JP3678761B2 - セラミック成形体の脱脂方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、主として積層セラミックコンデンサなどの電極とセラミックの一体焼結タイプの電子部品の脱脂方法、すなわちセラミック成形体の脱脂方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラジオ,マイクロカセットレコーダ,電子チューナ,ビデオカメラ等の超小型,薄型軽量電子機器の発展に伴い回路素子として使用される電子部品の小型,大容量化が強く要求されるようになってきた。これらの要求を満足する電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品として、例えば積層セラミックコンデンサが知られている。積層セラミックコンデンサの製造方法としては、誘電体粉末,バインダ,可塑剤および有機溶剤からなるスラリーを用いて、ドクターブレード法により有機フィルム上に厚さ数十μmのセラミック誘電体を成形してグリーンシートを作製する。このシートの上に内部電極を印刷したものを複数枚数積み重ねた後、圧着により積層成形体を作製し、しかる後、チップ状に切断,脱脂,焼成後、外部電極を形成して作製する(「絶縁誘電体セラミック」CMC社発行、塩崎忠 監修 p.211〜227 1985年)。
【0003】
ところで従来の技術において、セラミック成形体の脱脂方法は、有機バインダの急激な酸化分解の発熱による製品の内部構造欠陥の抑制、さらにセラミック成形体が電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品である場合においては、電極が酸化し体積膨脹することに起因する最終製品における内部構造欠陥の抑制のために、非酸化性ガス雰囲気中で有機バインダの分解温度以上に加熱することで行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の有機バインダの除去方法では前記有機バインダの除去が不十分であり、最終焼結体に残留カーボンとして残り、前記残留カーボンを原因とする製品の特性の劣化という問題があった。例えば積層セラミックコンデンサの場合、絶縁抵抗値の早期低下を誘発するという問題を有していた。
本発明は上述の問題点を解決し、最終製品において、優れた特性が確保できるセラミック成形体からの脱脂方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、PdあるいはPdを主要金属とする合金、またはNiあるいはNiを主要金属とする合金を内部電極とした、セラミックとの一体焼結型のセラミック成形体の脱脂方法であって、水蒸気を16〜90体積%含み、窒素ガス,炭酸ガス,不活性ガスもしくはこれらのガスの混合ガスを含み、かつ前記セラミック成形体の前記内部電極が酸化しない非酸化性ガス雰囲気中で、1000℃以下で加熱処理することにより有機バインダを分解除去することを特徴とするセラミック成形体の脱脂方法である。
【0006】
上記セラミック成形体が、PdあるいはPdを主要金属とする合金を電極とする電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品、またはNiあるいはNiを主要金属とする合金を電極とする電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品であること、さらに上記セラミック成形体が、PdあるいはPdを主要金属とする合金を電極とする積層セラミックコンデンサ、あるいはNiあるいはNiを主要金属とする合金を電極とする積層セラミックコンデンサであることを特徴とするセラミック成形体の脱脂方法である。
【0007】
【作用】
本発明者は非酸化性ガス雰囲気中の有機バインダの熱分解反応において水蒸気を導入することにより有機バインダの熱分解反応が促進することを見出した。すなわち、高分子有機化合物である有機バインダが熱分解する際、水蒸気が前記有機バインダに作用し発生する分解ガスの低分子化を促進する。さらに有機バインダの熱分解反応は吸熱反応であるため、通常の非酸化性ガス(N2,CO2,Ar,He等)より顕熱の大きい水蒸気が熱の供給源としても作用する。
【0008】
従来の製造方法において行われてきた非酸化性ガス雰囲気中での脱脂では、有機バインダの急激な酸化分解による発熱あるいは、セラミック成形体が電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品である場合においては、電極が酸化し体積膨脹することに起因する最終製品における内部構造欠陥の発生を抑制し得るが、有機バインダの除去が不十分で最終焼結体に残留カーボンとして残ってしまう。しかしながら、本発明による製造方法を用いれば、前述の作用により、有機バインダの急激な酸化分解による発熱および電極の酸化に起因する内部構造欠陥の発生を抑制しつつ、かつ最終焼結体の残留カーボンを低減することができる。したがって、この製造方法によって得られる製品は優れた特性を確保することができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例の積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。第1の実施例では、BaTiO3を主成分とする誘電体粉末と有機バインダからなる誘電体スラリーを厚さ30μmにドクターブレード法により成形した後乾燥させたものの上に、電極として市販のPd電極ペーストを厚さ3μmにスクリーン印刷法により形成したグリーンシートを用意した。前記グリーンシートを20枚積み重ねた後、圧着により積層成形体を作製した。前記積層成形体に含まれる有機バインダ成分は10重量%であった。第1の実施例として前記積層成形体を、昇温速度200℃/min,最高温度600℃,保持時間2hの温度スケジュールを用いて熱処理することで有機バインダの除去を行った。
【0010】
【外1】
【0011】
また比較従来例として、前記積層成形体を、雰囲気として非酸化性ガスをN2ガスのみとし、それ以外の条件を前述の第1の実施例と同一条件で有機バインダの除去を行った。上記両有機バインダ除去方法による試料の残留カーボン量を測定し比較検討を行った。
【0012】
(表1)に有機バインダ除去後の残留カーボン量の結果を示す。本発明による実施例いずれの場合においても、従来例に比べ、明らかに残留カーボンが低減されていることが確認された。
【0013】
【表1】
【0014】
さらに両試料をN2ガス雰囲気下1320℃,2h焼成し、積層セラミックコンデンサを得た。前記積層セラミックコンデンサの内部構造欠陥の発生状況の観察および絶縁抵抗の寿命試験(試験条件150℃,DC128V印加)を行い特性を比較した。(表2)にその結果を示す。(表2)において内部構造欠陥の発生状況はそれぞれ20個の試料についての発生状況を示し、また寿命試験結果は、いずれの場合においても初期値が1×109Ω以上であった20個の試料のうち半数が1×107Ω以下になった時間を示した。
【0015】
【表2】
【0016】
(表2)の結果から、いずれの場合による脱脂方法でも内部構造欠陥の発生は抑制されていることが判る。しかしながら、第2の実施例によれば従来例に比べ製品の寿命特性が著しく向上されていることが確認された。
【0017】
本実施例においてはPdを電極とする積層セラミックコンデンサを取り上げたが、セラミック成形体がNiあるいはNiを主要金属とする合金を電極とする電極とセラミックの一体焼結タイプのセラミック電子部品あるいは積層セラミックコンデンサである場合においても、本発明による脱脂方法を用いれば本実施例と同様の効果により、有機バインダの急激な酸化分解による発熱は起こらず、かつ電極の酸化は発生しない。したがって、これらのことに起因する内部構造欠陥の発生を抑制しつつ、かつ最終焼結体の残留カーボンを低減することができるので優れた特性を持つ製品を得ることができる。さらに本実施例では積層セラミックコンデンサを取り上げたが、他の電子部品、例えば積層アクチュエータ,積層バリスタに適用しても全く同様の効果を得ることができるのは言うまでもないことである。
【0018】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、本発明によるセラミック成形体の脱脂方法によれば、PdあるいはPdを主要金属とする合金、またはNiあるいはNiを主要金属とする合金を内部電極とした、セラミックとの一体焼結型のセラミック成形体からの有機バインダの除去を、水蒸気を16〜90体積%含み、窒素ガス , 炭酸ガス , 不活性ガスもしくはこれらのガスの混合ガスを含み、かつ前記セラミック成形体の前記内部電極が酸化しない非酸化性ガス雰囲気中で、1000℃以下で加熱処理することで、有機バインダの急激な酸化分解による発熱および電極の酸化に起因する内部構造欠陥の発生を抑制しつつ、かつ最終焼結体の残留カーボンを低減することができる。したがって、この製造方法によって得られる製品は優れた特性を確保することができるという効果を有する。
Claims (2)
- PdあるいはPdを主要金属とする合金、またはNiあるいはNiを主要金属とする合金を内部電極とした、セラミックとの一体焼結型のセラミック成形体の脱脂方法であって、
水蒸気を16〜90体積%含み、窒素ガス,炭酸ガス,不活性ガスもしくはこれらのガスの混合ガスを含み、かつ前記セラミック成形体の前記内部電極が酸化しない非酸化性ガス雰囲気中で、1000℃以下で加熱処理することにより有機バインダを分解除去することを特徴とするセラミック成形体の脱脂方法。 - セラミック成形体が積層セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の脱脂方法。
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