm程度にまで薄層化してくると、これら絶縁性や高温負荷時の耐久性が悪化し、信頼性低下を招くという問題点があった。
また、特許文献2も、特許文献1と同様、誘電体層が薄層化してくると、絶縁性や高温負荷時の耐久性が悪化し、信頼性低下を招くという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、誘電体層をより薄層化しても、誘電特性や静電容量の温度特性を損なうことなく、絶縁性や高温負荷寿命を向上させることができ、信頼性の優れた積層セラミックコンデンサが実現可能な誘電体セラミック、誘電体セラミックの製造方法、及び該誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
誘電体セラミック材料としては、ペロブスカイト型結晶構造(一般式ABO)を有するBaTiOやBa成分の一部をCa成分で置換した(Ba,Ca)TiO等のチタン酸バリウム系材料が広く知られている。
また、一般に、チタン酸バリウム系材料を主成分とし、該主成分に各種の添加成分を含有させることにより、耐還元性の向上を図ることができ、かつ絶縁性や高温負荷寿命等の信頼性を向上させることができる。
例えば、V、Nb、Ta、Cr、Mo、又はWをチタン酸バリウム系材料に添加すると、これら添加成分はTiサイトに固溶して絶縁性や高温負荷寿命の改善に寄与し、信頼性を向上させることができる。
また、Tiよりも価数の小さい2価のMn、Ni、Cu、Mg、3価のAlをチタン酸バリウム系材料に添加すると、耐還元性を向上させることができる。
また、Yやランタノイド等の希土類元素をチタン酸バリウム系材料に添加すると、絶縁性や高温負荷寿命を改善することが可能となり、信頼性向上に寄与することができる。
さらに、チタン酸バリウム系材料に少なくともSiを含有したガラス成分を焼結助剤として添加させると、焼結性が向上し、低温焼成が可能となる。
そこで、本発明者らは、チタン酸バリウム系材料の中からBaTiOよりも信頼性に優れているとされる(Ba,Ca)TiOを選択し、(Ba,Ca)TiOを主成分として各種添加成分を含有させ、誘電体層をより一層薄層化させても所望の信頼性を得ることができるように鋭意研究を行ったところ、V、Nb、Ta、Cr、Mo、又はWを(Ba,Ca)TiOに固溶させると共に、(Ba,Ca)TiOへの固溶距離を(Ba,Ca)TiOの該表面から内部に向かって1/100〜1/3の範囲に制御することにより、誘電体層をより一層薄層化しても、誘電特性や静電容量の温度特性を損なうことなく、良好な絶縁性や高温負荷寿命を得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることのできるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る誘電体セラミックは、(Ba,Ca)TiOを主成分とし、該主成分に添加成分が含有された誘電体セラミックにおいて、前記添加成分が、少なくとも第1〜第4の添加成分からなる4つのグループに分類され、第1の添加成分が、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWの中から選択された少なくとも1種を含むと共に、第2の添加成分が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYの中から選択された少なくとも1種を含み、さらに第3の添加成分が、Mn、Ni、Fe、Cu、Mg及びAlの中から選択された少なくとも1種を含むと共に、第4の添加成分が少なくともSiを含有した焼結助剤からなり、前記第1の添加成分が前記主成分に固溶されると共に、前記第1の添加成分の各主成分粒子への固溶距離が、前記主成分粒子の外表面から内部方向に向かって前記主成分粒子の半径の1/100以上かつ1/3以下であることを特徴としている。
また、より良好な絶縁性及び信頼性を得るためには、前記第1〜第4の添加成分の含有量及び主成分中のCa含有量を所定範囲に制御するのが好ましい。
すなわち、本発明の誘電体セラミックは、前記第1〜第4の添加成分の含有量が、前記主成分粒子100モルに対し、第1の添加成分が0.02〜1モル、第2の添加成分が0.1〜4モル、第3の添加成分が0.1〜4モル、及び第4の添加成分が0.1〜4モルであることを特徴とするのが好ましく、また、前記主成分中のCa成分の含有量は、Ba成分とCa成分との総計に対し、モル%で2〜20%であることを特徴とするのが好ましい。
そして、上述した固溶距離は、主として主成分と第1の添加成分との混合物を熱処理することにより、制御することができる。
すなわち、本発明に係る誘電体セラミックの製造方法は、Ba化合物、Ca化合物、及びTi化合物を混合して反応させ、(Ba,Ca)TiOで表される主成分を作製する主成分作製工程と、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWの中から選択された少なくとも1種を含む第1の添加成分を含有した化合物を前記主成分に添加して混合し、熱処理を施し、第1の配合物を作製する第1の配合物作製工程と、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYの中から選択された少なくとも1種を含む第2の添加成分を含有した化合物と、Mn、Ni、Fe、Cu、Mg及びAlの中から選択された少なくとも1種を含む第3の添加成分を含有した化合物と、少なくともSiを含む第4の添加成分を含有した化合物とを前記第1の配合物に添加して混合し、第2の配合物を作製する第2の配合物作製工程と、前記第2の配合物に焼成処理を施してセラミック焼結体を作製するセラミック焼結体作製工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の外表面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記セラミック焼結体が、上述した誘電体セラミックで形成されていることを特徴としている。
さらに、本発明の積層セラミックコンデンサは、前記内部電極が、卑金属材料を含有していることを特徴とし、前記外部電極が、卑金属材料を含有していることを特徴とするのも好ましい。
本発明の誘電体セラミックによれば、V、Nb、Ta等の第1の添加成分、La、Ce、Pr等の第2の添加成分、Mn、Ni、Fe等の第3の添加成分、及び焼結助剤としての第4の添加成分が、主成分である(Ba,Ca)TiOに添加され、前記第1の添加成分が前記主成分に固溶されると共に、前記第1の添加成分の各主成分粒子への固溶距離が、前記主成分粒子の外表面から内部方向に向かって前記主成分粒子の半径の1/100以上かつ1/3以下であるので、誘電体層をより一層薄層化しても、誘電特性や静電容量の温度特性を損なうことなく、良好な絶縁性及び高温負荷寿命を有する信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることのできる誘電体セラミックを実現することができる。
また、前記第1〜第4の添加成分の含有量が、前記主成分粒子100モルに対し、第1の添加成分が0.02〜1モル、第2の添加成分が0.1〜4モル、第3の添加成分が0.1〜4モル、及び第4の添加成分が0.1〜4モルであるので、絶縁性や高温負荷寿命をより一層向上させることができ、信頼性の向上に寄与することができる。
また、前記主成分中のCa成分の含有量は、Ba成分とCa成分との総計に対し、モル%で2〜20%であるので、絶縁性や高温負荷寿命をより一層向上させることができ、信頼性の向上に寄与することができる。
また、本発明の誘電体セラミックの製造方法は、Ba化合物、Ca化合物、及びTi化合物を混合して反応させ、(Ba,Ca)TiOで表される主成分を作製する主成分作製工程と、第1の添加成分を含有した化合物を前記主成分に添加して混合し、熱処理を施し、第1の配合物を作製する第1の配合物作製工程と、第2の添加成分を含有した化合物と、第3の添加成分を含有した化合物と、第4の添加成分を含有した化合物とを前記第1の配合物に添加して混合し、第2の配合物を作製する第2の配合物作製工程と、前記第2の配合物に焼成処理を施してセラミック焼結体を作製するセラミック焼結体作製工程とを含むので、第1の添加成分の主成分中への固溶距離が主成分粒子の外表面から内部方向に向かって前記主成分粒子の半径の1/100以上かつ1/3以下となるように制御され、これにより良好な絶縁性と高温負荷寿命を有する信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることのできる誘電体セラミックを容易に製造することができる。
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の外表面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記セラミック焼結体が、上述した誘電体セラミックで形成されているので、良好な誘電特性や静電容量の温度特性を有し、絶縁性や高温負荷寿命が良好で信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、本発明の積層セラミックコンデンサは、前記内部電極が、卑金属材料を含有し、前記外部電極が、卑金属材料を含有しているので、上述した諸特性が良好で信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを低コストで得ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明に係る誘電体セラミックは、(Ba,Ca)TiOで表される主成分に、表1に示す第1〜第4の添加成分が含有されている。
Figure 2006036606
図1は、誘電体セラミックのセラミック構造を模式的に示した図であり、第1〜第4の添加成分中、少なくとも第1の添加成分が、主成分に部分的に固溶している。
すなわち、主成分粒子1と第1の添加成分2とが部分的に固溶しており、その固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/100以上かつ1/3以下の範囲に制御されている。つまり固溶距離Lは、斜線部Aで示すように、主成分粒子1の外表面1aから中心Oに向かって主成分粒子1の半径Rの1/100(1%)以上かつ1/3(33.3%)以下の領域内とされている。
このように前記固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/100以上かつ1/3以下の範囲とした以下の理由による。
第1の添加成分であるV、Nb、Ta、Cr、Mo、Wを(Ba,Ca)TiOに添加すると、これら第1の添加成分はTiサイトに固溶し、絶縁性や高温負荷寿命を向上させることができ、信頼性の向上を図ることが可能である。
しかしながら、前記固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/100未満の場合は、第1の添加成分2がTiサイトに十分に固溶したとは言えず、絶縁性や高温負荷寿命を向上させることができない。
一方、前記固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/3を超えた場合は、第1の添加成分2はTiサイトに十分に固溶しているため、絶縁性や高温負荷寿命は良好となるが、静電容量の温度特性が悪化し、温度安定性に欠ける。すなわち、静電容量の温度特性については、JIS(日本工業規格)で規定するB特性、及びEIA(米国電子工業会)で規定するX7R特性を満足する必要がある。ここで、B特性とは+20℃を基準とした静電容量の容量変化率ΔC/C20が−25℃〜+85℃の温度範囲で±10%以内を満足する特性をいい、X7R特性とは+25℃を基準とした静電容量の容量変化率ΔC/C25が−55℃〜+125℃の温度範囲で±15%以内を満足する特性をいう。
しかるに、前記固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/3を超えた場合は、静電容量の容量変化率が大きくなり、前記B特性やX7R特性を満たさなくなり、温度安定性に欠ける。
そこで、本実施の形態では、前記固溶距離Lを、主成分粒子1の外表面1aから内部に向かって主成分粒子1の半径Rの1/100以上、1/3以下の範囲となるようにしている。
また、第2の添加成分であるLa、Ce、Pr等の希土類元素を(Ba,Ca)TiOに添加させると、絶縁性や高温負荷寿命を改善することが可能となって信頼性の向上に寄与することができる。
また、第3の添加成分であるMn、Ni、Fe、Cu、Mg、Alを(Ba,Ca)TiOに添加させると、耐還元性の向上に寄与することができる。
しかしながら、本実施の形態では、第2及び第3の添加成分の存在状態は特に限定されるものではない。すなわち、第2及び第3の添加成分は、主成分である(Ba,Ca)TiOと略均一に固溶された状態であってもよく、主成分と部分的に固溶された状態であってもよく、或いは主成分と全く固溶せずに図1で示すように結晶相の三重点(図1、Bで示す)や結晶粒界(図1、点C)に存在した状態であっても効果は得られる。
すなわち、本実施の形態では、第2及び第3の添加成分は、その存在形態を問わず誘電体セラミック中に含有されていればよく、本質的に重要なのは、第1の添加成分が主成分に固溶し、かつ、固溶距離Lが、主成分粒子1の外表面1aから内部方向に向かって主成分粒子1の半径Rの1/100以上かつ1/3以下の範囲であることにあり、これにより誘電体層が薄層化しても、誘電特性や温度特性を損なうことなく、絶縁性や高温負荷寿命を向上させることができ、信頼性の優れた誘電体セラミックを得ることができる。
また、焼結助剤としての作用をなす第4の添加成分についても、第2及び第3の添加成分と同様、誘電体セラミック中に含有されていればよく、これにより焼結性が改善され、低温焼成が可能となる。
そして、このような第4の添加成分としては、表1に記載しているように、少なくともSiを含有した焼結助剤であればよく、具体的にはSiO、SiO−Li、SiO−B等を使用することができる。
また、第1〜第4の添加成分の含有量は、主成分である(Ba,Ca)TiO100モルに対し、第1の添加成分が0.02〜1モル、第2の添加成分が0.1〜4モル、第3の添加成分が0.1〜4モル、及び第4の添加成分が0.1〜4モルが好ましい。すなわち、第1〜第4の添加成分の含有量が、上述の範囲外であっても、静電容量Cと絶縁抵抗Rの積であるCR積は、10kV/mmの電圧印加時で2000Ω・F以上、35kV/mmの電圧印加時で1000Ω・F以上であり、125℃の高温で20kV/mmの電圧を印加した場合であっても1000時間経過時に異常は発生しなかったことから、実用上は問題が生じないが、第1〜第4の添加成分の含有量が上述の範囲内であれば、前記CR積は10kV/mmの電圧印加時で3000Ω・F以上、35kV/mmの電圧印加時でも2000Ω・F以上となり、また125℃の高温で20kV/mmの電圧を印加した場合、2000時間経過しても異常は生じず、より信頼性の向上を図ることができる。
また、主成分として(Ba,Ca)TiOを使用し、BaTiOを主成分としなかったのは、BaTiOを主成分とした場合であっても、表1に示す第1〜第4の添加成分を含有させることにより、良好な誘電特性と静電容量の温度特性を得ることはできるものの、絶縁性や高温負荷寿命に劣り、信頼性低下を招くおそれがあるためである。
また、Ba成分とCa成分の配合モル比については、Ca成分の含有量が、Ba成分とCa成分の総含有量に対し、モル%で0.2〜20%が好ましい。すなわち、(Ba,Ca)TiOを主成分とするのであれば、CR積は、10kV/mmの電圧印加時で2000Ω・F以上、35kV/mmの電圧印加時で1000Ω・F以上であり、125℃の高温で20kV/mmの電圧を印加した場合であっても1000時間経過時に異常が発生しなかったことから、実用上は問題は生じないが、Ca成分の含有量が、Ba成分とCa成分の総含有量に対し、モル%で0.2〜20%の範囲であれば、前記CR積は10kV/mmの電圧印加時で3000Ω・F以上、35kV/mmの電圧印加時でも2000Ω・F以上となり、また125℃の高温で20kV/mmの電圧を印加した場合、2000時間経過しても異常は生じず、より信頼性の向上を図ることができる。
次に、上記誘電体セラミックの製造方法を詳述する。
まず、Ca成分の含有モル量が、Ba成分とCa成分の総計に対し、好ましくは2〜20モル%となるように、BaCO等のBa化合物、CaCO等のCa化合物、及びTiO等のTi化合物をそれぞれ秤量してボールミルに投入し、湿式で混合粉砕した後、1000℃以上の温度で焼成処理を施し、平均粒径0.1〜0.4μmの(Ba,Ca)TiOを作製する。
尚、平均粒径は、湿式粉砕時間等の作製条件を適宜選定することにより容易に制御することができる。
次に、上記第1の添加成分を含有した第1の金属酸化物、すなわちV、Nb、Ta、Cr、MoO、及びWOの中から選択された少なくとも1種類以上の第1の金属酸化物を用意する。
次いで、前記第1の金属酸化物を(Ba,Ca)TiO100モルに対し、好ましくは0.02〜1モルとなるように秤量し、ボールミルに投入して湿式粉砕し、その後、約1100℃の温度で熱処理を施す。これにより第1の添加成分の主成分への固溶距離Lが、制御された第1の配合物が得られる。
次に、第2の添加成分を含有した希土類酸化物、すなわちLa、CeO2、Pr11、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びYの中から選択された少なくとも1種以上の希土類酸化物を用意する。
また、第3の添加成分を含有した第2の金属酸化物、すなわちMnO、NiO、Fe、CuO、MgO、Alの中から選択された少なくとも1種以上の第2の金属酸化物を用意する。
さらに、第4の添加成分として少なくともSiを含有したSiOを用意し、必要に応じてLi、B等を用意する。
次いで、第2〜第4の添加成分を、好ましくは主成分100モルに対し0.1〜4モルとなるように秤量し、ボールミルに投入し、第1の配合物と混合させて湿式粉砕し、これにより第2の配合物を得る。
そして、この第2の配合物が、後述するように積層セラミックコンデンサの製造過程で焼成処理に付され、本発明の誘電体セラミックとなる。
図2は本発明に係る誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
該積層セラミックコンデンサは、本発明の誘電体セラミックからなるセラミック焼結体3に内部電極4(4a〜4f)が埋設されると共に、該セラミック焼結体3の両端部には外部電極5a、5bが形成され、さらに該外部電極5a、5bの表面には第1のめっき皮膜6a、6b及び第2のめっき皮膜7a、7bが形成されている。
具体的には、各内部電極4a〜4fは積層方向に並設されると共に、内部電極4a、4c、4eは外部電極5aと電気的に接続され、内部電極4b、4d、4fは外部電極5bと電気的に接続されている。そして、内部電極4a、4c、4eと内部電極4b、4d、4fとの対向面間で静電容量を形成している。
次に、上記積層セラミックコンデンサは、上記第2の配合物を使用して以下のような方法で製造される。
すなわち、上記第2の配合物をバインダや有機溶剤と共にボールミルに投入して湿式混合し、セラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法等によりセラミックスラリーに成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
次いで、内部電極用導電性ペーストを使用してセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施し、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの導電膜を形成する。
尚、内部電極用導電性ペーストに含有される導電性材料としては、低コスト化の観点から、Ni、Cuやこれら合金を主成分とした卑金属材料を使用するのが好ましい。
次いで、導電膜が形成されたセラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持・圧着し、所定寸法に切断してセラミック積層体を作製する。そしてこの後、温度300〜500℃で脱バインダ処理を行ない、さらに、酸素分圧が10−9〜10−12MPaに制御されたH−N−HOガスからなる還元性雰囲気下、温度1000〜1200℃で約2時間焼成処理を行なう。これにより導電膜とセラミック材とが共焼成され、内部電極4が埋設されたセラミック焼結体3が得られる。
次に、セラミック焼結体3の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼付処理を行い、外部電極5a、5bを形成する。
尚、外部電極用導電性ペーストに含有される導電性材料についても、低コスト化の観点から、Cuやこれら合金を主成分とした卑金属材料を使用するのが好ましい。
また、外部電極5a、5bの形成方法として、セラミック積層体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布した後、セラミック積層体と同時に焼成処理を施すようにしてもよい。
そして、最後に、電解めっきを施して外部電極5a、5bの表面にNi、Cu、Ni−Cu合金等からなる第1のめっき皮膜6a、6bを形成し、さらに該第1のめっき皮膜6a、6bの表面にはんだやスズ等からなる第2のめっき皮膜7a、7bを形成し、これにより積層セラミックコンデンサが製造される。
このように本積層セラミックコンデンサは、上述した誘電体セラミックを使用して製造されているので、誘電体層がより薄層化されても誘電特性や温度特性を損なうことなく、絶縁性や高温負荷寿命が良好で信頼性の優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した積層セラミックコンデンサの製造過程で、Al、Sr、Zr、Fe、Hf、Na、Co等が不純物として混入し、結晶粒子内や結晶粒界に存在するおそれがあるが、コンデンサの電気特性に影響を及ぼすものではない。
また、積層セラミックコンデンサの焼成処理で内部電極成分が結晶粒子内や結晶粒界に拡散するおそれがあるが、この場合もコンデンサの電気特性に影響を及ぼすことはない。
また、上記実施の形態では、(Ba,Ca)TiOは、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物を出発原料した固相法により作製しているが、加水分解法や水熱合成法、共沈法等により作製してもよい。さらに、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物についても、炭酸塩や酸化物以外に、硝酸塩、水酸化物、有機酸塩、アルコキシド、キレート化合物等、合成反応の形態に応じて適宜選択することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、平均粒径がいずれも0.3μmのBaCO、CaCO、及びTiOを用意し、Ba成分とCa成分との配合モル比がBa:Ca=0.95:0.05であってAサイト成分(Ba及びCa)とBサイト成分(Ti)の配合モル比が化学量論比(=1.000)となるようにBaCO、CaCO、及びTiOを所定量秤量し、該秤量物をボールミルに投入した後、72時間湿式で混合粉砕した。次いで、1150℃の温度で熱処理を施し、主成分である(Ba0.95Ca0.05)TiOを作製した。
次に、第1の添加成分としてのVを含有したVを用意し、主成分100モルに対し0.1モルとなるようにVを秤量した後、前記主成分及びVをボールミルに投入し、24時間湿式で混合粉砕した。次いで、1070℃、1085℃、1100℃、1115℃、1130℃の各温度でそれぞれ2時間熱処理を施し、実施例1〜5の第1の配合物を得た。
次に、第2の添加成分としてのDyを含有したDy、第3の添加成分としてのMgを含有したMgO、第4の添加成分としてのSiを含有したSiOを用意した。
そして、主成分100モルに対し、Dy:1.0モル、Mg:2.0モル、Si:1.0モルとなるようにDy、MgO、SiOをそれぞれ秤量し、ボールミルに投入して第1の配合物と共に24時間湿式で混合粉砕し、実施例1〜5の第2の配合物を得た。
また、主成分((Ba0.95Ca0.05)TiO)100モルに対し0.1モルとなるようにVを秤量した後、前記主成分及びVをボールミルに投入し、24時間湿式で混合粉砕し、熱処理を行わなかったものを比較例1の第1の配合物とし、この第1の配合物から、実施例1〜5と同様の方法・手順で比較例1の第2の配合物を作製した。
また、第1の配合物の作製過程で熱処理温度を1150℃とした以外は、上記実施例1〜5と同様の方法・手順で比較例2の第2の配合物を作製した。
表2は実施例1〜5及び比較例1、2の各成分とその含有量(モル比)及び熱処理温度を示している。
Figure 2006036606
次いで、前記各第2の配合物をポリビニルブチラール系バインダや有機溶剤としてのエチルアルコールと共にボールミルに投入して湿式混合し、セラミックスラリーを作製し、さらにドクターブレード法等によりセラミックスラリーに成形加工を施し、矩形状のセラミックグリーンシートを作製した。
そして、Niを主成分とした導電性ペーストを前記セラミックグリーンシートにスクリーン印刷し、該セラミックグリーンシートの表面に導電膜を形成した。
次いで、導電膜が形成されたセラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持・圧着し、所定寸法に切断してセラミック積層体を作製した。そしてこの後、窒素雰囲気下、温度300℃で脱バインダ処理を行ない、さらに、酸素分圧が10-10MPaに制御されたH−N−HOガスからなる還元性雰囲気中で、温度1200℃で2時間焼成処理を施し、内部電極が埋設されたセラミック焼結体を作製した。
その後、B−LiO−SiO−BaO系ガラス成分を含有したCuペーストをセラミック焼結体の両端面に塗布し、窒素雰囲気下、温度800℃で焼付処理を施し、外部電極を形成し、実施例1〜5及び比較例1、2の積層セラミックコンデンサを作製した。
尚、各積層セラミックコンデンサは、外形寸法が、縦1.2mm、横2.0mm、厚み1.0mm、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは3μmであった。また、有効誘電体セラミック層の積層枚数は100であり、1層あたりの対向電極面積は1.4×10−6であった。
次に、上記各実施例及び比較例について、TEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)で観察された結晶粒子を、直径2nmのプローブ径を使用してEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分析法)で分析し、主成分粒子の半径Rに対する固溶距離L(%)を求めた。尚、結晶粒子の分析個数は、各実施例及び比較例について20個ずつとし、10点で分析した。
また、自動ブリッジ式測定器を使用し、周波数1kHz、実効電圧1Vrms、温度25℃の条件で静電容量Cを測定し、静電容量Cから比誘電率εを算出した。
また、絶縁抵抗計を使用し、温度25℃で30V(10kV/mm)及び105V(35kV/mm)の直流電圧を2分間印加したときの絶縁抵抗Rを測定し、静電容量Cと絶縁抵抗Rとを乗算してCR積を算出した。
静電容量の温度特性については、+20℃での静電容量を基準とした−25℃から+85℃の範囲における容量変化率(ΔC/C20)、及び+25℃での静電容量を基準とした−55℃から+125℃の範囲における容量変化率(ΔC/C25)を測定し評価した。尚、前記容量変化率(ΔC/C20)が±10%以内であればJISで規定するB特性を満足することとなり、前記容量変化率(ΔC/C25)が±15%以内であればEIAで規定するX7R特性を満足することとなる。
また、高温負荷試験を行い、高温負荷寿命を評価した。すなわち、実施例及び比較例の試験片各100個について、温度125℃の高温下、60V(20kV/mm)の電圧を印加し、絶縁抵抗の経時変化を測定した。そして、試験開始後1000時間及び2000時間経過時に絶縁抵抗Rが200kΩ以下に低下した試験片を不良品と判断し、該不良品の個数を計数して高温負荷寿命を評価した。
表3は各実施例及び比較例における各測定結果を示している。
Figure 2006036606
この表3から明らかなように比較例1は、第1の配合物の作製過程で熱処理を行っていないため、第1の添加成分が主成分に固溶しておらず、このためCR積が30Vの電圧印加時で1991Ω・F、105Vの電圧印加時で591Ω・Fと低く、また高温負荷試験では、1000時間で100個中13個の不良品が認められ、また、2000時間では100個中31個の不良品が認められた。
また、比較例2は、第1の配合物の作製過程で熱処理温度が1150℃と高すぎるため、主成分粒子の半径に対し外表面から内部方向に向かって52%の位置まで固溶しており、したがって固溶距離が大き過ぎるため、絶縁性や高温負荷寿命、比誘電率は良好であるが、容量変化率(ΔC/C20)が−12.8%と負側に大きく偏位してB特性を満足せず、容量変化率(ΔC/C25)も−18.9%と負側に大きく偏位してX7R特性を満足しないことが分かった。
これに対し実施例1〜5は、第1の配合物の作製過程での熱処理温度が1070℃〜1130℃と適度であり、主成分粒子の半径に対し外表面から内部方向に向かって1〜33.3%の範囲で固溶しており、CR積が30Vの電圧印加時で3190〜3485Ω・F、105Vの電圧印加時で2712Ω・F〜2962Ω・Fと絶縁性が良好であり、高温負荷試験では2000時間経過しても不良品は生じず、良好な信頼性を得ることができることが分かった。しかも、比誘電率εも3207〜3341と高く、また静電容量の温度特性も、容量変化率(ΔC/C20)が−5.5〜−6.3%とB特性を満足し、容量変化率(ΔC/C25)が−11.9〜−12.9%とX7R特性を満足することが分かった。
まず、〔実施例1〕と同様の方法・手順により、(Ba0.95Ca0.05)TiOで表される主成分を作製した。
次に、第1の添加成分としてのVを含有したVを用意し、主成分100モルに対し0.1モルとなるようにVを秤量した後、前記主成分及びVをボールミルに投入し、24時間湿式で混合粉砕した。次いで、1100℃の温度で2時間熱処理を施し、第1の配合物を得た。
次に、〔実施例1〕と同様の方法・手順で、Dy、MgO、SiOを第1の配合物に添加して湿式混合を行い、実施例11の第2の配合物を得た。
また、BaCO及びTiOを出発原料としてBaTiO(主成分)を作製した以外は、上記実施例11と同様の方法・手順で比較例11の第2の配合物を作製した。
表4は実施例11及び比較例11の各成分とその含有量(モル比)を示している。
Figure 2006036606
次いで、上記各第2の配合物を使用し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で実施例11及び比較例11の積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、実施例11及び比較例11の積層セラミックコンデンサについて、〔実施例1〕と同様の方法・手順で固溶距離、比誘電率ε、容量変化率(ΔC/C20)及び(ΔC/C25)、30V及び105Vの電圧印加時におけるCR積を求め、高温負荷試験を行った。
表5はその結果を示している。
Figure 2006036606
この表5から明らかなように比較例11は、主成分のAサイトがBa成分のみで構成されているため、固溶距離は18%であるが、CR積が30Vの電圧印加時で1831Ω・F、105Vの電圧印加時で556Ω・Fと低く、また高温負荷寿命も1000時間で100個中12個の不良品が認められ、また、2000時間では100個中37個の不良品が認められた。
これに対し実施例11は、主成分が、Ba成分の一部をCa成分で置換された(Ba0.95Ca0.05)TiOからなるため、CR積が30Vの電圧印加時で3456Ω・F、105Vの電圧印加時で2937Ω・Fと絶縁性が良好であり、高温負荷試験では2000時間経過しても不良品は生じず、良好な信頼性を得ることができることが分かった。しかも、比誘電率εも3207と高く、また静電容量の温度特性も、容量変化率(ΔC/C20)は−5.5%とB特性を満足し、容量変化率(ΔC/C25)は−11.9%とX7R特性を満足することが分かった。
すなわち、主成分としては(Ba,Ca)TiOが積層セラミックコンデンサの信頼性向上を図る上で効果的であることが確認された。
まず、表6のような主成分組成となるように平均粒径0.3μmのBaCO、CaCO、及びTiOを秤量し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で(Ba,Ca)TiOを作製した。
次に、第1の金属酸化物としてのV、Nb、Ta、Cr、MoO、及びWOを用意し、主成分100モルに対し、第1の添加成分の含有モル量が表6のようになるようにこれら第1の金属酸化物を秤量し、この秤量物を前記主成分と共にボールミル内で24時間湿式で混合粉砕し、その後、温度1100℃で2時間熱処理を施し、第1の配合物を得た。
次に、希土類酸化物としてのLa、CeO、Pr11、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びYを用意し、また、第2の金属酸化物としてMnO、NiO、Fe、CuO、MgO、Alを用意し、さらに、焼結助剤としてSiO、Li、Bを用意した。
次に、主成分100モルに対し第2〜第4の添加成分の含有モル量が表6のようになるように上述した希土類酸化物、第2の金属酸化物及び焼結助剤を秤量し、ボールミルに投入して第1の配合物と共に24時間湿式で混合粉砕し、実施例21〜33の第2の配合物を得た。
表6は実施例21〜33の各成分とその含有量(モル比)を示している。
Figure 2006036606
次いで、前記各第2の配合物を使用し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で実施例21〜33の積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、各実施例21〜33の積層セラミックコンデンサについて、〔実施例1〕と同様の方法・手順で固溶距離、比誘電率ε、容量変化率(ΔC/C20)及び(ΔC/C25)、30V及び105Vの電圧印加時におけるCR積を求め、高温負荷試験を行った。
表7はその結果を示している。
Figure 2006036606
この表7から明らかなように実施例21〜33は、主成分として(Ba,Ca)TiOを使用し、第1の添加成分の主成分上での固溶距離が外表面から内部方向に向かって4〜24%の範囲で制御されているので、CR積が30Vの電圧印加時で3099〜4504Ω・F、100Vの電圧印加時で2634〜3828Ω・Fと絶縁性が良好であり、高温負荷試験では2000時間経過しても不良品は生じず、良好な信頼性を得ることができることが分かった。しかも、比誘電率εも2687〜3904と高く、また静電容量の温度特性も、容量変化率(ΔC/C20)が−2.5〜−6.8%とB特性を満足し、容量変化率(ΔC/C25)が−7.6〜−12.4%とX7R特性を満足することが確認された。
本発明に係る誘電体セラミックのセラミック構造を模式的に示した図である。 本発明の誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサの一実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 主成分粒子
1a 外表面
2 第1の添加成分
3 セラミック焼結体
4 内部電極
5 外部電極

Claims (7)

  1. (Ba,Ca)TiOを主成分とし、該主成分に添加成分が含有された誘電体セラミックにおいて、
    前記添加成分が、少なくとも第1〜第4の添加成分からなる4つのグループに分類され、
    第1の添加成分が、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWの中から選択された少なくとも1種を含むと共に、第2の添加成分が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYの中から選択された少なくとも1種を含み、さらに第3の添加成分が、Mn、Ni、Fe、Cu、Mg及びAlの中から選択された少なくとも1種を含むと共に、第4の添加成分が少なくともSiを含有した焼結助剤からなり、
    前記第1の添加成分が前記主成分に固溶されると共に、前記第1の添加成分の各主成分粒子への固溶距離が、前記主成分粒子の外表面から内部方向に向かって前記主成分粒子の半径の1/100以上かつ1/3以下であることを特徴とする誘電体セラミック。
  2. 前記第1〜第4の添加成分の含有量は、前記主成分100モルに対し、第1の添加成分が0.02〜1モル、第2の添加成分が0.1〜4モル、第3の添加成分が0.1〜4モル、及び第4の添加成分が0.1〜4モルであることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミック。
  3. 前記主成分中のCa成分の含有量は、Ba成分とCa成分との総計に対し、モル%で2〜20%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の誘電体セラミック。
  4. Ba化合物、Ca化合物、及びTi化合物を混合して反応させ、(Ba,Ca)TiOで表される主成分を作製する主成分作製工程と、
    V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWの中から選択された少なくとも1種を含む第1の添加成分を含有した化合物を前記主成分に添加して混合し、熱処理を施し、第1の配合物を作製する第1の配合物作製工程と、
    La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYの中から選択された少なくとも1種を含む第2の添加成分を含有した化合物と、Mn、Ni、Fe、Cu、Mg及びAlの中から選択された少なくとも1種を含む第3の添加成分を含有した化合物と、少なくともSiを含む第4の添加成分を含有した化合物とを前記第1の配合物に添加して混合し、第2の配合物を作製する第2の配合物作製工程と、
    前記第2の配合物に焼成処理を施してセラミック焼結体を作製するセラミック焼結体作製工程と、
    を含むことを特徴とする誘電体セラミックの製造方法。
  5. 複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の外表面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、
    前記セラミック焼結体が、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の誘電体セラミックで形成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記内部電極が、卑金属材料を含有していることを特徴とする請求項5記載の積層セラミックコンデンサ。
  7. 前記外部電極が、卑金属材料を含有していることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の積層セラミックコンデンサ。
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